本開示に係る空気調和装置を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
実施の形態1.
図1から図12を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。図1は空気調和装置の外観斜視図である。図2は空気調和装置の縦断面図である。図3は空気調和装置が備える表面温度センサの検出範囲を説明する図である。図4は空気調和装置の奥行き方向における表面温度センサの検出範囲を説明する図である。図5は空気調和装置の水平方向における表面温度センサの検出範囲を説明する図である。図6は空気調和装置の構成を示すブロック図である。図7は空気調和装置の制御系統の機能的な構成を示すブロック図である。図8は空気調和装置のエリア設定の一例を示す図である。図9は空気調和装置のエリア設定の別例を示す図である。そして、図10から図12は空気調和装置の動作の一例を示すフロー図である。
この実施の形態における空気調和装置100は、例えば、空気調和機の室内機である。したがって、空気調和装置100は、室内の壁面又は天井面に設置されている。ここでは、空気調和装置100は、室内の壁面に設置されているとする。
図1及び図2に示すように、この実施の形態の空気調和装置100は、筐体110を備えている。空気調和装置100の筐体110は、横長で前面から下面にかけては滑らかな曲面となった略直方体状に形成されている。筐体110の上面部には、吸込口111が形成されている。吸込口111は、外部から筐体110の内部に空気を取り込むための開口である。筐体110の前面下部には、吹出口112が形成されている。吹出口112は、筐体110の内部から外部へと空気を排出するための開口である。筐体110の前面上部は、前面パネル113に覆われている。
吹出口112には、上下風向板131、132、141、142が設けられている。これらの上下風向板は、吹出口112から吹き出す空気の上下方向の吹き出し角度を調整するためのものである。
上下風向板は、空気調和装置100の正面に向かって手前側と奥側とにそれぞれ設置されている。また、手前側と奥側の各上下風向板は、それぞれ左右に分割されている。すなわち、手前側の上下風向板は、空気調和装置100の正面に向かって左側の左手前側上下風向板131と、右側の右手前側上下風向板132とに分割されている。また、奥側の上下風向板は、空気調和装置100の正面に向かって左側の左奥側上下風向板141と、右側の右奥側上下風向板142とに分割されている。
それぞれの上下風向板が左右に分割される位置は、空気調和装置100の正面に向かって長手方向(吹出口112の左右方向)のほぼ中央である。左手前側上下風向板131と右手前側上下風向板132との間には、僅かな隙間が形成されている。同様に、左奥側上下風向板141と右奥側上下風向板142との間にも、僅かな隙間が形成されている。
左手前側上下風向板131、右手前側上下風向板132、左奥側上下風向板141及び右奥側上下風向板142は、それぞれ、吹出口112の左右方向に細長く延びた板状の部材である。また、これらの上下風向板131、132、141、142は、それぞれ、長手方向に垂直な断面が円弧状となるように湾曲している。
上下風向板131、132、141、142は、それぞれが図示しない支持腕を介して筐体110に取り付けられている。それぞれの支持腕は筐体110に対して回転可能に取り付けられている。各支持腕が筐体110に対して回転することで、それぞれの上下風向板の向きを変えることができるようになっている。そして、上下風向板の向きを変えることで、空気調和装置100は、送風方向を上下に変更可能である。
上下風向板のそれぞれの支持腕は、上下風向板用ステッピングモータの駆動により角度を調節できるように設けられている。具体的にここでは、左手前側上下風向板131及び左奥側上下風向板141の向きが、左側上下風向板用ステッピングモータ161により変更される。右手前側上下風向板132及び右奥側上下風向板142の向きが、右側上下風向板用ステッピングモータ162により変更される。
このようにして、吹出口112の左側から吹き出す空気の上下方向の吹き出し角度(送風方向)と、吹出口112の右側から吹き出す空気の上下方向の吹き出し角度(送風方向)とは、別々に調整することができる。なお、左側上下風向板用ステッピングモータ161及び右側上下風向板用ステッピングモータ162は、図1及び図2では図示を省略している。
吹出口112における上下風向板131、132、141、142の奥側には、左右風向板150が設けられている。左右風向板150は、吹出口112から吹き出す空気の左右方向の吹き出し角度を調整するためのものである。左右風向板150は、空気調和装置100の正面に向かって長手方向(吹出口112の左右方向)にわたって並べられた複数の板材により構成されている。左右風向板150は、上下風向板131、132、141、142と同様に、左右風向板用ステッピングモータ163(図1及び図2では図示省略)の駆動により角度を調節できるようにして取り付けられている。
筐体110の内部には、吸込口111から吹出口112へと通じる風路が形成されている。風路における吸込口111の風下側には、熱交換器121が設置されている。熱交換器121は、風路を流れる空気と熱交換して、風路を流れる空気を加熱又は冷却する。空気を加熱するか冷却するかは、空気調和装置100が暖房運転であるか冷房運転であるかによる。具体的には、暖房運転時には熱交換器121は空気を加熱する。一方、冷房運転時には熱交換器121は空気を冷却する。
熱交換器121は、風路を流れる空気を加熱又は冷却することで、当該空気の温度、湿度等を調整し、調和空気を生成する。熱交換器121は、このようにして、吸込口111から吸い込まれた空気と熱交換して調和空気を生成する。なお、暖房運転時には、調和空気として温風が生成され、冷房運転時には、調和空気として冷風が生成される。
風路における熱交換器121の風下側には、送風ファン122が設置されている。送風ファン122は、吸込口111から吹出口112へと向かう空気流を風路中に生成するためのものである。
送風ファン122が動作すると、吸込口111から吹出口112へと向かう空気流が風路中に生成され、吸込口111から空気が吸い込まれ、吹出口112から空気が吹き出される。吸込口111から吸い込まれた空気は、空気調和装置100の内部の風路を、熱交換器121、送風ファン122の順に通過する空気流となり、吹出口112から吹き出す。この際、送風ファン122の風下側に配置された上下風向板131、132、141、142及び左右風向板150により、吹出口112から吹き出される風の方向(送風方向)が調整(変更)される。
