JPS6128135Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、２部材に跨がつて流体通路を設け、
前記２部材をこれらの合せ面を密着させて結合さ
せた部分を有する内燃機関等の構造体において、
前記２部材の合せ面から流体が漏洩するのを防止
するために、前記合せ面部に設けられる流体通路
の密封装置に関するものである。

〔従来の技術〕

水平対向型機関において、機関の高さを低くし
自動車のエンジン室内の占有容積を減少させ、コ
ンパクト化、整備性の向上、および部品点数の減
少などの利点を得るために、別体の左右クランク
ケースに分流する冷却水通路をクランクケース内
に形成したものがある。このような内燃機関で
は、左右クランクケースの合せ面から冷却水通路
を流れる冷却水が、外部あるいはクランク室内に
漏れる恐れがあるので、確実に密封することが必
要である。この場合に、左右のクランクケース間
の広い合せ面の間に弾性材料からなるガスケツト
を介在させることは、左右クランクケースの結合
に際し、ガスケツトの厚さの変動が許されないと
いう理由で欠点がある。

ところで、このような欠点を解消しようとする
先行技術例としては実開昭51−122244号公報に記
載されたものがあるが、これによれば、流体通路
を跨つて設けた２部材の合せ面を密着させる共
に、一方の部材の合せ面部に流体通路壁の周囲に
沿つて凹溝を形成してこれに弾性材よりなるシー
ルリング部材を装着し、該シールリング部材の内
周面にはこれと圧接しかつ上記凹溝内に位置して
上記２部材との間に微少の間隙を有する環状リン
グを設けたものが記載されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、これら２部材の合せ面部におけるシ
ールリング部材には、環状リングにより流体通路
の流体の圧力が直接的に作用せず緩和されて作用
するが、該合せ面は、一方の部材の流体通路の流
体に対してはシールリング部材の２側面によりシ
ールされているが、他方の部材の流体通路の流体
に対しては、シールリング部材の一側面によりシ
ールされているに過ぎないから、結局前記合せ面
は、２部材の各流体通路の流体に対して平均的に
シールされていないという問題がある。

本考案は、このような問題のない流体通路の密
封装置の提供を目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、前記の目的を達成するため、２部材
に跨がつて流体通路を設け、前記２部材をこれら
の合せ面を密着させて結合させた部分を有するも
のにおいて、前記２部材の流体の上流側の部材の
合せ面部に流体通路壁の周囲に沿つて凹溝を形成
し、弾性材から成るシールリング部材の内周部
に、流体通路の横断面形状と実質的に同形、同大
の横断面の通水孔を有し前記２部材の流体の下流
側の部材側へ突出する筒状部を備える硬部材から
成る芯材の外周部を埋込んで芯材と一体形成した
シールリングを形成し、このシールリング部材を
前記凹溝に嵌合させ、芯材の通水孔を流体通路を
合致させ、前記２部材でシールリングを弾性変形
させて締付けると共に、芯材によりシールリング
部材が冷却水通路内に突出するのを防止し、かつ
２部材間のシール性を向上させたことを特徴とす
るものである。

〔作 用〕

本考案は、前記の手段を有することにより、流
体通路を跨がるように設けた２部材の合せ面は、
シールリング部材が嵌合する凹溝を設けた流体の
上流側の部材の流体通路の流体に対しては、該シ
ールリング部材の２つの側面によりシールされ、
前記２部材の流体の下流側の部材の流体通路の流
体に対しては、該シールリング部材の１つの側面
でシールされると共に、この側面の流体通路側を
芯材の筒状部により遮蔽してこれに流体の圧力が
直接的に作用せず緩和されて作用するようにし、
前記２部材の各流体通路の流体に対するシールリ
ングが平均的に行われるようにしている。

