JP3638005B2 - 多気筒内燃機関の吸気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願の発明は、多気筒内燃機関の吸気装置に関し、特に複数の等長の独立吸気通路を有し、共鳴容器が付設されてなる吸気装置のコンパクト化と共鳴容器の取付け構造の防振化、吸気特性の向上等を図った多気筒内燃機関の吸気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両用等の内燃機関において、吸気管の管路長や容積を内燃機関の回転速度に応じて変えて、吸気の慣性過給効果や共鳴(脈動)過給効果を組み合わせ利用することにより、低回転速度域から高回転速度域まで幅広い回転速度域にわたって、体積効率を高く維持することが行なわれている。
【0003】
多気筒内燃機関において、前記のような目的に沿い、特に低回転速度域における吸気の共鳴過給効果を向上させるために、吸気通路に共鳴容器を付設したものがある(特開平7−91263号公報参照)。
【0004】
このものにおいては、多気筒内燃機関の吸気装置が、複数の等長の独立吸気通路を有している。そして、これら複数の独立吸気通路の各々は、その下流端が、各気筒に連通され、その上流端が、吸気集合室に連通されている。
【0005】
各独立吸気通路の上流端側は、内燃機関の気筒配列方向から見て左右一方の側方に、内燃機関の気筒配列方向に沿って配設され、その中間部には、下流端側が内燃機関の外方から内燃機関側に向かって延びるように、各独立吸気通路の通路方向を変化させるための湾曲部が形成されている。
【0006】
また、各独立吸気通路は、前記湾曲部における通路中心位置を結ぶ中心連結線が、内燃機関の気筒配列方向に延びる線に対して、各独立吸気通路の集合部側を内燃機関から離れた外方側として傾斜するようにして配置されており、前記湾曲部の外方側には、各独立吸気通路の集合部に連通し、かつ、前記中心連結線に沿った形状の共鳴容器が配設されている。
【0007】
さらに、各独立吸気通路を形成する吸気管は、前記湾曲部において通路方向に分割されており、該分割部両側の各吸気管部分には、両吸気管部分を連結するためのフランジが設けられており、このフランジに、前記共鳴容器が連結固定されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の多気筒内燃機関の吸気装置は、前記のように構成されており、共鳴容器は、吸気マニホルドの側方に、独立吸気通路に沿って配設されているので、共鳴容器が気筒配列方向と直交する方向にはみ出す恰好になり、吸気装置のコンパクト化が損なわれていた。
【0009】
また、共鳴容器が、前記のとおり、吸気マニホルドの側方に、独立吸気通路に沿って配設されているので、共鳴容器を各独立吸気通路の集合部につなぐために、チューブ等の接続具が必要となり、このため、部品点数が増大し、組付け作業が必要とされていた。
【0010】
また、共鳴容器を各独立吸気通路の集合部につなぐ接続管路の長さが長くなるので、低回転速度域における吸気特性を向上させることはできるが、中・高回転速度域において、共鳴過給効果を利用して吸気特性を向上させようとすると、接続管路径を大きく形成することに限度があるので、それが困難であった。
【0011】
さらに、共鳴容器は、各独立吸気通路管の分割部両側の各吸気管部分に設けられたフランジに連結固定されているので、内燃機関本体部の振動が直接共鳴容器に伝達され、共鳴容器からの放射音が2次的に発生して、音商品性の悪化が懸念されるとともに、この共鳴容器の共鳴室を利用した共鳴過給における吸気特性の安定化が損なわれる虞があった。
【0012】
また、吸気マニホルド自体も、同位相で振動する質量が増加するので、その振動が加振されて、吸気マニホルドに連結されるスロットルボディ等の吸気制御部品の耐久信頼性が損なわれる虞があった。
【0013】
本願の発明は、前記従来の多気筒内燃機関の吸気装置が有する前記のような問題点を解決して、複数の等長の独立吸気通路を有し、共鳴容器が付設されてなる吸気装置のコンパクト化と共鳴容器の取付け構造の防振化、特に中・高回転速度域における吸気特性(体積効率もしくは充填効率)の向上等を可能にする多気筒内燃機関の吸気装置を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段および効果】
