JP4087683B2 - ゴマ含有調味料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴマ成分含有調味料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のサラダ嗜好の傾向等によりドレッシングなど各種調味料が市場に出回っている。中でもゴマ成分を含有したゴマ含有調味料は、ゴマ独特の風味が好まれ、和風調味料の代表的なものとなっており、乳化液状ドレッシング様でガラス瓶やペットボトル等の容器に入れて供給され、生野菜、ゆで野菜、湯通しした肉、魚介類のフライなどにかけて食されている。
しかしながら従来のゴマ含有調味料は、保存中にゴマ成分を含む層と容器下部にたまった調味液を含む水溶液の層に分離する、いわゆる相分離が生じやすく安定性が悪かった。またゴマ成分を含む層がゲル化してゴマ含有調味料が容器の口から出にくくなるなど、その商品価値が著しく損なわれる場合があった。
【0003】
これらの解決方法としてキサンタンガム等の増粘多糖類を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)が、これらの方法を用いても、長期間保存した場合は、層分離やゲル化が生じることを完全に防止することはできなかった。例えば、キサンタンガムの量が少量であれば、ゴマ成分の分離を抑制しきれずに層分離を起こし、また、比較的多量のキサンタンガムを配合した場合、層分離は抑えられても、ゴマ含有調味料全体がゲル化して容器の口から容易に流れ出ない問題が起こっていた。そこで、長期間保存しても、層分離、ゲル化のいずれも発生しないゴマ含有調味料が求められていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−16161号公報
【特許文献2】
特開平11−290036号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、長期間保存しても層分離やゲル化が発生しない、保存安定性に優れ、かつ低粘度で容器から容易にそそぎだすことができるゴマ含有調味料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、こうした現状に鑑み、上記課題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、安定剤としてセルロース系安定剤とキサンタンガムを併用することで、長期間保存してもゴマ成分の分離やゲル化の生じない保存安定性に優れたゴマ含有調味料が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、上記課題を解決するためにセルロース系安定剤とキサンタンガムを配合してなることを特徴とするゴマ含有調味料である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明に使用されるゴマ含有調味料とは、ゴマ成分を含有した水中油滴型の乳化液状ドレッシング様の食品であり、一般的には、ゴマ成分、食用油脂、卵黄又は全卵、及び酸味料からなり、該成分に調味料、香辛料、デンプン、増粘剤、着色料、香料等の食品素材や食品添加物を適宜配合して得られる。卵黄又は全卵の代わりに、食品用乳化剤を用いてもよく、あるいは、これらを併用しても良い。
【0008】
本発明のゴマ成分とは、ゴマ種子をミル等で流動性の認められる程度まですり潰したペースト状のもののことである。これに煎りゴマや煎りゴマを擦ったものを加えたものでも良い。ゴマの種類等は特に制限されない。
ゴマ成分の配合量は、たとえば、調味料の全体量に対して、1〜30質量%範囲で用いることが出来る。1質量%未満では、ゴマ特有の風味に乏しくゴマ含有調味料として物足りなさを感じる。30質量%を超えるとゴマ含有調味料の粘度が増大して、乳化液状ドレッシング様を呈さなくなってしまい容器の口から流れ出にくくなる。好ましくは2〜25質量%である。
【0009】
本発明に使用されるセルロース系安定剤とは、実質的にセルロース系素材単独、およびセルロース系素材と親水性高分子からなるセルロース複合体をさす。
セルロース系素材とは、木材パルプ、精製リンター、再生セルロース、微生物由来セルロース、穀物もしくは果実由来の食物繊維等のセルロース性物質を原料とする微結晶セルロース粒子、あるいは微小繊維状セルロースであり、水中に分散した時に安定的に懸濁するために、微結晶セルロース粒子、あるいは微小繊維状セルロースが、乾燥してセルロースが凝集しないように含水物となっているものである。例えば、特開昭56−10081号公報、特開平3−163135号公報等で開示された物質を使用することが出来る。
