JP2510174B2

JP2510174B2 - 建築物における耐火構造

Info

Publication number: JP2510174B2
Application number: JP61310345A
Authority: JP
Inventors: 貞二佐藤; 隆橋本
Original assignee: Sekisui Chemical Co Ltd
Current assignee: Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date: 1986-12-25
Filing date: 1986-12-25
Publication date: 1996-06-26
Anticipated expiration: 2011-06-26
Also published as: JPS63165630A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は、共同住宅、病院、ホテル、下宿等を用途と
した三階建以上の建築物等に用いて好適な建築物におけ
る耐火構造に関する。

（従来の技術）共同住宅、病院、ホテル、下宿等を用途とした三階建
以上の建築物は、建築基準法に基づき、主要構造部
（床、大梁、壁、屋根、柱）が所定の耐火性能を有する
耐火構造でなければならない。そのために一般的には、
床板、天井板、壁板を耐火材料で形成すると共に、屋根
を耐火材料で茸き、また、特公昭51−17218号公報等に
記載されているように、鉄骨の柱と梁を耐火材料で被せ
て耐火被覆することでそれらの耐火性能を確保してい
る。そのうち、鉄骨建築物の梁の耐火構造として、従来
一般的には、第４図に示すような構造が知られている。

この従来構造は、個々の大梁01に対し耐火被覆材02を
被せ、こ耐火被覆材02と耐火材料から形成されている壁
板03及び床板04とでこれらの大梁01を隙間なく耐火被覆
し、また、個々の床小梁05に対しケイ酸カルシウム板等
の耐火被覆材06を被せ、この耐火被覆材06と床板04とで
床小梁05を隙間なく耐火被覆したものであった。

ちなみに、大梁01と床小梁05に耐火被覆材02、06を被
せる際には、第４図に示すような貼り付け施工で行なわ
れる他、岩綿等を吹き付ける吹き付け施工によっても行
なわれていた。いずれにしても大梁01と床小梁05に対し
て個々に行なわれていた。

（発明が解決しようとする問題点）しかしながら、このような従来の床の耐火構造のよう
に、個々の大梁01及び床小梁05に対し耐火被覆材02、06
を被せることは、多大な材料を必要すると共に、極めて
手間を要し、また、全て隙間なく耐火被覆するのも困難
であるという問題点があった。

また、耐火被覆される大梁01及び床小梁05が、床板04
と天井板07と壁板03とで形成される天井裏空間08に配設
されている場合には、外から容易に見ることができず、
耐火構造の管理も困難であるという問題点があった。

（問題点を解決するための手段）本発明は、上述のような問題点を解決することを目的
としてなされたもので、この目的達成のために、本発明
では、梁を有する略矩形の建物ユニットを組み立ててな
るユニット建築物において、上階建物ユニットの床と下
階建物ユニットの天井とで天井裏空間が形成され、前記
天井裏空間には、上階建物ユニットの床梁と、下階建物
ユニットの天井梁と、隣接する他の建物ユニット間を仕
切る仕切板とが配設され、該仕切板は床大梁と略同成の
床側仕切板と天井大梁と略同成の天井側仕切板とで構成
されると共に、床側仕切板と天井側仕切板とが上下に接
合され、接合された仕切板が天井裏空間を略建物ユニッ
ト毎に横に仕切った状態で立設されており、床を構成す
る床板と天井を構成する天井板と仕切板とが所定の耐火
性能を有する耐火材料で形成されている手段とした。

（作用）本発明の建築物における耐火構造では、上階建物ユニ
ットの床梁と下階建物ユニットの天井梁とが、床板と天
井板とで形成された天井裏空間に配設され、前記床板と
天井板とが所定の耐火性能を有する耐火材料で形成され
ているために、上記建物ユニットの床梁と下階建物ユニ
ットの天井梁とを、床板と天井板とで同時に耐火被覆す
ることができる。

また、天井裏空間に配設されてその外からは容易に見
ることができない大梁及び小梁には耐火を直接施さず
に、天井裏空間の外から容易に見ることができる床板と
天井板とに耐火が施されているため、耐火構造の管理が
容易に行なえる。

また、天井裏空間には、上階建物ユニットの床梁と、
下階建物ユニットの天井梁と、隣接する他の建物ユニッ
ト間を仕切る仕切板とが配設され、該仕切板は床大梁と
略同成（鉛直方向の高さが略同一）の床側仕切板と天井
大梁と略同成（鉛直方向の高さが略同一）の天井側仕切
板とで構成されているので、上階建物ユニットを下階建
物ユニットの上に設置して接合するだけで、床側仕切板
と天井側仕切板とが上下に接合され、従って接合された
両仕切板が天井裏空間を略建物ユニット毎に横に仕切っ
た状態で立設されることとなり、両仕切板を別部材で固
着する手間や両者の隙間を埋めたりする手間が不要とな
ると共に、床を構成する床板と天井を構成する天井板と
両仕切板とが所定の耐火性能を有する耐火材料で形成さ
れていることと相まって、火災時に床板あるいは天井板
の一箇所が破損して火炎が天井裏空間に侵入してきたと
しても、仕切板で火炎を遮断して天井裏空間の全体に火
炎が広がるのを防止できる。

