JP7467038B2 - 車両用天井パネル及びその製造方法 - Google Patents

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本開示は、車両のルーフに対応した3次元形状をなし、ルーフの下面に対向配置される車両用天井パネル及びその製造方法に関する。
従来の車両用天井パネルとして、発泡樹脂層を含む多層構造をなしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013-35247号公報([0008]、図1)
しかしながら、上記した従来の車両用天井パネルに対し、遮熱性能の向上が求められている。
上記課題を解決するためになされた発明の第1態様は、発泡樹脂層を含む多層構造でかつ車両のルーフに対応した3次元形状をなして、前記ルーフの下面に対向配置される車両用天井パネルであって、最上層に、アルミ及び亜鉛を前記3次元形状に溶射してなる金属溶射層を備える車両用天井パネルである。
発明の第2態様は、最上層の前記金属溶射層を形成するための被溶射面に、前記発泡樹脂層より通気性が低いベース層を備える第1態様に記載の車両用天井パネルである。
発明の第3態様は、少なくともアルミを含む金属を溶射してなる金属溶射層を、前記最上層の金属溶射層に対して前記発泡樹脂層を間に挟んだ下方に備える第1態様又は第2態様に記載の車両用天井パネルである。
発明の第4態様は、最下層に、車両を内装する表皮材を備え、前記表皮材の上面を前記金属溶射層を形成するための被溶射面として、少なくともアルミを含む金属が溶射されて前記金属溶射層が積層されている第3態様に記載の車両用天井パネルである。
発明の第5態様は、前記最上層の金属溶射層に比べて、それより下方の前記金属溶射層の方が通気性が高い第3態様又は第4態様に記載の車両用天井パネルである。
発明の第6態様は、前記金属溶射層は、亜鉛を溶射してなる亜鉛溶射層の上にアルミを溶射してなるアルミ溶射層を備えてなる第1態様乃至第5態様の何れか1の態様に記載の車両用天井パネルである。
発明の第7態様は、前記金属溶射層は、アルミと亜鉛とが混合した状態に溶射してなる第1態様乃至第5態様の何れか1の態様に記載の車両用天井パネルである。
発明の第8態様は、第1態様乃至第7態様の何れか1の態様に記載の車両用天井パネルの製造方法であって、前記車両用天井パネルのうち前記最上層の金属溶射層を除く全体を3次元形状に成形したものの上面に、アルミ及び亜鉛を溶射してなる前記最上層の金属溶射層を積層する車両用天井パネルの製造方法である。
発明の第9態様は、車両を内装する表皮材の上面に、アルミ及び亜鉛を含む金属を溶射して金属溶射層を積層したものを、前記車両用天井パネルのうち前記最上層の金属溶射層を除く全体の最下層に配置してから前記3次元形状に成形する第8態様に記載の車両用天井パネルの製造方法である。
発明の第1態様、第8態様
発明の第1態様によれば、車両用天井パネルの最上層にアルミを含む金属層を備えたので、ルーフに伝わった熱を反射することができ、車室内の温度への影響を抑えることができる。また、金属層が溶射により形成されるので、金属層の積層時の発泡樹脂層の形状が制限されない。すなわち、予め3次元形状に成形された発泡樹脂層に金属層を積層することができる(発明の第8態様)。金属層を積層してから3次元形状に成形した場合には、成形時に金属層が部分的に薄くなったり、クラックが生じて損傷する虞があるが、第8態様の製造方法によれば、このような虞がなくなり、遮熱性能の低下を抑制することができる。
発明の第2態様
発明の第2態様では、金属溶射層を形成するための被溶射面に、発泡樹脂層より通気性が低いベース層を備えることで、溶射される金属がベース層の内部に浸透することが抑えられ、金属溶射層の厚みの均一化が図られる。これにより、遮熱性能の向上が図られる。