【0010】
また、セルロース複合体とは、微結晶セルロース粒子と親水性高分子からなる粉体であり、高速攪拌機等を用いて水中で分散した時、セルロース複合体粒子が崩壊した結果、複合体を構成するセルロース系素材がバラバラに解離し水中で安定的に懸濁する性質を示す物質である。例えば、パルプを加水分解し磨砕して得られた微結晶セルロース粒子を親水性高分子と均一に混合して均質なスラリーとし、これを乾燥し必要に応じて粉砕することによって得られるものである。またパルプの加水分解物と親水性高分子を同時に混合磨砕して、これを乾燥し必要に応じて粉砕することによっても得られる。例えば、特公昭40−12174号公報、特公昭57−14771号公報、特開平7−268129号公報、特開平11−178517号公報等で開示された物質を使用することが出来る。
【0011】
前述の親水性高分子とは、食品に用いられる水と親和性の高い高分子を意味する。具体的に例示すると、ローカストビーンガム、グアーガム、カゼイン及びカゼインナトリウム、タマリンドシードガム、クインスシードガム、カラヤガム、キチン、キトサン、アラビアガム、トラガントガム、ガッティーガム、アラビノガラクタン、寒天、カラギーナン、アルギン酸及びその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ファーセレラン、ペクチン、タラガム、アーモンドガム、アエロモナスガム、アゾトバクター・ビネランジーガム、アマシードガム、ウェランガム、サイリウムシードガム、キサンタンガム、カードラン、プルラン、デキストラン、ジェランガム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、水溶性大豆多糖類、加水分解澱粉、デキストリン類等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、また複数を選択しても良い。
【0012】
本発明で使用されるセルロース複合体は、実質的に微結晶セルロース粒子20〜98質量%と親水性高分子2〜80質量%からなる。微結晶セルロース粒子が20質量%未満では、セルロース系素材含量の低下に伴い安定剤としての性能が低下することがある。微結晶セルロース粒子が98質量%を超えた場合(親水性高分子の含有量が2質量%未満の場合)は、乾燥工程における微結晶セルロース粒子同士の水素結合に基づく再凝集を防ぐことが困難となる。親水性高分子が80質量%を超えた場合は、親水性高分子による必要以上の粘度の上昇が起こり、ゴマ含有調味料が乳化液状ドレッシング様を呈さなくなってしまう。親水性高分子の好ましい含有量としては、5〜50質量%である。セルロース複合体の機能を妨げない程度に、他の親水性物質や油脂類その他食品に使用できる添加成分を便宜配合することは自由である。この添加成分としては、例えば、サラダ油、マルチトール、ソルビット等の糖アルコール類が挙げられる。
【0013】
本発明におけるキサンタンガムは、Xanthomonas・campestrisから生産される多糖類で、主鎖はβ−1,4グルコースからなり、側鎖は主鎖のグルコース残基1つおきにマンノース2分子とグルクロン酸が結合しているもので、食品添加物として用いられるものである。例としては、三栄源エフエフアイ(株)製「ビストップD−3000」を挙げることが出る。
【0014】
本発明における加水分解澱粉とは、酸や酵素等をもちいて澱粉を加水分解し、粉末化したものであり、食品の増量剤や増粘剤としてもちいられるものである。本発明のゴマ含有調味料におけるセルロース系安定剤およびキサンタンガムの含有量は、調味料が乳化液状ドレッシング様を呈する範囲で適宜調整できるが、セルロース系安定剤の場合は、固形分換算で0.1〜5質量%が好ましい。より好ましくは0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜2質量%である。また、キサンタンガムの場合、好ましくは、0.01〜0.20質量%であり、より好ましくは0.02〜0.18質量%、さらに好ましくは0.03〜0.15質量%である。なお、ここでいう、キサンタンガム含有量には、前述のセルロース複合体に親水性高分子として配合されているキサンタンガムの含有量は含まれない。
【0015】
