JP2837072B2 - 建物ユニット - Google Patents

建物ユニット

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JP2837072B2
JP2837072B2 JP22320693A JP22320693A JP2837072B2 JP 2837072 B2 JP2837072 B2 JP 2837072B2 JP 22320693 A JP22320693 A JP 22320693A JP 22320693 A JP22320693 A JP 22320693A JP 2837072 B2 JP2837072 B2 JP 2837072B2
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panel
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浩美 森崎
明博 西山
保 佐藤
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JUKANKYO KENKYUSHO KK
Sekisui Chemical Co Ltd
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JUKANKYO KENKYUSHO KK
Sekisui Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建物ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建物の工業生産方式としてユニッ
ト工法がある。このユニット工法は、建物を構成する複
数の建物ユニットを工場で生産した後、建築現場に輸送
し、予め構築してある基礎上にて据付けるものである。
【0003】然るに、従来の建物ユニットは、特公昭58
-30978号公報に記載される如く、床パネルの外縁側上面
部に壁パネルを立設、固定することにて構成されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、従来技術
には、下記〜の問題点がある。 建物ユニットの高さ方向における床パネル位置がユニ
ット下部にて固定化される一方、ユニット高さに工場か
ら建築現場への輸送上の制限があるため、天井高の増
大、床厚の増大に限界がある。即ち、天井高の増大によ
る居室スペースの増大、床厚の増大による床衝撃音の遮
音性向上に限界があり、居住性の向上に困難がある(図
16(A)、図17(A))。
【0005】2階建等の積層建物を構成するに際し、
多数の床パネル、壁パネルを順次上下に積層するもので
あるため、上階の床位置精度を向上するためには、床パ
ネルの厚み精度、壁パネルの高さ精度を向上する必要が
あり、上階の床位置精度の確保に困難がある(図18
(A))。
【0006】床パネル下に小梁を付加すれば、天井高
を増大化する等のユニットバリエーションの多様化を図
ることができるものの、小壁高さの設定に構造上の限界
がある他、同一の床パネル、壁パネルからなる同一パネ
ルシステムにてユニットバリエーションを多様化するこ
とができない。
【0007】壁の断熱性能を向上したり、3階建等の
多層建物の強度確保のために壁パネル厚を変更すると、
ユニット内寸の変更を生じて内装部品の設計変更を必要
とし、或いはユニット内寸の変更を回避するために新規
床パネルの設計を必要とする等、寒冷地対応建物、多層
建物等のユニットバリエーションの多様化に困難があ
る。
【0008】そこで、本発明者は、建物ユニットにおい
て、壁パネルの内面部上に床パネルの外縁部を突合わせ
配置するものとすることにより、天井高や床厚を増大し
て居住性を向上可能とするとともに、上階の床位置精度
を容易に向上可能とし、或いはユニットバリエーション
を簡易に多様化可能とすることとした。
【0009】ところが、上述の如くに壁パネルの内面部
