JP7493230B2 - 吸気マニホールド及び船外機 - Google Patents
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Description
また、他の船外機としては、エンジン、エンジンホルダ、ドライブシャフトハウジング、プロペラ、船体へ取り付けるブラケット装置、エンジンカバー等を備え、エンジンが、外気ダクト、消音器、スロットルボデー、吸気マニホールドを含む吸気系、吸気マニホールドとエンジン本体の間に配置された遮熱部材を備えたものが知られている(例えば、特許文献2)。
さらに、他の船外機としては、エンジン、エンジンホルダ、ドライブシャフトハウジング、プロペラ、船体へ取り付けるブラケット装置、エンジンカバー、シフト用の電動アクチュエータ等を備え、エンジンが、サイレンサボックス、サージタンク、スロットルボデー、吸気マニホールドを含む吸気系を備えたものが知られている(例えば、特許文献3)。
そして、吸気マニホールドは、複数の分岐管が鉛直方向に配列されるように方向付けされてエンジンに固定され、外側からエンジンカバーで覆われている。
しかしながら、サージタンクを単に扁平に形成すると、サージタンクを形成する平らな輪郭壁の機械的強度が低くなり耐圧強度が低下する虞がある。また、サージタンクに流れ込んだ吸気が各々の分岐管に流れる際に通路抵抗が増加し、又、各々の分岐管に一様に吸気が流れ込まない虞がある。
本発明に係る吸気マニホールドは、樹脂材料を用いて形成され、エンジンの吸気系において吸気ダクトの下流に位置するスロットルボデーとエンジン本体のシリンダヘッドとの間に配置されるものであり、ここでは、一実施形態として船外機のエンジンに適用される場合について説明する。
ここでは、説明の便宜上、船外機が船体に装着された直立方向を鉛直方向Z、船外機の幅方向を水平方向X、推進力が生じる前後方向を水平方向Yで示す。
吸気系は、外気導入ダクト、スロットルボデー、吸気マニホールドMを備えている。尚、吸気系は、必要に応じて、レゾネータ、消音器を備えていてもよい。
サージタンクTは、内部空間Sを画定し、分岐管P1,P2,P3,P4は、それぞれ吸気通路p1,p2,p3,p4を画定している。
吸気マニホールドMのサージタンクTは、図2に示すように、船外機の幅方向(水平方向X)においてエンジンカバー3と隣接して配置されるため、鉛直方向Zに延在する、すなわち、四つの分岐管P1~P4が配列される面方向に延在する扁平な輪郭をなすように形成されている。
内壁面11aは、図6ないし図8に示すように、内部空間Sに向けて突出する三つの突条部13a,13b,13cを備えている。
外壁面11bは、エンジンカバー3と僅かな隙間をおいて対向するため、図3及び図5に示すように、補強リブ等が無く平坦に形成されている。
外周壁12は、第1延在壁11の外縁領域から屈曲し、外周壁22と協働して、第1延在壁11と第2延在壁21の外縁領域を連結して閉塞するように形成されている。
また、突条部13aの下流端13a1と分岐壁15aの上流端15a1とは、突条部13aの伸長方向において、隙間C1をおいて対向するように形成されている。
また、突条部13bの下流端13b1と分岐壁15bの上流端15b1とは、突条部13bの伸長方向において、隙間C1をおいて対向するように形成されている。
また、突条部13cの下流端13c1と分岐壁15cの上流端15c1とは、突条部13cの伸長方向において、隙間C2をおいて対向するように形成されている。
具体的には、第1延在壁11の板厚をThとするとき、突条部13a,13b,13cは、幅寸法Wが板厚の二倍(2Th)程度、内壁面11aからの突出高さHが板厚と同等(Th)程度となる断面形態に形成されている。
そして、図8に示すように、近接突条部としての突条部13cの下流端13c1と分岐壁15cの上流端15c1との隙間C2は、三つの突条部13a,13b,13cのうち突条部13cを除く他の突条部13a,13bの下流端13a1,13b1と分岐壁15a,15bの上流端15a1,15b1との隙間C1よりも大きく設定されている。
通路壁14bは、通路壁24bと協働して、吸気通路p2を画定する分岐管P2を形成する。
