JPH0221556Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はエンジンのサーモスタツト取付装置に
係り、特に冷却水通路におけるサーモスタツトの
上流側と下流側との間に発生する冷却水の内部漏
れおよびサーモスタツトの取付部から冷却水通路
外へ冷却水が漏洩する外部漏れを防止するように
したものに関する。

（従来技術） 一般に、エンジンには第１図に示すような冷却
系が設けられている。この冷却系はエンジン本体
１のクランクシヤフトからの動力で駆動されるウ
オータポンプ２で、冷却水をエンジン本体１内の
ウオータジヤケツト（図示せず）に圧送し、この
ウオータジヤケツトの流出口に冷却水通路３の一
部をなすサーモスタツトケース４とサーモスタツ
トカバー５とを接続して、これらのケース４とカ
バー５との間にサーモスタツト６を取付けて、こ
のサーモスタツト６で冷却水通路３の開閉を行な
いラジエータ７への冷却水流量を調節するように
なつている。

このような冷却系において、サーモスタツト６
は第２図に示すように取付けられている。すなわ
ち、サーモスタツト６の外周部にはフランジ８が
形成されており、このフランジ８を前記ケース４
の嵌合溝９内に収容してガスケツト１０を介して
前記ケース４とカバー５とで挾持するようにして
いる。

ところで、上記フランジ８はプレス加工により
成形されるために、板厚寸法を厳密に管理するこ
とが比較的困難であるので、フランジ８を収容す
る嵌合溝９の深さは余裕を見込んでフランジ８の
板厚基準値より大きく設定されている。

このため、フランジ８の板厚が基準値より薄い
場合には、フランジ８の上下面に間隙が発生し、
この間隙を通つて冷却水がサーモスタツト６の上
流側から下流側へ漏洩する、いわゆる内部漏れが
発生する。

また、フランジ８の板厚が嵌合溝９の深さより
厚い場合には、上記ケース４とカバー５との接合
面に間隙が発生し、この間隙から冷却水が冷却水
通路外へ漏洩する、いわゆる、外部漏れが発生す
る。

そこで、従来から実開昭55−152320号公報に開
示された先行技術が開発されている。この先行技
術は前記ケース４とカバー５との接合面に当接す
る外側リングと、前記フランジ８に当接する内側
リングとを有するガスケツトを使用して、ガスケ
ツトの接合面圧を均一にして上述の内部漏れおよ
び外部漏れを防止するようにしたものである。

ところが、フランジ８の板厚が基準値から大き
く偏倚している場合には、上記先行技術では冷却
水の内部漏れおよび外部漏れを防止することは出
来ず、またケース４にガスケツトを収容する複雑
な形状の溝を形成する必要があるという問題があ
つた。

（考案の目的） 本考案は以上の事情を考慮してなされたもの
で、その目的とするところは、サーモスタツトの
フランジ板厚が基準値から大きく偏倚している場
合にも確実に冷却水の内部漏れおよび外部漏れを
防止することができるエンジンのサーモスタツト
取付装置を提供することにある。

（考案の構成） この目的を達成するために本考案は次のように
構成されている。すなわち、サーモスタツトケー
スとサーモスタツトカバーとの接合部に介在され
るガスケツトに、冷却水通路をなす開口を形成し
サーモスタツトのフランジ嵌合溝に挾持され、フ
ランジに圧接される環状の内側ビードおよび上記
サーモスタツトケースとサーモスタツトカバーと
の接合部に当接する外側ビードをそれぞれ突設す
るとともに、内側ビートの突出量がフランジが嵌
合される嵌合溝の深さからフランジを減じた値よ
りも大きく設定したものである。したがつて、こ
れら両ビードで冷却水の内部漏れおよび外部漏れ
を確実に防止できるものである。

（実施例） 〈第１実施例〉 以下、第３図ないし第５図を参照して本考案の
第１実施例を説明する。なお、図中で第１図およ
び第２図と同一符号で示したものは同一あるいは
相当部分を示している。

第３図のサーモスタツトケース４には環状のフ
ランジの嵌合溝９が形成されており、この嵌合溝
９にはサーモスタツト６のフランジ８が収容され
ている。そして、サーモスタツトケース４とサー
モスタツトカバー５とはガスケツト１１を介して
接合されており、このガスケツト１１の下面内周
部はフランジ８の上面に当接するようになつてい
る。

ガスケツト１１は、第４図に示すように、シー
ル性にすぐれた素材で形成されたシート状のもの
で、ケース４とカバー５との接合面に沿つた形状
をなしている。そして、ガスケツト１１の中央部
には冷却水通路をなす開口１２が穿設されてお
り、この開口１２の外周におけるフランジ８に対
応した位置には、全周にわたつて環状の内側ビー
ド１３が形成されている。この内側ビード１３は
第５図に示すように上面および下面に突設されて
おり、上面側をカバー５の接合面に圧接させ、下
面側をフランジ８の上面に圧接させるように形成
されている。そして、上面側のビード１３の突出
量ｈ１と下面側の内側ビード１３の突出量ｈ２の
和、つまり両ビードの突出量を、嵌合溝９の深さ
ｄからフランジ８の板厚ｔを減じた値よりも大き
く設定してある。