上に床パネルの外縁部を突合わせ配置してなる建物ユニ
ットにあっては、更に、下記、の問題点を解消する
ことが望まれる。
【0010】床荷重は、床パネルの床枠組を構成して
いる各床根太から、壁パネルの壁枠組に伝えられて支持
されるものとなる。このとき、各床根太は比較的小断面
であり、床剛性が比較的小であるため、床荷重の伝達性
能が低い。
【0011】特に、両側壁パネル間のユニットサイズが
各床根太の長手方向に沿って長いものにあっては、床根
太のスパンが両側壁パネル間で長いものとなり、床剛性
が極端に小となる。
【0012】隣接して据付けられる2個の建物ユニッ
ト間で、各床パネルの壁パネルが配置されない部分を互
いに連続化する場合には、各床パネルの床枠組外縁部に
位置する側根太と床枠組内部に位置する床根太間の床面
材を工場段階では未施工とし、この両床パネルの未施工
部分に継なぎ床面材を現地施工にて貼り渡すものとなる
(図20(A))。この継なぎ床面材は、一方の床パネ
ルの床枠組内に位置する床根太から、他方の床パネルの
床枠組内に位置する床根太に渡る大面積のものとなり、
現地施工工数は多大である。
【0013】本発明は、建物ユニットにおいて、天井高
や床厚を増大して居住性を向上可能とするとともに、上
階の床位置精度を容易に向上可能とし、或いはユニット
バリエーションを簡易に多様化可能とするために、壁パ
ネルの内面部上に床パネルの外縁部を突合わせ配置する
に際し、床剛性を大として床荷重の伝達性能を向上する
とともに、隣接する建物ユニットの床パネル間での継な
ぎ床面材を小面積として現地施工工数を低減することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、壁パネルの内面部上に床パネルの外縁部を突合わせ
配置してなる建物ユニットであって、床パネルの外縁部
沿いで壁パネルが配置されない部分に床梁を設け、この
床梁の両端部を両側の壁パネルに取着するとともに、こ
の床梁に床パネルの外縁部を取着して支持するようにし
たものである。
【0015】請求項2に記載の本発明は、請求項1記載
の本発明において更に、前記床パネルが複数の床根太を
平行配置してなる床枠組を有し、前記床梁に該床パネル
の床根太に直交する外縁部を取着してなるようにしたも
のである。
【0016】請求項3に記載の本発明は、請求項1また
は2記載の本発明において更に、前記壁パネルが前記床
梁の両端取着部に柱を有してなるようにしたものであ
る。
【0017】
【作用】請求項1に記載の本発明によれば、下記〜
の作用がある。 建物ユニットの高さ方向における床パネル位置を壁パ
ネルの内面部の上下方向にて任意の位置に設定できる。
従って、ユニット高さ(壁パネル高さ)が輸送上の制限
を受けるにもかかわらず、天井高を増大して居住スペー
スを増大でき、或いは床厚を増大して床衝撃音の遮音性
を向上し、居住性を向上できる(図16(B)、図17
(B))。
【0018】2階建等の積層建物を構成するために上
下の建物ユニットを積層するときに、床パネルを介する
ことなく、上下の壁パネルのみを連続化するものとな
る。従って、上階の床位置精度を容易に向上できる(図
18(B))。
【0019】壁パネルの高さを一定にしながら、床パ
ネルの取付位置を変えることにて、U字ユニット、H字
ユニット、逆U字ユニット、ロの字ユニット等を形成で
き、同一パネルシステムにてユニットバリエーションを
簡易に多様化できる(図6)。
【0020】壁の断熱性能を向上したり、3階建等の
多層建物の強度確保のために壁パネル厚を変更しても、
ユニット内寸(床パネル幅)は変化しない。従って、ユ
ニット内寸の変化に起因する内装部品の設計変更や新規
床パネルの設計を必要とする等がなく、寒冷地対応建
物、多層建物等のユニットバリエーションを簡易に多様
化できる。
【0021】床荷重は、床パネルの床枠組を構成して
いる各床根太から、床梁を介して、壁パネルの壁枠組に
伝えられて支持されるものとなる。このとき、床パネル
