JPS6242598Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、車両用ステアリングホイールの中
心部に配設されるカバーパツドの内部に衝撃荷重
を吸収するためのエネルギ吸収部材が装着される
エネルギ吸収構造に関するものである。

ステアリングホイールのカバーパツドが意匠美
を考慮して略方形箱形状に形成されるとともに、
このカバーパツドの内部に装着されるエネルギ吸
収部材が製作が容易な断面でコの字状に形成され
るエネルギ吸収構造において、硬質合成樹脂製の
カバーパツドは破損されやすく、これを解消する
ために、カバーパツドを、柔軟性を有するパツド
材によつて形成することが考えられる。しかし、
カバーパツドを、柔軟性を有するパツド材によつ
て形成すると、このカバーパツドに内装されるエ
ネルギ吸収部材の板厚を高めて所定大きさのエネ
ルギ吸収量をもたせる必要性が生じる。エネルギ
吸収部材の板厚を高めると、重量増加をまねくと
ともに、エネルギ吸収部材の製作において、その
曲げ加工がやつかいとなる不具合が生じる。

この考案の目的は、上記の理由に鑑み、カバー
パツドの破損を防止し得、かつ、エネルギ吸収部
材の板厚を高めることなく所定大きさのエネルギ
吸収量が得られるエネルギ吸収構造を提供するこ
とである。

この考案の特徴とするところは、衝撃荷重を受
けてカバーパツド及びエネルギ吸収部材が変形す
るときに、これら両部材が異なる変形をして相互
に干渉するように、エネルギ吸収部材より鋼性が
小さくかつエネルギ吸収性を有するカバー体と、
該カバー体の表面を被覆する柔軟性を有するパツ
ド材とによりカバーパツドが構成されるところに
ある。

以下、この考案の一実施例を図面にしたがつて
説明する。

ステアリンシヤフト１の先端に締付ナツト２に
よつて固定されるボス３にはボスプレート４が固
着されており、ステアリングホイール５のスポー
ク部５ａの基端に固着される支持プレート６はビ
ス７によつてボスプレート４に固定されている。

ステアリングホイール５の中心部に配設されて
ボスプレート４の前方を覆う略方形箱形状のカバ
ーパツド８の内部に装着される薄肉鋼板製のエネ
ルギ吸収部材１１は、カバーパツド８の前板部内
壁面に沿う前板１１ａと、該前板１１ａの上下両
端にプレス等によつて折曲げ加工されかつカバー
パツド８の上下両側板部内壁面に沿う上下の両側
板１１ｂ，１１ｃとを有して断面でコの字状に形
成されている。さらに、エネルギ吸収部材１１の
両側板１１ｂ，１１ｃは断面でくの字状に形成さ
れており、これら両側板１１ｂ，１１ｃ先端に
は、ボスプレート４前面又は支持プレート６前面
に支持される折曲片１１ｄ，１１ｅが形成されて
いる。そして下部の折曲片１１ｅには、支持プレ
ート６にビス１４によつて固定される取付片１５
と、カバーパツド８の内壁面先端にビス１３によ
つて固定される保持片１９とがそれぞれ固着され
る一方、上部の折曲片１１ｄにはボスプレート４
に挾着するクリツプ１６と、カバーパツド８の内
壁面先端にビス１２によつて固定される保持片１
８とがそれぞれ固着されている。

上記エネルギ吸収部材１１は、その前板１１ａ
の面直方向中央部に衝撃荷重が作用したときに、
両側板１１ｂ，１１ｃが第２図中鎖線で示すよう
にそれぞれ外方へ折曲するように構成されるもの
で、第３図に示すように、前板１１ａと両側板１
１ｂ，１１ｃとの折曲部分から、両側板１１ｂ，
１１ｃの中央折曲付近にわたるスリツト状の貫通
孔１７〜１７が両側板１１ｂ，１１ｃにそれぞれ
形成され、これによつて両側板１１ｂ，１１ｃの
前半部が後半部より小さい鋼性に設定されてい
る。さらに、エネルギ吸収部材１１の両側板１１
ｂ，１１ｃ先端の折曲片、１１ｄ，１１ｅの折曲
部はこれら折曲片１１ｄ，１１ｅを支持するボス
プレート４及び支持プレート６の支持面外端から
所定量だけ外方（第２図において上下方向）へオ
フセツトされた位置に設定されている。

上記カバーパツド８は、エネルギ吸収部材１１
より鋼性が小さくかつ所定のエネルギ吸収性を有
する略方形箱形状のカバー体９と、該カバー体９
の表面を被覆する柔軟性を有するパツド材１０と
により構成されている。この実施例ではカバー体
９は半硬質合成樹脂、硬質ゴム等、例えばポリプ
ロピレンより形成される一方、パツド材１０は柔
軟合成樹脂、ゴム等、例えばウレタンより形成さ
れている。

