JPH0218035Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば繰出し側の２台の電線リール
から夫々電線を引出し、これら両電線を同時走行
させつつ各対応した巻取リールに巻取るようにし
た２連巻取・繰出し装置に関する。

（従来の技術） 従来、巻取・繰出しリールを回転させる駆動軸
をトルク制御または速度制御する駆動機により駆
動して、例えば繰出しリールに巻かれた電線を一
定張力で巻取リールに巻取るようにしたものは知
られ、このものにおいて、上記のように２条の電
線を同時走行させつつ各対応した巻取リールに巻
取る場合、巻取リール２個を同一駆動軸に取付け
ただけでは、例えば各電線の長さが異なるときな
ど、これら両電線を同一張力で巻取れないので、
従来では、２個の巻取リールを別々の駆動軸に取
付け、各電線を別個に張力制御して、これら両電
線を所望の同一張力で巻取るようにしていた。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記従来のものでは、巻取リー
ル１台毎に張力制御装置を必要とするため、構造
が複雑且つ大形化されると共に高価となる不都合
を生じ、さらに両電線を完全に同一張力で巻取る
ことは困難である等の不都合を生じる。

（問題点を解決するための手段） 本考案では上記不都合を解消するためすなわち
例えば両電線を完全に同一張力で巻取ることがで
きる簡易な装置を提供しようとするため、巻取・
繰出しリールを回転させる駆動軸をトルク制御ま
たは速度制御する駆動機により駆動するようにし
たものにおいて、該駆動軸上に、これの軸線方向
に対して直交する軸線を有する遊星輪軸を固設
し、さらに該駆動軸上に、遊星輪の両側にこれと
当接し且つ該巻取・繰出しリールを備えた太陽輪
を回動自在に設けたことを特徴とする。

（作用） 上記構成によれば、２台の繰出しリール例えば
２台の電線リールから夫々引出された電線の先端
を駆動軸上に設けた２個の太陽輪の巻取リールに
夫々係止させた状態において、該駆動軸を定速度
すなわち定回転数Ｎで回転駆動すれば、該駆動軸
上に固設された遊星輪と該駆動軸上に回動自在に
設けられた両太陽輪とから成る差動機構の原理に
よつて、両電線の長さが等しい場合には、両繰出
しリールの径が等しいため、換言すれば負荷トル
クが等しいため、両太陽輪は遊星輪を介して該駆
動軸と同方向に同一回転数Ｎで回転し、両巻取リ
ールには駆動軸からの駆動トルクが常に等しく1/
２ずつ配分されて、両電線は常に定張力で夫々の
巻取リールに巻かれ、また両電線の長さが異なる
場合には、両繰出しリールの径が異なるため、換
言すれば負荷トルクが異なるため、負荷トルクが
小さい側の巻取リールを備えた太陽輪は遊星輪を
介して該駆動軸と同方向にＮ＋N₁の回転数で回
転し、負荷トルクが大きい側の巻取リールを備え
た太陽輪は遊星輪を介して該駆動軸と同方向にＮ
−N₁の回転数で回転して、結局上記両電線の長
さが等しい場合と同様に両巻取リールには駆動軸
からの駆動トルクが常に等しく1/2ずつ配分され
て、両電線は常に定張力で夫々の巻取リールに巻
かれる。

（実施例） 次に本考案の実施例について説明する。

図示する１は巻取・繰出し装置の巻取側の駆動
軸を示し、該駆動軸１は固定台に取付けた軸受
２，２で支持され、ベルト３を介して駆動機４に
より駆動される。

該駆動機４は目的に応じ図示しない繰出し側が
定速度制御されている場合にはトルク制御され、
繰出し側がトルク制御されている場合には速度制
御される。

５は該駆動軸１上に、そのラジアル方向に１個
または複数個等角度間隔で固設される遊星輪軸た
るピン軸を示し、各ピン軸５はその軸線方向が該
駆動軸１の軸線方向に対して直交方向になるよう
にし、その先端には遊星輪たる遊星ギア６が取付
けられる。

該遊星ギヤ６の両側には、これと咬合し且つ外
周に例えば電線を巻取る巻取リール７を備えた太
陽輪たる太陽ギヤ８が配置され、該太陽ギヤ８は
該駆動軸１上にベアリング９，９を介して回動自
在に設けられる。

かくするときは前述した作用と同様に、該駆動
軸１を駆動機４により回転駆動させれば、差動機
構の原理によつて、両電線の長さの相違にかかわ
らず、両巻取リール７，７には該駆動軸１からの
駆動トルクが常に等しく1/2ずつ配分されて、両
電線は常に所望の定張力で夫々の巻取リール７に
巻かれることになる。

図中１０は止め輪その他の位置決め部材を示
す。尚、上記実施例では、遊星輪及び太陽輪を歯
車で構成し歯合係合としたが、これに限らず、例
えば摩擦係合としても良い。

尚、上記実施例は、巻取側を定速度制御した場
合であるが、トルク制御する場合も同様に両電線
を常に所望の定張力で夫々の巻取リールに巻くこ
とができる。

（考案の効果） このように本考案によるときは、駆動軸上に、
これの軸線方向に対して直交する軸線を有する遊
星輪軸を固設し、さらに該駆動軸上に、遊星輪の
両側にこれと当接し且つ該巻取・繰出しリールを
備えた太陽輪を回動自在に設けたので、差動機構
の原理によつて、２台の巻取・繰出しリールに駆
動軸からの駆動トルクが常に等しく1/2ずつ配分
されて、例えば両リールの電線は常に定張力で繰
出しまたは巻取られる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置の実施の１例を示す１部截断
正面図である。 １……駆動軸、４……駆動機、５……ピン軸
（遊星輪軸）、６……遊星ギヤ（遊星輪）、７……
巻取リール、８……太陽ギヤ（太陽輪）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 巻取・繰出しリールを回転させる駆動軸をトル
   ク制御または速度制御する駆動機により駆動する
   ようにしたものにおいて、該駆動軸上に、これの
   軸線方向に対して直交する軸線を有する遊星輪軸
   を固設し、さらに該駆動軸上に、遊星輪の両側に
   これと当接し且つ該巻取・繰出しリールを備えた
   太陽輪を回動自在に設けたことを特徴とする２連
   巻取・繰出し装置。