JP2840200B2 - 床パネルの取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、階上の床を形成するた
めの床パネルを、階上の外壁を形成する外壁パネルの下
方かつ屋内側で納まり良く配設しうる床パネルの取付構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、家屋の壁、床などを一体可搬のパ
ネルを用いて形成するいわゆるプレハブ工法の建築物が
普及している。

【０００３】このような建築物において、階上の外壁を
形成する外壁パネルの下端は、ラチス梁などからなる梁
材の上面に設けた立上げ片によって支持されることが多
い。

【０００４】一方、階上の床形成用の床パネルも、その
端部を、前記梁材に固定することにより該梁材によって
支持される。

【０００５】又床パネルとして、近年、複数の並列され
た根太を有する木製の下地パネルの上面に遮音性、断熱
性、防火性に優れるいわゆるＡＬＣ板を添着したＡＬＣ
複合床パネルが開発されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記ＡＬＣ
複合床パネルの総高さは下地パネルの高さとＡＬＣ板の
厚さとの和であり比較的大きいため、ＡＬＣ複合床パネ
ルの端部を前記梁材上面に載置しようとする際、前記立
上げ片によって支持された外壁パネルの下端部によりＡ
ＬＣ複合床パネルが干渉されることが多々あり、ＡＬＣ
複合床パネルの梁材への固定及び外壁パネルとの納まり
に支障を来すことがある。

【０００７】このためＡＬＣ複合床パネルを梁材の屋内
側に配した適宜の支持金具上に載置して外壁パネルとの
衝合を回避する手段も提案されているが、これでは梁材
に直接ＡＬＣ複合床パネルを固定できず、取付強度が劣
りがちになる他、新たな支持金具を別に準備して取付け
なければならず、コスト性、施工性を低下させることに
なる。

【０００８】本発明は、床パネルの一辺に、下地パネル
の一端がコンクリート板から突出する突出部を形成し、
かつこの突出部を、外壁パネル下端面と梁材の上面に設
けた支持面との間の空間に挿入して下地パネルを前記支
持面に載置することによってコンクリート板端面を外壁
パネルの屋内面よりも屋内側に配することを基本とし
て、床パネル固定用の新たな支持金具を用いずに、該床
パネルを外壁パネルと干渉させることなく納まり良くか
つ強固に梁材に直接、載置して固定しうる床パネルの取
付構造の提供を目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、家屋の階上の
外壁を形成する外壁パネルを支持する梁材に、家屋の床
を形成するための床パネルを取付ける床パネルの取付構
造であって、前記梁材は、上面に、屋内側の水平な支持
面と、この支持面の屋外縁で立上がる立上げ片とを具
え、かつ前記外壁パネルは、立上げ片にしかも屋内面を
立上げ片よりも屋内側に位置させて下端を支持されるこ
とによりこの下端面と、前記支持面との間に屋内側で開
放される空間を形成するとともに、前記床パネルは、複
数の根太部材を略等間隔で平行に配した根太並列体の上
面に板材を固着してなる下地パネルと、その上面に添設
されるコンクリート板とからなりかつ下地パネルの一辺
からコンクリート板の端面を内に控えさせることにより
下地パネルの一端がコンクリート板から突出する突出部
を有し、この突出部を前記空間に挿入して下地パネルを
前記支持面に載置することによってコンクリート板端面
を外壁パネルの屋内面よりも屋内側に配し、しかも屋内
側から挿着する固着具を用いて床パネルを梁材に固定す
る。

【００１０】なお前記固着具は、コンクリート板の端部
に梁材に向かって斜めに穿たれた斜めの貫通孔内に挿入
され前記突出部を通って梁材に固定されることが望まし
い。

【００１１】又前記突出部は、その上面に、コンクリー
ト板の端面と外壁パネルの屋内面との間に配されるコン
クリートからなる目板が添設されるようにすることも出
来る。

【００１２】

【作用】外壁パネルの下端面と梁材の上面に設けた支持
面との間に屋内側で開放される空間を形成する一方、下
地パネルとその上面に添設されるコンクリート板とから
なる床パネルに形成した突出部を前記空間に挿入して前
記下地パネルを前記支持面に載置することによりコンク
リート板端面を外壁パネルの屋内面よりも屋内側に配
し、しかも屋内側から挿着する固着具を用いて床パネル
を梁材に固定する。従って、下地パネル上面にコンクリ
ート板を添設した比較的背高の床パネルであっても、前
記突出部を前記空間に挿入して支持面に載置することに
より、固着具を用いて安定性よくかつ確実に該床パネル
を梁材に固定しうるとともに、新たに支持金具を準備す
る必要なく、外壁パネルと床パネルのコンクリート板と
の相互干渉を防止でき、その良好な納まりを可能とす
る。

