JP2019119883A - 放熱絶縁シートおよび該シート硬化物を絶縁層とする積層構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱伝導率及び接着力に優れた放熱絶縁シートを提供する。【解決手段】樹脂マトリクス成分として、ポリマー(A)と、重量平均分子量が600以下であるエポキシ樹脂(B)と、硬化剤(C)とを含有し、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ新モース硬度が3.1以上である球状フィラー(D)と、新モース硬度が3以下であり、かつ平均粒子径が10μm以上である窒化ホウ素フィラー(E)と、有機溶剤(F)とを含有する放熱絶縁シートであって、前記有機溶剤(F)は放熱絶縁シートに対して、0.01質量%以上5質量%以下含有し、前記球状フィラー(D)の体積平均粒径に対する前記窒化ホウ素フィラー(E)の体積平均粒子径の比が、1≦(フィラー(E)の体積平均粒子径)/(フィラー(D)の体積平均粒子径)≦1000を満たす、放熱絶縁シート。【選択図】なし

Description

本発明は、電気・電子部品用に用いられる放熱絶縁シートに関する。本発明の放熱絶縁シートは、特定の粒径サイズにある窒化ホウ素(以下BNと呼ぶことがある)フィラー及び球状フィラーを含み、熱伝導率及び接着力に優れた放熱絶縁シートに関する。また、本発明は、該シート硬化物を絶縁層とする積層構造体に関する。
電気機器の小型化・高性能化が進むにつれて、電子部品の実装密度は高くなってきている。高密度化により、電子部品から発生する熱の放散の必要性はより高まっており、重要な課題となっている。熱を放散させる方法として、高い放熱性を有し、かつ熱伝導率が10W/m・K以上のアルミニウム等の熱伝導体を、発熱源に接着する方法が広く採用されている。また、この熱伝導体を発熱源に接着するために、絶縁性を有する絶縁接着材料が用いられている。絶縁接着材料には、熱伝導率が高いことが強く求められている。
上記絶縁接着材料の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤、エラストマー及び無機充填剤を含有する接着剤組成物を、ガラスクロスに含浸させた絶縁接着シートが開示されている。
一方、絶縁接着材の熱伝導率を向上させる無機充填剤として、六方晶窒化ホウ素(h−BN)が広く電気・電子材料分野で多く利用されている。これは、h−BNは、黒鉛と同じ層状構造を有し、合成が比較的容易でかつ熱伝導性、固体潤滑性、化学的安定性、耐熱性、絶縁性等に優れるという特徴を備えているためである。
しかしながら、h−BNは板状の粒子形状であり、その板面方向(ab面内あるいは(002)面内)には高い熱伝導性を示すものの(通常、熱伝導率として400W/mK程度)、板厚方向(c軸方向)には低い熱伝導性(通常、熱伝導率として2〜3W/mK程度)しか示さないため、これを樹脂に配合してBN粒子含有樹脂組成物とし、例えば、板状の成形体を成形した場合、板状のh−BNが成形時にBN粒子含有樹脂組成物の流動方向である成形体の板面方向に配向することとなり、得られる成形体は、板面方向には熱伝導率に優れるものの、厚み方向には低熱伝導率しか示さないという問題があった。
そこで、このようなh−BNの熱伝導性の異方性を改良するために、成形体を成形した場合でも上記のような配向が少ない、鱗片状以外の形状を有する、h−BNが凝集した凝集粒子が検討されてきた(特許文献2、3、4及び5)。特に特許文献5に記載されるカードハウス構造をもつh−BN凝集粒子は、凝集粒子の耐崩壊性を改善し、熱伝導率の面でも優れることがわかっている。
特開2006−342238号公報 特開2006−257392号公報 特表2008−510878号公報 特開平9−202663号公報 特開2016−135732号公報
しかしながら、BNは表面官能基が非常に少ないために、樹脂との密着性が低くなるという欠点がある。そのため、BN凝集粒子を用いて作製した従来の高熱伝導放熱絶縁シートは高い熱伝導率を示す一方で、接着性能が十分ではなかった。
本発明は、熱伝導率及び接着力に優れた放熱絶縁シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を行った結果、特定のポリマー、樹脂、フィラー及び有機溶媒を含む放熱絶縁シートを採用することで、絶縁シートの熱伝導率及び接着力を高めることができることを見出した。特に、上記フィラーの粒径サイズを調整することにより、放熱絶縁シートの高熱伝導率及び高接着力の両立を可能とした。
本発明は、このような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1]樹脂マトリクス成分として、ポリマー(A)と、重量平均分子量が600以下であるエポキシ樹脂(B)と、硬化剤(C)とを含有し、
熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ新モース硬度が3.1以上である球状フィラー(D)と、新モース硬度が3以下であり、かつ平均粒子径が10μm以上である窒化ホウ素フィラー(E)と、有機溶剤(F)とを含有する放熱絶縁シートであって、
前記有機溶剤(F)は放熱絶縁シートに対して、0.01質量%以上5質量%以下含有し、
前記球状フィラー(D)の体積平均粒子径に対する前記窒化ホウ素フィラー(E)の体積平均粒子径の比が、
1≦(フィラー(E)の体積平均粒子径)/(フィラー(D)の体積平均粒子径)≦1000
を満たす、放熱絶縁シート。
[2]前記窒化ホウ素フィラー(E)は、カードハウス構造をもつ窒化ホウ素凝集粒子を含有する、[1]に記載の放熱絶縁シート。
[3]前記ポリマー(A)の含有量が樹脂マトリックス成分100質量部に対して、30質量部を超える、[1]又は[2]に記載の放熱絶縁シート。
[4]エポキシ樹脂(B)中の芳香族エポキシモノマーが、樹脂マトリクス成分100質量部に対して10質量部未満である、[1]〜[3]のいずれか1に記載の放熱絶縁シート。[5]前記球状フィラー(D)は、粒子径が0.5μm以下であるフィラーの含有量が5体積%未満である、[1]〜[4]のいずれか1に記載の放熱絶縁シート。
[6]熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体と、
前記熱伝導体の少なくとも一方の面に積層された絶縁層と、
前記絶縁層の前記熱伝導体が積層された面とは反対側の面に積層された導電層とを備え、
前記絶縁層が、[1]〜[5]のいずれか1に記載の放熱絶縁シートの硬化物である、積層構造体。
本発明の放熱絶縁シートは特に厚み方向に高い熱伝導率を示し、且つ、高い接着力を有することで、熱的信頼性及び機械的信頼性の高い放熱絶縁シート、並びに積層構造体を提供することができる。
