JP7544786B2 - タッチパネル用導電性フィルム及びそれを用いたタッチパネル - Google Patents

タッチパネル用導電性フィルム及びそれを用いたタッチパネル Download PDF

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Description

本発明は、タッチパネル用導電性フィルム及びそれを用いタッチパネルに関する。
表示装置の表示パネル上に設置される導電性フィルムとしては、例えば電磁波シールド用の導電性フィルム(例えば特許文献1及び2参照)やタッチパネル用の導電性フィルム(例えば特許文献3参照)等が挙げられる。
これらの導電性フィルムは、透明基体上に格子パターンを形成するようにしており、特許文献1では格子パターンの交差部に隣接してモアレ抑止部を形成し、特許文献2では格子パターンを有する電磁波シールドフィルムと、モアレ抑止部を配置したモアレ抑止フィルムとを貼付することにより、モアレの発生を抑制するようにしている。
特開2008-282924号公報 特開2009-094467号公報 特開2010-108877号公報
本発明は、上述した特許文献1~3とは異なった簡単な構成で、汎用の表示装置の表示パネルに取り付けてもモアレが発生しにくく、しかも、高歩留まりで生産することができるタッチパネル用導電性フィルム及びそれを用いタッチパネルを提供することを目的とする。
[1]本発明の一態様に係るタッチパネル用導電性フィルムは、基体と、前記基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、前記導電部は、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された金属細線による2以上の導電パターンを有し、前記導電パターンは、第3方向に延びる金属細線と、第4方向に延びる金属細線とによるメッシュパターンから構成されており、前記メッシュパターンの開口部は、ひし形状を有し、前記ひし形状における少なくとも1つの辺と前記第1方向とのなす角が30°~44°又は46°~60°であり、前記ひし形状の少なくとも1つの頂角は、前記1つの辺と前記第1方向とのなす角の2倍であり、前記ひし形状の一辺の長さは100μm以上400μm以下である。
[2]上記のタッチパネル用導電性フィルムにおいて、前記ひし形状の一辺の長さは150μm以上300μm以下であってもよい。
[3]上記のタッチパネル用導電性フィルムにおいて、前記ひし形状の一辺の長さは210μm以上250μm以下であってもよい。
[4]上記のタッチパネル用導電性フィルムにおいて、前記ひし形状における少なくとも1つの辺と前記第1方向とのなす角が32°~44°又は46°~58°であってもよい。
[5]上記のタッチパネル用導電性フィルムにおいて、前記金属細線の線幅は1μm以上9μm以下であってもよい。
[6]上記のタッチパネル用導電性フィルムにおいて、前記導電パターンと分離され、平行して配置された補助パターンをさらに有してもよい。
[7]上記のタッチパネル用導電性フィルムにおいて、前記補助パターンは、前記ひし形状の一部が断線したメッシュパターンを有してもよい。
[8]本発明の他の態様によるタッチパネルは、上記のタッチパネル用導電性フィルムを用いている。
発明に係る表示装置によれば、表示パネルに本発明に係る導電性フィルムを設置するようにしたので、電磁波シールドやタッチパネルとして使用した場合に、低抵抗化を図ることができると共に、モアレが発生し難い。
本実施の形態に係る導電性フィルムの一例を示す平面図である。 導電性フィルムの一例を一部省略して示す断面図である。 導電性フィルムが設置される表示装置の画素配列の一例を一部省略して示す平面図である。 表示装置上に導電性フィルムを設置した例を一部省略して示す平面図である。 導電性フィルムによる積層導電性フィルムを有するタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。 積層導電性フィルムを一部省略して示す分解斜視図である。 図7Aは積層導電性フィルムの一例を一部省略して示す断面図であり、図7Bは積層導電性フィルムの他の例を一部省略して示す断面図である。 積層導電性フィルムにおける第1導電性フィルムに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。 小格子(メッシュパターンの開口部)を示す平面図である。 積層導電性フィルムの第2導電性フィルムに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。 第1導電性フィルムと第2導電性フィルムを組み合わせて積層導電性フィルムとした例を一部省略して示す平面図である。 第1補助線と第2補助線によって1つのラインが形成された状態を示す説明図である。
以下、本発明に係る導電性フィルム及び導電性フィルムを用いた表示装置の実施の形態例を図1~図12を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
本実施の形態に係る導電性フィルム10は、図1及び図2に示すように、透明基体12(図2参照)と、透明基体12の一方の主面に形成された導電部14とを有する。導電部14は、金属製の細線(以下、金属細線16と記す)と開口部18によるメッシュパターン20を有する。金属細線16は例えば金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)で構成されている。
具体的には、導電部14は、第1方向(図1においてx方向)に延び、且つ、第2方向(図1においてy方向)にピッチPsで並ぶ複数の第1金属細線16aと、第2方向に延び、且つ、第1方向にピッチPsで並ぶ複数の第2金属細線16bとがそれぞれ交差して形成されたメッシュパターン20を有する。この場合、第1方向は基準方向(水平方向)に対して+30°以上+60°以下の角度で傾斜し、第2方向は基準方向に対して-30°以上-60°以下の角度で傾斜している。従って、メッシュパターン20の1つのメッシュ形状22、すなわち、1つの開口部18と、該1つの開口部18を囲む4つの金属細線16の組み合わせ形状は、頂角部が60°以上120°以下のひし形状となる。
そして、この導電性フィルム10は、例えば図3に示す表示装置30の電磁波シールドフィルムや、タッチパネル用の導電性フィルムとして利用される。表示装置30としては液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL、無機EL等が挙げられる。
ここで、ピッチPs(細線ピッチPsとも記す)は、100μm以上400μm以下から選択可能である。また、金属細線16の線幅は、30μm以下から選択可能である。導電性フィルム10を電磁波シールドフィルムとして使用する場合には、金属細線16の線幅は1μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上9μm以下がより好ましく、2μm以上7μm以下がさらに好ましい。導電性フィルム10をタッチパネル用の導電性フィルムとして使用する場合には、金属細線16の線幅は0.1μm以上15μm以下が好ましく、1μm以上9μm以下がより好ましく、2μm以上7μm以下がさらに好ましい。
表示装置30は、図3に一部を省略して示すように、複数の画素32がマトリクス状に配列されて構成されている。1つの画素32は3つの副画素(赤色副画素32r、緑色副画素32g及び青色副画素32b)が水平方向に配列されて構成されている。1つの副画素は垂直方向に縦長とされた長方形状とされている。画素32の水平方向の配列ピッチ(水平画素ピッチPh)と画素32の垂直方向の配列ピッチ(垂直画素ピッチPv)はほぼ同じとされている。つまり、1つの画素32と該1つの画素32を囲むブラックマトリクスにて構成される形状(網掛けにて示す領域34を参照)は正方形となっている。また、1つの画素32のアスペクト比は1ではなく、水平方向(横)の長さ>垂直方向(縦)の長さとなっている。
