JPH0225287Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車両緊急時の乗員保護用シートベルト
装置に用いられるバツクル係合用のタングプレー
トに関する。

〔背景技術〕

シートベルト装置ではタングプレートとバツク
ル装置との係合によつて乗員へウエビングを装着
させるようになつている。

タングプレートは連続３点式のシートベルト装
置に用いられるウエビングの中間部を移動可能に
案内するために隣接した２個の長孔を形成したも
のが多い。このタングプレートでは、乗員がウエ
ビングの装着を解除した場合にウエビングが巻取
装置の巻取付勢力で巻き取られると、ウエビング
中間部に張力が生ずるので、タングプレートはウ
エビング中間部へ保持されて不用意にウエビング
に沿つて滑り落ちることはない。

ところが第５図に示される如くタングプレート
１０をバツクル１２へ係合してウエビング１４の
装着状態となると、ウエビング１４はタングプレ
ート１０の長孔１６，１８との接触面積が大きく
なつたり、折り返し部付近で互いに重なり合つて
摩擦抵抗が大きくなる。このため折り返し部の片
側にあるシヨルダーウエビングが他の片側にある
ラツプウエビング方向へ、又はラツプウエビング
がシヨルダーウエビング方向へ移動することがで
きなくなり、乗員の身動きが阻害される。

なお第５図に想像線で示される如く、タングプ
レート１０のバツクル１２と反対側の端部のみを
屈曲させてウエビング装着時の低減を図つたもの
もあるがこの場合には非装着時におけるウエビン
グとの摩擦力が弱くなり、タングプレートが床上
へ落下する原因となる。

本考案は上記事実を考慮し、ウエビング装着解
除状態にはウエビング中間部に確実に保持される
と共に、ウエビング装着時にはウエビングが折り
返し部を介して長手方向へ容易に移動可能なタン
グプレートを得ることが目的である。

〔考案の概要及び作用〕

本考案はバツクル装置へ係合される係合部と、
この係合部と一体的に連結されて乗員に装着され
るウエビングの中間部が巻き掛けられてウエビン
グをラツプウエビングとシヨルダウエビングとに
区画する平板状のウエビング取付部と、を備え、
前記ウエビング取付部には係合部側に形成される
第１の長孔と、この第１の長孔よりも係合部と離
間して形成される第２の長孔と、前記係合部と第
１の長孔との間に設けられてラツプウエビング方
向からシヨルダウエビング方向に向かうウエビン
グが当接するラツプウエビング案内部と、このラ
ツプウエビング案内部に当接したウエビングが前
記第１の長孔を介してウエビング取付部の一方の
面から他方の面に向かつて挿通されると共に前記
第２の長孔を介して前記他方の面から前記一方の
面に向かうことによりウエビングが巻き掛けられ
るウエビング巻掛部と、前記第２の長孔を挿通し
たウエビングが当接するシヨルダウエビング案内
部と、を設けたタングプレートであつて、前記ラ
ツプウエビング案内部の前記一方の面近傍にはウ
エビング巻掛部に向かつて突片を設けると共に前
記第２の長孔及びシヨルダウエビング案内部をウ
エビング巻掛部に巻き掛けられたウエビングが第
２の長孔に挿通される方向と反対方向に傾斜する
ように設けたことを特徴としている。

このためこのタングプレートは、乗員がウエビ
ングを装着するべくバツクル装置へ係合部を係合
した状態では、第２の長孔及びシヨルダウエビン
グ案内部はウエビングが第２の長孔に挿通される
方向と反対方向に傾斜しているので、シヨルダウ
エビングはウエビング折返し部から乗員装着部へ
と至る間でシヨルダウエビング案内部へ接触しな
いか、弱く接触することになつて、タングプレー
トとの間の摩擦力が小さくなる。従つてシヨルダ
ウエビングがウエビング折返し部を周回して容易
にラツプウエビング方向へと移動できる。