送風ファン122、上下風向板131、132、141、142、左右風向板150、上下風向板用ステッピングモータ161、162、及び、左右風向板用ステッピングモータ163は、筐体110に設けられた送風機構を構成している。このように構成された送風機構は、吸込口111から空気を吸い込み吹出口112から調和空気を吹き出す空気流を生成するとともに、吹出口112から吹き出す調和空気の風向を変更可能である。また、送風機構と熱交換器121とで、空調手段300が構成されている。このように構成された空調手段300は、空気調和装置100が設置された室内の空気調和を行う。
空気調和装置100の前面中央には、表面温度センサ170が取り付けられている。ただし、表面温度センサ170の取付位置は、空気調和装置100の前面中央に限られない。表面温度センサ170を、例えば、筐体110の左側又は右側の端部等に取り付けるようにしてもよい。
表面温度センサ170は、例えば、上下方向に並べた複数の赤外線センサ(受光素子)を備えている。ここでは、表面温度センサ170は例えば8個の赤外線センサ(受光素子)を備えているとする。これら8個の赤外線センサのそれぞれは、赤外線の受光及び温度の検出を個別に実行可能な検出素子である。これらの赤外線センサ(受光素子)は、例えば、図3に示すように、円筒状の金属缶171の内部に上下方向に直線状に並んで配置されている。これにより、表面温度センサ170は、室内の温度を互いに高さが異なる8個のエリアに区分して検出する機能を備えている。
これら8個の赤外線センサのそれぞれの検出範囲は、図3に示すように、互いに大きさが等しい四角形状のエリアとして設定されている。また、1個の赤外線センサの配光視野角は、例えば上下方向における縦配光視野角が7°に設定され、左右方向の横配光視野角が8°に設定されている。
それぞれの赤外線センサの配光視野角を合わせた表面温度センサ170全体の配光視野角173は、上下方向に細長いエリアとして設定されている。なお、それぞれの赤外線センサの配光視野角(検出範囲)は、同じ形状、同じ大きさでなくともよい。また、縦配光視野角及び横配光視野角の具体的な値についても、前述した例示に限定されるものではない。さらに、赤外線センサ(受光素子)の個数は8個に限定されるものではなく、表面温度センサ170は、7個以下または9個以上となる任意の個数の赤外線センサ(受光素子)を備えるようにしてもよい。
そして、表面温度センサ170は、センサ用ステッピングモータ172(図1及び図2では図示省略)により上下に並んだ複数の赤外線センサを、予め設定された角度範囲内において左右に向きを変えることができる。このようにすることで、上下に並んだ複数の赤外線センサのそれぞれを左右方向に走査させて、空気調和装置100前方の予め設定された検出範囲(以下、「温度検出対象範囲」という)内について表面温度を検出することができる。
表面温度センサ170は、このような構成により、温度検出対象範囲内を走査して当該範囲内の表面温度分布(熱画像)を非接触で取得する。すなわち、表面温度センサ170は、予め設定された検出範囲内の表面温度を検出する表面温度検出手段を構成している。
表面温度センサ170の検出結果、すなわち、表面温度センサ170により取得した表面温度分布(熱画像)データを、後述する制御装置200等で処理することで、例えば背景との温度差から、室内における人を含む熱源の有無及びその位置、人体の表面温度(皮膚温度)、人の身体の部位(肌の露出部と非露出部、頭部等)等を検出することができる。
また、表面温度センサ170の検出結果に基づいて、室内の人の体感温度も得ることができる。この場合、肌を露出している人体ほど体感温度を検出しやすい。なお、表面温度センサ170に用いる受光素子の画素数が多いほど、表面温度センサ170の検出精度は高くなる。具体的に例えば、30画素以上の画素数を有する受光素子を用いれば、室内の人の位置及び表面温度センサ170から当該人までの距離を精度よく検出することができる。
表面温度センサ170は、温度検出対象範囲を左右に走査しながら温度検出対象の温度を検出する。なお、ここでの左右は、空気調和装置100側から見た場合の左右である。室内の壁及び床の熱画像データ(温度分布データ)を取得する場合、例えば、表面温度センサ170の向きをセンサ用ステッピングモータ172により左右方向に動かし、センサ用ステッピングモータ172の回転(すなわち、表面温度センサ170の向きの回転)を一定角度毎に一定時間だけ停止させる。この際の一定角度は例えば1~5°とする。また、この際の一定時間は例えば0.1~0.2秒とする。そして、表面温度センサ170の向きの変更を停止した後、前記の一定時間(0.1~0.2秒)よりも短い時間だけ待って、表面温度センサ170の8個の受光素子の検出結果(熱画像データ)を取り込む。
表面温度センサ170による検出結果の取り込み終了後、再びセンサ用ステッピングモータ172を前記一定角度だけ回転して再度停止し、同様の動作で表面温度センサ170の検出結果(熱画像データ)を取り込む。このような動作を繰り返し行って、検出範囲内における左右方向の例えば90~100箇所で表面温度センサ170の検出結果を取得する。そして、取得した表面温度センサ170の検出結果から、温度検出対象範囲の熱画像データ(温度分布データ)を得ることができる。
次に、図4及び図5を参照しながら、以上のように構成された表面温度センサ170の検出範囲について説明する。まず、図4は、空気調和装置100から見た奥行き方向における表面温度センサ170の検出範囲を説明する図である。この図4は、空気調和装置100が設置された室内を水平方向から見た状態を示している。この図4では、空気調和装置100が1800mm程度の高さに設置され、空気調和装置100から人体までの距離が3600mm程度の状態を例示している。
表面温度センサ170の検出範囲は、奥行き方向において、赤外線センサ(受光素子)の個数(ここでは8)と等しい複数の領域に区分されている。すなわち、室内の空間は、奥行き方向において、各受光素子の配光視野角に対応する8個の領域に区分されている。そして、区分された個々の領域の広さは、配光視野角の上下方向の広がり角度に応じて設定される。
表面温度センサ170の最も下側の受光素子は、空気調和装置100に最も近い手前側の領域における人体を検出する。そして、表面温度センサ170の上側の受光素子ほど、遠方の領域における人体を検出するように構成されている。
次に、図5は、空気調和装置100から見た左右方向における表面温度センサ170の検出範囲を説明する図である。この図5は、空気調和装置100が設置された室内を上方から見た状態を示している。表面温度センサ170の検出範囲は、左右方向において、表面温度センサ170をセンサ用ステッピングモータ172により回転させる際の前述した一定角度に対する複数の領域に区分されている。
