本開示に係る空調機器を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
実施の形態1.
図1から図7を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。図1は空調機器が備える室内機の外観斜視図である。図2は室内機の縦断面図である。図3は空調機器が備える表面温度センサの構成を示す斜視図である。図4は空調機器の構成を示すブロック図である。図5は空調機器の制御系統の機能的な構成を示すブロック図である。図6は空調機器の動作例を示すフロー図である。そして、図7は空調機器の動作の変形例を示すフロー図である。
この実施の形態の空調機器は、例えば、空気調和機の室内機100を備えている。室内機100は、室内の壁面又は天井面に設置されている。ここでは、室内機100は、室内の壁面に設置されているとする。
図1及び図2に示すように、この実施の形態の室内機100は、筐体110を備えている。室内機100の筐体110は、横長で前面から下面にかけては滑らかな曲面となった略直方体状に形成されている。筐体110の上面部には、吸込口111が形成されている。吸込口111は、外部から筐体110の内部に空気を取り込むための開口である。筐体110の前面下部には、吹出口112が形成されている。吹出口112は、筐体110の内部から外部へと空気を排出するための開口である。筐体110の前面上部は、前面パネル113に覆われている。
吹出口112には、上下風向板131、132、141、142が設けられている。これらの上下風向板は、吹出口112から吹き出す空気の上下方向の吹き出し角度を調整するためのものである。
上下風向板は、室内機100の正面に向かって手前側と奥側とにそれぞれ設置されている。また、手前側と奥側の各上下風向板は、それぞれ左右に分割されている。すなわち、手前側の上下風向板は、室内機100の正面に向かって左側の左手前側上下風向板131と、右側の右手前側上下風向板132とに分割されている。また、奥側の上下風向板は、室内機100の正面に向かって左側の左奥側上下風向板141と、右側の右奥側上下風向板142とに分割されている。
それぞれの上下風向板が左右に分割される位置は、室内機100の正面に向かって長手方向(吹出口112の左右方向)のほぼ中央である。左手前側上下風向板131と右手前側上下風向板132との間には、僅かな隙間が形成されている。同様に、左奥側上下風向板141と右奥側上下風向板142との間にも、僅かな隙間が形成されている。
左手前側上下風向板131、右手前側上下風向板132、左奥側上下風向板141及び右奥側上下風向板142は、それぞれ、吹出口112の左右方向に細長く延びた板状の部材である。また、これらの上下風向板131、132、141、142は、それぞれ、長手方向に垂直な断面が円弧状となるように湾曲している。
上下風向板131、132、141、142は、それぞれが図示しない支持腕を介して筐体110に取り付けられている。それぞれの支持腕は筐体110に対して回転可能に取り付けられている。各支持腕が筐体110に対して回転することで、それぞれの上下風向板の向きを変えることができるようになっている。そして、上下風向板の向きを変えることで、室内機100は、送風方向を上下に変更可能である。
上下風向板のそれぞれの支持腕は、上下風向板用ステッピングモータの駆動により角度を調節できるように設けられている。具体的にここでは、左手前側上下風向板131及び左奥側上下風向板141の向きが、左側上下風向板用ステッピングモータ161により変更される。右手前側上下風向板132及び右奥側上下風向板142の向きが、右側上下風向板用ステッピングモータ162により変更される。
このようにして、吹出口112の左側から吹き出す空気の上下方向の吹き出し角度(送風方向)と、吹出口112の右側から吹き出す空気の上下方向の吹き出し角度(送風方向)とは、別々に調整することができる。なお、左側上下風向板用ステッピングモータ161及び右側上下風向板用ステッピングモータ162は、図1及び図2では図示を省略している。
吹出口112における上下風向板131、132、141、142の奥側には、左右風向板150が設けられている。左右風向板150は、吹出口112から吹き出す空気の左右方向の吹き出し角度を調整するためのものである。左右風向板150は、室内機100の正面に向かって長手方向(吹出口112の左右方向)にわたって並べられた複数の板材により構成されている。左右風向板150は、上下風向板131、132、141、142と同様に、左右風向板用ステッピングモータ163(図1及び図2では図示省略)の駆動により角度を調節できるようにして取り付けられている。
筐体110の内部には、吸込口111から吹出口112へと通じる風路が形成されている。風路における吸込口111の風下側には、熱交換器121が設置されている。熱交換器121は、風路を流れる空気と熱交換して、風路を流れる空気を加熱又は冷却する。空気を加熱するか冷却するかは、室内機100が暖房運転であるか冷房運転であるかによる。具体的には、暖房運転時には熱交換器121は空気を加熱する。一方、冷房運転時には熱交換器121は空気を冷却する。
熱交換器121は、風路を流れる空気を加熱又は冷却することで、当該空気の温度、湿度等を調整し、調和空気を生成する。熱交換器121は、このようにして、吸込口111から吸い込まれた空気と熱交換して調和空気を生成する。なお、暖房運転時には、調和空気として温風が生成され、冷房運転時には、調和空気として冷風が生成される。
風路における熱交換器121の風下側には、送風ファン122が設置されている。送風ファン122は、吸込口111から吹出口112へと向かう空気流を風路中に生成するためのものである。
送風ファン122が動作すると、吸込口111から吹出口112へと向かう空気流が風路中に生成され、吸込口111から空気が吸い込まれ、吹出口112から空気が吹き出される。吸込口111から吸い込まれた空気は、室内機100の内部の風路を、熱交換器121、送風ファン122の順に通過する空気流となり、吹出口112から吹き出す。この際、送風ファン122の風下側に配置された上下風向板131、132、141、142及び左右風向板150により、吹出口112から吹き出される風の方向(送風方向)が調整(変更)される。
送風ファン122、上下風向板131、132、141、142、左右風向板150、上下風向板用ステッピングモータ161、162、及び、左右風向板用ステッピングモータ163は、筐体110に設けられた送風機構を構成している。このように構成された送風機構は、吸込口111から空気を吸い込み吹出口112から調和空気を吹き出す空気流を生成するとともに、吹出口112から吹き出す調和空気の風向を変更可能である。
