JP3250914B2 - チェーンケース付きエンジン用金属製ガスケット - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、チェーンケースを備
えたシリンダブロックとシリンダヘッドとの対向面間を
シールするため燃焼室孔を備えた金属製薄板が積層され
ているチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケット
に関する。
えたシリンダブロックとシリンダヘッドとの対向面間を
シールするため燃焼室孔を備えた金属製薄板が積層され
ているチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケット
に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来、チェーンケース付きエンジン用金
属製ガスケットは、シリンダブロックとチェーンケース
を隣接状態で一体に形成してこれらの上面とシリンダヘ
ッドの下面との間の気密且つ液密に保持するものであ
り、高いシール面圧を必要とする主シール部と比較的低
いシール面圧で足りる副シール部とを備えており、シー
ル面圧の低い副シール部を主シール部を形成する積層し
た金属薄板の少なくとも一枚を延長して基材とし、その
片面又は両面にビータシート、グラファイトシート、コ
ンプレスドシート等の軟質シートを接着した構造を有し
ている。このような金属積層形ガスケットとして、実開
昭６３−４８０５９号公報に開示されているものがあ
る。
属製ガスケットは、シリンダブロックとチェーンケース
を隣接状態で一体に形成してこれらの上面とシリンダヘ
ッドの下面との間の気密且つ液密に保持するものであ
り、高いシール面圧を必要とする主シール部と比較的低
いシール面圧で足りる副シール部とを備えており、シー
ル面圧の低い副シール部を主シール部を形成する積層し
た金属薄板の少なくとも一枚を延長して基材とし、その
片面又は両面にビータシート、グラファイトシート、コ
ンプレスドシート等の軟質シートを接着した構造を有し
ている。このような金属積層形ガスケットとして、実開
昭６３−４８０５９号公報に開示されているものがあ
る。
【０００３】また、チェーンケース付きエンジン用金属
製ガスケットとして、実開平３−２７８５７号公報又は
実開平３−２７８５８号公報に開示されたメタルシリン
ダヘッドガスケットが知られている。
製ガスケットとして、実開平３−２７８５７号公報又は
実開平３−２７８５８号公報に開示されたメタルシリン
ダヘッドガスケットが知られている。
【０００４】前掲実開平３−２７８５７号公報に開示さ
れたメタルシリンダヘッドガスケットは、シリンダブロ
ック上面或いはシリンダヘッド下面で段差を有する面に
対向する金属薄板の一部で、上記段差に対向する位置
に、通孔の周囲に形成したビードを横切る状態で透孔を
形成すると共に、透孔の内側にシール材を一部が透孔か
ら突出する状態で設けられたものである。
れたメタルシリンダヘッドガスケットは、シリンダブロ
ック上面或いはシリンダヘッド下面で段差を有する面に
対向する金属薄板の一部で、上記段差に対向する位置
に、通孔の周囲に形成したビードを横切る状態で透孔を
形成すると共に、透孔の内側にシール材を一部が透孔か
ら突出する状態で設けられたものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ＯＨＣ
型、ＤＯＨＣ型のエンジンでは、図１１に示すように、
カムシャフト駆動用チェーンを収納するチェーンケース
２９をシリンダブロック２８とは別に製作し、空間部３
３を備えたチェーンケース２９を気筒即ち燃焼室３５を
備えたシリンダブロック２８に隣接してボルトにより締
結した構造に構成しているのが一般的である。また、シ
リンダヘッドとチェーンケース２９及びシリンダブロッ
ク２８との間には金属製ガスケットが配置されている。
図中３２はボルト穴を示している。しかも、エンジンの
軽量化の目的として、チェーンケース２９の取付側面は
開放形としてチェーンケース２９の重量を軽減し、チェ
ーン走行用の空間部３３は、チェーンケース２９の空間
部３３の内壁とシリンダブロック２８の側面とで形成し
た構造に構成されている。このような別部品同志の固定
構造のため、シリンダブロック２８の上面３４とチェー
ンケース２９の上面３１がたとえ平面に仕上げられて
も、シリンダブロック２８とチェーンケース２９との合
わせ目即ち当接面２０において、両上面間には、僅かで
はあるが段差３０が形成されることは避けられず、更に
エンジンの長期間にわたる使用によって段差３０が拡大
することも避けられない。このように、両上面間に段差
３０が生じると、チェーンケース２９内でカムシャフト
駆動のためチェーンが走行するに伴って、潤滑油等の油
が撥ね飛ばされて段差部にかかり、その段差部から侵入
し、油がその部分からチェーンケース外部に漏れ出た
り、シリンダブロック２８とシリンダヘッドとの対向面
間に侵入していくという問題が生じる。
型、ＤＯＨＣ型のエンジンでは、図１１に示すように、
カムシャフト駆動用チェーンを収納するチェーンケース
２９をシリンダブロック２８とは別に製作し、空間部３
３を備えたチェーンケース２９を気筒即ち燃焼室３５を
備えたシリンダブロック２８に隣接してボルトにより締
結した構造に構成しているのが一般的である。また、シ
リンダヘッドとチェーンケース２９及びシリンダブロッ
ク２８との間には金属製ガスケットが配置されている。
図中３２はボルト穴を示している。しかも、エンジンの
軽量化の目的として、チェーンケース２９の取付側面は
開放形としてチェーンケース２９の重量を軽減し、チェ
ーン走行用の空間部３３は、チェーンケース２９の空間
部３３の内壁とシリンダブロック２８の側面とで形成し
た構造に構成されている。このような別部品同志の固定
構造のため、シリンダブロック２８の上面３４とチェー
ンケース２９の上面３１がたとえ平面に仕上げられて
も、シリンダブロック２８とチェーンケース２９との合
わせ目即ち当接面２０において、両上面間には、僅かで
はあるが段差３０が形成されることは避けられず、更に
エンジンの長期間にわたる使用によって段差３０が拡大
することも避けられない。このように、両上面間に段差
３０が生じると、チェーンケース２９内でカムシャフト
駆動のためチェーンが走行するに伴って、潤滑油等の油
が撥ね飛ばされて段差部にかかり、その段差部から侵入
し、油がその部分からチェーンケース外部に漏れ出た
り、シリンダブロック２８とシリンダヘッドとの対向面
間に侵入していくという問題が生じる。
【０００６】また、上記のような金属製ガスケットは、
シリンダブロック２８側で積層されている金属製薄板を
延長して基材とし、その片面に軟質シートを接着したも
のは段差３０による気密及び液密を保持することができ
ず、更に、中間に位置する金属製薄板を延長して基材と
しその両面に軟質シートを接着したものでは、段差３０
