JPH0110618Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、時計の文字板固定構造に関するもの
である。

携帯時計の様な小型時計の文字板固定構造は、
文字板の足をねじで固定、文字板の足を偏心ピン
で固定するという周知の構造が従来は大多数を占
めてきた。近年になると、これら従来の構造の他
に、部品点数が少なくて済む、文字板取り付けが
容易であるという点から、プラスチツク部材に文
字板の足を締代で押し込むという構造が登場する
様になつてきた。以下、第１図の実施例に沿つて
現在実用されているプラスチツク部材を用いた文
字板固定構造を説明する。１は文字板、２はプラ
スチツク部材、３は時計体のベースとなる基板、
４はプラスチツク部材２を押えて時計体に固定す
る押え部材、５はプラスチツク部材２及び押え部
材４をねじ固定する止めねじ、６はねじピン、１
４は周知の回路を構成する配線基板、１２は周知
の電池マイナス端子を表わす。文字板１の取り付
けは、図の下側から文字板足１ａをプラスチツク
部材２の穴に押し込んで行ない、文字板足部１ａ
とプラスチツク部材２は締め代となつている。

文字板１を押し込む時は、平板の上にムーブメ
ントを文字板側が上になる様に置き、文字板１を
押して押し込む訳だが、実施例の場合、文字板押
し込みの力を押え部材４を介して直接受けられる
様に、止めねじ５を下げるなどして押え部材４の
上面がムーブメントの総厚となる様に配慮してあ
る。しかし、部品のバラツキを考えると、止めね
じ５などの他の部分が押え部材４の上面より飛び
出す事があり、平板で押え部材４の上面を受けら
れなくなる。この場合には、文字板押し込み力の
受けは、押え部材４の剛性だけで行なうことにな
り、押え部材４はある程度厚く、止めねじ５は文
字板足部１ａ近傍に配置する必要があつた。

又、押え部材４の曲げ高さ、配線基板１４の厚
み、電池マイナス端子１２の板厚、プラスチツク
部材２の高さ等の寸度のバラツキにより、プラス
チツク部材２の２ａ位置の様に、押え部材４との
間にスキマが発生することがある。この場合、止
めねじ５が文字板足１ａと若干離れていると、文
字板１を押し込んだ際プラスチツク部材２の２ａ
部が押え部材４に当たるまで変形し、文字板１の
押し込み力を取り去ると、初期の状態に復帰する
ため、この変形量に相当するだけ文字板１が浮
き、針スレの原因となる。

しかるに現在は、時計の小型化、薄型化が著し
く、押え部材も薄くなり、止めねじもレイアウト
上文字板足近傍に配置することは困難となつてい
る。本考案は、これら問題点を解決し、小型、薄
型時計に適した文字板固定構造を提供することを
目的とするものである。

本考案による時計の文字板固定構造は、基板に
支持され１個以上の足部を備えた文字板と、前記
文字板の足部を締代で係止するプラスチツク部材
と、前記プラスチツク部材と重ねて配置される押
え部材と、前記基板と前記プラスチツク部材及び
前記押え部材とを一体に係止する固定手段とを有
してなり、前記プラスチツク部材は少なくとも前
記文字板の足部の係止位置と平面的に重なる位置
で前記固定手段の上面及び前記押え部材の上面よ
り前記文字板と反対側に突出する突出部を形成さ
せてなることを特徴とする時計の文字板固定構
造。以下、水晶時計を例にした実施例に沿つて説
明する。