また乗員がウエビングの装着を解除し、ウエビ
ングの一部を巻取装置へと巻取られるとウエビン
グには巻取装置の張力が作用するので、シヨルダ
ウエビングはシヨルダウエビング案内部へ、ラツ
プウエビングはラツプウエビング案内部へ当つて
摩擦力でタングプレーをウエビング中間部へ係止
することになる。この場合、シヨルダウエビング
案内部は屈曲しているのでウエビングとの間の摩
擦力は弱いが、ラツプウエビング案内部の前記一
方の面近傍にはウエビング巻掛部に向かつて突片
が形成されてウエビングの折り返し角度を大きく
しているので、タングプレートを確実にウエビン
グ中間部へと保持できる。

〔考案の実施例〕

第３図には本実施例に係るタングプレート２０
が用いられたシートベルト装置が示されている。
このシートベルト装置では乗員拘束用ウエビング
２２の一端がアンカープレート２４で車体側壁２
６へ取り付けられており、中間部はスリツプジヨ
イント２８で折り返され、車体側壁２６内へ配置
される図示しない巻取装置へ巻き取られている。

アンカープレート２４とスリツプジヨイント２
８との間に配置されるタングプレート２０は第１
図及び第２図に示される如く心金２０Ａの周囲に
合成樹脂２０Ｂが被覆された状態となつている。
心金２０Ａは合成樹脂２０Ｂから突出した部分が
バツクル３０への係合部３２となつている。この
係合部３２を車両略中央部から立設されるバツク
ル３０へ係合させれば、タングプレート２０とア
ンカープレート２４との間がラツプウエビングと
してタングプレート２０とスリツプジヨイント２
８との間がシヨルダーウエビングとしてシート３
４へ着座する乗員へ装着されることになる。

心金２０Ａが合成樹脂２０Ｂで被覆された部分
は平板状のウエビング取付部３６となつており、
この部分には互いに略平行な２個の長孔３８，４
０が形成されている。これらの長孔３８，４０へ
はウエビング２２の中間部が挿通して折り返され
ており、シヨルダーウエビングとラツプウエビン
グとが長さを融通できるようになつている。

また長孔３８，４０によつて囲まれる部分はウ
エビング折返し部３６Ａ、長孔３８と係合部３２
との間はラツプウエビング案内部３６Ｂ、反対側
はシヨルダウエビング案内部３６Ｃとなつてお
り、第３図に示されるウエビング非装着時にそれ
ぞれウエビングが巻掛けられるようになつてい
る。なおシヨルダウエビング案内部３６ｃには心
金２０Ａは設けられていない。

ここにこの実施例では第１図および第２図に明
瞭に示される如く、長孔４０とシヨルダウエビン
グ案内部３６Ｃは係合部３２及び他のウエビング
取付部３６に対して上方（第２図上方）に角度θ
だけ傾斜して形成されている。

この交差角度は第４図に示される如くタングプ
レート２０をバツクル３０へ係合した場合にシヨ
ルダウエビング案内部３６Ｃが着座した乗員から
遠ざかる方向に屈曲されるようになつている。

またラツプウエビング案内部３６Ｂのシヨルダ
ウエビング案内部３６Ｃの屈曲方向と反対側（す
なわち乗員装着時の乗員に面する側）からは略３
角形の突片４６が突出し、長孔３８の幅寸法を減
少しウエビング２２の肉厚よりも若干大きい寸法
としている。この突片４６は長孔３８の長手方向
中央部が最も大きく突出している。またこの突片
４６の側面にはウエビング２２との摩擦を増大す
るために細かな突条４８が複数形成されている。

次に本実施例の作用を説明する。

第３図は乗員が乗車していない状態であり、ウ
エビング２２は図示しない巻取装置の付勢力で巻
き取られているので、ウエビング２２の中間部に
は弱い張力が作用する。このため長孔３８，４０
で折り返された前後のウエビング２２はラツプウ
エビング案内部３６Ｂ及びシヨルダウエビング案
内部３６Ｃに沿つて互いに反対方向へ引き出さ
れ、摩擦力でタングプレート２０をウエビング２
２の中間部に保持している。