本願の発明は、前記のような課題を解決した多気筒内燃機関の吸気装置に係り、その請求項1に記載された発明は、吸気マニホルドが、複数の等長の独立吸気通路を有し、内燃機関の気筒配列方向に沿って、シリンダヘッドの一側に配設されており、前記複数の独立吸気通路の各々は、前記内燃機関本体部から略直交方向に延設された後に、吸気集合室に接続され、前記吸気集合室は、前記内燃機関の気筒配列方向に沿って配設され、その上流側の端部にスロットルボディが装着され、前記吸気集合室に連通するように、共鳴容器が付設されてなる多気筒内燃機関の吸気装置において、前記共鳴容器は、前記シリンダヘッドの上方に装着されるシリンダヘッドカバーと前記吸気集合室との間にまたがり、前記複数の独立吸気通路の上方を空間を置いて覆うようにして配設され、前記シリンダヘッドカバーと前記吸気集合室壁とに、ラバーを介して弾性支持され、かつ、前記吸気集合室の上方に、前記スロットルボディの下流側直下の位置において、開口連通されており、前記空間は、少なくとも前記内燃機関の各気筒毎に設けられる燃料噴射弁と燃料供給管とを収容することができる大きさにされたことを特徴とする多気筒内燃機関の吸気装置である。
【0015】
請求項1に記載された発明は、前記のように構成されているので、共鳴容器は、シリンダヘッドの上方に装着されるシリンダヘッドカバーと吸気集合室との間にまたがり、複数の独立吸気通路の上方を空間を置いて覆うようにして配設され、しかも、この空間は、少なくとも内燃機関の各気筒毎に設けられる燃料噴射弁と燃料供給管とを収容することができる大きさにされている。
【0016】
この結果、共鳴容器が気筒配列方向と直交する方向にはみ出すことがなくなり、しかも、共鳴容器と複数の独立吸気通路とに挟まれる空間が有効に利用されるので、吸気装置をコンパクトに構成することができる。
【0017】
また、共鳴容器は、機関室上層部の熱気を燃料噴射弁や燃料供給管、複数の独立吸気通路を含む吸気マニホルドから遮断するので、内燃機関の出力の低下や始動性の悪化等を防止することができるとともに、燃料噴射弁や燃料供給管等を目隠しするので、内燃機関の外観を向上させることができる。
【0018】
また、共鳴容器は、シリンダヘッドカバーと吸気集合室壁とにラバーを介して弾性支持される。この結果、内燃機関の稼働によって発生する振動の伝達をこの支持部において遮断もしくは減衰させることができ、共鳴容器の持つ固有振動数に影響を与えることがなくなるので、この共鳴容器を利用した共鳴過給における吸気特性を安定化させることができる。また、共鳴容器からの放射音を低減させることができる。
【0019】
さらに、共鳴容器が、シリンダヘッドカバーと吸気集合室壁とにラバーを介して弾性支持されることにより、共鳴容器の振動と吸気マニホルドの振動との間に位相差が生じるので、これら両振動の干渉効果(ダイナミックダンパ効果)によって、これら両者の振動を抑制することができる。これにより、吸気マニホルドに連結されるスロットルボディ等の吸気制御部品の耐久信頼性を向上させることができる。
【0020】
また、共鳴容器は、吸気集合室の上方に、スロットルボディの下流側直下の位置において、開口連通されており、しかも、このスロットルボディは、吸気集合室の上流側の端部に装着される。
【0021】
この結果、共鳴容器の共鳴室を含む吸気集合部で反転した吸気圧力波は、スロットルボディを通って流入してくる吸気の流れとの対向が避けられ、その影響を直接受けることがなくなる。これにより、吸気圧力波は、吸気集合室および独立吸気通路における減衰が最小限に抑えられ、スムースに他の気筒にその影響を及ぼすことができて、特に中・高回転速度域における吸気の共鳴過給効果を向上させて、吸気の体積効率を向上させることができる。
【0022】
また、共鳴容器が吸気集合室の上方に開口連通される開口の大きさを、内燃機関の回転速度に合わせて最大の過給効果が得られるように、適切に設定することができるので、特に内燃機関の中・高回転速度域における吸気の共鳴過給効果を向上させることができ、この面からも、吸気の体積効率を向上させることができる。
【0023】
さらに、請求項2記載のように請求項1記載の発明を構成することにより、共鳴容器には、その底壁を貫通して、接続筒が一体に形成され、該接続筒の一方端側は、共鳴容器内に突出させられ、その他方端側は、吸気集合室の上方壁に形成された開口部から一体に延設された筒状部にシールラバーを介して弾性支持される。
【0024】