発明の第3態様~第5態様、第9態様
発明の第3態様によれば、金属溶射層を車両用天井パネルの最上層だけではなく、発泡樹脂層を間に挟んで車室側にも備えているので、さらに遮熱性能の向上を図ることができる。
しかも、発明の第5態様のように、最上層の金属溶射層よりも車室側に通気性の高い金属溶射層を配置することで、車室内で発生した音が吸音性を有する発泡樹脂層へ透過することを妨げず、発泡樹脂層の吸音性能を維持することができる。ここで、表皮材の上面に金属溶射して金属溶射層を形成し、これを車両用天井パネルの最下層に積層してもよい(発明の第4態様、第9態様)。
発明の第6態様、第7態様
発明の第6態様では、アルミ溶射層と被溶射面との間にアルミより融点の低い亜鉛の溶射層を備えることで被溶射面の劣化が抑制され、遮熱性能の向上を図ることができる。また、発明の第7態様のように、アルミと亜鉛とが混合した状態で溶射することでも、金属の融点を下げることができ、被溶射面の劣化を抑制することができる。
(A)本発明の一実施形態に係る車両用天井パネルが取り付けられた車両の斜視図、(B)車両の天井部の断面図 車両用天井パネルの断面図 (A)裏側金属溶射層の拡大断面図、(B)表側金属溶射層の拡大断面図 積層工程を示す断面図 成形工程を示す断面図 成形後溶射工程を示す断面図 確認実験の結果を示す表 確認実験の装置を示す断面図
以下、本開示の一実施形態を図1~図6に基づいて説明する。図1(A)に示すように、本実施形態の車両用天井パネル10は、自動車の車両90のルーフ91の下側に取り付けられて、車両90における車室92の天井部を構成する。なお、車両用天井パネル10において、車室92を向く側を表側と呼び、ルーフ91側を向く側を裏側と呼ぶこととする。
車両用天井パネル10は、平面視長方形状をなしている。また、図1(B)に示されるように、車両用天井パネル10は、ルーフ91の膨出形状に対応させて、中央部が裏側に膨出した3次元形状をなしている。
図2に示されるように、車両用天井パネル10は、多層構造をなしている。具体的には、車両用天井パネル10は、発泡シート11に、1対の繊維シート12、ベース層13、裏側金属溶射層31、表側金属溶射層32、表皮材14が、積層されてなる。なお、発泡シート11が本開示の「発泡樹脂層」に相当する。
発泡シート11は、連続気泡構造の発泡体で構成されたシートである。本実施形態では、発泡シート11は、硬質ポリウレタンフォームである。発泡シート11の密度は、10~70kg/m、発泡シート21の厚みは、3~20mmが好ましい。
1対の繊維シート12は、発泡シート11の両面にバインダによって接着され、発泡シート11を補強している。繊維シート12としては、ガラス繊維がフェルト状に加工されたガラス繊維マットであってもよいし、ガラス繊維が格子状に織られてなるガラス繊維クロスであってもよい。繊維シート12の成形の観点からガラス繊維マットであることが好ましい。なお、繊維シート12の目付量は、強度と軽量化を考慮すると、50~250g/mであることが好ましい。
ベース層13は、1対の繊維シート12のうち裏側の繊維シート12の表面に貼り合わされて積層されている。ベース層13としては、通気性を有しない樹脂フィルムで構成されている。樹脂フィルムを構成する樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン等の樹脂が挙げられる。
表皮材14は、後述する表側金属溶射層32を積層した状態で、1対の繊維シート12のうち表側の繊維シート12の表面に対して表側金属溶射層32を挟んでバインダを介して貼り合わされる。表皮材14は、車室92の天井面を形成している。表皮材14としては、例えば、吸音性能や軽量化を考慮すると、不繊布やフェルト等の通気性のあるものが好ましい。
