JPH0210908Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は機体一側に穀粒収納装置を設けたコン
バインにおいて、満杯となつた籾袋を機外に搬出
する搬出装置に関するものである。

従来、袋詰作業にあたつては、籾袋を穀粒収納
装置の上部に併設した２本の支持部材で吊支し、
籾袋の開口を籾吐出樋口に臨ませて、揚穀、吐出
された籾を籾袋に収納し、袋詰を行うことが知ら
れている。このようなものにおいては、満杯にな
つた籾袋を上方から取出す場合、籾吐出樋と支持
部材とが邪魔になつて取出し難いものであつた。

それ故、本考案は満杯になつた籾袋をリフト装
置で吊り上げて機外に搬出する際、上記吊り上げ
作用に伴つて籾吐出樋及び籾袋支持部材を退避さ
せ、籾袋を上方に向けて円滑に取出すことを可能
ならしめ、もつて従来の小容量（例えば数10Kg収
納）の籾袋使用で人力による収納搬出作業を解放
し、大容量（例えば数100Kg収納）の籾袋使用で
円滑な機外への搬出を可能となして高能率な収納
搬出装置実現しようとするものである。

以下、図面に基づいて本考案の一実施例を説明
すると、図中１はコンバインの機台で、前方に刈
取部２を支架し、一側部に脱穀機３を搭載し、走
行部４に支持されている。機台１の他側前部には
運転パネル５及び座席６が立設され、脱穀機３の
側方で座席６の後方には、穀粒収納装置７が配設
されている。８は穀粒収納装置７の下部に設けた
籾袋受台８で、大容量（数100Kg収納）の大型籾
袋９と小容量（数10Kg収納）の小型籾袋１０とを
併載できるようになつている。

１１は大型籾袋９の上部を吊支する為に籾袋受
台８の上方に併設した前後１対のフツク付の支持
部材で、脱穀機３と籾袋受台８間に立設した隔壁
１２に設けたブラケツト１２ａに基部を枢支１１
ａし、外側方へ向け水平方向に突出させてあり、
平行な姿勢（第４図A′）と回動させて先端が互
いに遠離する姿勢（第４図B′）とに変位できる
ようになつている。１１ｂは上記支持部材１１の
相対向する側に突設させたハンガーフツクで、大
型籾袋９の上部４隅に設けた掛ひも９ｅをこれに
引掛けるようになつており、該フツク１１ｂの先
端は湾曲形成して斜め外向き上方方向に指向させ
てある。

大型籾袋９は第５図及び第６図に示す如く、折
りたたみ自在な布等を縫製してほぼ６面体の箱状
に形成したもので、上部に筒状の供給口９ａを有
し、その基部外側に設けた閉じひも９ｂを締める
ことにより供給口９ａが閉止できるようになつて
おり、また底部にも筒状の排出口９ｃを有し、閉
じひも９ｄにより閉止できるようになつている。
９ｇは排出口９ｃを内側にくり込む締具である。
上部４隅より側方に突出させた掛ひも９ｅの上部
には吊りひも９ｆが設けてある。９ｈは供給口９
ａの筒部に設けたはとめである。

１５は籾吐出樋で、その基部は脱穀された籾を
揚穀する揚穀筒１６の上部に水平方向回動可能に
装設されており、先端には大型籾袋９の供給口９
ａに向けて籾を吐出する吐出口１５ａが、又、中
途部側方には後述の受樋１４ａに向けて籾を吐出
できるようにしたバイパス口１５ｂが開口されて
いる。

尚、吐出口１５ａ部には図示していないが、大
型籾袋９が満杯になつた時に自動的に吐出口１５
ａを閉止するシヤツター、及び報知手段に連結さ
せたセンサーが設けてある。

そして、上記大型籾袋９とは別に小型籾袋１０
が前記隔壁１２の壁面より突設した一対のハンガ
ー１３，１３に吊支しうるようになつている。１
４は隔壁１２に固設したバイパス樋で、その下端
部に小型籾袋１０の開口を臨ませるようにし、且
つ上部には受樋１４ａが設けてあつて、該受樋１
４ａは前記籾吐出樋１５が回動する時にもバイパ
ス口１５ｂから吐出される籾を受けてこれを小型
籾袋１０に回収できるように形成されている。

１７は籾袋受台８の前部内側の隅部に立設した
油圧式のリフト装置であつて、そのシリンダー１
８の基部は籾袋受台８に枢支されてリフト装置１
７全体が横側方に傾動できるようになつており、
３５は上記傾動用の油圧シリンダーで、前記シリ
ンダー１８と籾袋受台８の外側部との間に設けて
ある。

