JP7493111B1 - 炭素被覆難黒鉛化性炭素、リチウムイオン二次電池用負極、及び、リチウムイオン二次電池 - Google Patents

炭素被覆難黒鉛化性炭素、リチウムイオン二次電池用負極、及び、リチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極に用いた場合に高い放電容量と初期効率を両立できる炭素被覆難黒鉛化性炭素、上記炭素被覆難黒鉛化性炭素を用いたリチウムイオン二次電池用負極、及び、上記リチウムイオン二次電池用負極を有するリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素は、難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、上記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、上記炭素被覆層の厚さの最小値が、上記炭素被覆層の最大値の70%以上である、炭素被覆難黒鉛化性炭素である。

Description

本発明は、炭素被覆難黒鉛化性炭素、リチウムイオン二次電池用負極、及び、リチウムイオン二次電池に関する。
近年、地球環境保護に対する世界的な意識の高まりにより、化石燃料の使用削減及びCO排出量低減のため、再生可能エネルギーによる発電が普及しつつある。太陽光発電や風力発電などで生み出される再生可能エネルギーは、時間帯や季節、気候などによって出力が左右されやすいため、出力変動抑制のための電力貯蔵システム(Energy Storage System、以下「ESS」とも言う)を活用することで、電力供給の安定化が図られる。電力貯蔵システムのためには大規模蓄電池が必要となるため、体積及び質量あたりのエネルギー密度が高く、小型化が可能なリチウムイオン二次電池(LIB)が注目されている。現在、リチウムイオン二次電池の負極材として炭素材料が一般的に使用されている。炭素以外に、高エネルギー密度を有するSi、Sn、Ti、Vなどの金属又は金属酸化物のリチウム塩や、炭素と金属とのハイブリッド材等が研究段階にあるとされている。
炭素材料の中でも、黒鉛系の材料は一般に高容量を有することからモバイル用電子機器等に広く使用されてきたが、ESS用途としては、高い充放電容量とサイクル特性とを有する難黒鉛化性炭素材料が適している。特に、ESS用途ではハイブリッド車用電池等と異なり、低い充電レートで大容量の充電が可能な充電容量と、長期間の繰返し充放電が可能な寿命特性とが強く求められる。
リチウムイオン二次電池の負極材料としての難黒鉛化性炭素材料については、無配向のグラフェン層ユニットから成り、黒鉛材料と比較して小さい結晶子径を持ち、グラフェン層ユニットの間に細孔を有することが特徴である。これらの構造的特徴から、層間だけでなく細孔にもLiを吸蔵できるため、黒鉛の理論容量372mAh/gと比較して、難黒鉛化性炭素材料は高い放電容量を有することが知られている。また、グラフェン層ユニットの結晶子径が小さく無配向であることから、黒鉛材料と比較して、Liの脱挿入に伴う体積変化も小さく、寿命特性にも優れる。しかし、結晶子が小さいことから反応活性なグラフェンエッジを多く有し、電解液と反応してSEI(Solid Electrolyte Interphase)被膜を形成するため、初回の充電容量に対する放電容量の百分率で表される初期効率が低いことが課題である。
初期効率を改善する方法として、炭素材料の表面を被覆する手法が知られており、特許文献1には、基材炭素材料の表面を被覆炭素材料で被覆してなる構造を有する炭素材料を負極に用いた非水電解液二次電池であって、被覆炭素材料のX線広角回折法による(002)面が基材炭素材料表面に対して平行に配向し、かつ、その配向度が70%以上であることを特徴とする非水電解液二次電池が開示されている。また、表面炭素層の厚さは10~1000Å(オングストローム)が好ましいことが開示されている。
特開平10-233206号公報
しかし、特許文献1の炭素材料の配向度は表面から20nmの範囲から画像解析により求めたものであり、厚さ方向の配向の分布を考慮したものではなかった。また、被覆炭素材料の厚さの分布についても考慮されていなかった。そして、本発明者らが特許文献1の炭素材料をリチウムイオン二次電池用負極に用いたところ、充放電条件によっては十分な放電容量及び初期効率が得られないことが明らかになった。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池用負極に用いた場合に高い放電容量と初期効率を両立できる炭素被覆難黒鉛化性炭素、上記炭素被覆難黒鉛化性炭素を用いたリチウムイオン二次電池用負極、及び、上記リチウムイオン二次電池用負極を有するリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、放電容量と初期効率を両立できる構造について検討を行なった。その結果、炭素被覆難黒鉛化性炭素において、炭素被覆層が、所定の平均厚さを有するとともに、均一な厚さを有する場合に、高い放電容量と初期効率を両立できることが明らかとなった。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、
上記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、
上記炭素被覆層の厚さの最小値が、上記炭素被覆層の最大値の70%以上である、炭素被覆難黒鉛化性炭素。
(2) 制限視野電子線回折法により求めた上記炭素被覆層の回折強度において、
上記炭素被覆層の接線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Ixと上記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Iyとが、下記式(1)を満たす、上記(1に記載の炭素被覆難黒鉛化性炭素。
Ix/Iy < 1.00 (1)
(3) 制限視野電子線回折法により測定された上記炭素被覆層の回折スペクトルにおいて、
上記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピークから求められる002面の層間隔d002が、0.38nm以上である、上記(1)又は(2)に記載の炭素被覆難黒鉛化性炭素。
(4) 電子エネルギー損失分光法で測定した上記炭素被覆層のIsp2/(Isp2+Isp3)が、0.090以上である、上記(1)~(3)のいずれかに記載の炭素被覆難黒鉛化性炭素。ここで、Isp2は、sp2に起因するピークの強度であり、Isp3は、sp3に起因するピークの強度である。
(5) 難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、
上記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、
上記炭素被覆層の厚さの最小値が、上記炭素被覆層の最大値の70%以上であり、
制限視野電子線回折法により求めた上記炭素被覆層の回折強度において、上記炭素被覆層の接線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Ixと上記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Iyとが、下記式(1)を満たし、