通路壁14cは、通路壁24cと協働して、吸気通路p3を画定する分岐管P3を形成する。
通路壁14dは、通路壁24dと協働して、吸気通路p4を画定する分岐管P4を形成する。
分岐壁15bは、上流端15b1が内部空間Sに臨むと共に、分岐壁25bと協働して、分岐管P2と分岐管P3とを分岐させる。
分岐壁15cは、上流端15c1が内部空間Sに臨むと共に、分岐壁25cと協働して、分岐管P3と分岐管P4とを分岐させる。
内壁面21aは、図5に示すように、吸気導入口21cとフランジ部23bに連続する凹部21dを除いて平坦に形成されている。
外壁面21bには、フランジ部23a,23b、複数の補強リブ23cが設けられている。
吸気導入口21cは、エンジン本体における配置関係上、分岐管P4寄りに配置されている。
したがって、吸気導入口21cから内部空間Sを経て四つの吸気通路p1~p4に延びる四つの吸気流れ経路の長さが同等になるように、分岐管P1~P4の長さが適宜設定されている。
フランジ部23aは、スロットルボデーが接合されて取り付けられる領域である。
フランジ部23bは、アイドルスピードコントロールのためのバルブユニットが取り付けられる領域であり、エンジン仕様に応じて適宜使用されるものである。
通路壁24bは、通路壁14bと協働して、吸気通路p2を画定する分岐管P2を形成する。
通路壁24cは、通路壁14cと協働して、吸気通路p3を画定する分岐管P3を形成する。
通路壁24dは、通路壁14dと協働して、吸気通路p4を画定する分岐管P4を形成する。
分岐壁25bは、上流端25b1が内部空間Sに臨むと共に、分岐壁15bと協働して、分岐管P2と分岐管P3とを分岐させる。
分岐壁25cは、上流端25c1が内部空間Sに臨むと共に、分岐壁15cと協働して、分岐管P3と分岐管P4とを分岐させる。
フランジ部27は、吸気マニホールドMをエンジン本体のシリンダヘッドに取り付けるためのものであり、四つの吸気ポートにそれぞれ連通する四つの通路27a、インジェクタIjをそれぞれ嵌め込む四つの嵌合孔27b、シリンダヘッドに捩じ込むボルトを通す孔27cを備えている。
ボス部28は、ネジを通して、吸気マニホールドMをエンジン本体に締結する部分である。
そして、第1樹脂成形体10及び第2樹脂成形体20が接合されて、第1溶着部16が第2溶着部26に当接するように圧力が加えられつつ、振動溶着が施される。
この振動溶着において、溶着条件は、例えば、振動周波数は200Hz~250Hzであり、振幅は0.5mm~2.0mmの範囲である。
一般的に、直列4気筒エンジンにおいては、分岐管P1、P2,P3,P4に対応するシリンダを1番気筒,2番気筒,3番気筒,4番気筒とし、点火順序を例えば1-3-4-2とすると、各気筒の吸気行程に対応して、吸気通路p1、吸気通路p3、吸気通路p4、吸気通路p2の順番で吸気の流れが生じる。
そして、1番気筒が吸気行程のとき、吸気は、図10中の実線の矢印で示すように、突条部13b及び突条部13aを横切って流れた後に吸気通路p1に流れ込み、又、突条部13bを横切って突条部13aと分岐壁15a(25a)の隙間C1を通り抜けた後に吸気通路p1に流れ込む。
続いて、3番気筒が吸気行程のとき、吸気は、図10中の一点鎖線の矢印で示すように、突条部13c,13bに沿って吸気通路p3に流れ込み、又、突条部13c側に向かった後に折り返して、突条部13cと分岐壁15c(25c)の隙間C2を通り抜けた後に吸気通路p3に流れ込み、又、突条部13b,13a側に向かった後に折り返して、突条部13bを横切って吸気通路p3に流れ込み又は突条部13bと分岐壁15b(25b)の隙間C1を通り抜けた後に吸気通路p3に流れ込む。
続いて、2番気筒が吸気行程のとき、吸気は、図11中の一点鎖線の矢印で示すように、突条部13bを横切って流れた後に吸気通路p2に流れ込み、又、突条部13b,13a側に向かった後に折り返して、突条部13aと分岐壁15a(25a)の隙間C1を通り抜けた後に吸気通路p2に流れ込み、又、突条部13c,13bに沿って流れ、突条部13bと分岐壁15b(25b)の隙間C1を通り抜けた後に吸気通路p2に流れ込む。
