JP7478871B1 - 熱硬化性樹脂組成物、硬化物およびプリント配線板 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、硬化物およびプリント配線板 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導性と絶縁破壊耐性とを高いレベルで両立し、かつ表面が高い平滑性を有する硬化物を形成することができる熱硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂組成物に熱硬化性樹脂、熱伝導性フィラー、レオロジー調整剤および湿潤分散剤を配合し、溶剤フリーとし、かつ前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導率を2.5W/m・K以上に調整する。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物に関し、特に高熱伝導・高耐電圧絶縁層の形成に好適に用いられる熱硬化性樹脂組成物に関する。さらに、本発明は、該熱硬化性樹脂組成物の硬化物および該硬化物を備えるプリント配線板にも関する。
従来、環境に対する負荷を軽減する観点から自動車の電気化が進んでおり、近年では、電動機(電動モーター)で走行する電気自動車の需要が高まっている。これに伴い、自動車の電動機に関連する電子デバイス、例えばインバーターやコンバーターにおいて、高電圧で大電流を通電させることができるパワー半導体と呼ばれる半導体が用いられる場面が増えてきている。
一方で、そのようなパワー半導体は高電圧で大電流を通電させることから、パワー半導体そのものやパワー半導体が実装されたプリント配線板が高温になりやすく、そのようなプリント配線板を備える電子デバイスの継続的・安定的な性能発揮のために、プリント配線板を高度に冷却する必要がある。従来、パワー半導体が実装されたプリント配線板を冷却するために、そのようなプリント配線板を収める筐体を水で冷却することにより、筐体に密着したプリント配線板の温度を下げる構造が多く採用されているが、その場合、パワー半導体の高電圧での通電によるプリント配線板と筐体との間の絶縁破壊を防ぎつつ、効率よく熱を伝えてプリント配線板を冷却する必要がある。すなわち、プリント配線板において、熱伝導性と絶縁破壊耐性(絶縁破壊電圧)とを高いレベルで両立する必要がある。
プリント配線板の熱伝導性を向上させるために、プリント配線板の絶縁層に熱伝導性フィラーを高充填すると、絶縁破壊耐性が低下する場合があり、結果として熱伝導性と絶縁破壊耐性とを高いレベルで両立させることが困難になる。例えば、特許文献1では熱伝導性フィラーの粒子径比率を最適化し、プリント配線板の絶縁破壊耐性の低下を抑制しながら熱伝導性を向上させることが提案されているが、プリント配線板の絶縁層に熱伝導性を有する絶縁性フィラーを高充填すると、絶縁層の表面に凹凸が生じやすくなり、プリント配線板と筐体との間の接触が損なわれ、結果として筐体を介したプリント配線板の冷却が十分に達成されない場合がある。また、絶縁層の表面の凹凸部に熱伝導性材料を塗布する等のさらなる工夫をすることにより、凹凸部を埋めて平滑にして、プリント配線板と筐体との密着性を向上させ、筐体を介したプリント配線板の冷却効率を向上させることも提案されているが、プリント配線板の製造コストの増大や熱抵抗性の増大等の問題がある。
国際公開第2020/105215号
このような状況下、熱伝導性と絶縁破壊耐性とを高いレベルで両立し、かつ表面が高い平滑性を有する硬化物を形成することができる熱硬化性樹脂組成物を提供することが、継続的な技術的課題として存在する。
したがって、本発明は、熱伝導性と絶縁破壊耐性とを高いレベルで両立し、かつ表面が高い平滑性を有する硬化物を形成することができる熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明の別の目的は、そのような熱伝導性と絶縁破壊耐性とを高いレベルで両立し、かつ表面が高い平滑性を有する硬化物を備えるプリント配線板を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究した結果、熱硬化性樹脂および熱伝導性フィラーを含有する熱硬化性樹脂組成物において、レオロジー調整剤および湿潤分散剤をさらに配合し、溶剤フリーとし、かつ前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導率を2.5W/m・K以上に調整することにより、上記の課題を解決できるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]熱硬化性樹脂、熱伝導性フィラー、レオロジー調整剤、および湿潤分散剤を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、前記熱硬化性樹脂組成物が溶剤を含有せず、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導率が2.5W/m・K以上であることを特徴とする、前記熱硬化性樹脂組成物。