制限視野電子線回折法により測定された上記炭素被覆層の回折スペクトルにおいて、上記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピークから求められる002面の層間隔d002が、0.38nm以上であり、
電子エネルギー損失分光法で測定した上記炭素被覆層のIsp2/(Isp2+Isp3)が、0.090以上である、炭素被覆難黒鉛化性炭素。ここで、Isp2は、sp2に起因するピークの強度であり、Isp3は、sp3に起因するピークの強度である。
Ix/Iy < 1.00 (1)
(6) 制限視野電子線回折法により測定した上記難黒鉛化性炭素の回折スペクトルにおいて、
黒鉛構造の002面に相当するピークを有さない、上記(1)~(5)のいずれかに記載の炭素被覆難黒鉛化性炭素。
(7) 難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、
上記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、
上記炭素被覆層の厚さの最小値が、上記炭素被覆層の最大値の70%以上であり、
制限視野電子線回折法により求めた上記炭素被覆層の回折強度において、上記炭素被覆層の接線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Ixと上記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Iyとが、下記式(1)を満たし、
制限視野電子線回折法により測定された上記炭素被覆層の回折スペクトルにおいて、上記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピークから求められる002面の層間隔d002が、0.38nm以上であり、
電子エネルギー損失分光法で測定した上記炭素被覆層のIsp2/(Isp2+Isp3)が、0.090以上であり、
制限視野電子線回折法により測定した上記難黒鉛化性炭素の回折スペクトルにおいて、
黒鉛構造の002面に相当するピークが観測されない、炭素被覆難黒鉛化性炭素。ここで、Isp2は、sp2に起因するピークの強度であり、Isp3は、sp3に起因するピークの強度である。
Ix/Iy < 1.00 (1)
(8) 上記(1)~(7)のいずれかに記載の炭素被覆難黒鉛化性炭素を用いた、リチウムイオン二次電池用負極。
(9) 上記(8)に記載のリチウムイオン二次電池用負極を有する、リチウムイオン二次電池。
以下に示すように、本発明によれば、リチウムイオン二次電池用負極に用いた場合に高い放電容量と初期効率を両立できる炭素被覆難黒鉛化性炭素、上記炭素被覆難黒鉛化性炭素を用いたリチウムイオン二次電池用負極、及び、上記リチウムイオン二次電池用負極を有するリチウムイオン二次電池を提供することができる。
002面に対応するピークの例を示す図である。 評価用のコイン型二次電池を示す断面図である。
以下に、本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素、リチウムイオン二次電池用負極、及び、リチウムイオン二次電池について説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、各成分は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
また、リチウムイオン二次電池用負極に用いた場合に高い放電容量と高い初期効率を示すことを単に「本発明の効果が優れる」とも言う。
[1]炭素被覆難黒鉛化性炭素
本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素は、
難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、
上記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、
上記炭素被覆層の厚さの最小値が、上記炭素被覆層の最大値の70%以上である、炭素被覆難黒鉛化性炭素(炭素材料)(以下、単に「本発明の炭素材料」とも言う)である。
表面が活性な難黒鉛化性炭素は、Liイオン電池の負極として使用した場合に充電に伴い電解液やLiと反応して反応層を形成し、効率が低下する。本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素は、炭素被覆層を有することにより、表面反応性を低下させて溶媒の分解が抑制され、効率と保存耐久性が向上する。均一に被覆されることで、Liの吸蔵放出を妨げることなく効率を向上させることができる。
また、充放電を繰り返すと、難黒鉛化性炭素の粒子間で導電性が確保できなくなり、活物質として機能しない粒子が増えることで、効率が低下する。本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素は、炭素被覆層により表面の導電性が向上し、導電パス切れが防止されて効率が向上する。
[難黒鉛化性炭素]
本発明の炭素材料の難黒鉛化性炭素は、非晶質炭素の一種であり、熱処理によっても黒鉛化し難い炭素であり、従来公知のものを適宜使用することができる。
[炭素被覆層]
本発明の炭素材料の炭素被覆層は、上記難黒鉛化性炭素の表面を被覆する層であり、主に炭素原子によって構成される。炭素は非晶質炭素(ハードカーボン、ソフトカーボン)、黒鉛、もしくは非晶質炭素と黒鉛の混合などである。
〔厚さ〕
<平均厚さ>
上記炭素被覆層の平均厚さは、4nm以上30nm以下である。
上記平均厚さが4nm未満の場合、部分的に非被覆部が存在して効率向上の効果が得られないため、平均厚さは4nm以上とし、本発明の効果がより優れる理由から、7nm以上であることが好ましい。上記平均厚さが30nm超の場合、Liイオン二次電池の負極として使用する際、Liの吸蔵放出を妨げて効率向上の効果が得られない。そのため、平均厚さは30nm以下とし、本発明の効果がより優れる理由から、20nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましい。
上記炭素被覆層の平均厚さは、粒子断面のSTEM(Scanning Transmission Electron Microscope)観察から求めることができる。
炭素被覆難黒鉛化性炭素の平均的な粒子径の粒子を選択し、該粒子の平坦な部分に炭素蒸着又は金蒸着し、炭素被覆層垂直断面を観察できるよう、収束イオンビーム(FIB)により室温で140nm以下の薄片に加工する。炭素被覆層垂直断面をSTEMで観察し、任意の視野の明視野(Bright field;BF)像で炭素被覆層の厚さを測定する。50nm以上間隔を開けた5箇所の厚さを測定し、平均厚さを求める。炭素被覆層は難黒鉛化性炭素と結晶配向が異なるため、BF像の格子縞から炭素被覆層を区別し、厚さを測定することができる。炭素被覆層と難黒鉛化性炭素を区別する際には、環状暗視野(Annular Dark Field;ADF)像のコントラスト差やFFT(高速フーリエ変換)の結晶方位差を補助的に組み合わせて判断することもできる。
