以下、図面を参照しつつ、本発明の作業用車両の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1から図3に示されるように、作業用車両10は、斜面上の作業領域Wの草刈り作業を行うための車両である。斜面とは、例えば、水田に設けられた畦畔部であるが、これに限らず、造成地の法面や堤防の法面であってもよい。作業領域Wは、例えば、勾配が40度以上の急勾配の斜面であるがこの限りでなく、より緩やかな斜面であってもよい。
作業用車両10の車体11は、例えば、所定の間隔で存在する固定対象に支持された2本のワイヤR1,R2により斜面上の作業領域Wに懸架される。固定対象とは、例えば、作業領域Wまたは作業領域W近傍の斜面の頂部や途中において、地面に所定の間隔で打ち込まれた一対の杭P1,P2である。固定対象は杭P1,P2の他に、ガードレール、樹木、その他の構造物であってもよい。ワイヤR1,R2の一端は、上記固定対象に結ばれて支持されもよい。
作業用車両10は、例えば、操作部70と無線通信を行い、操作部70において受け付けられた操作に基づいて送信された後述の制御情報に基づいて制御され、車体11の2本のワイヤR1,R2の巻き取りおよび繰り出し量をそれぞれ独立に調整することにより、作業領域Wにおいて所定の走行軌道に沿った走行が可能となる。そして、作業用車両10は、作業領域Wを走行しながら作業領域Wの地面において成長した草類を刈ることが可能となる。
車体11は、例えば、矩形の板状体である。車体11上には、例えば、2本のワイヤR1,R2の巻き取りまたは繰り出し量を調整するためのドラム部20が載置されている。車体11上には、ドラム部20を制御するための制御部50と、制御部50と外部装置との通信を行う通信部60と、草刈り作業を行うための作業機器30と、これらの機器に電力を供給する電源部40とが載置されている。車体11の下面には、車体11を移動自在に支持する4個の車輪T1~T4(図面では車輪T1,T2が記載されている)が取り付けられている。車体11の下面には、作業機器30の駆動部32により駆動される草刈りを行うためのカッタ31が接続されている。
以下の説明では重複する説明については符号を括弧書きで記載する。ワイヤR1(R2)は、ロープ体であり、例えば、金属線が編まれたワイヤである。ワイヤR1(R2)は、金属製のワイヤの他、天然素材、合成繊維、複合素材、樹脂製の素材等で編まれた紐や綱、あるいは樹脂で成形されたロープ体であってもよい。
ワイヤR1(R2)の一端は、例えば、輪状に形成されており、地面に対して固定された杭P1(P2)に引っ掛けられて支持される。ワイヤR1(R2)の一端には、杭P1(P2)に引っ掛けるためのスナップフックやその他の支持部材が連結されていてもよい。杭P1(P2)は、例えば、鉄筋等が加工された鋼棒である。杭P1(P2)は、例えば、予め地面に埋め込まれた塩化ビニル管に挿入される。杭P1(P2)は、地面に直接打ち込まれてもよい。杭P1(P2)は、鋼棒の他、ワイヤR1,R2の一端を支持することができるのであればどのようなものを用いてもよい。
ワイヤR1(R2)の他端は、例えば、車体11上に倒立して取り付けられたドラム21(22)に繋がれている。ドラム21(22)は、例えば、筒状のプーリ21a(22a)とプーリ21a(22a)を回転駆動するモータ21b(22b)とを備える。プーリ21a(22a)とモータ21b(22b)のシャフト(不図示)とは同心に連結されている。プーリ21a(22a)とモータ21b(22b)との間には、減速機が設けられていてもよい。プーリ21a(22a)にはワイヤR1(R2)の他端が繋がれており、使用開始前の状態ではワイヤR1(R2)が巻き取られている。
使用開始時には、ワイヤR1(R2)がドラム21(22)から引き出され、一端が杭P1(P2)に引っ掛けられる。杭P1(P2)に引っ掛けられたワイヤR1(R2)には張力が生じる。ワイヤR1(R2)に張力が生じた状態でモータ21b(22b)を正転または逆転することにより、ワイヤR1(R2)の巻き取りおよび繰り出し量が調整される。車体11の初期位置は、走行開始地点における2本のワイヤR1及びR2の長さに基づいて決定される。車体11の初期位置を計測するためにワイヤR1(R2)の一端から所定の長さまで目盛りが記されていてもよい。
モータ21b(22b)には、例えば、エンコーダ(不図示)が設けられており、モータ21b(22b)のシャフトの回転量が検出される。エンコーダの検出値は、後述の制御部50に出力される。制御部50は、後述のようにエンコーダの検出値に基づいて、モータ21b(22b)を制御してワイヤR1(R2)の長さを調整する。
車輪T1~T4は、例えば、車体11の底面において四隅に配置されている。車輪T1~T4は、例えば、駆動力が接続されていない、それぞれが独立して自由回転するフリーホイールである。車輪T1~T4は、操舵方向にも独立して自由に回転してもよい。
