JPH0125818Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は内部流路の開閉を摺動弁により行う構
成とした水栓に関する。

〔従来の技術〕

従来、流路内に固定弁板を配置すると共にこの
固定弁板に摺動自在に可動弁板を重合配置し、可
動弁板の移動変位により流路の開閉を行う水栓と
して、実公昭56−37179号公報に記載されたもの
がある。

これは、湯と水を混合して吐水するための湯水
混合栓であり、第５図に要部の断面図を示す。図
において、水及び湯の供給源に連通する水と湯の
流入口５０，５１及び、吐出管に連絡する混合水
流出口（図示せず）を開設した固定弁板５２上に
可動弁板５３が重合配置されている。そして、こ
の可動弁板５３の摺動面に開弁位置において水及
び湯の流入口５０，５１の一方または双方を混合
水流出口に連通する流路５４が形成されている。

この流路５４は可動弁板５３の下面を凹状とし
て固定弁板５２との間に空間を区画することによ
り形成し、開弁時において水と湯の流入口５０，
５１から流入する湯または水を混合水流出口に流
下させる構成となつている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、このような従来構造では、流路５４の
縦断面形状はその上端面５５が平面状で、水と湯
の流入口５０，５１から流入する湯水の流線と略
直交するので、通過する流体は流入し後直角に流
路を曲げられしかも混合水流出口に向けさらに屈
曲して流動する。このように、流路の屈曲度が大
きいと、流路５４壁に沿う流れが層流とはなら
ず、キヤビテーシヨンを生じて騒音の発生度合が
高くなるという問題がある。また、キヤビテーシ
ヨンによつて金属部材の腐食が進行し、耐久性の
面でも好ましくない障害を受ける恐れもある。

このような問題に対し、可動弁板の内部流路の
流路壁を曲面状とし、キヤビテーシヨンの発生を
抑えようとする構成としたものが実開昭57−
16668号公報に記載されている。これは、可動弁
板の下端を開放して流路壁を曲面状とし、水、湯
及び混合水が速やかに流れ去るようにしたもので
ある。

しかし、可動弁板を固定弁板に対して移動させ
ると、固定弁板に開けた流路孔と可動弁板の内部
流路との位置関係は変化する。このため、弁開度
によつては、固定弁板の流路孔と可動弁板の内部
流路の流路壁とがマツチしていないと、流路孔と
内部流路との継目部分に段差等を生じる。したが
つて、可動弁板の内部流路を曲面状としているに
もかかわらず、固定弁板から流れ込む水及び湯が
滞溜したり淀むことになり、騒音やキヤビテーシ
ヨンを発生してしまう。

本考案の目的は、可動弁板が固定弁板に対して
位置を変える摺動弁構造において、可動弁板への
流体の流れ込み点及び流出点と可動弁板の内部流
路との位置関係を一定に保つことにより、可動弁
板が動いたときでも通水時の騒音やキヤビテーシ
ヨンの発生を確実に防ぐようにすることにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、以上の目的を達成するために、給水
側及び吐出側にそれぞれ連絡する流入用弁孔と流
出用弁孔を開設した平板状の固定弁板と、同固定
弁板に摺動自在に重合配置され、前記流入用弁孔
から流出用弁孔までの流路を接続する可動弁板と
を備えた水栓において、前記可動弁板を中空体構
造として内部流路を形成し、且つ前記流入用弁孔
及び流出用弁孔にそれぞれ連通する湯水用弁孔及
び混合水用弁孔を前記固定弁板との摺動面に開放
し、前記可動弁板の内部流路を、前記湯水用弁孔
から混合水用弁孔までにかけて前記摺動面から凸
となるほぼ逆Ｕ字状断面とし、前記内部流路を流
れる流体の流線を円弧状に設定したことを特徴と
する。

〔作用〕 可動弁体の内部流路は水及び湯の流入部から混
合水の流出部にかけて固定弁板との摺動面から凸
となる逆Ｕ字状の曲線流路となつているので、水
及び湯は内部流路内で滞溜したり淀むことなく速
やかに流れ去る。また、可動弁体を中空体構造と
してその中を内部流路とし、固定弁板との摺動面
に湯水が流入する湯水用弁孔及び混合水を排出す
る混合水用弁孔を開けているので、内部流路に対
する湯、水及び混合水の流入及び流出位置は一定
に保たれる。このため、可動弁板を移動させて固
定弁板との間の流路を開閉しても、湯、水及び混
合水の流入及び流出位置と内部流路との関係は変
わらず、内部流路を通過する流体は円弧状の流線
を描いて流れる。

