JPH0229127Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、コンクリート躯体の表面に取り付け
る外壁材の取付金具に関するものである。

（従来の技術） コンクリート躯体の表面を仕上げるには、コン
クリート躯体の表面にモルタルあるいは外壁材を
取り付けることが多いが、コンクリート躯体と外
壁材との間に断熱材を取り付ける場合もある。こ
の場合は外壁材が断熱材を圧縮しないように取り
付けられる必要がある。

コンクリート躯体の表面に外壁材を取り付ける
に際して、従来では、コンクリート躯体にアンカ
ーを埋設し、外壁材の結合部の各端面にピン（こ
こで云うピンとは実施例の説明における符号４の
ピンのこと）の両端を突入係合させて互いに連結
し、このピンと前記アンカーとを針金などで締結
して外壁材をコンクリート躯体に固定していた。

ところが、針金などで外壁材を固定するのは、
耐久性と安定性に問題がある。

一方、コンクリート躯体にアンカーを打ち込む
ときの位置決め（墨出し）は、コンクリート躯体
の配筋位置により変更される場合が多い。又、コ
ンクリート打設の状況によつて躯体表面は平坦で
ないことが多く、このため躯体表面と外壁材との
間隔が場所によつて異つていることが常である。

従来技術のように針金などを使用する取付構造
は、アンカー位置の変更、躯体表面と外壁材との
間隔のばら付きがあつても外壁材の取り付けには
ほとんど影響がないが、取付金具を使用して外壁
材を強固に取り付けるときは、取付金具がアンカ
ーに対して上下、左右および前後方向にその取付
位置を自由に調整できる機能が要求される。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は、コンクリート躯体に外壁材を取り付
ける取付金具において、コンクリート躯体表面に
打ち込んだアンカーに対して上下、左右および前
後方向に取付位置が調整できると共に、外壁材を
強固に安定よく取り付けることができる。取付金
具を展供することである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するための手段は、コンクリー
ト躯体に埋設し基端部にねじ孔を形成したアンカ
ーと、中央部にフランジを形成し前記アンカーに
ねじ結合する中継ぎボルトと、断面Ｌ字形を呈し
垂直部に上下方向に沿う複数の長孔を形成し水平
部に左右方向に沿う長孔を形成し前記垂直部の長
孔の何れかを前記中継ボルトに嵌合するアングル
金具と、前記アングル金具を中継ボルトに固定す
るナツトと、前記アングル金具の水平部の長孔内
に挿入すると共に両端を外壁材の厚み方向の端面
に突入係合させた連結ピンを具備することであ
る。

（作用） アンカーをコンクリート躯体に埋設してその基
端部に中継ぎボルトをねじ結合し、アングル金具
の垂直部に形成した長孔に前記ボルトを挿入し、
ナツトでフランジに締め付け固定すると共に、ア
ングル金具の水平部に形成した長孔に挿入した連
結ピンの両端部を外壁材の端面に突入係合させる
ことにより、コンクリート躯体の表面に外壁材を
浮上させて取り付けるようにしている。

（実施例） 第１図は本考案に係る取付金具の分解斜視図、
第２図はアンカーの基端部の断面図、第３図はア
ングル金具の調整範囲を示す説明図、第４図は使
用状態の断面図である。

これらの図において、コンクリート躯体Ａにア
ンカー１を埋設し、このアンカー１の基端部に中
継ぎボルト２をねじ結合している。

前記中継ぎボルト２の中央部にはスパナ等との
係合部とする六角形のフランジ３を形成してい
る。そして、コンクリート躯体Ａの表面を覆う外
壁材Ｂの端面に連結ピン４の両端をそれぞれ突入
係合させて隣接する外壁材Ｂを相互に板厚方向に
拘束させたうえで、前記連結ピン４と前記中継ぎ
ボルト２とをアングル金具５を介して結合してい
る。

前記アングル金具５は断面Ｌ字形であつて、垂
直部６には、縦長で左右一対の長孔７，７を形成
し、この長孔７の幅を前記中継ぎボルト２の外径
より僅かに広くすることにより、何れかの長孔７
に中継ぎボルト２を挿入し、これをナツト８で前
記フランジ３に締付固定している。又、前記アン
グル金具５の水平部９には前記連結ピン４を摺動
自在に挿通保持する横長の長孔１０を形成してい
る。１１は前記中継ぎボルト２を前記アンカー１
に固定するためのロツクナツト、１２は座金、１
３はバネ座金であつて、何れも前記ナツト８を締
め付けるためのものである。１４は前記アンカー
１の先端拡張部に装着したプラグである。なお、
前記アンカー１の基端部は第２図に示すように縮
径させてねじ孔を形成し、このねじ孔に前記中継
ぎボルト２をねじ結合するようにしている。