作業用車両10は、傾斜した作業領域Wに懸架されるため、斜面に沿って下方に重力成分の力が加わっている。モータ21bとモータ22bとをそれぞれ独立に駆動してワイヤR1とワイヤR2の長さを調整することにより、車体11を作業領域Wにおける任意の位置に移動させることができる。作業用車両10は、車体11を移動させるに従って所定の作業を行う。
作業領域Wの寸法は、例えば、2本のワイヤR1,R2により走行する作業用車両10の動作範囲に収まるように設定される。草刈りの対象の斜面において複数の作業領域Wが区画される。隣接する作業領域W同士は、作業用車両10の走行範囲を考慮して、草の刈り残しを防止するため、重複する領域(オーバーラップ領域)があってもよい。ユーザは、ある区画の作業領域Wの草刈りを作業用車両10に行わせた後、隣接する作業領域Wの草刈りを順次、作業用車両10に行わせる。
作業機器30は、例えば、車体11の移動に従って作業領域Wにおいて成長した草類を刈る作業を行う。作業用車両10には、草刈り作業を行うための作業機器30が設けられている。作業機器30は、例えば、草類を切断するためのカッタ32と、カッタ32を回転駆動する駆動部31とを備える。作業機器30は、種まき、薬剤散布、散水、ブロワ等の他の作業を行う装置であってもよい。
車体11の底面には、例えば、草刈りを行うための丸ノコ歯状のカッタ32が回転自在に取り付けられている。カッタ32は、例えば、丸ノコ歯、金属製のブレード、樹脂製のコード等が用いられる。カッタ32は、例えば、駆動用のモータを備える駆動部31により回転駆動される。カッタ32には、駆動用のモータのシャフト(不図示)を介して駆動部31と連結されている。
駆動部31は、車体11上に載置されている。カッタ32は、車体11の移動に従って回転し、作業領域Wにおいて車体11の走行軌道における草類の刈込を行うことができる。カッタ32の回転数は、制御部50が駆動部31を制御することにより調整される。駆動部31は、電力負荷、回転数等の情報を制御部50に出力する。
制御部50は、駆動部31から出力された情報を記憶部80に記憶する。制御部50は、後述のように、記憶部80または記憶部78に記憶された制御情報やデータベースに基づいて、ドラム部20を制御して車体11を作業領域Wにおいて走行させると共に、作業領域Wの状態に応じて作業機器30を制御する。
車体11上には、制御部50が載置されている。制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、制御部50は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め作業用車両10に設けられたHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVD(Digital Versatile Disc)やCD-ROM(Compact Disc Read only memory)などの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで作業用車両10のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
制御部50は、後述のように操作部70から送信された制御情報に基づいて、各装置を制御する。通信部60は、制御情報を操作部70から受信し制御部50に出力する。制御部50は、例えば、エンコーダの検出値に基づいて作業領域Wにおける現在座標を算出する。
制御部50は、操作部70から送信された制御情報に基づいて、作業領域Wにおける走行軌道を生成する。制御部50は、作業用車両10の初期位置、ドラム部20のエンコーダの初期値などに基づいて、走行軌道を走行させるようにドラム部20の制御量を決定する。制御部50は、制御情報に基づいてモータ21b(22b)を制御し、ワイヤR1(R2)の長さを調整して張力を発生させ、作業領域Wにおいて走行軌道に沿って走行させる。制御部50は、車体11が走行軌道を走行中に作業機器30に草刈り作業を行わせる。
制御部50は、作業機器30の駆動部31を制御し、カッタ32を回転駆動させる。制御部50は、駆動部31のオン動作、オフ動作、回転数等を制御する。制御部50の詳細な動作処理については後述する。
通信部60は、操作部70と通信し、制御部50に与えられる制御情報を取得する。通信部60は、各装置の負荷や操作量等の情報を操作部70に送信してもよい。通信部60は、例えば、無線LAN(Wi-Fi:登録商標)のアクセスポイントであり、操作部70と通信する。制御部50および通信部60は、例えば、Raspberry Pi3(登録商標)等の汎用のシングルボードコンピュータにより実現される。
作業用車両10は、更に、制御に用いられるデータを記憶する記憶部80を備える。記憶部80には、例えば、操作部70から取得した制御信号、ドラム部20から検出された出力値、作業機器30から取得した負荷等のデータが記憶される。記憶部80には、車体11を走行させるためのドラム部20の制御パターンの情報が記憶される。
制御パターンとは、例えば、車体11の作業領域Wにおける平行方向(X軸方向:図4参照)への移動パターン、作業領域Wにおける上下方向(Y軸方向:図4参照)への移動パターン、平行方向または上下方向の移動において、進行方向を逆転させるための切り返し動作のパターン等が含まれる。平行方向の移動や切り返し動作については後述する。