【００１３】又請求項２の発明において、前記固着具
を、コンクリート板の端部に梁材に向かって斜めに穿た
れた斜めの貫通孔内に挿入しかつ前記突出部を通って梁
材に固定したときには、外壁パネルが施工された後であ
っても、この外壁パネルの屋内側で開口する前記貫通孔
を介して前記固着具を外壁パネルに邪魔されずに便宜か
つ確実に突出部から梁材に打入できる。

【００１４】さらに請求項３の発明において、前記突出
部の上面に、コンクリート板の端面と外壁パネルの屋内
面との間に配されるコンクリートからなる目板を添設す
るようにしたときには、少なくともこの目板の巾分だけ
前記コンクリート板の端面が外壁パネルの屋内面から離
れることになるため、床パネルの施工時に、先に施工さ
れた外壁パネルに床パネルの前記コンクリート板が衝突
することを防止でき、該コンクリート板の割れ、欠けな
どの破損を防ぎうるとともに、目板の施工前において、
この目板を添設しうる広巾の前記突出部から固着具を打
入でき、床パネルの梁材への取付作業を外壁パネルに邪
魔されることなく容易かつ確実になしうる。

【００１５】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づき説明す
る。図１〜７において本発明の床パネルの取付構造は、
家屋の階上の外壁を形成する外壁パネルＰを支持する梁
材２に、家屋の床を形成するための床パネル３を取付け
る。

【００１６】前記梁材２は、本実施例では、図１の床パ
ネル３…の配置状態を示す平面図の下辺に沿って家屋の
外周通りに水平に配されるラチス梁からなり、図３に示
すようにその上弦材２０の上面に、屋内側の水平な支持
面４と、この支持面４の屋外縁で立上がる立上げ片５と
を具える。

【００１７】なお前記立上げ片５は、前記上弦材２０の
上面かつ屋外側に一片が固着された断面Ｌ字の長尺の土
台金具２１の垂直な他片により形成される。

【００１８】又外壁パネルＰは、その水平な下の枠材２
２の下面に凹設した条溝２３に前記立上げ片５の上端部
を嵌入することにより下端が支持され、これによって下
の枠材２２の内装材２４が添設されない屋内面がなす外
壁パネルＰの屋内面Ｆ１を、立上げ片５よりも屋内側に
位置させている。

【００１９】さらに前記下の枠材２２の下面がなす外壁
パネルＰの下端面Ｆ２と、前記支持面４との間には、前
記立上げ片５の高さに略等しい高さを有しかつ屋内側で
開放される空間Ｓが形成される。

【００２０】前記床パネル３は、図２に示すように、断
面矩形かつ長尺の複数の根太部材２６…を略等間隔で平
行に配した根太並列体の上面にパーティクルボードなど
からなる平面矩形の板材２７を固着してなる木製の下地
パネル６と、この下地パネル６の上面にビスのような固
着具を用いて添設される複数のＡＬＣ板からなるコンク
リート板７…とから形成される。

【００２１】又床パネル３には、その少なくとも一辺、
本実施例では両短辺に、前記コンクリート板７の上面よ
りも上面Ｆが低い段部９、９が設けられるとともに、各
段部９は、前記下地パネル６の一辺（短辺）からコンク
リート板７の端面を内に控えさせることにより下地パネ
ル６の一端がコンクリート板７から突出する突出部１０
からなる。

【００２２】なお前記根太部材２６、２６間には、上面
が前記板材２７の下面に当接する石膏ボード等の遮音板
２９が配設され、床パネル３の遮音性能を高めている。

【００２３】このような床パネル３は、一方の短辺側に
おいて図３に示すように前記突出部１０を前記空間Ｓに
挿入して下地パネル６を前記支持面４に載置することに
よってコンクリート板７の端面を前記外壁パネルＰの屋
内面Ｆ１よりも屋内側に配するとともに、他方の短辺側
において図７に示すようにこの短辺を向き合わせて前記
梁材２と平行かつ同高のラチス梁からなる梁材３０の上
面に並置し、図１に示すように縦横に敷詰められる。

【００２４】又図１において左右に並ぶ床パネル３は、
その根太部材２６…が図４、図５に示すように、図１の
左右辺に沿って配されるラチス梁からなる梁材３１、３
１と、この梁材３１、３１の中央で該梁材３１と平行に
のびるラチス梁からなる梁材３２との間に架け渡された
大引３３によって支持される。

【００２５】さらに床パネル３は、屋内側から挿着する
固着具１１を用いて前記梁材２に固定される。

【００２６】前記固着具１１は、図３に示すように、例
えばタッピンビスからなり、前記コンクリート板７の端
部に梁材２に向かって斜めに穿たれた斜めの貫通孔１２
内に挿入されかつ前記突出部１０を通って該梁材２の前
記上弦材２０に打入される。

