JPH0213255Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両緊急時の乗員保護用シートベルト
装置に用いられて乗員拘束用ウエビングを折返し
て支持するウエビング折返し装置に関する。

シートベルト装置ではウエビング中間部がタン
グプレート、スルーリング等で折返されて車体へ
支持されている。

この折返し部は車体通常時には乗員の運転姿勢
変更等によりウエビングの装着長さが変更される
場合のウエビング長手方向移動を円滑にし、かつ
車両緊急時には乗員の慣性力で生ずるウエビング
張力を確実に車体へ伝達させるために、強固な構
造とすることが必要である。

このため従来、車体へ固着される心金へ直線状
長孔を穿設し、この心金へ全体的に薄肉の合成樹
脂を被覆した折返し装置が用いられている。これ
によつてウエビングは車両通常時に被覆合成樹脂
の表面を円滑に摺動して移動することができ、車
両緊急時には心金を介してウエビング張力を確実
に車体へ支持させることができるようになつてい
る。

ところがこのような従来の折返し装置では、車
両緊急時にウエビング張力がウエビングを幅方向
に移動させる力となつて作用し、ウエビングが幅
方向に片寄ることがあり乗員が適切なウエビング
拘束状態とならないこともある。

このため従来、ウエビング折返し長孔を円孤状
に形成して車体緊急時にもウエビングが幅方向に
移動しない構造も考えられるが、ウエビング案内
用長孔を円孤状にした場合には、車両通常時にウ
エビングの円滑な長手方向移動を妨げる原因とな
る。

本考案は上記事実を考慮し、車両通常状態では
円滑なウエビング長手方向移動を可能とし、車両
緊急時にはウエビング張力を確実に車体へ支持さ
せると共にウエビングの幅方向移動を阻止するウ
エビング折返し装置を得ることが目的である。

本考案に係るウエビング折返し装置では心材へ
支持される柔軟巻掛部を設けて、この心材へ巻き
掛けられるウエビングに大きな張力が作用した場
合には柔軟巻掛部を屈曲させてウエビングの幅方
向移動を停止するようになつている。

以下本考案の実施例を添付図面に従い説明す
る。

第１図には本考案に係るウエビング折返し装置
がリングジヨイント１０へ適用されたシートベル
ト装置が示されている。

このシートベルト装置では乗員拘束用ウエビン
グ１２でシート１４へ着座した乗員１６を車両緊
急時に拘束状態とするようになつている。このウ
エビング１２の一端は車体側壁１８へ固着された
アンカープレート２０へ係止されており、中間部
はタングプレート２２、リングジヨイント１０で
折返された後に巻取装置２４へ巻き取られてい
る。この巻取装置２４は車体側壁１８へ取りつけ
られており、ウエビング１２の一端を付勢力で巻
き取るが、車両緊急時にはウエビング１２の巻き
出しを瞬時に停止させるイナーシヤロツク機構が
内蔵されている。

またタングプレート２２はバツクル装置２６へ
係合可能であり、このバツクル装置２６は車両略
中央部の床部から突出されるトンネル部２８へ固
着されてシート１４の側方に立設している。

リングジヨイント１７について第２，３図に従
い詳細に説明する。このリングジヨイント１０は
心材である金属板３０と被覆合成樹脂３２とを有
している。

金属板３０は所定肉厚の板材から打抜かれた形
状であり、一端部に円孔３４が穿設されており、
この円孔３４へは第１図に示される如くボルト３
６が適用されてリングジヨイント１０を車体側壁
１８へ回転可能に、又は回転不可能に取りつける
ようになつている。

またこの金属板３０には中間部に貫通長孔３８
が穿設されてウエビング１２の挿入用となつてい
る。

金属板３０には円孔３４が穿設される付近を除
いて柔軟合成樹脂３２が被覆されており、この部
分の金属板表面を覆つている。この被覆合成樹脂
３２には金属板３０の貫通長孔３８内を貫通する
２個の長孔４０，４２が穿設されている。貫通長
孔４０は貫通長孔４２よりも円孔３４寄りに配置
されており、リングジヨイント１０の車体側壁１
８への取り付け状態でこの長孔４０の長手軸線が
略水平となるように配置されている。貫通長孔４
２はこの貫通長孔４０とほぼ平行状態であるが、
車体への取り付け状態で下方向に位置する内周面
は円孔３４方向に回転中心を有する曲線状となつ
ている。

被覆合成樹脂３２へ一対の長孔４０，４２が穿
設されることにより、この長孔４０，４２間の被
覆合成樹脂は柔軟巻掛部４４を構成している。従
つてこの柔軟巻掛部４４は両端部が金属板３０へ
取りつけられており、中間部がウエビング１２の
巻掛部となつている。

またこの柔軟巻掛部４４は第２図に示されウエ
ビング１２の長手軸線に沿つた断面で理解できる
ように幅寸法が他の被覆合成樹脂部分よりも大き
くなつており、かつウエビング１２の巻掛面であ
る上面が大きな円孤を呈している。