（実施例）以下、本発明の実施例を図面により詳述する。

尚、この実施例を述べるにあたって、三階建のユニッ
ト建築物を例にとり、その耐火構造について説明する。

まず、実施例のユニット建築物は、第１図に示すよう
に、ユニットＡが上下３段に積み重ねて構成されてい
る。

これらの各ユニットＡは、床大梁１及び床小梁２と、
天井大梁３及び天井小梁４と、柱５とから駆体が構成さ
れ、この駆体に床板６と天井板７と壁板（外壁板８、内
壁板９、間仕切壁板10）とが取り付けられた箱状のもの
で、一階ユニットA₁は基礎11の上に据えられて該基礎11
に対しボルト緊結されており、三階ユニットA₃の上には
屋根板12が据えられている。

尚、一階ユニットA₁と二階ユニットA₂及び二階ユニッ
トA₂と三階ユニットA₃は、上側のユニットＡの床大梁１
と下側のユニットＡの天井大梁３とがボルト緊結されて
結合され、また、同じ階のユニットＡは、それぞれの隣
接する柱５同士がボルト緊結されて結合されている。

更に、第２図及び第３図に示すように、前記床大梁１
及び天井大梁３は匚形鋼で形成され、かつ、前記床小梁
２及び天井小梁４はＩ形鋼で形成されており、天井大梁
３及び天井小梁４の下面には野縁固定金具13を介して野
縁14が固定されている。

前記床板６は、例えば、厚さ18mmの硬質木片セメント
板等の耐火時間１時間以上（JIS Ａ 1304建築構造部
分の耐火試験方法による）の耐火材料で形成され、床大
梁１及び床小梁２の上面に直接締結されている。この床
板６のユニットわたり部には、床板６と同じ材料で形成
された床わたり板15が床板６と密着して設けられてい
る。

前記天井板７は、例えば、厚さ25mmの石綿ケイ酸カル
シウム板等の耐火時間１時間以上（JIS Ａ 1304 建
築構造部分の耐火試験方法による）の耐火材料で形成さ
れ、前記野縁14に対してタッピングビス16で固定されて
いる。この天井材７のユニットわたり部には、天井板７
と同じ材料で形成された天井わたり板17が天井板７と密
着して設けられている。

即ち、同階のユニットＡにおいて床板６及び天井板７
は、床わたり板15及び天井わたり板17を介して同一平面
上に連続している。

前記外壁板８は、例えば、厚さ100mmのALC板等の耐火
時間２時間以上（JIS A1304 建築構造部分の耐火試験
方法による）の耐火材料で形成され、ロックウール18を
介して床大梁１及び天井大梁３に締結されている。尚、
この外壁板８のユニットわたり部には、耐火材19がコー
キングされ、前記床板６及び天井板７との目地には、ロ
ックウール20、21が充填されている。

従って、一階ユニットA₁と二階ユニットA₂との間及び
二階ユニットA₂と三階ユニットA₃との間には、床板６と
天井板７とで天井裏空間22が形成され、上側のユニット
Ａの床大梁１及び床小梁２と下側のユニットＡの天井大
梁３及び天井小梁４は、この天井裏空間22に配設され
る。

そして、前記床大梁１には床板６に当接した状態で床
側仕切板23が固定され、前記天井大梁３には、天井板７
に当接した状態で天井側仕切板24が固定されており、両
仕切板23,24は、互いに接合して上下に配設され、天井
裏空間22をユニットＡ毎に横に仕切っている。また、前
記仕切板23、24は例えば、厚さ25mmの石綿ケイ線カルシ
ウム板等の耐火時間１時間以上（JIS A1304 建築構造
部分の耐火試験方法による）の耐火材料で形成されてい
る。内壁板９は、石膏ボード等の不燃性の材料で形成さ
れており、枠25を介して耐火被覆された柱５に固定され
ている。

尚、前記内壁板９の内側には、グラスウール等の断熱
材26が取り付けられている。

また、間仕切壁板10も同様に、石膏ボード等の不燃性
の材料で形成されており、床綿（床板６の上面）と天井
面（天井板７の下面）との間に立設され、軽量鉄骨製の
スタッド27を介して耐火被覆された柱５に固定されてい
る。

次に実施例の作用を説明する。

一階ユニットA₁と二階ユニットA₂との間及び二階ユニ
ットA₂と三階ユニットA₃との間には、床板６と天井板７
とで天井裏空間22が形成されており、これらの床板６と
天井板７とは、全て耐火時間１時間以上の耐火性能を有
する材料で形成されているために、前記天井裏空間22に
配設されている上側のユニットＡの床大梁１及び床小梁
２と下側のユニットＡの天井大梁３及び天井小梁４は、
一括して同時に耐火材料によって耐火被覆されているこ
とになり、これら全体を床としてみた場合に耐火時間１
時間以上（JIS Ａ 1304建築構造部分の耐火試験方法
による）の耐火性能が確保されている。従って、従来構
造のように、個々に梁を耐火被覆するのに比べて材料を
削減でき、かつ、作業手間を簡略化することができる。