本発明の窒化ホウ素(BN)凝集粒子の倍率20万倍の走査型電子顕微鏡(以下「SEM」と称す)写真である(図面代用写真)。 本発明のBN凝集粒子の倍率100万倍のSEM写真である(図面代用写真)。 カードハウス構造の模式図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
(放熱絶縁シート)
本発明の一実施形態である放熱絶縁シートは、樹脂マトリックス成分に加えて、熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ新モース硬度が3.1以上である球状フィラー(D)と、新モース硬度が3以下であり、かつ平均粒径が10μm以上である窒化ホウ素フィラー(E)と、有機溶剤(F)とを含む。
前記樹脂マトリックス成分とは、放熱絶縁シートに含まれる無機フィラー及び有機溶剤(F)を除く成分を示している。ここで無機フィラーには熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ新モース硬度が3.1以上である球状フィラー(D)と、新モース硬度が3以下であり、かつ平均粒径が10μm以上である窒化ホウ素フィラー(E)の他、タルクやマイカ、非球状のガラスフィラーなど(D)、(E)に該当しない無機フィラーも含まれる。
前記樹脂マトリックス成分には、ポリマー(A)、重量平均分子量が600以下であるエポキシ樹脂(B)及び硬化剤(C)が含まれる。また、無機フィラー及び有機溶剤(F)を除くその他の成分も含まれる。その他の成分として例えば、硬化促進剤、分子量600以上のエポキシモノマー、シランカップリング剤、有機フィラーなども、樹脂マトリックス成分に含まれる。
放熱絶縁シートの熱伝導率向上に広く用いられる窒化ホウ素フィラーは、熱伝導率は高いもののその形状および表面官能基の少ないことから、被着体および樹脂との接着力が弱く、放熱絶縁シートの接着性やじん性をより高めることが望まれていた。一方で、球状フィラーのみを用いる場合は材料自体の熱伝導率が低く、十分な熱伝導率が得られないことがある。本発明では、粒径の大きな窒化ホウ素フィラーを用いて、放熱絶縁シート内部に熱伝導率パスを形成し、高い熱伝導率を実現したのみではなく、球状フィラーを適正な粒径サイズにすることで、窒化ホウ素フィラーの熱伝導パスを阻害することなく良好な熱伝導率をもたせて、接着性を低下させる事の無い球状フィラーで充填することで、高熱伝導率・高接着力を実現できたと推測される。また、樹脂マトリックス成分として、ポリマー(A)と、重量平均分子量が600以下であるエポキシ樹脂(B)、硬化剤(C)等を組み合わせることにより、さらに良好な接着性能を実現している。
(ポリマー(A))
放熱絶縁シートに含まれている樹脂マトリックス成分であるポリマー(A)は、シートの製造方法や硬化方法にあったものを適宜選択すればよく、特に限定されない。
上記ポリマー(A)として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等を用いることができる。上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、特に限定されない。上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン又はポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂として、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、ベンゾオキサジン、ポリベンゾオキサゾールとベンゾオキサジンとの反応物などのスーパーエンプラと呼ばれている耐熱性樹脂群等を使用できる。また、スチレン、アルキルスチレンなどのスチレン系重合体、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの(メタ)アクリル系重合体、スチレン−メタクリル酸グリシジルなどのスチレン系−(メタ)アクリル系共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザール、ポリビニルアセタールなどのポリビニルアルコール誘導体、ノルボルネン化合物を含有するノルボルネン系ポリマー、フェノキシ樹脂等も使用できる
。中でも、フェノキシ樹脂が好適に使用できる。上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の内のいずれか一方が用いられてもよく、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが併用されてもよい。
ポリマー(A)の骨格は特に限定されないが、芳香族骨格を有することが好ましい。この場合には、絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。ポリマー(A)が芳香族骨格を有する場合には、芳香族骨格をポリマー中に有していればよく、主鎖骨格内に有していてもよく、側鎖中に有していてもよい。このうち好ましくは、ポリマー(A)が、芳香族骨格を主鎖骨格内に有することである。この場合には、放熱絶縁シートの硬化物の耐熱性をさらに一層高めることができる。
上記芳香族骨格は特に限定されない。上記芳香族骨格の具体例としては、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格又はビスフェノールA型骨格等が挙げられる。なかでも、ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。この場合には、放熱絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
上記フェノキシ樹脂は、具体的には、例えばエピハロヒドリンと2価フェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有することが好ましい。中でも、上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格及びビフェニル骨格からなる群から選択された少なくとも1種の骨格を有することがより好ましく、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の内の少なくとも一方を有することが更に好ましい。これらの好ましい骨格を有するフェノキシ樹脂の使用により、放熱絶縁シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
上記フェノキシ樹脂は、主鎖中に多環式芳香族骨格を有することが好ましい。また、上記フェノキシ樹脂は、下記式(1)〜(6)で表される骨格のうちの少なくとも1つの骨格を主鎖中に有することがより好ましい。
上記式(1)中、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Xは単結合、炭素数1〜7の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO−、又は−CO−である。
