JPWO2012039324A1 - 熱伝導性樹脂組成物、樹脂シート、樹脂付金属箔、樹脂シート硬化物及び放熱部材 - Google Patents

熱伝導性樹脂組成物、樹脂シート、樹脂付金属箔、樹脂シート硬化物及び放熱部材 Download PDF

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Abstract

熱伝導性樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、無機フィラと、分子内に少なくとも下記一般式(I)で示される構造単位を有するエラストマとを含有する。下記式(I)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は水素原子であり、R4は直鎖または分岐のアルキル基であり、nは任意の整数を表す。

Description

本発明は、熱伝導性樹脂組成物、樹脂シート、樹脂付金属箔、樹脂シート硬化物及び放熱部材に関する。
パワートランジスタ、サーミスタ、プリント配線板及びICチップなどの半導体の分野、並びにその他の電気及び電子部品の分野では、放熱用部材を構成する熱伝導性絶縁材料として、エポキシ樹脂と無機フィラとを含有する熱伝導性樹脂組成物が広く採用されている。上記熱伝導性樹脂組成物は、優れた熱伝導性が求められる。そのため、多くの場合、上記熱伝導性樹脂組成物の調製には、高熱伝導率を有する無機フィラをなるべく高充填率で加える手法が用いられている。例えば特開2001−348488号公報には、エポキシ樹脂中に無機フィラを80質量%〜95質量%もの高充填率とすることにより、3W/mK〜10W/mKの熱伝導率を有する成形物を得ることができることを記載されている。
しかし、フィラを高充填率で加えた場合、得られる熱伝導性樹脂組成物は、硬くて脆いため、割れやすくなってしまうことが多い。また、フィラを高充填率で加えた場合、熱伝導性樹脂組成物中に含まれる接着性能を有するエポキシ樹脂成分の割合が少なくなる。そのため、一般的に、フィラを高充填率で加えた場合、アルミニウムや銅などの金属表面に対する樹脂の接着性、すなわち樹脂−金属界面の接着強度は大幅に低下する傾向がある。
上述のように、無機フィラを高充填率で加えることによって樹脂組成物の高熱伝導率化を実現することはできるが、その一方で樹脂組成物は可とう性に欠ける傾向があり、また接着強度の低下が起きることが問題となっている。
本発明の目的は、上記状況に鑑み、優れた熱伝導性を有しつつ、可とう性及び接着性にも優れた熱伝導性樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を用いてなる成形品を提供することにある。
本発明は以下の態様を包含する。
本発明の第一の態様は、エポキシ樹脂と、無機フィラと、分子内に少なくとも下記一般式(I)で示される構造単位を有するエラストマとを含有する熱伝導性樹脂組成物である。
一般式(I)中、R、R及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は水素原子であり、Rは直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、nは任意の整数を表す。
前記エラストマは、アクリル樹脂であることが好ましい。前記アクリル樹脂は、分子内にさらにカルボキシ基及びヒドロキシ基の少なくとも一方を有することが好ましい。また前記アクリル樹脂が、分子内にさらにアミノ基を有することが好ましい。
前記アクリル樹脂は、下記一般式(II)で示される構造を有する化合物であることが好ましい。
式(II)中、各構造単位に記載した符号a、b、c及びdは、全構造単位における各構造単位のモル%であり、a+b+c+d=90モル%以上である。また、R21及びR22は、それぞれ独立して、互いに炭素数の異なる直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、R23〜R26はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基である。
またR21及びR22は、それぞれ独立して、互いに炭素数の異なる炭素数4〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましい。
前記熱伝導性樹脂組成物は、さらにフェノール系硬化剤を含むことが好ましい。
本発明の第二の態様は、前記熱伝導性樹脂組成物をシート状に成形してなる樹脂シートである。
本発明の第三の態様は、金属箔と、前記金属箔上に配置された前記熱伝導性樹脂組成物の半硬化物である半硬化樹脂層とを有する樹脂付金属箔である。
本発明の第四の態様は、前記熱伝導性樹脂組成物を熱処理物である樹脂シート硬化物である。
本発明の第五の態様は、金属ワークと、前記金属ワーク上に配置された前記樹脂シート又は前記樹脂シート硬化物とを有する放熱部材である。
本発明によれば、優れた熱伝導性を有しつつ、可とう性及び接着性にも優れた熱伝導性樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を用いてなる成形品を提供することができる。
本実施形態にかかる放熱用部材の一例を示す模式的断面図である。 (a)及び(b)は、本実施例にかかる可とう性判断における樹脂シートの状態を説明する模式的断面図である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