この実施の形態の室内機100は、少なくとも暖房運転が可能である。つまり、室内機100の送風機構と熱交換器121とで、暖房手段300が構成されている。このように構成され暖房手段300は、室内機100が設置された室内の空気を吸込口111から吸い込んで加熱し、加熱後の空気すなわち温風を吹出口112から室内に吹き出す。
この実施の形態の室内機100の前面中央には、表面温度センサ170が取り付けられている。ただし、表面温度センサ170の取付位置は、室内機100の前面中央に限られない。表面温度センサ170を、例えば、筐体110の左側又は右側の端部等に取り付けるようにしてもよい。
表面温度センサ170は、例えば、上下方向に並べた複数の赤外線センサ(受光素子)を備えている。ここでは、表面温度センサ170は例えば8個の赤外線センサ(受光素子)を備えているとする。これら8個の赤外線センサのそれぞれは、赤外線の受光及び温度の検出を個別に実行可能な検出素子である。これらの赤外線センサ(受光素子)は、例えば、図3に示すように、円筒状の金属缶171の内部に上下方向に直線状に並んで配置されている。これにより、表面温度センサ170は、室内の温度を互いに高さが異なる8個のエリアに区分して検出する機能を備えている。
これら8個の赤外線センサのそれぞれの検出範囲は、図3に示すように、互いに大きさが等しい四角形状のエリアとして設定されている。また、1個の赤外線センサの配光視野角は、例えば上下方向における縦配光視野角が7°に設定され、左右方向の横配光視野角が8°に設定されている。
それぞれの赤外線センサの配光視野角を合わせた表面温度センサ170全体の配光視野角173は、上下方向に細長いエリアとして設定されている。なお、それぞれの赤外線センサの配光視野角(検出範囲)は、同じ形状、同じ大きさでなくともよい。また、縦配光視野角及び横配光視野角の具体的な値についても、前述した例示に限定されるものではない。さらに、赤外線センサ(受光素子)の個数は8個に限定されるものではなく、表面温度センサ170は、7個以下または9個以上となる任意の個数の赤外線センサ(受光素子)を備えるようにしてもよい。
そして、表面温度センサ170は、センサ用ステッピングモータ172(図1から図3では図示省略)により上下に並んだ複数の赤外線センサを、予め設定された角度範囲内において左右に向きを変えることができる。このようにすることで、上下に並んだ複数の赤外線センサのそれぞれを左右方向に走査させて、室内機100前方の予め設定された検出範囲(以下、「温度検出対象範囲」という)内について表面温度を検出することができる。
表面温度センサ170は、このような構成により、温度検出対象範囲内を走査して当該範囲内の表面温度分布(熱画像)を非接触で取得する。すなわち、表面温度センサ170は、予め設定された検出範囲内の表面温度を検出する表面温度検出手段を構成している。
表面温度センサ170の検出結果、すなわち、表面温度センサ170により取得した表面温度分布(熱画像)データを、後述する制御装置200等で処理することで、例えば背景との温度差から、室内における人を含む熱源の有無及びその位置、人体の表面温度(皮膚温度)、人の身体の部位(肌の露出部と非露出部、頭部等)等を検出することができる。また、表面温度センサ170の検出結果に基づいて、室内機100が設置された部屋の境界部分、すなわち、部屋の壁面及び床面の温度も得ることができる。
表面温度センサ170は、温度検出対象範囲を左右に走査しながら温度検出対象の温度を検出する。なお、ここでの左右は、室内機100側から見た場合の左右である。室内の壁及び床の熱画像データ(温度分布データ)を取得する場合、例えば、表面温度センサ170の向きをセンサ用ステッピングモータ172により左右方向に動かし、センサ用ステッピングモータ172の回転(すなわち、表面温度センサ170の向きの回転)を一定角度毎に一定時間だけ停止させる。この際の一定角度は例えば1~5°とする。また、この際の一定時間は例えば0.1~0.2秒とする。そして、表面温度センサ170の向きの変更を停止した後、前記の一定時間(0.1~0.2秒)よりも短い時間だけ待って、表面温度センサ170の8個の受光素子の検出結果(熱画像データ)を取り込む。
表面温度センサ170による検出結果の取り込み終了後、再びセンサ用ステッピングモータ172を前記一定角度だけ回転して再度停止し、同様の動作で表面温度センサ170の検出結果(熱画像データ)を取り込む。このような動作を繰り返し行って、検出範囲内における左右方向の例えば90~100箇所で表面温度センサ170の検出結果を取得する。そして、取得した表面温度センサ170の検出結果から、温度検出対象範囲の熱画像データ(温度分布データ)を得ることができる。
なお、表面温度センサ170を他のステッピングモータ等により上下方向にもスイングさせるようにしてもよい。表面温度センサ170の向きを上下方向にも変えることができるようにすることで、水平方向だけでなく上下方向についても詳細な熱画像データを取得することができる。
次に、図4及び図5を参照しながら、以上のように構成された室内機100を備えた空調機器の制御系統の構成について説明する。室内機100は、制御装置200及び入力表示部180を備えている。制御装置200は、例えばマイクロコンピュータ等を備えた処理回路により構成されている。制御装置200がマイクロコンピュータを備えている場合、制御装置200は、プロセッサ201及びメモリ202を備えている。メモリ202には、制御用のプログラムが記憶されている。プロセッサ201は、メモリ202に記憶されているプログラムを読み出して実行する。
プロセッサ201が制御用のプログラムを実行することで、制御装置200は予め設定された処理を実行して室内機100の動作を制御する。また、特に、メモリ202に記憶されているプログラムをプロセッサ201が実行することで、後述する情報取得部210、床温度検出部221、情報処理部230、空調制御部241及び報知制御部242の各部の機能が実現される。
