JP5956722B2 - 室内面構造及びその作成方法 - Google Patents

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本発明は、室内と外気との間の熱の伝導を遮断するための遮熱断熱積層体が室の天井面、壁面、床面などの囲い面に配された室内面構造に関する。
従来、住宅の壁に用いる断熱材としては、グラスウールを樹脂フィルムやアルミシートで覆った断熱材や、発泡ウレタン製等の発泡樹脂体層からなる断熱材が知られており、これらの断熱材は例えば外壁板と内壁板間に挟んで用いられる。(例えば、特許文献1参照)
なかでも、吹き付けにより現場発泡させる発泡樹脂を用いたものは、高気密性と高断熱性から広く採用されている。
例えば、発泡ウレタン製の硬質の断熱材を用いた断熱壁構造が、一般的には、前駆体を面材表面に吹き付け硬化させることにより形成される。(例えば、特許文献2参照)
面材としては一般に合板や樹脂ネットが用いられるが、合板は発泡体との接合力が弱く剥離するおそれがある。また、樹脂ネットはコスト面で有利であるが合板使用の場合より断熱性に劣り、さらに、合板使用の場合は通気が遮断されるので室内側での結露の問題を生ずる場合がある。
特開2000−271944号公報 特開2006−057398号公報
本発明の目的は、発泡樹脂を断熱材として用いた、外部からの輻射熱を遮る機能に優れ、室内側での結露の問題が少なく、発泡樹脂前駆体の吹き付け対象の面材との接合力の強い、室の天井面、壁面、床面から選択される囲い面に配された室内面構造及びその作成方法を提供することである。
本発明の要旨とするところは、波形形状に成形された波段部と平板部とが貼り合わされてなる片面段ボール紙の該平板部がわに金属蒸着層を備えた不織布が該金属蒸着層を外側にして貼合された遮熱シートと該遮熱シートの該波段部がわに該波段部の表面の全面に密接して積層された発泡樹脂体層とからなる遮熱断熱積層体が、前記金属蒸着層を室の外側にして室の天井面、壁面、床面から選択される囲い面に配された室内面構造であることにある。
前記囲い面は天井面であり得る。
また、本発明の要旨とするところは、前記室面構造が室内空間に面するボードと該ボードに結合して該ボードを固定する該ボードの面方向に一巡する枠材からなる枠体とを備え、前記遮熱シートが前記枠体の前記室内空間に面する側と反対側の面から蓋するように前記枠体に前記波段部を内側にして貼合され、前記枠体の内側面と前記遮熱シートと前記ボードに囲まれた空間に前記発泡樹脂体層が充填された前記室内面構造であることにある。
さらに、本発明の要旨とするところは、前記室内面構造の作成方法であり、前記囲い面に配されて前記ボードが結合される前の前記枠体に、前記枠体の前記室内空間に面する側と反対側の面から蓋するように前記遮熱シートを前記波段部を内側にして貼合し、発泡樹脂の前駆体を前記遮熱シートに向けて吹き付けて前記枠体の内側面に囲まれた空間に充填し発泡、硬化させ、その後前記ボードを前記枠体に結合させる室内面構造の作成方法であることにある。
本発明によると、発泡樹脂からなる断熱材を用いた、外部からの輻射熱を遮る機能に優れ、室内側での結露の問題が少なく、発泡樹脂前駆体の吹き付け対象の面材との接合力の強い、室の天井面、壁面、床面から選択される囲い面に配された室内面構造及びその作成方法が提供される。
本発明の室内面構造の構成要素である枠体の構造を示す斜視模式図である。 本発明の室内面構造が作成される過程を説明する、図1のA−A断面方向の断面端面図である。 本発明の室内面構造が作成される過程を説明する、図2から操作が進行した状態の断面端面図である。 本発明の室内面構造が作成される過程を説明する、図3からさらに操作が進行した状態の断面端面図である。 本発明の室内面構造の態様を示す、図1のA−A断面方向の断面図である。 本発明の室内面構造の他の態様を示す、図1のA−A断面方向の断面図である。 実験例1に用いた装置の構成を示す説明図である。 実験例2の実験の構成を示す説明図である。