シリンダー１８に内嵌されて上下動可能に支持
されたピストン１９の先端には、アーム２０が固
設されていて、アーム２０の先端の孔には上端に
ストツパー２１ａを設け、下端にフツク２１を設
けたワイヤ２１ｂが挿通させてあり、ストツパー
２１ａとアーム２０基部間には、上記フツク２１
を吊りひも９ｆに引掛けるのを便利ならしめる戻
しスプリング２２が張設してある。従つて、前記
フツク２１を満杯状態の大型籾袋９の吊りひも９
ｆに引掛けてピストン１９を上昇させると、上昇
作動の初期では戻しスプリング２２が伸びると共
に、ワイヤ２１ｂはそのストツパー２１ａ部でア
ーム２０に当接し、ワイヤ２１ｂが充分緊張して
から大型籾袋９が吊り上げられるようになつてい
る。

２３はシリンダー１８の上部に固設したブラケ
ツトで、これにリンク２４の中央部が枢支２４ａ
されており、リンク２４の一端はピストン１９に
固設したピン２５に係合させてあり、他端部には
ワイヤ２６の一端が連結されている。２７はトグ
ルスプリング、２８はストツパーであつて、上記
リンク２４の作動はピストン１９の上昇作動の初
期及び下降終期に作動するよう構成されている。

第４図はピストン１９の上昇に伴つて前記ワイ
ヤ２６とリンク機構とを介して籾吐出樋１５が大
型籾袋９上方（Ａ位置）よりその側方に退避（Ｂ
位置）すると共に籾袋の支持部材１１も籾袋上方
の平行姿勢（A′位置）から側方に退避（B′位置）
するようにした連動機構を示したものであつて、
前記ワイヤ２６の他端部は籾吐出樋１５の突起部
に設けたピン２９に連結してあり、このピン２９
は更に一方の支持部材１１の一端に連結したリン
ク３０の他端に設けた長孔３０ａに係合させてあ
る。籾吐出樋１５のピン２９とは揚穀筒１６をは
さんで対称位置に設けたピン２９ａは他方の支持
部材１１の一端に連結したリンク３２の他端部に
設けた長孔３２ａに係合させてある。３３は支持
部材１１とブラケツト１２ａ間に張設した戻しス
プリングで、支持ブラケツト材１１を実線位置
A′方向に付勢している。

３４は脱穀機３の上部に設けた予備袋収納部
で、予備の大型籾袋を一対の引掛具３４ａ，３４
ａに引掛け、重ね合わせて収納できるようになつ
ている。この予備の大型籾袋はその供給口９ａを
開口し、排出口９ｃを閉止させた状態で収納して
おく。

次に本考案の作用について説明する。リフト装
置１７を直立で下降位置にセツトし、籾吐出樋１
５をＡ位置に支持部材１１をA′位置の状態とな
して、予備袋収納部３４から大型籾袋９を籾吐出
樋１５をのりこえさせて取出し、供給口９ａを上
位にして４隅の掛けひも９ｅを夫々ハンガーフツ
ク１１ｂに引掛けて供給口９ａを籾吐出樋１５の
吐出口１５ａ下方に臨ませる。この時大型籾袋９
のはとめ９ｈを籾吐出樋１５の係止部１５ｃに係
止させてもよい。一方、小型籾袋１０をハンガー
１３奥部より引出してその開口をバイパス１４下
に設置する。

斯くして収穫作業を開始すると、揚穀筒１６よ
り供給された籾は、吐出口１５ａより大型籾袋９
に向け吐出される。その際、大型籾袋９は、上部
４隅の掛けひも９ｅが支持部材１１により支持さ
れるから変形することなくほぼ６面体の形状をし
た維持しながら籾を収納して確実に満杯となし得
る。

満杯になると、吐出口１５ａがシヤツターによ
り閉止され、籾吐出樋１５に残留する籾はバイパ
ス口１５ｂからバイパス樋１４を通り小型籾袋１
０に回収される。又、上記シヤツター閉止と同時
に報知手段が作動し、運転者はこれを認知して収
穫作業を中止する。

ここで、例えば路上に駐車させたトラツク等の
運搬装置側方まで機体を走行させ、籾をトラツク
の荷台に積み卸す作業に移行する。即ち、前述の
満杯になつた大型籾袋９の供給口９ａを吐出口１
５ａ下方より離脱させて袋内にたたみ込み、閉じ
ひも９ｂをしめて袋の上部開口を閉止する。そこ
でリフト装置１７のフツク２１をスプリング２２
の付勢に抗して引下げ、これを大型籾袋９の上部
４隅に設けた吊りひも９ｆに引掛け、油圧レバー
操作によりピストン１９を上昇させると、その上
昇初期においてピン２５の上昇移動によりリンク
２４は枢支点２４ａを中心として傾動し、トグル
スプリング２７の作用線が枢支点２４ａを越える
と速やかに回動してストツパー２８に当接する位
置に移動する。