この結果、共鳴容器は、シリンダヘッドカバーと吸気集合室壁とにラバーを介して弾性支持されるのみならず、吸気集合室壁(上方壁)にシールラバーを介しても弾性支持されることになり、内燃機関の稼働によって発生する振動の伝達をこの弾性支持部においても遮断もしくは減衰させることができ、共鳴容器を利用した共鳴過給における吸気特性をさらに安定化させることができる。また、共鳴容器からの放射音をさらに低減させることができる。
【0025】
加えて、共鳴容器と吸気集合室との連通部のシールがなされ、しかも、その連通は、共鳴容器の接続筒の他方端側を、シールラバーを間に挟んで、吸気集合室壁の筒状部に挿入するだけの簡単な作業によって行なうことができるので、組付け作業性も向上される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図9に図示される本願の請求項1および請求項2に記載された発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における吸気装置が適用される多気筒内燃機関が車両に搭載された状態を示す概略側面図、図2は、図1の車両の車体カバーを取り除いて見た内燃機関部分の概略平面図、図3は、図1の吸気装置に付設される共鳴容器の平面図、図4は、図3の共鳴容器の内燃機関本体部への取付部の詳細構造を示す図であって、一部を断面にして示す図、図5は、図4の左側面図、図6は、図3の共鳴容器の内燃機関本体部への取付部に使用されるブラケットの斜視図、図7は、図3の共鳴容器の吸気集合管への取付部の詳細構造を示す図であって、一部を断面にして示す図、図8は、図3の共鳴容器の吸気集合管への他の取付部の詳細構造を示す概略断面図、図9は、図8の他の取付部の拡大分解図である。
【0027】
図1および図2において、本実施形態における吸気装置10が適用される多気筒内燃機関0は、直列4気筒内燃機関であって、車両の車体前部に横置きに搭載され、シリンダブロック4、シリンダヘッド2、シリンダヘッドカバー3およびシリンダブロック4下方のオイルパン5からなる内燃機関本体部1と、該内燃機関本体部1の後方に配設された吸気装置10と、該内燃機関本体部1の前方に、気筒配列方向に沿って、シリンダヘッド2の一側からシリンダブロック4の一側にまたがって配設された排気マニホルド6とを備え、さらに、排気マニホルド6の前方に、ラジエータ8およびコンデンサ9を備えている。
【0028】
吸気装置10は、気筒配列方向に沿って、シリンダヘッド2の他側(請求項1において一側)に配設された吸気マニホルド11と、後述される共鳴容器18とを含んでいる。7は、ベルト伝動機構を介して図示されないクランクシャフトにより駆動されるオルタネータ、43は、ボンネットである。
【0029】
吸気マニホルド11は、金属製であって、詳細には図示されていないが、気筒数に応じた4つの等長の独立吸気通路13、13・・・(図8参照)を形成する4つの独立吸気管12、12・・・を有し、これら4つの独立吸気管12、12・・・の各々は、内燃機関本体部1のシリンダヘッド2の他側からやや下向きに、次いで、やや上向きに、全体として略直交方向に延設された後に、吸気集合室15(図8参照)を形成する吸気集合管14に接続されている。
【0030】
吸気集合管14は、略円筒状の管からなり、その軸方向を内燃機関本体部1の気筒配列方向に沿わせて配設されており、その上流側の端部には、スロットルボディ16が装着されている。スロットルボディ16のさらに上流側は、共通吸気管17を介してエアクリーナ( 図示されず)に接続されている。
【0031】
吸気集合管14は、その内方空間が吸気集合室15とされ、スロットルボディ16を通って流入してきた吸気がここに一旦集められ、次いで、4つの独立吸気通路13、13・・・の各々に分流されて、内燃機関本体部1の各気筒へと供給される。
【0032】
吸気集合管14には、その内部の吸気集合室15に連通するように、共鳴容器18が付設されている。
この共鳴容器18は、金属製もしくは樹脂製とされ、平面視略矩形状で、やや偏平な容器形状をなしていて、シリンダヘッドカバー3と吸気集合室15を形成する吸気集合管14との間にまたがり、4つの独立吸気通路13、13・・・を形成する4つの独立吸気管12、12・・・の上方を、空間Aを置いて覆うようにして、配設されている。
【0033】
そして、この共鳴容器18は、シリンダヘッドカバー3と吸気集合管(吸気集合室壁)14とに、ラバーを介して弾性支持されている。次に、この弾性支持構造について、詳細に説明する。
