JPH0125132Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、建物において、火災発生時に部屋か
ら部屋へ火炎が伝播するのを防止するための防火
区画構造に関するものである。

従来技術 従来、建物の間仕切壁については、防・耐火性
能の高い材料を用いる等の構造によつて、部屋か
ら部屋へ火炎が伝播するのを防止する工夫がなさ
れている。しかしながら、このように間仕切壁部
分で火炎の伝播を防止したとしても、従来では、
天井裏を通つて、他の部屋へ火炎が伝播すること
があり、必ずしも完全な防火区画を構成していな
い欠点があつた。

そこで、このような防火区画を構成するため、
従来においては、例えば、実開昭58−11016号に
記載されているように、折版屋根の天井裏におい
て、その折版屋根の裏面の屋根裏空間に、その屋
根の山の方向と同方向に仕切板を設けて、各部屋
間を遮蔽するようにしたものが示されている。ま
た、特開昭60−47144号には、同じく天井裏空間
において、ロール状巻回物とされた防火材を、各
室毎に切断して取り付けることにより各天井裏空
間を部屋毎に区画するようにした考案が示されて
いる。

考案が解決しようとする課題 上記従来の防火区画構造において、折版屋根の
裏面に仕切板を設けるものにおいては、梁と平行
にその仕切板を設けるものであり、そのため、何
等の障害を生ずることなくこの仕切板を取り付け
ることができ、梁と直角な方向に梁つなぎ材や根
太等が配置されたものにおいて、これらを横切つ
て横架材を取り付ける点については何等示されて
いない。他方、ロール状巻回物とされた防火材を
各室毎に切断して取り付ける後者のものにおいて
も同様であり、梁と直角な方向に根太或いは梁つ
なぎ材等の横架材がある場合についての技術的対
応については記載されていない。

この考案は、これら従来技術の欠点を解消し
て、そのように梁と平行に防火材を設けるものに
おいて、梁と直角な方向に横架材が配置されてい
る場合であつても、隙間を生ずることなくその防
火材を充填して、完全な防火区画構造を実現する
ことを目的としてなされたものである。

課題を解決するための手段 そして、上記の目的を達成するため、この考案
では、間仕切壁の上方に、上部階の床梁間に渡さ
れた根太或いは梁つなぎ材等の横架材が前記間仕
切壁と直角な方向に配置された天井裏空間におい
て、その空間を仕切る防火断熱材を、上記横架材
の通る部分を切欠して前記の間仕切壁に沿つて充
填してなることを特徴としている。

実施例 以下、本考案の構成を図示の実施例に基づいて
説明すると、第１図は、いわゆる鉄骨軸組を用い
たプレハブ住宅の骨組構造を示している。図にお
いて、１は、基礎２上に組みつけられた軸組であ
つて、この軸組１上に、Ｈ形鋼からなる二階の床
梁３，３…が平行に架設されている。又、これら
床梁３，３…間には、中梁４，４…および梁つな
ぎ材５，５…が渡され、更に、床梁３，３…上に
は、前記中梁４又は梁つなぎ材５と平行方向に鉄
根太６，６…が渡される。

上記のような骨組構造において、第２図以下に
示す本実施例では、前記骨組の内側に取りつけら
れる一階の間仕切壁と上記鉄根太６或いは梁つな
ぎ材５等とが、相互に直交するようにして配置さ
れている場合において、天井裏部分に取付けられ
る防火断熱材の取付け構造を示している。

そこで、その構造を第２図以下において説明す
ると、一階の間仕切壁７は、天井板８，８間より
屋根裏部分へ突出するようにして配置されてい
る。この間仕切壁７は、木製の枠体９と該枠体９
の表裏両面に張り付けた表面板１０とからなるも
のである。鉄根太６の上面には、二階の床板１２
が張り付けられる。１３は、二階の間仕切壁であ
る。１４は、板状に形成したロツクウールフエル
ト材からなる防火断熱材であつて、この防火断熱
材１４は、その下端を前記一階の間仕切壁７上端
面へ載置するようにして、該間仕切壁７に沿つて
配置され、かつ、同じく防火断熱材４の上端は、
床板１２の下面へ当接するようにして配置され
て、これによつて、天井裏部分を仕切るようにし
ている。その際、前記鉄根太６と梁つなぎ材３
が、この防火断熱材４と直交することとなるた
め、本実施例では、これら鉄根太６及び梁つなぎ
材７等の横架材が通る部分を切欠１１，１１して
配置している。尚、防火断熱材１４の下端は、間
仕切壁７における枠体９上面へステープル（図示
せず）によつて固着され、同じく上端は床板１２
の裏面へステープルによつて固着される。第３図
中１５は、前記床梁３，３…間に渡される天井用
の吊木受であつて、この吊木受１５より下方へ垂
下させた吊木１６によつて、前記天井板８が支持
されるが、勿論、この場合吊木受１５が、前記防
火断熱材１４と直交する部分においては、その部
分を切欠しておく。１６は、天井板８と間仕切壁
７との角部に取付けられる廻り縁である。また、
第３図の１７は畳を示している。

上記において、間仕切壁７及び天井板８につい
ては、防火性の大きいものが用いられることは勿
論であり、例えば、間仕切壁７については、枠体
９に厚さ12mm以上の石膏ボードからなる裏面板１
０を張つたものが、天井板８については、厚さ９
mm以上の石膏ボードに厚さ９mm以上のロツクウー
ル吸音板を張つたもの等が用いられる。

効 果 以上の如く、本考案によれば、間仕切壁上方部
の天井裏空間に、該空間部分を仕切る防火断熱材
を、前記間仕切壁に沿つて充填しているから、天
井裏部分においても、この防火断熱材が、部屋か
ら部屋へ火炎が伝播するのを防ぐフアイヤースト
ツプとして機能するため、従来にも増して高い防
火区画構造を得ることが出来るものである。

特に、本考案では、間仕切壁が床梁と平行に配
置され、その間仕切壁の上方に前記梁と直角な方
向の横架材が配置されている場合であつても、こ
れらの横架材の通る部分を切欠して、前記間仕切
壁に沿つて充填しており、それゆえ、これら横架
材がある場合であつても、隙間を生ずることな
く、各部屋間を完全に遮蔽した防火区画とするこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、鉄骨軸組を用いたプレハブ住宅にお
ける骨組の斜視図、第２図は、本考案実施例を示
す天井裏部分の要部縦断斜視図、第３図は、同じ
く縦断面図である。 ３……床梁、５……梁つなぎ材、６……鉄根
太、７……間仕切壁、８……天井板、１１……切
欠部、１４……防火断熱材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 間仕切壁の上方に、上部階の床梁間に渡された
   根太或いは梁つなぎ材等の横架材が前記間仕切壁
   と直角な方向に配置された天井裏空間において、
   その空間を仕切る防火断熱材を、上記横架材の通
   る部分を切欠して前記の間仕切壁に沿つて充填し
   てなることを特徴とする建物の防火区画構造。