JPH0214191B2

JPH0214191B2 -

Info

Publication number: JPH0214191B2
Application number: JP58140493A
Authority: JP
Inventors: Nobuhiko Yugawa; Yukiisa Ozaki; Chihiro Tani
Original assignee: Nippon Shokubai Co Ltd
Current assignee: Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date: 1983-08-02
Filing date: 1983-08-02
Publication date: 1990-04-06
Also published as: JPS6032833A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は難燃性ガラス繊維強化不飽和ポリエス
テル樹脂成形品の製法に関するものである。さら
に詳しくは、ガラス繊維強化不飽和ポリエステル
樹脂成形品の表面に金属溶射皮膜層を有する優れ
た難燃性ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂
成形品の製法に関するものである。

従来、ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂
成形品（以下、単にFRP成形品と称する。）は、
軽量で強度が高く、優れた外観の製品を簡単に成
形できることから、タンク、レジヤーボート、漁
船、自動車等に広く用いられている。しかしなが
ら、FRP成形品は火災に対しては弱く、難燃性
あるいは不燃性を要求されるような分野にこれを
用いることは非常に難しいのが現状である。その
ため、従来FRP成形品を難燃化あるいは不燃化
するために種々の検討が為されており、例えばハ
ロゲンを含有する酸成分あるいはグリコール成分
を使用して得られるハロゲン含有不飽和ポリエス
テル樹脂を用いてFRP成形品を作成したり、あ
るいはハロゲン含有充填剤もしくは加熱時に結晶
水を放出する水酸化アルミニウム等の充填剤やア
ンチモン等の添加剤を混入した不飽和ポリエステ
ル樹脂を用いてFRP成形品を作成する等の手法
が試みられているが、いずれも充分な難燃性が得
られなかつたり、あるいは成形時の作業性が悪か
つたり、さらには加熱下において有毒なガスを多
量に発生したりする等の問題点がある。そこで、
良好な難燃性を有しかつ加熱下においても有毒な
ガスの発生量が少なくしかも簡単に成形できる
FRP成形品が求められているのが現状である。

本発明者等はかかる現状に鑑み種々検討した結
果本発明に至つたものである。

すなわち本発明は、熱変形温度が80℃以上の不
飽和ポリエステル樹脂(A)を100重量部、水酸化ア
ルミニウム(B)を20〜300重量部、およびハロゲン
含有充填剤(C)を０〜100重量部の比率で用いて成
る不飽和ポリエステル樹脂組成物(D)の100重量部
に対してガラス繊維(E)を30〜200重量部の比率で
用いて得られるガラス繊維強化不飽和ポリエステ
ル樹脂成形品の表面に0.05〜0.5mmの厚さの亜鉛
を溶射して溶射皮膜を設けた後、その上に亜鉛以
外の金属を溶射して溶射皮膜を重ね、皮膜層全体
の厚さが0.1〜３mmの金属溶射皮膜層を接合する
ことを特徴とする難燃性ガラス繊維強化不飽和ポ
リエステル樹脂成形品の製法を提供するものであ
る。

本発明に用いられる不飽和ポリエステル樹脂(A)
は、熱変形温度が80℃以上であるものである。こ
こでいう熱変形温度とは、JISK7207に規定され
る硬質プラスチツクの荷重たわみ温度試験方法に
従つて試験して得られる、不飽和ポリエステル樹
脂の硬化物の荷重たわみ温度のことをいう。不飽
和ポリエステル樹脂(A)は、熱変形温度が80℃以上
であること以外には特に制限はない。不飽和ポリ
エステル樹脂(A)の熱変形温度が80℃未満である場
合は、得られるFRP成形品の耐熱性が充分でな
く、そのために充分な難燃性を得ることができな
い。不飽和ポリエステル樹脂(A)の熱変形温度が
100℃以上である場合は、充分な耐熱性を有する
ため、より良好な難燃性を得ることができる。ま
た、さらに良好な難燃性を得るために、酸成分あ
るいはグリコール成分の一部にハロゲン含有化合
物を用いて得られるハロゲン含有不飽和ポリエス
テルを用いてもよい。

水酸化アルミニウム(B)は、当業界で通常用いら
れる粉末状のものが不飽和ポリエステル樹脂(A)
100重量部に対して20〜300重量部の範囲で用いら
れる。水酸化アルミニウム(B)が20重量部未満の少
量である場合は充分な難燃効果が期待できず、望
ましくない。また、300重量部を越える多量を使
用した場合は、不飽和ポリエステル樹脂組成物(D)
の粘度が非常に高くなるため成形時の作業性が悪
く、また物理的強度の低下をもたらすため望まし
くない。

ハロゲン含有充填剤(C)は必要に応じて用いられ
るもので、当業界で一般に不飽和ポリエステル樹
脂を難燃化する目的で使用されるものの中から適
宜選択して用いることができ、例えば塩素化パラ
フイン、塩素化ポリエチレン、ヘキサブロムベン
ゼン、テトラブロモジフエニール、ペンタブロモ
エチルベンゼン、トリスクロルエチルホスフエー
ト、ビス２，３−ジブロモプロピル−２，３−ジ
クロロプロピルホスフエート等を挙げることがで
き、これらの１種または２種以上を使用すること
ができる。ハロゲン含有充填剤(C)は不飽和ポリエ
ステル樹脂(A)100重量部に対し０〜100重量部の範
囲で用いられるが、10重量部以上の量で用いた場
合には特に良好な難燃性を得ることができ、好ま
しい。また、100重量部を越える多量を用いた場
合には加熱時に多量の有毒ガスを発生するため好
ましくない。