この図5では、表面温度センサ170の左右方向における検出範囲を90°程度に設定する場合を例示している。表面温度センサ170の左右方向における検出範囲は、この角度に限られず、例えば、センサ用ステッピングモータ172により表面温度センサ170を完全に1回転させることができるように構成し、検出範囲を360°に設定してもよい。
なお、表面温度センサ170を他のステッピングモータ等により上下方向にもスイングさせるようにしてもよい。表面温度センサ170の向きを上下方向にも変えることができるようにすることで、水平方向だけでなく上下方向についても詳細な熱画像データを取得することができる。
次に、図6及び図7を参照しながら、空気調和装置100の制御系統の構成について説明する。空気調和装置100は、制御装置200、入力表示部190及び室温センサ180を備えている。制御装置200は、例えばマイクロコンピュータ等を備えた処理回路により構成されている。制御装置200がマイクロコンピュータを備えている場合、制御装置200は、プロセッサ201及びメモリ202を備えている。メモリ202には、制御用のプログラムが記憶されている。プロセッサ201は、メモリ202に記憶されているプログラムを読み出して実行する。
プロセッサ201が制御用のプログラムを実行することで、制御装置200は予め設定された処理を実行して空気調和装置100の動作を制御する。また、特に、メモリ202に記憶されているプログラムをプロセッサ201が実行することで、後述する情報取得部210、皮膚温度検出部221、個人属性検出部222、体動検出部223、位置検出部224、情報処理部230、空調制御部241及び報知制御部242の各部の機能が実現される。
なお、制御装置200の機能を実現する処理回路は、例えば、専用ハードウェアとして形成されていてもよい。また、処理回路は、その一部が専用ハードウェアとして形成され、かつ、さらにプロセッサ201及びメモリ202を備えていてもよい。一部が少なくとも1つの専用ハードウェアである処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ202には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又は磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ201及び少なくとも1つのメモリ202を備える場合、制御装置200の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ202に格納される。前述したように、プロセッサ201は、メモリ202に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、予め設定された処理を実行して制御装置200の機能を実現する。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、制御装置200の機能を実現することができる。なお、空気調和装置100は、単一の制御装置200により動作が制御される構成に限定されるものではない。空気調和装置100は、複数の装置が連携することで動作を制御されてもよい。
室温センサ180は、室温を検出するセンサである。ここでいう室温とは、空気調和装置100が設置された室内の空気の温度である。この実施の形態の室温センサ180は、室内の空気の温度である室温を検出する室温検出手段である。
入力表示部190は、使用者が各種の設定値を入力するためのものであるとともに、使用者に対し各種の情報を表示するためのものである。入力表示部190は、例えば、空気調和装置100のリモートコントローラ(リモコン)である。また、空気調和装置100の制御装置200と通信可能なスマートフォン等の携帯端末により、入力表示部190を構成してもよい。
使用者は、入力表示部190を操作することで、空気調和装置100の電源のON/OFF、運転モード、風向、風量等の設定、選択された運転モードにおける設定温度の変更等を行うことができる。
運転モードには、例えば、冷房モード、暖房モード、除湿モード及び送風モードがある。冷房モードとは、冷房運転を行う運転モード、すなわち、吸込口111から吸い込んだ空気を冷却して、吹出口112から冷気を吹き出す運転モードである。暖房モードとは、暖房運転を行う運転モード、すなわち、吸込口111から吸い込んだ空気を加熱して、吹出口112から暖気を吹き出す運転モードである。除湿モードとは、除湿運転を行う運転モード、すなわち、吸込口111から吸い込んだ空気から水分を除去して吹出口112から除湿空気を吹き出す運転モードである。送風モードとは、送風運転を行う運転モード、吸込口111から吸い込んだ空気の温度も湿度も変化させずに、そのまま吹出口112から吹き出す運転モードである。
制御装置200の入力側には、表面温度センサ170、室温センサ180等を含むセンサ系統が接続されている。制御装置200の出力側には、熱交換器121、送風ファン122、左側上下風向板用ステッピングモータ161、右側上下風向板用ステッピングモータ162、左右風向板用ステッピングモータ163、センサ用ステッピングモータ172等を含む各種のアクチュエータが接続されている。
制御装置200は、センサ系統及び入力表示部190からの入力に基づいて各アクチュエータを駆動し、空気調和装置100の動作を制御する。制御装置200により実行される制御には、例えば、冷房運転、暖房運転、送風動作、表面温度センサ170の走査動作等の制御が含まれる。なお、熱交換器121の制御は、具体的には、熱交換器121に接続された図示しないコンプレッサ及び弁等の動作を制御することで、熱交換器121を含む冷凍サイクル内を流れる冷媒の循環方向及び流量を制御することにより行われる。
次に、図7を参照しながら、この実施の形態に係る空気調和装置100の制御系統の機能的な構成について説明する。同図に示すように、制御装置200は、その機能として、情報取得部210、皮膚温度検出部221、個人属性検出部222、体動検出部223、位置検出部224、情報処理部230、空調制御部241及び報知制御部242の各部を備えている。
情報取得部210は、表面温度センサ170及び室温センサ180から、それぞれセンサの検出結果を取得する。つまり、情報取得部210は、表面温度センサ170により検出された表面温度、及び、室温センサ180により検出された室温の情報を、それぞれのセンサから取得する。