[2]前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物が、その表面にスキン層を有する、[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[3]前記湿潤分散剤がリン酸エステルコポリマーを含有する、[1]または[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4]前記湿潤分散剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂100質量部に対して2~14質量部である、[1]~[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[5]前記レオロジー調整剤が、微粉シリカおよび膨潤性層状鉱物粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[6]前記熱硬化性樹脂が液状エポキシである、[1]~[5]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[7]前記熱伝導性フィラーが酸化アルミニウムを含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[8]前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の表面の算術平均粗さRaが0.1~1.5μmであり、かつ最大高さ粗さRzが1.5~10μmである、[1]~[7]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
[10]前記硬化物が、その表面にスキン層を有する、[9]に記載の硬化物。
[11]前記スキン層の厚さが2~20μmである、[10]に記載の硬化物。
[12][9]~[11]のいずれかに記載の硬化物を備える、プリント配線板。
[13]硬化物を備えるプリント配線板の製造方法であって、[1]~[8]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより前記硬化物を形成する工程を含む、製造方法。
本発明によれば、熱伝導性と絶縁破壊耐性とを高いレベルで両立し、かつ表面が高い平滑性を有する硬化物を形成することができる硬化性樹脂組成物、硬化物、該硬化物を備えるプリント配線板を提供することができる。
[熱硬化性樹脂組成物]
本発明の一つの態様によれば、熱硬化性樹脂組成物(以下、「本発明の熱硬化性樹脂組成物」とも言う。)が提供される。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、熱伝導性フィラー、レオロジー調整剤、および湿潤分散剤を必須成分として含有する。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂および熱伝導性フィラーを含有し、さらにレオロジー調整剤および湿潤分散剤を含有し、溶剤フリーとし、その硬化物の熱伝導率を所定の範囲に調整することにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物において熱伝導性と絶縁破壊耐性とを高いレベルで両立させることができる。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷後、ステップキュアを行うことにより、硬化物の表面近傍に後述するスキン層が形成され、その結果、硬化物の表面が高い平滑性を有する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物から形成される硬化物(以下、「本発明の硬化物」とも言う。)は高い絶縁破壊耐性を有していることから、高電圧で大電流での通電が求められるプリント配線板においても継続的に高い絶縁性を発揮し得る。また、本発明の硬化物は高い熱伝導性を有していることから、プリント配線板の周囲の冷却環境(例えば、冷却装置、冷却装置により冷却された筐体等の部品)との接触により効率よく冷却され得る。さらに、本発明の硬化物は、その表面が高い平滑性を有しており、上述したような冷却環境と良好に接触し得るため、さらに効率よく冷却され得る。したがって、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、高電圧で大電流での通電が求められるプリント配線板における絶縁層を形成するために好適に用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、その硬化物の熱伝導率が2.5W/m・K以上、好ましくは2.7W/m・K以上、より好ましくは3.0W/m・K以上、特に好ましくは3.2W/m・Kである。硬化物の熱伝導率が上述したような範囲にあることにより、当該硬化物を備えるプリント配線板を効率よく冷却することができる。
熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導率は、以下のようにして測定することができる。まず、熱硬化性樹脂組成物を圧延銅箔上にT-150Bスクリーン版を用いて乾燥膜厚が100μmとなるように塗布して、塗膜を印刷する。次いで、塗膜を印刷した基板を水平に静置して23℃で10分間消泡レベリングした後、熱風循環式箱型乾燥炉中に静置して100℃で20分間プレキュアした後、160℃で60分間ポストキュアして、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させて硬化塗膜を形成する。次いで、圧延銅箔を剥がして得られるフィルム状の硬化物の熱拡散率を、アルバック理工株式会社製のFTC-1を用いて、荷重5kgf/cmで周期加熱法により測定する。また、硬化物の比熱容量を、PerkinElmer社製の示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて、昇温:20℃/分、ガス:ヘリウム 20ml/分、試料量:15mgとして測定する。また、硬化物の密度を、室温(25℃)で水中置換法により測定する。測定された硬化物の熱拡散率(α)、比熱容量(c)および密度(ρ)に基づいて、下記の式により硬化物の熱伝導率(λ)を算出する。
熱伝導率(λ)=熱拡散率(α)×比熱容量(c)×密度(ρ)