本発明でもちいられる食用油脂としては、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ゴマ油、ヤシ油、パーム油等の植物性油脂、牛脂、ラード等の動物性油脂及びこれらの水添脂、これらの分別脂、これらのエステル交換脂等が単独又は二種以上混合して使用される。
上記、食用油脂の配合量は、10〜60質量%の範囲で用いることが好ましい。食用油脂は調味料の風味に関係する重要な成分であり、10質量%未満では、調味料としての風味が乏しくなることがあり、60質量%を超えるとゴマ含有調味料の粘度が増大して、乳化液状ドレッシング様を呈さなくなってしまい容器の口から流れ出にくくなることがある。より好ましくは15〜55質量%である。
【0016】
本発明でもちいられる酸味料は、食酢、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、柑橘果汁等であり、これらは、単独又は二種以上を組み合わせて使用される。
本発明でもちいられる卵黄や全卵およびまたは食品用乳化剤、酸味料、調味料、香辛料、デンプン、増粘剤、着色料、香料等の食品素材および食品添加物の配合量は、乳化液状ドレッシング様の物性、食感及び風味を有する範囲で適宜選択されるものである。
【0017】
本発明のゴマ含有調味料の調製方法は、上記説明した各種成分を原料として、一般的な乳化液状ドレッシングの調製方法を採れば良い。このとき、予め、セルロース系安定剤を水もしくは酸味料水溶液に分散しても良い。以下に述べる方法で調整できるが、これに限定されるものではない。水、調味料、酸味料、ゴマ成分、卵黄などセルロース系安定剤およびキサンタンガム、食用油脂以外の原料を撹拌層に投入し、ホモミクサー等の攪拌機をもちいて均一な状態となるまで撹拌する。次いで、セルロース系安定剤およびキサンタンガムを投入し更に撹拌する。最後に食用油脂を投入し撹拌して水中油型の乳化液状ドレッシング様ゴマ含有調味料を調整する。撹拌は減圧下で行うことも可能である。殺菌の目的で加熱しても良い。
本発明のゴマ含有調味料は、生野菜、パスタ、肉や魚介類のフライなどに調味料としてかけて食される。
【0018】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、本実施例および比較例で用いた各種物性測定法を次に示す。
<セルロース系安定剤の水分散粒子の平均粒径>
(1) セルロース系安定剤を固形分で3.0g量り取り、蒸留水を入れたエー スホモジナイザー(日本精機(株)製AM−T型)に入れ、全量を300gとする。
(2) 15000rpmで5分間撹拌分散する。
(3) レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製LA−91 0型)を用いて、超音波分散動作時間1分、相対屈折率1.20で粒度分布を測定し、得られる積算体積50%の粒径を平均粒径とする。
【0019】
<ゴマ含有調味料の粘度>
30℃雰囲気下で1日静置後、B形回転粘度計((株)東京計器製BL型)を用いて、品温30℃、ローターナンバー3、回転数60rpmの条件下でローターを30秒間回転させた時の値を測定した。
<ゴマ含有調味料の層分離の有無>
30℃の雰囲気下で30日間静置保存したのち、容器に入ったゴマ含有調味料を目視で観察した。層分離したものは下層部分の割合を記載した。
<ゴマ含有調味料のゲル化の有無>
30℃雰囲気下で30日静置後、容器を傾けた時のゴマ含有調味料の流動状態を目視で観察した。
【0020】
[実施例1]
市販溶解パルプを細断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解してセルロースのウェットケークを得た。この加水分解セルロースに水を加えて、固形分10質量%の水分散液を調製した。このセルロース分散液を媒体攪拌湿式粉砕装置で、媒体として直径1mmφのジルコニアビーズを用いて、攪拌翼回転数1800rpm、セルロース分散液の供給量0.4L毎分の条件にて2回通過で粉砕処理を行い、固形分10質量%のセルロース系安定剤を含むペースト状物を得た。このペースト状物を水に分散させたときの分散粒子の平均粒径は3.3μmであった。次に、水65.5g、醤油150g、液糖145g、食酢65g、ゴマ成分(市販練りゴマ)50g、20%加糖殺菌凍結卵黄8gを加えて、TKホモミクサ(MARK2型:特殊機化工業(株)製)により6000rpmで5分間攪拌した。続いて撹拌しながら、固形分10質量%のセルロース系安定剤を含むペースト状物100g(固形分10g)、キサンタンガム1.5g、食塩15gを加え、更に5分間攪拌した。更に続いて攪拌しながら、コーンサラダ油380gとゴマ油20gを滴下し、更に5分間攪拌し、95℃湯浴中にてプロペラ攪拌しながら90℃になるまで加温した後、220mlのガラス容器に200g充填し、流水中で室温まで冷却して水中油型の乳化液状ドレッシング様のゴマ含有調味料を得た。この時のゴマ含有調味料のpHは4.0であった。得られた調味料の物性測定結果を表1に示す。
