JPH0569937B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、共同住宅、病院、ホテル、下宿等を
用途とした三階建以上の建築物等に用いた好適な
ユニツト建築物における柱の耐火構造に関する。

（従来の技術） 共同住宅、病院、ホテル、下宿等を用途とした
三階建以上の建築物の柱は、建築基準法に基づ
き、所定の耐火性能を有する耐火構造でなければ
ならない。従来、柱の耐火構造としては、実公昭
51−26888号公報等に記載されているような構造
が知られている。

この従来構造は、隣接するユニツトの柱を、耐
火材料で形成された耐火壁材と、断面Ｌ字形ある
いは 〓に形成された耐火被覆材とで一括して耐
火被覆したものであつた。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、このような従来の柱の耐火構造
にあつては、耐火被覆材が予め、Ｌ字形あるいは
〓形に一体形成されていて、耐火壁材に対する接
合を現場でしか行なえないために、耐火被覆材の
接合に関して精密性を確保するのは難しいという
問題点があつた。

また、第８図に示すように、耐火被覆材01を分
割してそれらを各ユニツトＡの柱02及び耐火壁材
03に予め接合しておいたとしても、ユニツトＡの
締結によつて柱02の間隔に多少の誤差がでること
は避けられないために、ユニツトＡ締結状態で耐
火被覆材01同士の接合がうまくいかずに、柱02を
隙間なく耐火被覆できない恐れがあつた。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、上述のような問題点を解決すること
を目的としてなされたもので、この目的達成のた
めに、本発明では、水平方向に隣接するユニツト
の柱を一括して耐火被覆材で被覆して成る柱の耐
火構造において、前記耐火被覆材が、予め各ユニ
ツトの柱に接合されている第１耐火被覆材と、水
平方向にユニツト同士を締結した状態で形成され
る第１耐火被覆材同士の隙間に接合される第２耐
火被覆材と、で形成され、該第２耐火被覆材に
は、ユニツト締結誤差を含んだ第１耐火被覆材同
士の隙間の最小幅より狭幅に形成されて前記隙間
に差し込まれる差込部と、該差込部の側部から延
設されて前記第１耐火被覆材と差込部との目地を
外側から塞ぐ鍔部と、が設けられている手段とし
た。

（作用） 本発明のユニツト建築物における柱の耐火構造
では、第２耐火被覆材にユニツト締結誤差を含ん
だ第１耐火被覆材同士の隙間の最小幅より狭幅に
形成された差込部と、この側部から延設された鍔
部とが設けられているために、柱に接合されてい
る第１耐火被覆材同士の隙間がユニツトの締結に
より多少の誤差を有していても、第２耐火被覆材
の差込部をその隙間に容易に差し込むことがで
き、しかも、その差込部と第１耐火被覆材との目
地を鍔部で外側から塞ぐことができる。

また、柱に対する第１耐火被覆材の接合は、予
め、工場において高度な精度で行なうことが可能
なため、第２耐火被覆材を接合する際の位置合せ
も正確かつ容易に行なうことができる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面により詳述する。

尚、この実施例を述べるにあたつて、三階建の
ユニツト建築物を例にとり、その柱の耐火構造に
ついて説明する。

まず、実施例のユニツト建築物は、第１図に示
すように、３つのユニツトＡを水平に締結するこ
とで１戸の住居が形成され、これらを更に水平及
び垂直に積み重ねて第２図に示すような、三階建
に構成されている。

これらの各ユニツトＡは、床大梁１及び床小梁
２と、天井大梁３及び天井小梁４と、柱５とから
躯体が構成され、この躯体に床材６と天井材７と
壁材（外壁材８、内壁材９、界壁材１０）とが取
り付けられた箱状のもので、第２図に示すよう
に、一階ユニツトＡは基礎１１の上に据えられて
該基礎１１に対しボルト緊結されており、最上階
である三階ユニツトＡの上には屋根材１２が据え
られている。