以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
(熱硬化性樹脂)
本発明の熱硬化性樹脂組成物に含まれることが好ましい熱硬化性樹脂としては、熱により硬化し得るものであれば特に制限なく用いることができるが、エポキシ樹脂を好適に用いることができる。エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば制限なく用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、アミノクレゾール型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂等を挙げることができる。上述したエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂を含有してもよい。ビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE(AD)型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE(AD)型エポキシ樹脂が好ましい。また、ビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂は液状、半固形状、固形状のいずれの形態でも用いられるが、中でも、充填性の観点から液状であることが好ましい。なお、液状とは、20℃で流動性を有する液体の状態にあることをいうものとする。
これらのビスフェノール型骨格を有するエポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、充填性に優れる結果、硬化後の特性にもより良い影響を及ぼす観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびビスフェノールE(AD)型エポキシ樹脂から選択される2種以上のエポキシ樹脂を組み合わせて用いることが好ましい。これらの市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製ZX-1059、三菱ケミカル株式会社製jER(登録商標)828、同(登録商標)jER834、同jER(登録商標)1001(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、同jER807、同jER4004P(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、エア・ウォーター社製R710(ビスフェノールE型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、多官能エポキシ樹脂を含有してもよい。多官能エポキシ樹脂の市販品としては、ヒドロキシベンゾフェノン型液状エポキシ樹脂である株式会社ADEKA製のEP-3300E等、アミノフェノール型液状エポキシ樹脂(パラアミノフェノール型液状エポキシ樹脂)である三菱ケミカル株式会社製のjER(登録商標)630、住友化学株式会社製のELM-100等、グリシジルアミン型エポキシ樹脂である三菱ケミカル株式会社製のjER(登録商標)604、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のエポトートYH-434、住友化学工業株式会社製のスミエポキシ(登録商標)ELM-120、フェノールノボラック型エポキシ樹脂であるダウ・ケミカル社製のDEN-431、脂環式エポキシ樹脂である株式会社ダイセル製のセロキサイド2021P等が挙げられる。これら多官能エポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂組成物の総質量に対し、10~20質量%とすることができる。
(硬化剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を硬化させるための硬化剤を含有してもよい。硬化剤としては、熱硬化性樹脂を硬化させるために一般的に慣用される公知の硬化剤を用いることができる。具体的な硬化剤としては、例えば、アミン類、イミダゾール類、多官能フェノール類、酸無水物、イソシアネート類、イミダゾールアダクト体等のイミダゾール潜在性硬化剤、およびこれらの官能基を含むポリマー類が挙げられる。アミン類としては、例えば、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。イミダゾール類としては、例えば、アルキル置換イミダゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。多官能フェノール類としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールAおよびそのハロゲン化合物、さらに、これとアルデヒドとの縮合物であるノボラック、レゾール樹脂等が挙げられる。酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。イソシアネート類としては、例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。イソシアネート類としては、これらの各種イソシアネートをフェノール類等でマスクしたものを用いることもできる。ら硬化剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した硬化剤のうち、導電部および絶縁部との密着性、保存安定性、耐熱性の観点から、アミン類やイミダゾール類を好適に用いることができる。具体的には、炭素数2~6のアルキレンジアミン、炭素数2~6のポリアルキレンポリアミン、炭素数8~15である芳香環含有脂肪族ポリアミン等の脂肪族ポリアミンのアダクト化合物、またはイソホロンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式ポリアミンのアダクト化合物、または上述した脂肪族ポリアミンのアダクト化合物と上述した脂環式ポリアミンのアダクト化合物との混合物を主成分とするものを好適に用いることができる。特に、キシリレンジアミンまたはイソホロンジアミンのアダクト化合物を主成分とする硬化剤が好ましい。