上記の構成において、衝撃荷重がカバーパツド
８に作用すると、その衝撃荷重を受けてカバーパ
ツド８及びエネルギ吸収部材１１は異なる変形を
して相互に干渉する。このためカバーパツド８と
エネルギ吸収部材１１との間には相互の変形を阻
止する力や摩擦力が生じ、この分だけエネルギ吸
収量が増大する。すなわち、この実施例では、断
面でコの字状をなすエネルギ吸収部材１１の両側
板１１ｂ，１１ｃは、その前半部が後半部より小
さい鋼性に設定されるとともに、両側板１１ｂ，
１１ｃ先端の折曲片１１ｄ，１１ｅの折曲部は、
ボスプレート４及び支持プレート６の支持面外端
から外方へオフセツトされた位置に設定される一
方、略方形箱形状をなすカバーパツド８は、その
開口端部が、保持片１８，１９及びビス１２，１
３によつてエネルギ吸収部材１１に対し固定され
る。このため、例えば、カバーパツド８前方の前
直方向中央部に衝撃荷重が作用すると、カバーパ
ツド８は、上記保持片１８，１９によつてその開
口部の拡開が規制される一方、カバーパツドを介
して衝撃荷重を受けるエネルギ吸収部材１１は、
その両側板１１ｂ，１１ｃの前半部が外方へ向け
てふくらむと同時に、両側板１１ｂ，１１ｃ先端
の折曲片１１ｄ，１１ｅは後方（第２図では右
方）へたわみ、これによつて両側板１１ｂ，１１
ｃは、第２図中鎖線で示すように、カバーパツド
８の内壁面を押し広げるようにして外方へ向けて
折曲する。この結果、エネルギ吸収部材１１とカ
バーパツド８との間には相互の変形を阻止する力
や摩擦力が生じる。これを第３図にしたがつて説
明すると、カバーパツド８単体としてのエネルギ
吸収特性は、図中、二点鎖線で示す曲線Ａをえが
き、エネルギ吸収部材１１単体としてのエネルギ
吸収特性は、図中、一点鎖線で示す曲線Ｂをえが
き、これらＡ，Ｂを加えたものが図中、破線で示
す曲線Ｃをえがく。これに対し、この実施例にお
いては、カバーパツド８とエネルギ吸収部材１１
との間に、相互の変形を阻止する力や摩擦力を生
じせしめることで、そのエネルギ吸収特性は、曲
線Ｃより大きいエネルギ吸収特性を有する、図
中、実線で示す曲線Ｄをえがく。

すなわち、この考案は、ステアリングホイール
のカバーパツドが意匠美を考慮して略方形箱形状
に形成されるとともに、このカバーパツドの内壁
面に沿つて装着されるエネルギ吸収部材が製作が
容易な断面でコの字状に形成されるエネルギ吸収
構造であつて、特に、カバーパツドは、エネルギ
吸収部材より鋼性が小さくかつエネルギ吸収性を
有するカバー体の表面が柔軟性を有するパツド材
によつて被覆されてなるものである。

したがつて、カバーパツドのパツド材が有する
柔軟性によつて、カバーパツドの破損を防止し、
安全性を図ることができる一方、カバーパツドの
カバー体が有する鋼性によつて、カバー体とエネ
ルギ吸収部材との間に相互の変形を阻止する力や
摩擦力を生じせしめることができて、エネルギ吸
収部材の板厚を高めることなく、所定大きさのエ
ネルギ吸収量が得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図はステアリングホイールを示す正面図、第２図
は第１図の−線断面図、第３図はエネルギ吸
収部材を示す斜視図、第４図はエネルギ吸収特性
を示す説明図である。 １……ステアリングシヤフト、３……ボス、４
……ボスプレート、５……ステアリングホイー
ル、８……カバーパツド、９……カバー体、１０
……パツド材、１１……エネルギ吸収部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ステアリングシヤフト先端のボス部に取りつけ
   られるステアリングホイールにおいて、ステアリ
   ングホイールの中心部に配設されて前記ボス部の
   前方を覆うカバーパツドは略方形箱形状に形成さ
   れる一方、カバーパツドの内部に装着されるエネ
   ルギ吸収部材はカバーパツドの内壁面に沿つて断
   面でコの字状に形成され、さらに、前記カバーパ
   ツドは、エネルギ吸収部材より鋼性が小さく、か
   つエネルギ吸収性を有するカバー体と、該カバー
   体の表面を被覆する柔軟性を有するパツド材とに
   より構成されたことを特徴とするエネルギ吸収構
   造。