本明細書においては、室内面は、室の天井面、壁面、床面から選択される囲い面をいい、室内面構造はこれらの面の構造をいう。なお、これらの面の構造は、単なる幾何学的平面ではなく、2次元的に広がる所定の厚みを有する構造をいう。
本発明の室内面構造を明らかにするために、その作成過程の一例を説明する。
図1は本発明の室内面構造の構成要素である枠体4の構成を示す要部斜視模式図である。囲い面が床面である場合は、枠体4は床根太5と、その床根太と直交する根太7とから構成される。囲い面が壁面である場合は、枠体4は立て枠5aと立て枠5aと直交する枠材7aとから構成される。囲い面が天井面である場合は、枠体4は天井根太5bと天井根太5bと直交する枠材(梁)とから構成される。
床根太、立て枠、天井根太は例えば、建築学便覧II(発行:丸善株式会社;第2版333頁)に記載されており、本明細書における上記床根太、立て枠、天井根太はこれら記載の部材やその部材に相当するもの、あるいは類似するものである。
一般には、枠体4は囲い面に平行に広がる格子状の構造の単位となっており、床では床板がその格子の上面に積貼される。壁では、格子の内側に室内空間に面した壁板が積貼される。天井では、格子の下側に室内空間に面した天井板が積貼される。床板、壁板、天井板をボードと称する。
ステップ1:囲い面に配されてボード2が結合される前の枠体4に蓋するように遮熱シート8を貼合する。枠体4はその一巡方向を囲い面の面方向と平行にして囲い面に配されている。
遮熱シート8は枠体4の内側面10に囲まれた空間12に蓋するように、枠体4の室内空間に面する側と反対側の面6から配される。(図2)
遮熱シート8は、波形形状に成形された波段部16と平板部18が貼り合わされてなる片面段ボール紙20の平板部18のがわに不織布22が貼合されてなる。不織布22の片面には金属蒸着層24が形成されており、不織布22は金属蒸着層24を外側にして片面段ボール紙20と貼合されている。
ステップ2:硬質発泡ウレタンの前駆体30を吹き付けガン32を用いて室内空間がわから硬質発泡ウレタンの前駆体を遮熱シート8に向けて吹き付けて枠体4の内側面に囲まれた空間12に充填する。(図3)
充填された硬質発泡ウレタンの前駆体が発泡、硬化し硬質発泡ウレタンからなる発泡樹脂体層34が形成される。これにより、図4に示すように、発泡樹脂体層34の上面が片面段ボール紙20の波段部16の表面に密接して接合された状態で、遮熱シート8と発泡樹脂体層34とが積層される。(図4)
ステップ3:すべての必要な空間12に発泡樹脂体層34を形成したのち、ボード2を枠体4に積貼する。ボード2は室内がわから枠体4の空間12に蓋するように枠体4の室内空間に面するがわに積貼される。(図5)
これにより、遮熱シート8の波段部16がわに波段部16の表面の全面に密接して発泡樹脂体層34が積層されてなる遮熱断熱積層体36が、金属蒸着層24を室の外側にして室の天井面、壁面、床面から選択される囲い面に配された本発明の室内面構造44が作成される。
なお、本発明の室内面構造は、囲い面が壁面あるいは天井面である場合は、ボード2の取り付けが省略された態様もあり得る。また、片面段ボール紙20は、囲い面が壁面である場合などはとくに、防水加工されたものであることが好ましい。
さらに、ステップ4として、図6に示すように、室外がわから枠体4の空間12に蓋するように枠体4の室外空間に面するがわに遮蔽ボード2aが積貼されてもよい。すなわち、本発明の室内面構造は、発泡樹脂体層34がボード2と遮蔽ボード2aとに、遮熱シート8を介在させて挟まれた構成であってもよい。
本発明の室内面構造44は、発泡樹脂体層34及び片面段ボール紙20の波段部16と平板部18との間に形成されたトンネル状空間39による含気構造によりもたらされる優れた断熱性を有するのみならず、発泡樹脂体層34が波段部16の表面の全面に密接していることにより、発泡樹脂体層34と遮熱シート8の強固な接合が実現される。波段部16が紙製であることにより紙を構成するパルプ間の微孔空隙に発泡樹脂が食い込んで発泡樹脂体層34と波段部16との接合力が大きくなっているとともに、波段部16は波型であることにより発泡樹脂体層34との接触面積が、互いが平面である場合に比べて大きいことにより、発泡樹脂体層34と波段部16との接合力が大きくなっている。
