JP7846961B2 - 水中油型乳化食品 - Google Patents
水中油型乳化食品Info
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Description
上記課題に対して、特許文献1では、酸性水中油型乳化組成物において、特定構成のリン脂質混合物を油相中に特定量含有させることにより、油脂量を低減した場合にも高油脂量の場合と同様安定性に優れた高粘度の乳化組成物が得られることが開示されている。特許文献1には、さらに、酸性水中油型乳化組成物の油相中に特定量のジグリセリドを含有させることにより、増粘効果が更に増大し、油脂量をより低減しても、高油脂量の乳化物と同等以上の物性を維持できることが記載されている。
特許文献2では、特許文献1の構成において、増粘剤を用いることなく油脂を低減し、高粘度の酸性水中油型乳化物を得ることを課題としている。そして、特定範囲の固体脂含有量(SFC)の値を持つ油相を用いることにより、増粘剤を使用した場合の糊っぽさの増大による食感の低下がなく、良好な食感を有する酸性水中油型乳化組成物が得られることが記載されている。
また、従来の多糖類からなる増粘剤を使用した食品では、ゲル化による食感や乳化安定性の低下が問題となっている。
そこで、本発明では、油脂含有量が少なくても、広い温度範囲でゲル化することなく保形性を維持でき、優れた乳化安定性及び食感を実現できる水中油型乳化食品を提供することを目的とする。
キサンタンガム及びグアーガムの含有量の和は、前記水中油型乳化食品の総質量の0.3%~3%で、かつ上記水中油型乳化食品中に含まれる増粘高分子水溶性食物繊維の総質量の90%以上であることが好ましい。
また、キサンタンガムとグアーガムの質量比は、50:50~5:95であることが好ましい。
上記水中油型乳化食品は、調味料であることが好ましい。
本発明の調味料等の食品は、加温時にも保形性を維持できるため、加熱調理した食材に本発明の調味料を使用した場合や盛り付け段階で本発明の調味料を使用した弁当や総菜等の食材を加熱調理した場合にも、調味料が垂れて包装資材から漏れる、もしくは食材に浸み込むことなく好適に用いることができる。
さらに、本発明の調味料等の食品は、広い温度範囲において、ゲル化することなく保形性を維持できるため、使用温度に関わらず、優れた食感と乳化安定性を維持でき、かつ容器から容易に絞り出すことができる。
本発明の水中油型乳化食品は、水、油脂、乳化剤、キサンタンガム及びグアーガムを含有する。上記成分を含む本発明の液状調味料等の液状食品は、油脂量が少なくても加温時にも保形性を維持し、かつ広い温度範囲で優れた食感及び乳化安定性を実現することができる。
以下に本発明の水中油型乳化食品について説明する。
以下にそれぞれの成分について説明する。
(A)キサンタンガム
本発明の水中油型乳化食品は、増粘高分子水溶性食物繊維であるキサンタンガムを含む。キサンタンガムは、トウモロコシ等を原料とするデンプンを微生物(Xanthomonas campestris)が菌体外に産出することにより得られる水溶性の天然多糖類である。一次構造は、D-グルコースがβ-1,4結合した主鎖及び該主鎖のアンヒドログルコースに結合するD-マンノース、D-グルクロン酸からなる側鎖を有する。なお、側鎖は、主鎖のD-グルコース残基1つおきに、D-マンノース2分子とD-グルクロン酸が結合している。また、側鎖の末端にあるD-マンノースは、ピルビン酸塩になっている場合があり、主鎖に結合したD-マンノースのC-6位はアセチル化されている場合がある。上記多糖類の分子量は、200万ないし5000万程度のものが知られている。本発明においては、キサンタンガムの分子量は特に限定されない。
本発明の水中油型乳化食品は、グアーガム(学名 Cyamopsis tetragonoloba)を含む。グアーガムは、ガラクトマンナンの1種であり、パキスタンやインドで栽培されている一年生豆科植物の種子から得られる多糖類である。
ガラクトマンナンは、主鎖がマンノース、側鎖がガラクトースで構成される水溶性高分子であり、ガラクトースの側鎖がついた部分と側鎖がついていないスムース領域を有する。キサンタンガムとガラクトマンナンを混合すると、キサンタンガムとガラクトマンナンのスムース領域が水素結合して、架橋することにより、粘度上昇やゲル化が生じると考えられている。
グアーガムは、主鎖のマンノースと側鎖のガラクトースの比率が2:1である。ガラクトマンナンとしては、その他に上記比率が3:1及び4:1であるタラガム及びローカストビーンガム等が知られている。
本発明では、ガラクトマンナンのうちグアーガムを選択することにより、食品の油脂含有量や温度に依存せず、優れた保形性、食感及び乳化安定性を実現することが可能となった。これは、キサンタンガムとグアーガムとの相互作用により最適な網目(架橋)構造が形成されることによると考えられる。
