JPH0118414Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンの振動を吸収するとともに、
該エンジンの移動を規制するようにしたエンジン
のマウント装置の改良に関する。

一般に、エンジンを車体に搭載するにあたつて
は、第１図の概略図に示すように、エンジン１を
マウント装置２を介して車体３に取付固定するよ
うにしていた。

この従来のマウント装置２は、第２図の拡大斜
視図に示すように、エンジン１側に取付固定し、
その両端部４ａ，４ｂを略コの字形状に折り曲げ
たアツパープレート４と、車体３側に取付固定
し、その端部５ａ，５ｂを略コの字形状に折り曲
げたロアープレート５と、このアツパ及びロアー
プレート４，５間に介在させた弾性体からなる防
振ゴム６とからなつている。

なお、第２図で、符号７，８は、それぞれアツ
パ及びロアープレート４，５に植設されたボルト
で、このボルト７，８は、エンジン１及び車体３
の所定位置に形成されたエンジンの取付孔（図示
せず）内に嵌挿し、このボルト７，８に螺合する
ナツト（図示せず）により固定される。

ところで、上述した従来のマウント装置２にあ
つては、第１図に示すように、エンジン１を搭載
した状態下において、アツパ及びロアープレート
４，５のそれぞれの両端部４ａ，４ｂ，５ａ，５
ｂが互いに係合しあう位置に位置決めされるた
め、エンジン１の矢印Ａ方向及び矢印Ｂ方向の移
動に対しては、前記アツパ及びロアープレート
４，５のそれぞれの両端部４ａ，４ｂ，５ａ，５
ｂが当接し、その移動が規制される。ところが、
第１図に示す図面に対して垂直方向、即ち第２図
に示す矢印Ｃ方向のエンジン１の移動に対して
は、前記アツパ及びロアープレート４，５に、そ
の移動方向に対して係合する部分がなく、この方
向（矢印Ｃ方向）に対するエンジン１の移動の規
制は、前記マウント装置２とは別体にストツパ
（図示せず）をエンジン１と車体３との間に設け、
このストツパにより矢印Ｃ方向のエンジン１の移
動を規制するようにしている。このように従来の
エンジンの車体へのマウントでは、エンジンの移
動を規制するにあたり別体のストツパを設けねば
ならず部品点数が多くなる欠点があつた。

なお、上述した問題点を解決するため、従来で
は実開昭56−155931号公報の第７図乃至第１１図
で示すように、略コの字形状をした上下プレート
からなり、かつプレートの一部を折り曲げ、この
折り曲げ部分を通常のストツパとして作用する方
向と直角な方向のストツパとするように構成し、
これにより上下一対のプレートによつて互いに直
角な方向の移動に対するストツパを兼用させたマ
ウント装置が記載されている。

しかしながら上述した従来のマウント装置によ
ると、通常のストツパとして作用する方向と直角
な方向に作用するストツパが、一方のプレートの
折り曲げた面と、この面に当接する他方のプレー
トの周縁とにより構成されているので、衝突の際
の衝撃力が折り曲げた面の一部に集中し、衝突が
長期間繰り返されると、この折り曲げた面が変形
し、ストツパとしての機能を果たせなくなる虞が
ある。

また、上述した各従来例に記載されたマウント
装置は、上下一対のプレートはそれぞれ異なつた
形状をしているので、これら一対のプレートを製
造する工程も複雑とならざるを得ず、この結果、
マウント装置のコストが高くなる難点がある。

この考案は、上述した事情に鑑み、ストツパと
しての機能が長期間安定して維持され、しかも安
価なマウント装置を提供することを目的とする。

上述した目的を達成するためこの考案のマウン
ト装置では、アツパ及びロアプレートを、該アツ
パ及びロアプレートの端部の一部に相互に交差す
るような舌片と該舌片に沿うリブとを有する同一
形状のプレートにより構成し、これによりエンジ
ンの通常の移動方向に対する直角な方向の移動に
際し、前記舌片のリブを互いに面接触させて、そ
の移動を規制するようにしている。

以下、本考案に係るエンジンのマウント装置の
一実施例を詳述する。

第３図は本考案に係るエンジンのマウント装置
２０を示す斜視図で第２図と同一部分を同一符号
で示す。

第３図で本考案に係るエンジンのマウント装置
２０は、第１図に示すエンジン１側に取付固定す
るアツパープレート２１と、車体３側に取付固定
するロアープレート２２、及びこのロアープレー
ト２２と前記アツパープレート２１との間に固着
した防振ゴム６とからなり、前記ロアー及びアツ
パープレート２２，２１の上面所定位置にはそれ
ぞれボルト７，８が植設されている。