さらに本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<熱伝導性樹脂組成物>
本発明の熱伝導性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)は、エポキシ樹脂と、無機フィラと、分子内に少なくとも下記一般式(I)で示される構造単位を有するエラストマとを含有する。特定の化学構造を有するエラストマを添加することによって、熱伝導性樹脂組成物の可とう性が大いに改善される。また、前記エラストマの添加によって、低弾性率化による応力緩和機能が付与され、熱伝導性樹脂組成物の、例えば金属に対する接着性が大幅に向上する。
一般式(I)中、R、R及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は水素原子であり、Rは直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、nは任意の整数を表す。
(エポキシ樹脂)
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、特に限定されるものではない。例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、高熱伝導率化の観点からは、ビフェニル基のような自己配列しやすい構造であるメソゲン骨格を分子内に有するエポキシ樹脂を使用することが好ましい。そのようなメソゲン骨格を分子内に有するエポキシ樹脂は、例えば特開2005−206814号公報で開示されている。上記エポキシ樹脂の一例として、1−{(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1−{(2−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン、1−{(3−エチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセンが挙げられる。
中でも、溶融温度が低い観点から、1−{(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセンが好ましい。かかる特定のエポキシ樹脂を用いることにより硬化温度(好ましくは120℃)以下で、後述する硬化剤との溶融混合が可能となり、低温硬化のプロセス要求にも適用できる。
前記樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の含有率は特に制限されない。例えば樹脂組成物の固形分中に、1質量%〜50質量%とすることができ、1質量%〜10質量%であることが好ましい。エポキシ樹脂の含有率が前記範囲であることで、接着性及び熱伝導率をより向上することができる。なお、樹脂組成物の固形分とは樹脂組成物から揮発性成分を除いた残分を意味する。
(無機フィラ)
本発明において使用する無機フィラは、特に限定されず、当技術分野において周知の化合物を使用することができる。それらは非導電性であっても、導電性であってもよい。例えば、非導電性の無機フィラとして、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、硫酸バリウムが挙げられる。非導電性の無機フィラを使用した場合、絶縁性低下のリスクが少なく好ましい。導電性の無機フィラとしては、金、銀、ニッケル、銅などが挙げられる。導電性の無機フィラを使用した場合、熱伝導率を向上することができる一方で、絶縁性が低下しやすい傾向がある。
上記無機フィラは、1種類単独で使用しても、又は2種類以上の混合系で使用してもよい。また、互いに異なる粒径を有する無機フィラを組み合わせて使用してもよい。互いに異なる粒径を有するフィラを組み合わせて使用する実施形態は、大粒径の無機フィラ間のすき間に小粒径の無機フィラが入り込み、無機フィラの高充填化が容易となり、効率良く高熱伝導率化が実現できると考えられるため、好ましい。
本発明の一実施形態では、無機フィラとしてアルミナを使用することが好ましく、互いに異なる粒径を有するアルミナを組み合わせて使用することがより好ましい。
無機フィラとして互いに異なる粒径を有するアルミナを組み合わせて使用する実施形態の一例として、重量累積粒度分布の小粒側からの累積50%の粒経をD50としたとき、上記アルミナが、D50が2μm以上100μm以下のアルミナ(A)、D50が1μm以上10μm以下のアルミナ(B)及びD50が0.01μm以上5μm以下のアルミナ(C)からなるアルミナ粉末であり、アルミナ粉末の全体積に対するアルミナ(A)、(B)及び(C)の割合が、それぞれ(A)50体積%以上90体積%以下、(B)5体積%以上40体積%以下、及び(C)1体積%以上30体積%以下である実施形態を挙げることができる(ただし、アルミナ(A)、(B)及び(C)の合計の体積%は、100体積%である)。
さらに前記実施形態においては、アルミナ粉末の全体積に対して、アルミナ(A)が60体積%以上90体積%以下、アルミナ(B)が10体積%以上40体積%以下、アルミナ(C)が5体積%以上30体積%以下であるアルミナ粉末が好ましい(ただし、アルミナ(A)、(B)及び(C)の合計の体積%は100体積%である)。より好ましいアルミナ粉末の一例として、アルミナ(A)が70体積%以上90体積%以下、アルミナ(B)が10体積%以上30体積%以下、アルミナ(C)が5体積%以上20体積%以下であるアルミナ粉末が挙げられる(ただし、アルミナ(A)、(B)及び(C)の合計の体積%は100体積%である)。