そして、このような画素配列を有する表示装置30の表示パネル上に導電性フィルム10を設置すると、図1に示したように、メッシュパターン20の複数の交点をそれぞれ開口部18を介して水平方向に結ぶ仮想線24と第1金属細線16aとのなす角θを30°以上60°以下としているため、図4に示すように、金属細線16は、表示装置30における画素32の水平の配列方向(m方向の配列)に対して30°~60°の傾きを持つことになる。また、導電性フィルム10における細線ピッチPsと、表示装置30における1つの画素32の対角線の長さLa1(あるいは縦方向に隣接する2つの画素32の対角線の長さLa2)とがほぼ同じあるいは近接した値となり、導電性フィルム10における金属細線16の配列方向と、表示装置30における1つの画素32の対角線(あるいは縦方向に隣接する2つの画素32の対角線)の方向もほぼ同じあるいは近接することとなる。その結果、画素32の配列周期と金属細線16の配列周期とのずれが小さくなり、モアレの発生が抑制されることになる。
従って、導電性フィルム10を例えば電磁波シールドフィルムとして使用する場合、導電性フィルム10は表示装置30における表示パネル58上に配置されることになるが、上述したように、画素の配列周期と金属細線16の配列周期とのずれが小さくなり、モアレの発生が抑制される。しかも、メッシュパターン20を構成する金属細線16のピッチPsを、200μm以上400μm以下とし、金属細線16の線幅を、30μm以下としたので、高い電磁波シールド性と高い透光性とを同時に持たせることができる。
次に、タッチパネルを有する表示装置、例えば投影型静電容量方式のタッチパネルを有する表示装置について図5~図12を参照しながら説明する。
先ず、タッチパネル50は、センサ本体52と図示しない制御回路(IC回路等で構成)とを有する。センサ本体52は、図5、図6及び図7Aに示すように、後述する第1導電性フィルム10Aと第2導電性フィルム10Bとを積層して構成された積層導電性フィルム54と、その上に積層された保護層56(図7Aでは保護層56の記述を省略している)とを有する。積層導電性フィルム54及び保護層56は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置30における表示パネル58上に配置されるようになっている。センサ本体52は、上面から見たときに、表示パネル58の表示画面58aに対応した領域に配されたセンサ部60と、表示パネル58の外周部分に対応する領域に配された端子配線部62(いわゆる額縁)とを有する。
タッチパネル50に適用した第1導電性フィルム10Aは、図6及び図8に示すように、第1透明基体12A(図7A参照)の一主面上に形成された第1導電部14Aを有する。この第1導電部14Aは、それぞれ第3方向(m方向)に延在し、且つ、第3方向と直交する第4方向(n方向)に配列され、多数の格子にて構成された金属細線16による2以上の第1導電パターン64A(メッシュパターン)と、各第1導電パターン64Aの周辺に配列された金属細線16による第1補助パターン66Aとを有する。
各第1導電パターン64Aは、それぞれ2以上の小格子70が組み合わされて構成されている。図6及び図8の例では、各第1導電パターン64Aは、2以上の第1大格子68Aが第3方向に直列に接続されて構成され、各第1大格子68Aは、それぞれ2以上の小格子70が組み合わされて構成されている。また、第1大格子68Aの辺の周囲に、第1大格子68Aと非接続とされた上述の第1補助パターン66Aが形成されている。m方向は、例えば後述する投影型静電容量方式のタッチパネル50(図5参照)の水平方向(又は垂直方向)あるいはタッチパネル50を設置した表示パネル58の水平方向(又は垂直方向)を示す。
第1導電パターン64Aとしては、第1大格子68Aを用いた例に限られない。例えば多数の小格子70が配列されたメッシュパターンが絶縁部で帯状に区画され、それが平行に複数配置された導電パターンを使用することができる。例えば、それぞれ端子からm方向に延在し、且つ、n方向に配列された2以上の帯状の第1導電パターン64Aを有するようにしてもよい。その他、各端子毎に複数の帯状のメッシュパターンが延在するパターンでもよい。また、第1補助パターン66Aとしては、第1導電パターン64Aと平行して配置され、且つ、例えば各小格子70の一部が断線したメッシュパターンを用いるようにしてもよい。この場合、第1導電パターン64Aと接続されていてもよいし、分離されていてもよい。
小格子70は、ここでは一番小さいひし形とされ、上述した1つのメッシュ形状22(図1参照)と同じ形状あるいは相似形状とされている。小格子70は、図9に示すように、少なくとも1つの辺(第1辺70a~第4辺70d)と第1方向(m方向)とのなす角θは30°~60°に設定される。m方向がタッチパネル50が設置される表示装置30(図5参照)の画素の配列方向と同じであれば、上述のなす角θは30°~44°あるいは46°~60°に設定され、より好ましくは32°~39°あるいは51°~58°に設定される。
小格子70の線幅(金属細線16の線幅)は30μm以下から選択可能である。上述したように、タッチパネル50に使用される場合には、金属細線16の線幅は0.1μm以上15μm以下が好ましく、1μm以上9μm以下がより好ましく、2μm以上7μm以下がさらに好ましい。
小格子70の一辺の長さは100μm以上400μm以下から選択可能である。ここで、小格子70の第1辺70a及び第3辺70c(第1辺70aと対向する辺)に沿った方向は第1方向(x方向)であり、第2辺70b及び第4辺70d(第2辺70bと対向する辺)に沿った方向は第2方向(y方向)である。
第1導電パターン64Aとして第1大格子68Aを用いた場合、例えば図8に示すように、隣接する第1大格子68A間には、これら第1大格子68Aを電気的に接続する金属細線16による第1接続部72Aが形成される。第1接続部72Aは、n個(nは1より大きい実数)の小格子70が第2方向(y方向)に配列された大きさの中格子74が配置されて構成されている。第1大格子68Aの第1方向に沿った辺のうち、中格子74と隣接する部分には、小格子70の1つの辺が欠除した第1欠除部76Aが形成されている。中格子74は、図8の例では、3個分の小格子70が第2方向に配列された大きさを有する。
また、隣接する第1導電パターン64A間は電気的に絶縁された第1絶縁部78Aが配されている。
ここで、第1補助パターン66Aは、第1大格子68Aの辺のうち、第1方向に沿った辺に沿って配列された複数の第1補助線80A(第2方向を軸線方向とする)と、第1大格子68Aの辺のうち、第2方向に沿った辺に沿って配列された複数の第1補助線80A(第1方向を軸線方向とする)と、第1絶縁部78Aにおいて、それぞれ2つの第1補助線80AがL字状に組み合わされた2つの第1L字状パターン82Aが互いに対向して配置されたパターンとを有する。
第1大格子68Aの一辺の長さは、3~10mmであることが好ましく、4~6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、上記下限値未満であると、第1導電性フィルム10Aを例えばタッチパネルに利用した場合に、検出時の第1大格子68Aの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。同様の観点から、第1大格子68Aを構成する小格子70の一辺の長さは、上述したように、100~400μmであることが好ましく、150~300μmであることがさらに好ましく、最も好ましくは210~250μm以下である。小格子70が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
上述のように構成された第1導電性フィルム10Aは、図6に示すように、各第1導電パターン64Aの一方の端部側に存在する第1大格子68Aの開放端は、第1接続部72Aが存在しない形状となっている。各第1導電パターン64Aの他方の端部側に存在する第1大格子68Aの端部は、第1結線部84aを介して金属細線16による第1端子配線パターン86aに電気的に接続されている。
