JPH0148163B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、自動車等のウインドモール用保持
具に関するものである。

自動車等のウインドガラスの周縁には、通常ウ
インドモールデイング（以下、単にモールと略称
する。）が取付けられている。そして、この取付
けに際しては、従来第１図に示すような保持具Ｃ
が用いられる。しかしながら、この保持具Ｃで
は、その構造上、保持具Ｃ自体をウインドガラス
ＧおよびボデイＢに対して正規の姿勢で取付けら
れない場合がある。即ち、従来の保持具Ｃではそ
れ自体の高さが正規の組付け状態（第３図の状
態）でのガラスＧ面の高さに設定されているた
め、組付け初期の段階（第２図の段階）では後傾
姿勢とならざるを得ない。したがつて、タツピン
グスクリユーＴをねじ込んでいつても、保持具Ｃ
は後傾姿勢のまま組付けられてしまうのである。
この場合にはモールＭが所定の状態で装着されな
いため、車の美観を損ねるばかりか、保持具Ｃ自
体ががた付くことになるため、モールＭのがた付
きの誘因となる。

本発明は、上記に鑑みて案出工夫されたもので
ある。即ち、本発明が目的とするところは、モー
ルを正規の状態で確実に取付けうる保持具を提供
することである。以下、本発明を具体化した実施
例について、図面に基づいて説明する。

第５図および第６図は、本発明の第１実施例を
示すものである。第１実施例に係る保持具Ｃ１は
合成樹脂材にて形成されており、その機能より２
つの部分に区分される。１つはその上部側に形成
されたモール装着部MSであり、モールＭの装着
とウインドガラスＧを押え付ける役割をなす。そ
して他の１つは下部側に形成された保持部Ｈであ
り、上記モール装着部MSをボデイＢ側に固定す
る役割をなす。次に、両部の構成について説明す
る。

モール装着部MSの中央部には基板１が形成さ
れ、かつその上面中央部にはタツピングスクリユ
ーＴの差込み孔１６を有する凹部１８が形成され
て強度上の必要に応じて補強板１９を嵌着しう
る。また基板１の左右両側縁の背側部分からは前
方へ向けて水平かつ末広がり状に１対の翼片２，
２が延出形成されている。両翼片２，２は相互に
拡開する方向への弾性変形が許容されるとともに
その中央にはウインドガラスＧとの干渉を回避す
るために段差３が形成され、さらにその先端部に
はモールＭの第１フランジ縁ｆ１と係合しうるよ
うに係合段部４がそれぞれ形成されている。な
お、モールＭの第２フランジ縁ｆ２は基板１の背
側縁に突出形成された係止突片５と係合しうる。
一方、基板１の下面において背側には幅方向に沿
つて左右両方向へ開口する側面略アーチ状に形成
された脚部６が形成されており、また基板１下面
において脚部６の前側はウインドガラスＧに密着
しうる押圧面７とされている。前記脚部６の両側
片は、開脚方向への弾性変形をなしうるようにそ
れぞれ若干薄肉に形成されるとともに両側片の下
縁部にはそれぞれ内方へ向けて爪縁８が形成され
ている。そして、保持部Ｈは両爪縁８，８の一部
に対し薄肉の接続片９を介して懸垂支持されてい
るものの、両接続片９はタツピングスクリユーＴ
のねじ込みによつて爪縁８と保持部Ｈとの接続関
係を断つことができるように形成され、前記保持
部Ｈに前記モール装着部MSを下動可能な位置関
係をもつて連結する連結手段を構成している。

保持部ＨはボデイＢに穿孔された取付け孔１０
に係止しうる台板１１を境にして、上部側にはモ
ール装着部MS側へ係合しうる台部１２が形成さ
れ、下部側にはボデイＢ側へ係合しうる差込み部
１３がそれぞれ一体形成されている。台部１２は
脚部６とほぼ同幅の台状に形成されるとともにそ
の前後両壁面には幅方向に沿つて両爪縁８，８と
係合しうる係止段縁１４，１４が形成されてい
る。そして、この両係止段縁１４，１４より上側
の壁面は、両接続片９，９から解放された後にお
ける台部１２の脚部６内への圧入動作を案内しう
るように、下向き勾配をもつガイド面１５，１５
がそれぞれ形成されている。また台部１２の中央
には、基板１から同軸で穿孔されたタツピングス
クリユーＴの差込み孔１６が貫通されており、台
板１１の下面にはこの差込み孔１６を挾んで、前
記差込み部１３を形成する１対の鉤片１７が前後
に対向されている。両鉤片１７，１７は取付け孔
１０に係入しうるように形成され、かつタツピン
グスクリユーＴのねじ込みに従つて相互に拡開す
る方向への若干の弾性変形が許容されている。