上記式(2)中、R1aは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、mは0〜5の整数である。
上記式(3)中、R1bは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、lは0〜4の整数である。
上記式(5)中、R及びRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子であり、Xは−SO−、−CH−、−C(CH−、又は−O−であり、kは0又は1である。
上記ポリマー(A)として、例えば、下記式(7)で表されるフェノキシ樹脂が好適に用いられる。
上記式(7)中、Aは上記式(4)〜(6)の内のいずれかで表される構造を有し、かつその構成は上記式(4)で表される構造が0〜60モル%、上記式(5)で表される構造が5〜95モル%、及び上記式(6)で表される構造が5〜95モル%であり、Aは水素原子、又は下記式(8)で表される基であり、n1は平均値で25〜500の数である。
上記ポリマー(A)の重量平均分子量は、10,000以上であることが好ましい。ポリマー(A)の重量平均分子量のより好ましい下限は30,000であり、更に好ましい下限は40,000である。ポリマー(A)の重量平均分子量の好ましい上限は1,000,000であり、より好ましい上限は250,000である。ポリマー(A)の重量平均分子量を下限値以上にすることで、放熱絶縁シートの熱劣化が小さくなり、製膜性も向上する。ポリマー(A)の重量平均分子量を上限値以下にすることで、ポリマー(A)と他の樹脂との相溶性が良くなり、この結果、放熱絶縁シートの硬化物およびその積層構造体の耐熱性向上や、硬化不良による熱伝導率及び接着性が低下する可能性を減らすことができる。この重量平均分子量は、GPC測定による、ポリスチレン換算による重量平均分子量である。
放熱絶縁シートに含まれている樹脂マトリックス成分の合計100質量部中に、ポリマー(A)は30質量部を超える量含まれていることが好ましい。ポリマー(A)は上記範囲内で、ポリマー(A)と後述する重量平均分子量が600以下であるエポキシ樹脂(B)との合計が100質量部未満の量で含まれていることが好ましい。樹脂マトリックス成分の合計100質量部中のポリマー(A)の含有量のより好ましい上限は70重量%であり、より好ましい上限は50重量%である。ポリマー(A)の量を上限値以下にすることで、樹脂マトリックス全体の粘度を適当な範囲にすることができ、加熱成形時の流動の低下を防ぐことができる。
(エポキシ樹脂(B))
放熱絶縁シートはエポキシ樹脂(B)を含有し、その重量平均分子量は600以下である。上記エポキシ樹脂(B)は重量平均分子量600以下であれば特に限定されない。
上記エポキシ樹脂(B)の具体例としては、芳香族エポキシモノマー、非芳香族エポキシモノマー等が挙げられる。
芳香族エポキシモノマーとしては、ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマー、ナフタレン骨格を有するエポキシモノマー、アダマンテン骨格を有するエポキシモノマー、フルオレン骨格を有するエポキシモノマー、ビフェニル骨格を有するエポキシモノマー、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマー、キサンテン骨格を有するエポキシモノマー、アントラセン骨格を有するエポキシモノマー、又はピレン骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。これらの中でもビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー、ビフェニル骨格を有するエポキシモノマーが耐熱性、吸水性、シートの取扱い性のバランスの点から好ましい。
非芳香族エポキシモノマーとしては、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式グリシジルエステル樹脂、グリシジルアミン系、複素環系などの含窒素エポキシ樹脂、シロキサン系エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも脂環式エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、含窒素エポキシ樹脂が耐熱性の観点から好ましい。
芳香族エポキシ樹脂(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマーとしては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマーとしては、ジシクロペンタジ
エンジオキシド、又はジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ナフタレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、又は1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
上記アダマンテン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンテン、又は2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンテン等が挙げられる。
上記フルオレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、又は9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシモノマーとしては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、又は4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、又は1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
上記キサンテン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等が挙げられる。
エポキシ樹脂(B)の重量平均分子量は600以下である。樹脂(B)の重量平均分子量の好ましい下限は200以上、より好ましい上限は550以下である。樹脂(B)の重量平均分子量を下限値以上にすることにより、樹脂(B)の揮発性を押さえることできハンドリング性が向上し、また取り扱い中の硬化物の柔軟性が維持される。また分子量を上限値以下にすることにより、放熱絶縁シートの硬化物の接着性を向上させる。
放熱絶縁シートに含まれている樹脂マトリックス成分の合計100質量部中に、エポキシ樹脂(B)は90質量部未満であることが好ましく、より好ましくは80質量部以下である。また、上記樹脂マトリックス成分の合計100質量部中のエポキシ樹脂(B)の含有量の好ましい下限は3質量部であり、より好ましい下限は5質量部である。エポキシ樹