制御部50は、制御情報に含まれる作業領域Wの寸法の情報に基づいて、作業領域Wの寸法に合わせた走行軌道を生成する。制御部50は、例えば、作業領域Wの寸法に合わせて様々な制御パターンを組み合わせて走行軌道を生成する。制御部50は、例えば、生成した走行軌道および走行軌道に関する情報を記憶部80に記憶する。制御部50は、生成した走行軌道に基づいてドラム部20の制御量を設定する。
記憶部80は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD、フラッシュメモリ等で実現される。
車体11上には、この他、上記の各装置に電源を供給するための電源部40が載置される。電源部40は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの二次電池である。電源部40は、車体11に載置される二次電池の他、車体11の外部から有線または無線により各装置に電源を供給するものであってもよい。
操作部70は、ユーザによる操作を受け付けて、通信部60を介して制御部50に車体11を走行させるための制御情報を送信する。操作部70は、例えば、タブレット型端末、スマートフォン、ノートブック型PC(Personal Computer)等の通信機能を備える汎用のモバイル端末装置である。操作部70は、専用端末として構成されてもよい。以下、タブレット型端末の操作部70を例示する。
操作部70は、例えば、表示画面に表示内容を表示すると共にユーザの操作を受け付ける表示部72と、外部装置と通信する通信部74と、表示部72の表示制御及び通信部74を制御すると共に、作業用車両10の走行に関する制御情報を生成する制御部76と、記憶部78とを備える。
表示部72は、例えば、ディスプレイ、スピーカ等を含み、映像、画像、テキスト、音声等により情報伝達を行う装置である。表示部110は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどにより実現されるタッチパネルである。
表示部72は、タッチパネル等の表示面においてユーザの入力操作を受け付ける設定用画像を表示する。設定用画像とは、GUI(Graphical User Interface)画像であり、ユーザの操作を受け付けるための選択ボタンや入力欄などが設けられた設定用画像である。操作部70における詳細な操作内容については、後述する。
通信部74は、例えば、無線LANにより通信部60と通信する。通信部74と通信部60とは、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、赤外線、可視光、FM波などを利用して通信してもよい。通信部74と通信部60とは、無線基地局を介してネットワークに接続して通信してもよい。ネットワークは、例えば、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット、専用回線、無線基地局、プロバイダなどのうちの一部または全部を含む。
記憶部78は、作業領域Wのデータベース、作業用車両10の走行に関する情報を含むデータベース、作業機器30の制御に関する情報を含むデータベースが記憶されている。記憶部78は、ROMやRAM、HDD、フラッシュメモリ等で実現される。
制御部76は、表示部72に表示された設定用画像に対して行われた入力操作に基づいて作業用車両10を走行させるための制御情報を生成する。制御部76は、例えば、ブラウザのプログラムを起動して設定用画像を表示部72に表示させる。制御部76は、例えば、設定用画像により作業領域Wの場所や形状(寸法)等の作業情報、車体11を走行させる軌道の形状や方向等の走行軌道情報の他、自動運転のオン状態またはオフ状態を切り替える操作の情報、作業機器30の駆動部32の手動操作に関する情報、ドラム部20の手動操作に関する情報等を受け付け、記憶部78に一時的に例えば、キャッシュデータとして記憶する。制御部76は、記憶部78に記憶されたこれらの情報を読み出し、制御情報を生成する。
制御情報は、例えば、ユーザが入力した作業領域Wの寸法、車体11の速度、車体11の初期位置等の情報が含まれる。制御部76は、生成した制御情報を、通信部74を介して車体11側に送信する。車体11側において制御部50は、受信した制御情報を記憶部80に記憶する。制御部76は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラムを実行することにより実現される。
作業領域Wの設定情報は、杭に付されたIDと対応付けた情報として管理されてもよい。例えば、杭の設置個所にIDを付与し、一対の杭に対応する作業領域Wを杭の設置個所のIDと個々の作業領域Wの寸法等の情報とを対応付けてデータベースを生成してもよい。例えば、操作部70において受け付けられた操作において、作業領域WのIDに関する情報が入力された場合、制御情報に作業領域WのIDの情報を含めて車体11側に送信する。