脂肪族ポリアミンのアダクト化合物としては、脂肪族ポリアミンにアリールグリシジルエーテル(特に、フェニルグリシジルエーテルまたはトリルグリシジルエーテル)またはアルキルグリシジルエーテルを付加反応させて得られるものが好ましい。また、脂環式ポリアミンのアダクト化合物としては、脂環式ポリアミンにn-ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等を付加反応させて得られるものが好ましい。
脂肪族ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン等の炭素数2~6のアルキレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン等の炭素数2~6のポリアルキレンポリアミン、キシリレンジアミン等の炭素数8~15の芳香環含有脂肪族ポリアミン等が挙げられる。
脂環式ポリアミンとしては、例えば、イソホロンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、ラロミン等が挙げられる。
イミダゾール類としては、例えば、エポキシ樹脂とイミダゾールとの反応物等が挙られる。具体的なイミダゾール類としては、例えば、2-メチルイミダゾール、4-メチル-2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール等が挙げられる。
上述した硬化剤のうち、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性を維持できる観点からは、上記した硬化剤を少なくとも2種以上含んでもよく、その1種がイミダゾール類であってもよい。また、クラックやデラミ抑制の観点から、ポリアミンおよびインダゾール潜在型硬化剤のいずれか少なくとも1種を含むことが好ましい。また、イミダゾール類を含む場合は2種以上のイミダゾール類を含むことが好ましい。
硬化剤の含有量は、保存安定性や粘度比Rおよび100℃で160分間加熱した状態での、JIS-K5600-5-4:1999に準拠する鉛筆硬度試験による鉛筆硬度を、より適切な範囲に調整するし易さの観点から、熱硬化性樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂100質量部に対して1~35質量部であることが好ましく、より好ましくは4~30質量部である。また、イミダゾール類とそれ以外の硬化剤とを併用する場合には、イミダゾール類とその他の硬化剤との含有割合は、質量基準において1:99~99:1であることが好ましく、より好ましくは10:90~90:10である。
(熱伝導性フィラー)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱伝導性フィラーを含有する。熱伝導性フィラーとしては、熱を伝導することができる粒子であれば特に限定されることなく用いることができる。熱硬化性樹脂組成物に熱伝導性フィラーを配合することにより、熱硬化性樹脂組成物の熱伝導性が向上することが期待できる。熱伝導性フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱硬化性樹脂組成物が熱伝導性フィラーを含有することにより、熱硬化性樹脂組成物の熱伝導効率を向上させ、また比重を調整することができる。
熱伝導性フィラーの種類としては、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ダイヤモンド等が挙げられる。熱伝導性フィラーとして特に好ましくは、酸化アルミニウムが用いられる。特に、球状の酸化アルミニウムを用いることにより、高充填した際の熱硬化性樹脂組成物の粘度上昇を抑制することができる。好ましい酸化アルミニウムの市販品としては、デンカ株式会社製のデンカ球状アルミナDAW-03、DAW-07、ASFP-20等が挙げられる。
熱伝導性フィラーの熱伝導率は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは30W/m・K以上である。
熱伝導性フィラーの粒子径は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、その平均粒子径(d50)が、好ましくは0.01~30μm、より好ましくは0.01~20μmである。なお、熱伝導性フィラーの平均粒子径(d50)とは、一次粒子の粒子径だけでなく、二次粒子(凝集体)の粒子径も含めた平均粒子径を言う。平均粒子径(d50)が0.01μm以上であることにより、熱硬化性樹脂組成物の粘度が過度に高くなることを抑制されるため高い分散性を有し、被塗布物への高い塗布性を奏し得る。一方、平均粒子径が30μm以下であることにより、塗膜からの頭出しが発生しにくくなり、沈降速度が十分遅くなるため高い保存安定性を奏する。熱伝導性フィラーの平均粒子径(d50)は、日機装株式会社製のMicrotrac MT3300EXIIを用いて、レーザー回折法により測定することができる。
熱伝導性フィラーは、熱硬化性樹脂組成物への配合時に最密充填構造となるような粒度分布を有する2種以上の平均粒子径のものを組み合わせて用いることが好ましい。熱硬化性重視組成物において、熱伝導性フィラーが最密充填構造となることにより、充填率がより高くなり、熱伝導率、保存安定性がより向上し得る。