無機フィラとして互いに異なる粒径を有するアルミナを組み合わせて使用する実施形態の一例としてより好ましくは、重量累積粒度分布の小粒側からの累積50%の粒経をD50としたとき、上記アルミナが、D50が10μm以上100μm以下のアルミナ(A)、D50が1μm以上10μm未満のアルミナ(B)及びD50が0.01μm以上1μm未満のアルミナ(C)からなるアルミナ粉末であり、アルミナ粉末の全体積に対するアルミナ(A)、(B)及び(C)の割合が、それぞれ(A)55体積%以上85体積%以下、(B)10体積%以上30体積%以下、及び(C)5体積%以上15体積%以下である実施形態を挙げることができる(ただし、アルミナ(A)、(B)及び(C)の総体積%は、100体積%である)。
さらに前記実施形態においては、アルミナ粉末の全体積に対して、アルミナ(A)が55体積%以上85体積%以下、アルミナ(B)が10体積%以上40体積%以下、アルミナ(C)が5体積%以上30体積%以下であるアルミナ粉末が好ましい(ただし、アルミナ(A)、(B)及び(C)の合計の体積%は100体積%である)。より好ましいアルミナ粉末の一例として、アルミナ(A)が65体積%以上80体積%以下、アルミナ(B)が10体積%以上20体積%以下、アルミナ(C)が10体積%以上15体積%以下であるアルミナ粉末が挙げられる(ただし、アルミナ(A)、(B)及び(C)の総体積%は100体積%である)。
上記アルミナ(A)、(B)及び(C)は、市販品として入手することができる。また、遷移アルミナ又は熱処理することで遷移アルミナとなるアルミナ粉末を、塩化水素を含有する雰囲気ガス中で焼成することによって製造することもできる(例えば、特開平6−191833号公報、特開平6−191836号公報参照)。上記アルミナ粉末は、所定の粒度分布を有するアルミナ(A)、(B)及び(C)を適宜混合することによって調製することができる。アルミナ粉末は、好ましくは、α−アルミナ粉末である。アルミナ(A)及び(B)としては、α−アルミナ粒子からなるアルミナが好ましく、α−アルミナの単結晶粒子からなるアルミナがより好ましい。アルミナ(C)としては、α−アルミナ粒子からなるアルミナであってもよいし、γ−アルミナ、θ−アルミナ、δ−アルミナ等の遷移アルミナ粒子からなるアルミナであってもよい。好ましくはα−アルミナ粒子からなるアルミナであり、より好ましくはα−アルミナの単結晶粒子からなるアルミナである。
なお、アルミナ粒子の粒径D50は、レーザー回折散乱方式粒度分布測定装置を用い、湿式法により、重量平均粒子径として測定される。
本発明において前記樹脂組成物中におけるフィラ全体の含有率としては特に制限されない。中でも樹脂組成物の全固形分体積中に30体積%〜95体積%であることが好ましく、熱伝導率向上の観点から、45体積%〜90体積%であることがより好ましく、更なる熱伝導率向上の観点から、80体積%〜90体積%であることがさらに好ましい。30体積%以上であると樹脂組成物の熱伝導率がより高くなる傾向にある。また95体積%以下であると樹脂組成物の成形性がより向上する傾向にある。
尚、樹脂組成物の全固形分体積とは、樹脂組成物を構成する成分のうち、非揮発性成分の総体積を意味する。
(エラストマ)
前記エラストマは、分子内に少なくとも下記一般式(I)で示される構造単位を有する化合物であり、特にアクリル樹脂が好ましい。前記アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルから誘導されるホモポリマー又はコポリマーであることが好ましい。本発明の一実施形態では、エラストマとして、下記一般式(I)で示される構造単位を主として含むアクリル樹脂のコポリマーを使用することが好ましい。
上記一般式(I)において、R、R及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は水素原子を示す。R、R又はRのいずれかがアルキル基である場合、柔軟性付与の観点から、炭素数は1〜12であることが好ましく、低Tg(ガラス転移温度)の観点から、炭素数は1〜8であることがより好ましい。本発明の好ましい一実施形態においては、R及びRはそれぞれ水素原子であり、Rは水素原子又はメチル基である。より好ましくはR、R及びRが水素原子である。
上記一般式(I)において、Rは、直鎖または分岐鎖のアルキル基である。Rにおけるアルキル基は、柔軟性付与の観点から、炭素数が2〜16であることが好ましく、樹脂高次構造形成への阻害が小さい観点から、炭素数が3〜14であることがより好ましく、入手しやすさ、合成しやすさの観点から、炭素数が4〜12であることがさらに好ましい。
また前記エラストマは、Rで示されるアルキル基の炭素数が異なる2種以上の一般式(I)で表される構造単位を有することが好ましい。例えば前記エラストマが2種の一般式(I)で表される構造単位を有する場合、一方の構造単位におけるアルキル基の炭素数は、低Tgの観点から、炭素数が2〜8であることが好ましく、炭素数が3〜6であることがより好ましい。また他方の構造単位におけるアルキル基の炭素数は、柔軟性付与の観点から、炭素数が8〜16であることが好ましく、炭素数が10〜14であることがより好ましい。