制御部50は、作業領域WのIDの情報を含む制御情報を取得し、作業領域WとIDとを関連付けて、作業領域Wに関する情報を杭のIDごとに記憶部80に記憶する。制御部50は、次の草刈りの機会に作業領域WのIDの情報を含む制御情報を取得した場合、IDの情報に基づいて記憶部80に記憶されたデータベースからIDに対応した作業領域Wに関する情報を読み出す。
このようにして、一度草刈りを行った作業領域WをIDで管理するデータベースを生成し、次の草刈りの作業を行う場合、操作部70において作業領域WのIDを入力すれば作業領域Wの設定情報を入力する必要がなくなり、作業効率を向上させることができる。
データベースには、例えば、個々の作業領域Wに関する情報を含めてもよい。作業領域Wに関する情報には、作業領域Wの寸法等の設定情報の他、作業領域Wの地形、勾配の角度、障害物の有無、草の種類、時期の違いに基づく草の種類の違い等の草の状態に関する情報が含まれていてもよい。制御部76は、これらの情報を制御情報に含めて車体11に送信し、制御部50は、制御情報に基づいて記憶部80に記憶されたデータベースにこれらの情報を追加する。
この場合、車体11において制御部50は、作業領域Wに対応付けられた情報に基づいてドラム部20を制御して車体11の走行態様を変化させる。制御部50は、例えば、作業領域WのIDに基づいて、作業領域Wを個別に特定し、作業領域W内に存在する障害物を回避する走行軌道を生成する等して車体11の走行態様を変化させる。
データベースは、操作部70において作業領域WのIDに対応した設定情報が入力される度に記憶部78に設定情報を記憶することで、操作部70側で管理されるものであってもよい。そして、草刈り作業時に操作部70側で作業領域WのIDを入力することで記憶部78に記憶されたデータベースからIDに対応する作業領域Wの設定情報を読み出し、作業領域Wの設定情報の入力作業の負担を低減させることができる。
車体11側において、通信部60が制御情報を受信すると、制御部50は、制御情報に基づいて車体11を走行させるための走行軌道を生成する。また、制御部50は、制御情報に基づいて作業機器30に草刈りをさせる制御を行う。制御部50は、例えば、制御情報に含まれる作業領域Wの寸法に基づいて、作業領域Wの中をジグザグ走行させる走行軌道を生成する。制御部50は、例えば、走行軌道上に複数の軌道点を設定し、複数の軌道点に対応する二次元座標を設定する。走行軌道の生成については後に詳細に説明する。
制御部50は、生成した走行軌道に基づいて、ドラム部20を制御する。制御部50は、例えば、作業領域Wの地形、勾配の角度、障害物の有無等の違いに関する情報に応じてドラム部20を制御し、車体11を走行させる。
また、制御部50は、作業領域Wに対応付けられたIDに基づいて記憶部80から作業領域Wに関する情報を読み出し、読み出した情報に基づいて作業機器30の駆動部31を制御して作業機器30の作業内容を変化させる。制御部50は、例えば、草の種類、時期の違いに基づく草の種類の違い等の情報に応じて作業機器30の駆動部31の負荷の調整を行う。
例えば、制御部50は、作業領域Wに対応付けられた情報に基づいて、ドラム部20を制御してワイヤ長の巻き取りまたは繰り出し量を調整する際の回転速度や負荷を変更する。制御部50は、例えば、勾配の傾斜角度が急角度である場合や、草の状態により走行抵抗が大きい場合、ドラム部20における負荷(電力)を増加させる。
次に作業用車両10の動作原理について説明する。
作業領域Wにおいて、草刈りを行う場合、例えば、制御部50は、操作部70から取得した制御情報に基づいて、作業領域Wの寸法に合わせた走行軌道を生成する。走行軌道は、操作部70において生成されてもよい。制御部50は、例えば、制御情報に基づいて、車体11を作業領域Wにおいてジグザグ走行させる走行軌道を生成する。制御部50は、例えば、走行軌道上に複数の軌道点を設定し、複数の軌道点の二次元座標を決定する。制御部50は、決定した複数の軌道点の二次元座標の情報を記憶部80に記憶させる。
軌道点の二次元座標(X,Y)において、例えば、Y座標については、Y軸(図4参照)方向における刈り取り幅(後述)によって決定され、X座標については、X軸(図4参照)方向における所定距離で設定されたゲイン、例えば、5[cm]、10[cm]等の幅によって決定される。制御部50は、決定した複数の軌道点の二次元座標に対応する2本のワイヤR1,R2のワイヤ長を演算する。
制御部50は、例えば、軌道点の二次元座標に応じて演算したワイヤ長となるようにドラム部20を制御して2本のワイヤR1,R2の長さを調整する。
制御部50は、ドラム21,22のエンコーダの検出値に基づいて、ワイヤR1,R2の長さを調整し、軌道点の位置(現在位置)を更新する。制御部50は、例えば、現在位置を更新するタイミングでエンコーダの検出値を記憶部80に記憶する。