〔実施例〕

以下、図面を参照して本考案の一実施例を具体
的に説明する。

第１図、第２図に本考案の適用される一例とし
ての水平対向型機関の冷却系の概略を示す。これ
らの図において、符号１は内燃機関本体で、この
機関本体１は、左右に分割された別体のシリンダ
ブロツク２，３と一体に左右クランクケース４，
５が設けられ、前記シリンダブロツク２，３にシ
リンダヘツド６，７が固定され、前記各部材の内
部に冷却水通路８が形成されている。前記機関本
体１外に設けたラジエータ９がクランク軸１０か
らの駆動力で駆動されるウオータポンプ１１の吸
込側に連通され、このポンプ１１の吐出側に前記
冷却水通路８が連通され、この通路８を冷却水が
第１図、第２図の矢印に示すように流れ、吸入マ
ニホールド内に設けた冷却水通路１３に至り、こ
の通路１３からサーモスタツト１４を有するメイ
ン還流通路１５を経てラジエータ９に還流すると
共に、バイパス還流通路１６と経て前記ポンプ１
１の吸込側に戻されるようになつている。そし
て、クランクケース４，５内の冷却水通路８ａ
は、一方のクランクケース５内から左右に分流さ
れて吸入マニホールド内の冷却水通路１３のメイ
ンおよびバイパス還流通路１５および１６側にそ
れぞれ導かれるようになつている。以上の構成は
従来の水平対向型機関の冷却系と同様である。な
お、第１図、第２図中、符号１２は気化器、１７
はシリンダボア、１８はピストン、１９はコンロ
ツドである。

前記シリンダブロツク２，３およびクランクケ
ース４，５は、これらの合せ面が密着されるよう
に互に締付けられて結合されている。冷却水通路
８ａは、その上、下流側にそれぞれ位置する左右
クランクケース５，４に跨がつて形成され、これ
らの合せ面Ａには、第３図に詳細に示すように密
封装置が設けられている。この密封装置は、一方
のクランクケース５の合せ面部に冷却水通路壁２
０の周囲に沿つて後述するシールリングの嵌合用
凹溝２２が形成されている。シールリング部材２
１は弾性材料からなり、芯材２３と一体形成され
てシールリングを構成している。

すなわち、芯材２３は、金属などの硬質材料の
板から形成されていて、シールリング部材２１の
内周部に埋込まれるフランジ部２３ａと嵌合用凹
溝２２を形成していない下流側のクランクケース
４側の冷却水通路壁２０に嵌合し内部に通水孔２
４を有する筒状部２５とより形成されている。そ
して、このようにシールリング部材２１と芯材２
３とを一体的に固着して形成された前記シールリ
ングは、そのシールリング部材２１が嵌合用凹溝
２２に嵌合され、通水孔２４が冷却水通路８ａと
連通されている。

ところで、両クランクケース４，５の締付けに
よりシールリング部材２１は弾性変形されるが、
この内周部が芯材２３のフランジ部２３ａの埋込
みにより弾性変形量が少ないこと、締付け前のシ
ールリング部材２１の内周縁は冷却水通路８ａの
周囲よりかなり外周側に位置していること、該部
材２１のクランクケース４との接触面側がさらに
芯材２３の筒状部２５により被覆されていること
などにより、シールリング部材が冷却水通路８ａ
内に突出することが防止されると共に、クランク
ケース４側の冷却水通路８ａ側の流体に対するシ
ールが行われる。

また、クランクケース４，５内の冷却水通路８
ａは、高さを低くした横長円形の横断面形状に形
成され、シールリング部材２１、芯材２３もこれ
に相似の横断面形状に形成されている。

以上のように構成された密封装置では、所定圧
でシールリングを軸方向に締付け、弾性変形させ
ているので、冷却水通路８ａを流れる冷却水が両
クランクケース４，５の合せ面から漏れるのを確
実に防止できる。