が極めて小さい場合には気密液密を保持することができ
るが、段差３０が大きくなると、そのシール性能を確保
するため、軟質シート自体の厚さが必要となり、主シー
ル部の厚さをこの軟質シートの厚さを考慮して金属板の
積層を設計する必要が生じる。一般に、軟質シートを構
成するビータシート、グラファイトシート、コンプレス
ドシート等は最低でも０．５ｍｍ程度の厚みを当初から
持っているため、主シール部の厚さをそれに合わせた厚
さとする必要があり、このため主シール部において高い
面圧を確保するには金属薄板の積層枚数を増やす必要が
あった。
シリンダブロック２８側で積層されている金属製薄板を
延長して基材とし、その片面に軟質シートを接着したも
のは段差３０による気密及び液密を保持することができ
ず、更に、中間に位置する金属製薄板を延長して基材と
しその両面に軟質シートを接着したものでは、段差３０
が極めて小さい場合には気密液密を保持することができ
るが、段差３０が大きくなると、そのシール性能を確保
するため、軟質シート自体の厚さが必要となり、主シー
ル部の厚さをこの軟質シートの厚さを考慮して金属板の
積層を設計する必要が生じる。一般に、軟質シートを構
成するビータシート、グラファイトシート、コンプレス
ドシート等は最低でも０．５ｍｍ程度の厚みを当初から
持っているため、主シール部の厚さをそれに合わせた厚
さとする必要があり、このため主シール部において高い
面圧を確保するには金属薄板の積層枚数を増やす必要が
あった。
【０００７】また、上記メタルシリンダヘッドガスケッ
トは、通孔の周囲に沿って透孔を形成し、該透孔の内側
にシール材を一部が透孔から突出する状態で設けたもの
であり、通孔の周囲で、段差に対向する部分のシール性
は、透孔の内側に設けられたシール材によって保持され
ているものである。しかも、シール材は通孔の全周囲に
渡って延びているものであり、中間板に嵌入したもので
はない。
トは、通孔の周囲に沿って透孔を形成し、該透孔の内側
にシール材を一部が透孔から突出する状態で設けたもの
であり、通孔の周囲で、段差に対向する部分のシール性
は、透孔の内側に設けられたシール材によって保持され
ているものである。しかも、シール材は通孔の全周囲に
渡って延びているものであり、中間板に嵌入したもので
はない。
【０００８】一般に、シリンダブロックとチェーンケー
スとの当接面に発生する段差は２通り形成される。即
ち、チェーンケースの上面がシリンダブロックの上面よ
り低い場合に発生する段差と、チェーンケースの上面が
シリンダブロックの上面より高い場合に発生する段差と
である。チェーンケースの上面がシリンダブロックの上
面より低い場合には、シリンダブロックに対してチェー
ンケースの面圧は低くなるので、段差部とチェーンケー
ス部の面圧を考慮しなければならない。また、チェーン
ケースの上面がシリンダブロックの上面より高い場合に
は、チェーンケースに面圧が集中し、シリンダブロック
側の面圧が低くなる。シリンダブロックの燃焼室孔の周
りの面圧は高い面圧を必要とするが、金属製ガスケット
を使用する場合には、面圧調整が困難になる。
スとの当接面に発生する段差は２通り形成される。即
ち、チェーンケースの上面がシリンダブロックの上面よ
り低い場合に発生する段差と、チェーンケースの上面が
シリンダブロックの上面より高い場合に発生する段差と
である。チェーンケースの上面がシリンダブロックの上
面より低い場合には、シリンダブロックに対してチェー
ンケースの面圧は低くなるので、段差部とチェーンケー
ス部の面圧を考慮しなければならない。また、チェーン
ケースの上面がシリンダブロックの上面より高い場合に
は、チェーンケースに面圧が集中し、シリンダブロック
側の面圧が低くなる。シリンダブロックの燃焼室孔の周
りの面圧は高い面圧を必要とするが、金属製ガスケット
を使用する場合には、面圧調整が困難になる。
【０００９】従って、上記チェーンケース付きエンジン
用金属製ガスケットにおいては、一般にシリンダヘッド
下面が平らな連続下面であるのに対して、シリンダブロ
ックの上面とチェーンケースの上面との間に段差を生じ
ても、ガスケットの製作コストを著しく高くすることに
なる金属薄板の積層枚数の増加という手段を取ることな
く、チェーンケース内の油が段差部分に侵入するのを防
止するという点に解決すべき課題があった。
用金属製ガスケットにおいては、一般にシリンダヘッド
下面が平らな連続下面であるのに対して、シリンダブロ
ックの上面とチェーンケースの上面との間に段差を生じ
ても、ガスケットの製作コストを著しく高くすることに
なる金属薄板の積層枚数の増加という手段を取ることな
く、チェーンケース内の油が段差部分に侵入するのを防
止するという点に解決すべき課題があった。
【００１０】この発明の目的は、上記の課題を解決する
ことであり、シリンダブロックとシリンダヘッドとの対
向面間をシールするものであり、シリンダブロックとチ
ェーンケースとの当接面に段差があったとしても、該段
差の領域にシール部材を確実に配置し、段差からの油等
の漏洩を防ぐことができ、当接面の近傍のシール性を向
上させ、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間で面
圧を容易に調整でき、製造コストが安価な信頼性の高い
チェーンケース付きエンジン用金属製ガスケットを提供
することにある。
ことであり、シリンダブロックとシリンダヘッドとの対
向面間をシールするものであり、シリンダブロックとチ
ェーンケースとの当接面に段差があったとしても、該段
差の領域にシール部材を確実に配置し、段差からの油等
の漏洩を防ぐことができ、当接面の近傍のシール性を向
上させ、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間で面
圧を容易に調整でき、製造コストが安価な信頼性の高い
チェーンケース付きエンジン用金属製ガスケットを提供
することにある。
【００１１】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するため、次のように構成されている。即ち、こ
の発明は、チェーンケースを取り付けたシリンダブロッ
クとシリンダヘッドとの対向面間をシールする燃焼室孔
を備えた金属製薄板が積層されているチェーンケース付
きエンジン用金属製ガスケットにおいて、前記金属製薄
板は両側に配置した第１と第２の弾性金属板及び前記両
弾性金属板間に配置された中間板から構成され、前記第
１弾性金属板にはカムシャフト駆動用チェーンが走行す
る開口部に沿ってビードが形成され、前記中間板には前
記チェーンケースと前記シリンダブロックとの当接面に
発生する段差をシールするシール部材を配置する孔が形
成され、前記孔が前記当接面より前記チェーンケース側
に延び、前記第２弾性金属板には前記シール部材の位置
する領域を切り取った切欠き部が形成されていることを
特徴とするチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケ
ットに関する。
を達成するため、次のように構成されている。即ち、こ
の発明は、チェーンケースを取り付けたシリンダブロッ
クとシリンダヘッドとの対向面間をシールする燃焼室孔
を備えた金属製薄板が積層されているチェーンケース付
きエンジン用金属製ガスケットにおいて、前記金属製薄
板は両側に配置した第１と第２の弾性金属板及び前記両
弾性金属板間に配置された中間板から構成され、前記第
１弾性金属板にはカムシャフト駆動用チェーンが走行す
る開口部に沿ってビードが形成され、前記中間板には前
記チェーンケースと前記シリンダブロックとの当接面に
発生する段差をシールするシール部材を配置する孔が形
成され、前記孔が前記当接面より前記チェーンケース側
に延び、前記第２弾性金属板には前記シール部材の位置
する領域を切り取った切欠き部が形成されていることを
特徴とするチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケ
ットに関する。
【００１２】又は、この発明は、チェーンケースを取り
付けたシリンダブロックとシリンダヘッドとの対向面間
をシールする燃焼室孔を備えた金属製薄板が積層されて
いるチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケットに
おいて、前記金属製薄板は両側に配置した第１と第２の
弾性金属板及び前記両弾性金属板間に配置された中間板
から構成され、前記第１弾性金属板にはカムシャフト駆
動用チェーンが走行する開口部に沿ってビードが形成さ
れ、前記中間板には前記チェーンケースと前記シリンダ
ブロックとの当接面に発生する段差をシールするシール
部材を配置する孔が形成され、前記孔が前記当接面を交
差して延び、前記第２弾性金属板には前記シール部材の
位置する領域を切り取った切欠き部が形成されているこ
とを特徴とするチェーンケース付きエンジン用金属製ガ
スケットに関する。
付けたシリンダブロックとシリンダヘッドとの対向面間
をシールする燃焼室孔を備えた金属製薄板が積層されて
いるチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケットに
おいて、前記金属製薄板は両側に配置した第１と第２の
弾性金属板及び前記両弾性金属板間に配置された中間板
から構成され、前記第１弾性金属板にはカムシャフト駆
動用チェーンが走行する開口部に沿ってビードが形成さ
れ、前記中間板には前記チェーンケースと前記シリンダ
ブロックとの当接面に発生する段差をシールするシール
部材を配置する孔が形成され、前記孔が前記当接面を交
差して延び、前記第２弾性金属板には前記シール部材の
位置する領域を切り取った切欠き部が形成されているこ
とを特徴とするチェーンケース付きエンジン用金属製ガ
スケットに関する。
【００１３】また、このチェーンケース付きエンジン用
金属製ガスケットにおいて、前記シール部材の長さは前
記チェーンケースの前記開口部のほぼ半分に設定されて
いる。更に、前記金属製薄板の表面には耐熱性の樹脂又
はゴムが被覆されている。
金属製ガスケットにおいて、前記シール部材の長さは前
記チェーンケースの前記開口部のほぼ半分に設定されて
いる。更に、前記金属製薄板の表面には耐熱性の樹脂又
はゴムが被覆されている。
【００１４】また、このチェーンケース付きエンジン用
金属製ガスケットにおいて、前記第２弾性金属板は前記
燃焼室孔に沿って前記中間板の燃焼室孔縁部を覆って折
り曲げられたストッパー板として構成され、前記第２弾
性金属板には前記チェーンケースの前記開口部の周りに
沿ってビードが形成されている。また、前記第１弾性金
属板はビード板を構成して前記シリンダヘッド側に配置
され、前記第２弾性金属板は前記シリンダブロック側に
配置されている。
金属製ガスケットにおいて、前記第２弾性金属板は前記
燃焼室孔に沿って前記中間板の燃焼室孔縁部を覆って折
り曲げられたストッパー板として構成され、前記第２弾
性金属板には前記チェーンケースの前記開口部の周りに
沿ってビードが形成されている。また、前記第１弾性金
属板はビード板を構成して前記シリンダヘッド側に配置
され、前記第２弾性金属板は前記シリンダブロック側に
配置されている。
【００１５】
【作用】この発明によるチェーンケース付きエンジン用
金属製ガスケットは、上記のように構成されているの
で、次のような作用を有する。即ち、このチェーンケー
ス付きエンジン用金属製ガスケットは、カムシャフト駆
動用チェーンが走行するチェーンケースに形成された開
口部の周りに沿ってビードが形成された第１弾性金属板
と、前記チェーンケースとシリンダブロックとの当接面
に発生する段差をシールするシール部材を嵌入する孔が
形成された中間板と、前記シール部材の位置する領域を
切り取った切欠き部が形成されている第２弾性金属板と
から成り、前記孔が前記当接面より前記チェーンケース
側に延びるか、或いは前記当接面を交差して延びている
ので、前記シール部材は確実に前記当接面の領域を位置
して良好なシールを達成できる。しかも、前記チェーン
ケースと前記シリンダブロックとの当接面の領域に位置
する前記シール部材による燃焼室孔への影響はほとんど
無く、前記燃焼室孔内で生じる高温高圧の燃焼ガスの対
向面間から外部への漏洩の発生を防止すると共に、水
穴、油穴等の穴の内部を流れる液体の対向面間からの漏
洩の発生を防止し、金属製ガスケットに対する高いシー
ル面圧で対向面間を確実にシールすることができる。
金属製ガスケットは、上記のように構成されているの
で、次のような作用を有する。即ち、このチェーンケー
ス付きエンジン用金属製ガスケットは、カムシャフト駆
動用チェーンが走行するチェーンケースに形成された開
口部の周りに沿ってビードが形成された第１弾性金属板
と、前記チェーンケースとシリンダブロックとの当接面
に発生する段差をシールするシール部材を嵌入する孔が
形成された中間板と、前記シール部材の位置する領域を
切り取った切欠き部が形成されている第２弾性金属板と
から成り、前記孔が前記当接面より前記チェーンケース
側に延びるか、或いは前記当接面を交差して延びている
ので、前記シール部材は確実に前記当接面の領域を位置
して良好なシールを達成できる。しかも、前記チェーン
ケースと前記シリンダブロックとの当接面の領域に位置
する前記シール部材による燃焼室孔への影響はほとんど
無く、前記燃焼室孔内で生じる高温高圧の燃焼ガスの対
向面間から外部への漏洩の発生を防止すると共に、水
穴、油穴等の穴の内部を流れる液体の対向面間からの漏
洩の発生を防止し、金属製ガスケットに対する高いシー
ル面圧で対向面間を確実にシールすることができる。
【００１６】更に、このチェーンケース付きエンジン用
金属製ガスケットは、前記チェーンケースの空間部の壁
面が前記シリンダブロックの側面と前記チェーンケース
の内壁面で構成され、前記シリンダブロックと前記チェ
ーンケースとの当接面の段差領域を良好にシールするの
で、前記チェーンケース内のオイルがチェーンの運転走