次に、上記のように形成された第１実施例に係
る保持具Ｃ１を用いたモールＭの取付け作業例を
示す。

まず、モールＭの取付けに先立つて、ボデイＢ
の窓枠部に対し弾性材よりなるシーラ材２０を介
してウインドガラスＧを固定しておく。この後、
保持具Ｃ１の装着作業を行う。まず、保持具Ｃ１
全体を正立姿勢にしてボデイＢの取付け孔１０へ
両鉤片１７，１７をそれぞれ係入させる。但し、
このときのボデイＢからウインドガラスＧ表面ま
での高さをｈ１とする（第６図イ参照）。次に、
凹部１８に対し必要に応じて補強板１９を嵌合さ
せた下で、差込み孔１６へタツピングスクリユー
Ｔを差込み、これをねじ込んでやる。すると、タ
ツピングスクリユーＴの螺進に従つて、両鉤片１
７，１７が押し拡げられるため、ボデイＢに対す
る抜け止めがなされる。さらにタツピングスクリ
ユーＴが螺進され、基板１上面がタツピングスク
リユーＴの頭部からの押圧力を受承すると、モー
ル装着部MS全体がボデイＢ側へ押し下げられる
ため、両接続片９，９は破断されてモール装着部
MSと保持部Ｈとの接続関係が断たれる。したが
つて、モール装着部MSがタツピングスクリユー
Ｔの螺進につれて下降されると、両爪縁８，８が
両ガイド面１５，１５の傾斜に沿つてスライドさ
れる結果、脚部６が開脚される（第６図ロ参照）。
そして、このままタツピングスクリユーＴをさら
にねじ込んでやると、両爪縁８，８はガイド面１
５，１５を乗り越えて係止段縁１４，１４と係合
される。また、同時に押圧面７にてウインドガラ
スＧを押し下げてゆく結果、ウインドガラスＧの
ボデイＢからの高さはｈ２へと押し縮められる
（第６図ハ参照）。そして脚部６における両側片の
下縁がボデイＢに当接されると、モール装着部
MSはそれ以上の下動が規制される。即ち、この
時点から、さらにタツピングスクリユーＴがねじ
込まれると、保持部Ｈは持上げ力を受承するた
め、両鉤片１７，１７の外壁が取付け孔１０の孔
縁に食い込む結果となる。しかして、保持具Ｃ１
全体ががた付きなく確実に止着される。この後、
モールＭの装着作業が行われる。モールＭの装着
作業では、モールＭの第１フランジ縁ｆ１を両翼
片２，２の係合段部４にそれぞれあてがつた下で
モールＭを押圧してやる。このことによつて、両
翼片２，２は相互に拡開変形され、モールＭの第
２フランジ縁ｆ２が係止突片５と係合されると、
モールＭは両翼片２，２を弾性力にて係着され
る。しかして、モールＭの装着作業が完了され
る。

このように第１実施例に係る保持具Ｃ１は、窓
枠部へ仮付けされるまでは、保持部Ｈにモール装
着部MSが両接続片９，９により下動可能な位置
関係をもつて連結され、一体の単一部材であるた
め、保持部Ｈ及びモール装着部MSの紛失が防止
されるとともに、窓枠部に対する保持具Ｃ１の止
着作業が簡便に行なえる。また、取付け後には爪
縁８と係止段縁１４とが係合されているため、取
り外し時にはタツピングスクリユーＴを抜き取れ
ば、モール装着部MSと保持部Ｈとを同時に抜き
取ることができる。

また、本例保持具Ｃ１はタツピングスクリユー
Ｔのねじ込みによつて保持具Ｃ１全体の高さを減
小変化させることができる。したがつて、窓枠部
への仮付けの段階であつても、保持具Ｃ１を正立
姿勢となるように保持具Ｃ１全体の高さを設定す
ることができ、タツピングスクリユーＴをねじ込
んでいつてもこの姿勢が保持される。このため、
従来と異なり、傾斜して取付けられることなく正
規の状態が得られる。したがつて、モールＭを綺
麗に仕上げることができる。また、タツピングス
クリユーＴによつて、モール装着部MSは押付け
固定され、一方保持部Ｈは前述の如く、タツピン
グスクリユーＴの最終的な締付け時に、取付け孔
１０の孔縁に食い込ませうるため、保持具Ｃ１全
体をがた付きなく強個に組付けることができる。
さらにタツピングスクリユーＴのねじ込みによる
モール装着部MSの下動量は、脚部６の両側片下
縁がボデイＢに当接されることによつて規制され
ることから、ガラス面の高さを常にｈ２にするこ
とができる。