すなわち、この合せ面は、クランクケース５側
の冷却水通路８ａの流体に対しては、弾性材料よ
り成り嵌合用凹溝２２の壁に弾圧されているシー
ルリング部材２１の２つの側面によりシールされ
ている一方、クランクケース４側の冷却水通路８
ａの流体に対しては、シールリング部材２１の前
記合せ面における１つの側面でシールされると共
にこの一側面を芯材２３の筒状部２５が遮蔽して
いるため、その内部の通水孔２４を流れる冷却水
の圧力がシールリング部材２１に直接的に作用せ
ず緩和されて作用することにより、クランクケー
ス４，５の流体通路８ａの流体に対して平均的に
シールされ、従つて、合せ面からの冷却水の洩れ
が確実に防止される。

また、シールリング部材の内周部は芯材２３の
フランジ部２３ａが埋込まれて弾性変形量が少な
く、締付け前のシールリング部材２１の内周縁が
冷却水通路８ａの周囲よりかなり外周側に位置し
ているので、前記シールリング部材は組立時や使
用中に冷却水通路８ａ内に突出することがなく、
また、前記筒状部２５のクランクケース４の合せ
面部の冷却水通路壁２０への嵌合により冷却水通
路８ａと通水孔２４とを確実に合致させることが
できる。

また本考案は、内燃機関以外の２部材の合せ面
部における流体通路の密封装置にも適用できる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案の流体通路の密封
装置は、流体の上流側の部材を２面（垂直面と水
平面）でシールさせ、下流側の部材では１面（垂
直面）でシールさせているが、シールリング部材
と一体成形した芯材の筒状部を流体の下流側へ突
出させているので下流側のシールリング部材に
は、流体圧が直接的に作用することが防止される
ので、優れたシール性を有してこれらの部材の流
体通路の流体に対し平均的にシールされるから、
前記合せ面からの漏水を、流体の流通を阻害させ
ることなく確実に防止でき、またシールリング
は、シールリング部材に芯材が埋込まれて一体的
に形成されているから、凹溝への組付けが一度に
行われて簡単になるうえ、シールリング部材の、
流体通路側への変形量が抑制され、特に芯材の筒
状部が下流側の部材の流体通路に嵌合しているか
らシールリング部材の該流体通路への突出が防止
されると共に、流体通路が確実に合致するように
２部材の合せ面を容易かつ簡単に合せることがで
きるなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は水平対向型機関における冷却系の構成
の一例を示す概略平面説明図、第２図は同概略正
面説明図、第３図は本考案の一実施例を示す側断
面図、第４図はシールリング嵌合用凹溝の加工説
明図である。 １……内燃機関本体、２，３……シリンダブロ
ツク、４，５……クランクケース、６，７……シ
リンダヘツド、８，８ａ……冷却水通路、９……
ラジエータ、１０……クランク軸、１１……ウオ
ータポンプ、１２……気化器、１３……冷却水通
路、１４……サーモスタツト、１５……メイン還
流通路、１６……バイパス還流通路、１７……シ
リンダボア、１８……ピストン、１９……コンロ
ツド、２０……冷却水通路壁、２１……シールリ
ング部材、２２……嵌合用凹溝、２３……芯材、
２３ａ……フランジ部、２４……通水孔、２５…
…筒状部、Ａ……合せ面部、ｅ……エンドミル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２部材に跨がつて流体通路を設け、前記２部材
   がこれらの合せ面を密着させて結合させた部分を
   有するものにおいて、前記２部材の流体の上流側
   の部材に合せ面部に、流体通路壁の周囲に沿つて
   凹溝を形成し、弾性材から成るシールリング部材
   の内周部に、流体通路の横断面形状と実質的に同
   形、同大の横断面の通水孔を有し前記２部材の流
   体の下流側の部材側へ突出する筒状部を備える硬
   質部材から成る芯材の外周部を埋込んで芯材と一
   体形成したシールリングを形成し、このシールリ
   ング部材を前記凹溝に嵌合させ、芯材の通水孔を
   流体通路と合致させ、前記２部材でシールリング
   部材を弾性変形させて締付けると共に、芯材によ
   りシールリング部材が冷却水通路内に突出するの
   を防止するすると共に、２部材間のシール性を向
   上させたことを特徴とする流体通路の密封装置。