行に伴ってチェーンから飛散し、前記当接面の段差へ侵
入することが防止され、オイルの外部への飛散が防止さ
れる。また、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッ
ドとの当接面における段差が大きくなってシール面圧が
低くなっても、前記シール部材の厚さを調整して段差領
域の良好なシール性能を確保することができる。
金属製ガスケットは、前記チェーンケースの空間部の壁
面が前記シリンダブロックの側面と前記チェーンケース
の内壁面で構成され、前記シリンダブロックと前記チェ
ーンケースとの当接面の段差領域を良好にシールするの
で、前記チェーンケース内のオイルがチェーンの運転走
行に伴ってチェーンから飛散し、前記当接面の段差へ侵
入することが防止され、オイルの外部への飛散が防止さ
れる。また、前記シリンダブロックと前記シリンダヘッ
ドとの当接面における段差が大きくなってシール面圧が
低くなっても、前記シール部材の厚さを調整して段差領
域の良好なシール性能を確保することができる。
【００１７】また、このチェーンケース付きエンジン用
金属製ガスケットにおいて、前記金属製薄板の表面に耐
熱性の樹脂又はゴムを被覆したので、前記金属製薄板間
の金属対金属の接触、シリンダブロックの上面及びシリ
ンダヘッドの下面に対する前記金属製薄板の金属対金属
の接触を避けることができ、金属製ガスケットの耐久性
を向上させることができる。
金属製ガスケットにおいて、前記金属製薄板の表面に耐
熱性の樹脂又はゴムを被覆したので、前記金属製薄板間
の金属対金属の接触、シリンダブロックの上面及びシリ
ンダヘッドの下面に対する前記金属製薄板の金属対金属
の接触を避けることができ、金属製ガスケットの耐久性
を向上させることができる。
【００１８】
【実施例】以下、図１〜図７を参照して、この発明によ
るチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケットの一
実施例を説明する。図１はこの発明によるチェーンケー
ス付きエンジン用金属製ガスケットのの一実施例を示す
部分平面図、図２は図１の符号Ａ部分の拡大平面図、図
３は図１の線Ｂ−Ｂにおける断面図、図４は図１の線Ｃ
−Ｃにおける断面図、図５は図１の線Ｄ−Ｄにおける断
面図、図６は図１の線Ｅ−Ｅにおける断面図、及び図７
は図１のチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケッ
トにおける金属製薄板の各構造を説明する断面図であ
る。
るチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケットの一
実施例を説明する。図１はこの発明によるチェーンケー
ス付きエンジン用金属製ガスケットのの一実施例を示す
部分平面図、図２は図１の符号Ａ部分の拡大平面図、図
３は図１の線Ｂ−Ｂにおける断面図、図４は図１の線Ｃ
−Ｃにおける断面図、図５は図１の線Ｄ−Ｄにおける断
面図、図６は図１の線Ｅ−Ｅにおける断面図、及び図７
は図１のチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケッ
トにおける金属製薄板の各構造を説明する断面図であ
る。
【００１９】このチェーンケース付きエンジン用金属製
ガスケットは、図１１に示すように、シリンダブロック
２８及びチェーンケース２９とシリンダヘッド（図示せ
ず）との対向面間をシールするものである。チェーンケ
ース２９は、シリンダブロック２８とは別部品として形
成され、シリンダブロック２８の側面に対して取り付け
られる。チェーンケース２９は、その軽量化のため、シ
リンダブロック２８への取付側面が開放形に形成されて
いる。チェーンケース２９は水平断面で見てコ字状をし
ており、二つの箇所においてシリンダブロック２８と合
わせ面即ち当接面２０を形成している。チェーンケース
２９の内壁面とシリンダブロック２８の側面とで、カム
シャフトを駆動するためのチェーンが走行するための空
間部３３が形成されている。
ガスケットは、図１１に示すように、シリンダブロック
２８及びチェーンケース２９とシリンダヘッド（図示せ
ず）との対向面間をシールするものである。チェーンケ
ース２９は、シリンダブロック２８とは別部品として形
成され、シリンダブロック２８の側面に対して取り付け
られる。チェーンケース２９は、その軽量化のため、シ
リンダブロック２８への取付側面が開放形に形成されて
いる。チェーンケース２９は水平断面で見てコ字状をし
ており、二つの箇所においてシリンダブロック２８と合
わせ面即ち当接面２０を形成している。チェーンケース
２９の内壁面とシリンダブロック２８の側面とで、カム
シャフトを駆動するためのチェーンが走行するための空
間部３３が形成されている。
【００２０】この金属製ガスケットは、主シール部１と
主シール部１を構成する金属薄板の一部を一体延長した
金属薄板を有する副シール部２とからなる。主シール部
１は、シリンダブロック２８の上面３４とシリンダヘッ
ドの下面との間に介在して配置されるシール部であり、
エンジンの気筒即ち燃焼室３５に対応して形成されてい
る燃焼室孔３、オイル穴（図示せず）、ノック孔２１、
ボルト穴２２、水穴２３等の各種の穴の周囲をシールす
るものである。副シール部２は、シールする対向面の一
方はチェーンケース２９の空間部３３を形成する上面３
１とチェーンケース２９を取り付けたシリンダブロック
２８の側面に隣接する上面３４とであり、対向面の他方
は主シール部１の片方の対向面と同じく連続して平面と
なっているシリンダヘッドの下面である。この金属製ガ
スケットの実施例では、主シール部１と副シール部２と
が一体的に連続して形成されている。
主シール部１を構成する金属薄板の一部を一体延長した
金属薄板を有する副シール部２とからなる。主シール部
１は、シリンダブロック２８の上面３４とシリンダヘッ
ドの下面との間に介在して配置されるシール部であり、
エンジンの気筒即ち燃焼室３５に対応して形成されてい
る燃焼室孔３、オイル穴（図示せず）、ノック孔２１、
ボルト穴２２、水穴２３等の各種の穴の周囲をシールす
るものである。副シール部２は、シールする対向面の一
方はチェーンケース２９の空間部３３を形成する上面３
１とチェーンケース２９を取り付けたシリンダブロック
２８の側面に隣接する上面３４とであり、対向面の他方
は主シール部１の片方の対向面と同じく連続して平面と
なっているシリンダヘッドの下面である。この金属製ガ
スケットの実施例では、主シール部１と副シール部２と
が一体的に連続して形成されている。
【００２１】このチェーンケース付きエンジン用金属製
ガスケットは、チェーンケースを取り付けたシリンダブ
ロックとシリンダヘッドとの対向面間をシールするもの
であり、主シール部１及び副シール部２を構成する燃焼
室孔３を備えた３枚の金属製薄板を積層した構成を有し
ている。３枚の金属製薄板は、両側に配置した第１の弾