すなわち、タッチパネル50に適用した第1導電性フィルム10Aは、図5及び図6に示すように、センサ部60に対応した部分に、上述した多数の第1導電パターン64Aが配列され、端子配線部62には各第1結線部84aから導出された複数の第1端子配線パターン86aが配列されている。
図5の例では、第1導電性フィルム10Aの外形は、上面から見て長方形状を有し、センサ部60の外形も長方形状を有する。端子配線部62のうち、第1導電性フィルム10Aの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第1端子88aが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部60の一方の長辺(第1導電性フィルム10Aの一方の長辺に最も近い長辺:n方向)に沿って複数の第1結線部84aが直線状に配列されている。各第1結線部84aから導出された第1端子配線パターン86aは、第1導電性フィルム10Aの一方の長辺におけるほぼ中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子88aに電気的に接続されている。
一方、第2導電性フィルム10Bは、図6、図7A及び図10に示すように、第2透明基体12B(図7A参照)の一主面上に形成された第2導電部14Bを有する。この第2導電部14Bは、それぞれ第4方向(n方向)に延在し、且つ、第3方向(m方向)に配列され、多数の格子にて構成された金属細線16による2以上の第2導電パターン64B(メッシュパターン)と、各第2導電パターン64Bの周辺に配列された金属細線16による第2補助パターン66Bとを有する。
各第2導電パターン64Bは、それぞれ2以上の小格子70が組み合わされて構成されている。図6及び図10の例では、第2導電パターン64Bは、2以上の第2大格子68Bが第4方向(n方向)に直列に接続されて構成され、各第2大格子68Bは、それぞれ2以上の小格子70が組み合わされて構成されている。また、第2大格子68Bの辺の周囲に、第2大格子68Bと非接続とされた上述の第2補助パターン66Bが形成されている。
この第2導電パターン64Bについても、第2大格子68Bを用いた例に限られない。例えば多数の小格子70が配列されたメッシュパターンが絶縁部で帯状に区画され、それが平行に複数配置された導電パターンを使用することができる。例えば、それぞれ端子からn方向に延在し、且つ、m方向に配列された2以上の帯状の第2導電パターン64Bを有するようにしてもよい。その他、各端子毎に複数の帯状のメッシュパターンが延在するパターンでもよい。また、第2補助パターン66Bについても、第2導電パターン64Bと平行して配置され、且つ、例えば各小格子70の一部が断線したメッシュパターンを用いるようにしてもよい。この場合、第2導電パターン64Bと接続されていてもよいし、分離されていてもよい。
第2導電パターン64Bとして第2大格子68Bを用いた場合、例えば図10に示すように、隣接する第2大格子68B間には、これら第2大格子68Bを電気的に接続する金属細線16による第2接続部72Bが形成される。第2接続部72Bは、n個(nは1より大きい実数)の小格子70が第1方向(x方向)に配列された大きさの中格子74が配置されて構成されている。第2大格子68Bの第2方向に沿った辺のうち、中格子74と隣接する部分には、小格子70の1つの辺が欠除した第2欠除部76Bが形成されている。
また、隣接する第2導電パターン64B間は電気的に絶縁された第2絶縁部78Bが配されている。
第2補助パターン66Bは、第2大格子68Bの辺のうち、第1方向に沿った辺に沿って配列された複数の第2補助線80B(第2方向を軸線方向とする)と、第2大格子68Bの辺のうち、第2方向に沿った辺に沿って配列された複数の第2補助線80B(第1方向を軸線方向とする)と、第2絶縁部78Bにおいて、それぞれ2つの第2補助線80BがL字状に組み合わされた2つの第2L字状パターン82Bが互いに対向して配置されたパターンとを有する。
上述のように構成された第2導電性フィルム10Bは、図5及び図6に示すように、1つ置き(例えば奇数番目)の第2導電パターン64Bの一方の端部側に存在する第2大格子68Bの開放端、並びに偶数番目の第2導電パターン64Bの他方の端部側に存在する第2大格子68Bの開放端には、それぞれ第2接続部72Bが存在しない形状となっている。一方、奇数番目の各第2導電パターン64Bの他方の端部側に存在する第2大格子68Bの端部、並びに偶数番目の各第2導電パターン64Bの一方の端部側に存在する第2大格子68Bの端部は、それぞれ第2結線部84bを介して金属細線16による第2端子配線パターン86bに電気的に接続されている。
すなわち、タッチパネル50に適用した第2導電性フィルム10Bは、図6に示すように、センサ部60に対応した部分に、多数の第2導電パターン64Bが配列され、端子配線部62には各第2結線部84bから導出された複数の第2端子配線パターン86bが配列されている。
図5に示すように、端子配線部62のうち、第2導電性フィルム10Bの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第2端子88bが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部60の一方の短辺(第2導電性フィルム10Bの一方の短辺に最も近い短辺:m方向)に沿って複数の第2結線部84b(例えば奇数番目の第2結線部84b)が直線状に配列され、センサ部60の他方の短辺(第2導電性フィルム10Bの他方の短辺に最も近い短辺:m方向)に沿って複数の第2結線部84b(例えば偶数番目の第2結線部84b)が直線状に配列されている。
複数の第2導電パターン64Bのうち、例えば奇数番目の第2導電パターン64Bが、それぞれ対応する奇数番目の第2結線部84bに接続され、偶数番目の第2導電パターン64Bが、それぞれ対応する偶数番目の第2結線部84bに接続されている。奇数番目の第2結線部84bから導出された第2端子配線パターン86b並びに偶数番目の第2結線部84bから導出された第2端子配線パターン86bは、第2導電性フィルム10Bの一方の長辺におけるほぼ中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第2端子88bに電気的に接続されている。
なお、第1端子配線パターン86aの導出形態を上述した第2端子配線パターン86bと同様にし、第2端子配線パターン86bの導出形態を上述した第1端子配線パターン86aと同様にしてもよい。
第2大格子68Bの一辺の長さは、上述した第1大格子68Aと同様に、3~10mmであることが好ましく、4~6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、上記下限値未満であると、検出時の第2大格子68Bの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。同様の観点から、第2大格子68Bを構成する小格子70の一辺の長さは100~400μm以下が好ましく、さらに好ましくは150~300μmであり、最も好ましくは210~250μm以下である。小格子70が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置30の表示パネル58上にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
第1補助パターン66A(第1補助線80A)及び第2補助パターン66B(第2補助線80B)の線幅はそれぞれ0.1~15μmである。この場合、第1導電パターン64Aの線幅や第2導電パターン64Bの線幅と同じでもよく、異なっていてもよい。ただ、第1導電パターン64A、第2導電パターン64B、第1補助パターン66A及び第2補助パターン66Bの各線幅を同じにすることが好ましい。
そして、例えば第2導電性フィルム10B上に第1導電性フィルム10Aを積層して積層導電性フィルム54としたとき、図11に示すように、第1導電パターン64Aと第2導電パターン64Bとが交差して配置された形態とされ、具体的には、第1導電パターン64Aの第1接続部72A(図8参照)と第2導電パターン64Bの第2接続部72B(図10参照)とが第1透明基体12A(図7A参照)を間に挟んで対向し、第1導電部14Aの第1絶縁部78A(図8参照)と第2導電部14Bの第2大格子68B(図10参照)とが第1透明基体12Aを間に挟んで対向した形態となる。