このように、吸気は、内部空間Sに流れ込んだ後に、吸気行程を行う気筒に対応する吸気通路p1,p3,p4,p2に向けて、複数の突条部13a,13b,13cにより整流作用を受けつつ淀み無く流れ込む。
さらに、吸気導入口21cと近接する領域に配置された近接突条部(突条部13c)と分岐壁15cとの間の隙間C2が、他の突条部13a,13bと分岐壁15a,15bとの間の隙間C1よりも大きく設定されているため、他の突条部13a,13b側に向かった後に折り返してきた吸気を、分岐壁15cの近傍から吸気行程に対応する吸気通路p3又は吸気通路p4に向けて効率良く導くことができる。
また、図13に示すように、突条部が無い場合は、特に分岐管P3の近傍におけるサージタンクT内の圧力損失が大きく、通路全体としての圧力損失も高めであったが、複数の突条部13a,13b,13cを設けたことにより、複数の分岐管P1,P2,P3,P4の近傍におけるサージタンクT内の圧力損失が平滑化され、吸気の整流作用により複数の吸気通路p1,p2,p3,p4における吸気抵抗も平滑化され、通路全体としての圧力損失も低減することができる。このように、圧力損失すなわち通路抵抗が低減されたことにより、燃焼室における吸気の充填効率を高めることができる。
この実施形態に係る吸気マニホールドM2は、第1樹脂成形体110と第2樹脂成形体20とを振動溶着により一体的に接合して形成されている。
また、突条部113aの下流端113a1と分岐壁15aの上流端15a1とは、突条部113aの伸長方向において、隙間C3をおいて対向するように形成されている。
また、突条部113bの下流端113b1と分岐壁15bの上流端15b1とは、突条部113bの伸長方向において、隙間C3をおいて対向するように形成されている。
また、突条部113cの下流端113c1と分岐壁15cの上流端15c1とは、突条部113cの伸長方向において、隙間C4をおいて対向するように形成されている。
具体的には、第1延在壁11の板厚をThとするとき、突条部113a,113b,113cは、幅寸法Wが板厚の二倍(2Th)程度、内壁面11aからの突出高さHが板厚と同等(Th)程度となる断面形態に形成される。
そして、図14に示すように、近接突条部としての突条部113cの下流端113c1と分岐壁15cの上流端15c1との隙間C4は、三つの突条部113a,113b,113cのうち突条部113cを除く他の突条部113a,113bの下流端113a1,113b1と分岐壁15a,15bの上流端15a1,15b1との隙間C3よりも大きく設定されている。
また、吸気の流れ損失、通路抵抗、圧力損失を低減することができ、複数の吸気通路p1,p2,p3,p4における吸気抵抗も平滑化され、燃焼室における吸気の充填効率を高めることができる。
すなわち、突条部13,13b,13c(113a,11b,113c)が設けられた第1延在壁11の外壁面11bは、内側に向けて溝状に凹んだ溝状凹部11b1を含むように形成されている。
この実施形態によれば、サージタンクTを画定する輪郭壁の板厚を全体的に均一にすることができ、機械的強度を確保しつつ、成形樹脂材料の流れが均一化されて、金型にて成形する際の成形性を高めることができる。
また、上記実施形態においては、突条部の形態として、直線的に伸長する突条部13a,13b,13c、又は、湾曲して伸長する突条部113a,113b,113cを採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、吸気通路側に向けて方向付けされている限り、その他の形態をなす突条部を採用してもよい。
2 エンジン
3 エンジンカバー
4 プロペラ
M,M2 吸気マニホールド
T サージタンク
S 内部空間
P1,P2,P3,P4 分岐管
p1,p2,p3,p4 吸気通路
C1,C2,C3,C4 隙間
10 第1樹脂成形体
11 第1延在壁(輪郭壁)
11a 内壁面
11b 外壁面
11b1 溝状凹部
12 外周壁(輪郭壁)
13a,13b 突条部
13c 突条部(近接突条部)
Ra 付け根領域
Ta 突出先端領域
15a,15b,15c 分岐壁
16 第1溶着部
20 第2樹脂成形体
21 第2延在壁(輪郭壁)
21c 吸気導入口
22 外周壁(輪郭壁)