先ず、共鳴容器18は、シリンダヘッドカバー3に、次のようにして弾性支持されている。
【0034】
図2ないし図6において、シリンダヘッド2とシリンダヘッドカバー3とを連結する2個の通しボルト19、19(図4、図5参照。一方の通しボルト19は図示されず。)の各先端部が、シリンダヘッドカバー3の取付台座20、20(一方の取付台座20は図示されず)を貫通して上方に突出している。
【0035】
そして、この各通しボルト19の突出先端部に座金21が嵌装され、さらに、その上からブラケット22が、その一方の外方ボルト孔22a (図6参照)に通しボルト19の突出先端部を貫通させて、嵌装され、その上からナット35が緊締されて、ブラケット22が取付台座20に締付け固定されている。
【0036】
このようにして、ブラケット22が、その一対の外方ボルト孔22a 、22a の位置において、シリンダヘッドカバー3の取付台座20、20に締付け固定されて、シリンダヘッドカバー3に堅固に取り付けられている。
【0037】
ブラケット22には、その一対の外方ボルト孔22a 、22a よりやや内方の2個所に、もう一対の内方ボルト孔22b 、22b が形成されており、これらの内方ボルト孔22b 、22b に、共鳴容器18の平面視略矩形状の一辺32a 上の2個所が、後述するように、ラバー26を介してボルト連結されて、弾性支持されている。
【0038】
すなわち、共鳴容器18の一辺32a 上の両側2個所には、図3に図示されるように、一対の第1の取付け腕23a 、23a がそれぞれ突出形成されており、これら第1の取付け腕23a 、23a には、ボルト孔23b 、23b がそれぞれ形成されているので、図4に図示されるように、これらのボルト孔23b 、23b をブラケット22の内方ボルト孔22b 、22b にそれぞれ合致させて、両ボルト孔23b 、22b 間に弾性ゴム材料からなるラバー26を介装し、ボルト24を通して、ナット25により緊締することにより、共鳴容器18の一辺32a 上の2個所がシリンダヘッドカバー3に弾性支持されて取り付けられる。
【0039】
ラバー26は、内部が軸方向に空洞にされた円柱体形状をなしていて、これが両ボルト孔23b 、22b 間に介装されて、両ボルト孔23b 、22b 間がボルト24およびナット25により緊締された状態においては、その軸方向の両端面と内部空洞部の内周面とが、フランジ付き筒体27と該フランジ付き筒体27のフランジ部と同大の円板プレート28とからなる枠体により抱持されて、収縮させられている。
【0040】
そして、ラバー26の外周面に切り込み形成された環状溝26a には、共鳴容器18のボルト孔23b の孔周壁が食い込んでいて、これにより、ラバー26とボルト孔23b の孔周壁とが一体化されている。ボルト24は、円板プレート28の中央部のボルト孔とフランジ付き筒体27の筒体部とを貫通し、さらに、ブラケット22の内方ボルト孔22b を貫通して、その突出部に、ナット25が締着されている。
【0041】
このようにして、共鳴容器18の一辺32a 側は、ラバー26、ブラケット22を介してシリンダヘッドカバー3に弾性支持されて取り付けられているので、内燃機関0の稼働によって発生する振動が、シリンダヘッド2、シリンダヘッドカバー3、ブラケット22およびラバー26を介して共鳴容器18に伝達されるとき、ラバー26が弾性変形をして、この振動を吸収するので、共鳴容器18への振動の伝達は遮断もしくは減衰される。
【0042】
次に、共鳴容器18は、吸気集合管(吸気集合室壁)14に、次のようにして弾性支持されている。
図1および図10に図示されるように、吸気集合管14の下流端部からは、共鳴容器支持ステー29が立設されている。そして、この共鳴容器支持ステー29の端面には、図7に図示されるように、ボルトねじ孔29a が形成されており、このボルトねじ孔29a に、後述するボルト31がねじ込まれる。
【0043】
他方、平面視略矩形状の共鳴容器18の第1の取付け腕23a 、23a が突出形成された一辺32a に直交する他の2つの辺32b 、32c の一辺32a と反対側の端部近傍には、図3に図示されるように、一対の第2の取付け腕30a 、30a がそれぞれ向きを反対にして突出形成されている。そして、これら第2の取付け腕30a 、30a には、ボルト孔30b 、30b がそれぞれ形成されている。
【0044】