なお、制御装置200の機能を実現する処理回路は、例えば、専用ハードウェアとして形成されていてもよい。また、処理回路は、その一部が専用ハードウェアとして形成され、かつ、さらにプロセッサ201及びメモリ202を備えていてもよい。一部が少なくとも1つの専用ハードウェアである処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ202には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又は磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ201及び少なくとも1つのメモリ202を備える場合、制御装置200の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ202に格納される。前述したように、プロセッサ201は、メモリ202に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、予め設定された処理を実行して制御装置200の機能を実現する。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、制御装置200の機能を実現することができる。なお、室内機100は、単一の制御装置200により動作が制御される構成に限定されるものではない。室内機100は、複数の装置が連携することで動作を制御されてもよい。
入力表示部180は、使用者が各種の設定値を入力するためのものであるとともに、使用者に対し各種の情報を表示するためのものである。入力表示部180は、例えば、室内機100のリモートコントローラ(リモコン)である。また、室内機100の制御装置200と通信可能なスマートフォン等の携帯端末により、入力表示部180を構成してもよい。
使用者は、入力表示部180を操作することで、室内機100の電源のON/OFF、運転モード、風向、風量等の設定、選択された運転モードにおける設定温度の変更等を行うことができる。また、この実施の形態においては、使用者は入力表示部180を操作することで、起床タイマー運転の設定を行うことができる。起床タイマー運転については後述する。
制御装置200の入力側には、表面温度センサ170等を含むセンサ系統が接続されている。制御装置200の出力側には、熱交換器121、送風ファン122、左側上下風向板用ステッピングモータ161、右側上下風向板用ステッピングモータ162、左右風向板用ステッピングモータ163、センサ用ステッピングモータ172等を含む各種のアクチュエータが接続されている。
制御装置200は、センサ系統及び入力表示部180からの入力に基づいて各アクチュエータを駆動し、室内機100の動作を制御する。制御装置200により実行される制御には、例えば、冷房運転、暖房運転、送風動作、表面温度センサ170の走査動作等の制御が含まれる。なお、熱交換器121の制御は、具体的には、熱交換器121に接続された図示しないコンプレッサ及び弁等の動作を制御することで、熱交換器121を含む冷凍サイクル内を流れる冷媒の循環方向及び流量を制御することにより行われる。
次に、図5を参照しながら、この実施の形態に係る室内機100の制御系統の機能的な構成について説明する。同図に示すように、制御装置200は、その機能として、情報取得部210、床温度検出部221、情報処理部230、空調制御部241及び報知制御部242の各部を備えている。
情報取得部210は、表面温度センサ170から、表面温度センサ170の検出結果を取得する。つまり、情報取得部210は、表面温度センサ170により検出された表面温度の情報を、表面温度センサ170から取得する。また、情報取得部210は、目標時間設定部181により設定された目標時間の情報、及び、目標温度設定部182により設定された目標温度の情報を入力表示部180から取得する。
目標時間設定部181は、室内機100の使用者が起床タイマー運転の目標時間を設定するためのものである。起床タイマー運転の目標時間は、例えば使用者の起床予定時刻である。また、目標温度設定部182は、室内機100の使用者が起床タイマー運転の目標温度を設定するためのものである。起床タイマー運転の目標温度は、例えば前述の起床予定時刻において所望する室温である。
目標時間設定部181及び目標温度設定部182は、入力表示部180に設けられている。すなわち、使用者は、入力表示部180であるリモコン、スマートフォン等の端末装置を操作することで、起床タイマー運転の目標時間及び目標温度を設定できる。この実施の形態における入力表示部180の目標時間設定部181は、目標時間を設定する目標時間設定手段である。また、入力表示部180の目標温度設定部182は、目標温度を設定する目標温度設定手段である。
なお、目標時間設定部181は、使用者が直接に起床予定時刻を入力するものでなくともよい。例えば、入力表示部180であるスマートフォン等の端末装置に目覚し(アラーム)機能が備えられている場合には、目標時間設定部181は、当該目覚し機能で設定されたアラーム時刻を取得して目標時間に設定してもよい。また、入力表示部180であるスマートフォン等の端末装置に人の睡眠状態を検出する機能が備えられている場合には、使用者の睡眠状態の検出結果から当該使用者の起床時間を予測し、目標時間設定部181は、この予測した起床時間を目標時間として設定してもよい。あるいは、表面温度センサ170の検出結果から室内の人の体勢を検出し、使用者の起床時間を検出することもできる。この場合には、目標時間設定部181は、過去の起床時間の検出結果から使用者の起床時間を予測し、この予測した起床時間を目標時間として設定してもよい。さらに、この場合の使用者の起床時間を検出を、室内の他の機器、例えば照明機器、テレビ等の過去の動作状況に基づいて行ってもよい。このようにすることで、使用者が入力表示部180に起床予定時間を入力する手間を省くことができ、利便性の向上を図ることが可能である。
床温度検出部221は、情報取得部210により取得された表面温度センサ170の検出結果、すなわち、表面温度センサ170により検出された表面温度から、室内の床の表面温度を検出する。床温度検出部221は、例えば、表面温度センサ170が室内の下方を検出した際の背景の表面温度から、室内の床の表面温度を検出する。以上のような表面温度センサ170、情報取得部210及び床温度検出部221は、室内の床の表面温度である床温度を検出する床温度検出手段を構成している。
情報処理部230は、情報取得部210により取得された各種の情報と、床温度検出部221の検出結果とに基づいて、室内機100が実施する処理の内容を決定する。ここでは、特に、情報処理部230は、室内機100が実施する処理内容として、暖房手段300の動作内容と、室内機100が行う報知動作の内容とを決定する。
空調制御部241は、前述した暖房手段300、すなわち、送風機構が備える送風ファン122、左側上下風向板用ステッピングモータ161、右側上下風向板用ステッピングモータ162及び左右風向板用ステッピングモータ163、並びに、熱交換器121の動作を制御する。空調制御部241による暖房手段300の動作制御は、情報処理部230により決定された処理内容に従って行われる。すなわち、この実施の形態において、情報処理部230及び空調制御部241は、暖房手段300の動作を制御する制御手段を構成している。
