JPH0217595B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は、合成樹脂単層板（アクリル板、塩化
ビニル板、ポリカーボネート板等）、積層板、化
粧板、塗装板、金属板などの板体の表面に貼着し
てその表面保護を図るための背面加湿型の表面保
護材、および、この表面保護材を用いて板体の表
面保護を行う方法に関するものである。 従来の技術 合成樹脂単層板（アクリル板、塩化ビニル板、
ポリカーボネート板等）、積層板、化粧板、塗装
板、金属板などの板体は、その表面が平滑で美麗
であることが製品価値上重要である。そこで、板
体の保存中、輸送中にその表面が傷つけられるこ
とを防止するために、これらの板体の表面に表面
保護材を貼着することが行われている。 従来使用されている表面保護材としては、次の
２つのタイプがある。 (イ) 紙などの基材シートの片面に水溶性高分子か
らなる再湿性接着剤を塗布成層したもの。 (ロ) 紙などの基材シートの片面に天然ゴムラテツ
クス等の感圧性接着剤を塗布成層したもの。 発明が解決しようとする問題点 しかしながら、基材シートに再湿接着性接着剤
を塗布成層した表面保護材は、再湿性という接着
剤の性質上、湿度依存性が大きいことを免かれな
かつた。すなわち、この表面保護材を板体表面に
貼着する場合には、表面保護材の接着剤成層面を
直接水蒸気で加湿するのが一般的であるが、その
際付与する水分量のコントロールが難しいという
問題点があつた。また、この表面保護材を貼着し
た板体を比較的多湿の条件下に長期間保存する
と、板体の使用時に表面保護材を剥離除去しよう
としても板体表面から円滑に剥離できない事態を
生ずることがあり、一方、この表面保護材を貼着
した板体を乾燥条件下に放置すると、保存中や流
通過程において表面保護材が板体表面から自然剥
離することがあつた。 また、基材シートの片面に天然ゴムラテツクス
等の感圧性接着剤を塗布成層した表面保護材は、
感圧性という接着剤の性質上、温度依存性が大き
いことを免かれず、低温状態で保存されると検査
等で剥離した場合に再貼着ができず、一方、高温
状態で保存されると、接着剤の接着力が過度にな
つて、使用時、特に３℃以下の低温時に、板体表
面から円滑に剥離できないことがあつた。 本発明は、このような状況に鑑み、湿度や温度
が変化しても、接着力不足や剥離性不足を生じな
い背面加湿型の表面保護材を提供することを目的
になされたものである。 問題点を解決するための手段 本発明の背面加湿型の表面保護材は、背面から
の加湿操作後、板体表面に貼着してその表面保護
を図るための表面保護材であつて、該表面保護材
が、紙または不織布からなる基材シート１の片面
に天然ゴムラテツクスおよびアクリル系貼着剤か
らなる接着剤層２を塗布成層した構成を有するこ
とを特徴とするものである。 また、本発明の板体の表面保護方法は、板体表
面に表面保護材を貼着して表面保護を図るに際
し、該表面保護材として、紙または不織布からな
る基材シート１の片面に天然ゴムラテツクスおよ
びアクリル系粘着剤からなる接着剤層２を塗布成
層した構成を有する表面保護材を用いること、お
よび、該表面保護材を板体に貼着する直前に、基
材シート１の接着剤層２成層面とは反対側の面か
ら加湿することを特徴とするものである。 以下本発明を詳細に説明する。 本発明における板体としては、 アクリル板、塩化ビニル板、ポリカーボネー
ト板、ポリスチレン板、ABS板など押出成形
や注型成形によつて製造される単層の合成樹脂
板、 フエノール樹脂積層板、エポキシ樹脂積層
板、メラミン樹脂積層板、尿素樹脂積層板、不
飽和ポリエステル樹脂積層板、ケイ素樹脂積層
板、フラン樹脂積層板、ジアリルフタレート樹
脂積層板などの主として工業用の積層板、 メラミン樹脂化粧フエノール樹脂積層板、メ
ラミン樹脂化粧アミノ樹脂積層板、メラミン樹
脂化粧合板、エポキシ樹脂化粧フエノール樹脂
積層板、不飽和ポリエステル樹脂化粧合板、不
飽和ポリエステル樹脂化粧板、ジアリルフタレ
ート樹脂化粧合板、塩化ビニル樹脂化粧合板な
どの化粧板、 各種の塗装板、 ステンレススチール板、アルミニウム板など
の金属板、 などがあげられ、特にの合成樹脂板およびの
化粧板、なかんずくアクリル板が重要である。 このような板体表面に貼着してその表面保護を
図るための表面保護材として、本発明において
は、基材シート１の片面に天然ゴムラテツクスお
よびアクリル系粘着剤からなる接着剤層２を塗布
成層した構成を有する表面保護材が用いられる。 基材シート１としては紙が好適であり、そのほ
か不織布も用いられる。 紙としては、クラフト紙、上質紙などが用いら
れ、合成繊維との混抄紙も用いられる。特に板体