は床梁の一体化により床剛性を大とするものとなり、床
荷重の伝達性能を向上できる。
【0022】隣接して据付けられる2個の建物ユニッ
ト間で、各床パネルの壁パネルが配置されない部分を互
いに連続化する場合には、各床パネルに一体化されてい
る床梁同士を相隣接せしめるものとなり、両建物ユニッ
トの床面間にて現地施工される継なぎ床面材は、両床梁
間だけの小面積で足りるものとなる。即ち、各床パネル
は工場段階でその床面材を全面に貼り設けられて未施工
部分を残すことなく、現地では小面積の継なぎ床面材を
貼り設ければ足りるものとなって現地施工工数を低減で
きる(図20(B))。
【0023】請求項2に記載の本発明によれば、下記
の作用がある。 床パネルが複数の床根太を平行配置してなる床枠組を
有し、床梁に該床パネルの床根太に直交する外縁部を取
着するものとすることにより、両側壁パネル間のユニッ
トサイズが床梁の長手方向に沿って長いものにあって
も、各床根太は床梁に直交していて長いものとならな
い。そして、長尺となる床梁は比較的大断面とすること
ができるから、床剛性が小になることがない。
【0024】請求項3に記載の本発明によれば、下記
の作用がある。 壁パネルが床梁の両端取着部に柱を内蔵してなるもの
とすることにより、床荷重は、各床根太から、床梁を介
して、壁パネルの柱に伝わるものとなり、床荷重の伝達
性能はより向上され得る。
【0025】
【実施例】図1は建物ユニットを用いて構築されたユニ
ット建物を示す断面図、図2は図1の模式図、図3は建
物ユニットを示す模式図、図4は壁パネルを示す模式
図、図5は床パネルと天井パネルを示す模式図、図6は
ユニットバリエーションを示す模式図、図7は床梁を示
す模式図、図8は建物ユニットのパネル取着構造を示す
模式図、図9は柱−梁接合仕口を示す模式図、図10は
ユニット接合構造を示す模式図、図11は接合具を示す
模式図、図12は接合具の回動操作状態を示す模式図、
図13は隣接床パネル接合構造を示す模式図、図14は
建物ユニットのパネル取着構造と隣接床パネル接合構造
の変形例を示す模式図、図15はくさびを示す模式図、
図16は本発明による天井高確保効果を示す模式図、図
17は本発明による床衝撃音遮音効果を示す模式図、図
18は本発明による精度管理容易可能状態を示す模式
図、図19は本発明による通気効果を示す模式図、図2
0は本発明による継なぎ面材縮小効果を示す模式図であ
る。
【0026】ユニット建物10は、図1、図2に示す如
く、複数の建物ユニット11を基礎12の上部にて水平
方向及び鉛直方向に接合するとともに、それら建物ユニ
ット11の上部に屋根ユニット13を搭載することにて
構築される。
【0027】ここで、建物ユニット11は、図3(A)
に示すコの字ユニット11A、或いは図3(B)に示す
ニの字ユニット11Bの如くに構成される。
【0028】即ち、建物ユニット11は、壁パネル21
と床パネル22と天井パネル23とを互いに取着して構
成され、或いは壁パネル21と床・天井パネル24(床
パネル22と天井パネル23とを一体化したパネル)と
を互いに取着して構成される。そして、建物ユニット1
1は、壁パネル21の内面部上に、床パネル22と天井
パネル23の各外縁部(或いは床・天井パネル24の外
縁部)を突合せ配置して取着する。また、建物ユニット
11は、床パネル22の外縁部沿いで壁パネル21が配
置されない部分には大断面の床梁25を設け、この床梁
25を両側の壁パネル21、21に取着するとともに、
この床梁25に床パネル22と天井パネル23を取着し
て支持することとしている。
【0029】このとき、本発明では、下階天井を構成す
ることとなる上階建物ユニット11においてのみ天井パ
ネル23を設けるものとし、下階建物ユニット11では
天井パネル23を設けることを必要としない。また、上
階建物ユニット11であっても天井パネル23を設ける
ことなく、床パネル22の下面に天井面材を取付けるこ
とにて下階天井を構成するものとしても良い。