熱硬化性樹脂組成物における熱伝導性フィラーの含有量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、熱伝導性フィラーの種類および上述したような熱伝導性フィラーの各種特性等に応じて適宜設定することができ、熱硬化性樹脂組成物の全容量に対して、好ましくは60容量%以上である。熱伝導性フィラーの含有量が、熱硬化性樹脂組成物の全容量に対して60容量%以上であることにより、硬化物が放熱材料として十分な熱伝導率を有し得る。
(レオロジー調整剤)
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、レオロジー調整剤を含有する。レオロジー調整剤の種類としては、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、例えば、微粉シリカ、合成または天然の膨潤性層状鉱物粒子(例えば、ベントナイト、ヘクトライト、バーミキュライト、ハロサイト、膨潤性マイカ等)、超微粒酸化物粒子(例えば、チタニア、ジルコニア等)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸またはその塩、ポリメタクリル酸またはその塩、水溶性セルロース誘導体、セルロースナノファイバー等が挙げられる。好ましいレオロジー調整剤としては、微粉シリカ、合成または天然の膨潤性層状鉱物粒子が挙げられる。好ましい微粉シリカとしては、比表面積が100m/g以上である微粉シリカが挙げられる。そのような微粉シリカとしては、例えば、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL(登録商標)200等が挙げられる。また、好ましい膨潤性層状鉱物粒子の市販品としては、例えば、白石工業株式会社製のオルベンM(ベントナイト)等が挙げられる。レオロジー調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物におけるレオロジー調整剤の含有量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、レオロジー調整剤の種類、後述する湿潤分散剤の種類および含有量、熱硬化性樹脂組成物の所望のTi値等に応じて適宜設定することができ、例えば、熱硬化性樹脂組成物の総質量に対し、0.2~1.5質量%とすることができる。
(湿潤分散剤)
本発明における熱硬化性樹脂組成物は、湿潤分散剤を含有する。湿潤分散剤は、主として熱硬化性樹脂組成物への熱伝導性フィラーの高充填化を促進するために用いられる。また、熱硬化性樹脂組成物が湿潤分散剤を含有することにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱抵抗性を低下させることができ、表面の平滑性を向上させることができる。湿潤分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
湿潤分散剤の種類としては、好ましくはリン酸エステル系化合物、特に好ましくはリン酸エステルコポリマーが用いられる。好ましいリン酸エステルコポリマーの市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製の湿潤分散剤BYK-W9010、BYK-W9011、BYK-W9012等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物における湿潤分散剤の含有量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、湿潤分散剤の種類、上述したレオロジー調整剤の種類および含有量、熱硬化性樹脂組成物の粘度、表面平滑性に応じて適宜設定することができ、例えば、熱硬化性樹脂100質量部に対し、好ましくは2~14質量部である。
(溶剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、溶剤を含有しない。熱硬化性樹脂組成物が溶剤を含有する場合にはその粘度を下げることができ、印刷性を向上させることができるが、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させる際に塗膜深部の溶剤の揮発が不十分であると気泡が発生し、絶縁破壊電圧の低下の要因となる場合がある。したがって。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、絶縁破壊耐性を向上させる観点から溶剤を含有しない。
(その他の成分)
熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じてさらに、着色剤、密着促進剤(密着性付与剤)、重合禁止剤、酸化防止剤、防錆剤の1種以上の成分を含有してもよい。これらは、電子材料の分野において公知のものを用いることができる。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上述した本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られるものであり、熱伝導性と絶縁破壊耐性とを高いレベルで両立し、かつ表面が高い平滑性を有する硬化物である。本発明の硬化物は、上述したような特性を有することにより、高電圧で大電流での通電が求められるプリント配線板における絶縁層として好適に用いることができる。
本発明の硬化物の厚さは、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、例えば、30~200μmである。また、本発明の硬化物は、その全体にわたり均質であってもよく、均質でなくてもよい。硬化物の厚さが上述した範囲にあることにより硬化物が十分な絶縁破壊耐性を奏し、かつ十分な熱伝導性を奏し得る。