これらのボルト孔30b 、30b のうち、図3において下方のボルト孔30b は、図7に図示されるように、共鳴容器支持ステー29のボルトねじ孔29a に合わせられて、これら両孔30b 、29a 間にラバー26が介装され、さらに、ボルト31が通され緊締されて、共鳴容器18の他の2つの辺32b 、32c のうちの一辺32b の端部近傍が、吸気集合管14に弾性支持されて取り付けられる。
【0045】
この共鳴容器18の一辺32b (図3において下方の一辺)は、図3に図示されているように、直線状をなしておらず、その略中央部において階段状に折曲されていて、共鳴容器18を一辺32a と反対側においてやや先細に狭め、共鳴容器支持ステー29の方向に指向して延びている。
【0046】
共鳴容器18の一辺32b 側のボルト孔30b と共鳴容器支持ステー29のボルトねじ孔29a との間にラバー26が介装される態様は、共鳴容器18の一辺32a 側のボルト孔23b とブラケット22の内方ボルト孔22b 間にラバー26が介装される態様と全く同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0047】
このようにして、共鳴容器18の一辺32b の一辺32a と反対側端部は、ラバー26、共鳴容器支持ステー29を介して吸気集合管14に弾性支持されて取り付けられるので、内燃機関0の稼働によって発生する振動が、シリンダヘッド2、吸気マニホルド11、共鳴容器支持ステー29およびラバー26を介して共鳴容器18の一辺32b の端部側に伝達されるとき、ラバー26が弾性変形をして、この振動を吸収するので、共鳴容器18のこの側への振動の伝達は遮断もしくは減衰される。
【0048】
以上に述べたような、吸気集合管14の下流端部における共鳴容器18の一辺32b の端部の支持構造と全く同じ支持構造が、吸気集合管14の上流端部のスロットルボディ16が装着される個所においても、共鳴容器18の一辺32c の一辺32a と反対側端部を支持するために採用されており、その効果も、異なるところはないので、詳細な説明を省略する。
【0049】
共鳴容器18は、前記のとおり、平面視略矩形状をなしているが、図1および図12に図示されるように、側面視においては、上下方向に2分割されて、上半体18a と下半体18b との2つの部分から構成されている。
【0050】
下半体18b には、図8に図示されるように、その壁を貫通して接続筒34が一体に形成されており、この接続筒34の内部通路36を介して共鳴容器18の内部空間33が吸気集合管14の内部の吸気集合室15に開口連通され、さらに、そこから各独立吸気通路13、13・・・に連通されている。
【0051】
共鳴容器18の内部空間33は、内燃機関0の各気筒において吸気バルブが開閉作動したとき生ずる吸気圧力波に共鳴して反転圧力波を送出する共鳴室をなしており、この共鳴室(内部空間)33の容積、接続筒34の長さ(後述する接続筒34の筒部分34a の共鳴室33内への突出長)および径寸法を適切に設定することにより、内燃機関0の中・高回転速度域に適応した共鳴過給効果が発揮されて、吸気の体積効率を向上させることができる。但し、接続筒34の内部通路36の径は、吸気集合室15の径を越えることができない。
【0052】
なお、内燃機関0の低回転速度域においては、独立吸気通路13、13・・・の通路長が有効に機能して、慣性過給効果が発揮され、吸気の体積効率を向上させることができる。
【0053】
接続筒34は、共鳴容器18の底壁をなす下半体18b に形成されるが、その形成位置は、図2および図3に図示されるように、スロットルボディ16の下流側直下の位置において、吸気集合室15の上方に直ぐに臨むことができる位置とされる。このため、共鳴容器18の平面視略矩形状の一辺32c と最後の一辺(一辺32a に対向する辺)32d とにより形成される角部に近い位置に対応する下半体18b の角部近傍位置に開口形成されている。
【0054】
接続筒34は、また、図8に図示されるように、その一方端側の筒部分34a が、共鳴容器18内に突出させられ、その他方端側の筒部分34b が、吸気集合管14の頂部に形成された開口部から一体に延設された筒状部14a にシールラバー37を介して嵌着されている。筒部分34b は、吸気集合室15内に突出しないようにして筒状部14a に嵌着されており、これにより、吸気集合室15内の吸気流の乱れが回避されている。
【0055】