【0030】尚、コの字ユニット11Aは、床パネル2
2の3つの外縁部材のそれぞれに壁パネル21を配置
し、残余の1つの外縁部沿いに床梁25を配置したもの
である。また、ニの字ユニット11Bは、床パネル22
の相対する2つの外縁部沿いのそれぞれに壁パネル21
を配置し、残余の2つの外縁部沿いのそれぞれに床梁2
5を配置したものである。
【0031】このとき、壁パネル21は、図4に示す如
く、両側の柱31、31と上下の枠材32、33を四角
枠組し、上下の枠材32、33間に複数のスタッド34
を設けることにて壁枠組35を形成するとともに、この
壁枠組35内に断熱材36を充填し、更に、この壁枠組
35の両面に外壁面材37、内壁面材38を取着するこ
とにて構成される。
【0032】また、床パネル22は、図5に示す如く、
両端の端根太41、41と両側の側根太42、42を四
角枠組し、両端の端根太41、41間に複数の床根太4
3を平行配置状態にて架け渡して床枠組44を形成する
とともに、この床枠組44内に断熱材45を充填し、更
に、この床枠組44の両面に床面材46、下面材47を
取着することにて構成される。
【0033】また、天井パネル23は、図5に示す如
く、両端の枠材51、51と両側の枠材52、52を四
角枠組し、両端の枠材51、51間に複数の野縁53を
架け渡すことにて天井枠組54を形成するとともに、こ
の天井枠組54の下面に天井面材55を取着することに
て構成される。
【0034】また、床・天井パネル24は、図5に示す
如く、両端の端根太41、41と両側の側根太42、4
2を四角枠組し、両端の端根太41、41間の上面側に
複数の床根太43を架け渡すとともに、下面側に複数の
野縁53を架け渡すことにて床・天井枠組61を形成す
るとともに、この床・天井枠組61内に断熱材45を充
填し、更に、この床・天井枠組61の上面に床面材46
を取着し、下面に天井面材55を取着することにて構成
される。
【0035】また、床梁25としては、図7に示す如
く、集成材(図7(A))、ボックスビーム(図7
(B))、Iビーム(図7(C))、ボックスビームと
Iビームとの複合材(図7(D))等を選択採用でき
る。
【0036】また、建物ユニット11にあっては、図6
に示す如く、壁パネル21の高さを一定にしながら、壁
パネル21の内面部上における床パネル22、天井パネ
ル23(もしくは床・天井パネル24)、床梁25の取
付位置を変えることにて、U字ユニット、H字ユニッ
ト、逆U字ユニット、ロの字ユニット等を形成し、同一
パネルシステムにて多様なユニットバリエーションを構
成可能とする。
【0037】以下、建物ユニット11における各パネル
の接合構造等について説明する。 (A) 壁パネル21、床梁25に対する床パネル22、天
井パネル23の取着構造
【0038】建物ユニット11にあっては、壁パネル2
1の内面部上に床パネル22と天井パネル23、或いは
床・天井パネル24を取着するため、(a) 壁パネル21
と床梁25の各内面部上に図1、図3、図8に示す如く
のパネル受具26を備える、(b) 壁パネル21のスタッ
ド34及び/または外壁面材37、内壁面材38にそれ
らの床パネル22、天井パネル23、床・天井パネル2
4を支持可能とする材料強度を備える、或いは(c) 上記
(a) 、(b) を併用する等の構造を具備せしめる。
【0039】図8のパネル受具26は、図8(A)に示
す如くの金物からなり、壁パネル21の内面部上の横方
向に連続的に、もしくは一定の間隔をおいた複数位置の
それぞれにてスタッド34に止めねじ固定され、或いは
床梁25の側面部上に連続的に、もしくは一定の間隔を
おいた複数位置のそれぞれにて該床梁25に止めねじ固
定される。
【0040】そして、パネル受具26は、図8(B)に
示す如く、床パネル22(又は床・天井パネル24)の
端根太41を下から支える突片部26A、及び天井パネ
ル23の枠材51を下から支える突片部26Bを備えて
いる。尚、天井パネル23の枠材51はパネル受具26