脂(B)の量を上記範囲とすることで樹脂マトリックス成分の硬化速度を適切な範囲に保ち硬化不良を防ぎやすいため、取扱い性が向上する。
前記樹脂マトリックス成分中のエポキシモノマーの種類や数は限定されない。
また、放熱絶縁シートに含まれている樹脂マトリックス成分の合計100質量部中に、芳香族エポキシモノマーは10質量部未満であることが好ましく、9.8質量部以下がより好ましく、9.6質量部以下が特に好ましい。また、芳香族エポキシモノマーの含有の有無は限定されない。これらの範囲であることで、取扱い中のシートの柔軟性が維持される傾向にある。
(その他の樹脂)
放熱絶縁シートは、ポリマー(A)及びエポキシ樹脂(B)に該当しないその他の樹脂を含んでいてもよく、含まれる樹脂は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のうちいずれかまたはその両方でもよい。熱可塑性樹脂としては、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。とくに、硬化物の耐熱性向上のためには重量平均分子量600を超える芳香族エポキシ樹脂が含まれることが好ましい。
(硬化剤(C))
放熱絶縁シートに含まれている硬化剤(C)は特に限定されないが、好ましい硬化剤(C)は、フェノール樹脂、芳香族骨格もしくは脂環式骨格を有する酸無水物、又は該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物である。この好ましい硬化剤(C)の使用により、耐熱性、耐湿性及び電気物性のバランスに優れた放熱絶縁シートの硬化物を得ることができる。硬化剤(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノール樹脂は、特に限定されない。上記フェノール樹脂の具体例としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、又はポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。なかでも、絶縁シートの柔軟性及び難燃性をより一層高めることができるので、シート硬化物の力学物性および耐熱性向上のためには剛直な主査骨格を持つノボラック型フェノール樹脂やトリアジン骨格を有するフェノール樹脂が好ましく、又は未硬化シートの柔軟性およびシート硬化物のじん性向上のためにはアリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール樹脂の市販品としては、MEH−8005、MEH−8000H及びNEH−8015(以上いずれも明和化成社製)、YLH903(ジャパンエポキシレジン社製)、LA−7052、LA−7054、LA−7751、LA−1356及びLA−3018−50P(以上いずれも大日本インキ社製)、並びにPSM6200、PS6313及びPS6492(群栄化学社製)等が挙げられる。
芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、特に限定されない。具体的な例としては、SMAレジンEF30及びSMAレジンEF60(以上いずれもサートマー・ジャパン社製)、ODPA−M及びPEPA(以上いずれもマナック社製)、リカジットMTA−10、リカジットTMTA、リカジットTMEG−200、リカジットTMEG−500、リカジットTMEG−S、リカジットTH、リカジットMH−700、リカジットMT−500、リカジットDSDA及びリカジットTDA
−100(以上いずれも新日本理化社製)、EPICLON B4400、及びEPICLON B570(以上いずれも大日本インキ化学社製)などが挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物、又は該酸無水物の変性物であることが好ましい。具体的な例としては、リカジットHNA及びリカジットHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306及びエピキュアYH309(以上いずれもジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。
(硬化促進剤)
硬化速度や硬化物の物性などを調整するために、上記硬化剤と硬化促進剤とを併用することが好ましい。
上記硬化促進剤は特に限定されないが、用いられる樹脂や硬化剤の種類に応じて適宜に選ばれる。硬化促進剤の具体例としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアジン類、有機リン系化合物、4級ホスホニウム塩類又は有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類等が挙げられる。また、上記硬化促進剤としては、有機金属化合物類、4級アンモニウム塩類又は金属ハロゲン化物等が挙げられる。上記有機金属化合物類としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫又はアルミニウムアセチルアセトン錯体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記硬化促進剤は、通常、ポリマー(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化剤(C)の合計量の100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下の範囲で用いられる。0.1質量部以上であることで、硬化反応の進行が得られ、硬化不良を抑制できる傾向にある。また、10質量部以下であることで、硬化が過剰に速くならず、未硬化となることを抑制し、シートの保存安定性が得られる傾向にある。
上記硬化促進剤は、シート硬化物の絶縁性・接着性の観点からイミダゾールを含むものであることが好ましい。具体例な好ましいものとしては、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
これらの中でもシアノ基を含有するイミダゾール類が好ましく、これは樹脂相溶性が高く、かつ反応活性化温度が高いことで、シートの硬化速度や硬化後物性を容易に調整できるためである。これにより、未硬化シートの保存安定性向上や加熱成形後の接着強度の更なる向上を実現できる。
放熱絶縁シートに含まれている樹脂マトリックス成分の合計100質量部中に、硬化剤(C)は5〜50質量部の範囲内で含まれていることが好ましい。上記樹脂マトリックス成分の合計100質量部中の硬化剤(C)の含有量のより好ましい下限は10質量部であり、より好ましい上限は40質量部である。硬化剤(C)の量が上記下限より多いことで、放熱絶縁シートを充分に硬化させることができる傾向にある。また、硬化剤(C)の量が上記上限より少ないことで、硬化に関与しない余剰な硬化剤の発生を抑制でき、硬化物の架橋が充分に進行させることができ、放熱絶縁シートの硬化物の耐熱性及び接着性が充分に高められる傾向にある。