性金属板５、第２の弾性金属板７及び両弾性金属板間に
配置された中間板６から構成されている。弾性金属板５
はシリンダヘッド側に位置したビード板を構成し、弾性
金属板７はシリンダブロック２８側に位置するストッパ
ー板を構成し、更に、中間板６は、締め付け厚さを調整
する機能を有する調整板を構成している。
ガスケットは、チェーンケースを取り付けたシリンダブ
ロックとシリンダヘッドとの対向面間をシールするもの
であり、主シール部１及び副シール部２を構成する燃焼
室孔３を備えた３枚の金属製薄板を積層した構成を有し
ている。３枚の金属製薄板は、両側に配置した第１の弾
性金属板５、第２の弾性金属板７及び両弾性金属板間に
配置された中間板６から構成されている。弾性金属板５
はシリンダヘッド側に位置したビード板を構成し、弾性
金属板７はシリンダブロック２８側に位置するストッパ
ー板を構成し、更に、中間板６は、締め付け厚さを調整
する機能を有する調整板を構成している。
【００２２】弾性金属板５には、カムシャフト駆動用チ
ェーンが走行するチェーンケース２９に形成された空間
部３３に対応して形成された開口部４の周りに沿ってビ
ード８が形成されている。中間板６には、チェーンケー
ス２９とシリンダブロック２８との当接面２０に発生す
る段差３０をシールするシール部材２５を嵌入する長方
形の孔１０が形成され、孔１０が当接面２０よりチェー
ンケース２９側に直角方向に延びている。更に、弾性金
属板７には、開口部４の周りに沿ってビード９が形成さ
れると共に、中間板６に嵌入したシール部材２５を避け
るように、シール部材２５が位置する領域が切り取られ
た長方形の切欠き部１１が形成されている。
ェーンが走行するチェーンケース２９に形成された空間
部３３に対応して形成された開口部４の周りに沿ってビ
ード８が形成されている。中間板６には、チェーンケー
ス２９とシリンダブロック２８との当接面２０に発生す
る段差３０をシールするシール部材２５を嵌入する長方
形の孔１０が形成され、孔１０が当接面２０よりチェー
ンケース２９側に直角方向に延びている。更に、弾性金
属板７には、開口部４の周りに沿ってビード９が形成さ
れると共に、中間板６に嵌入したシール部材２５を避け
るように、シール部材２５が位置する領域が切り取られ
た長方形の切欠き部１１が形成されている。
【００２３】シール部材２５は、この実施例では耐熱性
の樹脂又はシリコーンゴム製の非金属材料で長方形の孔
１０に嵌入するように円筒形の形状に形成されている。
シール部材２５は、中間板６の厚さ（０．６０ｍｍ）よ
りも厚い、例えば、２倍の厚さ（１．２φ或いは１．２
ｍｍ）に設定されている。また、シール部材２５は、そ
の長さＬがチェーンケース２９の開口部４のほぼ半分の
長さに設定されている。即ち、金属製ガスケットをチェ
ーンケース２９に取り付けるために設けたボルト孔２４
の中心と当接面２０との長さＨとすると、Ｌ≒（１／
２）・Ｈである。ボルト孔２４はチェーンケース２９に
形成されたボルト穴３２に対応した位置に形成されてい
る。シール部材２５のサイズを上記のように設定するこ
とによって、当接面２０に発生する段差３０を十分に吸
収してシール性能をアップすることができる。
の樹脂又はシリコーンゴム製の非金属材料で長方形の孔
１０に嵌入するように円筒形の形状に形成されている。
シール部材２５は、中間板６の厚さ（０．６０ｍｍ）よ
りも厚い、例えば、２倍の厚さ（１．２φ或いは１．２
ｍｍ）に設定されている。また、シール部材２５は、そ
の長さＬがチェーンケース２９の開口部４のほぼ半分の
長さに設定されている。即ち、金属製ガスケットをチェ
ーンケース２９に取り付けるために設けたボルト孔２４
の中心と当接面２０との長さＨとすると、Ｌ≒（１／
２）・Ｈである。ボルト孔２４はチェーンケース２９に
形成されたボルト穴３２に対応した位置に形成されてい
る。シール部材２５のサイズを上記のように設定するこ
とによって、当接面２０に発生する段差３０を十分に吸
収してシール性能をアップすることができる。
【００２４】また、金属製薄板を積層する場合、シリン
ダブロック２８に比べてより変形し易いシリンダヘッド
に追従し易いように、シリンダヘッド側に位置する弾性
金属板５には加工性の良い材料を使用して積層金属製薄
板間で洩れ経路を少なくするのが好ましい。３枚の金属
製薄板を構成する材料を選定できる。例えば、弾性金属
板５は、ＳＵＳ３０１で硬さＨｖ３００〜５００の材料
で作製されている。弾性金属板７は、ＳＵＳ３０４或い
はＳＵＳ４３０で硬さＨｖ１５０〜２００の材料で作製
されている。また、中間板６は、ＳＵＳ４３０或いはＳ
ＰＣで硬さＨｖ１５０〜２００の材料で作製されてい
る。
ダブロック２８に比べてより変形し易いシリンダヘッド
に追従し易いように、シリンダヘッド側に位置する弾性
金属板５には加工性の良い材料を使用して積層金属製薄
板間で洩れ経路を少なくするのが好ましい。３枚の金属
製薄板を構成する材料を選定できる。例えば、弾性金属
板５は、ＳＵＳ３０１で硬さＨｖ３００〜５００の材料
で作製されている。弾性金属板７は、ＳＵＳ３０４或い
はＳＵＳ４３０で硬さＨｖ１５０〜２００の材料で作製
されている。また、中間板６は、ＳＵＳ４３０或いはＳ
ＰＣで硬さＨｖ１５０〜２００の材料で作製されてい
る。
【００２５】また、図７に示すように、金属製ガスケッ
トは、金属製薄板に熱処理を施し、その表裏両面に対し
て、例えば、弾性金属板５にフッ素ゴム１２及びアクリ
ルシリコーン１３を、中間板６にシリコーンゴム１４
を、また弾性金属板７にフッ素ゴム１８及びアクリルシ
リコーン１９の非金属材料をコーティングすることによ
って、金属製薄板間及びシリンダヘッドとシリンダブロ
ックに対して金属対金属の接触状態を回避し、金属製ガ
スケットとしての耐腐食性や耐久性及び強度を確保する
ことができる。また、金属製ガスケットは機械加工面に
凹凸が存在していても上記非金属材料が凹凸をカバーし
て充分なシール機能を果たすことができる。
トは、金属製薄板に熱処理を施し、その表裏両面に対し
て、例えば、弾性金属板５にフッ素ゴム１２及びアクリ
ルシリコーン１３を、中間板６にシリコーンゴム１４
を、また弾性金属板７にフッ素ゴム１８及びアクリルシ
リコーン１９の非金属材料をコーティングすることによ
って、金属製薄板間及びシリンダヘッドとシリンダブロ
ックに対して金属対金属の接触状態を回避し、金属製ガ
スケットとしての耐腐食性や耐久性及び強度を確保する
ことができる。また、金属製ガスケットは機械加工面に
凹凸が存在していても上記非金属材料が凹凸をカバーし
て充分なシール機能を果たすことができる。
【００２６】弾性金属板５，７及び中間板６には、シリ
ンダブロック２８の燃焼室３５に対応して燃焼室孔３
が、チェーンケース２９の空間部３３に対応して開口部
４等がそれぞれ形成され、燃焼室孔３の内端縁から半径
方向に僅かに離れた距離のところで主シール部１を構成
するため燃焼室孔３と同心に且つ環状に取り巻く断面山
形状のビード１５が中間板６側に向かって形成され、中