<最小値/最大値>
上記炭素被覆層の厚さの最小値は、上記炭素被覆層の最大値の70%以上である。以下、炭素被覆層の最大値に対する炭素被覆層の最小値の割合を「最小値/最大値」とも言う。最小値/最大値が大きい程、炭素被覆層の厚さの均一性が高いことを意味する。すなわち、本発明の炭素材料において、炭素被覆層の厚さの均一性は高い。
本発明の炭素材料においては、炭素被覆層が均一に被覆されることで、Liの吸蔵放出を妨げることなく効率を向上させることができる。最小値/最大値が70%未満では、Liの吸蔵放出が不均一となり、効率が低下する。上限は特に定めないが、98%以上に制御することは難しい。
最小値/最大値は、本発明の効果がより優れる理由から、75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
最小値/最大値は、上述の方法で作製した炭素被覆層垂直断面をSTEMで観察し、任意の視野のBF像において、任意に選定した200nm四方の範囲における炭素被覆層の最大値及び最小値を測定することで求めることができる。
[好適な態様]
〔Ix/Iy〕
本発明の炭素材料は、本発明の効果がより優れる理由から、制限視野電子線回折法により求めた炭素被覆層の回折強度において、炭素被覆層接線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Ixと炭素被覆層法線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Iyとが以下の式を満たすことが好ましい。
Ix/Iy < 1.00 (1)
Ix/Iyが1.00未満であれば、炭素は炭素被覆層法線方向にc軸が配向しており、電池として使用した際、反応活性なグラフェンエッジが電解液と接触しにくくなり、電解液の分解が抑制されて初期効率をより向上させることができる。
Ix/Iyが1.00以上ではc軸の配向が不十分であり、効率向上の効果が小さい。Ix/Iyの下限は特に定めないが、0.10以下とするのは難しい。
Ix、Iyは炭素被覆層の制限視野電子線回折法により求めることができる。上述の方法で作製した炭素被覆層垂直断面をTEMで観察し、炭素被覆層を中心とした直径100nmの範囲で炭素被覆層の制限視野電子線回折パターンを取得する。得られたデバイリングの炭素被覆層接線方向及び炭素被覆層法線方向のラインプロファイルから、002面に対応するピークのピーク強度をそれぞれIx、Iyとする。なお、炭素被覆層は難黒鉛化性炭素と結晶配向が異なるため、TEM像のコントラストの違いから炭素被覆層を区別することができる。
図1に、002面に対応するピークの例を示す。横軸は逆格子空間におけるデバイリングの中心からの位置であり、縦軸はデバイリングの輝度(強度、Intensity)である。002面に対応するピークのピーク位置の逆数が層間隔d002である。
〔層間隔d002〕
本発明の炭素材料は、本発明の効果がより優れる理由から、制限視野電子線回折法により測定された炭素被覆層の回折スペクトルにおいて、炭素被覆層法線方向における黒鉛の002面に対応するピークから求められる002面の層間隔d002が、0.38nm以上であることが好ましい。
d002を0.38nm以上とすることで、Liの吸蔵、放出にともなう002面の層間隔の増減が緩和され、初期効率がより向上する。d002が0.38nm未満では、Liの吸蔵、放出にともない002面の層間隔が変化し、効率向上の効果が小さい。d002の上限は規定しないが、0.45nm以上とすることは難しい。
d002は、制限視野電子線回折法により求めることができる。002面に対応するピークの位置から求めることができる。
〔Isp2/(Isp2+Isp3)〕
本発明の炭素材料は、本発明の効果がより優れる理由から、電子エネルギー損失分光法で測定した炭素被覆層のIsp2/(Isp2+Isp3)が、0.090以上であることが好ましい。Isp2/(Isp2+Isp3)が高い炭素は炭素被覆層法線方向にc軸が配向しており、電池として使用した際、反応活性なグラフェンエッジが電解液と接触しにくくなり、電解液の分解が抑制されて初期効率をより向上させることができる。Isp2/(Isp2+Isp3)が0.090未満では配向が不十分であり、効率向上の効果が小さい。Isp2/(Isp2+Isp3)の上限は特に定めないが、0.130以上に制御することは難しい。
Isp2/(Isp2+Isp3)は、電子エネルギー損失分光法により求めることができる。上述の炭素被覆層垂直断面を炭素被覆層法線方向に0.5nmピッチで電子エネルギー損失分光法によるライン分析を行い、損失エネルギー286eV付近のsp2に起因するピークの強度Isp2と損失エネルギー397eV付近のsp3に起因するピークの強度Isp3を得る。炭素被覆法線方向で最も高いIsp2/(Isp2+Isp3)を、炭素被覆層のIsp2/(Isp2+Isp3)とする。
〔難黒鉛化性炭素の黒鉛構造の002面に相当するピーク〕
本発明の炭素材料は、本発明の効果がより優れる理由から、制限視野電子線回折法により測定した基材(難黒鉛化性炭素)の回折スペクトルにおいて、黒鉛構造の002面に相当するピークを有さないことが好ましい。黒鉛構造が未発達である場合に、002面に相当するピークはブロードになりピークとして判断できなくなる。黒鉛構造が未発達である場合に、細孔に由来するLi吸蔵サイトが増加し、より高い放電容量を得ることができる。
黒鉛構造の002面に相当するピークの有無は、粒子断面のSTEM観察において、制限視野電子線回折法により確認する。具体的には、難黒鉛化性炭素と炭素被覆層の界面から50nm以上の粒子内部において制限視野電子線回折法により黒鉛構造の002面に相当するピークの有無を確認する。
黒鉛構造の002面に相当するピークを制御する方法は特に限定しない。例えば、難黒鉛化性炭素の焼成温度を650℃以上850℃以下とすることで、黒鉛構造の002面に相当するピークを有さない難黒鉛化性炭素を得ることができる。
〔炭素被覆層の不純物〕
上記炭素被覆層は、不純物元素を含まないことが好ましい。炭素被覆層にH、N、O、P、Sなどの元素や、Si、Fe、Zn、Al、Mg等の金属元素が含まれると、電池として使用した際にLiと反応して化合物を形成し、初期効率が低下する。不純物の含有量はTEM-EDX(エネルギー分散型X線分光法)で確認することができ、C以外の元素は検出限界以下であることが好ましい。
〔平均粒子径〕
本発明の炭素材料の平均粒子径は、大きな容量を得るための厚膜電極塗布の観点から、15~40μm以下であるのが好ましく、20~35μmであるのがより好ましい。
なお、本発明の炭素材料の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径(D50)である。
〔比表面積〕
本発明の炭素材料において、窒素ガスの吸着によるBET法により求めた比表面積(BET)は、粒子径により異なるため一概には言えないが、電解液との反応性を抑制するという理由から、10m/g以下であるのが好ましく、0.10~6.0m/gであるのがより好ましい。
[2]炭素被覆難黒鉛化性炭素の製造方法
本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素(本発明の炭素材料)は、例えば以下のような製造方法により得ることができる。なお、本発明の炭素材料を得るための製造方法は、以下に限定されない。