しかも、本実施例のユンニート建築物では、工場にお
いて箱状に組み立てられたユニットＡに対し、更に床側
仕切板23及び天井側仕切板24を床大梁１及び床小梁３に
固定し、また、ロックウール20,21を外壁板８と天井大
梁３との隙間及び外壁板８と天井板との目地に充填させ
ておくことにより、施工現場における作業を簡略化し
て、更に迅速かつ正確な施工を達成することも可能であ
る。

また、ユニット建築物の完成後において、天井裏空間
22の外から容易に見ることができる床板６と天井板７と
に耐火が施されているため、耐火構造の管理も容易であ
る。

更に、天井裏空間22は、耐火材料で形成されている床
側仕切板23及び天井側仕切板24によってユニットＡ毎に
仕切られているために、火災時に、あるひとつのユニッ
トＡにおいて床板６あるいは天井板７が破損し、天井裏
空間22に火炎が侵入したとしても、両仕切板23,24によ
って火炎は遮断され、横隣のユニットＡへの火炎の侵入
は防止される。

以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、
具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっ
ても本発明に含まれる。

例えば、実施例では、耐火構造を三階建のユニット建
築物に適用したが、一階建や二階建あるいは四階建以上
のユニット建築物に適用してもよいし、ユニット建築物
以外の鉄骨建築物等に適用してもよい。

また、床板や天井板は、所定の耐火性能を有していれ
ば実施例以外の耐火材料を用いてもよく、また、耐火材
料の他に遮音シートや断熱材を付加してもよい。

また、実施例では、仕切板を、天井裏空間がユニット
単位で仕切られるように立設したが、もっと細かく仕切
る位置に立設させてもよいし、ユニット２つを１単位と
して仕切る位置に立設させてもよい。また、ユニット建
築物以外の鉄骨建築物の場合には、天井裏空間を部屋単
位で仕切るように設ける等するとよい。

また、建築物の形状によっては、外壁側の大梁の外側
に外壁にかわって仕切板が設けられてもよい。

（発明の効果）以上説明してきたように、本発明の建築物の耐火構造
にあっては、上階建物ユニットの床梁と下階建物物ユニ
ットの天井梁とを、床板と天井板とで同時に耐火被覆す
ることができる手段としたために、上記建物ユニットの
床梁と下階建物ユニットの天井梁を個々に被覆するのに
比べて、隙間を設けずに被覆するのが容易となり、かつ
材料の削減及び作業手間の短縮化を図ることができると
いう効果が得られる。

また、天井裏空間の外から容易に見ることができる床
板と天井板とに耐火が施されているため、管理も容易で
あるという効果が得られる。

また、天井裏空間には、隣接する他の建物ユニット間
を仕切る仕切板とが配設され、該仕切板は床大梁と略同
成の床側仕切板と、天井大梁と略同成の天井側仕切板と
で構成されているので、上階建物ユニットを下階建物ユ
ニットの上に設置して接合するだけで、床側仕切板と天
井側仕切板とが上下に接合され、従って接合された両仕
切板が天井裏空間を略建物ユニット毎に横に仕切った状
態で立設されることとなり、両仕切板を別部材で固着す
手間や両者の隙間を埋めたりする手間が不要となると共
に、床を構成する床板と天井を構成する天井板と両仕切
板とが所定の耐火性能を有する耐火材料で形成されてい
ることと相まって、火災時に床板あるいは天井板の一箇
所が破損して火炎が天井裏空間に侵入したとしても、仕
切板で火炎を遮断して天井裏空間の全体に火炎が拡がる
のを防止できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例のユニット建築物における耐火構
造を示す縦断面図、第２図は実施例構造の要部を示す縦
断面図、第３図は実施例構造の要部を示す斜視図、第４
図は従来の建築物における床の耐火構造を示す縦断面図
である。１……床大梁（大梁）２……床小梁（小梁）３……天井大梁（大梁）４……天井小梁（小梁）６……床板７……天井板 22……天井裏空間 23……床側仕切板（仕切板） 24……天井側仕切板（仕切板）

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】梁を有する略矩形の建物ユニットを組み立
ててなるユニット建築物において、上階建物ユニットの
床と下階建物ユニットの天井とで天井裏空間が形成さ
れ、前期天井裏空間には、上階建物ユニットの床梁と、
下階建物ユニットの天井梁と、隣接する他の建物ユニッ
ト間を仕切る仕切板とが配設され、該仕切板は床大梁と
略同成の床側仕切板と天井大梁と略同成の天井側仕切板
とで構成されると共に、床側仕切板と天井側仕切板とが
上下に接合され、接合された仕切板が天井裏空間を略建
物ユニット毎に横に仕切った状態で立設されており、床
を構成する床板と天井を構成する天井板と仕切板とが所
定の耐火性能を有する耐火材料で形成されていることを
特徴とする建築物における耐火構造。