報知制御部242は、室内機100の報知動作を制御する。室内機100の報知動作は、例えば、入力表示部180により行われる。入力表示部180が、前述したリモコン、端末装置である場合、これらが備えるスピーカでブザー音又は音声メッセージを鳴らしたり、これらが備える表示部にメッセージを表示させたりすることで、報知を行うことができる。この場合、報知制御部242は、情報処理部230により決定された処理内容に従って入力表示部180の動作を制御することで、室内機100の報知動作を制御する。
また、室内機100の筐体110に、音声報知用のスピーカ及び光での報知用のLED(発光ダイオード)の一方又は両方を備えていてもよい。この場合、報知制御部242は、情報処理部230により決定された処理内容に従って筐体110のスピーカ、LEDの動作を制御することで、室内機100の報知動作を制御する。このように、室内機100は、情報処理部230及び報知制御部242を含む報知手段を備えている。なお、報知手段による報知の対象者は、室内機100が設置された室内の在室者に限られない。報知手段は、例えばスマートフォン等の端末装置を用いることで、室外にいる者等の在室者以外の者に報知できるようにしてもよい。
次に、情報処理部230による室内機100の処理内容の決定と、この決定内容に応じた空調制御部241による暖房手段300の動作制御及び報知制御部242による報知動作制御、特に前述した起床タイマー運転に係る制御について説明する。前述したように、この実施の形態の空調機器は、起床タイマー運転を実施可能である。起床タイマー運転は、暖房手段300により、目標時間すなわち起床予定時刻に室内の床温度が目標温度になるまで暖めておく運転である。
例えば、使用者が入力表示部180の目標時間設定部181及び目標温度設定部182を操作して、目標時間(起床予定時刻)と目標温度とが設定されると、情報処理部230は、目標時間(起床予定時刻)から予め設定された一定時間T1だけ前の時間を起床タイマー運転の開始時間に決定する。そして、起床タイマー運転の開始時間までは、空調機器は、起床タイマー運転の待機状態になる。
起床タイマー運転の開始時間になったら、まず、前述の床温度検出手段により床温度を検出する。続いて、情報処理部230は、床温度検出手段が検出した床温度と、目標温度設定部182により設定された目標温度との差分を算出する。そして、情報処理部230は、この起床タイマー運転開始時の床温度と目標温度の差分に基づいて、起床タイマー運転における暖房手段300の運転内容を決定する。
起床タイマー運転における暖房手段300の運転内容は、起床タイマー運転開始時の床温度と目標温度の差分だけ、目標時間において床温度を上昇させることができるものに決定される。ここでいう暖房手段300の運転内容には、室内機100の吹出口112から吹き出させる温風の温度、風量、風向及び運転時間等が含まれる。そして、空調制御部241は、情報処理部230が決定した運転内容に従って、暖房手段300の動作を制御する。
このようにして、この実施の形態の空調機器においては、前述した制御手段である情報処理部230及び空調制御部241は、目標時間に床温度検出手段が検出した床温度が目標温度に到達しているように暖房手段300を動作させる起床タイマー運転を実施可能である。ここで、室内の空気の温度分布は、床に近いほど低温で、天井に近いほど高温になりやすい傾向がある。特に睡眠時には、室内の使用者の睡眠を妨げないようにするため、室内に気流が生じないようにすることが好ましい。この場合、室内空気が循環しにくくなり、上記の温度分布が形成される傾向がさらに強まる。起床時において床付近の温度が低いと、起床した使用者の足元が冷え、使用者の血圧が上昇しやすくなる。この実施の形態の空調機器によれば、目標時間すなわち起床予定時刻に床温度が目標温度に到達しているように暖房手段300を動作させる起床タイマー運転を実施可能であるため、起床時における床付近の温度を確実かつ十分に上昇させて起床した使用者の血圧上昇を抑制できる。
また、情報処理部230は、起床タイマー運転開始時の床温度と目標温度との差分が予め設定された基準値以上である場合、使用者への報知動作を行うことを決定する。この際に、情報処理部230は、当該報知動作における報知内容も併せて決定してもよい。この場合の報知内容としては、起床タイマー運転開始時の床温度と目標温度との差分の値とすることが考えられる。そして、情報処理部230により使用者への報知動作を行うことが決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部180等に報知動作を行わせる。この場合、前述の報知手段は、起床タイマー運転の開始時における目標温度と床温度検出手段が検出した床温度との差が予め設定された基準値以上である場合に報知する。このようにすることで、起床タイマー運転により起床時の床温度をどれだけ上昇させることができたのかを使用者に知らせ、起床タイマー運転の有効性を使用者にアピールすることができる。
さらに、情報処理部230は、起床タイマー運転開始時の床温度が基準温度以下である場合、使用者への報知動作を行うことを決定してもよい。この際の基準温度は、例えば10℃に予め設定される。そして、情報処理部230により使用者への報知動作を行うことが決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部180等に報知動作を行わせる。この場合、前述の報知手段は、起床タイマー運転の開始時における床温度検出手段が検出した床温度が前述の基準温度以下である場合に報知する。このようにすることで、起床タイマー運転を行わなかった場合には床温度が低い状態であることを使用者に知らせ、起床タイマー運転の有効性を使用者にアピールすることができる。
なお、情報処理部230は、起床タイマー運転における運転内容として、床温度が段階的に変化するように暖房手段300を動作させるものに決定してもよい。すなわち、前述の制御手段である情報処理部230及び空調制御部241は、起床タイマー運転において、床温度検出手段が検出する床温度が段階的に変化するように暖房手段300を制御する。この場合、例えば、一定時間ごとに間欠的に暖房手段300を動作させる。
このようにすることで、起床タイマー運転時における暖房手段300を有する室内機100の運転音が長時間にわたって継続することを抑制できる。一般的に、起床前は眠りが浅いため、周囲の音に敏感で覚醒しやすい。起床タイマー運転時は起床前の時間帯であるため、例えば間欠的に暖房手段300を動作させることで、室内機100の運転音により睡眠中の室内の使用者の睡眠を妨げてしまうことを抑制できる。