[難黒鉛化性炭素の製造]
〔架橋処理〕
まず、難黒鉛化性炭素の原料(以下、単に「原料」ともいう。)に架橋処理を施して架橋処理品を得る。
ここで、原料としては、特に限定されず、従来公知の原料を用いることができ、例えば、石炭系ピッチ、石油系ピッチなどのピッチ;フェノール樹脂、フラン樹脂などの樹脂;ピッチと樹脂との混合物;等が挙げられ、なかでも、経済性等の観点から、石炭系ピッチ、石油系ピッチなどのピッチが好ましい。特に、石炭系ピッチを使用することで、難黒鉛化性炭素の002面間隔(層間隔d002)が上述した範囲となりやすく、好ましい。
上述した原料に架橋処理を施す方法としては、例えば、エアーブローイング反応による方法;酸化性ガス(空気、酸素、オゾン)による乾式法;硝酸、硫酸、次亜塩素酸、混酸等の水溶液による湿式法;等が挙げられる。なかでも、エアーブローイング反応による方法が好ましい。
エアーブローイング反応は、上述した原料を加熱し、酸化性ガス(例えば、空気、酸素、オゾン、これらの混合物)を吹き込むことにより、軟化点を上昇させる反応である。エアーブローイング反応によれば、例えば200℃以上の高軟化点を有する架橋処理品(例えば、エアーブロンピッチ)を得ることができる。
なお、エアーブローイング反応は、液相状態での反応であり、固相状態での架橋処理と比較して炭素材料中への酸素原子の取り込みが殆どないことが知られている。
エアーブローイング反応においては、酸化的脱水反応を主体とする反応が進行し、ビフェニル型の架橋結合により重合が進む。そして、その後の不融化、焼成(後述)によって、この架橋部分が支配的になった配向性のない三次元構造を有し、リチウムが吸蔵される空隙を数多く残存させた難黒鉛化性炭素が得られる、とされている。
エアーブローイング反応の条件は、特に限定されないが、温度が高すぎるとメソフェーズが発生し、低いと反応速度が遅くなるという理由から、反応温度としては、280~420℃が好ましく、320~380℃がより好ましい。また、酸化性ガスの吹き込み量としては、圧縮空気としてピッチ1000gあたり0.5~15L(リットル)/分が好ましく、1.0~10L/分がより好ましい。反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれであってもよく、特に限定されない。
このような架橋処理によって得られるエアーブロンピッチ等の架橋処理品の軟化点としては、不融化処理のしやすさから、200~400℃が好ましく、250~350℃がより好ましい。
なお、得られた架橋処理品については、不融化処理を施す前に、アトマイザー等を用いて粗粉砕してもよい。
〔不融化処理〕
次に、エアーブロンピッチ等の架橋処理品に対して不融化処理を施して、不融化処理品(例えば、不融化ピッチ)を得る。不融化処理は、固相状態で行われる一種の架橋処理(酸化処理)であり、これにより、架橋処理品の構造の中に酸素が取り込まれ、さらに架橋が進行することにより高温で溶融し難くなる。
不融化処理の方法としては、特に限定されず、例えば、酸化性ガス(空気、酸素)による乾式法;硝酸、硫酸、次亜塩素酸、混酸等の水溶液による湿式法;等が挙げられ、なかでも、酸化性ガスによる乾式法が好ましい。
不融化処理の処理温度としては、架橋処理品の軟化点以下を選択する必要がある。また、バッチ式で行う場合の昇温速度は、融着をより防止する観点から、5~100℃/時間が好ましく、10~50℃/時間がより好ましい。
不融化処理におけるその他の処理条件は特に限定されないが、例えば、酸化性ガスの吹き込み量としては、1000gあたりの圧縮空気として1.0~20L/分が好ましく、2.0~10L/分がより好ましい。反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれであってもよく、特に限定されない。
不融化処理によって得られる不融化処理品の酸素量としては、焼成時の融着を防止するという理由から、3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。
〔粉砕処理〕
次に、不融化ピッチ等の不融化処理品に対して、粉砕処理を施して、粒度調整を行う。
このとき、粉砕処理後の不融化処理品の平均粒子径が、15~40μmであるのが好ましく、20~35μmがさらに好ましい。なお、ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布計の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径(D50)である。
粉砕処理に用いる粉砕機としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、ジェットミル、ピンミル、ボールミル、ハンマーミル、ローラーミル、振動ミル等が挙げられる。
これらの粉砕機を用いる場合、粉砕処理後の不融化処理品の平均粒子径が上記範囲となるように、その粉砕条件を設定する。
〔焼成〕
次に、粉砕処理が施された不融化ピッチ等の不融化処理品を、減圧又は窒素等の不活性ガス雰囲気中において焼成することにより、難黒鉛化性炭素を得る。焼成における到達温度(焼成温度)は、600~1200℃であり、650~850℃が好ましい。このとき、昇温速度としては、50~150℃/時間が好ましく、80~120℃/時間がより好ましい。
[炭素被覆層の形成]
炭素被覆層を形成する方法は特に限定しないが、化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)による方法が挙げられる。均一な厚さを有し、sp2配向が高く、特定の002面間隔(層間隔d002)を有する炭素被覆層を形成するには、原料分子が基材に均等に到達したのち熱分解して炭素被覆層を形成することが肝要であり、原料分子の拡散性、熱分解性の特性に応じた手法により達成できる。
拡散性の高い低分子のメタン及びアセチレンは、流通系の熱CVD法により、適正温度範囲かつ適正濃度範囲で均一な炭素被覆層を形成できる。使用するガスの種類により好適温度は異なり、メタンの場合、炭素基材の温度範囲は800~1000℃が好ましく、800℃未満では熱分解が不足して炭素被覆層を形成しにくく、1000℃超えでは気相中で熱分解が促進され煤が生成することで不均一な炭素被覆層となってしまう。濃度範囲は10~80体積%が好ましく、10体積%未満では原料の供給が不足して炭素被覆層の形成に時間がかかり、80体積%超えでは気相中で熱分解が促進され煤が生成することで不均一な炭素被覆層となる場合がある。アセチレンの場合、炭素基材の温度範囲は600~800℃が好ましく、600℃未満では熱分解が不足して炭素被覆層を形成しにくく、800℃超えでは気相中で熱分解が促進され煤が生成することで不均一な炭素被覆層となってしまう。濃度範囲は10~80体積%が好ましく、10体積%未満では原料の供給が不足して炭素被覆層の形成に時間がかかり、80体積%超えでは気相中で熱分解が促進され煤が生成することで不均一な炭素被覆層となる場合がある。導入するメタンやアセチレンの温度とこれらのガスを希釈する不活性ガスの温度も室温であることが好ましい。