【００２７】従って、外壁パネルＰの施工後であって
も、床パネル３を納まり良くかつ確実に梁材２に固定し
うるとともに、外壁パネルＰの屋内面Ｆ１の屋内側で開
口する前記貫通孔１２によって、固着具１１を外壁パネ
ルＰに干渉されることなく容易に打入できる。

【００２８】なお貫通孔１２内には、固着具１１の挿入
後、セメント４２が充填される。又前記梁材３０上で向
き合う床パネル３、３の前記突出部１０、１０間かつそ
の上面には、図７に示すように、各床パネル３、３のコ
ンクリート板７の端面間を上面同高で継ぐＡＬＣ製のコ
ンクリートからなる目板１３が固定される。

【００２９】このように梁材３０の上方においてもコン
クリート製の目板１３で被覆するため、階上の床の防火
性能を確保しうるとともに、該目板１３は床パネル３、
３に設けた前記段部９、９（突出部１０、１０）によっ
て支持されるため、この目板１３支持用の段部を別に形
成する必要がなく、施工性を向上しうる。

【００３０】さらに前記梁材３２の上方かつ両側で隣り
合う床パネル３、３間には、図５に示すように、ＡＬＣ
製のコンクリートからなる目板１９を有する目板パネル
３５が配される。

【００３１】目板パネル３５は、図５、図６に示すよう
に、前記根太部材２６と同高かつ断面矩形の長尺な一対
の根太状体１４、１４と、その上面間に架け渡されかつ
前記板材２７と同厚の合板、パーティクルボード等の板
材３６と、その上面に添着されかつ前記コンクリート板
７と同厚の前記目板１９とからなり、工場等において予
め一体に形成される。

【００３２】この目板パネル３５は、前記梁材３２両側
で前記大引３３、３３によって支持される床パネル３、
３間に挿入されて釘などを用いて固定される。

【００３３】従って、梁材３２の上方においても、コン
クリート製の前記目板１９により防火性能を確保しうる
とともに、この目板１９を予めパネル化して現場で施工
するため、現場で各部材を切断して組立てるものに比べ
て工数を削減でき、施工性を向上しうる他、現場におけ
る切り屑の発生を減じかつ早期の目板部での段差解消に
より、作業員の歩行時の安全性を高めうる。

【００３４】又前記床パネル３の段部９を、図２に一点
鎖線で示すように、前記下地パネル６の長辺に沿って配
される前記根太部材２６の端面に釘などの固着具を用い
て固着されかつ前記コンクリート板７の上面よりも上面
Ｆを低くした根太状材１５から形成し、この根太状材１
５を前記根太状体１４として梁材３２上に前記目板１９
を固着することも出来る。

【００３５】この場合、目板１９を支持するための段部
９が、根太状材１５を下地パネル６の端面に固着するだ
けで容易に形成でき、施工の省力化を図りうる。

【００３６】なお床パネル３、目板１３、１９上には、
適宜の床下地板３９が添着されるとともに、前記目板１
３、１９上には、該床下地板３９を介して間仕切りパネ
ル４０…が立設される。

【００３７】図８、図９に本発明の他の実施例を示す。
本例において床パネル３は、前記下地パネル６と、その
上面に添設される前記コンクリート板７とからなるとと
もに、下地パネル６の一つの短辺からコンクリート板７
の端面を内に控えさせることにより下地パネル６の一端
がコンクリート板７から突出する一つの突出部１０Ａを
有する。なお下地パネル６、コンクリート板７の各寸法
は前記実施例のものと同長とし、従って突出部１０Ａの
突出長さ２Ｌは、前記突出部１０の突出長さＬの２倍と
している。

【００３８】床パネル３は、図９に示すように、前記突
出部１０Ａを前記空間Ｓ内に挿入して下地パネル６を梁
材２の前記支持面４に載置することによってコンクリー
ト板７の端面を外壁パネルＰの屋内面よりも屋内側に位
置させて配されるとともに、前記突出部１０Ａに打入さ
れ梁材２の前記上弦材２０に固定される固着具１７を用
いて該梁材２に取付けられる。

【００３９】又前記突出部１０Ａの上面には、コンクリ
ート板７の端面と外壁パネルＰの屋内面Ｆ１との間に配
されかつ該コンクリート板７と上面同高のＡＬＣを用い
たコンクリートからなる目板１６が添設される。

【００４０】従って、床パネル３の広巾（突出長さ２
Ｌ）の突出部１０Ａにより、この床パネル３を施工する
際にコンクリート板７が外壁パネルＰと衝突して破損す
るようなことを防止しうるとともに、床パネル３を広巾
（突出長さ２Ｌ）の突出部１０Ａに打入される固着具１
７によって外壁パネルＰに邪魔されることなく目板１６
施工前に簡単かつ確実に梁材２に固定できる。