第７図から第１０図までは、本発明の第２実施
例を示すものである。但し、図面および以下の説
明において、第１実施例の構成部材と均等なもの
については同一符号を付す。

第２実施例はモール装着部MSと保持部Ｈとを
別体となし、これらをタツピングスクリユーＴに
て予め仮止めしておくことによつて連結し、この
タツピングスクリユーＴを、保持部Ｈにモール装
着部MSを下動可能な位置関係をもつて連結する
連結手段としても利用するものである。即ち、第
２実施例は、第１実施例の効果に加えて、モール
装着作業の迅速化を図つたものである。

モール装着部MSでは、第１実施例の脚部６に
代え、基板１の下面には保持部Ｈを嵌挿しうるよ
うに、下向きに開口する中空ボツクス状の収納部
２１が形成されている。そして、この収納部２１
の左右両壁の内側下縁には、保持部Ｈの両食い込
み片２３，２３を係止するためのストツパ縁２２
が形成されている。また、第２実施例ではモール
Ｍの第２フランジ縁ｆ２に対する係止突片５，５
は両翼片２，２の基端部にそれぞれ配設されてい
る。

保持部Ｈは金属製の板材をコの字状に折り曲げ
て形成されたものであつて、その上縁中央部には
１対の食い込み片２３，２３が水平に突出形成さ
れている。また保持部Ｈの両側片は相互に拡開お
よび搾小方向への弾性変形が許容されるとともに
それぞれの先端側はさらに内方へ折り曲げられて
いる。そして、その折り曲げ部分には取付け孔１
０の孔縁に係合しうる１対の爪片２４，２４が切
り起こされている。さらに、保持部Ｈの上面中央
部にはタツピングスクリユーＴの差込み孔１６が
貫通され、基板１側の差込み孔１６とほぼ同軸を
なすよう設定されている。但し、この差込み孔１
６はその孔縁に対しタツピングスクリユーＴのね
じ山が係合されるように、その周縁部には螺旋状
の勾配をもつ窪み２５が形成されるとともに、該
窪み２５を形成するために差込み孔１６の一部に
は補助孔２６が連設されている。

なお、他の構成は第１実施例のものとほぼ同様
である。

次に、第２実施例の保持具Ｃ２を用いたモール
Ｍの装着作業例を説明する。

第１実施例同様、窓枠部にウインドガラスＧを
固定した後、ボデイＢ側へ保持具Ｃ２を仮付けす
る。この際には第１実施例と異なり、保持具Ｃ２
には予めタツピングスクリユーＴが組み込まれ、
保持部Ｈにモール装着部MSが下動可能な位置関
係をもつて連結されている。また、保持部Ｈの食
い込み片２３はストツパ縁２２に係止させてお
く。

まず、保持具Ｃ２全体を正立姿勢に保持し、ボ
デイＢの取付け孔１０に対し保持部Ｈの先端側を
弾性係入させることにより、両爪片２４，２４を
取付け孔１０の孔縁に係合させる。この下で、タ
ツピングスクリユーＴをねじ込んでやると、モー
ル装着部MSは上記正立姿勢を保持したまま、そ
の押圧面７にてウインドガラスＧを押し下げてゆ
く一方、第９図に示すように、食い込み片２３が
ストツパ縁２２を乗り越えて撓み変形されるた
め、保持部Ｈの上部側はモール装着部MSの収納
部２１内へ収納されてゆく。この後、第１実施例
とほぼ同様にしてモールＭが取付けられる。

このように、第２実施例に係る保持具Ｃ２によ
れば、ボデイＢ側への組付け後においては、保持
部Ｈは両爪片２４，２４と取付け孔１０の孔縁と
の係合により、ボデイＢ側からの抜け止めがなさ
れ、またモール装着部MSはウインドガラスＧを
固定しつつタツピングスクリユーＴにてボデイＢ
側へ押し付けられている。但し、タツピングスク
リユーＴは第１実施例と異なり、保持部Ｈの差込
み孔縁がそのねじ山間に係合されることにより、
抜け止めがなされている。かくして、保持具Ｃ２
はボデイＢへ確実に組付けられ、また正立姿勢が
保持されることから、モールＭの装着を綺麗に仕
上げることができる。