一方、分子量が大きく拡散性が小さい原料は、CVD Chemical Vapor Deposition)の一種であるCVI(Chemical Vapor Infiltration)により均一な炭素被覆層を形成することができる。すなわち、焼成後の難黒鉛化性炭素を真空雰囲気中で700~1100℃に加熱し、炭素源を気体として炉内に導入して圧力1~30kPaで1秒~30秒保持し、排気して炭素源を除去する。その後、再度炭素源を導入し、これを複数回繰り返すことにより、熱分解性炭素で被覆された炭素被覆難黒鉛化性炭素材料を得ることができる。炭素源は熱分解により炭素を生じるものであればよく、炭素源が室温で液体の場合は、沸点以上の温度で気化させて導入する。例えばベンゼン、ヘキサン、トルエン、シクロヘキサン等が使用できる。原料により好適な温度が異なり、特に、低温で容易に分解されて熱分解性炭素を形成しやすく、均一かつ配向性の高い炭素被覆層が得られることから、シクロヘキサンを炭素源とするのが好ましい。室温で液体の炭素源は、100~200℃の雰囲気で予備加熱して、気体として炉内へ導入する。100℃未満では瞬時に気化されないため炉内でのガス分布が不均一となり、炭素被覆層が不均一となる。200℃超えに加熱すると、液体炭素源の種類によっては被覆前に分解して炭素被覆が不均一となる場合がある。100~200℃であれば、難黒鉛化性炭素を安定して被覆することができる熱分解性炭素を炉内に導入することが可能である。室温で液体の炭素源を用いた場合、室温でガスの炭素源と比較して、炉内への供給の制御が容易かつ多量に導入できるため好ましい。
分子量が大きく拡散性が小さい原料、特に室温で液体の炭素源において、CVIではなく、流通系の熱CVD法を用いる場合、10℃以下に冷却した炭素源液体に10℃以下に冷却したN、Ar、Heなどの不活性ガスを一定流量でバブリングして炉内に導入する。流通系の熱CVD法においては、導入されるガスに含まれる炭素源の濃度が高くなると、被覆前に炭素源が炭化して難黒鉛化性炭素に部分的に付着したり、被覆の成長速度が速くなり過ぎて部分的に膜厚が厚くなるため、膜厚が不均一な被膜が形成されやすい。バブリングする炭素源を冷却することで、ガス中の炭素濃度が希薄になり、安定して均一な膜厚の被膜を形成することができる。炭素源として、例えばベンゼン、ヘキサン、トルエン、シクロヘキサン等が使用できる。原料により好適な温度が異なり、特に、低温で容易に分解されて熱分解性炭素を形成しやすく、均一かつ配向性の高い炭素被覆層が得られることから、シクロヘキサンを炭素源とするのが好ましい。
熱処理温度(被覆処理温度)は、炭素源の熱分解温度の制約はあるが、600℃以上、1100℃以下であることが好ましい。熱処理温度が600℃未満では導入した炭素源が熱分解せず、熱分解性炭素被覆を得ることができず、初期効率が低下する場合がある。熱処理温度が1100℃超えでは、熱処理時に難黒鉛化性炭素の焼成が進行して構造が変化し、所望の初期容量を得ることができない場合がある。難黒鉛化性炭素が構造変化しないように、熱処理温度は難黒鉛化性炭素の焼成温度以下であることが好ましい。
[3]リチウムイオン二次電池
次に、本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素(本発明の炭素材料)を負極材料として用いたリチウムイオン二次電池(以下、「本発明のリチウムイオン二次電池」ともいう。)について説明する。
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極及び非水電解液を主たる電池構成要素とする。正極及び負極はそれぞれリチウムイオンの吸蔵可能な物質(層状化合物として)又は化合物やクラスターからなり、充放電過程におけるリチウムイオンの出入は層間で行われる。充電時にはリチウムイオンが負極中にドープされ、放電時には負極から脱ドープする電池機構である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、負極材料として本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素を用いること以外は特に限定されず、他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準ずる。
[負極]
本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素から負極を製造する方法は、特に限定されず、通常の製造方法に準じて行うことができる。負極製造時には、本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素に結合剤を加えた負極合剤を用いることができる。結合剤としては、電解質に対して化学的安定性、電気化学的安定性を有するものを用いるのが好ましく、通常、負極合剤全量中1~20質量%程度の量で用いるのが好ましい。結合剤としてポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンラバー(SBR)等を用いることができる。また、活物質として、本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素以外の炭素材料、黒鉛材料を添加してもよい。導電剤として、例えば、カーボンブラック、炭素繊維なども添加してよい。
本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素を、結合剤と混合することによってペースト状の負極合剤塗料を調製し、この負極合剤塗料を、通常、集電体の片面又は両面に塗布することで負極合剤層を形成する。この際、塗料調製には、通常の溶媒を用いることができる。負極に用いる集電体の形状としては、特に限定されず、例えば、箔状;メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状;等が挙げられる。集電体としては、例えば、銅、ステンレス、ニッケル等が挙げられる。
[正極]
正極の材料(正極活物質)としては、充分量のリチウムイオンをドープ/脱ドープし得るものを選択するのが好ましい。そのような正極活物質としては、例えば、遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物及びそれらのリチウム含有化合物、一般式MMo8-Y(式中Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数値であり、Mは遷移金属などの金属を表す)で表されるシェブレル相化合物、りん酸鉄リチウム、活性炭、活性炭素繊維などが挙げられる。これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、正極中に炭酸リチウムなどの炭酸塩を添加することもできる。
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属との複合酸化物であり、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM(1)1-PM(2)(式中Pは0≦P≦1の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる)、又は、LiM(1)2-QM(2)(式中Qは0≦Q≦1の範囲の数値であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる)で示される。ここで、Mで示される遷移金属元素としては、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどが挙げられ、Co、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Alが好ましい。
このようなリチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、Li、遷移金属の酸化物又は塩類を出発原料とし、これら出発原料を組成に応じて混合し、酸素雰囲気下600~1000℃の温度範囲で焼成することにより得ることができる。なお、出発原料は酸化物又は塩類に限定されず、水酸化物などからも合成可能である。
このような正極材料を用いて正極を形成する方法としては、例えば、正極材料、結合剤及び導電剤からなるペースト状の正極合剤塗料を集電体の片面又は両面に塗布することで正極合剤層を形成する。結合剤としては、負極で例示したものを使用できる。導電剤としては、例えば、微粒の炭素材料、繊維状の炭素材料、黒鉛、カーボンブラック、VGCF(気相成長炭素繊維)を使用できる。集電体の形状は特に限定されず、負極と同様の形状のものが用いられる。集電体の材質としては、通常、アルミニウム、ニッケル、ステンレス箔などを使用することができる。
上述した負極及び正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤や結着剤などの各種添加剤を、適宜使用することができる。
[電解質]
電解質としては、LiPF、LiBFなどのリチウム塩を電解質塩として含む通常の非水電解質が用いられる。
非水電解質は、液系の非水電解液であってもよいし、固体電解質やゲル電解質などの高分子電解質であってもよい。
液系の非水電解質液とする場合には、非水溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの非プロトン性有機溶媒を使用できる。
高分子電解質とする場合には、可塑剤(非水電解液)でゲル化されたマトリクス高分子を含む。このマトリクス高分子としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子、ポリメタクリレート系、ポリアクリレート系、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子などを単独又は混合して用いることができ、なかでも、酸化還元安定性等の観点から、フッ素系高分子が好ましい。
高分子電解質に含有される可塑剤(非水電解液)を構成する電解質塩や非水溶媒としては、液系の電解液に使用できるものを使用できる。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、通常、ポリプロピレン、ポリエチレンの微多孔体又はそれらを層構造としたもの;不織布;などのセパレータを使用する。ゲル電解質を用いることも可能である。この場合、例えば、本発明の炭素被覆難黒鉛化性炭素を用いた負極(本発明のリチウムイオン二次電池用負極)、ゲル電解質、正極をこの順で積層し、電池外装材内に収容することで構成される。
本発明のリチウムイオン二次電池の構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、例えば、円筒型、角型、コイン型から任意に選択することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
〔難黒鉛化性炭素の製造〕
<架橋処理>
錨型攪拌装置を付したオートクレーブに、石炭系QI(キノリン不溶分)レスピッチ(QI:0.1~0.5質量%、軟化点:82.5℃)1000gを入れ、窒素気流下で320℃まで加熱した。その後、圧縮空気を2L/分で流通させながらピッチ中に吹き込み、320℃で2時間加熱することにより、エアーブローイング反応による架橋処理を施した。その後、室温まで冷却し、内容物(エアーブロンピッチ)を取り出した。
<不融化処理>
次に、取り出したエアーブロンピッチをアトマイザーで粗粉砕した後、回転式の炉に入れ、圧縮空気を2L/分で流通させながら20℃/時間で昇温させ、250℃で3時間保持して不融化処理を施すことにより、不融化ピッチを得た。
<粉砕処理>
得られた不融化ピッチに対して、ジェットミル(FS-4、セイシン企業社製)を用いて、粉砕物の平均粒子径が29μmとなるような条件で粉砕処理を施した。
<焼成>
粉砕処理を施した不融化ピッチ100gを黒鉛製の蓋付き容器に入れ、窒素気流下で、100℃/時間の昇温速度で焼成温度750℃まで昇温させ、750℃で2時間の焼成を行い、炭素粉末を得た。得られた炭素粉末は難黒鉛化性炭素の粉末であった。
〔炭素被覆層の形成〕
次に、得られた炭素粉末を管状炉に入れ、圧力1kPa、5℃/分の昇温速度で750℃まで昇温させた。そして、750℃(被覆処理温度)で保持した状態で、トルエンを200℃の雰囲気で予備加熱して管状炉内に導入した。そして、圧力10kPaで15秒保持した後、圧力1kPaまで排気した。上記操作を30回繰り返すことで、難黒鉛化性炭素の表面に炭素被覆層を形成した。このようにして炭素被覆難黒鉛化性炭素を得た。
[実施例2]
粉砕処理条件の変更並びに焼成温度及び被覆処理温度を850℃に変更した点以外は、実施例1と同様の手順に従って炭素被覆難黒鉛化性炭素を得た。
[実施例3]
粉砕処理条件の変更並びに焼成温度及び被覆処理温度を700℃に変更し、トルエンの代わりにシクロヘキサンを使用した点以外は、実施例1と同様の手順に従って炭素被覆難黒鉛化性炭素を得た。
[実施例4]
焼成温度を700℃に変更した点以外は、実施例1の難黒鉛化性炭素の製造と同様の手順に従って、難黒鉛化性炭素粉末を得た。
次に、得られた炭素粉末を管状炉に入れ、Nガス流通下5℃/分の昇温速度で700℃まで昇温させ、700℃で保持した。そして、5℃に保持したシクロヘキサンに5℃のNガスをバブリングさせ、シクロヘキサンを含むNガスを炉内に導入し60分保持した。その後、冷却した。このようにして、難黒鉛化性炭素の表面に炭素被覆層を形成し、炭素被覆難黒鉛化性炭素を得た。
[比較例1]
粉砕処理条件の変更並びに焼成温度を1100℃に変更した点以外は、実施例1の難黒鉛化性炭素の製造と同様の手順に従って、炭素粉末を得た。比較例1では、炭素被覆層の形成は行わなかった。
[比較例2]
粉砕処理条件の変更並びに焼成温度を850℃に変更した点以外は、実施例1の難黒鉛化性炭素の製造と同様の手順に従って、炭素粉末を得た。比較例2では、炭素被覆層の形成は行わなかった。
[比較例3]
粉砕処理条件の変更並びに焼成温度及び被覆処理温度を700℃に変更した点以外は、実施例1と同様の手順に従って炭素被覆難黒鉛化性炭素を得た。
[比較例4]
まず、粉砕処理条件の変更並びに焼成温度を850℃に変更した点以外は、実施例1の難黒鉛化性炭素の製造と同様の手順に従って、炭素粉末を得た。得られた炭素粉末は難黒鉛化性炭素の粉末であった。次に、得られた炭素粉末を管状炉に入れ、Nガス流通下5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温させ、850℃で保持した。そして、50℃に保持したトルエンに50℃のNガスをバブリングさせ、トルエンを含むNガスを炉内に導入し60分保持した。その後、冷却した。このようにして、難黒鉛化性炭素の表面に炭素被覆層を形成し、炭素被覆難黒鉛化性炭素を得た。