25a,25b,25c 分岐壁
26 第2溶着部
110 第1樹脂成形体
113a,113b 突条部
113c 突条部(近接突条部)
Claims (11)
- エンジンに適用される樹脂製の吸気マニホールドであって、
扁平な輪郭をなすと共に吸気導入口を含むサージタンクと、
前記サージタンクの内部空間に連通する吸気通路を画定する複数の分岐管と、
前記サージタンクから前記複数の分岐管を分岐させる複数の分岐壁と、を備え、
前記サージタンクの輪郭壁は、前記内部空間に向けて突出すると共に前記吸気通路側に向けて方向付けされかつ前記複数の分岐壁にそれぞれ対応すると共に前記複数の分岐壁とそれぞれ所定の隙間をおいて対向するように配置された複数の突条部を含む、
ことを特徴とする吸気マニホールド。 - 前記複数の突条部は、前記輪郭壁の内壁面との付け根領域が凹状に湾曲しかつ突出先端領域が凸状に湾曲する断面を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の吸気マニホールド。 - 前記サージタンクの輪郭壁は、前記複数の分岐管が配列される面方向に沿って延在する第1延在壁と、前記第1延在壁に対向する第2延在壁と、前記第1延在壁と前記第2延在壁の外縁領域を連結して閉塞する外周壁を含み、
前記第1延在壁には、前記複数の突条部が設けられ、
前記第2延在壁には、前記吸気導入口が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸気マニホールド。 - 前記複数の突条部は、前記吸気導入口と近接する領域に配置された近接突条部を含み、
前記近接突条部と前記分岐壁との前記隙間は、前記複数の突条部のうち前記近接突条部を除く他の突条部と前記分岐壁との前記隙間よりも大きく設定されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載の吸気マニホールド。 - 前記複数の突条部は、前記複数の分岐壁のそれぞれに向けて直線的に伸長するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載の吸気マニホールド。 - 前記複数の突条部は、前記吸気導入口から前記複数の分岐壁のそれぞれに向けて流線的に湾曲して伸長するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載の吸気マニホールド。 - 前記複数の突条部が設けられた前記輪郭壁の外壁面は、平坦に形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載に吸気マニホールド。 - 前記複数の突条部が設けられた前記輪郭壁の外壁面は、溝状に凹んで形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載に吸気マニホールド。 - 前記サージタンクの半体及び前記複数の分岐管の半体を画定する第1樹脂成形体と、前記サージタンクの半体及び前記複数の分岐管の半体を画定する第2樹脂成形体との振動溶着により形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか一つに記載の吸気マニホールド。 - 前記第1樹脂成形体は、前記複数の分岐管が配列される面方向に沿って延在する第1延在壁と、前記第1延在壁に設けられた前記複数の突条部と、環状の第1溶着部を含み、
前記第2樹脂成形体は、前記第1延在壁に対向する第2延在壁と、前記第2延在壁に設けられた前記吸気導入口と、前記第1溶着部と溶着される環状の第2溶着部を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の吸気マニホールド。 - 吸気マニホールドを含むエンジンと、
前記エンジンを保持する胴体と、
前記エンジンの駆動力により回転させられるプロペラと、
前記エンジンを覆うエンジンカバーと、を備えた船外機であって、
前記吸気マニホールドは、請求項1ないし10いずれか一つに記載の吸気マニホールドである、
ことを特徴とする船外機。
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