の突片部26Bに一部係止せしめられるように逆L字断
面を付与されている。
【0041】また、パネル受具26の突片部26Aに支
えられた床パネル22(又は床・天井パネル24)は、
端根太41を壁パネル21のスタッド34に釘打ち固定
される。この床パネル22の端根太41を壁パネル21
のスタッド34に釘打ち固定する作業スペース確保のた
め、床パネル22の端根太41寄りの床面材46は工場
段階で未施工とされており、この未施工部分は上述の釘
打ち作業後に継なぎ床面材46Aを取着されて塞がれる
(図8(C))。
【0042】(B) 床梁25と壁パネル21、床パネル2
2との接合構造 床梁25に止めねじ固定したパネル受具26の突片部2
6A上に支えられる床パネル22は、該床パネル22の
床根太43に直交する外縁部、即ち端根太41に床梁2
5を釘打ち固定される(図1)。
【0043】また、床梁25の両側端面は両側壁パネル
21の柱31に定めた梁接合面31Aに、以下の如くの
柱−梁接合仕口にて取着される(図9)。
【0044】壁パネル21の柱31には梁受具71が釘
打ち固定される。梁受具71は、柱取付部71A、梁受
部71B、ボルト支持部71Cの3面からなる金物であ
り、柱取付部71Aを柱31へ取付けた状態下で、柱3
1の梁接合面31Aの後側方から前側方に向けて突出す
るように2本のボルト72をそのボルト支持部71Cに
溶接等により固定的に片持支持している。このボルト7
2にはナット73が螺着され、ボルト72に挿着される
床梁25を梁受具71に締結する。即ち、床梁25に設
けた長孔25Aを梁受具71のボルト72に挿着し、床
梁25の下面を梁受具71の梁受部71Bに預ける如く
に載せ、ナット73をボルト72に螺着して床梁25を
梁受具71に締結するとともに、固定具74を用いて、
床梁25を柱31に対し該床梁25の長手方向にて固定
する。固定具74は、金物板であり、ボルト72のため
のボルト孔74Aを備えており、上記ボルト72に床梁
25とともに挿着されてナット73により該床梁25と
ともに締結され、床梁25が柱31に対する取付位置を
該床梁25の長手方向にて(長孔25Aの長孔範囲内
で)調整された後、床梁25に釘打ち固定され、結果と
して床梁25を柱31に対し上述の如くに該床梁25の
長手方向にて固定するものとなる。
【0045】(C) 建物ユニット11と基礎12、建物ユ
ニット11同士の接合構造 建物ユニット11と基礎12(図10(A))、上下の
建物ユニット11の柱31同士(図10(B)、図1
1)、上下の建物ユニット11の壁パネル21同士(図
10(C))は、連結部材81と、接合具82とを用い
て以下の如くに接合される(図11、図12)。
【0046】例えば、上下の建物ユニット11の柱31
同士の接合について説明すると(図10(B)、図1
1)、下階建物ユニット11における柱31の上端部に
は連結部材81が固定される。連結部材81は、膨出状
頭部81Aと、その下の首部81Bを備える。他方、上
階建物ユニット11における柱31の下端部には接合具
82が回動操作可能に内蔵される。接合具82は、シリ
ンダ状をなし、柱31の下端部に設けた丸孔状格納部8
3の開口83Aから差込み内蔵され、その回動操作部8
2Aをその開口83Aから外部空間に臨ませている。そ
して、接合具82は、V字状に開くV字すくい面82B
を備え、回動操作部82Aに加える回動操作によってこ
のV字すくい面82Bをすくい上げ方向に回動可能とし
ている(図12)。即ち、下階建物ユニット11の柱3
1に固定された連結部材81の膨出状頭部81Aは、上
階建物ユニット11の柱31に設けた挿通路84を介し
て、該上階建物ユニット11に内蔵してある接合具82
のV字すくい面82B内に設定される(首部81BがV
字すくい面82BのV字溝レベルに一致するレベル)。
そして、連結部材81は、その後の接合具82の回動操
作によりその膨出状頭部81AをV字すくい面82Bに
よりすくい上げ保持される。これにより、上下の建物ユ