第２図は、本考案実施例平面図、第３図は同じ
く断面図を表わす。

第２図、第３図において１は文字板、３は基
板、５は止めねじ、６はねじピン、７は電池、８
はプラスチツク部材、９は押え部材の回路押え
板、１０は時間標準源となる周知の水晶ユニツ
ト、１４は配線基板、１１は配線基板パターンと
接触することにより論理的に歩度調整する周知の
緩急スイツチレバー、１２は電池７の陰極とばね
接触する周知の電池マイナス端子、１３は周知の
輪列受を表わす。プラスチツク部材８は、回路押
え板９により基板３へ押えつけられて固定されて
いる。回路押え板９は、止めねじ５部が一段低く
絞り下げられているので、止めねじ５の上面と回
路押え板９の上面はほぼ一致している。又、第２
図、第３図に記載されていない他の部分に、これ
にほぼ一致か、低くなつている。文字板１の固定
は、従来実施例と同様に、足部１ａとプラスチツ
ク部材が締代で係合している。プラスチツク部材
８の文字板足部１ａ位置近傍の突出部８ａは、回
路押え板９の上面より若干突出している。水晶ユ
ニツト１０の固定は、プラスチツク部材８に変形
凹部を設け、回路押え板９で水晶ユニツト１０を
サンドイツチする周知の構造（図面には記載して
ない）を採用している。

文字板１を取り付ける時は、従来通りムーブメ
ントの文字板側を上にして平板の上に置いて行な
い、ムーブメントは、プラスチツク部材８の突出
部８ａが最も高いために最初にあたる事になる。
このため、回路押え板９の絞り高さ、配線基板１
４、電池マイナス端子１２、プラスチツク部材８
の厚みのバラツキがあつたとしても確実にプラス
チツク部８を受けられ、針スキの発生原因となる
文字板の浮きもなくなり、回路押え板９も薄くな
り時計の薄型化が図れ、止めねじ５の位置も自由
にレイアウトすることが可能となる。又、近年自
動化が進んでいるが、ムーブメントの高さが、プ
ラスチツク部材８の厚みだけで決まるため、文字
板押し込み高さが一定して安定した文字板取り付
けが可能となる。

尚、前記実施例の場合、回路押え板９の文字板
足部１ａ位置付近を切り欠き、プラスチツク部材
を突出させていたが、文字板足位置によつては切
り欠きでなく、穴にしても同様である。

又、プラスチツク部材８を回路押え板９より突
出させているが、文字板取り付けの際、専用の機
械台を使用して、この機械台に前記回路押え板の
切り欠き部を通してプラスチツク部材を受ける様
な突出部を設ければ、同様の効果を得る事も可能
である。

又、プラスチツク部材８の文字板足部１ａと係
合する穴を貫通させておくと、ムーブメントの表
側（回路押え板側）から文字板足部１ａを押す事
ができ、文字板外しが容易にできる。

前記実施例は、水晶時計について説明したが、
これにこだわらず、メカ式、テンプ式電池時計に
も採用することが可能である。

以上の様に、本考案は文字板の足部が係止され
る位置と平面的に重なる位置で固定手段の上面及
び押え部材の上面より文字板と反対側に突出する
突出部をプラスチツク部材に形成させたことによ
つて文字板をプラスチツク部材に係止させる時に
はプラスチツク部材の突出部が治具等の面にあた
り文字板の足部をプラスチツク部材に基板と文字
板との間に浮きのないように係止させることがで
きるし、文字板の取付位置が一定になり安定した
文字板の取付けができる。

また、押え部材も文字板の取付けによる力を直
接受けないので強度を必要とせず薄くすることが
できるし、文字板の足位置によつて固定手段の位
置が規制されることもなくなり時計の小型、薄型
化がはかられるという大きな効果をもたらすもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来実施例の断面図、第２図は本考案
実施例の平面図、第３図は同じく断面図を表わ
す。 １……文字板、２……プラスチツク部材（従
来）、３……基板、４……押え部材、５……止め
ねじ、６……ねじピン、７……電池、８……プラ
スチツク部材（本考案）、９……回路押え板、１
０……水晶ユニツト、１１……緩急スイツチレバ
ー、１２……電池マイナス端子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基板３に支持され１個以上の足部１ａを備えた
   文字板１と、前記文字板の足部を締代で係止する
   プラスチツク部材８と、前記プラスチツク部材と
   重ねて配置される押え部材９と、前記基板と前記
   プラスチツク部材及び前記押え部材とを一体に係
   止する固定手段とを有してなり、前記プラスチツ
   ク部材８は少なくとも前記文字板の足部１ａの係
   止位置と平面的に重なる位置で前記固定手段の上
   面及び前記押え部材の上面より前記文字板と反対
   側に突出する突出部８ａを形成させてなることを
   特徴とする時計の文字板固定構造。