JPH0210352Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車のエンジンに支持された、エ
アコントロールバルブ等の排気ガス浄化装置用バ
ルブの振動を低減させて、その耐久性を向上さ
せ、しかもこれを排気ガス浄化装置用バルブの応
答性も向上させるようにして達成した、排気ガス
浄化装置用バルブの振動低減兼応答促進装置に関
する。

［従来の技術］ エアコントロールバルブ等の排気ガス浄化装置
用バルブは、ブラケツトを介してエンジン本体に
支持されるが、エンジンの振動が伝わり、エンジ
ン回転数のある領域で共振を起して振動が大きく
なり、これが繰り返されるうちにブラケツトに亀
裂が生じたり、またエアコントロールバルブに内
蔵されたダイヤフラムが振動したりして異音を発
したり、ときには損傷したりするという問題が生
じている。

このようなエンジン装着部品の耐久性を向上さ
せるためには、装着部品の振動を低減させること
が有効であり、従来は共振を低減させるために、
取付ブラケツトの剛性を上げたり、取付位置を変
更させたりする等の努力が払われていた。

また、別の対策として、実開昭55−82540号公
報に示されるように、エンジンに支持される補機
に、ダイナミツクダンパを構成する特別の重錘を
設け、これによつて補機の振動を低減させるとい
うものもあつた。ここで用いらたダイナミツクダ
ンパの重錘は、専用の重錘であり、部品が１つ増
加していた。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、剛性を上げた場合は、重量増加、材質
のレベルアツプに伴なうコストアツプが生じ、ま
た取付位置を変更した場合は、他の部品を含めた
大巾な配置変更、設計変更が必要となる等の問題
があつた。

また、専用に重錘を設けてそれをダイナミツク
ダンパとして機能させる振動低減装置には、重錘
分だけ部品が１つ増加し、かつその分だけ車両の
重さを増加させ、かつ取付スペースを増加させる
という問題があつた。車両の重量増加、配設スペ
ースの増加は、車両にとつては非常に望ましくな
いことである。

本考案はエアコントロールバルブ等排気ガス浄
化装置用バルブの振動をダイナミツクダンパによ
つて抑えることを前提とするものであり、これを
車両の重量増加、配設スペースの増加を伴なわな
いで達成し、しかもそれ以外に排気ガス浄化装置
用バルブの応答性も改良させるという特有の効果
を伴なつて達成し得る排気ガス浄化装置用バルブ
の振動低減兼応答促進装置を提供することを目的
とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的は、次の本考案に係る排気ガス浄化装
置用バルブの振動低減兼応答促進装置によつて達
成される。

排気ガス浄化装置用バルブをブラケツトを介し
てエンジン本体から支持させた振動系に、前記排
気ガス浄化装置用バルブに弾性を有するホースを
介して連結された前記排気ガス浄化装置用バルブ
をオンオフさせるためのバキユームスイツチング
バルブを、前記排気ガス浄化装置用バルブに隣り
合せた状態で、ブラケツト及び弾性材を介して該
バキユームスイツチングバルブがダイナミツクダ
ンパの質量体を構成するように、排気ガス浄化装
置用バルブに対して設けたことを特徴とする排気
ガス浄化装置用バルブの振動低減兼応答促進装
置。

［作用］ 上記本考案の装置においては、バキユームスイ
ツチングバルブをダイナミツクダンパのマスとし
て使用することにより、特別のウエイトを新たに
設ける必要を避け、重量増加、スペース増加を本
質的に伴なわないようにすることができる。ま
た、バキユームスイツチングバルブを排気ガス浄
化装置用バルブに隣り合せて配設したので両者を
連結するホースは短くて済み、排気ガス浄化用バ
ルブの応答性が上がる。

［実施例］ 以下に、本考案の望ましい実施例を図面を参照
して説明する。

第１図は、本考案を自動車の排気ガス浄化装置
用バルブであるエアコントロールバルブに適用し
た場合を示している。図中１はエンジン本体で、
詳しくはシリンダブロツクの外壁を示している。
このエンジン本体１には、ブラケツト２が取付け
られており、その先端にはエアコントロールバル
ブ３のフランジ部４が固定されている。５はエア
ホース６から送られてきたエアをエアコントロー
ルバルブ３を通した後にエキゾーストマニホルド
へと導くパイプであり、エアはエキゾーストマニ
ホルド方向へ一方向に供給される。この構造によ
つて、エアコントロールバルブ３はブラケツト２
とパイプ５とによつて実質的に支持される。

エアコントロールバルブ３のオンオフは、エア
コントロールバルブ３の一部をなすバキユームモ
ータ７によつてなされ、バキユームモータ７中に
は図示を略したダイヤフラムが内蔵されていて、
バキユームモータ７に隣り合せて配設した、電磁
弁から成るバキユームスイツチングバルブ８から
の作動エアによつてバキユームモータ７は作動さ
れ、エアコントロールバルブ３が開閉されるよう
になつている。ブラケツト２には、エアコントロ
ールバルブ３のフランジ部４と共に別のブラケツ
ト９がボルト、ナツト１０，１１により共締めさ
れており、このブラケツト９には、前記バキユー
ムスイツチングバルブ８がゴム等の弾性材１２を
介してマウントされている。１３は、エアコント
ロールバルブ３のバキユームモータ７とバキユー
ムスイツチングバルブ８とを結ぶ弾性部材から成
るホース、１４はインテークマニホルドへのポー
ト、１５は大気への通路のポートであり、吸気負
圧に応じてバキユームスイツチングバルブ８を作
動させるようになつている。