裏側金属溶射層31は、ベース層13の裏面に金属が溶射されることで積層されている。金属溶射では、ベース層13に多数の金属粒子33を衝突させる。そして、裏側金属溶射層31は、扁平につぶれた金属粒子33が堆積することで形成される(図3(A)参照)。本実施形態の裏側金属溶射層31は、アルミと亜鉛が混合した溶射層(以下、「アルミと亜鉛の混合溶射層」という)となっている。
裏側金属溶射層31の目付量は、車両用天井パネル10の遮熱性能の観点から、50g/m以上であることが好ましく、車両用天井パネル10の軽量化の観点から、300g/m以下であることが好ましい。
同様に、表側金属溶射層32も、金属が溶射されることで形成され、表皮層14の裏面に積層される。表側金属溶射層32もアルミと亜鉛の混合層となっている。
ここで、裏側金属溶射層31は、通気性を有しないベース層13に金属が溶射されて形成される一方、表側金属溶射層32は通気性を有する表皮材14に金属が溶射されて形成される。これにより、裏側金属溶射層31は、ベース層13に溶射される金属粒子33がベース層13の内部に浸透することが抑えられて厚みの均一化が図られる(図3(A)参照)のに対して、表側金属溶射層32は、一部の金属粒子33が、表皮材14の内部に進入し、隙間に入り込んでいる(図3(B)参照)。
次に、車両用天井パネル10の製造方法について説明する。車両用天井パネル10の製造方法は、積層工程S1と、成形工程S2と、成形後溶射工程S3とを有する。
積層工程S1では、発泡シート11、1対の繊維シート12、ベース層13、表皮材14が張り合わされて成形素材20が作成される。このとき、表皮材14には、繊維シート12が貼り合わされる面に、前もって金属溶射が行われて表側金属溶射層32が形成されている(図4参照)。
成形工程S2では、成形素材20が車両用天井パネル10の最終形状に成形される。具体的には、成形素材20が、ルーフパネル91に応じた長さにカットされ、成形金型40にて加熱プレス成形される。図5に示されるように、成形金型40は、車両用天井パネル10の表面側となる面を成形する上型41と、裏面側となる面を成形する下型42とからなり、上型41と下型42とで挟持されることにより加熱プレスが行われる。加熱プレス成形が終了すると、成形金型40から外される。
成形後溶射工程S3では、最終形状に成形された成形素材20に金属溶射が行われて、裏側金属溶射層31が形成される。具体的には、成形された成形素材20の最上面に配置されるベース層13にアルミと亜鉛の溶射が行われる(図6参照)。以上により、車両用天井パネル10が完成する。
ここで、本実施形態では、表側金属溶射層32及び裏側金属溶射層31としてどちらもアルミと亜鉛の混合層が形成される。具体的には、アルミと亜鉛のワイヤーを用いて両ワイヤー間にアークを発生させるアーク溶射により形成される。なお、金属溶射としては、電気を熱源とするアーク式溶射の他にも、燃焼ガスを熱源とするフレーム式溶射、高速フレーム式溶射、プラズマ溶射、RFプラズマ溶射、爆発溶射、線爆照射等を用いることができるが、アーク溶射は、金属溶射層の形成速度が速い点と、目付量を精度高く制御できる点で好ましい。
本実施形態の車両用天井パネル10の構成及びその製造方法に関する説明は以上である。次に、車両用天井パネル10及びその製造方法の作用効果について説明する。
本実施形態の車両用天井パネル10によれば、車両用天井パネル10の最上層にアルミを含む金属層を備えたので、ルーフに伝わった熱を反射することができ、車室内の温度が上昇することを抑えることができる。