また、空調制御部241は、起床タイマー運転で暖房手段300を動作させた後、目標時間すなわち起床予定時刻から予め設定された運転継続時間が経過したら暖房手段300の動作を停止させるようにしてもよい。このようにすることで、起床タイマー運転で暖房手段300が自動的に運転を開始した場合に、使用者が手動で運転を停止させる手間を省くことができ、利便性の向上を図ることが可能である。
ここで、この実施の形態の室内機100は表面温度センサ170を備えている。そして、前述したように、この表面温度センサ170の検出結果から、室内の人の有無を検出できる。そこで、起床タイマー運転で暖房手段300を動作させた後、目標時間(起床予定時刻)以降については、空調制御部241は、表面温度センサ170の検出結果に基づいて暖房手段300の動作を制御してもよい。すなわち、表面温度センサ170の検出結果から室内に人がいることが検出されている間は、空調制御部241は暖房手段300の動作を継続させる。そして、目標時間(起床予定時刻)以降に、表面温度センサ170より室内に人が検出されなくなったら、空調制御部241は暖房手段300の動作を停止させる。
また、目標時間(起床予定時刻)以降に暖房手段の運転を継続させる前述の運転継続時間について、例えば情報処理部230が表面温度センサ170の検出結果に基づいて設定してもよい。例えば、過去において目標時間(起床予定時刻)以降に表面温度センサ170より室内に人が検出されなくなった退室時間を記憶しておき、この記憶した退室時間に基づいて、運転継続時間を設定する。
なお、目標時間設定部181は、複数の目標時間を設定できるようにしてもよい。この場合、目標時間設定部181は、目標時間として少なくとも第1目標時間と第2目標時間とを設定可能である。ここで、第2目標時間は、第1時間より後の時間とする。そして、情報処理部230は、第1目標時間から第2目標時間までの時間間隔に応じて、第1目標時間以降、第2目標時間までの間に暖房手段300の運転を停止させるか否かを変更してもよい。すなわち、前述した制御手段は、第1目標時間から第2目標時間までの時間間隔が基準時間間隔以下の場合に、第1目標時間から第2目標時間まで暖房手段300を継続して動作させる。基準時間間隔は、例えば30分以上1時間以下程度の時間に予め設定される。このようにすることで、続けて起床タイマー運転が設定されていた場合に、床が暖まった状態で維持できるため、第2目標時間に床温度を目標温度に到達した状態にするのに必要な暖房手段300の消費エネルギー量を少なく抑えることが可能である。
一方、2つの目標時間の間隔が長い場合、先の目標時間の経過後も暖房手段300を動作させ続けると、かえって消費エネルギー量が増加してしまうおそれもある。そこで、第1目標時間から第2目標時間までの時間間隔が前述した基準時間間隔を超える場合には、第1目標時間の経過後、第2目標時間までの間に、前述した制御手段は、暖房手段300を一旦停止させてもよい。そして、制御手段は、第2目標時間の前に暖房手段300の動作を再開させる。
次に、以上のように構成された空調機器の動作の流れの一例について、図6を参照しながら説明する。まず、ステップS11において起床タイマーが設定されると、処理はステップS12へと進む。ここでいう起床タイマーが設定されるというのは、目標時間設定部181により目標時間すなわち起床予定時刻(以下、「起床時間」ともいう)が設定されるとともに、目標温度設定部182により目標温度が設定されることを指している。
ステップS12においては、情報取得部210は、ステップS11で目標時間設定部181により設定された起床時間と、目標温度設定部182により設定された目標温度とを取得する。続くステップS13において、情報処理部230は、ステップS12で情報取得部210が取得した起床時間から、起床タイマー運転の開始時間を設定する。ここでは、前述したように、情報処理部230は、起床時刻から一定時間T1だけ前の時間を起床タイマー運転の開始時間に決定する。ステップS13の後、処理はステップS14へと進む。
ステップS14においては、情報処理部230は、現在時刻が、ステップS13で設定した起床タイマー運転の開始時間になったか否かを判定する。まだ起床タイマー運転の開始時間になっていない場合、起床タイマー運転の開始時間になるまでステップS14の処理を繰り返しながら待機する。そして、起床タイマー運転の開始時間になれば、処理はステップS15へと進む。
ステップS15においては、前述した床温度検出手段すなわち表面温度センサ170、情報取得部210及び床温度検出部221により、室内の床の表面温度である床温度を検出する。続くステップS16において、情報処理部230は、ステップS15で検出された床温度と、ステップS12で取得された目標温度との差分を算出する。そして、情報処理部230は、この起床タイマー運転開始時の床温度と目標温度との差分に基づいて、起床タイマー運転における暖房手段300の運転内容を決定する。この運転内容は、前述したように、起床時間において床温度を目標温度に到達させることができるものに決定される。ステップS16の後、処理はステップS17へと進む。
ステップS17においては、空調制御部241は、暖房手段300の運転を開始させる。そして、空調制御部241は、ステップS16で決定された運転内容に従って、暖房手段300の動作を制御する。ステップS17の処理が完了すると、起床タイマー運転開始までの一連の動作は終了となる。
次に、この実施の形態の空調機器の変形例について説明する。以上で説明した構成例では、起床タイマー運転開始前での床温度の値によらず、起床タイマー運転開始時間を起床予定時刻から一定時間T1だけ前に設定していた。これに対し、この変形例は、起床タイマー運転開始前での床温度の値によって、起床タイマー運転開始時間を変更するようにしたものである。
すなわち、この変形例においては、例えば、使用者が入力表示部180の目標時間設定部181及び目標温度設定部182を操作して、目標時間(起床予定時刻)と目標温度とが設定されると、まず、情報処理部230は、起床タイマー運転の準備開始時間を決定する。準備開始時間は、例えば、目標時間(起床予定時刻)から予め設定された一定時間T2だけ前の時間に決定される。ここで、時間T2は前述した時間T1よりも長い時間である。つまり、起床タイマー運転の準備開始時間は、前述した構成例の運転開始時間よりも早い時間に設定される。そして、起床タイマー運転の準備開始時間までは、空調機器は待機状態になる。
起床タイマー運転の準備開始時間になったら、前述の床温度検出手段により床温度を検出する。続いて、情報処理部230は、床温度検出手段が検出した床温度と、目標温度設定部182により設定された目標温度との差分を算出する。そして、情報処理部230は、この起床タイマー運転の準備時点での床温度と目標温度の差分に応じて、起床タイマー運転の開始時間を決定する。こうして決定される起床タイマー運転の開始時間は、起床タイマー運転の準備時点での床温度と目標温度の差分が大きいほど早くなる。そして、起床タイマー運転の開始時間までは、空調機器は、起床タイマー運転の待機状態になる。