なお、第１・第２の何れの実施例にあつても、
保持具Ｃ２の取り付けは、次のような手順で行つ
てもよい。即ち、ウインドガラスＧを窓枠部に固
定する前に、保持具Ｃ１，Ｃ２を予めその押圧面
７に例えば接着剤を介在してウインドガラスＧに
取付け、ウインドガラスＧの取付け作業と共にボ
デイＢ側への仮付けを行うようにするのである。
また、保持具Ｃ１，Ｃ２を予めウインドガラスＧ
に固定しておく手段としては、上述接着剤の他詳
しくは図示しないが、モール装着部MSにおいて
押圧面７の下方に挾持片を延出し、該挾持片の弾
性力を利用して押圧面７とでウインドガラスＧを
挾着する手段等が考えられる。

以上詳述したように、本発明の自動車等のウイ
ンドモール用保持具は、 自動車等のボデイ側の取付け孔に挿入により仮
付け可能な係止手段及びねじ部材を螺合可能な差
込み孔を有する保持部と、 この保持部の上部側において高さ方向に関して
変位可能に配設され、前記保持部の差込み孔と同
軸をなしかつ前記ねじ部材を挿通可能な差込み孔
を有し、さらに前記自動車等のウインドガラスに
圧着しうる押圧面が張り出し形成されたウインド
モール装着部と、 前記保持部に前記モール装着部を下動可能な位
置関係をもつて連結する連結手段と を備え、 前記ねじ部材がモール装着部の差込み孔を通し
て保持部の差込み孔に螺合されかつ前記保持部の
係止手段をボデイ側の取付け孔に仮付けさせたも
とで、前記ねじ部材が螺進された際には、モール
装着部が下動されてモール装着部と前記保持部の
係止手段との間に前記取付け孔の口縁部が挟着さ
れる構成としたこと を要旨とするものである。

上記の構成において、本発明の効果は次のとお
りである。

モール装着部と保持部との配置関係において、
高さ方向に変位可能となつている。このため、保
持部の係止手段をボデイ側の取付け孔に仮付けさ
せた状態で、ねじ部材を螺進させて（ねじ込ん
で）やれば、モール装着部はウインドガラスを押
付けながらボデイ側へ押下げられる。つまり、本
保持具によれば、その初期高さをねじ部材の螺進
により減小させて正規の組付け高さとすることが
できる。換言すれば、本保持具は従来のものに比
し、前記減小高さ分だけ余分にその初期高さを設
定することができる。このため、ボデイ側への仮
付け状態のときの正立姿勢が確保されたまま組付
けられる。したがつて、ウインドモールの保持を
確実に行なうことができる。

さらに、保持部にモール装着部が連結手段を介
して下動可能な位置関係をもつて連結されている
ので、保持具をボデイ側に止着するまでの保持部
及びモール装着部の紛失を防止することができる
と共に、ボデイ側に対する保持具の止着作業が簡
便に行なえる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の保持具の斜視図、第２図は従来
の保持具の仮付け段階を示す断面図、第３図は従
来の保持具を正規の状態で組み付けたときの断面
図、第４図は不良な状態で組み付けられた場合を
示す断面図、第５図は本発明の第１実施例に係る
保持具の斜視図、第６図イ〜ニは同保持具を用い
た作業をそれぞれ示す断面図で、第７図は本発明
の第２実施例に係る保持具の分解斜視図、第８図
は同断面図、第９図は食い込み片とストツパ縁と
の関係を示す部分断面図、第１０図は組付け状態
を示す断面図である。 ２……翼片、７……押圧面、Ｂ……ボデイ、
Ｃ，Ｃ１，Ｃ２……保持具、Ｇ……ガラス、Ｈ…
…保持部、Ｔ……タツピングスクリユー、MS…
…モール装着部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 自動車等のボデイ側の取付け孔に挿入により
   仮付け可能な係止手段及びねじ部材を螺合可能な
   差込み孔を有する保持部と、 この保持部の上部側において高さ方向に関して
   変位可能に配設され、前記保持部の差込み孔と同
   軸をなしかつ前記ねじ部材を挿通可能な差込み孔
   を有し、さらに前記自動車等のウインドガラスに
   圧着しうる押圧面が張り出し形成されたウインド
   モール装着用モール装着部と、 前記保持部に前記モール装着部を下動可能な位
   置関係をもつて連結する連結手段と を備え、 前記ねじ部材がモール装着部の差込み孔を通し
   て保持部の差込み孔に螺合されかつ前記保持部の
   係止手段をボデイ側の取付け孔に仮付けさせたも
   とで、前記ねじ部材が螺進された際には、モール
   装着部が下動されてモール装着部と前記保持部の
   係止手段との間に前記取付け孔の口縁部が挟着さ
   れる構成としたことを特徴とする自動車等のウイ
   ンドモール用保持具。