また、内側ビード１３の更に外周のケース４と
カバー５の接合面に対応した位置には、環状の外
側ビード１４が同様に突設されている。さらに、
外側ビード１４の外周における所定位置にはボル
ト孔１５が穿設されており、このボルト孔１５に
ケース４とカバー５とを締結するボルトを挿通さ
せるようになつている。

このような第１実施例では次の作用効果を奏す
る。すなわち、サーモスタツト６を装着する場合
には、環状の嵌合溝９にフランジ９を嵌合させる
ことによつて、容易かつ確実にサーモスタツトの
位置決めがなされる。

また、ガスケツト１１の内側ビード１３の特に
下面側の内側ビード１３は、フランジ嵌合溝９に
挾持され、フランジ８の上面に圧接されることに
なる。上面側の内側ビード１３の突出量ｈ１と下
面側の内側ビード１３の突出量ｈ２の和が嵌合溝
９の深さｄからフランジ８の板厚ｔを減じた値よ
りも大きく設定されているので、フランジ８の板
厚が基準値からプラス側に偏倚している場合は勿
論、たとえマイナス側に偏倚していても、下側面
の内側ビード１３をフランジ８に対して高い面圧
で圧接させて水密を保持することができるので、
サーモスタツト６の上流側から下流側への冷却水
の内部漏れが確実に防止される。

そして、内側ビード１３の外周に突設された外
側ビード１４が前記ケース４とカバー５との接合
面に高い面圧で圧接されるから、冷却水の外部漏
れも確実に防止することができる。

さらに、ガスケツト１１はケース４とカバー５
との間に挾み込むだけでよく、ガスケツト１１を
収容するための溝をケース４あるいはカバー５に
形成する必要はなく、容易に取付けることができ
る。

〈第２実施例〉 第６図を参照して本考案の第２実施例を説明す
る。この第２実施例は、外側ビード１６を全周に
わたつて連続して形成せず、ボルト孔１５の周辺
部を除いて内側ビード１３の外周に沿つて円弧状
をなして形成したものである。

この第２実施例では上記第１実施例で得られる
効果に加えて、ケース４とカバー５とをボルトで
締結した時にボルト孔１５周辺部の面圧が他の部
分と比較して高くなることを防止して、ガスケツ
ト１１の全周にわたつて面圧を均一化してさらに
確実に水密を保持することができる。

なお、本考案は以上の両実施例に限定されるも
のではない。たとえば、外側ビード１４はガスケ
ツト１１の上面および下面に突設されたものに限
らず、いずれか一面に形成されたものでもよい。
また、外側ビード１３は下面側の外側ビード１３
だけでもよい。ただし、この場合には、下面側の
外側ビード１３の突出量ｈ２を、嵌合溝９の深さ
ｄからフランジ８の板厚ｔを減じた値よりも大き
く設定する必要がある。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、外側ビー
ドをサーモスタツトのフランジに当接させて冷却
水の内側漏れを防止し、外側ビードをサーモスタ
ツトケースとサーモスタツトカバーとの接合面に
当接させて冷却水の外部漏れを防止するようにし
ているので、サーモスタツトのフランジ板厚がた
とえ基準値から偏倚していたとしても、冷却水の
内部漏れおよび外部漏れを確実に防止することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来例を示し、第１図は
エンジンの冷却系の構成図、第２図は要部縦断面
図、第３図ないし第５図は本考案の第１実施例を
示し、第３図は要部縦断面図、第４図はガスケツ
トの平面図、第５図は第４図の−線断面図、
第６図は本考案の第２実施例を示すガスケツトの
平面図である。 ４……サーモスタツトケース、５……サーモス
タツトカバー、６……サーモスタツト、８……フ
ランジ、９……嵌合溝、１１……ガスケツト、１
３……内側ビード、１４，１６……外側ビード。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 冷却水通路の一部を構成するサーモスタツトケ
   ースとサーモスタツトカバーとの接合部で、かつ
   内方に、サーモスタツトのフランジの板厚以上の
   深さを有する環状のフランジの嵌合溝を設け、上
   記サーモスタツトケースとサーモスタツトカバー
   を締結することによつて冷却水通路にサーモスタ
   ツトを取付けるようにしたエンジンのサーモスタ
   ツト取付装置において、冷却水通路をなす開口が
   形成され、上記フランジ嵌合溝に挾持されフラン
   ジに圧接される環状の内側ビードが突設されると
   ともに、この内側ビードの外周に上記嵌合溝より
   外周のサーモスタツトケースとサーモスタツトカ
   バーの接合面に圧接される外側ビードが突設さ
   れ、かつ上記内側ビードの突出量が上記嵌合溝の
   深さから上記フランジの板厚を減じた値よりも大
   きく設定されたガスケツトを、上記接合部に介在
   させたことを特徴とするエンジンのサーモスタツ
   ト取付装置。