この変形例における起床タイマー運転での暖房手段300の運転内容は、予め設定されたものでもよいし、準備時点での床温度と目標温度の差分に応じて情報処理部230が決定してもよい。そして、起床タイマー運転の開始時間になったら、空調制御部241は、情報処理部230が決定した運転内容、又は、予め設定された運転内容に従って、暖房手段300の動作を制御する。
次に、以上のような空調機器の変形例における動作の流れの一例について、図7を参照しながら説明する。まず、ステップS21において起床タイマーが設定されると、すなわち、目標時間設定部181により目標時間(起床時間)が設定され、目標温度設定部182により目標温度が設定されると、処理はステップS22へと進む。
ステップS22においては、情報取得部210は、ステップS21で目標時間設定部181により設定された起床時間と、目標温度設定部182により設定された目標温度とを取得する。そして、取得された起床時間から、情報処理部230は、起床タイマー運転の準備開始時間を設定する。ここでは、前述したように、情報処理部230は、起床時刻から一定時間T2だけ前の時間を起床タイマー運転の準備開始時間に決定する。ステップS22の後、処理はステップS23へと進む。
ステップS23においては、情報処理部230は、現在時刻が、ステップS22で決定した起床タイマー運転の準備開始時間になったか否かを判定する。まだ起床タイマー運転の準備開始時間になっていない場合、起床タイマー運転の準備開始時間になるまでステップS23の処理を繰り返しながら待機する。そして、起床タイマー運転の準備開始時間になれば、処理はステップS24へと進む。
ステップS24においては、前述した床温度検出手段すなわち表面温度センサ170、情報取得部210及び床温度検出部221により、室内の床の表面温度である床温度を検出する。続くステップS25において、情報処理部230は、ステップS24で検出された床温度と、ステップS22で取得された目標温度との差分を算出する。そして、情報処理部230は、この起床タイマー運転の準備時点の床温度と目標温度との差分に基づいて、起床タイマー運転の開始時間を設定する。ステップS25の後、処理はステップS26へと進む。
ステップS26においては、情報処理部230は、現在時刻が、ステップS25で設定した起床タイマー運転の開始時間になったか否かを判定する。まだ起床タイマー運転の開始時間になっていない場合、起床タイマー運転の開始時間になるまでステップS26の処理を繰り返しながら待機する。そして、起床タイマー運転の開始時間になれば、処理はステップS27へと進む。
ステップS27においては、空調制御部241は、暖房手段300の運転を開始させる。ステップS27の処理が完了すると、起床タイマー運転開始までの一連の動作は終了となる。
このような変形例においても、前述した制御手段である情報処理部230及び空調制御部241は、目標時間に床温度検出手段が検出した床温度が目標温度に到達しているように暖房手段300を動作させる起床タイマー運転を実施可能である。そして、この起床タイマー運転開始前の床温度に応じて、暖房手段300の運転を開始させるタイミングを変更することで、起床時における床付近の温度を、さらに確実かつ十分に上昇させて起床した使用者の血圧上昇を抑制できる。
なお、以上においては、暖房手段300が空気調和装置の室内機100である場合を例に挙げて説明したが、この例に暖房手段300は限られない。他に例えば、暖房手段300は、石油ファンヒータ、ガスファンヒータ、セラミックファンヒータであってもよい。また、輻射式のオイルヒータ、電気ストーブ、石油ストーブ等とサーキュレータとの組み合わせにより暖房手段300を構成してもよい。
実施の形態2.
図8から図10を参照しながら、本開示の実施の形態2について説明する。図8は空調機器の構成を示すブロック図である。図9は空調機器の制御系統の機能的な構成を示すブロック図である。そして、図10は空調機器の動作例を示すフロー図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、表面温度センサによる床温度の検出に代えて、室内の空気の温度から床温度を推定するようにしたものである。以下、この実施の形態2に係る空調機器について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。以降の説明においては、実施の形態1と同様の又は対応する構成について、原則として実施の形態1の説明で用いたものと同じ符号を付して記載する。
この実施の形態に係る空調機器は、図8及び図9に示すように、吸込温度センサ190を備えている。吸込温度センサ190は、室内機100の筐体110内における吸込口111の近傍に設置されている。吸込温度センサ190は、室内機100の吸込温度を検出する吸込温度検出手段である。吸込温度センサ190が検出する吸込温度は、暖房手段300が室内から吸い込む空気の温度である。そして、この実施の形態においては、情報取得部210は、吸込温度センサ190から吸込温度センサ190の検出結果を取得する。つまり、情報取得部210は、吸込温度センサ190により検出された吸込温度の情報を、吸込温度センサ190から取得する。
また、この実施の形態の空調機器は、図9に示すように、床温度推定部222を備えている。床温度推定部222は、情報取得部210により取得された吸込温度センサ190の検出結果、すなわち、吸込温度センサ190により検出された吸込温度から、室内の床の表面温度を推定する。室内の高さ方向における空気温度分布は、床に近い方が低く、天井に近いほうが高い分布になる。そこで、床温度推定部222は、吸込温度から予め設定された温度値を減じた温度を床温度の推定値として算出する。この際の温度値は、室内における室内機100の設置高さ、室内機100が設置された部屋の構造等に基づき、予め設定される。
情報処理部230は、情報取得部210により取得された各種の情報と、床温度推定部222により算出された床温度の推定値とに基づいて、室内機100が実施する処理内容として、暖房手段300の動作内容と、室内機100が行う報知動作の内容とを決定する。次に、この実施の形態における、情報処理部230による室内機100の処理内容の決定と、この決定内容に応じた空調制御部241による暖房手段300の動作制御及び報知制御部242による報知動作制御、特に起床タイマー運転に係る制御について説明する。