水平方向に隣接するユニツトＡは、柱５同士が
互いに締結されており、互いに締結されて集まつ
た柱５は、石綿ケイ酸カルシウム板等の耐火時間
１時間以上（JIS Ａ 1304 建築構造部分の耐火
試験方法による）の耐火材料で形成された耐火被
覆材１３によつて一括して耐火被覆されている。

まず、第３図〜第５図に示すように、２つのユ
ニツトＡの柱５が集まつた部分の耐火構造につい
て説明する。

ここで耐火被覆材１３は、柱５の隅部を覆う２
つの断面〓形の第１耐火被覆材１３１と、該第１
耐火被覆材１３１の間のユニツトＡわたり部を覆
う１つの断面〓形の第２耐火被覆材１３２とで構
成されている。

第１耐火被覆材１３１は、工場において、外壁
材８を固定するより前に耐火接着材で柱５に接合
され、第２耐火被覆材１３２は、第４図に示すよ
うに、現場においてユニツトＡ同士を締結した後
に、耐火接着材で柱５及び前記第１耐火被覆材１
３１に接合される。

更に、前記第２耐火被覆材１３２には、第１耐
火被覆材１３１同士の隙間に差し込まれる差込部
１３２ａと、その両側部から延設され、差込部１
３２ａ差込状態で第１耐火被覆材１３１と差込部
１３２ａとの間を外側から塞ぐ鍔部１３２ｂと、
が設けられている。尚、第１耐火被覆材１３１同
士の隙間がユニツトＡ同士の締結によつて多少の
誤差を有するため、前記差込部１３２ａは、その
誤差を含んで第１耐火被覆材１３１の隙間が最小
の場合にも差込可能な幅に形成されている。

前記外壁材８は、例えば、厚さ100mmのALC板
等の耐火時間２時間以上（JIS Ａ 1304 建築構
造部分の耐火試験方法による）の耐火材料で形成
され、耐火接着材で柱５に固定されている。尚、
この外壁材８のユニツトわたり部には、耐火材が
コーキングされている。

従つて、２つのユニツトＡの柱５は、一側面が
外壁材８によつて覆われ、三側面が耐火被覆材１
３によつて覆われることで、耐火時間１時間以上
（JIS Ａ 1304 建築構造部分の耐火試験方法に
よる）の耐火性能が確保されている。

内壁材９は、石膏ボード等の不燃性の材料で形
成されており、柱５に耐火被覆材１３を接合した
後に枠１４を介して耐火被覆された柱５に固定さ
れる。

尚、柱５間にはロツクウール等の断熱材１５が
充填されており、また、内壁材９の内面には、グ
ラスウール１６が取り付けられている。

次に、第６図及び第７図に示すように、４つの
ユニツトＡの柱５が集まつた部分の耐火構造につ
いて説明する。

ここで、耐火被覆材１３は、柱５の隅部を覆う
４つの断面〓形の第１耐火被覆材１３３と、該第
１耐火被覆材１３３の間のユニツトＡわたり部を
覆う４つの断面〓形の第２耐火被覆材１３２とで
構成されている。

従つて、２つのユニツトＡの柱５は、四側面が
耐火被覆材１３によつて覆われることで、耐火時
間１時間以上（JIS Ａ 1304 建築構造部分の耐
火試験方法による）の耐火性能が確保されてい
る。

界壁材１０は、各戸毎に空間を仕切るもので、
軽鉄製のスタツド１７の片面に厚さ12mmの石膏ボ
ード１８が固定されると共に、もう片面に厚さ30
mmのガラス繊維入り石膏ボード１９が固定されて
耐火時間１時間以上（JIS Ａ 1304 建築構造部
分の耐火試験方法による）の耐火性能を有してお
り、スタツド１８が耐火被覆された柱５に固定さ
れている。