上記のように構成された取付金具を使用してコ
ンクリート躯体Ａの表面に外壁材Ｂを装着するに
は、まず、コンクリート躯体Ａにアンカー１を埋
設固定する。

次に、中継ぎボルト２をアンカー１にねじ結合
したのち、フランジ３から突出するネジ部にアン
グル金具５の垂直部６に形成した長孔７のいずれ
かを嵌合し、アングル金具５を座金１２、バネ座
金１３を介してナツト８でフランジ３に締付固定
する。

続いて、アングル金具５の水平部９に形成して
いる長孔１０に連結ピン４を挿入し、この連結ピ
ン４の両端を相互に隣接する外壁材Ｂの端部に突
入係合させる。これによりコンクリート躯体Ａの
表面に外壁材Ｂが取り付けられる（第４図）。

アンカー１の埋設位置の変更に対する取付金具
の調整のうち、アンカーの上下方向の誤差は、ア
ングル金具５の垂直部６に形成している長孔７内
における中継ぎボルト２の位置の変更で修正さ
れ、左右方向の誤差は水平部９に形成されている
長孔１０内における連結ピン４の位置の変更で修
正される。

すなわち、上下方向の調整はナツト８を締め付
ける前にアングル金具５を長孔７内で移動して行
われ、又、左右方向の調整は中継ぎボルト２を挿
通する長孔７の選択によつて行われる。なお、中
継ぎボルト２は左右何れかの長孔７を選択するこ
とにより連結ピン４は長孔１０内で横方向に移動
したことになり、これによつてアングル金具は上
下のみならず、左右方向にも取付位置が調整でき
ることになる。

さらに又、中継ぎボルト２のロツクナツト１１
を緩め、中継ぎボルト２をアンカー１から引き出
せば、アングル金具５は前後方向に対しても取付
位置が調整できる。

第４図は使用状態図であるが、上段と下段とで
はコンクリート躯体Ａと外壁材Ｂとの間隔が異つ
ている。そこで、下段の場合は中継ぎボルト２を
アンカー１から引き出してアングル金具５を上段
の位置と合せている。

外壁材は上記したようにコンクリート躯体に取
り付けられるが、必要により外壁材と躯体との間
に断熱材が装着される。

（考案の効果） 本考案は、取付位置を上下、左右および前後方
向に調整可能なアングル金具と外壁材を相互に結
合する連結ピンとによつて外壁材をコンクリート
躯体に取り付けるものであるから、躯体の配筋状
態によつてアンカーの打込み位置を変ることがで
き、このため作業性が改善されると同時に、外壁
材の安定性を向上できる。

又、本考案は、コンクリート躯体と外壁材との
間に隙間を設けて取り付けることができるので、
この隙間の中に断熱材を装着すれば建造物の外側
に断熱材を装着する所謂外断熱工法が施工しやす
いことになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る取付金具の分解斜視図、
第２図はアンカーの基端部の断面図、第３図はア
ングル金具の調整範囲を示す説明図、第４図は使
用状態の断面図である。 Ａ……コンクリート躯体、Ｂ……外壁材、１…
…アンカー、２……中継ぎボルト、３……フラン
ジ、４……連結ピン、５……アングル金具、６…
…垂直部、７……長孔、８……ナツト、９……水
平部、１０……長孔、１１……ロツクナツト、１
２……座金、１３……バネ座金。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンクリート躯体の表面に外壁材を取り付ける
   ための金具であつて、コンクリート躯体に埋設し
   基端部にねじ孔を形成したアンカーと、中央部に
   フランジを形成し前記アンカーにねじ結合する中
   継ぎボルトと、断面Ｌ字形を呈し垂直部に上下方
   向に沿う複数の長孔を形成し水平部に左右方向に
   沿う長孔を形成し前記垂直部の長孔の何れかを前
   記中継ボルトに嵌合するアングル金具と、前記ア
   ングル金具を中継ボルトに固定するナツトと、前
   記アングル金具の水平部の長孔内に挿入すると共
   に両端を外壁材の厚み方向の端面に突入係合させ
   た連結ピンを具備する外壁材の取付金具。