積層導電性フィルム54を上面から見たとき、図11に示すように、第1導電性フィルム10Aに形成された第1大格子68Aの隙間を埋めるように、第2導電性フィルム10Bの第2大格子68Bが配列された形態となる。このとき、第1大格子68Aと第2大格子68Bとの間に、第1補助パターン66Aと第2補助パターン66Bとが対向することによる組合せパターン90が形成される。組合せパターン90は、図12に示すように、第1補助線80Aの第1軸線92Aと第2補助線80Bの第2軸線92Bとが一致し、且つ、第1補助線80Aと第2補助線80Bとが重ならず、且つ、第1補助線80Aの一端と第2補助線80Bの一端とが一致し、これにより、小格子70(メッシュ形状)の1つの辺を構成することとなる。つまり、組合せパターン90は、2以上の小格子70(メッシュ形状)が組み合わされた形態となる。その結果、積層導電性フィルム54を上面から見たとき、図11に示すように、多数の小格子70(メッシュ形状)が敷き詰められた形態となる。
このとき、図4に示すように、多数の小格子70を構成する金属細線16は、表示装置30における画素32の水平の配列方向(m方向の配列)に対して30°~60°の傾きを持つことになる。また、積層導電性フィルム54における細線ピッチPsと、表示装置30における1つの画素32の対角線の長さLa1(あるいは縦方向に隣接する2つの画素32の対角線の長さLa2)とがほぼ同じあるいは近接した値となり、積層導電性フィルム54における金属細線16の配列方向と、表示装置30における1つの画素32の対角線(あるいは縦方向に隣接する2つの画素32の対角線)の方向もほぼ同じあるいは近接することとなる。その結果、画素32の配列周期と金属細線16の配列周期とのずれが小さくなり、モアレの発生が抑制されることになる。また、積層導電性フィルム54間において傾斜角度にばらつきがあってもモアレが発生しにくいという効果を得ることができ、積層導電性フィルム54の歩留まりの向上を図ることができる。
そして、この積層導電性フィルム54をタッチパネルとして使用する場合は、第1導電性フィルム10A上に保護層56を形成し、第1導電性フィルム10Aの多数の第1導電パターン64Aから導出された第1端子配線パターン86aと、第2導電性フィルム10Bの多数の第2導電パターン64Bから導出された第2端子配線パターン86bとを、例えばスキャンをコントロールする制御回路に接続する。
タッチ位置の検出方式としては、自己容量方式や相互容量方式を好ましく採用することができる。すなわち、自己容量方式であれば、第1導電パターン64Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン64Bに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給する。指先が保護層56の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン64A及び第2導電パターン64BとGND(グランド)間の容量が増加することから、当該第1導電パターン64A及び第2導電パターン64Bからの伝達信号の波形が他の導電パターンからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、第1導電パターン64A及び第2導電パターン64Bから供給された伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。一方、相互容量方式の場合は、例えば第1導電パターン64Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン64Bに対して順番にセンシング(伝達信号の検出)を行う。指先が保護層56の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン64Aと第2導電パターン64B間の寄生容量に対して並列に指の浮遊容量が加わることから、当該第2導電パターン64Bからの伝達信号の波形が他の第2導電パターン64Bからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、電圧信号を供給している第1導電パターン64Aの順番と、供給された第2導電パターン64Bからの伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。このような自己容量方式又は相互容量方式のタッチ位置の検出方法を採用することで、保護層56の上面に同時に2つの指先を接触又は近接させても、各タッチ位置を検出することが可能となる。なお、投影型静電容量方式の検出回路に関する先行技術文献として、米国特許第4,582,955号明細書、米国特許第4,686,332号明細書、米国特許第4,733,222号明細書、米国特許第5,374,787号明細書、米国特許第5,543,588号明細書、米国特許第7,030,860号明細書、米国公開特許2004/0155871号明細書等がある。
上述の積層導電性フィルム54では、図6及び図7Aに示すように、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第2透明基体12Bの一主面に第2導電部14Bを形成するようにしたが、その他、図7Bに示すように、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第1透明基体12Aの他主面に第2導電部14Bを形成するようにしてもよい。この場合、第2透明基体12Bが存在せず、第2導電部14B上に、第1透明基体12Aが積層され、第1透明基体12A上に第1導電部14Aが積層された形態となる。また、第1導電性フィルム10Aと第2導電性フィルム10Bとはその間に他の層が存在してもよく、第1導電部14Aと第2導電部14Bとが絶縁状態であれば、それらが対向して配置されてもよい。
図5に示すように、第1導電性フィルム10Aと第2導電性フィルム10Bの例えば各コーナー部に、第1導電性フィルム10Aと第2導電性フィルム10Bの貼り合わせの際に使用する位置決め用の第1アライメントマーク94a及び第2アライメントマーク94bを形成することが好ましい。この第1アライメントマーク94a及び第2アライメントマーク94bは、第1導電性フィルム10Aと第2導電性フィルム10Bを貼り合わせて積層導電性フィルム54とした場合に、新たな複合アライメントマークとなり、この複合アライメントマークは、該積層導電性フィルム54を表示パネル58に設置する際に使用する位置決め用のアライメントマークとしても機能することになる。
上述の例では、第1導電性フィルム10A及び第2導電性フィルム10Bを投影型静電容量方式のタッチパネル50に適用した例を示したが、その他、表面型静電容量方式のタッチパネルや、抵抗膜式のタッチパネルにも適用することができる。
また、上述の例では、導電性フィルム10を主に電磁波シールドフィルムとタッチパネル用の積層導電性フィルムに使用した例を示したが、その他、表示装置30の表示パネル58に設置される光学フィルムとしても利用することができる。この場合、表示パネル58全面に対応してメッシュパターンが形成された導電性フィルムとしてもよいし、あるいは表示画面58a全面に対応してメッシュパターン20が形成された導電性フィルム10としてもよいし、表示画面58a内の一部の領域(コーナー部、中央部等)に対応してメッシュパターンが形成された導電性フィルム10としてもよい。