[比較例5]
焼成温度を700℃に変更した点以外は、実施例1の難黒鉛化性炭素の製造と同様の手順に従って、難黒鉛化性炭素粉末を得た。
次に、炭素前駆体(炭素源)としてトルエンの替わりにベンゼンを使用し、バブリングの温度を15℃(ベンゼンとNガスの温度をともに15℃)とし、保持温度を800℃とした以外は比較例4と同様の手順で難黒鉛化性炭素の表面に炭素被覆層を形成し、炭素被覆難黒鉛化性炭素を得た。
[比較例6]
焼成温度を700℃に変更した点以外は、実施例1の難黒鉛化性炭素の製造と同様の手順に従って、難黒鉛化性炭素粉末を得た。
次に、炭素前駆体(炭素源)としてトルエンの替わりにベンゼンを使用し、バブリングの温度を15℃(ベンゼンとNガスの温度をともに15℃)とし、保持温度を1000℃とした以外は比較例4と同様の手順で難黒鉛化性炭素の表面に炭素被覆層を形成し、炭素被覆難黒鉛化性炭素を得た。
[評価]
〔炭素粉末の評価〕
まず、実施例1~4及び比較例1~6において得られた炭素粉末について、粉末断面のSTEM及びTEM観察を行った。炭素被覆層の平均厚さ、炭素被覆層の厚さの最大値及び最小値、炭素被覆層のIx/Iy、炭素被覆層の層間隔d002、炭素被覆層のIsp2/(Isp2+Isp3)、基材(難黒鉛化性炭素)の002面に相当するピークの有無を、上述した方法によって測定した。結果を下記表1~2に示す。なお、STEM及びTEM観察は、日本電子製JEM-ARM200Fを用いて行い、加速電圧200kVで観察した。
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計の累積度数が体積百分率で50%となる粒子径(D50)である。比表面積は窒素ガスの吸着によるBET法により求めた。
〔電池の評価〕
次に、実施例1~4及び比較例1~6で得られた炭素粉末を負極材料として用いて評価用のコイン型二次電池(図2参照)を作製し、各種の評価を行なった。
<負極合剤ペーストの調製>
まず、得られた炭素粉末を負極材料として、負極合剤ペーストを調製した。具体的には、プラネタリーミキサーに、炭素粉末(95質量部)と、ポリビニリデンジフルオライドの12%N-メチルピロリジノン溶液(固形分で5質量部)とを入れ、100rpm(round per minute)で15分間攪拌し、さらに、N-メチルピロリジノンを追加して固形分比60%となるように調整して引き続き15分間攪拌を行い、負極合剤ペーストを調製した。
<作用電極(負極)の作製>
調製した負極合剤ペーストを、銅箔上に均一な厚さになるように塗布し、さらに送風乾燥機内に入れて100℃で溶媒を揮発させ、負極合剤層を形成した。次に、負極合剤層をローラープレスによって加圧し、さらに直径15.5mmの円形状に打ち抜くことで、銅箔からなる集電体に密着した負極合剤層を有する作用電極(負極)を作製した。なお、評価を行う前に、真空中100℃で8時間以上の乾燥を行なった。
<電解液の調製>
エチレンカーボネート(33体積%)とメチルエチルカーボネート(67体積%)とを混合して得られた混合溶媒に、LiPFを1mol/dmとなる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。
<評価電池の作製>
次に、作製した作用電極(負極)を用いて、図2に示す評価用のコイン型二次電池(単に「評価電池」ともいう。)を作製した。図2は、評価用のコイン型二次電池を示す断面図である。
まず、リチウム金属箔をニッケルネットに押し付け、直径15.5mmの円形状に打ち抜くことにより、ニッケルネットからなる集電体7aに密着した、リチウム箔からなる円盤状の対極4を作製した。
次に、電解質溶液が含浸されたセパレータ5を、集電体7bに密着した作用電極(負極)2と、集電体7aに密着した対極4との間に挟んで積層した。その後、作用電極2を外装カップ1内に、対極4を外装缶3内に収容して、外装カップ1と外装缶3とを合わせ、外装カップ1と外装缶3との周縁部を、絶縁ガスケット6を介してかしめ、密閉することにより、評価電池を作製した。
作製された評価電池においては、外装カップ1と外装缶3との周縁部が絶縁ガスケット6を介してかしめられ、密閉構造が形成されている。密閉構造の内部には、図2に示すように、外装缶3の内面から外装カップ1の内面に向けて順に、集電体7a、対極4、セパレータ5、作用電極(負極)2、及び、集電体7bが積層されている。
<充放電試験>
作製した評価電池について、25℃で以下の充放電試験を行なった。なお、本試験では、リチウムイオンを炭素粉末中にドープする過程を「充電」、炭素粉末から脱ドープする過程を「放電」とした。
まず、0.39mAの電流値で回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切り替え、さらに、電流値が20μAになるまで充電を続けた。その間の通電量から1回目の充電容量(単位:mAh/g)を求めた。その後、120分間休止した。次に、0.39mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、回路電圧が1.5Vに達した時点で定電圧放電に切り替え、さらに、電流値が20μAになるまで放電を続けた。この間の通電量から1回目の放電容量(単位:mAh/g)を求めた。結果を表1~2に示す。実用上、放電容量は、540mAh/g以上であることが好ましい。
上記充放電試験の結果から、下記式に基づいて初期効率(単位:%)を求めた。結果を表1~2に示す。実用上、初期効率は、78%以上であることが好ましい。
初期効率=(1回目の放電容量/1回目の充電容量)×100
実施例4と比較例2について、放電終了後電流を流さず10分保持した前後の電圧変化量の絶対値をIRドロップ(単位:V)として評価した。実施例4は0.14V、比較例2は0.18Vであった。IRドロップが小さいほど電池の内部抵抗が小さく、電池として高い平均電圧を得ることができ、安定した導電パスを得られるためサイクル特性にも優れる。
表1~2から分かるように、炭素被覆層の平均厚さが4nm以上30nm以下であり、且つ、炭素被覆層の厚さの最小値/最大値が70%以上である、実施例1~4は、いずれも高い放電容量と高い初期効率を示した。
一方、炭素被覆層を有さない比較例1~2、炭素被覆層を有するが炭素被覆層の厚さの最小値/最大値が70%未満、炭素被覆層の平均厚さが30nmを超える又は平均厚さが4nm未満の比較例3~6は、放電容量又は初期効率の少なくとも一方が不十分であった。
1 外装カップ
2 作用電極
3 外装缶
4 対極
5 セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a 集電体
7b 集電体

Claims (9)

  1. 難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、
    前記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、