その間にリンク２４と籾吐出樋１５を連結した
ワイヤ２６がリンク２４に引張られて籾吐出樋１
５が揚穀筒１６を中心に回動し、Ａ位置から退避
してＢ位置に移動し、同時に籾吐出樋１５に設け
たピン２９，２９ａも夫々リンク３０，３２の長
孔３０ａ，３２ａ内を移動し長孔の終端部に達す
るとリンク３０，３２が大きく内方に引込まれる
から、支持部材１１，１１は戻しスプリング３３
の付勢に抗して枢支点１１ａを中心として側方に
回動し、A′位置からB′位置に退避する。

その際、掛ひも９ｅに引掛けたハンガーフツク
１１ｂは袋の吊り上げ移動方向と略同方向に指向
して斜設形成されていることにより、袋の吊り上
げ作用及び支持部材１１の側方退避作動に伴つて
容易に掛ひも９ｅから離脱する。

ピストン１９の更に上昇するのに伴つて、大型
籾袋９は籾吐出樋１５及び支持部材１１に邪魔さ
れることなくフツク２１、ワイヤ２１ｂを介して
リフト装置１７に吊り上げられ、前記油圧シリン
ダー３５の側方への傾動動作とともに所定の収容
荷台上に適確に臨ませられる。

ついで吊り上げた状態の大型籾袋９の底部の締
具９ｇをゆるめ、閉ひも９ｄを解いて排出口９ｃ
を開口し荷台上に籾を放出する。放出が終了した
ならば油圧操作によりリフト装置１７を元の実線
位置に復帰せしめ、空になつた袋をフツク２１か
ら取り除く。このリフト装置１７の復帰作動に伴
つて籾吐出樋１５及び支持部材１１も連動して元
位置に復帰する。そこで新たな大型籾袋９を予備
袋収納部３４より取り出し、支持部材１１に掛架
設置し、籾吐出樋１５の吐出口１５ａを供給口９
ａに適確に臨ませて再び収穫作業に移行する。

尚、上記実施例においては、収容荷台上に袋を
吊上げたまま穀粒を該荷台上に放出する使用態様
例について述べたが、何もこの使用態様に限るこ
となく、例えば、前記大型籾袋９そのものをフツ
ク２１から外して荷台上に適数個積載する使用方
法等、必要に応じた方法で用いてもよい。

本考案はこのように、コンバインの機体一側に
穀粒収納装置７を設け、該収納装置７の一側には
満杯の大型籾袋９を吊り上げて機外に搬出するリ
フト装置１７を設けたものにおいて、該リフト装
置１７の籾袋搬出作動に連動して揚穀筒１６先端
部の籾吐出樋１５が大型籾袋９上方より退避する
と共に、籾袋支持部材１１も側方に向け退避する
ようになしたことを特徴とするコンバインにおけ
る籾袋の搬出装置であつて、満杯となつた籾袋を
リフト装置１７で吊り上げて機外に搬出する際、
リフト装置１７の搬出作動に連動して籾吐出樋１
５及び飯籾袋支持部材１１が退避するから邪魔に
なることなく、籾袋を上方に向けて円滑に取り出
すことができ、もつて大容量の籾袋の使用を可能
となして高能率な籾袋の搬出装置を実現し得たも
のである。

尚、上記籾吐出樋及び籾袋支持部材はリフト装
置の動作とは別個に、人為的に作動可能となすべ
くその連動を任意に解除出来るように予め装置化
しておけば、更によいことは勿論である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置を施したコンバインの一実施
例を示したものであつて、第１図は全体平面図、
第２図は要部の斜視図、第３図はその作業状態を
示す斜視図、第４図は要部の連動構成を示す説明
図、第５図は籾袋の斜視図、第６図は籾袋の構造
を示す断面図である。 １……機台、７……穀粒収納装置、９……大型
籾袋、１１……支持部材、１５……籾吐出樋、１
６……揚穀筒、１７……リフト装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンバインの機体一側に穀粒収納装置７を設
   け、該収納装置７の一側には満杯の籾袋９を吊り
   上げて機外に搬出するリフト装置１７を設けたも
   のにおいて、該リフト装置１７の籾袋搬出作動に
   連動して揚穀筒１６先端部の籾吐出樋１５が籾袋
   ９上方より退避すると共に、籾袋支持部材１１も
   側方に向け退避するようになしたことを特徴とす
   るコンバインにおける籾袋の搬出装置。