間板６に当接している。弾性金属板７には、更に燃焼室
孔３の周囲を弾性金属板５側に折り返して形成した折返
し部１７を有している。折返し部１７は、中間板６のビ
ード１６と重なることがないように、折り返し幅が設定
されている。折返し部１７は、燃焼室孔３の内端縁にお
ける中間板６の変位を規制しており、中間板６のヘタリ
対策として有効である。折返し部１７の板厚は、折り返
し加工の際の塑性変形量を加減することにより調節可能
である。
ンダブロック２８の燃焼室３５に対応して燃焼室孔３
が、チェーンケース２９の空間部３３に対応して開口部
４等がそれぞれ形成され、燃焼室孔３の内端縁から半径
方向に僅かに離れた距離のところで主シール部１を構成
するため燃焼室孔３と同心に且つ環状に取り巻く断面山
形状のビード１５が中間板６側に向かって形成され、中
間板６に当接している。弾性金属板７には、更に燃焼室
孔３の周囲を弾性金属板５側に折り返して形成した折返
し部１７を有している。折返し部１７は、中間板６のビ
ード１６と重なることがないように、折り返し幅が設定
されている。折返し部１７は、燃焼室孔３の内端縁にお
ける中間板６の変位を規制しており、中間板６のヘタリ
対策として有効である。折返し部１７の板厚は、折り返
し加工の際の塑性変形量を加減することにより調節可能
である。
【００２７】金属製ガスケットを補強するとともに、金
属製ガスケットの厚さを管理するために、弾性金属板５
と７との間に金属製薄板である調整板即ち中間板６が介
在されている。中間板６には、更に燃焼室孔３の回りに
は弾性金属板５のビード１５より燃焼室孔３側にビード
１６が形成されている。ビード１６が凸となる側の面は
弾性金属板５に面するように形成されている。中間板６
は、燃焼室孔３の回りにおいて折返し部１７の領域にお
ける弾性金属板７の板厚、ビード１５の高さ等の各高さ
及び厚さに対する相対的な調整をするものである。
属製ガスケットの厚さを管理するために、弾性金属板５
と７との間に金属製薄板である調整板即ち中間板６が介
在されている。中間板６には、更に燃焼室孔３の回りに
は弾性金属板５のビード１５より燃焼室孔３側にビード
１６が形成されている。ビード１６が凸となる側の面は
弾性金属板５に面するように形成されている。中間板６
は、燃焼室孔３の回りにおいて折返し部１７の領域にお
ける弾性金属板７の板厚、ビード１５の高さ等の各高さ
及び厚さに対する相対的な調整をするものである。
【００２８】シリンダヘッドとシリンダブロック２８と
の対向面間に金属製ガスケットを挟んで締め付けると、
弾性金属板５と７の燃焼室孔３の近傍周囲部分に設けた
ビード１５と１６は、燃焼室孔３の周囲においてシリン
ダヘッドの対向面に対して接触して二重の環状シール部
を形成する。また、弾性金属板５の燃焼室孔３の内端縁
部分においては、折返し部１７のために板厚が増大して
いる分だけシリンダヘッド及びシリンダブロックに対す
るシール圧力が高くなって燃焼室孔３の内端縁における
シール部を作る。これらの三段構えの環状シール部によ
って、燃焼室孔３からの高温高圧の燃焼ガスが両対向取
付面に漏れ出るのを阻止することができる。環状シール
部の増加と上記対向取付面の不整の吸収により、内燃機
関の爆発・膨張行程の燃焼サイクル時の繰り返しで発生
するシリンダヘッドの歪み量が抑制される。締付け力
は、ビード１５，１６と燃焼室孔３の内端縁部分とに分
担して支持されるので、締め付け時においてビード１
５，１６に発生する応力は軽減されて全圧縮が防止さ
れ、ビード１５，１６のヘタリや亀裂の発生が防止でき
る。
の対向面間に金属製ガスケットを挟んで締め付けると、
弾性金属板５と７の燃焼室孔３の近傍周囲部分に設けた
ビード１５と１６は、燃焼室孔３の周囲においてシリン
ダヘッドの対向面に対して接触して二重の環状シール部
を形成する。また、弾性金属板５の燃焼室孔３の内端縁
部分においては、折返し部１７のために板厚が増大して
いる分だけシリンダヘッド及びシリンダブロックに対す
るシール圧力が高くなって燃焼室孔３の内端縁における
シール部を作る。これらの三段構えの環状シール部によ
って、燃焼室孔３からの高温高圧の燃焼ガスが両対向取
付面に漏れ出るのを阻止することができる。環状シール
部の増加と上記対向取付面の不整の吸収により、内燃機
関の爆発・膨張行程の燃焼サイクル時の繰り返しで発生
するシリンダヘッドの歪み量が抑制される。締付け力
は、ビード１５，１６と燃焼室孔３の内端縁部分とに分
担して支持されるので、締め付け時においてビード１
５，１６に発生する応力は軽減されて全圧縮が防止さ
れ、ビード１５，１６のヘタリや亀裂の発生が防止でき
る。
【００２９】この実施例では、副シール部２は、主シー
ル部１を構成している弾性金属板５，７及び中間板６の
３枚の金属製薄板をチェーンケースの開口部４の開口上
面の周囲にまで延長したものである。弾性金属板５，７
及び中間板６は、開口部４の開口周囲の上面にまで延び
ている。また、弾性金属板５，７には、副シール部２を
形成するため、主シール部１と同様にチェーンケースの
空間部に沿ってビード８，９が形成されている。
ル部１を構成している弾性金属板５，７及び中間板６の
３枚の金属製薄板をチェーンケースの開口部４の開口上
面の周囲にまで延長したものである。弾性金属板５，７
及び中間板６は、開口部４の開口周囲の上面にまで延び
ている。また、弾性金属板５，７には、副シール部２を
形成するため、主シール部１と同様にチェーンケースの
空間部に沿ってビード８，９が形成されている。
【００３０】図８、図９及び図１０を参照して、この発
明によるチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケッ
トの別の実施例を説明する。図８はこの発明によるチェ
ーンケース付きエンジン用金属製ガスケットの別の実施
例を示す平面図、図９は図８の符号Ｆの部分の拡大平面
図、及び図１０は図８における線Ｂ−Ｂについての断面
図である。この実施例は、上記実施例と比較して中間板
に形成した孔が当接面２０を交差して延びている以外は
全く同一の構成を有するので、同一の部品には同一の符
号を付し、重複する説明は省略する。
明によるチェーンケース付きエンジン用金属製ガスケッ
トの別の実施例を説明する。図８はこの発明によるチェ
ーンケース付きエンジン用金属製ガスケットの別の実施
例を示す平面図、図９は図８の符号Ｆの部分の拡大平面
図、及び図１０は図８における線Ｂ−Ｂについての断面
図である。この実施例は、上記実施例と比較して中間板
に形成した孔が当接面２０を交差して延びている以外は
全く同一の構成を有するので、同一の部品には同一の符
号を付し、重複する説明は省略する。
【００３１】この実施例では、中間板６に形成された孔
１０は当接面２０を超えてシリンダブロック２８側に延
びるように長方形の形状に形成されている。言い換えれ
ば、孔１０は、当接面２０にほぼ直角に交差して当接面
２０よりシリンダブロック２８側へ延びる開口部が形成
されている。孔１０に嵌入されるシール部材２６は、当