に貼着される面が平滑処理されたクラフト紙が最
適である。１m²当りの紙の重量は、20〜150ｇ、
特に30〜120ｇであることが好ましい。 不織布としては、目付け20〜150ｇ／m²程度の
不織布が用いられる。不織布を基材シート１とし
て用いるときは、ビニロン繊維など吸湿性、保水
性の良好な繊維からできた不織布を用いることが
好ましい。 上記基材シート１の片面には、天然ゴムラテツ
クスおよびアクリル系粘着剤からなる接着剤層２
が設けられる。 天然ゴムラテツクスとしては、通常の市販の天
然ゴムラテツクスが用いられる。 アクリル系粘着剤としては、炭素数２〜12程度
のアクリル酸エステルや炭素数４〜12程度のメタ
アクリル酸エステルなどガラス転移点の低いモノ
マーを主成分とし、これに炭素数１〜３のアクリ
ル酸エステル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニ
ル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ス
チレンなどのガラス転移点の高いモノマー、およ
び必要に応じて官能基含有モノマー（不飽和カル
ボン酸またはその無水物、ヒドロキシアルキルア
クリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレー
ト、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アク
リルアミド、メタクリルアミド、メチロールアク
リルアミド、グリシジルメタクリレート等）を共
重合して得られるエマルジヨン型または水溶性型
のアクリル系粘着剤が用いられる。 接着剤層２における天然ゴムラテツクスとアク
リル系粘着剤との混合割合は、樹脂分の重量比で
20：80〜70：30、さらには40：60〜60：40の範囲
内に設定することが好ましく、天然ゴムラテツク
スの割合が少なすぎると板体に対する初期接着力
が不足し、一方、アクリル系粘着剤の割合が少な
すぎると温度依存性が大きくなり、冬季など低温
条件下には板体表面から表面保護材が剥離しにく
くなつて、板体の表面に接着剤が残存したり、あ
るいは剥離時に表面保護材が破損したりすること
がある。 なお、天然ゴムラテツクスおよびアクリル系粘
着剤からなる接着剤層２には、必要に応じ適当な
添加剤、たとえば、接着力を調整するための界面
活性剤、粘着付与剤；長期保存性を向上させるた
めの老化防止剤、紫外線吸収剤；表面保護材に柔
軟性を付与するためのグリセリンのような柔軟
材；貼着・剥離作業時の帯電を防止するための帯
電防止剤；防カビ剤；充填剤；着色剤；などの添
加剤を配合することができる。 基材シート１上の接着剤層２の塗布量は、乾燥
基準で５〜25ｇ／m²、特に７〜20ｇ／m²の範囲に
設定することが好ましい。 塗布量が少なすぎると、充分に加湿しても板体
への初期接着力が不足し、長期にわたつて保存し
た場合、表面保護材が収縮して板体から剥離する
ことがあり、また板体が合成樹脂板であるとき
は、過剰の水分が合成樹脂板の表面に残存し、そ
の表面を膨潤させることがある。 一方、塗布量が多すぎると、加湿により付与さ
れた水分により初期接着力が高くなり、長期に保
管した場合、経時的接着力が変化して表面保護材
が板体表面から剥離できなくなると共に、接着剤
層２の一部が板体の表面に残存する現象を生ずる
ことがある。 基材シート１上への接着剤層２の塗布成層は、
ナイフコーター、ロールドクターコーター、コン
マロールコーター、リバースロールコーターをは
じめ公知のコーターを用いて行うことができる。
塗布終了後、熱風乾燥等の手段により乾燥すれ
ば、目的とする表面保護材が得られる。 第１図は、このようにして得られた表面保護材
の断面図であり、１は基材シート、２は接着剤層
である。仮想線で示した３は板体である。 上記のようにして得られた表面保護材を板体に
貼着するには、該表面保護材を板体に貼着する直
前に基材シート１の接着剤層２成層面とは反対側
の面から加湿して基材シート１に十分な柔軟性を
付与しながら、その接着剤層２成層面を板体に当
てがつてロールで圧着すればよい。 加湿は、冷水の塗布、温水の塗布、水蒸気の吹
き付け等によつて行えばよい。 加湿の程度は、加湿後の基材シート１の水分含
有量が乾燥時の基材シート１の重量の15〜100重
量％となるように設定することが好ましい（紙は
通常の状態で７〜10重量％程度の水分を含有して
いる）。加湿量の不足および過度の加湿は、接着
力・剥離力のバランスを崩す。 作 用 上記特定水分含有量までの加湿操作により基材
シート１が柔軟性を有するようになるので、表面
保護材の板体への貼着作業が円滑になされる上、
貼着後しばらくすると表面保護材が板体になじむ