(球状フィラー(D))
放熱絶縁シートに含まれている球状フィラー(D)の熱伝導率は10W/m・K以上であり、かつ新モース硬度は3.1以上である。この球状フィラー(D)を後述する窒化ホウ素フィラー(E)と併用することにより、放熱絶縁シートの硬化物の接着力及び放熱性を高めることができる。
球状フィラー(D)は、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
球状フィラー(D)の熱伝導率の上限は特に限定されない。また、球状フィラー(D)の熱伝導率は10W/m・K以上であり、好ましくは15W/m・Kであり、より好ましくは20W/m・Kである。
球状フィラー(D)の新モース硬度の上限は特に限定されない。
本明細書における「球状」とは、一般的に球形であると認識されるものであればよく、より具体的に表すと、平均円形度が0.4以上を球状としてもよく、0.6以上を球形としてもよい。通常平均円形度の上限は1である。円形度の測定はその投影画像を画像処理することによって測定することができ、例えばシスメックス社のFPIAシリーズ等で測定することができる。
上記球状フィラー(D)は上記熱伝導率及び新モース硬度を満たす限り特段限定されず、アルミナ、合成マグネサイト、結晶性シリカ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。これらの好ましい球状フィラー(D)の使用により、放熱絶縁シートの硬化物の放熱性をより一層高めることができる。
上記球状フィラー(D)の平均粒子径は、0.1μm以上、50μm以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは0.2μm以上であり、さらに好ましくは0.4μm以上であり、特に好ましくは0.5μm以上である。また、より好ましくは40μm以下であり、さらに好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。
平均粒子径が0.1μm以上であることで、未硬化シートの加熱成形時に樹脂及びフィラーが容易に流動することが可能となり、放熱絶縁シートと被着体との界面接着力を高めることが出来ると考えられる。また平均粒子径が50μm以下であることで、放熱絶縁シートの硬化物の絶縁破壊特性を維持しやすくなる。
なお、上記球状フィラー(D)及び後述する窒化ホウ素フィラー(E)の「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
放熱絶縁シート100体積%中の上記球状フィラー(D)の含有量は特に限定されないが、好ましい上限は70体積%以下であり、より好ましくは60体積%以下である。また、好ましい下限は1体積%以上であり、より好ましくは3体積%以上であり、さらに好ましくは5体積%以上であり、もっとも好ましくは10体積%以上である。これらの範囲であることで窒化ホウ素による熱伝導率パスを阻害しない程度に、接着力を低下させない高熱伝導な球状フィラーを充填することが可能となり、熱伝導率及び接着力の双方を高める
効果が得られる。
上記球状フィラー(D)100体積%中の粒子径0.5μm以下の成分(微粒子成分とも称する)の含有量は、5体積%未満であることが望ましい。微粒子成分が5体積%未満であることで、放熱絶縁シートの加熱成形時の流動性を維持できる傾向にある。0.5μm以下の成分の含有量を5体積%未満とすることで、加熱成形時の流動性が向上し、その結果被着体との接着性が向上する。球状フィラー(D)100体積%中の粒子径0.5μm以下の成分の含有量は、好ましくは4体積%以下であり、より好ましくは3体積%以下である。また下限は特になく、低いほど好ましい。
また、球状フィラー(D)と後述する窒化ホウ素フィラー(E)との合計の、放熱絶縁シート中の含有量は100体積%未満であることが好ましい。
(窒化ホウ素フィラー(E))
放熱絶縁シートに含まれている窒化ホウ素フィラー(E)は、新モース硬度が3以下であり、かつ平均粒子径が10μm以上である。この窒化ホウ素フィラー(E)の使用により、放熱絶縁シートの硬化物の放熱性を高めることができる。
上記窒化ホウ素フィラー(E)は板状粒子、板状粒子が凝集した窒化ホウ素凝集粒子、板状粒子が凝集してカードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子のいずれを使用してもよい。また、上記の窒化ホウ素凝集粒子を複数種使用してもよい。好ましくは、窒化ホウ素凝集粒子及び/又はカードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子である。より好ましくは、カードハウス構造を有する窒化ホウ素凝集粒子を少なくとも含み、この場合には放熱絶縁シートの熱伝導率をより高めることができる。
放熱絶縁シート100体積%中の上記窒化ホウ素フィラー(E)の含有量は特に限定されないが、好ましい上限は80体積%以下であり、より好ましくは70体積%以下である。また、好ましい下限は0.01体積%以上であり、より好ましくは0.1体積%以上である。
また、放熱絶縁シート中において、上記球状フィラー(D)と上記窒化ホウ素フィラー(E)との含有比は特に限定されないが、99.9:0.1〜5:95であることが好ましく、99.5:0.5〜10:90であることがより好ましい。
上記球状フィラー(D)、窒化ホウ素フィラー(E)は以下の式を満たす。この場合には、窒化ホウ素フィラー(E)の形成する熱伝導率パスを阻害することなく、球状フィラー(D)を充填することで更なる高熱伝導率化が可能であり、また球状フィラー(D)の使用により窒化ホウ素フィラー(E)の表面と樹脂の接着強度、および被着体と放熱絶縁シートとの接着強度を高くすることが可能なため放熱絶縁シートの接着力・熱伝導率を高くすることができる。
1≦(窒化ホウ素フィラー(E)の体積平均粒子径)/(球状フィラー(D)の体積平均粒子径)≦1000
この(窒化ホウ素フィラー(E)の体積平均粒子径)/(球状フィラー(D)の体積平均粒子径)の値の下限は、1以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2以上、最も好ましくは4以上であり、好ましい上限は上記式が700以下、より好ましい上限は500以下、さらに好ましい上限は300以下、最も好ましい上限は100以下である。
この割合を充足することで、比較的粒径が大きい窒化ホウ素フィラー(E)だけで熱伝導パスを形成すると、窒化ホウ素粒子同士の接触面積が小さくなって、粒子間の熱伝導の効率が低下しやすいものを、相対的に硬くて粒径の小さい球状フィラー(D)が窒化ホウ素フィラー(E)の間に入り、相対的に柔らかい窒化ホウ素フィラー(E)を変形させて接触面積を増やしたり、あるいは間に入ってブリッジを形成したりして、熱伝導性を高め