不飽和ポリエステル樹脂組成物(D)に、さらに酸
化アンチモン、含リン化合物等の難燃助剤を加え
たり、あるいは酸化ホウ素等の難燃充填剤や炭酸
カルシウム、クレイ等の充填剤を添加することも
可能である。

ガラス繊維(E)は、一般にFRPの成形に用いら
れるもののなかから適宜選択して用いることがで
き、不飽和ポリエステル樹脂組成物(D)100重量部
に対して30〜200重量部の範囲で用いられる。ガ
ラス繊維(E)の量が30重量部未満の少量では加熱時
の強度が充分でなく、また可燃物の割合が多くな
るため充分な難燃性を得ることができない。ガラ
ス繊維(E)を200重量部を越える多量とした場合は
成形が難しく、強度的な欠陥が生じ易いため好ま
しくない。

金属溶射皮膜層全体の厚みは0.1〜３mmの範囲
である。0.1mmより薄いと充分な難燃効果が得ら
れず、また３mmを越える厚さとした場合はそりや
ひずみが発生し易く、ともに好ましくない。

金属溶射皮膜層をFRP成形品の表面に設ける
には、例えば次の方法に依ることができる。

FRP成形品の表面を一般的な手法に従つてブ
ラスト等の処理を行ない、その上に金属溶射を行
なつて金属溶射皮膜を接合せしめる。このとき、
FRP成形品の表面にまず亜鉛を0.05〜0.5mmの厚
さに溶射した後、亜鉛以外の金属を溶射して溶射
皮膜を重ね、皮膜層全体の厚さを0.1〜３mmとす
ることにより、FRP成形品と金属溶射皮膜とを
強固に接合せしめることができる。この場合、最
初に行なう亜鉛の溶射層が0.05mm未満の厚さでは
その効果が充分でなく、また0.5mmを越える厚さ
としても作用効果の増大は認め難い。

本発明において、金属溶射皮膜用の金属として
は、亜鉛、アルミ、亜鉛−アルミ合金、銅、鉄、
ステンレス等、一般に金属溶射に用いられる金属
のなかから適宜選択して用いることができる。

本発明に従えば、難燃性、外観、強度、熱伝導
性、電気伝導性、耐摩耗性に優れた難燃性ガラス
繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品を容易に
得ることができる。そして該成形品は、従来
FRP成形品が使用されている分野に広く用いる
ことができる。

以下、実施例および比較例により本発明をさら
に詳しく説明する。なお、例中の部は重量部、％
は重量％を示すものとする。

実施例１マレイン酸、フタル酸およびプロピレングリコ
ールをモル比でそれぞれ0.7：0.3：1.05の比率で
用い、一般的な手法に従つて不活性ガス中で加熱
縮合せしめて酸価30の不飽和ポリエステル樹脂(1)
を得た。この不飽和ポリエステル(1)60部にスチレ
ンモノマー40部およびハイドロキノン0.01部を混
合し、不飽和ポリエステル樹脂(1)（以下、樹脂(1)
と称する。）を得た。

樹脂(1)100部にオクテン酸コバルト0.3部、およ
びメチルエチルケトンパーオキサイドの55％ジメ
チルフタレート溶液１部を混合し、型に注型して
硬化せしめて樹脂(1)の硬化物を作成した。この硬
化物をJIS K7207に示された方法に従い熱変形温
度を測定したところ、120℃であつた。

樹脂(1)100部に水酸化アルミニウム70部、ペン
タブロモエチルベンゼン20部および酸化アンチモ
ン５部を混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物
（以下、組成物(1)と称する。）を得た。この組成物
(1)100部に、オクテン酸コバルト0.3部およびメチ
ルエチルケトンパーオキサイドの55％ジメチルフ
タレート溶液１部を混合したものとガラス繊維
（日東紡社製、MC−450A）50部とを用いて、離
型処理を施した平板の型に積層して厚さ約５mmで
平板状のFRP成形品（以下、成形品(1)と称す
る。）を得た。次に、成形品(1)の型に接触してい
た面を、スチールグリツド＃100を用いてブラス
トした後、亜鉛を金属溶射して0.1mm厚の亜鉛の
金属溶射皮膜を形成した。さらにその上にアルミ
ニウムを１mm厚に溶射し、成形品(1)の表面に全体
で1.1mm厚の溶射金属層が接合された難燃性ガラ
ス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品を得
た。この成形品の金属層側の面に対して運輸省式
鉄道車輌用材料の燃焼試験に準拠した試験を行な
つたところ、不燃性と判断された。

比較例１実施例１で得た成形品(1)を用い、該成形品(1)の
型に接触していた面に対して運輸省式鉄道車輌用
材料の燃焼試験に準拠した試験を行なつたとこ
ろ、難燃性と判断された。即ち、本発明の難燃性
ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の
難燃性が優れていることが明らかである。

Claims

【特許請求の範囲】

１熱変形温度が80℃以上の不飽和ポリエステル
樹脂(A)を100重量部、水酸化アルミニウム(B)を20
〜300重量部、およびハロゲン含有充填剤(C)を０
〜100重量部の比率で用いて成る不飽和ポリエス
テル樹脂組成物(D)の100重量部に対してガラス繊
維(E)を30〜200重量部の比率で用いて得られるガ
ラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成形品の表
面に0.05〜0.5mmの厚さに亜鉛を溶射して溶射皮
膜を設けた後、その上に亜鉛以外の金属を溶射し
て溶射皮膜を重ね、皮膜層全体の厚さが0.1〜３
mmの金属溶射皮膜層を接合することを特徴とする
難燃性ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂成
形品の製法。