    前記炭素被覆層の厚さの最小値が、前記炭素被覆層の厚さの最大値の70%以上である、炭素被覆難黒鉛化性炭素であって、
    前記炭素被覆層の垂直断面をTEMで観察したときの、制限視野電子線回折法により求めた前記炭素被覆層の回折強度において、
    前記垂直断面における前記炭素被覆層の接線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Ixと前記垂直断面における前記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Iyとが、下記式(1)を満たす、炭素被覆難黒鉛化性炭素。
    Ix/Iy < 1.00 (1)。
  2. 難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、
    前記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、
    前記炭素被覆層の厚さの最小値が、前記炭素被覆層の厚さの最大値の70%以上である、炭素被覆難黒鉛化性炭素であって、
    前記炭素被覆層の垂直断面をTEMで観察したときの、制限視野電子線回折法により測定された前記炭素被覆層の回折スペクトルにおいて、
    前記垂直断面における前記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピークから求められる002面の層間隔d002が、0.38nm以上である、炭素被覆難黒鉛化性炭素。
  3. 難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、
    前記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、
    前記炭素被覆層の厚さの最小値が、前記炭素被覆層の厚さの最大値の70%以上である、炭素被覆難黒鉛化性炭素であって、
    電子エネルギー損失分光法で測定した前記炭素被覆層のIsp2/(Isp2+Isp3)が、0.090以上(ただし、0.130以上を除く)である、炭素被覆難黒鉛化性炭素。ここで、Isp2は、sp2に起因するピークの強度であり、Isp3は、sp3に起因するピークの強度である。
  4. 難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、
    前記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、
    前記炭素被覆層の厚さの最小値が、前記炭素被覆層の厚さの最大値の70%以上である、炭素被覆難黒鉛化性炭素であって、
    電子エネルギー損失分光法で測定した前記炭素被覆層のIsp2/(Isp2+Isp3)が、0.090以上0.108以下である、炭素被覆難黒鉛化性炭素。ここで、Isp2は、sp2に起因するピークの強度であり、Isp3は、sp3に起因するピークの強度である。
  5. 難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、
    前記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、
    前記炭素被覆層の厚さの最小値が、前記炭素被覆層の厚さの最大値の70%以上であり、
    前記炭素被覆層の垂直断面をTEMで観察したときの、制限視野電子線回折法により求めた前記炭素被覆層の回折強度において、前記垂直断面における前記炭素被覆層の接線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Ixと前記垂直断面における前記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Iyとが、下記式(1)を満たし、
    前記炭素被覆層の垂直断面をTEMで観察したときの、制限視野電子線回折法により測定された前記炭素被覆層の回折スペクトルにおいて、前記垂直断面における前記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピークから求められる002面の層間隔d002が、0.38nm以上であり、
    電子エネルギー損失分光法で測定した前記炭素被覆層のIsp2/(Isp2+Isp3)が、0.090以上である、炭素被覆難黒鉛化性炭素。ここで、Isp2は、sp2に起因するピークの強度であり、Isp3は、sp3に起因するピークの強度である。
    Ix/Iy < 1.00 (1)
  6. 難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、
    前記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、
    前記炭素被覆層の厚さの最小値が、前記炭素被覆層の厚さの最大値の70%以上である、炭素被覆難黒鉛化性炭素であって、
    制限視野電子線回折法により測定した前記難黒鉛化性炭素の回折スペクトルにおいて、
    黒鉛構造の002面に相当するピークを有さない、炭素被覆難黒鉛化性炭素。
  7. 難黒鉛化性炭素と、その表面に被覆された炭素被覆層とからなり、
    前記炭素被覆層の平均厚さが、4nm以上30nm以下であり、
    前記炭素被覆層の厚さの最小値が、前記炭素被覆層の厚さの最大値の70%以上であり、
    前記炭素被覆層の垂直断面をTEMで観察したときの、制限視野電子線回折法により求めた前記炭素被覆層の回折強度において、前記垂直断面における前記炭素被覆層の接線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Ixと前記垂直断面における前記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピーク強度Iyとが、下記式(1)を満たし、
    前記炭素被覆層の垂直断面をTEMで観察したときの、制限視野電子線回折法により測定された前記炭素被覆層の回折スペクトルにおいて、前記垂直断面における前記炭素被覆層の法線方向における黒鉛の002面に対応するピークから求められる002面の層間隔d002が、0.38nm以上であり、
    電子エネルギー損失分光法で測定した前記炭素被覆層のIsp2/(Isp2+Isp3)が、0.090以上であり、
    制限視野電子線回折法により測定した前記難黒鉛化性炭素の回折スペクトルにおいて、
    黒鉛構造の002面に相当するピークが観測されない、炭素被覆難黒鉛化性炭素。ここで、Isp2は、sp2に起因するピークの強度であり、Isp3は、sp3に起因するピークの強度である。
    Ix/Iy < 1.00 (1)
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の炭素被覆難黒鉛化性炭素を用いた、リチウムイオン二次電池用負極。
  9. 請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用負極を有する、リチウムイオン二次電池。
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