ここで、金属層を積層させてから成形した場合、最上層に配置される金属層は、成型時に引き伸ばされることにより厚みが薄くなったり、あるいはクラックが発生することがある。このような場合、成形前の金属層よりも遮熱性能は低下してしまう。しかしながら、本実施形態の金属層は溶射により形成されるので、本実施形態の製造方法のように、裏側金属溶射層31を積層する前に車両用天井パネル10を最終形状に成形し、その後(成形後溶射工程S3)で、裏側金属溶射層31を積層することができる。この方法によれば、裏側金属溶射層31が引き伸ばされる工程がないので、裏側金属溶射層31が薄くなったり、クラックが生じて損傷する虞がなくなり、遮熱性能の低下を抑制することができる。
しかも、裏側金属溶射層31は通気性の低いベース層13に溶射されて形成される。ここで、発泡樹脂層のような多孔層上に金属溶射した場合には、多孔層の空孔に起因して、金属溶射層が薄くなったり、金属溶射層に金属が存在しない領域が発生して金属溶射層の厚みが不均一となったりすることがあるが、通気性の低いベース層13を備えることで、図3(A)に示されるように、溶射される金属粒子33がベース層13の内部に浸透することが抑えられ、厚みの均一化が図られる。これにより、遮熱性能の均一化や向上が図られる。
また、本実施形態の裏側金属溶射層31は、アルミと亜鉛を溶射して溶射層を形成している。アルミは660℃と高い融点を有しており、アルミだけで溶射層を形成した場合、溶射されるアルミの熱でベース層13が溶融し、ベース層13に孔が開くなど劣化する虞があるが、アルミよりも融点の低い亜鉛と共に溶射することで溶射の熱を下げることができ、ベース層13の劣化を抑制することができる。
そして、本実施形態では裏側金属溶射層31だけではなく、表側金属溶射層32も備えている。これにより、さらに遮熱性能の向上が図られる。
ここで、表側金属溶射層32は、表側金属溶射層32は通気性の高い表皮材14に形成されるため、図3(B)に示されるように、表側金属溶射層32の一部は、表皮材14の内部に進入し、隙間に入り込む。これにより、表側金属溶射層32は、通気性を有する層となり、車室内で発生した音の発泡樹脂層への透過が妨げられず、発泡樹脂層の吸音性能を維持することができる。また、表側金属溶射層32の一部が表皮材14の内部に入り込んでいるため、表側金属溶射層32が曲げられた場合に金属溶射層が剥離したり、金属溶射層にクラックが発生したりすることが抑制される。従って、成形工程S2において、発泡シート11等と一緒に成形することができる。
なお、本実施形態では、表側金属溶射層32については、裏側金属溶射層31とは異なり、成形前(積層工程S1)に形成される。表側金属溶射層32は、遮熱性能については裏側金属溶射層31の補助的な役割をなしており、成形時に伸びやクラックが生じたとしても、車両用天井パネル10全体の遮熱性能としては問題がない。しかも、上述したように、表側金属溶射層32の一部は、表皮材14の隙間に入り込んでいるので、表側金属溶射層32と表皮材14との密着性が高められ、成形時に表皮材14が曲げ変形されたとしても、金属粒子33間でクラックの発生が抑制される。
[確認実験]
上記実施形態の車両用天井パネル10について、裏側金属溶射層31及び表側金属溶射層32を備えることにより遮熱性能が向上することを実験により確認した。具体的には、図7に示されるように、裏側金属溶射層31を備えた試験サンプル(実験例1~3)と、裏側金属溶射層31及び表側金属溶射層32を備えた試験サンプル(実験例4~5)と、従来品と同じ裏側金属溶射層31を備えない試験サンプル(比較実験例1)とを作成し、各実験例について、遮熱性の評価実験を行った。
各実験例の試験サンプル50はいずれも、発泡シート11としての硬質ポリウレタンフォーム(厚み9mm)の両面に、繊維シート12としてのガラスマット(目付量150g/m)を積層し、さらに、ベース層13としてのPP樹脂フィルム(厚み30μm)と、表皮材14としての不繊布(厚み100μm)を積層した。