次に、導電性フィルム10の製造方法について説明する。導電性フィルム10を製造する方法としては、例えば透明基体12に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、露光部及び未露光部にそれぞれ金属銀部及び光透過性部を形成してメッシュパターン20を形成するようにしてもよい。なお、さらに金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属銀部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体12A上及び第2透明基体12B上にめっき前処理材を用いて感光性被めっき層を形成し、その後、露光、現像処理した後にめっき処理を施すことにより、露光部及び未露光部にそれぞれ金属部及び光透過性部を形成して第1導電パターン64A及び第2導電パターン64Bを形成するようにしてもよい。なお、さらに金属部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
めっき前処理材を用いる方法のさらに好ましい形態としては、次の2通りの形態が挙げられる。なお、下記のより具体的な内容は、特開2003-213437号公報、特開2006-64923号公報、特開2006-58797号公報、特開2006-135271号公報等に開示されている。
(a) 透明基体上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を含む被めっき層を塗布し、その後、露光・現像した後にめっき処理して金属部を被めっき材料上に形成させる態様。
(b) 透明基体上に、ポリマー及び金属酸化物を含む下地層と、めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を含む被めっき層とをこの順に積層し、その後、露光・現像した後にめっき処理して金属部を被めっき材料上に形成させる態様。
その他の方法としては、透明基体12上に形成された銅箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銅箔をエッチングすることによって、メッシュパターン20を形成するようにしてもよい。
あるいは、透明基体12上に金属微粒子を含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行うことによって、メッシュパターン20を形成するようにしてもよい。
あるいは、透明基体12上に、メッシュパターン20をスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成するようにしてもよい。
あるいは、透明基体12上に、メッシュパターン20をインクジェットにより形成するようにしてもよい。
次に、本実施の形態に係る導電性フィルム10において、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる方法を中心にして述べる。
本実施の形態に係る導電性フィルム10の製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004-184693号、同2004-334077号、同2005-010752号の各公報、特願2004-244080号、同2004-085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
ここで、本実施の形態に係る導電性フィルム10の各層の構成について、以下に詳細に説明する。
[透明基体12]
透明基体12としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板等を挙げることができる。
上記プラスチックフィルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
透明基体12としては、融点が約290℃以下であるプラスチックフィルム、又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。
[銀塩乳剤層]
導電性フィルム10の金属細線16となる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有する。
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
銀塩乳剤層の塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して1~30g/mが好ましく、1~25g/mがより好ましく、5~20g/mがさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、導電性フィルム10とした場合に所望の表面抵抗を得ることができる。
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
本実施の形態の銀塩乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩乳剤層中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比で1/4以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。銀/バインダー体積比は、100/1以下が好ましく、50/1以下がより好ましい。また、銀/バインダー体積比は1/1~4/1であることがさらに好ましい。1/1~3/1であることが最も好ましい。銀塩乳剤層中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有する導電性フィルム10を得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
<溶媒>
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。
[その他の層構成]
銀塩乳剤層の上に図示しない保護層を設けてもよい。また、銀塩乳剤層よりも下に、例えば下塗り層を設けることもできる。
次に、導電性フィルム10の作製方法の各工程について説明する。
[露光]
本実施の形態では、導電部14を印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、導電部14を露光と現像等によって形成する。すなわち、透明基体12上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀部の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
以上の工程を経て導電性フィルム10は得られる。得られた導電性フィルム10の表面抵抗は0.1~300オーム/sq.の範囲にあることが好ましい。なお、表面抵抗は、導電性フィルム10の用途によって異なるが、電磁波シールド用途の場合には、10オーム/sq.以下であることが好ましく、0.1~3オーム/sq.であることがより好ましい。また、タッチパネル用途の場合には、1~70オーム/sq.であることが好ましく、5~50オーム/sq.であることがより好ましく、5~30オーム/sq.であることがさらに好ましい。また、現像処理後の導電性フィルム10に対しては、さらにカレンダー処理を行ってもよく、カレンダー処理により所望の表面抵抗に調整することができる。
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部の導電性を向上させる目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよい。なお、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを含めて「導電性金属部」と称する。
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
[導電性金属部]