【0021】
[実施例2]
実施例1の加水分解セルロースのウェットケークと、親水性高分子としてキサンタンガムおよび加水分解澱粉の比率が75/5/20となるように配合して、ニーダーにて混練・磨砕を行った。次いで、手でもみほぐしてから熱風乾燥し、ハンマーミルにて粉砕することによりセルロース複合体を得た。このセルロース複合体を水に分散させたときの分散粒子の平均粒径は7.5μmであった。次に、水146.5g、醤油150g、液糖145g、食酢65g、ゴマ成分(市販練りゴマ)50g、20%加糖殺菌凍結卵黄8g、を加えて、TKホモミクサ(MARK2型:特殊機化工業(株)製)にて6000rpmで5分間攪拌した。続いて撹拌しながら、セルロース複合体20g、キサンタンガム0.5g、食塩15gを加え、更に5分間攪拌した。更に続いて攪拌しながら、コーンサラダ油380gとゴマ油20gを滴下し、更に5分間攪拌し、95℃湯浴中にてプロペラ攪拌しながら90℃になるまで加温した後、220mlのガラス容器に200g充填し、流水中で室温まで冷却して水中油型の乳化液状ドレッシング様のゴマ含有調味料を得た。この時のゴマ含有調味料のpHは4.0であった。得られた調味料の物性測定結果を表1に示す。
【0022】
[実施例3]
水111g、醤油150g、液糖145g、食酢65g、ゴマ成分(市販練りゴマ)100g、20%加糖殺菌凍結卵黄8gを加えて、TKホモミクサ(MARK2型:特殊機化工業(株)製)にて6000rpmで5分間攪拌した。続いて撹拌しながら、実施例2のセルロース複合体5g、キサンタンガム1.0g、食塩15gを加え、更に5分間攪拌した。更に続いて攪拌しながら、コーンサラダ油380gとゴマ油20gを滴下し、更に5分間攪拌し、95℃湯浴中にてプロペラ攪拌しながら90℃になるまで加温した後、220mlのガラス容器に200g充填し、流水中で室温まで冷却して水中油型の乳化液状ドレッシング様のゴマ含有調味料を得た。この時のゴマ含有調味料のpHは4.0であった。得られた調味料の物性測定結果を表1に示す。
【0023】
[比較例1]
ペースト状のセルロース系安定剤をもちいない代わりに、もちいる水の量を165.5gとした以外は実施例1と同様にして水中油型の乳化液状ドレッシング様のゴマ含有調味料を得た。この時のゴマ含有調味料のpHは4.0であった。得られた調味料の物性測定結果を表1に示す。
【0024】
[比較例2]
使用する水の量を147gとし、TKホモミクサによる攪拌工程において、キサンタンガムを用いないこと以外は、実施例2に準じて水中油型の乳化液状ドレッシング様のゴマ含有調味料を得た。この時のゴマ含有調味料のpHは4.0であった。得られた調味料の物性測定結果を表1に示す。
【0025】
[比較例3]
セルロース複合体を用いない代わりに、もちいるキサンタンガムの量を0.5g、水の量を116.5gとした以外は、実施例3に準じて水中油型の乳化液状ドレッシング様のゴマ含有調味料を得た。この時のゴマ含有調味料のpHは4.0であった。得られた調味料の物性測定結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、長期保存後も、分離やゲル化の生じない保存安定性に優れ、かつ低粘度で容器から容易にそそぎだすことができるゴマ含有調味料を提供することができる。
Claims (3)
- ペースト状ゴマ成分、セルロース系安定剤0.1〜5質量%およびキサンタンガム0.01〜0.2質量%を含有することを特徴とする、1520mPa・s以下の低粘度ゴマ含有調味料。
- セルロース系安定剤が実質的に微結晶セルロース粒子20〜98重量%と親水性高分子2〜80質量%からなるセルロース複合体であることを特徴とする請求項1記載のゴマ含有調味料。
- 親水性高分子が実質的にキサンタンガムおよび加水分解澱粉からなるセルロース系安定剤であることを特徴とする請求項2記載のゴマ含有調味料。
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