ると同時に、粒径の小さい球状フィラー(D)が糊の働きをして窒化ホウ素粒子とマトリックス樹脂との接着性を向上させることができる。
(有機溶剤(F))
放熱絶縁シートに含まれている有機溶剤(F)は、放熱絶縁シート中に、0.01質量%以上5質量%以下含有する。好ましくは0.02質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上である。また、4質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下である。有機溶剤(F)の含有量が上記下限値以上であることで、放熱絶縁シートの柔軟性が得られる傾向にある。上記上限値以下であることで、放熱絶縁シートの硬化時の溶剤揮発によるボイド形成を抑制できる傾向にある。そしてこの柔軟性の向上により、接着力がより一層向上する。
上記有機溶剤(F)の沸点は特段限定されないが、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。また、下限はないが50℃以上であることが好ましい。
この下限値以上とすることにより、絶縁放熱シート作製用スラリーを塗布する際に、溶剤の揮発が速すぎるために、シート表面のピンホールなどの欠陥や膜厚のムラといった欠陥が生じ難くなり均一な塗膜が得られやすい。また上限値以下とすることで、塗布後の乾燥温度を低くするか、あるいは乾燥時間を短くすることが可能となり、乾燥時に樹脂硬化が生じることによるシートの接着力低下が起こりにくくなる。
上記有機溶剤の例としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
<その他の成分>
放熱絶縁シートは本発明の効果が得られる範囲において、さらなる成分を含有していてもよい。このようなさらなる成分としては、例えば、上述した成分の他、有機フィラー、フィラーとマトリックス樹脂の界面接着強度を改善するシランカップリング剤などの表面処理剤、還元剤等の絶縁性炭素成分、粘度調整剤、分散剤等が挙げられる。とくに分散剤を使用することで均一な塗布膜を形成する事が可能となり、放熱絶縁シートの硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性を向上できることがある。
上記有機フィラーとしては、熱可塑樹脂フィラー、熱硬化性樹脂フィラーのいずれを使用してもよい。具体例としては、アクリル樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子などが挙げられる。有機フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機フィラーの平均粒径の上限は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下である。これらの上限値以下にすることで、熱伝導率の低下の恐れなしに様々な厚さの放熱絶縁シートを作成することができる。有機フィラーの粒径も、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
上記分散剤は、水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することが好ましい。分散剤が水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することで、絶縁シートの硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基としては、例えば、カルボキシル基(pKa=4)、リン酸基(pKa=7)、フェノール基(pKa=10)等が挙げられる。
上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基のpKaは、2〜10の範囲内にあるこ
とが好ましく、3〜9の範囲内にあることがより好ましい。pKaが2以上であることで、分散剤の酸性度が適当な範囲となり、樹脂マトリックス成分中のエポキシ成分の反応が抑制されやすくなる場合がある。従って、未硬化状態の放熱絶縁シートが貯蔵された場合に、放熱絶縁シートの貯蔵安定性が向上する傾向にある。pKaが10以下であることで、分散剤としての機能が充分に果たされ、放熱絶縁シートの硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性が充分に高められる傾向にある。
上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基は、カルボキシル基又はリン酸基であることが好ましい。この場合には、放熱絶縁シートの硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性をさらに一層高めることができる。
上記分散剤としては、具体的には、例えば、ポリエステル系カルボン酸、ポリエーテル系カルボン酸、ポリアクリル系カルボン酸、脂肪族系カルボン酸、ポリシロキサン系カルボン酸、ポリエステル系リン酸、ポリエーテル系リン酸、ポリアクリル系リン酸、脂肪族系リン酸、ポリシロキサン系リン酸、ポリエステル系フェノール、ポリエーテル系フェノール、ポリアクリル系フェノール、脂肪族系フェノール、ポリシロキサン系フェノール等が挙げられる。分散剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、放熱絶縁シートは、必要に応じて、チキソ性付与剤、難燃剤又は着色剤などを含んでいてもよい。
(放熱絶縁シートの製造方法)
放熱絶縁シートの製造方法は特に限定されず、既知の方法により製造することができる。放熱絶縁シートは、例えば、上述した材料を混合した混合物(以下、放熱絶縁シート用スラリー)をドクターブレード法、溶剤キャスト法、押し出し成膜法等の方法でシート状に成形することにより得ることができる。
以下、放熱絶縁シートを製造する方法を具体的に説明する。
<塗布工程>
まず基材の表面に、放熱絶縁シート用スラリーで塗膜を形成する。
即ち、放熱絶縁シート用スラリーを用いて、ディップ法、スピンコート法、スプレーコート法、ブレード法、その他の任意の方法で塗膜を形成する。スラリーの塗布には、基材上に所定の膜厚の塗膜を均一に形成することが可能であるため、スピンコーター、スリットコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどの塗布装置を用いることが好ましい。
なお、基材としては、後述の銅箔やPETフィルムが一般的に用いられるが、何ら限定されるものではない。
<乾燥工程>