接面２０よりシリンダブロック２８側へ延びる開口部に
配置される延出部２７を備え、チェーンケース２９の上
面３１とシリンダブロック２８の上面３４に跨がって接
触するように配置されている。更に、シール部材２６
は、中間板６の孔１０に嵌入状態に配置されていると共
に、中間板６の弾性金属板７側の壁面に接触し且つ孔１
０に沿って延びるフランジ部３６を備えている。従っ
て、シール部材２６は、当接面２０に段差３０が形成さ
れていても、その段差３０を十分に吸収してシール性能
を発揮することができる。また、シール部材そのもの
は、例示として上記の形状に形成されているが、必ずし
も上記各実施例のように限定されることなく、エンジン
の形式等に応じて種々の形状に形成することができ、ま
た、その材質も種々に選定できるものである。
１０は当接面２０を超えてシリンダブロック２８側に延
びるように長方形の形状に形成されている。言い換えれ
ば、孔１０は、当接面２０にほぼ直角に交差して当接面
２０よりシリンダブロック２８側へ延びる開口部が形成
されている。孔１０に嵌入されるシール部材２６は、当
接面２０よりシリンダブロック２８側へ延びる開口部に
配置される延出部２７を備え、チェーンケース２９の上
面３１とシリンダブロック２８の上面３４に跨がって接
触するように配置されている。更に、シール部材２６
は、中間板６の孔１０に嵌入状態に配置されていると共
に、中間板６の弾性金属板７側の壁面に接触し且つ孔１
０に沿って延びるフランジ部３６を備えている。従っ
て、シール部材２６は、当接面２０に段差３０が形成さ
れていても、その段差３０を十分に吸収してシール性能
を発揮することができる。また、シール部材そのもの
は、例示として上記の形状に形成されているが、必ずし
も上記各実施例のように限定されることなく、エンジン
の形式等に応じて種々の形状に形成することができ、ま
た、その材質も種々に選定できるものである。
【００３２】
【発明の効果】この発明によるチェーンケース付きエン
ジン用金属製ガスケットは、上記のように構成されてい
るので、次のような効果を有する。即ち、このチェーン
ケース付きエンジン用金属製ガスケットは、両側の弾性
金属板にカムシャフト駆動用チェーンが走行する開口部
に沿ってビードを形成し、該弾性金属板間の中間板に形
成された孔にシール部材を配置し、前記孔が前記当接面
より前記チェーンケース側に延び、一方の前記弾性金属
板に前記シール部材の位置する領域を切り取った切欠き
部を形成したので、チェーンケースとシリンダブロック
との当接面に段差が存在しても前記シール部材が前記段
差に直接接触し、前記段差が比較的に大きくなったとし
ても、前記ビードと前記シール部材とで該段差を十分に
吸収して確実にシールでき、シール性を向上させ、チェ
ーンケース内から外部へオイルが漏出することがない。
ジン用金属製ガスケットは、上記のように構成されてい
るので、次のような効果を有する。即ち、このチェーン
ケース付きエンジン用金属製ガスケットは、両側の弾性
金属板にカムシャフト駆動用チェーンが走行する開口部
に沿ってビードを形成し、該弾性金属板間の中間板に形
成された孔にシール部材を配置し、前記孔が前記当接面
より前記チェーンケース側に延び、一方の前記弾性金属
板に前記シール部材の位置する領域を切り取った切欠き
部を形成したので、チェーンケースとシリンダブロック
との当接面に段差が存在しても前記シール部材が前記段
差に直接接触し、前記段差が比較的に大きくなったとし
ても、前記ビードと前記シール部材とで該段差を十分に
吸収して確実にシールでき、シール性を向上させ、チェ
ーンケース内から外部へオイルが漏出することがない。
【００３３】また、前記シール部材の長さは前記チェー
ンケースの前記開口部のほぼ半分に設定されているの
で、前記段差が存在する場合には前記シール部材がシリ
ンダヘッドとチェーンケースとの間で圧縮されて前記シ
ール部材が楔形状に変形し、シール性を確保でき、前記
段差に生じるシリンダヘッドとチェーンケースとの間の
面圧低下によるシール性の低下をカバーすることができ
る。しかも、この金属製ガスケットは、金属製ガスケッ
ト自体の構造が簡単であり容易に製作でき、製造コスト
を低減できる。
ンケースの前記開口部のほぼ半分に設定されているの
で、前記段差が存在する場合には前記シール部材がシリ
ンダヘッドとチェーンケースとの間で圧縮されて前記シ
ール部材が楔形状に変形し、シール性を確保でき、前記
段差に生じるシリンダヘッドとチェーンケースとの間の
面圧低下によるシール性の低下をカバーすることができ
る。しかも、この金属製ガスケットは、金属製ガスケッ
ト自体の構造が簡単であり容易に製作でき、製造コスト
を低減できる。
【００３４】また、シリンダブロックとシリンダヘッド
との対向面間において、燃焼室孔内で生じる高温高圧の
燃焼ガスの対向面間から外部への漏出や、水穴、油穴等
の穴の内部を流れる液体の対向面間からの漏出を厳しく
防止しなければならない穴については、積層した複数枚
の金属製薄板から成る主シール部の高いシール面圧で確
実にシールすることができる。また、前記シリンダブロ
ックとその側面に取り付けられた取付け側面開放形チェ
ーンケースとにより形成されるチェーンケースとシリン
ダヘッドとの対向面間において、前記チェーンケースの
開口周囲は、副シール部により比較的低い面圧でシール
される。
との対向面間において、燃焼室孔内で生じる高温高圧の
燃焼ガスの対向面間から外部への漏出や、水穴、油穴等
の穴の内部を流れる液体の対向面間からの漏出を厳しく
防止しなければならない穴については、積層した複数枚
の金属製薄板から成る主シール部の高いシール面圧で確
実にシールすることができる。また、前記シリンダブロ
ックとその側面に取り付けられた取付け側面開放形チェ
ーンケースとにより形成されるチェーンケースとシリン
ダヘッドとの対向面間において、前記チェーンケースの
開口周囲は、副シール部により比較的低い面圧でシール
される。
【００３５】この金属製ガスケットは、チェーンケース
内の油が接合面に侵入するのを効果的に防止することに
なるので、シリンダブロックとチェーンケースとの当接
面における段差が大きくなったとしても、通常であれば
更にシール面圧が低くなってしまうところ、前記シール
部材の介在によって依然として十分なシール性能を確保
することができるので、全体として構造簡単な且つ安価
で安定したシール性能を発揮することができ、しかも、
段差からの油等の漏洩を確実に且つ安定して防ぐことが
でき、特に、当接面の近傍のシール性を向上させ、シリ
ンダヘッドとシリンダブロックとの間で面圧を容易に調
整でき、製造コストが安価な信頼性の高いものである。
内の油が接合面に侵入するのを効果的に防止することに
なるので、シリンダブロックとチェーンケースとの当接
面における段差が大きくなったとしても、通常であれば
更にシール面圧が低くなってしまうところ、前記シール
部材の介在によって依然として十分なシール性能を確保