制御部50は、現在位置を更新した後、次の軌道点に移動するため、次の軌道点に対応するワイヤ長になるようにドラム部20を制御してワイヤR1,R2の長さを調整する。この時、制御部50は、予め設定された移動速度となるようにモータ22b,22bの回転数[rpm]を調整する。制御部50は、このような処理を繰り返し、複数の軌道点に対応するワイヤ長を順次調整し、走行軌道に沿って車体11を走行させる。制御部50は、エンコーダの検出値に基づいて車体11の現在位置を演算し、現在位置と走行軌道とを比較した結果に基づいて、次の軌道点の位置までのワイヤ長を設定する。次に、ワイヤR1,R2の長さを調整する。
図4に示されるように、一対の杭P1,P2は、所定の間隔(L[m])で離間して地面に固定されている。作業用車両10は、2本のワイヤR1およびワイヤR2の長さによって位置決めされる。一対の杭の離間距離と2本のワイヤR1,R2の長さが決定されると、三角形の三辺の長さに基づいて、作業領域Wにおける車体11の位置の二次元座標(XY座標)が決定される。
位置A及び位置Bは、例えば、制御部50により設定された走行軌道上の軌道点である。軌道点に設定された位置Aから次の軌道点に設定された位置Bに平行移動する場合の制御について説明する。
位置Aにおいて、ワイヤR1の長さはa1[m]であり、ワイヤR2の長さはb1[m]である。位置Aにおいて、ワイヤR1,R2の長さは、予め設定された二次元座標(XY座標)に位置するように前回の制御により調整されているものとする。
図5に示されるように、位置Aから水平方向に離間した目標の位置B(目標軌道点)に移動する場合、ワイヤR1の長さをa2[m]、ワイヤR2の長さをb2[m]とする。例えば、制御部50は、位置Bにおける設定した二次元座標に基づいて、ワイヤR1,R2の長さを決定する。
制御部50は、例えば、エンコーダの検出値に基づいて、ドラム21のモータ21bをワイヤR1が巻き取られる方向に回転数を調整しながら回転させ、ワイヤR1の長さをa1[m]より短いa2[m]になるように制御する。同時に制御部50は、ドラム22のモータ22bを制御してワイヤR2を繰り出す方向に回転数を調整しながら回転させ、ワイヤR2の長さをb1[m]より長いb2[m]になるように制御する。
このとき、車体11は、位置Aから位置Bの方向(-X方向)に引張する2本のワイヤR1およびワイヤR2の張力を動力源として位置Aから位置Bに移動する。このような制御部50の制御により、車体11は、位置Aから位置Bに移動する。制御部50は、例えば、上記のドラム部20の制御を繰り返し、車体11を作業領域Wにおいて平行移動させる。
走行軌道を操作部70において生成する場合、例えば、制御部70は、操作部50からエンコーダの検出値に基づく現在位置の情報を取得し、現在位置と走行軌道とを比較した結果に基づいて、次の軌道点の位置までのワイヤ長を演算し、ドラム部20の制御量を決定する。
そして、操作部70は、所定のタイミングで制御部50にドラム部20の決定した制御量の情報を含む制御情報を送信してもよい。所定のタイミングとは、例えば、制御部50により軌道点の現在位置に関する情報が送信された後、この情報を操作部70において受信した後の所定のタイミングである。所定のタイミングは、この他、所定時間毎であってもよいし、所定の走行距離毎や、車体11の位置を修正するタイミングや任意に設定されるタイミングであってもよい。
このように、制御部50は、制御情報に基づいて、ドラム21およびドラム22を独立して制御することで、2本のワイヤR1,R2における張力を駆動源として、車体11を作業領域Wにおいて平行移動させる。車体11を作業領域Wにおいてジグザグ走行させる場合、車体11が作業領域Wの左端または右端に到着すると、制御部50は、車体11に切り返し動作を行わせる。切り返し動作とは、車体11が水平方向に移動して左端または右端に到着した際に方向転換する動作である。切り返し動作については後述する。
制御部50は、ドラム部20を制御して車体11を水平方向に移動させ、切り返し動作を行わせた後、車体11の移動方向を反転させ、切り返し動作の前の移動方向と反対の水平方向に車体11を移動させる。
次に、車体11の切り返し動作の制御について説明する。
図6に示されるように、作業領域Wにおいて左方向(-X方向)に移動していた車体11が左端に位置した場合、次に右方向(X方向)に方向転換する。この時、車体11の位置をカッタ32の幅より狭い幅分下方(Y方向)にオフセットさせ、草刈りをする必要がある。
図7に示されるように、制御部50は、例えば、ドラム22を制御してワイヤR2を繰り出し、車体11を下方(Y方向)に傾かせる。制御部50は、ドラム21を制御してワイヤR1を巻き取り、車体11を下方(Y方向)に傾かせてもよい。
制御部50は、ドラム部20を制御して車体11を矢印方向に進行させ、作業機器30の刈り取り幅分下降させる。その後、制御部50は、例えば、ドラム22を制御してワイヤR2を巻き取り、車体11を上方(-Y方向)に傾かせる。制御部50は、ドラム21を制御してワイヤR1を繰り出し、車体11を上方(-Y方向)に傾かせてもよい。