【００４１】

【発明の効果】叙上の如く本発明の床パネルの取付構造
は、外壁パネルの下端面と梁材の上面に設けた支持面と
の間に屋内側で開放される空間を形成する一方、下地パ
ネルとその上面に添設されるコンクリート板とからなる
床パネルに形成した突出部を前記空間に挿入して前記下
地パネルを前記支持面に載置することによりコンクリー
ト板端面を外壁パネルの屋内面よりも屋内側に配し、し
かも屋内側から挿着する固着具を用いてこの床パネルを
梁材に固定する。従って、下地パネル上面にコンクリー
ト板を添設した比較的背高の床パネルであっても、前記
突出部を前記空間に挿入して支持面に載置することによ
り、固着具を用いて安定性よくかつ確実に該床パネルを
梁材に固定しうるとともに、新たに支持金具を準備する
必要なく、外壁パネルと床パネルのコンクリート板との
相互干渉を防止でき、その良好な納まりを可能とする。

【００４２】又請求項２の発明において、前記固着具
を、コンクリート板の端部に梁材に向かって斜めに穿た
れた斜めの貫通孔内に挿入しかつ前記突出部を通って梁
材に固定したときには、外壁パネルが施工された後であ
っても、この外壁パネルの屋内側で開口する前記貫通孔
を介して前記固着具を外壁パネルに邪魔されずに便宜か
つ確実に突出部から梁材に打入できる。

【００４３】さらに請求項３の発明において、前記突出
部の上面に、コンクリート板の端面と外壁パネルの屋内
面との間に配されるコンクリートからなる目板を添設す
るようにしたときには、少なくともこの目板の巾分だけ
前記コンクリート板の端面が外壁パネルの屋内面から離
れることになるため、床パネルの施工時に、先に施工さ
れた外壁パネルに床パネルの前記コンクリート板が衝突
することを防止でき、該コンクリート板の割れ、欠けな
どの破損を防ぎうるとともに、目板の施工前において、
この目板を添設しうる広巾の前記突出部から固着具を打
入でき、床パネルの梁材への取付作業を外壁パネルに邪
魔されることなく容易かつ確実になしうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】床パネルの配置状態を例示する平面図である。

【図２】床パネルを例示する斜視図である。

【図３】図１のＸ−Ｘ線断面図である。

【図４】図１のＹ−Ｙ線断面図である。

【図５】図１のＺ−Ｚ線断面図である。

【図６】目板パネルを例示する斜視図である。

【図７】図１のＶ−Ｖ線断面図である。

【図８】床パネルの他の実施例を示す斜視図である。

【図９】本発明の他の実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

２ 梁材 ３ 床パネル ４ 支持面 ５ 立上げ片 ６ 下地パネル ７ コンクリート板 １０、１０Ａ 突出部 １１ 固着具 １２ 貫通孔 １６ 目板 Ｐ 外壁パネル Ｓ 空間

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平５−214777（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−157838（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭54−160939（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−187320（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭55−85406（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E04B 5/02 E04B 2/56 - 2/62

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】家屋の階上の外壁を形成する外壁パネルを
   支持する梁材に、家屋の床を形成するための床パネルを
   取付ける床パネルの取付構造であって、 前記梁材は、上面に、屋内側の水平な支持面と、この支
   持面の屋外縁で立上がる立上げ片とを具え、 かつ前記外壁パネルは、立上げ片にしかも屋内面を立上
   げ片よりも屋内側に位置させて下端を支持されることに
   よりこの下端面と、前記支持面との間に屋内側で開放さ
   れる空間を形成するとともに、 前記床パネルは、複数の根太部材を略等間隔で平行に配
   した根太並列体の上面に板材を固着してなる下地パネル
   と、その上面に添設されるコンクリート板とからなりか
   つ下地パネルの一辺からコンクリート板の端面を内に控
   えさせることにより下地パネルの一端がコンクリート板
   から突出する突出部を有し、 この突出部を前記空間に挿入して下地パネルを前記支持
   面に載置することによってコンクリート板端面を外壁パ
   ネルの屋内面よりも屋内側に配し、 しかも屋内側から挿着する固着具を用いて床パネルを梁
   材に固定したことを特徴とする床パネルの取付構造。
2. 【請求項２】前記固着具は、コンクリート板の端部に梁
   材に向かって斜めに穿たれた斜めの貫通孔内に挿入され
   前記突出部を通って梁材に固定されることを特徴とする
   請求項１記載の床パネルの取付構造。
3. 【請求項３】前記突出部は、その上面に、コンクリート
   板の端面と外壁パネルの屋内面との間に配されるコンク
   リートからなる目板が添設されることを特徴とする請求
   項１記載の床パネルの取付構造。