本発明の硬化物は、好ましくはその表面近傍にスキン層を有する。硬化物がスキン層を有することにより、硬化物の表面が高い平滑性を有する。ここでスキン層とは、硬化物の表面の算術平均粗さRaが1.0μm未満になるような層であって、粒子径が1μm以上の熱伝導性フィラーを実質的に含まない層のことをいう。なお、粒子径が1μm以上の熱伝導性フィラーを実質的に含まないとは、粒子径が1μm以上の熱伝導性フィラーが完全に含まれていないことが好ましいが、硬化物の表面の算術平均粗さRaが1.0μm未満になることを条件として、粒子径が1μm以上の熱伝導性フィラーが含まれていることを排除するものではない。硬化物におけるスキン層の有無は、光学顕微鏡等を用いた硬化物の断面の観察および熱伝導性フィラーの粒子径の測定により判定することができる。そのようなスキン層を有する硬化物は、結果として平滑な表面を有し得る。スキン層の厚さは、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、例えば、2~20μmとすることができる。
本発明の硬化物は、その表面の算術平均粗さRaが、好ましくは0.1~1.5μmであり、かつ最大高さ粗さRzが好ましくは1.5~10μmである。硬化物の表面のRaおよびRzがそれぞれ上述した範囲にあることにより、ヒートシンクに面接触できるため熱伝導がより良好となり、効率的に部品冷却することができる。
硬化物のRaおよびRzは、以下のようにして測定することができる。まず、熱硬化性樹脂組成物を、CZ研磨した銅ベタ基板上にT-150Bスクリーン版を用いて乾燥膜厚が100μmとなるように塗布して、塗膜を印刷する。次いで、塗膜を印刷した基板を水平に静置して23℃で10分間消泡レベリングした後、熱風循環式箱型乾燥炉中に静置して100℃で20分間プレキュアした後、160℃で60分間ポストキュアして、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させて、試験基板を作製する。次いで、得られた試験基板上の硬化物の表面のRa(算術平均粗さ)およびRz(最大高さ粗さ)を、株式会社小坂研究所製の表面粗さ測定機SE600を用いて、JIS B 0601:2013に準拠した方法により測定する。
[プリント配線板]
本発明の別の態様によれば、本発明の硬化物を備えるプリント配線板(以下、「本発明のプリント配線板」とも言う。)が提供される。本発明のプリント配線板の製造方法においては、例えば、本発明による熱硬化性樹脂組成物を、基材上にスクリーン印刷法等の方法により塗布した後、基材を水平に静置した状態で熱硬化性樹脂組成物の熱硬化を行うことで、硬化塗膜を形成する。熱硬化性樹脂組成物の熱硬化は、例えば、130~200℃の温度で30~180分間の加熱とすることができる。また、一つの好ましい実施形態において、熱硬化性樹脂組成物の熱硬化は、予備硬化(プレキュア)および本硬化(ポストキュア)を含むステップキュアにより行われる。具体的には、熱硬化性樹脂組成物を塗布した後、60~100℃の温度で加熱し(プレキュア)、見かけの粘度を下げて消泡レベリングを促進させる。次いで、140~180℃の温度で加熱して熱硬化を行うことで硬化塗膜を形成する。なお、上述したプレキュアの時間は、例えば、10~60分間とすることができ、ポストキュアの時間は30~120分間とすることができる。
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキサイド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
本発明による熱硬化性樹脂組成物を塗布した後に行う熱硬化(ステップキュア)は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、「部」および「%」の記載は、特に断りのない限りいずれも質量基準である。
[熱硬化性樹脂組成物の調製]
下記表1に示す各成分を、同表に示す量で混合し、撹拌機を用いて予備撹拌した後、3本ロールミルを用いて混練し、実施例1~6および比較例1~4の各熱硬化性樹脂組成物を調製した。表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
熱硬化性樹脂1:日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のZX-1059
熱硬化性樹脂2:三菱ケミカル株式会社製のjER(登録商標)630
熱硬化性樹脂3:三菱ケミカル株式会社製のjER(登録商標)YED216D
密着性付与剤:信越化学工業株式会社製のシランカップリング剤KBM-403(化学名:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
消泡剤:信越化学工業株式会社製のオイルコンパウンド型消泡剤KS-66
硬化剤:四国化成工業株式会社製のイミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤キュアゾール2MZA-PW
レオロジー調整剤:日本アエロジル株式会社製のAEROSIL(登録商標)200
湿潤分散剤1:ビックケミー・ジャパン株式会社製の湿潤分散剤BYK-111
湿潤分散剤2:ビックケミー・ジャパン株式会社製の湿潤分散剤BYK-W9010
湿潤分散剤3:ビックケミー・ジャパン株式会社製の湿潤分散剤BYK-W9011
湿潤分散剤4:ビックケミー・ジャパン株式会社製の湿潤分散剤BYK-W9012
熱伝導性フィラー1:デンカ株式会社製のデンカ球状アルミナDAW-07