〔実施例〕

以下、図面に示す実施例に基づいて本考案を説
明する。

第１図は本考案に係る水栓の縦断面図、第２図
は部分切欠正面図である。

図中、１は取付け面２を挿通するスリーブ３内
から上方に伸延する給水管４及び給湯管５を連通
連結した本体で、上位には隔壁６により機能部Ａ
を区画形成し、この隔壁６には給水、給湯管を機
能部Ａに連通する水流入口７と湯流入口８及び機
能部Ａ内と吐出管１０を連通する混合水流出口９
をそれぞれ開設している。尚、吐出管１０はその
基部に円筒部１０ａを形成して本体１に対して回
転自在である。

１１は機能部Ａ内に固定配置する着脱自在なカ
ートリツジ式のケースで、第３図の分解斜視図で
示すように、その底面には本体１の水、湯流入口
７，８及び混合水流出口９に整合する３個の開口
１２，１３，１４を開設している。ケース１１内
には下位側から順に、固定弁板１５、可動弁板Ｂ
を構成する第一部材１６と第二部材１７、及びレ
バーガイド１８を内蔵し、レバーガイド１８に枢
着したレバー１９の上端を操作用のレバーハンド
ル２０に連結している。

固定弁板１５はセラミツクを素材とし、裏面側
の開口形状を円形としてパツキン２１を配置した
水、湯用弁孔２２，２３及び混合水用弁孔２４を
開設している。この固定弁板１５はケース１１内
底面に位置し、本体１に形成した水流入口７、湯
流入口８及び混合水流出口９にこれらの水、湯流
入用弁孔２２，２３及び混合水流出用弁孔２４に
それぞれ連続して流路を形成する。

可動弁板Ｂの第一部材１６は固定弁板１５と同
様にセラミツクを素材とし、この本体軸と偏心し
て上端が開放する空洞部２５を形成するととも
に、同空洞部２５の底面には混合水用弁孔２６及
び湯水用弁孔２７を開設している。第一部材１６
の空洞部２５内に嵌合する第二部材１７はその下
部に下に凹となる円弧面１７ａを形成し、外周に
はパツキン２８を設けて第一部材１６を水密状に
連結し、固定弁板１５との間の空洞部２５によつ
て形成された流路Ｆを外部と遮断している。な
お、３０は内部流路Ｆ内に配置した消音用の網体
である。

更に、３１はケース１１の上端に連結したケー
ス蓋で、レバーガイド１８を摺動可能に支持する
とともに、本体１に螺合連結する蓋３２によりレ
バーガイド１８及び第二部材１７を介して第一部
材１６を固定弁板１５上面に圧着する機能を果た
す。レバーガイド１８は軸線方向にレバー１９の
挿通口３３を開設し、この挿通口３３内において
ピン３４によりレバー１９を揺動可能に枢着して
いる。レバー１９の下端の横断面は矩形状であ
り、第一部材１６の上端面に凹設した矩形開口断
面の凹部３５内に嵌入している。

なお、４１は蓋３２に上方から嵌合して装着す
る合成樹脂製のカバーで、蓋３２外周に設けた環
状の凹部４２に係合する突部４３を形成してお
り、内部の弁要素を保護するためのものである。

更に、４４は本体１の下部に配置した固定用リ
ングで、回転可能な吐出管１０の径と略同径をな
して固定ビス４５によつて本体１に固定されてい
る。この固定ビス４５の凹部４６に工具を係合さ
せることにより、本体１の取り付け時に空回りを
生じることなく作業することができる。

上記構成において、レバーハンドル２０を本体
１に対して上下及び旋回動作させることにより、
可動弁板Ｂの第一部材１６が固定弁板１５上を摺
動し、混合水の吐出を行う。

第１図において、固定弁板１５の水、湯流入用
弁孔２２，２３は可動弁板Ｂの第一部材１６の底
壁４０により遮断され、給水管４及び給湯管５か
らの給水、給湯は不可で止水状態にある。