図8に示されるように、作業領域Wの左端において作業領域Wの勾配が大きく、車体11を下方(Y方向)へ引っ張る力が強い場合、制御部50は、例えば、ドラム21、22を制御してワイヤR1,R2を繰り出し、車体11を下方(Y方向)に移動させ、車体11の位置をカッタ32の幅分下方(Y方向)にオフセットさせてもよい。
その後、制御部50は、ドラム部20を制御して車体11を水平方向(X方向)に進行させ水平方向の軌道に沿って草刈りをさせる。ワイヤR1,R2の長さは、操作部70において計算されてもよい。この場合、制御部50は、計算された軌道に基づいて設定された軌道点の二次元座標の情報に基づく制御信号を通信により操作部70から取得することにより車体11を走行させてもよい。
図9に示されるように、制御部50は、車体11が作業領域Wの右端に位置した場合、同様に、ドラム21を制御してワイヤR1を繰り出し、車体11を下方(Y方向)に傾かせる。制御部50は、ドラム部20を制御して車体11を進行させ、作業機器30の刈り取り幅分下降させる。
図10に示されるように、作業領域Wの右端において制御部50は、作業領域Wの勾配が大きく、車体11を下方(Y方向)へ引っ張る力が強い場合、制御部50は、例えば、ドラム21、22を制御してワイヤR1,R2を繰り出し、車体11を下方(Y方向)に移動させ、車体11の位置をカッタ32の幅分より短い幅分下方(Y方向)にオフセットさせてもよい。
その後、制御部50は、例えば、ドラム21を制御してワイヤR1を巻き取り、車体11を上方(-Y方向)に傾かせる。その後、制御部50は、ドラム部20を制御して車体11を水平方向(-X方向)に進行させると共に、作業機器30を制御して水平方向の軌道に沿って草刈りをさせる。
上記処理を繰り返すことにより、制御部50は、車体11を作業領域Wにおいてジグザグ走行させ、草刈りを行わせる。上記の車体11を上方または下方に移動させる制御は、車体11の位置や方向修正においても実行される。
次に、操作部70において表示される表示内容および表示内容に基づいて受け付けられる操作について説明する。
図11に示されるように、操作部70の表示部72には、作業用車両10の走行に関する設定値を入力するための設定用画像IM1が表示される。設定用画像IM1は、例えば、操作部70にインストールされたブラウザのプログラムによって起動し、表示部72に表示されるよう作成されている。従って、設定用画像IM1は、操作部70の機種やOSの種類に依存せずブラウザがインストールされた装置の表示画面に表示される。
ユーザは、設定用画像IM1において表示されるGUIボタンをタップする等して作業用車両10等に関する設定項目の情報を入力する。設定項目は、例えば、作業領域Wの寸法、車体11の初期位置等である。車体11の初期位置は、例えば、2本のワイヤR1,R2の繰り出し量で表される。設定項目に入力された入力データは、記憶部78に記憶される。
制御部76は、例えば、入力データを含む制御情報を車体11に送信する。制御部50は、制御情報に基づいて、作業領域Wにおける車体11の走行軌道を生成する。制御部50は、例えば、制御情報に基づいて作業領域Wの寸法に合わせて作業領域W内を水平方向にジグザグ走行して作業領域Wにおける傾斜面を下降する走行軌道を生成する。制御部50は、ジグザグ走行の軌道生成において、左右に平行移動する軌道を生成する。そして、制御部50は、カッタ32の刈り幅のデータに基づいて、車体11が作業領域Wの左端または右端に位置した場合次の水平方向に移動する軌道に遷移する際に、切り返し動作を行わせる制御量を決定する。
制御部50は、例えば、切り返し動作において、カッタ32が草類を刈りつつ、且つ、刈り残しが発生しないよう車体11が下方に所定のオフセット量分移動する走行軌道を生成し、ドラム部20の制御量を決定する。
制御部50は、例えば、カッタ32の幅より小さい幅分オフセット量を設定し、切り返し動作において、前回の走行方向と反対方向に走行する際にカッタ32によって草が刈られた刈り取り領域を重複させるオーバーラップ量が設定された走行軌道を生成する。オーバーラップ量は、草の種類や時期、斜面の勾配に応じて設定される。
制御部50は、作業領域Wにおいて水平方向にジグザグ走行して傾斜面を上昇するように走行軌道を生成してもよい。また、制御部50は、作業領域Wにおいて傾斜面を上下方向にジグザグ走行して左方向または右方向に移動するように走行軌道を生成してもよい。
制御部50は、生成した走行軌道に沿って所定の間隔で目標軌道点を生成し、目標軌道点の二次元座標を算出する。制御部50は、複数の目標軌道点の座標データを生成し、走行軌道の情報として記憶部80に記憶する。
図12に示されるように、操作部70の表示部72には、作業用車両10の自動走行に関する設定用画像IM2が表示される。設定用画像IM2において、2本のワイヤR1,R2の長さの初期値、作業領域Wの寸法等の設定値が入力される。また、設定用画像IM2において、設定の開始又は停止、自動走行の開始又は停止、草刈りの開始又は停止等の操作が受け付けられる。
制御部76は、入力された設定情報を含む制御情報を生成し、通信部74を介して無線LANにより車体11に送信する。制御部76は、自動走行の開始又は停止、草刈りの開始又は停止等の操作に関する情報を制御情報として通信部74を介して無線LANにより車体11に送信する。