熱伝導性フィラー2:デンカ株式会社製のデンカ球状アルミナDAW-03
熱伝導性フィラー3:デンカ株式会社製のデンカ球状アルミナASFP-20
なお、比較例1の組成では成分の撹拌、混合を行うことができず、熱硬化性樹脂組成物を得ることができなかった。比較例1では湿潤分散剤が配合されておらず、また熱伝導性フィラーの配合量が多いため、熱伝導性フィラーの表面に熱硬化性樹脂が十分に湿潤しなかったため、撹拌、混合を行うことができなかったと考えられる。
[スキン層の厚さの測定]
実施例および比較例の各熱硬化性樹脂組成物を、CZ研磨した銅ベタ基板上にT-150Bスクリーン版を用いて乾燥膜厚が100μmとなるように塗布して、塗膜(第1の塗膜)を印刷した。次いで、第1の塗膜を印刷した基板を水平にして23℃で10分間消泡レベリングした後、熱風循環式箱型乾燥炉中に静置して100℃で20分間プレキュアした後、150℃で30分間ポストキュアして、各熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた。次いで、基板を室温で放置した後、各熱硬化性樹脂組成物を第1の塗膜上にT-150Bスクリーン版を用いて乾燥膜厚が100μmとなるように塗布して、塗膜(第2の塗膜)を印刷した。次いで、第2の塗膜を印刷した基板を水平にして23℃で10分間消泡レベリングした後、熱風循環式箱型乾燥炉中に静置して100℃で20分間プレキュアした後、160℃で60分間ポストキュアして、各熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させて、各試験基板を作製した。各試験基板を切断し、その断面を研磨し、第1の塗膜と第2の塗膜との接触部に見える第1の塗膜の層(スキン層)を株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX-7000で観察し、層の厚さを測定した。なお、スキン層は粒子径が1μm以上の熱伝導性フィラーを含まないため着色の程度が低く(薄く)、観察時に周囲の光を透過するため端部が見えにくい。そのため、スキン層の厚さを測定する際には、上述したように2つの層を形成し、塗膜の断面を観察し、第1の塗膜と第2の塗膜との接触部に存在する第1の塗膜のスキン層の厚さを測定する。各熱硬化性樹脂組成物の硬化物のスキン層の厚さを表1に示す。
表1に示す結果から、実施例1~6の各熱硬化性樹脂組成物は、いずれもスキン層を有し、その厚さは8~14μmであることが分かる。
[硬化物の表面平滑性の評価]
実施例および比較例の各熱硬化性樹脂組成物を、CZ研磨した銅ベタ基板上にT-150Bスクリーン版を用いて乾燥膜厚が100μmとなるように塗布して、塗膜を印刷した。次いで、塗膜を印刷した基板を水平に静置して23℃で10分間消泡レベリングした後、熱風循環式箱型乾燥炉中に静置して100℃で20分間プレキュアした後、160℃で60分間ポストキュアして、各熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させて、各試験基板を作製した。次いで、得られた各試験基板上の硬化物の表面のRa(算術平均粗さ)およびRz(最大高さ粗さ)を、株式会社小坂研究所製の表面粗さ測定機SE600を用いて、JIS B 0601:2013に準拠した方法により測定し、各熱硬化性樹脂組成物の硬化物の表面平滑性を以下の基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。
表面平滑性は以下の基準で評価した。
〇:Raが1.0μm未満でありRzが5μm未満であり、表面平滑性が優れている。
×:Raが1.0μm以上でありRzが5μm以上であり、表面平滑性が不十分である。
表1に示す結果から、実施例1~6の各熱硬化性樹脂組成物から形成された硬化物は、いずれも優れた表面平滑性を有することが分かる。優れた表面平滑性を有する硬化塗膜はスキン層を有しており、スキン層により熱伝導性フィラーの突起が被覆されていることが分かる。一方、比較例2および4の熱硬化性樹脂組成物から形成される硬化物は、その表面平滑性が不十分であることが分かる。比較例2では湿潤分散剤が少なく、スキン層が形成できていないため十分な表面平滑性が得られなかったものと考えられる。また、比較例4では湿潤分散剤としてリン酸エステル系コポリマーが用いられているものの、スキン層の形成効果が奏されないため十分な表面平滑性が得られなかったものと考えられる。
[熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導性の評価]
実施例および比較例の各熱硬化性樹脂組成物を圧延銅箔上にT-150Bスクリーン版を用いて乾燥膜厚が100μmとなるように塗布して、塗膜を印刷した。次いで、塗膜を印刷した基板を水平に静置して23℃で10分間消泡レベリングした後、熱風循環式箱型乾燥炉中に静置して100℃で20分間プレキュアした後、160℃で60分間ポストキュアして、各熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させて硬化塗膜を形成した。次いで、圧延銅箔を剥がして得られたフィルム状の硬化物の熱拡散率を、アルバック理工株式会社製のFTC-1を用いて、荷重5kgf/cmで周期加熱法により測定した。また、硬化物の比熱容量を、PerkinElmer社製の示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて、昇温:20℃/分、ガス:ヘリウム 20ml/分、試料量:15mgとして測定した。また、硬化物の密度を、室温(25℃)で水中置換法により測定した。測定された硬化物の熱拡散率(α)、比熱容量(c)および密度(ρ)に基づいて、下記の式により硬化物の熱伝導率(λ)を算出した。
