JPH019847Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は建造物の柱脚等の固定に使用するアン
カーボルトに関するものである。

建造物等の柱脚を基礎構造物に固定する方法と
して、埋込み式、根巻き式或はアンカーボルト式
があるが、埋込み式は建込み施工が面倒であり、
また、根巻き式はやはり施工が面倒なことと基礎
床面の利用空間を狭めることから、低階層の建物
においては、一般にアンカーボルト式が多く実施
されている。

アンカーボルト式は、基礎構造物に埋込んだア
ンカーボルトに柱脚を固定させるものであるが、
従来のアンカーボルトは、第１図に示したよう
に、ボルト本体１の下端に定着板２を固設した構
成で、基礎コンクリートＡに埋設させるものやボ
ルト本体をステツキ形状にするものなどがあり、
その上部に突出したネジ部３に柱脚Ｂのベースプ
レートＣのボルト孔を通じてナツト４を締め込ん
で柱脚Ｂを固定させている。

これらのアンカーボルトによる固定方式では、
アンカーボルトに耐力を期待するものであるが、
アンカーボルトは、その軸部であるボルト本体１
にコンクリートとの付着を切る為にビニールテー
プ等でアンボンド処理ａを施したものでは、アン
カーボルトの引抜き力に対しては定着板によるコ
ンクリートの剪断面ｂが反力となり、ボルト本体
をステツキ形状とさせるものはコンクリートとの
付着力を反力とするものである。したがつて、ア
ンカーボルトによる耐力を増大させるためには、
剪断面ｂを増大させることや、付着抵抗力を増す
ためにアンカーボルトを長くする必要があり、そ
れだけ基礎コンクリートＡを大きくしなければな
らず、建築費用が増大することになる。

本考案は、前記従来のアンカーボルトによる方
式の問題点を解決するためになされたもので、ボ
ルト本体の下端に固設した定着板の下面に、ネジ
鉄筋をボルト本体の延長方向或は直交方向に固設
させ、それによつてネジ鉄筋のコンクリートと付
着力によつて定着板自身の定着効果を高め、アン
カーボルトの高さを低減して基礎コンクリートの
厚さを減少させると共に施工が容易であり、施工
経済上得策なアンカーを提供しようとするもので
ある。

以下、本考案アンカーの実施例を図面を参照し
て説明する。

第２図はその一実施例を示したもので、１はボ
ルト本体であり、その上端にはボルト本体１より
若干小径とした伸び部分５を介してネジ部３が設
けられており、ボルト本体１の下端には定着板２
が固設されている。定着板２の下面には軸線がボ
ルト本体１の延長方向と一致する鉄筋螺着用ナツ
ト６が固設され、このナツト６に鉄筋７の上端部
が螺設したネジを介して螺着或は鉄筋７にネジ鉄
筋を用いてその上端部を螺着する。なお、本実施
例においては、鉄筋７は１本となつているが、こ
れを複数本定着板２の下面各所に固設することも
できる。また、定着板２にはナツト６を設けず
に、鉄筋７を定着板２に直接固設してもよいが、
しかし、鉄筋７をナツト６に螺着させるものの方
が、設計や施工条件に合せて長さの異る鉄筋７を
適宜使用することができるので便利となる。

第３図は本考案の他の実施例を示したもので、
定着板２の下面に取付板８を垂設し、この取付板
８の両面にボルト本体１と水平に直交する方向を
軸線とした鉄筋螺着用ナツト６，６を固設し、こ
れらのナツト６，６にそれぞれ鉄筋７，７が前実
施例同様に螺着される。なお、本実施例の場合も
前実施例の場合と同様に、ナツト６を設けずに鉄
筋７を取付板８に直接固設してもよく、また、取
付板８を設けずに定着板２の下面に直接鉄筋７を
固設してもよい。更に、鉄筋７は複数本併設或は
放射状にして固設することもできる。

第４図は第２図に示したアンカーボルトを埋設
するための施工例を示したもので、柱脚Ｂを固定
する複数のアンカーボルトの相互位置を設定させ
るために、各アンカーボルトの鉄筋７，７の下部
に下部連結プレート９を挿通し、これを鉄筋７，
７の下部に螺合した締付ナツト１０，１０により
挾着させると共に、アンカーボルトの上部のネジ
部３，３にも上部連結プレート１１を挿通して締
付ナツト１２，１２により挾着させる。それによ
つて各アンカーボルトが互に所定の間隔をおいて
設定できる。したがつて、従来のようなアンカー
ボルト設定のための特別な施工を削減することが
できる。

第５図は第３図に示したアンカーボルトを埋設
するための施工例を示したもので、上部連結プレ
ート１１の挾着は前記のものと同様であるが、各
アンカーボルトの下部は、前記のもののような下
部連結プレート１０を挾着しなくても、各取付板
８，８に固設したナツト６，６間に鉄筋７をそれ
ぞれ螺着させれば相互に所定間隔をおいて連結さ
れることになる。この場合も前記同様に特別な施
工を削減することができる。

以上説明したように、本考案は、ボルト本体の
下端に固設した定着板の下面側に、縦方向或は横
方向に鉄筋を固設したので、鉄筋とコンクリート
との大きな付着力によつて、アンカーボルトの引
抜き抵抗を著しく増大させて、アンカーボルトの
強力な埋設が行なえると共に、定着板によるコン
クリートの剪断抵抗力を軽減させることができ、
その結果、アンカーボルト全体の長さを短縮さ
せ、基礎コンクリートの厚さを低減して施工費を
大巾に減少させることができる。また、アンカー
ボルトはボルト本体とネジ部との間に径小の伸び
部分を介在させたので、アンカーボルトに過分な
応力が働いても、伸び部の伸長によつてネジ部の
脆性的破壊を防ぎ、ボルト全体の疲労強度を向上
させることができる。しかも、アンカーボルトの
下部は鉄筋と螺合のナツトを介して連結プレート
の取付け或は鉄筋の螺着により、互に所定間隔を
おいて連結することができるので、各アンカーボ
ルトの所定位置への設定、施工が特別の手段を施
さずに極めて簡易に行ない得られ、施工の手数を
大巾に軽減させることができる等、多くの利点を
有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のアンカーボルトおよびその使用
状態を示す側断面図、第２図は本考案アンカーの
一実施例を示す側面図、第３図は同他の実施例を
示す斜面図、第４図は第２図のアンカーの施工例
を示す側断面図、第５図は第３図のアンカーの施
工例を示す側断面図である。 Ａ……基礎コンクリート、Ｂ……柱脚、Ｃ……
ベースプレート、１……ボルト本体、２……定着
板、３……ネジ部、４……ナツト、５……伸び
部、６……鉄筋螺着用ナツト、７……鉄筋、８…
…取付板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上端部にネジ部を設けたボルト本体の下端に
   定着板を固設すると共に、定着板の下面側に鉄
   筋を、ボルト本体の延長方向或はこれに直交す
   る方向で固設したことを特徴とする、建造物等
   の柱脚固定用アンカー。 (2) 定着板の下面側にナツトを固設し、該ナツト
   に鉄筋を螺着したことを特徴とする、実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のアンカー。 (3) ボルト本体に、そのネジ部に続いて径小とし
   た伸び部を設けたことを特徴とする、実用新案
   登録請求の範囲第１項および第２項記載のアン
   カー。