実験例1~3の試験サンプルは、ベース層13の上に金属溶射により裏側金属溶射層31を形成した。実験例1,2の試験サンプルは、裏側金属溶射層31として、1層のアルミ(AL)と亜鉛(Zn)の混合溶射層とした。実験例3の試験サンプルは、裏側金属溶射層31として、ベース層13に亜鉛を溶射してなる亜鉛溶射層を積層し、さらにその上にアルミを溶射してなるアルミ溶射層を積層した2層構造の金属溶射層とした。実験例4の試験サンプルは、実験例1の裏側金属溶射層31に加え、実験例1の裏側金属溶射層31と同じ構成の表側金属溶射層32を設け、実験例5の試験サンプルは、実験例2の裏側金属溶射層31に加え、実験例2の裏側金属溶射層31と同じ構成の表側金属溶射層32を設けた。
なお、各裏側金属層のアルミと亜鉛の組成比及び膜厚は、図7及び以下の通りである。実験例1のアルミと亜鉛の混合溶射層は、総目付量79g/m(アルミの目付量22g/m、亜鉛の目付量57g/m)とした。実験例2のアルミと亜鉛の混合溶射層は、総目付量205g/m(アルミの目付量56g/m、亜鉛の目付量149g/m)とした。実験例3のアルミと亜鉛の各金属の積層溶射層は、総目付量203g/m(亜鉛の目付量161g/m(下側層)、アルミの目付量42g/m(上側層))とした。実験例4は、実験例1の裏側金属層(アルミと亜鉛の混合溶射層)に加え、表側金属層として、実験例1の裏側金属層と同じアルミと亜鉛の混合溶射層(総目付量79g/m(アルミの目付量22g/m、亜鉛の目付量57g/m)を設けた。実験例5は、実験例2の裏側金属層(アルミと亜鉛の混合溶射層)に加え、表側金属層として、実験例2の裏側金属層と同じアルミと亜鉛の混合溶射層(総目付量205g/m(アルミの目付量56g/m、亜鉛の目付量149g/m)を設けた。なお、実験例4及び5の表側金属層は、表皮材14の裏側に金属溶射を行って成形したものを成形工程S2において、発泡シート11等と一緒に成形した。
遮熱性の評価は、以下の手順で行った。図8に示されるように、まず、長さ500mm、幅500mm及び高さ500mmの直方体状である一面が開放した試験用ボックス60を用意し、試験用ボックス60の開放面に鉄板70(厚み0.6mm)を配置し、200mm×300mmにカットした試験サンプル50を裏側金属溶射層31が鉄板70に対向するように固定した。そして、試験用ボックス60の外方から鉄板に向けて赤外線を照射し、鉄板の温度が100℃となるように設定した。
このとき、試験サンプル50の下面は、鉄板70の上面から40mm(試験サンプル50の上面は31mm)離れた位置に固定され、赤外線を照射して60分間放置した後、鉄板70の温度(I 鉄板、図8参照)及び各試験サンプルの下面(II 鉄板下40mm(A)、図8参照)及び鉄板70から90mm離れた位置(III 鉄板下90mm(B)、図8参照)の温度をそれぞれ測定した。なお、鉄板から40mm離れた位置での試験サンプル50の温度と鉄板70の温度との温度差ΔT(I-II)、及び、鉄板から90mm離れた位置での温度と鉄板70の温度との温度差ΔT(I-III)を算出して、この値で評価を行った。
図7には、各実験例の評価結果が示されている。評価は、温度差ΔTが、25℃以上のものを良好(「〇」)、25℃より小さいものを不良(「×」)とした。さらに、実験例1~5について従来品(比較実験例1)よりどれくらい良くなったかの評価も行い、各実験例の温度差ΔTと比較実験例1のΔTとの差をΔT(各実験例―比較実験例1)として算出し、その差が2℃以上のものを優良(「◎」)、2℃より小さいものを良好(「〇」)とした。