することができるので、全体として構造簡単な且つ安価
で安定したシール性能を発揮することができ、しかも、
段差からの油等の漏洩を確実に且つ安定して防ぐことが
でき、特に、当接面の近傍のシール性を向上させ、シリ
ンダヘッドとシリンダブロックとの間で面圧を容易に調
整でき、製造コストが安価な信頼性の高いものである。
【００３６】また、前記金属製薄板に樹脂やゴム等の軟
質シートを被覆した場合には、シリンダヘッド及びシリ
ンダブロックに対する接触面は勿論のこと、積層した前
記金属製薄板間での金属対金属の接触を避け、耐久性を
向上させると共に、前記金属製薄板の板厚との板厚差を
吸収し、或いはそれらの表面に形成された凹凸面を吸収
し、所定のシール性能を確保することができる。
質シートを被覆した場合には、シリンダヘッド及びシリ
ンダブロックに対する接触面は勿論のこと、積層した前
記金属製薄板間での金属対金属の接触を避け、耐久性を
向上させると共に、前記金属製薄板の板厚との板厚差を
吸収し、或いはそれらの表面に形成された凹凸面を吸収
し、所定のシール性能を確保することができる。
【図１】この発明によるチェーンケース付きエンジン用
金属製ガスケットのの一実施例を示す部分平面図であ
る。
金属製ガスケットのの一実施例を示す部分平面図であ
る。
【図２】図１の符号Ａ部分の拡大平面図である。
【図３】図１の線Ｂ−Ｂにおける断面図である。
【図４】図１の線Ｃ−Ｃにおける断面図である。
【図５】図１の線Ｄ−Ｄにおける断面図である。
【図６】図１の線Ｅ−Ｅにおける断面図である。
【図７】図１のチェーンケース付きエンジン用金属製ガ
スケットにおける金属製薄板の各構造を説明する断面図
である。
スケットにおける金属製薄板の各構造を説明する断面図
である。
【図８】この発明によるチェーンケース付きエンジン用
金属製ガスケットの別の実施例を示す平面図である。
金属製ガスケットの別の実施例を示す平面図である。
【図９】図８の符号Ｆの部分の拡大平面図である。
【図１０】図８における線Ｂ−Ｂについての断面図であ
る。
る。
【図１１】チェーンケース付きシリンダブロックの一例
を示す斜視図である。
を示す斜視図である。
１ 主シール部 ２ 副シール部 ３ 燃焼室孔 ４ 開口部 ５，７ 弾性金属板 ６ 中間板 ８，９，１５，１６ ビード １０ 孔 １１ 切欠き部 １２，１８ フッ素ゴム（ゴム） １３，１９ アクリルシリコーン（樹脂） １７ 折返し部 ２０ 当接面 ２５，２６ シール部材 ２８ シリンダブロック ２９ チェーンケース ３０ 段差
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平５−94569（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−201259（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F02F 11/00
Claims (6)
- 【請求項１】 チェーンケースを取り付けたシリンダブ
ロックとシリンダヘッドとの対向面間をシールする燃焼
室孔を備えた金属製薄板が積層されているチェーンケー
ス付きエンジン用金属製ガスケットにおいて、前記金属
製薄板は両側に配置した第１と第２の弾性金属板及び前
記両弾性金属板間に配置された中間板から構成され、前
記第１弾性金属板にはカムシャフト駆動用チェーンが走
行する開口部に沿ってビードが形成され、前記中間板に
は前記チェーンケースと前記シリンダブロックとの当接
面に発生する段差をシールするシール部材を配置する孔
が形成され、前記孔が前記当接面より前記チェーンケー
ス側に延び、前記第２弾性金属板には前記シール部材の
位置する領域を切り取った切欠き部が形成されているこ
とを特徴とするチェーンケース付きエンジン用金属製ガ
スケット。 - 【請求項２】 チェーンケースを取り付けたシリンダブ
ロックとシリンダヘッドとの対向面間をシールする燃焼
室孔を備えた金属製薄板が積層されているチェーンケー
ス付きエンジン用金属製ガスケットにおいて、前記金属
製薄板は両側に配置した第１と第２の弾性金属板及び前
記両弾性金属板間に配置された中間板から構成され、前
記第１弾性金属板にはカムシャフト駆動用チェーンが走
行する開口部に沿ってビードが形成され、前記中間板に
は前記チェーンケースと前記シリンダブロックとの当接
面に発生する段差をシールするシール部材を配置する孔
が形成され、前記孔が前記当接面を交差して延び、前記
第２弾性金属板には前記シール部材の位置する領域を切
り取った切欠き部が形成されていることを特徴とするチ
ェーンケース付きエンジン用金属製ガスケット。 - 【請求項３】 前記シール部材の長さは前記チェーンケ
ースの前記開口部のほぼ半分に設定されていることを特
徴とする請求項１又は２に記載のチェーンケース付きエ
ンジン用金属製ガスケット。 - 【請求項４】 前記金属製薄板の表面には耐熱性の樹脂
又はゴムが被覆されていることを特徴とする請求項１〜
３のいずれかに記載のチェーンケース付きエンジン用金
属製ガスケット。 - 【請求項５】 前記第２弾性金属板は前記燃焼室孔に沿
って前記中間板の燃焼室孔縁部を覆って折り曲げられた
ストッパー板として構成され、前記第２弾性金属板には
前記チェーンケースの前記開口部の周りに沿ってビード
が形成されていることを特徴とする請求項１〜４のいず
れかに記載のチェーンケース付きエンジン用金属製ガス
ケット。 - 【請求項６】 前記第１弾性金属板はビード板を構成し
て前記シリンダヘッド側に配置され、前記第２弾性金属
板は前記シリンダブロック側に配置されていることを特
徴とする請求項１〜５のいずれかに記載のチェーンケー
ス付きエンジン用金属製ガスケット。
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| JP23605094A JP3250914B2 (ja) | 1994-09-06 | 1994-09-06 | チェーンケース付きエンジン用金属製ガスケット |
| DE69508505T DE69508505T2 (de) | 1994-09-06 | 1995-05-26 | Metalldichtung für Kettenkasten für Verbrennungskraftmaschinen |
| US08/452,396 US5544901A (en) | 1994-09-06 | 1995-05-26 | Metal gasket for chain case-carrying engines |
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- 1995-05-26 DE DE69508505T patent/DE69508505T2/de not_active Expired - Fee Related
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