放熱絶縁シート用スラリーを塗布することにより形成された塗膜を、溶剤や低分子成分の除去のために、通常10〜150℃、好ましくは25〜120℃、より好ましくは30〜110℃の任意の温度で乾燥することができる。この温度範囲の上限以上の場合、スラリーが熱硬化性樹脂を含むため、塗膜が硬化してしまい、その後のプレスプロセスで樹脂が流れなくなり、ボイドを除去することができない恐れがある。なお、この温度範囲の下限以下であると、効果的に溶剤を取り除くことができず、溶剤除去に時間がかかってしまう恐れがある。乾燥時間は、通常5分〜10日間、好ましくは、10分〜3日間、より好ましくは20分〜1日間、特に好ましくは、30分から4時間の加熱処理を行って乾燥膜を形成する。
乾燥時間が上記下限以上であることで、十分に溶剤が除去でき、残留溶剤が放熱絶縁シート内のボイドになってしまうことを抑制できる傾向にある。乾燥時間が上記上限以下であることで、生産性が向上し、製造プロセスコストを抑制できる傾向にある。
<加圧工程>
乾燥工程の後には、加圧工程を行ってもよい。シート化工程は、フィラー同士を接合させヒートパスを形成する目的、シート内のボイドや空隙をなくす目的、基材との密着をさせる目的等から加圧することが望ましい。加圧工程は、基材上の乾燥膜に10kgf/cm以上の加重をかけて実施することが望ましい。加重は好ましくは20kgf/cm以上であり、より好ましくは50kgf/cm以上である。また、好ましくは2000kgf/cm以下であり、より好ましくは1000kgf/cm以下であり、さらに好ましくは800kgf/cm以下である。この加圧時の加重を上記上限以下とすることにより、窒化ホウ素二次粒子が破壊することなく、シート中に空隙などがない高い熱伝導性を有するシートを得ることが出来る。また、加重を上記下限以上とすることにより、フィラー間の接触が良好となり、熱伝導パスを形成しやすくなるため、高い熱伝導性を有するシートを得ることが出来る。
加圧工程では、銅基板に塗布、乾燥した組成物膜を25℃以上で加熱することが望ましい。好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。また、300℃以下で加熱することが望ましく、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。この温度範囲でシート化工程を行うことにより、塗膜中の樹脂の溶融粘度を低下させることができ、シート内のボイドや空隙をなくすことができる。また、上記上限値以下であることで、有機成分が分解することを抑制し、残留溶剤が蒸気となり、ボイドを形成することを抑制できる傾向にある。
加圧工程は、通常30秒以上であり、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、さらに好ましくは5分以上である。また、好ましくは4時間以下であり、より好ましくは2時間以下であり、さらに好ましくは1時間以下であり、特に好ましくは45分以下である。この上限時間以下であることで、放熱絶縁シートの製造プロセス時間が抑制でき、生産コストを抑制できる傾向にある。この下限時間以上であることで、放熱絶縁シート内の空隙やボイドを十分に取り除くことができ、熱伝達性能や耐電圧特性を向上できる傾向にある。
完全に硬化反応を行わせる硬化工程は、加圧下で行ってもよく、無加圧で行ってもよいが、加圧する場合は、上記と同様の理由から、上記の加圧工程と同様の条件で行うことが望ましい。なお、加圧工程と硬化工程を同時におこなっても構わない。
特に加圧工程と硬化工程を経るシート化工程においては、上記の範囲の加重をかけて、後述の圧縮率の範囲となるように加圧、硬化を行うことが好ましい。
(積層構造体)
放熱絶縁シートの実施様態として、該放熱絶縁シートを熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体と、前記熱伝導体の少なくとも一方の面に積層された絶縁層と、前記絶縁層の前記熱伝導体が積層された面とは反対側の面に積層された導電層とを備えてなる積層構造体であってもよい。
熱伝導体は熱伝導率が10W/m・K以上であれば特に限定されないが、銅、アルミなどの金属部材、酸化アルミ、窒化アルミ、窒化ケイ素などのセラミック等が挙げられる。
放熱絶縁シート又は上記積層構造体の絶縁層となる放熱絶縁シートの厚さについては特に制限はないが、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。また、好ましくは400μm以下であり、より好ましくは300μm以下である。放熱絶縁シートの厚さが上記下限以上であることで、耐電圧特性が得られ、絶縁破壊電圧が向上する傾向にある。また、上記上限以下であることで、デバイスの小型化や薄型化が達成でき、放熱絶縁シートの熱抵抗を抑制できる傾向にある。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における好ましい範囲同様に、本願発明の好ましい範囲を示すものであり、本願発明の好ましい範囲は前記した実施態様における好ましい範囲と下記実施例の値または実施例同士の値の組合せにより示される範囲を勘案して決めることができる。
以下に、実施例における測定条件を記載する。
成形体の厚み方向熱伝導率:
株式会社メンターグラフィックス製の熱抵抗測定装置「T3ster」を用いて、同一組成・同一条件で作製した厚みの異なる放熱絶縁シート成形体の熱抵抗値を測定し、熱抵抗値を厚みに対してプロットしたグラフの傾きから、熱伝導率を求めた。
硬化シートの接着力評価:
株式会社エー・アンド・デイ製の引張試験装置を用いて、放熱絶縁シートを用いて銅箔を貼り合わせたサンプルの接着力を90°ピール試験によって評価した。評価時の引張速度は50mm/minで評価を行った。
(実施例1)
自転公転式撹拌装置を用いて、
ポリマー(A)としてビスフェノールF型エポキシ樹脂1(重量平均分子量60000、エポキシ当量9840g/eq) 2.1質量部、
エポキシ樹脂(B)としてエポキシ樹脂2(重量平均分子量290、3官能の芳香族エポキシ樹脂、エポキシ当量97g/eq) 0.3質量部、及び非芳香族エポキシ樹脂3(重量平均分子量580、2官能の非芳香族エポキシ樹脂、エポキシ当量270g/eq)
1.8質量部、
硬化剤(C)としてフェノール樹脂1(水酸基当量143g/eq) 1.4質量部、
硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤1(四国化成社製C11Z−CN)0.06質量部、
球状フィラー(D)として球状アルミナ1(熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12、アドマテックス社製、体積平均粒子径:7μm) 26.5質量部、
窒化ホウ素フィラー(E)としてカードハウス構造窒化ホウ素凝集粒子1(三菱化学製、新モース硬度2、体積平均粒子径:45μm) 5.2質量部、
有機溶剤(F)としてメチルエチルケトン 7.7質量部、
を混合してスラリーを調製した(窒化ホウ素フィラー(E)の体積平均粒子径/球状フィラー(D)の体積平均粒子径=6.4)。
得られたスラリーをドクターブレード法で基材に塗布し、加熱乾燥を行った後にプレスを行った後に、硬化を実施することで、シート厚が約130〜160μmの放熱シート1を得た。なお、放熱シート1中の有機溶剤(F)の残量は0.5質量%であった。