エアコントロールバルブ３は、エンジン本体１
の振動によりＡ−Ａ方向に加振されるが、この場
合、エアコントロールバルブ３支持方法によつて
はエアコントロールバルブ３が共振を起す。この
ような場合、エアコントロールバルブ３の振動系
の共振周波数に近い固有振動数を有するばね質点
系を取付ければ、エアコントロールバルブ３の振
動の吸振器として作用し、エアコントロールバル
ブ３の振動は低減される。本考案ではその吸振器
としてエアコントロールバルブ３の作動制御用の
バキユームスイツチングバルブ８をゴム等により
マウントに対応している。この場合、バキユーム
スイツチングバルブ８を含むダイナミツクダンパ
系のＡ−Ａ方向の共振周波数は、エアコントロー
ルバルブ３の振動系の共振周波数に近く適合され
ている。このダイナミツクダンパ系の振動数の設
定は、バキユームスイツチングバルブ８の質量が
定まつているに拘らず、弾性材１２の材質、形状
を適宜に選定することにより、必要な共振周波数
に容易に設定され得る。この場合、ホース１３は
弾性部材であるから、弾性材１２のばね定数選定
において、悪影響を与えない。

エアコントロールバルブ３にゴムマウントバキ
ユームスイツチングバルブ８を取付けることによ
り、エアコントロールバルブ３の振動が低減した
実験結果を第２図に示す。図より明らかな如く、
バキユームスイツチングバルブ８を取付けてダイ
ナミツクダンパとして機能させることにより、エ
アコントロールバルブ３振動系に存在していた共
振のピーク値が大巾に低減していることが分か
る。

また、バキユームスイツチングバルブ８をマス
として利用することにより、バキユームスイツチ
ングバルブ８をエアコントロールバルブ３に隣り
合せることができ、バキユームスイツチングバル
ブ８とエアコントロールバルブ３とを連結するホ
ース１３は短かくて済み、短かい分だけバキユー
ムの伝達が従来より早くなり、エアコントロール
バルブ３の応答が促進される。すなわちマスとし
てバキユームスイツチングバルブ８を用いたこと
により、応答の促進という特有の作用効果が得ら
れる。

なお、上記実施例においては、排気ガス浄化用
バルブとしてエアコントロールバルブ３を例にと
つたが、エンジンに支持される排気ガス浄化装置
用バルブであれば他のバルブでもよく、たとえば
排気ガス再循環バルブ等であつてもよい。

［考案の効果］ 本考案の排気ガス浄化装置用バルブの振動低減
装置によるときはつぎの種々の効果が得られる。

まず、前記の如くエアコントロールバルブ等排
気ガス浄化装置用バルブの振動が大巾に低減さ
れ、バルブ自体の耐久性が向上する他、異音の発
生も抑えられる。

また、エアコントロールバルブ等排気ガス浄化
装置用バルブを支持するブラケツト類にかかる振
動の繰返し荷重も小となり、耐疲労性が増し、ブ
ラケツト類の耐久性も向上する。

この場合、ダイナミツクダンパの質量体をバキ
ユームスイツチングバルブで兼用したので、同様
の振動低減対策を特別なマスを追加して行なつて
いた従来法に比べ、重量増加、スペース増加を伴
なわない。

そして、質量体としてバキユームスイツチング
バルブの兼用によつたので、バキユームスイツチ
ングバルブをエアコントロールバルブ等排気ガス
浄化装置用バルブの直近に取付けることができ、
両バルブ間の作動エア通路の距離を短かくできる
ので、排気ガス浄化装置用バルブの応答性を向上
できるという、従来のダイナミツクダンパに見ら
れなかつた特有の効果が得られる。

さらに、本考案を排気ガス再循環バルブ等の他
の排気ガス浄化用バルブに適用することにより、
上に準じた効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例に係る装置の正面
図、第２図は、本考案による振動の低減特性を示
すエンジン回転数と振動加速度の関係図、であ
る。 １……エンジン本体、２……ブラケツト、３…
…エアコントロールバルブ、４……フランジ部、
７……バキユームモータ、８……バキユームスイ
ツチングバルブ、９……別のブラケツト、１２…
…ゴム等の弾性材、１３……弾性部材のホース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 排気ガス浄化装置用バルブをブラケツトを介し
   てエンジン本体から支持させた振動系に、前記排
   気ガス浄化装置用バルブに弾性を有するホースを
   介して連結された前記排気ガス浄化装置用バルブ
   をオンオフさせるためのバキユームスイツチング
   バルブを、前記排気ガス浄化装置用バルブに隣り
   合せた状態で、ブラケツト及び弾性材を介して該
   バキユームスイツチングバルブがダイナミツクダ
   ンパの質量体を構成するように、排気ガス浄化装
   置用バルブに対して設けたことを特徴とする排気
   ガス浄化装置用バルブの振動低減兼応答促進装
   置。