図7の結果から、車両用天井パネルに備えた金属溶射層が遮熱効果を発揮することが確認できた(実験例1~5)。特に、裏側金属溶射層と表側金属溶射層とを備えた車両用天井パネル(実験例4~5)は、裏側金属溶射層のみを備えた車両用天井パネル(実験例1~3)に比べ、遮熱効果の向上が確認できた。また、金属溶射層として、亜鉛とアルミが混合した構成と、亜鉛の層とアルミの層の2層構造の構成を比較した場合、膜厚が略同じであれば、その効果はほとんど変わらないことが分かった。
[他の実施形態]
(1)上記実施形態において、裏側金属溶射層31及び表側金属溶射層31はアルミと亜鉛が混合した1層の金属溶射層であったが、ベース層13に亜鉛を溶射してなる亜鉛溶射層を積層し、さらにその上にアルミを溶射してなるアルミ溶射層を積層した2層構造の金属溶射層としてもよい。このような構成としても、図7の実験例3に示されるように、遮熱性の評価を良好にすることが可能である。
(2)表側金属溶射層32が設けられていなくてもよい。
(3)上記実施形態では、裏側金属溶射層31が、車両用天井パネル10の最外層を構成していたが、裏側金属溶射層31が例えば、ホットメルト樹脂等の保護層で覆われた構成としてもよい。このような構成にすることで、裏側金属溶射層31の一部が脱落することを抑えることができる。
(4)上記実施形態において、発泡シート11が複数枚積層されていてもよい。その際、発泡シート11同士の樹脂の種類や特性(密度、硬さ、通気性、厚み等)が同じでもよいし、異なっていてもよい。また、複数の発泡シート11の間に繊維シート12が挟まれていてもよい。
(5)上記実施形態では、発泡シート11を挟む繊維シート12が、1対配置されていたが、2対以上配置されていてもよいし、発泡シート11に対して厚み方向で一方又は他方にのみ複数枚配置されていてもよい。
(6)発泡シート11が、非発泡体のシート(例えば、樹脂シートやゴムシート等)であってもよい。また、発泡シート11は、複数のシートが積層された構成であってもよい。
(7)金属溶射層は、3層以上設けてもよい。この場合、通気性の高い発泡シート11又は繊維シート12に金属溶射層を施すことで、成形工程S2で一体成形することができる。
10 車両用天井パネル
11 発泡シート(発泡樹脂層)
91 ルーフ
31 裏側金属溶射層
32 表側金属溶射層

Claims (3)

  1. 両のルーフに対応した3次元形状をなして、前記ルーフの下面に対向配置される車両用天井パネルであって、
    発泡樹脂層を含むコア層と、
    前記コア層の前記ルーフ側にアルミ及び亜鉛を溶射してなり、最上層として構成される上側金属溶射層と、
    前記コア層の車内側に積層され、車内の内装として構成される表皮材と、
    前記表皮材の前記ルーフ側に少なくともアルミを含む金属を溶射してなる下側金属溶射層と、
    を備える車両用天井パネル。
  2. 発泡樹脂層を含む多層構造でかつ車両のルーフに対応した3次元形状をなして、前記ルーフの下面に対向配置される車両用天井パネルであって、
    前記ルーフ側の最上層は、前記多層構造のうち上から2番目の層にアルミ及び亜鉛を溶射してなる金属溶射層であり、
    前記金属溶射層は、亜鉛を溶射してなる亜鉛溶射層の上にアルミを溶射してなるアルミ溶射層を備えてなる車両用天井パネル。
  3. 発泡樹脂層を含む多層構造でかつ車両のルーフに対応した3次元形状をなして、前記ルーフの下面に対向配置され、前記ルーフ側の最上層が、アルミ及び亜鉛からなる金属溶射層である車両用天井パネルの製造方法であって、
    前記最上層の金属溶射層を除く全体を3次元形状に成形したものの上面に、アルミ及び亜鉛を溶射して、前記最上層である金属溶射層を積層する車両用天井パネルの製造方法。
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