さらに、遮熱シート8は通気性を有する不織布と吸湿性を有する片面段ボール紙20との積層物であり、片面段ボール紙20が外気の湿気を吸収して室内の湿度上昇を防ぐ効果を有する。また、片面段ボール紙20が室内の湿気を吸収して結露等のトラブルを防止する効果を有する。
加えて、遮熱シート8の室外がわの最外層には金属蒸着層24が形成されているので、外からの輻射熱を反射することにより輻射熱の室内への侵入を遮断する効果を有する。
このような優れた効果を有する本発明の室内面構造44は、天井面、壁面、床面等の室の囲い面に適用されて室内の空調された環境を維持する目的に好適に使用することができる。特に、天井面に配された場合は、日射熱の遮熱が効果的に行われる。
本発明に用いる発泡樹脂としてはウレタン系の発泡樹脂のほかに、フェノール系の発泡樹脂が挙げられる。ポリイソシアヌレート系の発泡樹脂やポリオレフィン系の発泡樹脂であってもよい。発泡樹脂片あるいはビーズと接着剤と発泡剤を含む前駆体を対象物に吹き付けて硬化させる態様であってもよい。
なかでも、硬質ウレタン発泡樹脂が好ましい。硬質ウレタン発泡樹脂は、ポリオール成分に、ポリオール、触媒、減粘剤、難燃剤、発泡剤等が配合され、これとポリイソシアネート成分が混合されて発泡・硬化され、その密度は20〜50kg/m 3 であることが好ましい。
本発明に用いる不織布としては湿式不織布、乾式不織布が挙げられるが、なかでもスパンボンド不織布が好ましい。不織布の目付は20〜200g/m であることが好ましい。
金属蒸着層24は光沢を有する金属からなるものであるが、コストや製造の容易さからアルミニウムを蒸着して形成されたものが好ましい。
本発明の効果は以下に示す実験例により明らかである。
実験例1
試料
試料A:図2に示す遮熱シート8と同様の構成の遮熱シートを試料Aとして用いた。片面段ボール紙20の平板部18には厚さ0.2mmの板紙を用い、波段部16としては波の高さが3mmの中芯を用いた。各層間は目付5g/mのホットメルトスプレイウエブを介して接着した。不織布22としては目付30g/mのスパンボンド不織布を用い、金属蒸着層24としてその不織布の表面にアルミ蒸着を施した。
試料B:試料Aにおける片面段ボール紙に代えてその片面段ボール紙の平板部(18)と同じ板紙を用い、アルミ蒸着された不織布、板紙の2層構造としたものを用いた。
試料C:試料Aにおけるアルミ蒸着されたスパンボンド不織布に代えてアルミ蒸着されたポリエステルフィルム(PETフィルム:厚さ25μm)を用い、アルミ蒸着フィルム、片面段ボール紙の2層構造としたものを用いた。
実験装置
図7に示すボックス101を用いた装置により本発明の室内面構造をモデル的に再現して加湿の実験を行った。ボックス101は、内のり寸法が高さ320mm×縦幅270mm×横幅270mmであり、正方形の底面104から120mm上方に試料106を蒸着面を上向きにして設置し、蒸着面と反対側に断熱材として密度20kg/m、厚さ20mmの発泡ウレタン層110を密着積層した。試料106は正方形でありサイズは底面104のサイズと同じものである。また、試料106の上方100mmのところに2メッシュの金網109を張った。
実験操作
(1)−20℃に冷却した市販の保冷材108(500g)を金網109上に載置した。
(2)トレイ111に200ccの沸騰した湯112を入れてただちに底面104に設置した。
(3)それとともに、保冷材108による冷気が試料106に達するように、ボックス101の上部空間116に室内の空気を連続的に送風してボックス101内の空気を移動させた。この状態を5分間継続した。
(4)湯112を入れたトレイ111をボックス101から取り出した。この(2)〜(4)の操作を3回くりかえしたのち、試料106の表層部(金属蒸着層がわ)、裏層部、層間部の状態を目視と触感で調べた。
実験結果
実験結果を表1に示す。表中、○は湿気によるダメージが試料にほとんどなく試料は良好な状態が維持されている、△は、湿気によるダメージが試料にやや認められ試料は良好な状態が維持されていない、×は湿気による著しいダメージが試料に認められ試料の状態がきわめて不良である、を示す。