また、情報取得部210は、エリア設定部191により設定されたエリアの情報を入力表示部190から取得する。エリア設定部191は、空気調和装置100の使用者がエリアを設定するためのものである。エリア設定部191は、入力表示部190に設けられている。すなわち、使用者は、入力表示部190であるリモコン、スマートフォン等の端末装置を操作することで、室内におけるエリアを設定できる。この実施の形態のエリア設定部191により設定できるエリアは、第1の領域及び第2の領域の2つの領域である。これらの第1の領域及び第2の領域は、後述する報知動作に関係している。
人体検出部220は、情報取得部210により取得された表面温度センサ170の検出結果、すなわち、表面温度センサ170により検出された表面温度から、室内の人体を検出する。人体検出部220による人体の検出は、例えば、表面温度センサ170により検出された表面温度が予め設定された基準温度以上の各領域の形状、分布(相対位置関係)、面積等を用いて行うことができる。この際の基準温度は、人の体温を考慮して具体的に例えば30℃等に設定される。また、人体の全体の形状を特定した後に人体の全体の形状から人体の一部を特定するようにしてもよいし、直接的に人体の一部を特定するようにしてもよい。
人体の全体の形状を特定する場合には、まず、人体が存在する領域を特定する。人体が存在する領域は、例えば、表面温度が一定温度以上の各領域の形状、分布(相対位置関係)、面積、各領域の温度の相対的な大小関係等を用いて特定することができる。なお、人体が存在する領域を特定すると、当該領域の形状も特定され、すなわち、人体の形状を特定することができる。
また、人体の全体の形状を特定する場合に、人体が存在する領域全体を一度に特定してもよいし、人体が存在する領域を、当該人体の部位毎に個別に特定してもよい。人体の部位毎に存在する領域を個別に特定する場合、例えば、人体の頭部、胸部、腕部、上脚部、下脚部、手及び足の各部位について、各部位が存在する領域をそれぞれ特定する。なお、ここでいう「手」とは、手首よりも先端側の部分を指している。また、ここでいう「足」とは、足首よりも先端側の部分を指している。
この際、特に、表面温度センサ170より検出された表面温度が予め設定された温度以上である部分を、当該人体の頭部、胸部及び腹部の少なくともいずれかが存在する領域として特定するようにしてもよい。また、人体の各部位が存在する領域を特定する際に、それぞれの部位の温度、位置及び着衣状態についても特定するようにしてもよい。「着衣状態」とは、当該部位の肌が衣服等により覆われているのか、それとも露出されているのかに関する状態のことである。
皮膚温度検出部221は、人体検出部220の人体検出結果を用いて、検出された人体の表面温度すなわち皮膚温度を検出する。具体的には、皮膚温度検出部221は、人体検出部220により検出された人体が存在する領域における表面温度を、情報取得部210により取得された表面温度センサ170の検出結果から特定することで、当該人体の皮膚温度を検出する。この際、人体検出部220が人体の肌の露出部を検出している場合には、皮膚温度検出部221は、人体の肌の露出部の表面温度を当該人体の皮膚温度として検出するとよい。このようにすることで、人の皮膚温度を、より精度よく検出できる。以上のような表面温度センサ170、情報取得部210、人体検出部220及び皮膚温度検出部221は、室内に存在する人の皮膚温度を検出する皮膚温度検出手段を構成している。
個人属性検出部222は、室内の人の個人属性を検出するものである。個人属性検出部222が検出する個人属性には、少なくとも、当該個人の年齢層が含まれている。ここで説明する構成例では、個人属性検出部222は、個人属性として当該個人の年齢層を検出する。年齢層は、具体的に例えば、低年齢の子ども及び大人の2つに分ける。大人の年齢層について、さらに高齢者の年齢層を設けてもよい。個人属性検出部222は、例えば、人体検出部220の検出結果を用いて、使用者の属性、ここでは、使用者の年齢層を検出する。
個人属性検出部222は、例えば、人体検出部220により検出された人体が存在する領域から、人のシルエット形状、大きさ、動作、動きの速度等を検出する。そして、これらの情報に基づいて、当該人が、子ども、大人又は高齢者のいずれであるのか検出する。以上のような表面温度センサ170、情報取得部210、人体検出部220及び個人属性検出部222は、室内に存在する人の少なくとも年齢層を含む個人属性を検出する個人属性検出手段を構成している。
なお、個人属性検出部222は、皮膚温度検出部221の検出結果から当該人の皮膚温度の値及びその変化量を求め、これらの情報も用いて当該人の属性を検出するようにしてもよい。さらに、1日又は1週間等における時間帯毎の在・不在状態を学習することにより人の属性を検出することも可能である。
また、個人属性検出部222は、表面温度センサ170の他に、例えば、超音波センサ、可視画像を撮影するカメラ、音声を取得するマイク等を用いて、個人属性を検出するようにしてもよい。カメラを用いた場合、例えば、カメラが撮影した画像を解析し、顔認認技術を活用して個人属性を検出することができる。また、マイクを用いた場合、例えば、マイクに入力された音声の周波数等から、個人属性を検出するようにしてもよい。
さらには、室内の人が身に着けているウェアラブル機器又は所持するスマート機器と連携することで、当該人の個人属性に関する情報を取得する、又は、当該人の個人認証を行うこと等により、当該人の個人属性を検出することもできる。また、室内の人の個人認証を行う場合には、指紋、静脈パターン、目の虹彩パターン等の生体認証技術を活用してもよい。
体動検出部223は、室内の人の体動を検出するものである。体動検出部223は、人体検出部220の人体検出結果を用いて、検出された人体の動きすなわち体動を検出する。この実施の形態の表面温度センサ170、情報取得部210、人体検出部220及び体動検出部223は、室内に存在する人の体動を検出する体動検出手段を構成している。
位置検出部224は、室内の人の位置を検出するものである。体動検出部223は、人体検出部220の人体検出結果を用いて、検出された人体の室内における位置を検出する。この実施の形態の表面温度センサ170、情報取得部210、人体検出部220及び位置検出部224は、室内に存在する人の位置を検出する位置検出手段を構成している。
情報処理部230は、情報取得部210により取得された各種の情報と、皮膚温度検出部221、個人属性検出部222、体動検出部223及び位置検出部224のそれぞれの検出結果とに基づいて、空気調和装置100が実施する処理の内容を決定する。ここでは、特に、情報処理部230は、空気調和装置100が実施する処理内容として、空調手段300の動作内容と、空気調和装置100が行う報知動作の内容とを決定する。