ニット11の柱31は、それらの端面を互いに圧接する
如くに引き合わされ、強固に接合される。この接合状態
は、連結部材81の膨出状頭部81Aと接合具82のV
字すくい面82Bとのくい込みにより安定維持される。
【0047】建物ユニット11と基礎12(図10
(A))、上下の建物ユニット11の壁パネル21同士
(図10(C))における接合も上記と同様になされ
る。尚、基礎12に固定される連結部材81は、基礎1
2に植設されて固定される。
【0048】(D) 隣接床パネル42同士の接合構造 水平方向に隣接して据付けられた建物ユニット11間
で、相対する床パネル22同士は以下の如くに接合され
る(図13)。
【0049】一方の床パネル22の外縁部に前述の如く
に固定されている床梁25にテーパ嵌合具91を螺動可
能に支持する。即ち、テーパ嵌合具91は、床梁25の
長手方向の中央部等の適宜位置にて水平方向に該床梁2
5に螺着される支軸91Aの先端に設けられ、支軸91
Aの基端には螺動操作部91Bが設けられている。そし
て、他方の床パネル22の外縁部に前述の如くに固定さ
れている床梁25には、上記テーパ嵌合具91に対面す
る部分に、テーパ受部92を備えている。テーパ嵌合具
91は螺動操作部91Bに加える螺動操作に基づく螺動
量の調整により、テーパ受部92に適宜の加圧力をもっ
て加圧保持される。
【0050】即ち、テーパ嵌合具91をテーパ受部92
に加圧保持することにより、両床パネル22、22及び
両床梁25、25はパネル面内の縦横両方向(パネル間
隔方向とそれに直交する方向)にて一挙に位置調整さ
れ、それらの相対位置を適正位置に固定化するものとな
る。尚、図13において、93は継なぎ床面材であり、
継なぎ面材93は両床パネル22、22の上記位置調整
後に、両床パネル22、22の床面材46、46間に貼
り設けられて両床梁25、25とそれらの間隔を覆う。
【0051】以下、建物ユニット11における床パネル
22、天井パネル23の取着構造と、隣接床パネル22
同士の接合構造の変形例について説明する(図14、図
15)。
【0052】即ち、図14は、壁パネル21に対する床
パネル22と天井パネル23の取着構造の変形例であ
り、壁パネル21の内面部上には木質製パネル受具10
1を釘打ち固定し、床梁25にはパネル受部102を切
欠き形成したものである。即ち、パネル受具101は壁
パネル21のスタッド34に釘打ち固定され、床パネル
22の床面材46を下から支える受部101A、床パネ
ル22の下面材47を下から支える受部101B、天井
パネル23の枠材51を下から支える受部101Cを備
えている。また、パネル受部102は床パネル22の床
面材46を下から支える受部102A、床パネル22の
下面材47を下から支える受具102B、天井パネル2
3の枠材51を下から支える受部102Cを備えてい
る。
【0053】また、図14において、103はくさびで
ある。くさび103は、図15に示す如くに相直交する
2方向にてくさび面103A、103Bを備えている。
そして、くさび103は、隣接して据付けられた建物ユ
ニット11間で、相対する床パネル22、22の外縁部
に上述の如くに固定されている床梁25、25のそれぞ
れに設けたくさび受部104間に上方から打ち込まれて
加圧保持せしめられる。即ち、くさび103をくさび受
部104に加圧保持することにより、両床パネル22、
22及び両床梁25、25はパネル面内の縦横両方向
(パネル間隔方向とそれに直交する方向)にて一挙に位
置調整され、それらの相対位置を適正位置に固定化する
ものとなる。尚、図14において、105は継なぎ床面
材であり、継なぎ床面材105は両床パネル22、22
の上記位置調整後に、両床パネル22、22の床面材4
6、46間に貼り設けられて両床梁25、25とそれら
の間隔を覆う。
【0054】以下、本実施例の作用について説明する。 建物ユニット11の高さ方向における床パネル22の
位置や天井パネル23の位置を壁パネル21の内面部上