ため、部分的な浮きを生ずることなく平滑な状態
で板体に密着する。 また貼着後も、接着剤層２が板体の平滑性によ
り平滑になつており、かつ粘着性も有しているた
め、表面保護材を剥離しても容易に再接着するこ
とができる。 そして表面保護材貼着後は、温湿度変化にかか
わらず長期にわたり接着力が安定する。 その理由としては、基材シート１の片面に成層
した接着剤層２にあつては、天然ゴムとアクリル
系粘着剤の混合割合に応じ、天然ゴムが「海」で
アクリル系粘着剤が「島」の構造、天然ゴムが
「島」でアクリル系粘着剤が「海」の構造、ある
いは両者が「海島」状に混存した構造をとつてい
るものと推定され、その独特の構造により、広い
温度範囲にわたつて接着力・剥離力のバランスが
一定限度内に保たれるものと考えられる。 実施例 次に実験例（実施例および比較例）をあげて本
発明をさらに説明する。以下「％」とあるのは重
量％である。 樹脂分60％の市販の天然ゴムラテツクスと樹脂
分47％の市販のブチルアクリレート／２―ヒドロ
キシエチルアクリレート系共重合体エマルジヨン
とを所定の割合で混合して接着剤を調製し、この
接着剤を坪量50ｇ／m²、水分７〜８の両更クラフ
ト紙の片面にロールコーターを用いて所定量塗布
し、ついで熱風乾燥した。 次に、このようにして得られた表面保護材を、
その接着剤非塗工面側から水蒸気で加湿して両更
クラフト紙の水分含有量をコントロールしなが
ら、厚さ３mmのアクリル板（ポリメチルメタクリ
レート板）に貼着した。 条件（接着剤塗布量、与湿量）および結果（貼
着性、温湿度依存性、経時変化）を第１表に示
す。

【表】 第１表から、実験No.１〜４および実験No.７〜10
の場合に、初期接着力が適度であり、貼着面が平
滑で外観が良く、高温高湿条件下および低温低湿
条件下のいずれにあつても接着力・剥離力のバラ
ンスが良好であり、しかも長期間保存後も部分的
剥離を生じたり剥離に際し糊残りを生じたりする
ことがないことがわかる。 これに対し、接着剤非塗工面側から加湿を行わ
なかつた実験No.５〜６および実験No.11〜12にあつ
ては、貼着性、温湿度依存性、経時変化の点で不
満足な結果を与えることがわかる。 なお第１表には示さなかつたが、接着剤塗布量
を過小または過度にしたり、加湿量を過度にする
と、貼着性、温湿度依存性、経時変化の点でバラ
ンスを崩すようになる。 発明の効果 本発明においては、接着剤非塗工面側からの加
湿操作により基材シート１が柔軟性を有するよう
になるので、表面保護材の板体への貼着作業が円
滑になされ、作業性が向上する。 また、貼着後しばらくすると表面保護材が板体
になじみ、部分的な浮きを生ずることなく平滑な
状態で板体に密着するので、製品の外観が良好で
ある。 貼着後は、温度および湿度に対する依存性が小
さいので、長期間にわたり接着力・剥離力のバラ
ンスが保たれる。 また、貼着後も若干の感圧性を有するので、板
体の表面から検査等の目的で一時剥離しても、再
接着が可能である。 よつて本発明の表面保護材は、合成樹脂単層
板、積層板、化粧板、塗装板、金属板などの板
体、殊にアクリル板の表面保護の目的に好適に使
用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の表面保護材の断面図である。 １…基材シート、２…接着剤層、３…板体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 背面からの加湿操作後、板体表面に貼着して
   その表面保護を図るための表面保護材であつて、
   該表面保護材が、紙または不織布からなる基材シ
   ート１の片面に天然ゴムラテツクスおよびアクリ
   ル系粘着剤からなる接着剤層２を塗布成層した構
   成を有することを特徴とする背面加湿型の板体の
   表面保護材。 ２ 接着剤層２における天然ゴムラテツクスとア
   クリル系粘着剤との混合割合が、樹脂分の重量比
   で20：80〜70：30である特許請求の範囲第１項記
   載の表面保護材。 ３ 板体表面に表面保護材を貼着して表面保護を
   図るに際し、該表面保護材として、紙または不織
   布からなる基材シート１の片面に天然ゴムラテツ
   クスおよびアクリル系粘着剤からなる接着剤層２
   を塗布成層した構成を有する表面保護材を用いる
   こと、および、該表面保護材を板体に貼着する直
   前に、基材シート１の接着剤層２成層面とは反対
   側の面から加湿することを特徴とする板体の表面
   保護方法。 ４ 加湿後の基材シート１の水分含有量が乾燥時
   の基材シート１の重量の15〜100重量％である特
   許請求の範囲第３項記載の表面保護方法。