本発明では、市販のグアーガムを用いることもできる。市販品としては、PROCOL U(Habgen Guargums Limited社製)、VIDOGUM GHK 175(ユニテックフーズ株式会社製)等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化食品中のキサンタンガム及びグアーガムの含有量の和は、水中油型乳化食品の総質量の0.3%~3%であることが好ましく、1%~2%であることがより好ましい。
また、本発明の水中油型乳化食品中に含まれるキサンタンガムとグアーガムの総量は、水中油型乳化食品中に含まれる増粘高分子水溶性食物繊維の総質量の90%以上であることが好ましい。水中油型乳化食品中に含まれるキサンタンガムとグアーガムの総量は、水中油型乳化食品中に含まれる増粘高分子水溶性食物繊維の総質量の95%以上がより好ましく、97%以上とすることがさらに好ましく、水中油型乳化食品中の増粘高分子水溶性食物繊維は、キサンタンガムとグアーガムのみであることが最も好ましい。
キサンタンガム及びグアーガムの総量を上記範囲にすることにより、キサンタンガム及びグアーガムとの間でより好適な網目構造が形成され、水中油型乳化食品中に添加する組成物の油脂量や温度に依存することなく、より優れた保形性、食感及び乳化安定性を実現することができる。
なお、増粘高分子水溶性食物繊維とは、多糖類の中でも増粘作用を有する高分子の水溶性食物繊維のことである。増粘高分子水溶性食物繊維としては、キサンタンガム及びグアーガムの他、ローカストビーンガム、トラガントガム、カラギーナン、ジュランガム、プルラン、ペクチン、タマリンドシードガム、カルボキシメチルセルロース、フコダイン、アルギン酸、カラヤガム、サイリウムシードガム、タラガム等が挙げられる。
キサンタンガムとグアーガムを粘度調整剤として添加する場合も、水中油型乳化食品中のキサンタンガム及びグアーガムの含有量の和は、水中油型乳化食品の総質量の0.3%~3%とすることが好ましく、1%~2%とすることがより好ましい。キサンタンガム及びグアーガムの総量を上記範囲にすることにより、添加する組成物の油脂量や温度に依存することなく、より優れた保形性、食感及び乳化安定性を実現することができる。
また、粘度調整剤として添加する場合も、キサンタンガム:グアーガムの質量比は、50:50~5:95の範囲とするのが好ましく、19:81~10:90の範囲とすることがより好ましい。キサンタンガムとグアーガムの質量比を上記範囲とすることにより、キサンタンガムとグアーガムの架橋により水相中により好適な網目構造が形成され、網目構造中に油滴がより良い状態で取り込まれることにより、さらに優れた保形性、均一分散性及び乳化安定性が得られる。
また、粘度調整剤は造粒により製造することもできる。粘度調整剤を粒子レベルで均一に混合することにより、調味料等の食品に、より優れた特性を付与することができる。
また、上記粘度調整剤を用いた調味料等は、室温又は冷却した状態でも、ゲル化することなく保形性を維持できるため、広い温度範囲で、容器から絞り出しやすく、優れた食感と乳化安定性を維持することができる。
本発明が適用される具体的な食品としては、たれ、ソース、ドレッシング類等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化食品の油脂含有量は特に限定されないが、本発明は油脂量が少なくても優れた保形性を有することを特徴とする。本発明の水中油型乳化食品の油脂の含有量は、総質量の10%~50%であることが好ましく、10質量%~49質量%であることがより好ましく、20質量%~49質量%であることがさらに好ましい。
本発明の水中油型乳化食品は、水中に油脂を乳化分散するための乳化剤を含有する。乳化剤としては油脂をO/W型(水中油型)乳化できるものであれば特に制限されず、通常使用される乳化剤を用いることができる。具体的には、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が好ましい。上記乳化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、有機酸モノグリセリドとしては、例えば、クエン酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化食品は、水を含有する。本発明の水中油型乳化食品では、上述のように水相中に、キサンタンガムとグアーガムの架橋により構築された網目構造が存在し、その網目構造中に油滴が取り込まれた構造を有すると考えられる。本発明の水中油型乳化食品中の水分含有量は、上記構造を形成できれば特に限定されないが、水中油型乳化食品の総質量の50%~80%であることが好ましく、51質量%~70質量%であることがより好ましい。