尚、この界壁材１０は、第６図に示すように、
対向して配設される界壁材１０のうち一方が、工
場で、第１耐火被覆材１３３が接合された後に立
設され、他方が、ユニツトＡ同士を締結し、第１
耐火被覆材１３１同士の隙間に第２耐火被覆材１
３２を接合した後に立設される。

次に実施例の作用を説明する。

まず、第１耐火被覆材１３１，１３３は、予
め、工場で柱５に対して精密に位置合せ及び接合
を行なうことができるため、現場で第２耐火被覆
材１３２を接合する際もその位置合せが正確かつ
容易に行なえる。

また、第２耐火被覆材１３２を接合するにあた
り、柱５に接合されている第１耐火被覆材１３
１，１３３同士の隙間がユニツトＡの締結により
多少の誤差を有していても、第２耐火被覆材１３
２の差込部１３２ａはその隙間に容易に差し込む
ことができる。しかも、その差込部１３２ａと第
１耐火被覆材１３１，１３３との目地は鍔部１３
２ｂで外側から塞がれるために、柱５は第１耐火
被覆材１３１，１３３と第２耐火被覆材１２とに
よつて、隙間が設けられることなく確実に耐火被
覆される。

以上、本発明の実施例を図面により詳述してき
たが、具体的な構成はこの実施例に限られるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲におけ
る設計変更等があつても本発明に含まれる。

例えば、実施例では、耐火構造を三階建のユニ
ツト建築物に適用したが、一階建や二階建あるい
は四階建以上のユニツト建築物に適用してもよい
し、ユニツト建築物以外の鉄骨建築物等に適用し
てもよい。

また、実施例では、２つあるいは４つのユニツ
トの柱が集まる部分の耐火構造について説明した
が、３つのユニツトの柱が集まる部分に適用して
もよい。

更に、耐火被覆材は、所定の耐火性能を有して
いれば実施例以外の耐火材料を用いてもよい。

（発明の効果） 以上説明してきたように、本発明の建築物にお
ける柱の耐火構造にあつては、ユニツトの締結に
より第１耐火被覆材同士の隙間が多少の誤差を有
していても、隙間が生じることなく容易に第２耐
火被覆材を接合することができ、確実に柱を耐火
被覆することができる。

しかも、第１耐火被覆材を予め工場で柱に固定
しておくことが可能なために、接合及び位置合せ
に関して、精度が高い柱の耐火構造を得ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例のユニツト建築物を示す
横断面図、第２図は実施例のユニツト建築物を示
す縦断面図、第３図は実施例のユニツト建築物に
おける耐火構造のユニツトつなぎ部分を示す斜視
図、第４図は、第１図の要部Ｘの説明図、第５図
は第１図の要部Ｘの断面図、第６図は第１図の要
部Ｙの説明図、第７図は第１図の要部Ｙの断面
図、第８図は従来のユニツト建築物における柱の
耐火構造を示す断面図である。 Ａ……ユニツト、５……柱、１３……耐火被覆
材、１３１，１３３……第１耐火被覆材、１３２
……第２耐火被覆材、１３２ａ……差込部、１３
２ｂ……鍔部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 水平方向に隣接するユニツトの柱を一括して
   耐火被覆材で被覆して成る柱の耐火構造におい
   て、前記耐火被覆材が、予め各ユニツトの柱に接
   合されている第１耐火被覆材と、水平方向にユニ
   ツト同士を締結した状態で形成される第１耐火被
   覆材同士の隙間に接合される第２耐火被覆材と、
   で形成され、該第２耐火被覆材には、ユニツト締
   結誤差を含んだ第１耐火被覆材同士の隙間の最小
   幅より狭幅に形成されて前記隙間に差し込まれる
   差込部と、該差込部の側部から延設されて前記第
   １耐火被覆材と差込部との目地を外側から塞ぐ鍔
   部と、が設けられていることを特徴とするユニツ
   ト建造物における柱の耐火構造。