ここで、レバーハンドル２０を下方に押し下げ
ると、レバー１９が第１図において時計方向に回
動してバルブガイド１７を介して可動弁板Ｂは直
線的に後方側に移動する。この移動により、第一
部材１６の湯水用弁孔２７が固定弁板１５の水、
湯流入用弁孔２２，２３の開口域に同時に達して
流路を開き、水及び湯が水、湯流入用弁孔２２，
２３から流路Ｆ内に流入し、混合水流出用弁孔２
４から本体１の混合水流出口９を通つて吐出管１
０から混合水を吐出する。

この湯と水の流路Ｆ内の流動において、その流
線は第４図のように下部の水、湯流入用弁孔２
２，２３から上方に向かい、第二部材１７の円弧
面１７ａに沿つて混合水流出口９方向に流下する
軌跡を描く。

このように流入側と流出側の入口及び出口が同
レベルで内部流路Ｆが曲がり度の大きい形状であ
つても、水、湯流入用弁孔２２，２３から噴出す
る湯と水は円弧面１７ａにより案内され、流線を
滑らかな曲線状とすることができる。したがつ
て、内部流路Ｆ内流れにおいて、流体が流路壁面
に沿つて層流状態に流れ、剥離やキヤビテーシヨ
ンを生じることがなくなる。

また、可動弁板Ｂは中空構造としてその中に内
部流路Ｆを形成すると共に、固定弁板１５との摺
動面に水、湯流入用弁孔２２，２３及び混合水流
出用弁孔２４を開けている。このため、水と湯の
流入点及び混合水の流出点と内部流路Ｆとの位置
関係は変わらない。このため、内部流路Ｆを通過
する水や湯は流入して排出されるまで円弧面１７
ａによつてガイドされ、可動弁板Ｂが固定弁板１
５に対して様々な方向へ移動して湯と水の比や流
量を変化させる場合でも、このような流れが保た
れる。したがつて、従来構造のように可動弁板の
移動によつて流路に段差ができるようなことはな
く、更に一層通水時の騒音を抑えることができキ
ヤビテーシヨンの発生も防止できる。

〔考案の効果〕

以上に説明したように、本考案では、可動弁体
を中空構造として固定弁板との摺動面に湯水用弁
孔及び混合水用弁孔を開け、可動弁体の中の内部
流路を流入部から流出部にかけての流線を円弧状
に形成している。このため、内部流路を流れる水
や湯及び混合水は、内部流路の壁に沿つて層流と
なつて流れ去り、通水時の騒音やキヤビテーシヨ
ンの発生がなくなる。また、可動弁板を移動させ
ても、水と湯の流入位置及び混合水の流出位置と
内部流路との間の位置関係は変わらないので、流
れを常に一定の条件下に設定できる。このため、
摺動弁であつても内部流路を曲線の流線を持つて
速やかに流体を送り出すことができ、騒音やキヤ
ビテーシヨンの発生を更に一層効果的に防ぐこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る水栓の縦断面図、第２図
は部分切欠正面図、第３図は弁要素の分解斜視
図、第４図は開弁時の湯と水の流れを示す断面
図、第５図は従来例の断面図である。 １……本体、１５……固定弁板、２２……水流
入用弁孔、２３……湯流入用弁孔、２４……混合
水流出用弁孔、Ｂ……可動弁板、Ｆ……内部流
路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 給水側及び吐出側にそれぞれ連絡する流入用弁
   孔と流出用弁孔を開設した平板状の固定弁板と、
   同固定弁板に摺動自在に重合配置され、前記流入
   用弁孔から流出用弁孔までの流路を接続する可動
   弁板とを備えた水栓において、 前記可動弁板を中空体構造として内部流路を形
   成し、且つ前記流入用弁孔及び流出用弁孔にそれ
   ぞれ連通する湯水用弁孔及び混合水用弁孔を前記
   固定弁板との摺動面に開放し、 前記可動弁板の内部流路を、前記湯水用弁孔か
   ら混合水用弁孔までにかけて前記摺動面から凸と
   なるほぼ逆Ｕ字状断面とし、前記内部流路を流れ
   る流体の流線を円弧状に設定したことを特徴とす
   る水栓。