空調制御部241は、前述した空調手段300、すなわち、送風機構が備える送風ファン122、左側上下風向板用ステッピングモータ161、右側上下風向板用ステッピングモータ162及び左右風向板用ステッピングモータ163、並びに、熱交換器121の動作を制御する。空調制御部241による空調手段300の動作制御は、情報処理部230により決定された処理内容に従って行われる。すなわち、この実施の形態において、情報処理部230及び空調制御部241は、空調手段300の動作を制御する制御手段を構成している。
報知制御部242は、空気調和装置100の報知動作を制御する。空気調和装置100の報知動作は、例えば、入力表示部190により行われる。入力表示部190が、前述したリモコン、端末装置である場合、これらが備えるスピーカでブザー音又は音声メッセージを鳴らしたり、これらが備える表示部にメッセージを表示させたりすることで、報知を行うことができる。この場合、報知制御部242は、情報処理部230により決定された処理内容に従って入力表示部190の動作を制御することで、空気調和装置100の報知動作を制御する。
また、空気調和装置100の筐体110に、音声報知用のスピーカ及び光での報知用のLED(発光ダイオード)の一方又は両方を備えていてもよい。この場合、報知制御部242は、情報処理部230により決定された処理内容に従って筐体110のスピーカ、LEDの動作を制御することで、空気調和装置100の報知動作を制御する。空調制御部241による空調手段300の動作制御は、情報処理部230により決定された処理内容に従って行われる。このように、空気調和装置100は、情報処理部230及び報知制御部242を含む報知手段を備えている。
なお、報知手段による報知の対象者は、空気調和装置100が設置された室内の在室者に限られない。報知手段は、例えばスマートフォン等の端末装置を用いることで、室外にいる者、離れて暮らす家族等の在室者以外の者に報知できるようにしてもよい。
次に、情報処理部230による空気調和装置100の処理内容の決定と、この決定内容に応じた空調制御部241による空調手段300の動作制御及び報知制御部242による報知動作制御について、より詳しく説明する。まず、皮膚温度検出部221の検出結果に応じた空気調和装置100の処理内容について説明する。情報処理部230は、室温センサ180により検出された室温と、個人属性検出部222により検出された室内の人の個人属性とに応じて、皮膚温度上限値及び皮膚温度下限値を設定する。
情報処理部230が設定する皮膚温度上限値には、第1の皮膚温度上限値と第2の皮膚温度上限値の2つがある。第2の皮膚温度上限値は、第1の皮膚温度上限値より高い値に設定される。また、情報処理部230が設定する皮膚温度下限値にも、第1の皮膚温度下限値と第2の皮膚温度下限値の2つがある。第2の皮膚温度下限値は、第1の皮膚温度下限値より低い値に設定される。なお、第1の皮膚温度下限値は、第1の皮膚温度上限値よりも低い値に設定される。
室温センサ180により検出された室温が高いほど、第1の皮膚温度上限値、第2の皮膚温度上限値、第1の皮膚温度下限値及び第2の皮膚温度下限値のそれぞれは高くなるように設定される。逆に、室温センサ180により検出された室温が低いほど、第1の皮膚温度上限値、第2の皮膚温度上限値、第1の皮膚温度下限値及び第2の皮膚温度下限値のそれぞれは低くなるように設定される。
また、個人属性検出部222により検出された室内の人の個人属性が子どもである場合、個人属性が大人である場合よりも、第1の皮膚温度上限値、第2の皮膚温度上限値、第1の皮膚温度下限値及び第2の皮膚温度下限値のそれぞれは高くなるように設定される。逆に言えば、個人属性検出部222により検出された室内の人の個人属性が大人である場合、個人属性が子どもである場合よりも、第1の皮膚温度上限値、第2の皮膚温度上限値、第1の皮膚温度下限値及び第2の皮膚温度下限値のそれぞれは低くなるように設定される。
例えば、室温及び個人属性に応じたこれらの皮膚温度上限値及び皮膚温度下限値のそれぞれの具体的な値のデータテーブルは、制御装置200に予め記憶されている。この場合、情報処理部230は、室温センサ180及び個人属性検出部222の検出結果に応じた皮膚温度上限値及び皮膚温度下限値のそれぞれの値をデータテーブルから読み出して設定できる。
情報処理部230は、このようにして設定した皮膚温度上限値及び皮膚温度下限値と、皮膚温度検出部221により検出された室内の人の皮膚温度とを比較することで、空気調和装置100の処理内容を決定する。まず、情報処理部230は、皮膚温度検出部221により検出された室内の人の皮膚温度が第1の皮膚温度上限値以上の場合、空調手段300の動作内容を体感温度低下運転に決定する。体感温度低下運転とは、室内の人の体感温度を低下させる運転である。体感温度低下運転の内容は、予め設定されている。体感温度低下運転の具体的な内容としては、例えば、以下のうちのいずれか1つ、又は、複数の組み合わせが考えられる。
・冷房運転、除湿運転又は送風運転を開始する
・暖房運転を停止する
・冷房運転又は暖房運転の設定温度を低くする
・除湿運転の設定湿度を低くする
・冷房運転又は送風運転の風量を大きくする
・暖房運転の風量を小さくする
・冷房運転又は送風運転の風向を当該人に向ける(いわゆる「人あて」)
・暖房運転の風向を当該人とは異なる方にむける(いわゆる「人よけ」)
情報処理部230は、皮膚温度検出部221により検出された室内の人の皮膚温度が第1の皮膚温度下限値以下の場合、空調手段300の動作内容を体感温度上昇運転に決定する。体感温度上昇運転とは、室内の人の体感温度を上昇させる運転である。体感温度上昇運転の内容は、予め設定されている。体感温度上昇運転の具体的な内容としては、例えば、以下のうちのいずれか1つ、又は、複数の組み合わせが考えられる。
・冷房運転、除湿運転又は送風運転を停止する
・暖房運転を開始する
・冷房運転又は暖房運転の設定温度を高くする
・除湿運転の設定湿度を高くする
・冷房運転又は送風運転の風量を小さくする
・暖房運転の風量を大きくする
・冷房運転又は送風運転の風向を当該人とは異なる方にむける(いわゆる「人よけ」)
・暖房運転の風向を当該人に向ける(いわゆる「人あて」)
そして、空調制御部241は、情報処理部230により空調手段300の動作内容が体感温度低下運転に決定された場合、この決定内容に従って、空調手段300を体感温度低下運転で動作させる。したがって、前述の制御手段は、室温及び人の個人属性に応じて第1の皮膚温度上限値を設定し、当該人の皮膚温度が第1の皮膚温度上限値以上の場合に空調手段300を体感温度低下運転で動作させる。このようにすることで、人の皮膚温度が高い場合に、当該人が暑さを感じていると判断して、暑さによる不快感の解消、熱中症の予防を図り、快適性を向上させることが可能である。