シールラバー37は、弾性ゴム材料からなり、図9により良く図示されているように、その大径頭部を除く筒部の外周面に、2条の環状凸部37a が形成されており、内周面に、これら2条の環状凸部37a に対応させて、2条の環状凹部37b が形成されている。
【0056】
シールラバー37は、前記のように構成されているので、これが接続筒34の筒部分34b と吸気集合管14の筒状部14a との間に介装されるとき、その外周の環状凸部37a の変形をその内周の環状凹部37b により吸収させることができ、環状凸部37a の筒状部14a の内周面に対する面圧を高めて、確実にこの部分のシール性を向上させることができる。
【0057】
このように、シールラバー37の環状凸部37a の面圧が高められた状態で、接続筒34の筒部分34b が吸気集合管14の筒状部14a に嵌着されることにより、共鳴容器18は、この部分においても吸気集合管14に堅固に弾性支持され、内燃機関0の稼働によって発生する振動が共鳴容器18に伝達されるのを効果的に抑制する。
【0058】
共鳴容器18が、吸気マニホルド11の独立吸気管12、12・・・の上方を覆い、かつ、シリンダヘッドカバー3と吸気集合管14との間にまたがるようにして配設されることにより形成された空間A内には、図1および図8に図示されるように、シリンダヘッド2近傍の独立吸気管12、12・・・上に、内燃機関0の各気筒毎に設けられる燃料噴射弁38、燃料供給管39、圧力調整弁40等が配設されている。
【0059】
本実施形態は、前記のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
共鳴容器18は、シリンダヘッド2の上方に装着されるシリンダヘッドカバー3と吸気集合室15(吸気集合管14)との間にまたがり、4つの独立吸気通路13、13・・・(4つの独立吸気管12、12・・・)の上方を空間Aを置いて覆うようにして配設され、しかも、この空間Aは、内燃機関0の各気筒毎に設けられる燃料噴射弁38、燃料供給管39、圧力調整弁40等を収容することができる大きさにされている。
【0060】
この結果、共鳴容器18が気筒配列方向と直交する方向にはみ出すことがなくなり、しかも、共鳴容器18と4つの独立吸気通路13、13・・・とに挟まれる空間Aが有効に利用されるので、吸気装置10をコンパクトに構成することができる。
【0061】
また、共鳴容器18は、機関室上層部の熱気を燃料噴射弁38や燃料供給管39、4つの独立吸気通路13、13・・・を含む吸気マニホルド11から遮断するので、内燃機関0の出力の低下や始動性の悪化等を防止することができるとともに、燃料噴射弁38や燃料供給管39等を目隠しするので、内燃機関0の外観を向上させることができる。
【0062】
また、共鳴容器18は、シリンダヘッドカバー3と吸気集合管(吸気集合室壁)14とにラバー26を介して弾性支持されている。この結果、内燃機関0の稼働によって発生する振動の伝達をこの支持部において遮断もしくは減衰させることができ、共鳴容器18の持つ固有振動数に影響を与えることがなくなるので、この共鳴容器18を利用した共鳴過給における吸気特性を安定化させることができる。また、共鳴容器18からの放射音を低減させることができる。
【0063】
さらに、共鳴容器18が、シリンダヘッドカバー3と吸気集合管14とにラバー26を介して弾性支持されることにより、共鳴容器18の振動と吸気マニホルド11の振動との間に位相差が生じるので、これら両振動の干渉効果(ダイナミックダンパ効果)によって、これら両者の振動を抑制することができる。これにより、吸気マニホルド11に連結されるスロットルボディ16等の吸気制御部品の耐久信頼性を向上させることができる。
【0064】
また、共鳴容器18は、吸気集合室15の上方に、スロットルボディ16の下流側直下の位置において、開口連通されており、しかも、このスロットルボディ16は、吸気集合室15の上流側の一端に装着されている。
【0065】
この結果、共鳴容器18の共鳴室33を含む吸気集合部(吸気集合室15、共鳴室33)で反転した吸気圧力波は、スロットルボディ16を通って流入してくる吸気の流れとの対向が避けられ、その影響を直接受けることがなくなる。
【0066】
これにより、吸気圧力波は、吸気集合室15および独立吸気通路13、13・・・における減衰が最小限に抑えられ、スムースに他の気筒にその影響を及ぼすことができて、特に内燃機関0の中・高回転速度域における吸気の共鳴過給効果を向上させて、体積効率を向上させることができる。