の上下方向にて任意の位置に設定できる。従って、ユニ
ット高さ(壁パネル高さ)が輸送上の制限を受けるにも
かかわらず、天井高を増大して居住スペースを増大で
き、或いは床厚を増大して床衝撃音の遮音性を向上し、
居住性を向上できる(図16(B)、図17(B))。
【0055】即ち、本実施例では、天井高を図16
(B)に示す如く例えば3000mm程度に増大できる。これ
に対し、従来法では、図16(A)に示す如くの高さA
の小壁を付加しても、小壁高さAは構造上 100mm程度と
するのが限界であり、天井高は例えば2685mm程度以下と
なる。
【0056】また、本実施例では、床厚を図17(B)
に示す如く例えば標準で400mm 、最大600mm 程度に増大
できる。これに対し、従来法では、図17(A)に示す
如くの高さAの小壁を付加しても、小壁高さAは上述の
如く構造上 100mm程度とするのが限界であり、床厚は最
大でも335mm 程度である。
【0057】2階建等の積層建物を構成するために上
下の建物ユニット11を積層するときに、床パネル22
や天井パネル23を介することなく、上下の壁パネル2
1のみを連続化するものとなる。従って、上階の床位置
精度を容易に向上できる(図18(B))。
【0058】また、本実施例では、上下の壁パネル2
1、21が連続化するから、図19(B)に示す如く、
各壁パネル21内に予め上下に延びる通気路21Aを形
成しておくことにより、各壁パネル21の通気路21A
を容易に連通させて壁内通気を実施し、壁内結露発生に
起因する壁腐食を簡易に防止できる。従来法では、図1
9(A)に示す如く、壁内通気実現のために、各壁パネ
ルを二重外壁構造とする必要があり、壁パネル構造が極
めて複雑となる。
【0059】壁パネル21の高さを一定にしながら、
床パネル22や天井パネル23の取付位置を変えること
にて、U字ユニット、H字ユニット、逆U字ユニット、
ロの字ユニット等を形成でき、同一パネルシステムにて
ユニットバリエーションを簡易に多様化できる(図
6)。
【0060】壁の断熱性能を向上したり、3階建等の
多層建物の強度確保のために壁パネル厚を変更しても、
ユニット内寸(床パネル22の幅)は変化しない。従っ
て、ユニット内寸の変化に起因する内装部品の設計変更
や新規床パネル22の設計を必要とする等がなく、寒冷
地対応建物、多層建物等のユニットバリエーションを簡
易に多様化できる。
【0061】床荷重は、床パネル22の床枠組44を
構成している各床根太43から、床梁25を介して、壁
パネル21の壁枠組35に伝えられて支持されるものと
なる。このとき、床パネル22は床梁25の一体化によ
り床剛性を大とするものとなり、床荷重の伝達性能を向
上できる。
【0062】隣接して据付けられる2個の建物ユニッ
ト11間で、各床パネル22の壁パネル21が配置され
ない部分を互いに連続化する場合には、各床パネル22
に一体化されている床梁25同士を相隣接せしめるもの
となり、両建物ユニット11の床面間にて現地施工され
る継なぎ床面材93は、両床梁25間だけの小面積で足
りるものとなる。即ち、各床パネル22は工場段階でそ
の床面材46を全面に貼り設けられて未施工部分を残す
ことなく、現地では小面積の継なぎ床面材93を貼り設
ければ足りるものとなって現地施工工数を低減できる
(図20(B))。
【0063】床パネル22が複数の床根太43を平行
配置してなる床枠組44を有し、床梁25に該床パネル
22の床根太43に直交する外縁部(端根太41)を取
着するものとすることにより、両側壁パネル21間のユ
ニットサイズが床梁25の長手方向に沿って長いものに
あっても、各床根太43は床梁25に直交していて長い
ものとならない。そして、長尺となる床梁25は比較的
大断面とすることができるから、床剛性が小になること
がない。
【0064】壁パネル21が床梁25の両端取着部に
柱31を内蔵してなるものとすることにより、床荷重
は、各床根太43から、床梁25を介して、壁パネル2
1の柱31に伝わるものとなり、床荷重の伝達性能はよ