また、空調制御部241は、情報処理部230により空調手段300の動作内容が体感温度上昇運転に決定された場合、この決定内容に従って、空調手段300を体感温度上昇運転で動作させる。したがって、前述の制御手段は、室温及び人の個人属性に応じて第1の皮膚温度下限値を設定し、当該人の皮膚温度が第1の皮膚温度下限値以下の場合に空調手段300を体感温度上昇運転で動作させる。このようにすることで、人の皮膚温度が低い場合に、当該人が寒さを感じていると判断して、寒さによる不快感の解消、風邪の予防を図り、快適性を向上させることが可能である。
次に、情報処理部230は、皮膚温度検出部221により検出された室内の人の皮膚温度が第2の皮膚温度上限値以上の場合、又は、第2の皮膚温度下限値以下の場合、報知動作内容を第1の報知態様での報知に決定する。ここで、第1の報知態様は、報知手段により可能な報知動作の種類に応じて予め設定されている。そして、情報処理部230により報知動作内容が第1の報知態様に決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部190等に第1の報知態様での報知動作を行わせる。したがって、前述の報知手段は、室内の人の皮膚温度が第2の皮膚温度上限値以上の場合に第1の報知態様で報知する。このようにすることで、空調手段300を体感温度低下運転で動作させてもなお、室内の人の皮膚温度が低下せずに上昇した場合に、報知により注意を喚起できる。
また、前述の報知手段は、室内の人の皮膚温度が第2の皮膚温度下限値以下の場合にも第1の報知態様で報知する。このため、空調手段300を体感温度上昇運転で動作させてもなお、室内の人の皮膚温度が上昇せずに低下した場合に、報知により注意を喚起できる。
次に、体動検出部223の検出結果に応じた空気調和装置100の処理内容について説明する。情報処理部230は、個人属性検出部222により検出された室内の人の個人属性に応じて、体動基準回数を設定する。個人属性検出部222により検出された室内の人の個人属性が子どもである場合、個人属性が大人である場合よりも、体動基準回数は多くなるように設定される。逆に言えば、個人属性検出部222により検出された室内の人の個人属性が大人である場合、個人属性が子どもである場合よりも、体動基準回数は少なくなるように設定される。
情報処理部230は、体動検出部223により検出された室内の人の体動の回数を計数する。そして、情報処理部230は、計数した室内の人の体動回数が当該人について設定した体動基準回数以下の場合に、空気調和装置100の処理内容として報知を行うことを決定する。報知を行うことが情報処理部230により決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部190等に報知動作を行わせる。したがって、前述の報知手段は、室内の人の体動回数が体動基準回数以下の場合に報知する。このようにすることで、特に在室者の睡眠中等に当該在室者が無呼吸状態、衰弱している状態であると判断して、報知により注意を喚起できる。
また、この実施の形態の情報処理部230は、体動検出部223により検出された室内の人の体動回数が体動基準回数以下の場合であって、さらに、皮膚温度検出部221により検出された当該人の皮膚温度が第2の皮膚温度上限値以上の場合、又は、第2の皮膚温度下限値以下の場合、報知動作内容を第2の報知態様での報知に決定する。
第2の報知態様は、前述した第1の報知態様とは異なる態様に予め設定されている。さらにいえば、第2の報知態様は、第1の報知態様よりも重大度が高い報知態様である。重大度が高い報知態様とは、例えば、ブザー音による報知であれば音量がより大きい報知態様である。また、他に例えば、メッセージによる報知であれば、より緊急性等の高い内容のメッセージを報知するものである。
そして、情報処理部230により報知動作内容が第2の報知態様に決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部190等に第2の報知態様での報知動作を行わせる。したがって、前述の報知手段は、室内の人の皮膚温度が第2の皮膚温度上限値以上、かつ、当該人の体動回数が体動基準回数以下の場合に、第2の報知態様で報知する。または、報知手段は、室内の人の皮膚温度が第2の皮膚温度下限値以下、かつ、当該人の体動回数が体動基準回数以下の場合に、第2の報知態様で報知する。このように、皮膚温度の条件と体動回数の条件の両方により報知する際に、皮膚温度の条件のみの場合とは異なる報知態様とすることで、重篤な症状である可能性を報知に含意し、より強く注意を喚起できる。
また、この実施の形態の情報処理部230は、個人属性検出部222により検出された室内の人の個人属性に応じて、基準時間を設定する。個人属性検出部222により検出された室内の人の個人属性が子どもである場合、個人属性が大人である場合よりも、基準時間は短くなるように設定される。逆に言えば、個人属性検出部222により検出された室内の人の個人属性が大人である場合、個人属性が子どもである場合よりも、基準時間は長くなるように設定される。
情報処理部230は、体動検出部223により室内の人の体動が、当該人について設定された基準時間以上検出されない場合に、空気調和装置100の処理内容として報知を行うことを決定する。情報処理部230により報知を行うことが決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部190等に報知動作を行わせる。したがって、前述の報知手段は、室内の人の体動が基準時間以上検出されない場合に報知する。このようにすることで、特に在室者の睡眠中等に当該在室者が無呼吸状態、衰弱している状態であると判断して、報知により注意を喚起できる。
次に、位置検出部224の検出結果に応じた空気調和装置100の処理内容について説明する。前述したように、この実施の形態においては、エリア設定部191により第1の領域及び第2の領域の2つの領域を予め設定できる。そして、この実施の形態の空気調和装置100は、位置検出部224により検出された室内の人の位置が、第1の領域内の場合、及び、第2の領域内の場合に報知動作を行う。そして、第1の領域は、第2の領域の周部に沿って第2の領域に隣接した領域として設定される。
図8及び図9を参照しながら、第1の領域及び第2の領域について具体例を挙げて説明する。これらの図に示すように、第1の領域11及び第2の領域12は、空気調和装置100が設置された部屋1の内部に設定される。