熱伝導率(λ)=熱拡散率(α)×比熱容量(c)×密度(ρ)
算出された熱伝導率の値から、各熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導性を以下の基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。
○:熱伝導率が2.5W/m・K以上であり、熱伝導性が優れている。
×:熱伝導率が2.5W/m・K未満である、熱伝導性が不十分である。
表1に示す結果から、実施例1~6の各熱硬化性樹脂組成物から形成された硬化物は、いずれも優れた熱伝導性を有することが分かる。したがって、熱硬化性樹脂、熱伝導性フィラー、レオロジー調整剤および湿潤分散剤を含有する特定の組成の熱硬化性樹脂組成物から形成される硬化物は、優れた熱伝導性を有し得ると言える。
[硬化物の絶縁破壊耐性の評価]
実施例および比較例の各熱硬化性樹脂組成物を、CZ研磨した銅ベタ基板上にT-150Bスクリーン版を用いて乾燥膜厚が70μmとなるように塗布して、塗膜を印刷した。次いで、塗膜を印刷した基板を水平に静置して23℃で10分間消泡レベリングした後、熱風循環式箱型乾燥炉中に静置して100℃で20分間プレキュアした後、160℃で60分間ポストキュアして、各熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させて、各試験基板を作製した。得られた各試験基板について、菊水電子工業製株式会社製のDC耐電圧試器TOS5101を用いて、直径10mmの電極によりACモードで0.5kV/秒で昇圧して、各試験基板上の熱硬化性樹脂組成物の硬化物が絶縁破壊する時の電圧値(絶縁破壊電圧)を測定した。なお、絶縁破壊電圧の測定は各熱硬化性樹脂組成物について3枚の試験基板で行い、3枚の試験基板の絶縁破壊電圧の平均値の小数点以下第2位の数値を四捨五入して小数点以下第1位までの数値とした。そのようにして得られた絶縁破壊電圧から、各熱硬化性樹脂組成物について、硬化物の絶縁破壊耐性を以下の基準に従って評価した。評価結果をそれぞれ表1に示す。なお、表1中の絶縁破壊電圧(kV/0.1mm)の各値は、厚さ70μm(0.07mm)の硬化塗膜を有する各試験基板の絶縁破壊電圧の値を0.1mmに換算したものである。
○:絶縁破壊電圧が6kV/0.1mm以上であり、絶縁破壊耐性が優れている。
×:絶縁破壊電圧が6kV/0.1mm未満であり、絶縁破壊耐性が不十分である。
表1に示す結果から、実施例1~6の各熱硬化性樹脂組成物から形成される硬化物は、いずれも優れた絶縁破壊耐性を有することが分かる。したがって、熱硬化性樹脂、熱伝導性フィラー、レオロジー調整剤および湿潤分散剤を含有する特定の組成の熱硬化性樹脂組成物から形成される硬化物は、優れた絶縁破壊耐性を有し得ると言える。
また、表1に示す結果から、比較例2および4の熱硬化性樹脂組成物から形成される硬化物は、その表面平滑性が不十分であり、十分な脱泡ができていないため絶縁破壊電圧や熱伝導率が十分に得られなかったものと考えられる。また、比較例3は湿潤分散剤が多く、スキン層は形成できているものの厚くなりすぎ、熱伝導率が十分に得られなかったものと考えられる。

Claims (10)

  1. 熱硬化性樹脂、熱伝導性フィラー、レオロジー調整剤、および湿潤分散剤を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、前記熱硬化性樹脂組成物が溶剤を含有せず、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導率が2.5W/m・K以上であり、
    前記熱硬化性樹脂が液状エポキシ樹脂であり、
    前記レオロジー調整剤が、微粉シリカおよび膨潤性層状鉱物粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、
    前記レオロジー調整剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂組成物の総質量に対して0.2~1.5質量%であり、
    前記湿潤分散剤が、リン酸エステル系化合物を含有し、
    前記湿潤分散剤の含有量が、前記熱硬化性樹脂100質量部に対し、2~14質量部であることを特徴とする、前記熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物が、その表面にスキン層を有する、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記リン酸エステル化合物がリン酸エステルコポリマーを含有する、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記熱伝導性フィラーが酸化アルミニウムを含有する、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の表面の算術平均粗さRaが0.1~1.5μmであり、かつ最大高さ粗さRzが1.5~10μmである、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
  7. 前記硬化物が、その表面にスキン層を有する、請求項に記載の硬化物。
  8. 前記スキン層の厚さが2~20μmである、請求項に記載の硬化物。
  9. 請求項に記載の硬化物を備える、プリント配線板。
  10. 硬化物を備えるプリント配線板の製造方法であって、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより前記硬化物を形成する工程を含む、製造方法。
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