(実施例2)
ポリマー(A)としてビスフェノールF型エポキシ樹脂1 1.9質量部、
エポキシ樹脂(B)としてエポキシ樹脂2 0.5質量部、非芳香族エポキシ樹脂4(重量平均分子量400、2官能の非芳香族エポキシ樹脂、エポキシ当量205g/eq) 1.1質量部、および非芳香族エポキシ樹脂5(重量平均分子量390、3官能の芳香族エポキシ樹脂、エポキシ当量130g/eq) 1.1質量部、
硬化剤(C)としてフェノール樹脂1 1.3質量部、
硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤1 0.06質量部、
球状フィラー(D)として球状アルミナ1 26.0質量部、
窒化ホウ素フィラー(E)としてカードハウス構造窒化ホウ素凝集粒子1 5.1質量部、
有機溶剤(F)としてメチルエチルケトン 8.3質量部、
その他の成分として有機フィラー(東レ製ナイロン粒子、体積平均粒子径5μm) 0.02質量部、
を用いて、実施例1と同様の条件で放熱絶縁シートを作製し、シート厚が約130〜160μmの放熱シート2を得た(窒化ホウ素フィラー(E)の体積平均粒子径/球状フィラー(D)の体積平均粒子径=6.4)。なお、放熱シート1中の有機溶剤(F)の残量は0.5質量%であった。
(実施例3)
ポリマー(A)としてビスフェノールF型エポキシ樹脂1 1.8質量部、
エポキシ樹脂(B)として非芳香族エポキシ樹脂5 2.6質量部、
硬化剤(C)としてフェノール樹脂1 1.4質量部、
硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤1 0.06質量部、
その他の成分として有機フィラー(東レ製ナイロン粒子、体積平均粒子径5μm) 0.02質量部
を用いる以外は、実施例1と同様の条件で放熱絶縁シートを作製し、シート厚が約130〜160μmの放熱シート3を得た(窒化ホウ素フィラー(E)の体積平均粒子径/球状フィラー(D)の体積平均粒子径=6.4)。なお、放熱シート1中の有機溶剤(F)の残量は0.5質量%であった。
(実施例4)
ポリマー(A)としてビスフェノールF型エポキシ樹脂1 1.6質量部、
エポキシ樹脂(B)としてエポキシ樹脂2 0.5質量部および非芳香族エポキシ樹脂4
2.1質量部、
硬化剤(C)としてフェノール樹脂1 1.1質量部、
硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤1 0.09質量部、
球状フィラー(D)として球状アルミナ1 3.8質量部、
窒化ホウ素フィラー(E)としてカードハウス構造窒化ホウ素凝集粒子1 9.6質量部、
有機溶剤(F)としてメチルエチルケトン 5.6質量部およびシクロヘキサノン 5.6質量部、
を用いる以外は、実施例1と同様の条件で放熱絶縁シートを作製し、シート厚が約130〜160μmの放熱シート4を得た(窒化ホウ素フィラー(E)の体積平均粒子径/球状フィラー(D)の体積平均粒子径=6.4)。なお、放熱シート1中の有機溶剤(F)の残量は0.4質量%であった。
(比較例1)
窒化ホウ素フィラー(E)としてカードハウス構造窒化ホウ素凝集粒子2(三菱化学製、新モース硬度2、体積平均粒子径:4μm)を用いる以外は、実施例1と同様の組成・条件で放熱絶縁シートを作製し、シート厚が約130〜160μmの放熱シート5を得た(窒化ホウ素フィラー(E)の体積平均粒子径/球状フィラー(D)の体積平均粒子径=0.57)。なお、放熱シート1中の有機溶剤(F)の残量は0.6質量%であった。
(比較例2)
ポリマー(A)としてビスフェノールF型エポキシ樹脂1 0.4質量部、
エポキシ樹脂(B)としてエポキシ樹脂2 0.1質量部、非芳香族エポキシ樹脂4 4.5質量部、及び非芳香族エポキシ樹脂5 0.2質量部、
硬化剤(C)としてフェノール樹脂1 0.3質量部、
硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤1 0.01質量部、
球状フィラー(D)として球状アルミナ(熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12、体積平均粒子径:0.6μm) 25.1質量部、
有機溶剤(F)としてメチルエチルケトン 3.6質量部、
を用いて、窒化ホウ素フィラー(E)は含有させず、実施例1と同様の条件で放熱絶縁シートを作製し、シート厚が約130〜160μmの放熱シート6を得た。なお、放熱シート1中の有機溶剤(F)の残量は0.5質量%であった。
得られた放熱シート1〜6について、上記方法に従い、成形体の厚み方向熱伝導率の測定と硬化シートの接着力評価を行った。結果を表1に示す。

Claims (6)

  1. 樹脂マトリクス成分として、ポリマー(A)と、重量平均分子量が600以下であるエポキシ樹脂(B)と、硬化剤(C)とを含有し、
    熱伝導率が10W/m・K以上であり、かつ新モース硬度が3.1以上である球状フィラー(D)と、新モース硬度が3以下であり、かつ平均粒子径が10μm以上である窒化ホウ素フィラー(E)と、有機溶剤(F)とを含有する放熱絶縁シートであって、
    前記有機溶剤(F)は放熱絶縁シートに対して、0.01質量%以上5質量%以下含有し、
    前記球状フィラー(D)の体積平均粒径に対する前記窒化ホウ素フィラー(E)の体積平均粒子径の比が、
    1≦(フィラー(E)の体積平均粒子径)/(フィラー(D)の体積平均粒子径)≦1000
    を満たす、放熱絶縁シート。
  2. 前記窒化ホウ素フィラー(E)は、カードハウス構造をもつ窒化ホウ素凝集粒子を含有する、請求項1に記載の放熱絶縁シート。
  3. 前記ポリマー(A)の含有量が樹脂マトリックス成分100質量部に対して、30質量部を超える、請求項1又は2に記載の放熱絶縁シート。
  4. エポキシ樹脂(B)中の芳香族エポキシモノマーが、樹脂マトリクス成分100質量部に対して10質量部未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱絶縁シート。
  5. 前記球状フィラー(D)は、粒子径が0.5μm以下であるフィラーの含有量が5体積%未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の放熱絶縁シート。
  6. 熱伝導率が10W/m・K以上の熱伝導体と、
    前記熱伝導体の少なくとも一方の面に積層された絶縁層と、
    前記絶縁層の前記熱伝導体が積層された面とは反対側の面に積層された導電層とを備え、
    前記絶縁層が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の放熱絶縁シートの硬化物である、積層構造体。
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