り向上され得る。
【0065】以上、本発明の実施例を図面により詳述し
たが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の建
物ユニットにおいて、床パネルが矩形をなすものに限定
されない。また、本発明の建物ユニットにおいて、床パ
ネルの少なくとも1つの外縁部に壁パネルを配置するも
のであれば足りる。また、本発明の建物ユニットが採用
されるユニット建物にあっては、例えば下階建物ユニッ
トとして従来方式の床パネルの上面部に壁パネルを立設
するものを用い、上階建物ユニットとして本発明方式の
ものを用いる等、それら両方式を適宜に混在させること
もできる。
【0066】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、建物ユニ
ットにおいて、天井高や床厚を増大して居住性を向上可
能とするとともに、上階の床位置精度を容易に向上可能
とし、或いはユニットバリエーションを簡易に多様化可
能とするために、壁パネルの内面部上に床パネルの外縁
部を突合わせ配置するに際し、床剛性を大として床荷重
の伝達性能を向上するとともに、隣接する建物ユニット
の床パネル間での継なぎ床面材を小面積として現地施工
工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は建物ユニットを用いて構築されたユニッ
ト建物を示す断面図である。
【図2】図2は図1の模式図である。
【図3】図3は建物ユニットを示す模式図である。
【図4】図4は壁パネルを示す模式図である。
【図5】図5は床パネルと天井パネルを示す模式図であ
る。
【図6】図6はユニットバリエーションを示す模式図で
ある。
【図7】図7は床梁を示す模式図である。
【図8】図8は建物ユニットのパネル取着構造を示す模
式図である。
【図9】図9は柱−梁接合仕口を示す模式図である。
【図10】図10はユニット接合構造を示す模式図であ
る。
【図11】図11は接合具を示す模式図である。
【図12】図12は接合具の回動操作状態を示す模式図
である。
【図13】図13は隣接床パネル接合構造を示す模式図
である。
【図14】図14は建物ユニットのパネル取着構造と隣
接床パネル接合構造の変形例を示す模式図である。
【図15】図15はくさびを示す模式図である。
【図16】図16は本発明による天井高確保効果を示す
模式図である。
【図17】図17は本発明による床衝撃音遮音効果を示
す模式図である。
【図18】図18は本発明による精度管理容易可能状態
を示す模式図である。
【図19】図19は本発明による通気効果を示す模式図
である。
【図20】図20は本発明による継なぎ面材縮小効果を
示す模式図である。
【符号の説明】
11 建物ユニット 21 壁パネル 22 床パネル 25 床梁 31 柱 43 床根太 44 床枠組
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 1/348 E04B 5/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 壁パネルの内面部上に床パネルの外縁部
    を突合わせ配置してなる建物ユニットであって、 床パネルの外縁部沿いで壁パネルが配置されない部分に
    床梁を設け、この床梁の両端部を両側の壁パネルに取着
    するとともに、この床梁に床パネルの外縁部を取着して
    支持する建物ユニット。
  2. 【請求項2】 前記床パネルが複数の床根太を平行配置
    してなる床枠組を有し、前記床梁に該床パネルの床根太
    に直交する外縁部を取着してなる請求項1記載の建物ユ
    ニット。
  3. 【請求項3】 前記壁パネルが前記床梁の両端取着部に
    柱を有してなる請求項1または2記載の建物ユニット。
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