【0067】
仮に、共鳴容器18が、吸気集合室15の下流端壁に開口連通されるとすると、共鳴容器18の共鳴室33を含む吸気集合部で反転した吸気圧力波は、スロットルボディ16を通って流入してくる吸気の流れと対向することになり、その影響を直接に受けるので、前記のような効果を奏することができない。
【0068】
また、共鳴容器18が吸気集合室15の上方に開口連通される開口の大きさ、すなわち、接続筒34の内部通路36の径寸法や筒部分34a の共鳴室33内への突出長を適切に設定することにより、また、共鳴室33の容積を適切に設定することにより、内燃機関0の中・高回転速度域において、最大の過給効果が得られるようにすることができるので、この面からも、吸気の体積効率を向上させることができる(図11参照)。
【0069】
さらに、共鳴容器18には、その底壁をなす下半体18b の壁面を貫通して、接続筒34が一体に形成され、この接続筒34の一方端側の筒部分34a が、共鳴容器18内に突出させられ、その他方端側の筒部分34b が、吸気集合管14の頂部(吸気集合室15の頂壁)に形成された開口部から一体に延設された筒状部14a にシールラバー37を介して嵌着されている。
【0070】
この結果、共鳴容器18は、シリンダヘッドカバー3と吸気集合管14とにラバー26を介して弾性支持されるのみならず、吸気集合管14にシールラバー37を介しても弾性支持されるので、内燃機関0の稼働によって発生する振動の伝達をこの弾性支持部においても遮断もしくは減衰させることができ、共鳴容器18を利用した共鳴過給における吸気特性をさらに安定化させることができる。また、共鳴容器18からの放射音をさらに低減させることができる。
【0071】
加えて、共鳴容器18と吸気集合室15(吸気集合管14)との連通部のシールがなされ、しかも、その連通は、共鳴容器18の接続筒34の筒部分34b を、シールラバー37を間に挟んで、吸気集合管14の筒状部14a に挿入するだけの簡単な作業によって行なうことができるので、組付け作業性も向上させることができる。
【0072】
本実施形態において、共鳴室33と吸気集合室15とは、接続筒34の内部通路36を介して直接連通されるようにされたが、これに限定されず、例えば、図10に図示されるように、接続筒34の内部通路36に、該内部通路36を連通もしくは不連通に制御することができる吸気制御弁41を配設するようにしてもよい。
【0073】
この吸気制御弁41は、内燃機関0の回転速度域に応じて、ダイアフラム42および図示されないソレノイド弁により開閉制御される。そして、内燃機関0の低回転速度域(N<N1 )においては閉じられ、独立吸気通路13、13・・・を介して慣性過給効果を利用した吸気が行なわれ、中・高回転速度域(N>N1 )においては開かれ、共鳴容器18の共鳴室33を介して共鳴過給効果を利用した吸気が行なわれ、全体として、高い体積効率を得ることができる(図11参照)。
【0074】
すなわち、図11に図示されているように、吸気制御弁41が閉じられる低回転速度域(N<N1 )においては、共鳴室33の吸気集合室15への連通が完全に遮断され、独立吸気通路13、13・・・の通路長による慣性過給効果で得られる吸気特性が活用され、吸気制御弁41が開かれる中・高回転速度域(N>N1 )においては、共鳴室33を含む吸気集合部で反転した吸気圧力波による共鳴過給効果で得られる吸気特性が活用されることで、2つの吸気特性(慣性過給と共鳴過給)が効率よく最大限活用されて、全回転速度域における吸気の高い体積効率を得ることができる。
【0075】
吸気制御弁41としては、バタフライ式もしくはロータリー式の開閉弁が使用できる。
吸気制御弁41を開閉制御するダイアフラム42やソレノイド弁は、共鳴容器18の下方空間A内に配設することができる。これにより、外観が損なわれず、吸気装置10に関連する部品を空間A内に集約することができるので、組付け作業性も向上する。
【0076】
また、吸気制御弁41に代えて、接続路長を伸縮自在にした通路長可変手段を配設するようにしてもよい。この場合、接続路長を長くするには、共鳴室33内への突出長を長くする。吸気集合室15内に突出させると、吸気集合室15内の吸気流が乱されるので、好ましくない。
【0077】