本実施の形態の導電性金属部の線幅(金属細線16の線幅)は、30μm以下が選択可能であり、下限は0.1μm以上、1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は30μm以下、15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネル50に使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると導電性金属部に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネル50に使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、導電性金属部のモアレが改善され、視認性が特によくなる。小格子70の一辺の長さは100μm以上400μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは150μm以上300μm以下、最も好ましくは210μm以上250μm以下である。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は200μmより広い部分を有していてもよい。
本実施の形態における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、金属細線16を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅6μm、一辺の長さが240μmのひし形状の開口率は、95%である。
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、導電性フィルム10のうち導電性金属部以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、透明基体12の光吸収及び反射の寄与を除いた380~780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
露光方法に関しては、ガラスマスクを介した方法やレーザー描画によるパターン露光方式が好ましい。
[導電性フィルム10]
本実施の形態に係る導電性フィルム10における透明基体12の厚さは、5~350μmであることが好ましく、30~150μmであることがさらに好ましい。5~350μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
透明基体12上に設けられる金属銀部の厚さは、透明基体12上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、0.001mm~0.2mmから選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01~9μmであることがさらに好ましく、0.05~5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。
導電性金属部の厚さは、タッチパネル50の用途としては、薄いほど表示パネル58の視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本実施の形態では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する導電性フィルムであっても容易に形成することができる。
なお、本実施の形態に係る導電性フィルム10の製造方法では、めっき等の工程は必ずしも行う必要はない。本実施の形態に係る導電性フィルム10の製造方法では銀塩乳剤層の塗布銀量、銀/バインダー体積比を調整することで所望の表面抵抗を得ることができるからである。なお、必要に応じてカレンダー処理等を行ってもよい。
(現像処理後の硬膜処理)
銀塩乳剤層に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3-ジヒドロキシ-1,4-ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2-141279号に記載のものを挙げることができる。
本実施の形態に係る導電性フィルム10には、反射防止層やハードコート層などの機能層を付与してもよい。
[カレンダー処理]
現像処理済みの金属銀部にカレンダー処理を施して平滑化するようにしてもよい。これによって金属銀部の導電性が顕著に増大する。カレンダー処理は、カレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは通常一対のロールからなる。
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に、両面に乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の上限値は1960N/cm(200kgf/cm、面圧に換算すると699.4kgf/cm)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm、面圧に換算すると935.8kgf/cm)以上である。線圧力の上限値は、6880N/cm(700kgf/cm)以下である。
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は10℃(温調なし)~100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュパターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)~50℃の範囲にある。
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
Figure 0007544786000001
Figure 0007544786000002
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
この実施例では、比較例1~6、実施例1~60に係る積層導電性フィルム54について、開口率を算出し、さらに、モアレを評価した。比較例1~6、実施例1~60の内訳並びに算出結果及び評価結果を表3に示す。
<実施例1~60、比較例1~6>
(ハロゲン化銀感光材料)
水媒体中のAg150gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはKRhBr及びKIrClを濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNaPdClを添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が10g/mとなるように透明基体(ここでは、共にポリエチレンテレフタレート(PET))上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は2/1とした。
幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
(露光)
露光のパターンは、第1導電性フィルム10Aについては図6及び図8に示すパターンで、第2導電性フィルム10Bについては図6及び図10に示すパターンで、A4サイズ(210mm×297mm)の第1透明基体12A及び第2透明基体12Bに行った。露光は上記パターンのフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3-ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
上記処理剤を用いて露光済み感材を、富士フイルム社製自動現像機 FG-710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。
(実施例1)
作製した第1導電性フィルム10Aの第1導電部14A及び第2導電性フィルム10Bの第2導電部14Bにおける小格子70の第1辺70aと第1方向(x方向)とのなす角θを30°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例1に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例2~4)