図8の例では、部屋1の内部にベッド2が置かれている。同図の例は、ベッド2に寝ている例えば乳幼児、高齢者等の監視対象者がベッド2から落下していないかを監視するためのエリア設定例である。この例では、ベッド2の端から一定距離の範囲内に、矩形帯状を呈する第1の領域11が設定されている。また、ベッド2から見て第1の領域11の外側に、矩形帯状を呈する第2の領域12が設定されている。第1の領域11は、第2の領域12の周部に沿い、かつ、第2の領域12に隣接した領域である。すなわち、この例では、第2の領域12はベッド2を包囲しており、第1の領域11は、第2の領域12のベッド2側の境界から一定距離以内の範囲として設定されている。つまり、この例では、第2の領域12は監視対象者がベッド2から完全に落下したと見なせる領域である。そして、第1の領域11は、その手前の段階の領域である。
図9の例では、部屋1には、部屋1に出入りするためのドア3が設けられている。同図の例は、部屋1内の例えば乳幼児、高齢者等の監視対象者が、不用意にドア3から部屋1の外に出ていこうとしないかを監視するためのエリア設定例である。この例では、ドア3を中心にした半径一定の半円形状に第2の領域12が設定されている。また、ドア3から見て第2の領域12の外側に、半円形帯状を呈する第1の領域11が設定されている。第1の領域11は、第2の領域12の周部に沿い、かつ、第2の領域12に隣接した領域である。すなわち、この例では、第2の領域12はドア3から一定距離以内の範囲として設定され、第1の領域11は、第2の領域12のドア3とは反対側の境界からさらに一定距離以内の範囲として設定されている。つまり、この例では、第2の領域12は監視対象者がドア3に完全に接近したと見なせる領域である。そして、第1の領域11は、その手前の段階の領域である。
空気調和装置100の使用者は、入力表示部190のエリア設定部191を操作することで、以上で説明したような第1の領域11及び第2の領域12を予め設定しておくことができる。そして、この実施の形態では、情報処理部230は、位置検出部224により検出された室内の人の位置が、エリア設定部191により設定された第1の領域11内であるか否かを判定する。検出された室内の人の位置が第1の領域11内であれば、情報処理部230は、報知動作内容を第1の領域報知態様での報知に決定する。
ここで、第1の領域報知態様は、報知手段により可能な報知動作の種類に応じて予め設定されている。そして、情報処理部230により報知動作内容が第1の領域報知態様に決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部190等に第1の領域報知態様での報知動作を行わせる。したがって、前述の報知手段は、室内の人の位置が第1の領域内の場合に第1の領域報知態様で報知する。このようにすることで、例えばベッド2上、部屋1内等の安全な領域から出てしまう可能性が高くなる領域に監視対象者が近づいた場合に、報知により注意を喚起できる。
また、情報処理部230は、位置検出部224により検出された室内の人の位置が、エリア設定部191により設定された第2の領域12内であるか否かを判定する。検出された室内の人の位置が第2の領域12内であれば、情報処理部230は、報知動作内容を第2の領域報知態様での報知に決定する。
第2の領域報知態様は、前述した第1の領域報知態様とは異なる態様に予め設定されている。さらにいえば、第2の領域報知態様は、第1の領域報知態様よりも重大度が高い領域報知態様である。重大度が高い領域報知態様とは、例えば、ブザー音による報知であれば音量がより大きい領域報知態様である。また、他に例えば、メッセージによる報知であれば、より緊急性等の高い内容のメッセージを報知するものである。なお、第1の領域領域報知態様及び第2の領域領域報知態様は、前述した第1の領域報知態様、第2の領域報知態様と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
そして、情報処理部230により報知動作内容が第2の領域報知態様に決定された場合、この決定内容に従って、報知制御部242は入力表示部190等に第2の領域報知態様での報知動作を行わせる。したがって、前述の報知手段は、室内の人の位置が第2の領域内の場合に第2の領域報知態様で報知する。
このようにすることで、例えばベッド2上、部屋1内等の安全な領域から出てしまう、あるいは既に出てしまっている可能性が、第1の領域よりさらに高くなる第2の領域内に監視対象者が入った場合に、報知により注意を喚起できる。この際、監視対象者の位置が第1の領域内で検出されたときとは異なる報知態様とすることで、前述の安全な領域から監視対象者が出てしまう、あるいは既に出てしまっている可能性が、さらに高まった旨を報知に含意し、より強く注意を喚起できる。
なお、室内の人の皮膚温度、位置、体動を検出するために、表面温度センサ170と他の検出機器を併用する構成としてもよい。具体例を挙げると、人の室内の人が身に着けているウェアラブル機器に、当該人の皮膚温度を検出するセンサを備えてもよい。また、カメラ、超音波センサ等を用いて人体の位置、形状、体動及び人体までの距離を検出する構成としてもよい。または、フレネルレンズを用いた焦電センサを用いて、室内の左右方向及び空気調和装置100からみた奥行き方向(前後方向)における人体の位置を検出する構成としてもよい。
次に、以上のように構成された空気調和装置100の動作の流れの一例について、図10から図12を参照しながら説明する。まず、図10に示すのは、室内の人の皮膚温度に応じた空気調和装置100の動作の流れである。ステップS1において、室温センサ180が室温を検出し、情報取得部210は、室温センサ180が検出した室温を取得する。また、ステップS2において、表面温度センサ170が室内の表面温度を検出し、情報取得部210は、表面温度センサ170が検出した表面温度を取得する。そして、人体検出部220は、取得した表面温度から室内の人を検出する。
ステップS3において、ステップS2で表面温度から検出された人の個人属性を個人属性検出部222が検出する。ステップS4においては、ステップS1で取得した室温とステップS3で検出した個人属性とに応じて、情報処理部230が第1の皮膚温度上限値、第2の皮膚温度上限値、第1の皮膚温度下限値及び第2の皮膚温度下限値を設定する。ステップS5において、ステップS2で表面温度から検出された人の皮膚温度を皮膚温度検出部221が検出する。
ステップS6においては、ステップS5で検出した皮膚温度とステップS4で設定した第1の皮膚温度上限値及び第1の皮膚温度下限値とを情報処理部230が比較する。そして、情報処理部230は、皮膚温度が第1の皮膚温度上限値以上、又は、第1の皮膚温度下限値以下か否かを判定する。皮膚温度が第1の皮膚温度上限値以上でなく、かつ、第1の皮膚温度下限値以下でもない場合、処理はステップS2に戻る。一方、皮膚温度が第1の皮膚温度上限値以上であれば、情報処理部230は空調手段300の動作内容を体感温度低下運転に決定し、処理はステップS7へと進む。また、皮膚温度が第1の皮膚温度下限値以下であれば、情報処理部230は空調手段300の動作内容を体感温度上昇運転に決定し、処理はステップS7へと進む。