この柔軟巻掛部４４の強度は車両通常時に生ず
るウエビング１２の長手方向移動によるウエビン
グ張力によつては大きな撓みを発生することはな
いが、車両緊急時にウエビング１２へ大きな張力
が生ずると、第４図に示される如く中間部が長孔
４２を、縮小する方向に撓んで、即ち下方向に凸
形状となつてウエビング巻掛部をウエビング幅方
向中間部が凹んだ状態とするようになつている。

この実施例のシートベルト装置では、乗員１６
がシート１４へ着座した後にタングプレート２２
をバツクル装置２６へ係合させれば第１図に示さ
れる如く３点式のシートベルト装置装着状態とな
ることができる。即ちウエビング１２はアンカー
プレート２０とタングプレート２２との間がラツ
プウエビングとして、タングプレート２２とリン
グジヨイント１０との間のウエビングがシヨルダ
ーウエビングとして作用することになる。

車両通常時には乗員１６がシート１４の車体へ
の取り付け位置を調節したり、運転姿勢を変更す
るが、この場合に生ずるウエビング１２の長手方
向移動時には、リングジヨイント１０の柔軟巻掛
部４４が第２，３図に示される如く直線状態であ
るため、ウエビング１２は円滑に長手方向に移動
して乗員の動作を妨げたり巻取装置２４へのウエ
ビング巻取動作を妨げることはない。

車両が衝突等の緊急状態に陥ると乗員１６は慣
性力で衝突方向に激しく移動する。これと同時に
巻取装置２４は内蔵されたイナーシヤロツク機構
の作動でウエビング１２の引出しを瞬時に停止す
る。

従つてウエビング１２には大きな張力が生ず
る。この張力は第４図に示される如く柔軟巻掛部
４４へ作用して柔軟巻掛部４４の中間部を屈曲さ
せる。この結果ウエビング巻掛部はこの変形に応
じて幅方向中間部が凹んだ状態となり、ウエビン
グ張力はウエビング１２の幅方向移動を阻止し、
ウエビング１２を柔軟巻掛部４４のほぼ中央部へ
巻き掛けた状態に維持する。

これによりウエビング１２が幅方向に片寄りを
生ずることはなく、この柔軟巻掛部４４の変形量
が大きい場合には撓んだ柔軟巻掛部４４が長孔４
２を密着させてウエビング張力を金属板３０へ伝
えるので、乗員１６は確実な拘束状態が維持され
て安全が確保できる。

なお上記実施例では本考案がリングジヨイント
１０へ適用された実施例を示したが、本考案はリ
ングジヨイント以外にもウエビング中間部を折返
して支持するタングプレート２２等の他の部分へ
も適用可能である。また本考案に係る柔軟巻掛部
４４はウエビングの長手方向移動時に回転して摩
擦抵抗を減少させるローラ形状であつてもよい。

以上説明した如く本考案に係るウエビング折返
し装置はウエビング折返し部に柔軟巻掛部を設け
たので、車両通常時には円滑にウエビング中間部
を折返して案内することができ、かつ車両緊急時
にはウエビングの幅方向移動を阻止することがで
きる優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るウエビング折返し装置が
適用されたシートベルト装置を示す車両側方から
みた正面図、第２図は第１図−線断面に相当
するリングジヨイントの断面図、第３図は第２図
左側面図、第４図は柔軟巻掛部の変形状態を示す
第３図に相当する側面図である。 １０……リングジヨイント、１２……ウエビン
グ、１６……乗員、３０……金属板、３２……被
覆合成樹脂、３４……円孔、３８，４０，４２…
…貫通長孔、４４……柔軟巻掛部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 乗員拘束用ウエビングの中間部を折返して支
   持するウエビング折返し装置であつて、車体へ
   取りつけられる心材と、両端部がこの心材へ支
   持されウエビングの張力増大時に中間部が撓ん
   でウエビング折返し部を屈曲させる柔軟巻掛部
   とを有するウエビング折返し装置。 (2) 前記柔軟巻掛部は心材への被覆樹脂と一体的
   に形成されることを特徴とした前記実用新案登
   録請求の範囲第１項に記載のウエビング折返し
   装置。 (3) 前記柔軟巻掛部は心材への被覆樹脂へ一対の
   穴部が形成されることにより構成されることを
   特徴とした前記実用新案登録請求の範囲第１項
   に記載のウエビング折返し装置。 (4) 前記心材には貫通孔が穿設され、この心材へ
   被覆される樹脂には前記貫通孔内を貫通する一
   対の貫通孔が穿設されることにより、この一対
   の貫通孔間の被覆樹脂が前記柔軟巻掛部とされ
   ることを特徴とした前記実用新案登録請求の範
   囲第１項に記載のウエビング折返し装置。