本発明の水中油型乳化食品の製造方法は、上記成分を均一に乳化分散できる方法であれば、特に限定されず、既存の方法により調製することができる。例えば、乳化剤を溶解した水溶液に、油脂を添加して撹拌することにより乳化液を調製し、乳化液にキサンタンガム及びグアーガムを添加後、加熱混合して水中油型乳化食品を得ることができる。また、水に全ての成分を添加して、加熱混合することにより調製することもできる。
上記混合工程は、室温又は加熱条件下で行うことができる。また、混合には、ホモミキサー、コロイドミル等の乳化装置を用いることができる。
(A)キサンタンガム
(a)キサンタンガム:ネオソフトXR、太陽化学株式会社製
(B)ガラクトマンナン
(b1)グアーガム:PROCOL U、Habgen Guargums Limited社製
(b2)タラガム:MT1000、三菱ケミカルフーズ株式会社製
(b3)ローカストビーンガム:CESALPINIA L.B.G LN-1/200、Tate & Lyle社製
<水中油型乳化組成物の構成成分>
(C)油脂
大豆油:食用大豆油、株式会社J-オイルミルズ製
(D)乳化剤
ポリグリセリン脂肪酸エステル:サンソフトQ-18SW、太陽化学株式会社製
(E)水:イオン交換水
表1に示す配合割合で、キサンタンガム及びガラクトマンナンを量り取り、アイボーイ広口びん(250ml)に投入し、ハンドシェイクにより5分間混合し、実施例1、比較例5及び比較例6の粘度調整剤を得た。なお、比較例1~比較例4の粘度調整剤は、上記市販品をそのまま用いた。
イオン交換水80質量部中に、ポリグリセリン脂肪酸エステル1質量部を添加して溶解した後、大豆油20質量部を添加して撹拌した。得られた水中油型乳化組成物に、表1に示す粘度調整剤(実施例1、比較例1~6)をそれぞれ合計で1質量部添加後、95℃で30分間撹拌して水中油型乳化組成物を得た。
以下の基準で各水中油型乳化組成物の室温における保形性及び食感を評価した結果を表1に示す。
また、同様の方法により、表2に示す質量比の各種粘度調整剤、大豆油、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び水を用いて水中油型乳化組成物を得た。
各水中油型乳化組成物の室温及び60℃における保形性を以下の基準で評価した結果を表2に示す。
◎:立てた角が崩れない
〇:一度角が立つが、その後ゆるやかに角の先が曲がる
×:角が立たない
-:ゲル化する
<食感評価基準>
〇:口当たりがなめらか
×:ぼぞぼぞする(ゼリーのように崩れる)
上記結果より、キサンタンガムとグアーガムを組み合わせて用いることにより、油脂含量が20質量%と低い組成でも優れた保形性と食感を有する組成物が得られることが確認された。これは、キサンタンガムとグアーガムとの間の架橋により水相中に形成された網目構造が、キサンタンガムとローカストビーンガム及びキサンタンガムとタラガムとの間で形成される網目構造より好適に作用しているためと考えられる。
また、比較例5及び比較例6の粘度調整剤を用いた組成物では、いずれの油脂含有量でもゲル化が生じた。表中には記載していないが、ゲル化が生じたいずれの組成物も口内でぼそぼそして優れた食感は得られなかった。
これに対して、実施例1の粘度調整剤を用いた組成物では、大豆油の比率を20に低減しても粘度の低下が抑えられ、良好な保形性を示すことが確認されるとともに優れた食感も得られた。
以上の結果より、油脂、乳化剤、水を含有する水中油型乳化組成物に、キサンタンガムとグアーガムを添加することにより、油脂含有量を減少させてもより広い温度範囲で、優れた保形性と食感が得られることがわかった。
なお、本実施例においては、大豆油の比率は20が最低値となっているが、キサンタンガムとグアーガムの比率及び添加量等を最適化することにより、大豆油の比率を10としても優れた保形性と食感が得られることが確認されている。
また、キサンタンガム及びグアーガムを用いた本発明の組成物では、その他の増粘高分子水溶性食物繊維を用いた比較例に比べて、長期にわたり優れた乳化安定性が維持されることも確認された。これは、キサンタンガムとグアーガムとの間で形成された網目構造により好適な状態で油滴が取り込まれていることによると考えられる。
Claims (1)
- 水、油脂、乳化剤、キサンタンガム及びグアーガムを含有する水中油型乳化食品であって、
前記乳化剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルであり、
水と油脂の総質量に占める油脂の質量は20%~30%であり、
キサンタンガムとグアーガムの総質量に占めるグアーガムの質量は80%~90%の範囲であり、
増粘高分子水溶性食物繊維の総質量に占めるキサンタンガム及びグアーガムの和が90%以上であり、
水中油型乳化食品中のキサンタンガム及びグアーガムの含有量の和は、水中油型乳化食品の総質量の0.3%~3%である、
たれ、ソース又はドレッシングである、
ことを特徴とする水中油型乳化食品。
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