操作部70をユーザが手動で操作することによる手動運転により、車体11の走行が操作されてもよい。
図13に示されるように、表示部72に表示される作業用車両10の手動操作用の手動用操作画像IM3は、車体11の移動方向を指示するための複数の矢印画像とワイヤR1,R2の長さのデータの入力欄が形成されている。複数の矢印画像は、例えば、上下左右、及び上下左右から45度傾いた合計8方向が設定されている。
ユーザは、作業領域Wにおいて車体11を動かしたい方向に対応する矢印の画像をタップする。制御部76は、手動用操作画像IM3により入力された操作に基づいて制御情報を生成し送信する。
車体11において制御情報を取得した制御部50は、制御情報に基づいて操作された方向に車体11が走行するようドラム部20を制御する。手動用操作画像IM3による操作は、手動用操作の他、自動走行における車体11の現在位置の修正に用いられてもよい。
次に、作業用車両10において実行される処理について説明する。図14は、作業用車両10において実行される処理の流れを示すフローチャートである。
操作部70において受け付けられた入力操作に基づいて、制御部76は、作業領域Wに関する情報を設定し、記憶部78に一時的に記憶する(ステップS100)。更に、操作部70において受け付けられた入力操作に基づいて、制御部76は、作業用車両10に関する初期位置、走行経路、速度、草刈りに関する情報等を設定し、記憶部78に一時的に記憶する(ステップS102)。制御部76は、記憶部78に記憶された情報に基づいて制御情報を生成し、車体11に送信する(ステップS104)。
車体11において、制御部50は、取得した制御情報を記憶部80に記憶し、制御情報に基づいて走行軌道を生成し、ドラム部20を制御し2本のワイヤR1,R2の繰り出し量を調整し車体11を走行軌道に沿って自動走行させると共に、作業機器30に草刈りをさせる(ステップS106)。制御部50は、車体11が走行中に取得した作業機器30やドラム部20から取得した作業データや走行データを記憶部80に記憶する。
制御部50は、車体11が走行軌道に沿った走行を終了し、作業領域Wの草刈り作業が終了した場合、作業機器30を停止すると共にドラム部20を制御して車体11を初期位置に移動させる(ステップS108)。制御部50は、作業領域Wにおいて草刈り作業を行った際に得られた作業データ及び走行データを記憶部80に記憶し、データベースを更新する。
上述したように第1実施形態の作業用車両10によれば、簡便な装置により装置構成を簡略化しつつ、傾斜面の作業領域Wの草刈りを行わせることができる。また、作業用車両10は、車体11における構成は、単純な構成の汎用部品で構成されることから、車体11は製造コストを低減することができる。また、作業用車両10において、車体11は単純な部品で構成されるため、車体11側のハードウェアの部分のアップデートの必要が無い。そして、車体11側の走行制御に関するアップデートは、操作部70の操作により送信された更新プログラムを記憶部80にインストールすることによって行うことができる。
[第2実施形態]
第1実施形態の作業用車両10は、車体11側に2本のワイヤR1,R2の長さを調整するドラム部20が設けられていた。第2実施形態では、2本のワイヤの長さを調整するドラム部が車体11以外に設置される構成を備える作業用車両を例示する。以下の説明では、第1実施形態と同一の構成については同一の名称および符号を用い、重複する説明は適宜省略する。
図15に示されるように、作業用車両10Aは、ドラム部20が車体11の車体の外部に設置されて使用される。作業用車両10Aにおいて、例えば、ドラム21およびドラム22は、一対の杭P1,P2の位置にそれぞれ設置される。ワイヤR1,R2の一端は、車体11がわにそれぞれ支持されている。ドラム21およびドラム22には、それぞれ制御装置27,28がそれぞれ設けられている。制御装置27,28には、例えば、操作部70と通信を行う通信部と、モータ21b,22bをそれぞれ制御する制御部と、これらに電源を供給する電源部とを更に備える。
操作部70と制御装置27,28とは無線LANにより通信する。制御装置27,28は、通信部60と通信し、通信部60経由で操作部70と通信してもよい。制御装置27,28と通信部60とは、例えば、の他にBluetooth、DSRC、赤外線、可視光、FM波により通信してもよい。
上述した第2実施形態によれば、作業用車両10Aは、ドラム部20が車体11に外部に設置されているため、車体11側の構成を簡略化することができ、軽量化が実現され容易な運搬性が実現される。
[第3実施形態]
第1実施形態および第2実施形態において、作業用車両10は、ドラム部20に2つのドラム21,22が設けられていた。第3実施形態では、ドラム部20に3つ以上のドラムが設けられている構成を備える作業用車両を例示する。図16に示されるように、車体11においてドラム部20は、3つ以上のドラムを備えていてもよい。