この場合、シヨルダウエビング案内部３６Ｃは
屈曲されているため、ウエビング２２との間の摩
擦力は弱いが、ラツプウエビング案内部３６Ｂで
は突片４６が形成されているので、長孔３８を通
るウエビング２２はこの突片４６により大きく曲
げられているので、タングプレート２０を確実に
ウエビング２２の中間部へ係止することになる。

着座した乗員はこのウエビング２２の中間部に
保持されたタングプレート２０を容易に把持する
ことができ、係合部３２をバツクル３０へ係合さ
せればウエビング２２の装着状態となる。

この装着状態では第４図に示される如く、長孔
４０及びシヨルダウエビング案内部３６Ｃが角度
θだけ傾いているので、ウエビング巻掛部３６Ａ
で折り返されるウエビング２２はシヨルダウエビ
ング案内部３６Ｃとの間の摩擦力が小さい。この
ためシヨルダーウエビングとラツプウエビングと
は長孔３８，４０部分を通過して互に移動可能で
融通でき、適切なウエビング長さを有することが
できる。

なお上記実施例における交差角度θは20度〜60
度の範囲が好ましい。

〔考案の効果〕

以上説明した如く本考案に係るタングプレート
ではラツプウエビング案内部の前記一方の面近傍
にはウエビング巻掛部に向かつて突片を設けると
共に前記第２の長孔及びシヨルダウエビング案内
部をウエビング巻掛部に巻き掛けられたウエビン
グが第２の長孔に挿通される方向と反対方向に傾
斜させたので、ウエビングの装着解除状態ではタ
ングプレートをウエビングへ保持し、ウエビング
装着状態ではウエビングの移動を可能とする優れ
た効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例にかかるタングプレー
トを示す斜視図、第２図は第１図−線断面
図、第３図はウエビングの非装着状態を示す車両
前方から見た正面図、第４図はタングプレートと
バツクル装置の係合状態の拡大断面図、第５図は
第４図に相当する従来のタングプレート係合断面
図である。 ２０……タングプレート、２２……ウエビン
グ、３０……バツクル、３２……係合部、３６…
…ウエビング取付部、３６Ａ……ウエビング巻掛
部、３６Ｂ……ラツプウエビング案内部、３６Ｃ
……シヨルダウエビング案内部、３８……長孔、
４０……長孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バツクル装置へ係合される係合部と、この係合
   部と一体的に連結されて乗員に装着されるウエビ
   ングの中間部が巻き掛けられてウエビングをラツ
   プウエビングとシヨルダウエビングとに区画する
   平板状のウエビング取付部と、を備え、前記ウエ
   ビング取付部には係合部側に形成される第１の長
   孔と、この第１の長孔よりも係合部と離間して形
   成される第２の長孔と、前記係合部と第１の長孔
   との間に設けられてラツプウエビング方向からシ
   ヨルダウエビング方向に向かうウエビングが当接
   するラツプウエビング案内部と、このラツプウエ
   ビング案内部に当接したウエビングが前記第１の
   長孔を介してウエビング取付部の一方の面から他
   方の面に向かつて挿通されると共に前記第２の長
   孔を介して前記他方の面から前記一方の面に向か
   うことによりウエビングが巻き掛けられるウエビ
   ング巻掛部と、前記第２の長孔を挿通したウエビ
   ングが当接するシヨルダウエビング案内部と、を
   設けたタングプレートであつて、前記ラツプウエ
   ビング案内部の前記一方の面近傍にはウエビング
   巻掛部に向かつて突片を設けると共に前記第２の
   長孔及びシヨルダウエビング案内部をウエビング
   巻掛部に巻き掛けられたウエビングが第２の長孔
   に挿通される方向と反対方向に傾斜するように設
   けたことを特徴とするタングプレート。