例えば、使用者が入力表示部180の目標時間設定部181及び目標温度設定部182を操作して、目標時間(起床予定時刻)と目標温度とが設定されると、情報処理部230は、目標時間(起床予定時刻)から予め設定された一定時間T1だけ前の時間を起床タイマー運転の開始時間に決定する。そして、起床タイマー運転の開始時間までは、空調機器は、起床タイマー運転の待機状態になる。
起床タイマー運転の開始時間になったら、まず、吸込温度センサ190により吸込温度を検出する。そして、床温度推定部222は、検出された吸込温度センサ190の吸込温度から、室内の床温度を推定する。前述したように、ここでは、床温度推定部222は、吸込温度から予め設定された温度値を減じた温度を床温度の推定値として算出する。
続いて、情報処理部230は、床温度推定部222が推定した床温度と、目標温度設定部182により設定された目標温度との差分を算出する。そして、情報処理部230は、この起床タイマー運転開始時の床温度の推定値と目標温度の差分に基づいて、起床タイマー運転における暖房手段300の運転内容を決定する。
起床タイマー運転における暖房手段300の運転内容は、起床タイマー運転開始時の床温度の推定値と目標温度の差分だけ、目標時間において床温度を上昇させることができるものに決定される。このようにして、この実施の形態の空調機器においては、前述した制御手段である情報処理部230及び空調制御部241は、目標時間に床温度推定部222が推定した床温度が目標温度に到達しているように暖房手段300を動作させる起床タイマー運転を実施可能である。換言すれば、起床タイマー運転においては、制御手段は、目標時間に吸込温度センサ190が検出した吸込温度から予め設定された温度値を減じた温度が目標温度に到達しているように暖房手段を動作させる。
また、情報処理部230は、起床タイマー運転開始時の床温度の推定値と目標温度との差分が予め設定された基準値以上である場合、使用者への報知動作を行うことを決定する。この際に、情報処理部230は、当該報知動作における報知内容も併せて決定してもよい。この場合の報知内容としては、起床タイマー運転開始時の床温度の推定値と目標温度との差分の値とすることが考えられる。そして、情報処理部230により使用者への報知動作を行うことが決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部180等に報知動作を行わせる。
この場合、前述の報知手段は、起床タイマー運転の開始時における目標温度と床温度推定部222が推定した床温度との差が予め設定された基準値以上である場合に報知する。ここで、床温度推定部222が推定した床温度と、吸込温度センサ190が検出した吸込温度との差は、前述した温度値であり常に一定である。そこで、基準値にこの温度値を織り込むことで、報知手段は、起床タイマー運転の開始時における目標温度と吸込温度センサ190が検出した吸込温度との差が予め設定された基準値以上である場合に報知すると換言できる。このようにすることで、起床タイマー運転により起床時の床温度をどれだけ上昇させることができたのかを使用者に知らせ、起床タイマー運転の有効性を使用者にアピールすることができる。
さらに、情報処理部230は、起床タイマー運転開始時の床温度の推定値が予め設定された基準温度以下である場合、使用者への報知動作を行うことを決定してもよい。そして、情報処理部230により使用者への報知動作を行うことが決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部180等に報知動作を行わせる。この場合、前述の報知手段は、起床タイマー運転の開始時における床温度推定部222が推定した床温度が基準温度以下である場合に報知する。また、この際の基準温度に、床温度推定に係る前述の温度値を織り込むことで、報知手段は、起床タイマー運転の開始時における吸込温度センサ190が検出した吸込温度が予め設定された基準温度以下である場合に報知すると換言できる。このようにすることで、起床タイマー運転を行わなかった場合には床温度が低い状態であることを使用者に知らせ、起床タイマー運転の有効性を使用者にアピールすることができる。
次に、以上のように構成された空調機器の動作の流れの一例について、図10を参照しながら説明する。まず、ステップS31において起床タイマーが設定されると、すなわち、目標時間設定部181により目標時間(起床時間)が設定され、目標温度設定部182により目標温度が設定されると、処理はステップS32へと進む。
ステップS32においては、情報取得部210は、ステップS31で目標時間設定部181により設定された起床時間と、目標温度設定部182により設定された目標温度とを取得する。続くステップS33において、情報処理部230は、ステップS32で情報取得部210が取得した起床時間から、起床タイマー運転の開始時間を設定する。ここでは、前述したように、情報処理部230は、起床時刻から一定時間T1だけ前の時間を起床タイマー運転の開始時間に決定する。ステップS33の後、処理はステップS34へと進む。
ステップS34においては、情報処理部230は、現在時刻が、ステップS33で設定した起床タイマー運転の開始時間になったか否かを判定する。まだ起床タイマー運転の開始時間になっていない場合、起床タイマー運転の開始時間になるまでステップS34の処理を繰り返しながら待機する。そして、起床タイマー運転の開始時間になれば、処理はステップS35へと進む。
ステップS35においては、吸込温度センサ190により吸込温度を検出する。続くステップS36において、床温度推定部222は、ステップS35で検出した吸込温度から床温度を推定する。続くステップS37において、情報処理部230は、ステップS36で推定された床温度と、ステップS32で取得された目標温度との差分を算出する。そして、情報処理部230は、起床タイマー運転開始時の床温度の推定値と目標温度との差分に基づいて、起床タイマー運転における暖房手段300の運転内容を決定する。この運転内容は、前述したように、起床時間において床温度の推定値を目標温度に到達させることができるものに決定される。ステップS37の後、処理はステップS38へと進む。
ステップS38においては、空調制御部241は、暖房手段300の運転を開始させる。そして、空調制御部241は、ステップS37で決定された運転内容に従って、暖房手段300の動作を制御する。ステップS38の処理が完了すると、起床タイマー運転開始までの一連の動作は終了となる。
以上のように構成された空調機器によれば、表面温度センサすなわち赤外線センサを備えていなくとも、前述した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。したがって、起床時における床付近の温度を確実かつ十分に上昇させて起床した使用者の血圧上昇を抑制することが可能である。
実施の形態3.