Figure 0005956722
このように本発明の室内面構造をモデル的に再現した実験により、図2に示す遮熱シート8を用いた面構造において、片面段ボール紙20が室内の湿気を吸収して結露等のトラブルを防止する効果を有することが確認された。また、片面段ボール紙20のかわりに板紙を使用した場合や、金属蒸着不織布のかわりに金属蒸着フィルムを用いた場合は、遮熱シートに湿気によるダメージが認められることがわかった。
実験例2
試料(サイズ:300mm×300mm)
試料1:実験例における試料Aの片面段ボール紙がわの面に厚さ45mm、密度30kg/mのウレタンフォーム層を吹き付けにより形成したもの。
試料2:試料1からアルミ蒸着された不織布を取り除いた構造のもの。
試料3:厚さ3mmのベニヤ板の片面に試料1に用いたと同様のウレタンフォーム層を吹き付けにより形成したもの。
試料4:厚さ30μmのポリエチレン透湿フィルムに目付40g/mのPETスパンボンド不織布をラミネートした複合シートの不織布がわに試料1に用いたと同様のウレタンフォーム層を吹き付けにより形成したもの。
実験操作
図8に示す配置で、前面に熱放射するタイプの電気ストーブ201(1050W)と試料202を配置した。試料202はウレタンフォーム層の反対がわの面が電気ストーブ201の前面に面するように配置し、電気ストーブ201と試料202との距離Dを500mmとした。
電気ストーブ201を20分間ON状態にすることにより試料202に赤外線を照射し、照射後の試料202のウレタンフォーム層がわの面の温度をサーモグラフィで測定した。
実験結果
実験結果(温度測定結果)を表2に示す。
Figure 0005956722
表2より、図2に示す遮熱シート8を用いた面構造(試料1)が良好な遮熱性を有することが示された。
実験例1、2から、本発明の室内面構造に用いる図2に示す遮熱シート8を用いた面構造が優れた遮熱性を有しかつ結露に対する耐湿性を備えていることが示された。
その他、本発明は、主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
本発明は建造物に限らず、断熱壁を必要とする容器、遮蔽壁等の構造に適用できる。
2:ボード
4:枠体
8:遮熱シート
12:空間
16:波段部
18:平板部
20:片面段ボール紙
22:不織布
24;金属蒸着層
30:前駆体
34;発泡樹脂体層
36;遮熱断熱積層体
44:室内面構造
101:ボックス
108:保冷材
109:金網
111:トレイ
112:湯
201:電気ストーブ
202:試料


Claims (3)

  1. 室内空間に面するボードと、
    前記ボードの面方向に一巡する状態で該ボードに結合された枠材と、
    前記枠材を介して前記ボードと並行する遮熱シートと、
    前記枠材、前記遮熱シート、及び前記ボードに囲まれた空間に充満された発泡樹脂層と、
    を備え、
    前記遮熱シートは、
    波板状であり、内側面が前記発泡樹脂層に密着した波段部、及び該波段部の外側面に貼り合わされた平板部を有する片面段ボール紙と、
    前記片面段ボール紙の平板部の外側面に貼り合わされた不織布と、
    前記不織布の外側面に形成された金属蒸着層と、
    を備える室内面構造。
  2. 前記遮熱シートの外側に貼り合わされた遮ボードを備える請求項1に記載の室内面構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の室内面構造の作成方法であり、前記室内空間に面するボードが結合される前の前記枠材の室外側に、前記波段部を室内側に向けた前記遮熱シートを貼合し、発泡樹脂の前駆体を前記遮熱シートに向けて吹き付けて前記枠材に囲まれた空間に充填し発泡、硬化させて前記発泡樹脂体層となし、その後前記室内空間に面するボードを前記枠材に結合させる室内面構造の作成方法。
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