また、前記アツパープレート２１とロアープレ
ート２２は同一形状に形成されており、その端部
２１ａ，２１ｂ，２２ａ，２２ｂがそれぞれ折れ
曲つた略コの字形状をなしており、さらに、その
端部２１ａ，２１ｂ，２２ａ，２２ｂの一部には
それぞれ相互に交差するような舌片２１a′，２１
b′，２２a′，２２b′が突出形成されている。な
お、この舌片２１a′，２１b′，２２a′，２２b′の
先端はそれぞれ相対応するアツパ及びロアープレ
ート２１，２２の端部２１ａ，２１ｂ，２２ａ，
２２ｂを越えた位置まで延設されている。

したがつて、上記構成によれば、第１図に示す
エンジン１の矢印Ａまたは矢印Ｂ方向の移動に対
しては、前記舌片２１a′，２１b′，２２a′，２２
b′とこれに相応するアツパ及びロアープレート２
１，２２の端部２１ａ，２１ｂ，２２ａ，２２ｂ
とが当接し、その移動が規制される。また第１図
に示すエンジン１の図面に対し垂直方向、即ち第
３図におけるエンジン１の矢印Ｃ方向の移動に対
しては、前記舌片２１a′と舌片２２a′、及び舌片
２１b′と舌片２２b′とがそれぞれ当接しその移動
（前記舌片２１a′と舌片２２a′、及び舌片２１
b′と舌片２２b′の接離方向の移動）が規制され
る。

なお、前記舌片２１a′，２１b′，２２a′，２２
b′が当接する際の当接面には該舌片と一体にそれ
ぞれリブ２１a″，２１b″，２２a″，２２b″が形成
され、前記各舌片が当接する際の該舌片の補強と
接触面積の増加が図られている。

以上説明したようにこの考案に係わるマウント
装置では、アツパ及びロアプレートを、該アツパ
及びロアプレートの端部の一部に相互に交差する
ような舌片と該舌片に沿うリブとを有する同一形
状のプレートにより形成し、これにより通常のエ
ンジンの移動方向と直角な方向にエンジンが移動
する際に、前記舌片のリブを互いに面接触させ
て、その移動を規制するようにしたので、マウン
ト装置とは別体にエンジンの移動を規制するスト
ツパを設ける必要がなく、このため部品点数の削
減を図ることが出来る。また、この考案では舌片
補強用のリブを互いに面接触させてエンジンの移
動規制を行うので、互いにリブが衝突する際に働
く力（衝撃力）の分散が図られ、このため長期間
使用してもストツパとして作用する舌片の変形が
極めて少なく、このため長期間安定したストツパ
機能を営むマウント装置を提供することが出来
る。さらに、この考案では、アツパ及びロアープ
レートを同一形状としたため、互いに異なつた形
状を有するアツパ及びロアープレートを製造する
場合に比較して製作工程が極めて少なくなり、こ
のためマウント装置を安価に提供することも出来
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のマウント装置によるエンジンの
取付態様を示す概略図、第２図は従来のマウント
装置を示す拡大斜視図、第３図は本考案に係るマ
ウント装置の拡大斜視図。 ４，２１………アツパープレート、５，２２…
…ロアープレート、６……防振ゴム、２１ａ，２
１ｂ，２２ａ，２２ｂ……端部、２１a′，２１
b′，２２a′，２２b′……舌片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 エンジン側に取り付けて固定し、その両端部を
   折り曲げて略コの字形状にしたアツパープレート
   と、車体側に取り付けて固定し、その両端部を折
   り曲げて略コの字形状にしたロアプレートとをそ
   れぞれ弾性体で連結し、エンジンが移動した際に
   前記アツパ及びロアープレートの両端部を互いに
   当接させてエンジンの移動を規制するようにした
   エンジンのマウント装置において、 前記アツパ及びロアープレートが、端部の対角
   上に舌片に沿つてのびるリブを備えたそれぞれ２
   つの舌片をもつ同一形状のプレートにより形成さ
   れ、前記アツパ及びロアープレートと前記弾性体
   とによりマウント装置を形成したとき、前記舌片
   と前記端部及び前記舌片のリブ同志がそれぞれ対
   向し、かつ、それらがエンジンの移動に際し、そ
   の移動を規制すべく配置されていることを特徴と
   するエンジンのマウント装置。