図16(A)には、2つのドラム21,22に加えて3つ目の他のドラム23が取り付けられている車体11が例示されている。制御部50は、例えば、ドラム23を制御してワイヤR3の巻き取りまたは繰り出し量を調整する。
図16(B)には、2つのドラム21,22に加えて3つ目および4つ目の他のドラム23,24が取り付けられている車体11が例示されている。制御部50は、例えば、ドラム23,24を制御してワイヤR3,R4の巻き取りまたは繰り出し量を調整する。
制御部50は、上記実施形態と同様に車体11の作業領域Wにおける二次元座標を2つのドラム21,22の2本のワイヤR1,R2の長さにより位置決めする。制御部50は、その他のドラムにおいてワイヤを巻き取りまたは繰り出し量を調整してワイヤの張力が所定の値の範囲内になるように調整する。
ワイヤの張力は、例えば、ドラム21,22のモータの負荷により検出する。他のドラムにおけるワイヤの張力は、ワイヤを巻き取る方向のばねの付勢力によって調整されるものであってもよい。即ち、作業用車両10は、ワイヤを巻き取る方向に付勢された他のドラムを更に備え、他のドラムによって生じたワイヤの張力によって車体11の作業領域Wの地面方向に対して押さえつける力を発生させ、車体11のトラクション性能を確保してもよい。
上述した第3実施形態によれば、作業用車両は、作業領域Wの傾斜が緩い場所であっても2つのドラム以外の他のドラムにより生じるワイヤの張力により、確実に位置決めされると共にトラクション性能を確保し草刈り作業を確実に行わせることができる。
[第4実施形態]
上記実施形態における作業用車両は、車体11本体の下部に車輪Tが設けられている構成を例示した。作業領域Wは、不整地であるため、地面の凹凸が存在する。第4実施形態では、作業用車両は、作業領域Wにおける車体11の走破性を向上させるため、大径の車輪Tが設けられている。
図17に示されるように、作業用車両の車体11において、所定の径で形成された車輪T1~T4が回転自在に取り付けられている。所定の径は、地面の凹凸形状を走破可能な寸法であり、作業領域Wにおける地面の凹凸形状に合わせて設定される。車輪T1~T4は、車体11にそれぞれ車軸S1~S4に軸支されている。
車輪T1~T4の中心には、貫通孔が形成されており、車軸S1~S4は、車輪T1~T4のそれぞれの貫通孔に挿通されている。車軸S1~S4は、軸線回りに必ずしも回転しなくてもよい。車軸S1~S4は、軸受けから抜け落ちないように例えば、EリングやCリング等を用いて固定されている。車軸S1~S4は、車輪T1~T4を操舵方向に独立して回転自在に車体11に取り付けられている。
車体11の一側面側に取り付けられた一対の車輪T3,T4を軸支する一対の車軸S3,S4には、貫通孔H3,H4が形成されている。貫通孔H3,H4には、それぞれ一対のドラム21,22のそれぞれに巻き取られたワイヤR1,R2がそれぞれ挿通されている。
貫通孔H3,H4のそれぞれから車体11の外部に繰り出された2本のワイヤR1,R2の一端は、作業領域Wに固定された一対の杭(図1参照)に支持される。2本のワイヤR1,R2は、一対の車輪T3,T4を軸支する一対の車軸S3,S4に設けられた貫通孔H3,H4を通じてドラム部20において巻き取りまたは繰り出される。
このような構成により2本のワイヤR1,R2は、一対の車輪T3,T4に接触することが無く、車体11は、作業領域Wにおいて自在に走行することができる。
上述した第4実施形態によれば、作業用車両は、一対の車輪T3,T4の中心から繰り出された2本のワイヤの長さを調整することにより作業領域Wにおいて2本のワイヤR1,R2が車体11の走行を妨げることなく自在に走行させることができる。
[その他の変形例]
作業用車両10において、車体11にGPS装置を搭載し、車体11の位置情報を取得してもよい。制御部50は、取得した位置データに基づいて作業領域Wにおける二次元座標を算出し、算出した二次元座標と2本のワイヤR1,R2の長さに基づいた二次元座標とを比較する。制御部50は、比較結果に基づいて、ドラム部20を調整して自動走行中の車体11の位置を補正するようフィードバック制御してもよい。車体11の位置は、作業領域Wを撮像するカメラにより撮像された画像に基づいて算出してもよい。
作業用車両10において、車体11が自動走行を行った際、作業領域WのIDと実際の走行軌道のデータ及び走行軌道における位置や方向の修正に関する情報を記憶してデータベース化し、教師データを生成してもよい。操作部70において制御部76は、教師データに基づいて走行軌道に対する制御を学習してもよい。
この他、操作部70は、ネットワークと通信し、ネットワークに接続されたサーバ装置と通信し、サーバ装置(不図示)を介して通信部60と通信してもよい。そして、上記記憶部78に記憶されるデータベースは、ネットワークに接続されたサーバ装置に記憶されるものであってもよい。そして、操作部70は、必ずしも車体11の近傍において操作されなくてもよく、遠隔地から遠隔操作で車体11を制御するものであってもよい。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。