このような通路長可変手段が設けられた場合、内燃機関0の中回転速度域において共鳴過給効果による体積効率の向上を図るには、ヘルムホルツの方程式により、接続路長を増大させるか、接続路径を減少させればよい。なお、共鳴室33の容積を増大させても、同様の効果を得ることができる。内燃機関0の高回転速度域において共鳴過給効果による体積効率の向上を図るには、以上の逆にすればよい。
【0078】
以上の実施形態において、多気筒内燃機関0は、4気筒内燃機関とされたが、これに限定されず、6気筒等他の多気筒内燃機関とされてもい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の請求項1および請求項2に記載された発明の一実施形態における吸気装置が適用される多気筒内燃機関が車両に搭載された状態を示す概略側面図である。
【図2】図1の車両のボンネットを取り除いて見た内燃機関部分の概略平面図である。
【図3】図1の吸気装置に付設される共鳴容器の平面図である。
【図4】図3の共鳴容器の内燃機関本体部への取付部の詳細構造を示す図であって、一部を断面にして示す図である。
【図5】図4の左側面図である。
【図6】図3の共鳴容器の内燃機関本体部への取付部に使用されるブラケットの斜視図である。
【図7】図3の共鳴容器の吸気集合管への取付部の詳細構造を示す図であって、一部を断面にして示す図である。
【図8】図3の共鳴容器の吸気集合管への他の取付部の詳細構造を示す概略断面図である。
【図9】図8の他の取付部の拡大分解図である。
【図10】本願の請求項1および請求項2に記載された発明の他の実施形態における吸気装置の概略側面図である。
【図11】図10の吸気装置が適用された多気筒内燃機関の特性線図である。
【符号の説明】
0…多気筒内燃機関、1…内燃機関本体部、2…シリンダヘッド、3…シリンダヘッドカバー、4…シリンダブロック、5…オイルパン、6…排気マニホルド、7…オルタネータ、8…ラジエータ、9…コンデンサ、10…吸気装置、11…吸気マニホルド、12…独立吸気管、13…独立吸気通路、14…吸気集合管(吸気集合室壁)、14a …筒状部、15…吸気集合室、16…スロットルボディ、17…共通吸気管、18…共鳴容器、18a …上半体、18b …下半体、19…通しボルト、20…取付台座、21…座金、22…ブラケット、22a …外方ボルト孔、22b …内方ボルト孔、23a …第1の取付け腕、23b …ボルト孔、24…ボルト、25…ナット、26…ラバー、26a …環状溝、27…フランジ付き筒体、28…円板プレート、29…共鳴容器支持ステー、29a …ボルトねじ孔、30a …第2の取付け腕、30b …ボルト孔、31…ボルト、32a 〜32d …平面視略矩形状の一辺、33…共鳴室(内部空間)、34…接続筒、34a 、34b …筒部分、35…ナット、36…内部通路、37…シールラバー、37a …環状凸部、37b …環状凹部、38…燃料噴射弁、39…燃料供給管、40…圧力調整弁、41…吸気制御弁、42…ダイアフラム、43…ボンネット、A…空間。
Claims (2)
- 吸気マニホルドが、複数の等長の独立吸気通路を有し、内燃機関の気筒配列方向に沿って、シリンダヘッドの一側に配設されており、
前記複数の独立吸気通路の各々は、前記内燃機関本体部から略直交方向に延設された後に、吸気集合室に接続され、
前記吸気集合室は、前記内燃機関の気筒配列方向に沿って配設され、その上流側の端部にスロットルボディが装着され、
前記吸気集合室に連通するように、共鳴容器が付設されてなる多気筒内燃機関の吸気装置において、
前記共鳴容器は、
前記シリンダヘッドの上方に装着されるシリンダヘッドカバーと前記吸気集合室との間にまたがり、前記複数の独立吸気通路の上方を空間を置いて覆うようにして配設され、
前記シリンダヘッドカバーと前記吸気集合室壁とに、ラバーを介して弾性支持され、
かつ、前記吸気集合室の上方に、前記スロットルボディの下流側直下の位置で、開口連通されており、
前記空間は、少なくとも前記内燃機関の各気筒毎に設けられる燃料噴射弁と燃料供給管とを収容することができる大きさにされたことを特徴とする多気筒内燃機関の吸気装置。 - 前記共鳴容器には、その底壁を貫通して、接続筒が一体に形成され、
前記接続筒の一方端側は、前記共鳴容器内に突出させられ、その他方端側は、前記吸気集合室の上方壁に形成された開口部から一体に延設された筒状部にシールラバーを介して弾性支持されたことを特徴とする請求項1記載の多気筒内燃機関の吸気装置。
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