ステップS7においては、ステップS6で決定された動作内容に従って空調制御部241が空調手段300を動作させる。すなわち、皮膚温度が第1の皮膚温度上限値以上だったなら、空調制御部241は空調手段300を体感温度低下運転で動作させる。また、皮膚温度が第1の皮膚温度下限値以下だったなら、空調制御部241は空調手段300を体感温度上昇運転で動作させる。ステップS7の後、処理はステップS8へと進む。
ステップS8においては、ステップS5で検出した皮膚温度とステップS4で設定した第2の皮膚温度上限値及び第2の皮膚温度下限値とを情報処理部230が比較する。そして、情報処理部230は、皮膚温度が第2の皮膚温度上限値以上、又は、第2の皮膚温度下限値以下か否かを判定する。皮膚温度が第2の皮膚温度上限値以上でなく、かつ、第2の皮膚温度下限値以下でもない場合、処理はステップS2に戻る。一方、皮膚温度が第2の皮膚温度上限値以上であるか、又は、第2の皮膚温度下限値以下である場合、情報処理部230は、報知動作内容を第1の報知態様での報知に決定し、処理はステップS9へと進む。
ステップS9においては、ステップS8での決定内容に従って、報知制御部242が入力表示部190等に第1の報知態様での報知動作を行わせる。ステップS9の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
次に、図11に示すのは、室内の人の体動に応じた空気調和装置100の動作の流れである。ステップS11において、表面温度センサ170が室内の表面温度を検出し、情報取得部210は、表面温度センサ170が検出した表面温度を取得する。そして、人体検出部220は、取得した表面温度から室内の人を検出する。
ステップS12において、ステップS11で表面温度から検出された人の個人属性を個人属性検出部222が検出する。ステップS13においては、ステップS12で検出した個人属性に応じて情報処理部230が体動基準回数及び基準時間を設定する。また、ステップS14において、ステップS11で表面温度から検出された人の体動を体動検出部223が検出する。さらに、ステップS15において、ステップS11で表面温度から検出された人の皮膚温度を皮膚温度検出部221が検出する。
ステップS16においては、ステップS14で検出した体動の回数がステップS13で設定した体動基準回数以上であるか又は、体動が検出されない状態がステップS13で設定した基準時間以上継続しているかを情報処理部230が判定する。体動の回数が体動基準回数以上でなく、かつ、体動が検出されない状態が基準時間以上継続していない場合には、処理はステップS11に戻る。一方、体動の回数が体動基準回数以上である場合、又は、体動が検出されない状態が基準時間以上継続している場合、情報処理部230は、空気調和装置100の処理内容として報知を行うことを決定し、処理はステップS17へと進む。
ステップS17においては、ステップS16で決定された動作内容に従って報知制御部242が入力表示部190等に報知動作を行わせる。ステップS17の後、処理はステップS18へと進む。
ステップS18においては、ステップS15で検出した皮膚温度とステップS13で設定した第2の皮膚温度上限値及び第2の皮膚温度下限値とを情報処理部230が比較する。そして、情報処理部230は、皮膚温度が第2の皮膚温度上限値以上、又は、第2の皮膚温度下限値以下か否かを判定する。皮膚温度が第2の皮膚温度上限値以上でなく、かつ、第2の皮膚温度下限値以下でもない場合、処理はステップS11に戻る。一方、皮膚温度が第2の皮膚温度上限値以上であるか、又は、第2の皮膚温度下限値以下である場合、情報処理部230は、報知動作内容を第2の報知態様での報知に決定し、処理はステップS19へと進む。
ステップS19においては、ステップS18での決定内容に従って、報知制御部242が入力表示部190等に第2の報知態様での報知動作を行わせる。ステップS19の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
図12に示すのは、室内の人の位置に応じた空気調和装置100の動作の流れである。ステップS21において、エリア設定部191が、第1の領域11及び第2の領域12を設定する。設定された第1の領域11及び第2の領域12の情報は、情報取得部210により取得される。ステップS22において、表面温度センサ170が室内の表面温度を検出し、情報取得部210は、表面温度センサ170が検出した表面温度を取得する。そして、人体検出部220は、取得した表面温度から室内の人を検出する。ステップS23において、ステップS22で表面温度から検出された人の位置を位置検出部224が検出する。
ステップS24においては、ステップS23で検出した人の位置がステップS21で設定された第1の領域11内であるか否かを情報処理部230が判定する。検出された人の位置が第1の領域11内でない場合には、処理はステップS22に戻る。一方、検出された人の位置が第1の領域11内である場合、情報処理部230は、報知動作内容を第1の領域報知態様での報知に決定し、処理はステップS25へと進む。
ステップS25においては、ステップS24での決定内容に従って、報知制御部242が入力表示部190等に第1の領域報知態様での報知動作を行わせる。ステップS25の後、処理はステップS26へと進む。
ステップS26においては、ステップS23で検出した人の位置がステップS21で設定された第2の領域12内であるか否かを情報処理部230が判定する。検出された人の位置が第2の領域12内でない場合には、処理はステップS22に戻る。一方、検出された人の位置が第2の領域12内である場合、情報処理部230は、報知動作内容を第2の領域報知態様での報知に決定し、処理はステップS27へと進む。
ステップS27においては、ステップS26での決定内容に従って、報知制御部242が入力表示部190等に第2の領域報知態様での報知動作を行わせる。ステップS27の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
以上のように構成された空気調和装置100は、室温と個人属性に応じて皮膚温度上限値及び皮膚温度下限値を設定し、検出した皮膚温度が皮膚温度上限値以上である場合に体感温度を低下させるように空調手段300を動作させ、検出した皮膚温度が皮膚温度下限値以下である場合に体感温度を上昇させるように空調手段300を動作させる。そして、このような空調手段の動作にもかかわらず皮膚温度が改善しなかった場合には、報知を行う。このため、室内の温度環境による健康状態の異変が生じた場合には報知により注意を喚起することができるとともに、健康状態の異変の予防を図ることが可能である。