実施例2、3、4は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例1と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例5)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを32°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例5に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例6~8)
実施例6、7、8は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例5と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例9)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを36°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例9に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例10~12)
実施例10、11、12は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例9と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例13)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを37°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例13に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例14~16)
実施例14、15、16は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例13と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例17)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを39°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例17に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例18~20)
実施例18、19、20は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例17と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例21)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを40°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例21に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例22~24)
実施例22、23、24は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例21と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例25)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを44°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例25に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例26~28)
実施例26、27、28は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例25と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例29)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを45°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例29に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例30~32)
実施例30、31、32は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例29と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例33)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを46°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例33に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例34~36)
実施例34、35、36は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例33と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例37)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを50°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例37に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例38~40)
実施例38、39、40は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例37と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例41)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを51°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例41に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例42~44)
実施例42、43、44は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例41と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例45)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを53°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例45に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例46~48)
実施例46、47、48は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例45と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例49)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを54°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例49に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例50~52)
実施例50、51、52は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例49と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例53)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを58°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例53に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例54~56)
実施例54、55、56は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例53と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(実施例57)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを60°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして実施例57に係る積層導電性フィルムを作製した。
(実施例58~60)
実施例58、59、60は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例57と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(比較例1)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを29°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして比較例1に係る積層導電性フィルムを作製した。
(比較例2、3)
比較例2、3は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ300μm、400μmとした点以外は比較例1と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
(比較例4)
小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θを61°、小格子70の一辺の長さを200μm、小格子70の線幅を6μmとして比較例4に係る積層導電性フィルムを作製した。
(比較例5、6)
比較例5、6は、小格子70の一辺の長さをそれぞれ300μm、400μmとした点以外は比較例4と同様にして積層導電性フィルムを作製した。
〔評価〕
(開口率の算出)
透明性の良否を確認するために、比較例1~6、実施例1~60について、それぞれ積層導電性フィルムの透過率を分光光度計を用いて測定し、さらに比例計算によって開口率を算出した。
(モアレの評価)
比較例1~6、実施例1~60について、積層導電性フィルムを表示装置30の表示パネル58上に貼り付けた後、表示装置30を回転盤に設置し、表示装置30を駆動して白色を表示させる。その状態で、回転盤をバイアス角-20°~+20°の間で回転し、モアレの目視観察・評価を行った。表示装置30の水平画素ピッチPh及び垂直画素ピッチPvはいずれも約192μmであった。なお、評価用のディスプレイとしてHP社製のPavilion Notebook PC dm1a(11.6inch光沢液晶WXGA/1366×768)を使用した。
モアレの評価は、表示装置30の表示画面から観察距離0.5mで行い、モアレが顕在化しなかった場合を○、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られた場合を△、モアレが顕在化した場合を×とした。そして、総合評点として、○となる角度範囲が10°以上の場合をA、○となる角度範囲が10°未満の場合はB、○となる角度範囲がなく×となる角度範囲が30°未満の場合はC、○となる角度範囲がなく×となる角度範囲が30°以上ある場合をDとした。
Figure 0007544786000003
Figure 0007544786000004
表3及び表4から、比較例1~6はいずれも評価がDであり、モアレが顕在化していることがわかった。一方、実施例1~60は、実施例1、4、21、24、25、28~33、36、37、40、57、60において、モアレがやや顕在化しているが問題のないレベルであった。これ以外の実施例のうち、実施例2、3、5、8、9、12、13、16、17、20、22、23、26、27、34、35、38、39、41、44、45、48、49、52、53、56、58、59についてはほとんどモアレの発生がなく良好であった。特に、小格子70の第1辺70aと第1方向とのなす角θが32°~39°であって、小格子70の一辺の長さが220μm、240μmである実施例6、7、10、11、14、15、18、19、42、43、46、47、50、51、54、55についてはモアレの発生はなかった。
また、上述した実施例1~60に係る導電性フィルム10を用いてそれぞれ投影型静電容量方式のタッチパネル50を作製した。指で触れて操作したところ、応答速度が速く、検出感度に優れることがわかった。また2点以上をタッチして操作したところ、同様に良好な結果が得られ、マルチタッチにも対応できることが確認できた。
本発明に係る導電性フィルム及びそれを備えた表示装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…導電性フィルム 10A…第1導電性フィルム
10B…第2導電性フィルム 12…透明基体
12A…第1透明基体 12B…第2透明基体
14…導電部 14A…第1導電部
14B…第2導電部 16…金属細線
30…表示装置 32…画素
50…タッチパネル 52…センサ本体
54…積層導電性フィルム 64A…第1導電パターン
64B…第2導電パターン 68A…第1大格子
68B…第2大格子 70…小格子

Claims (7)

  1. 基体と、
    前記基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、
    前記導電部は、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された金属細線による2以上の導電パターンを有し、
    前記導電パターンは、第3方向に延びる金属細線と、第4方向に延びる金属細線とによるメッシュパターンから構成されており、
    前記メッシュパターンの開口部は、ひし形状を有し、
    前記ひし形状における少なくとも1つの辺と前記第1方向とのなす角が32°~39°又は51°~58°であり、
    前記ひし形状の少なくとも1つの頂角は、前記1つの辺と前記第1方向とのなす角の2倍であり、
    前記ひし形状の一辺の長さは100μm以上400μm以下である、タッチパネル用導電性フィルム。
  2. 請求項1に記載のタッチパネル用導電性フィルムにおいて、
    前記ひし形状の一辺の長さは150μm以上300μm以下である、タッチパネル用導電性フィルム。
  3. 請求項2に記載のタッチパネル用導電性フィルムにおいて、
    前記ひし形状の一辺の長さは210μm以上250μm以下である、タッチパネル用導電性フィルム。
  4. 請求項1~のいずれか1項に記載のタッチパネル用導電性フィルムにおいて、
    前記金属細線の線幅は1μm以上9μm以下である、タッチパネル用導電性フィルム。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載のタッチパネル用導電性フィルムにおいて、
    前記導電パターンと分離され、平行して配置された補助パターンをさらに有する、タッチパネル用導電性フィルム。
  6. 請求項に記載のタッチパネル用導電性フィルムにおいて、
    前記補助パターンは、前記ひし形状の一部が断線したメッシュパターンを有する、タッチパネル用導電性フィルム。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載のタッチパネル用導電性フィルムを用いたタッチパネル。
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