図11を参照しながら、本開示の実施の形態3について説明する。図11は空調機器の制御系統の機能的な構成を示すブロック図である。
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1の表面温度センサと、前述した実施の形態2の吸込温度センサの両方を用いて、起床タイマー運転を行うようにしたものである。以下、この実施の形態3に係る空調機器について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。以降の説明においては、実施の形態1と同様の又は対応する構成について、原則として実施の形態1の説明で用いたものと同じ符号を付して記載する。
この実施の形態に係る空調機器は、図11に示すように、表面温度センサ170と吸込温度センサ190とを備えている。実施の形態1で説明したように表面温度センサ170は、室内の床を含む表面温度を検出する。吸込温度センサ190は、室内機100の吸込温度を検出する吸込温度検出手段である。この実施の形態においては、情報取得部210は、表面温度センサ170の検出結果と吸込温度センサ190の検出結果とを取得する。
また、この実施の形態の空調機器は、床温度検出部221と室内温度算出部223とを備えている。床温度検出部221は、情報取得部210により取得された表面温度センサ170の検出結果、すなわち、表面温度センサ170により検出された表面温度から、室内の床の表面温度を検出する。以上のような表面温度センサ170、情報取得部210及び床温度検出部221は、室内の床の表面温度である床温度を検出する床温度検出手段を構成している。
そして、室内温度算出部223は、床温度検出手段により検出された床温度と、吸込温度センサ190すなわち吸込温度検出手段により検出された吸込温度とから、室内の温度を算出する。例えば、室内温度算出部223は、まず吸込温度と床温度との差を算出する。そして、この差に予め設定された係数を乗じたものを吸込温度から減じることで室内の温度を算出する。この際の係数は、室内における室内機100の設置高さ、室内機100が設置された部屋の構造等に基づき、予め設定される。
情報処理部230は、情報取得部210により取得された各種の情報と、室内温度算出部223により算出された室内の温度とに基づいて、室内機100が実施する処理内容として、暖房手段300の動作内容と、室内機100が行う報知動作の内容とを決定する。次に、この実施の形態における、情報処理部230による室内機100の処理内容の決定と、この決定内容に応じた空調制御部241による暖房手段300の動作制御及び報知制御部242による報知動作制御、特に起床タイマー運転に係る制御について説明する。
例えば、使用者が入力表示部180の目標時間設定部181及び目標温度設定部182を操作して、目標時間(起床予定時刻)と目標温度とが設定されると、情報処理部230は、目標時間(起床予定時刻)から予め設定された一定時間T1だけ前の時間を起床タイマー運転の開始時間に決定する。そして、起床タイマー運転の開始時間までは、空調機器は、起床タイマー運転の待機状態になる。
起床タイマー運転の開始時間になったら、まず、前述の床温度検出手段により床温度を検出するとともに、吸込温度センサ190により吸込温度を検出する。そして、室内温度算出部223は、検出された床温度及び吸込温度から、室内の温度を算出する。続いて、情報処理部230は、室内温度算出部223が算出した室内の温度と、目標温度設定部182により設定された目標温度との差分を算出する。そして、情報処理部230は、この起床タイマー運転開始時の室内の温度と目標温度の差分に基づいて、起床タイマー運転における暖房手段300の運転内容を決定する。
起床タイマー運転における暖房手段300の運転内容は、起床タイマー運転開始時の室内の温度と目標温度の差分だけ、目標時間において床温度を上昇させることができるものに決定される。このようにして、この実施の形態の空調機器においては、前述した制御手段である情報処理部230及び空調制御部241は、目標時間に室内温度算出部223が算出した室内の温度が目標温度に到達しているように暖房手段300を動作させる起床タイマー運転を実施可能である。換言すれば、起床タイマー運転においては、制御手段は、目標時間に、床温度検出手段が検出した床温度と吸込温度センサ190が検出した吸込温度とから算出した室内の温度が目標温度に到達しているように暖房手段を動作させる。
また、情報処理部230は、起床タイマー運転開始時の室内の温度と目標温度との差分が予め設定された基準値以上である場合、使用者への報知動作を行うことを決定する。この際に、情報処理部230は、当該報知動作における報知内容も併せて決定してもよい。この場合の報知内容としては、起床タイマー運転開始時の室内の温度と目標温度との差分の値とすることが考えられる。そして、情報処理部230により使用者への報知動作を行うことが決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部180等に報知動作を行わせる。
この場合、前述の報知手段は、起床タイマー運転の開始時における目標温度と室内温度算出部223が算出した室内の温度との差が予め設定された基準値以上である場合に報知する。このようにすることで、起床タイマー運転により起床時の室内温度をどれだけ上昇させることができたのかを使用者に知らせ、起床タイマー運転の有効性を使用者にアピールすることができる。
さらに、情報処理部230は、起床タイマー運転開始時の室内の温度が予め設定された基準温度以下である場合、使用者への報知動作を行うことを決定してもよい。そして、情報処理部230により使用者への報知動作を行うことが決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部180等に報知動作を行わせる。この場合、前述の報知手段は、起床タイマー運転の開始時における室内温度算出部223が算出した室内の温度が基準温度以下である場合に報知する。このようにすることで、起床タイマー運転を行わなかった場合には室内温度が低い状態であることを使用者に知らせ、起床タイマー運転の有効性を使用者にアピールすることができる。
以上のように構成された空調機器によれば、床温度を考慮に入れて算出した室内の温度が、目標時間すなわち起床予定時刻において目標温度に到達しているように暖房手段300を動作させる起床タイマー運転を実施可能である。このため、前述した実施の形態1又は実施の形態2と同様に、起床時における室内の床温度及び床付近の温度を確実かつ十分に上昇させて起床した使用者の血圧上昇を抑制できる。