上記一般式(I)において、nは繰り返し単位数を示す任意の整数である。nで表される繰り返し単位数はエラストマ分子中に含まれる一般式(I)で表される構造単位の総数を意味する。n=100〜1000であることが好ましく、柔軟性付与の観点からn=100〜500であることがより好ましく、低Tgの観点からn=100〜300であることが特に好ましい。
主として上記一般式(I)で示される構造単位を有するアクリル樹脂を使用することによって、エポキシ樹脂及び無機フィラを含有する熱伝導性樹脂組成物に軟構造(柔軟性)を付与することが可能となる。そのため、従来の熱伝導性シートに見られるような無機フィラの高充填化によるシートの可とう性の低下といった不具合を改善することが可能となる。
本発明の一実施形態において、分子内に少なくとも上記一般式(I)で示される構造単位を有するアクリル樹脂は、分子内にさらにカルボキシ基及びヒドロキシ基の少なくとも一方を有することが好ましく、カルボキシ基及びヒドロキシ基の少なくとも一方を有する構造単位を含むことがより好ましく、少なくともカルボキシ基を有する構造単位を含むことがさらに好ましい。
カルボキシ基を有する構造単位を形成しうるモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等を挙げることができる。これらの中でもアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
またヒドロキシ基を有する構造単位を形成しうるモノマーとしては、炭素数が2〜20のヒドロキシアルキル基を含む(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができ、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を含む(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。具体的には(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等を挙げることができる。
アクリル樹脂中にカルボキシ基やヒドロキシ基が存在する場合、これらは硬化反応時のエポキシ樹脂と架橋反応するため、架橋密度が向上し、その結果、熱伝導率を向上させることができる。
また、カルボキシ基は、水素イオンを放出するため、硬化反応時にエポキシ基が開環しやすく、触媒として作用する効果をもたらす。さらに、カルボキシ基は無機フィラ表面の水酸基と作用するため、無機フィラに対する表面処理の効果をもたらす。このような表面処理の効果は、無機フィラとアクリル樹脂との濡れ性が改善されるため、ワニス配合時にワニスの粘度が下がり、塗布が容易となる傾向がある。さらにまた、濡れ性の改善によって、無機フィラがより高度に分散されることになり熱伝導率の向上にも寄与することになる。
前記アクリル樹脂がカルボキシ基及びヒドロキシ基の少なくとも一方を有する場合、アクリル樹脂に含まれるカルボキシ基及びヒドロキシ基の少なくとも一方を有する構造単位の含有量は特に制限されない。フィラ分散性の観点から、アクリル樹脂におけるカルボキシ基及びヒドロキシ基の少なくとも一方を有する構造単位の含有率が、10モル%以上30モル%以下であることが好ましく、14モル%以上28モル%以下であることがより好ましい。
また、本発明の一実施形態において、分子内に少なくとも上記一般式(I)で示される構造単位を有するアクリル樹脂は、分子内にさらにアミノ基の少なくとも1種を含むことが好ましく、アミノ基を有する構造単位の少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも、吸湿防止の観点から、2級アミノ基又は3級アミノ基が好ましい。熱伝導率の向上の観点から、N−メチルピペリジノ基が特に好ましい。アクリル樹脂中にN−メチルピペリジノ基が存在する場合、フェノール硬化剤との相互作用によって相溶性が著しく向上するため好ましい。このように相溶性に優れたアクリル樹脂を組成物の系に添加した場合、熱伝導率の損失が小さくなる。また、N−メチルピペリジノ基とフェノール系硬化剤との相互作用は、異種分子間のすべりによる応力緩和効果を奏し、接着力の向上に寄与することになる。
前記アクリル系エラストマがアミノ基を有する場合、アクリル系エラストマに含まれるアミノ基の含有量は特に制限されない。相溶性の観点から、アクリル系エラストマを構成する樹脂におけるアミノ基を有する構造単位の含有率が、0.5モル%以上5モル%以下であることが好ましく、0.7モル%以上3.5モル%以下であることがより好ましい。
本発明の一実施形態では、アクリル樹脂として、下記一般式(II)で示される構造を有する化合物を使用することが好ましい。
式(II)中、各構造単位に記載した符号a、b、c及びdは、化合物を構成する全構造単位に対する各構造単位のモル%であり、a+b+c+d=90モル%以上であるが、95モル%以上であることが好ましく、99モル%以上であることがより好ましい。
また、R21とR22は、それぞれ独立して、互いに炭素数の異なる直鎖又は分岐鎖アルキル基である。R23〜R26はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
上記一般式(II)で示されるアクリル樹脂において、aの割合で存在する構造単位(以下、「構造単位a」とも称す)は、シートに可とう性を付与することができ、また熱伝導性と可とう性との両立を可能にする。また、bの割合で存在する構造単位(以下、「構造単位b」とも称す)は、先に示した構造単位aとの組合せにおいてシートの可とう性をより好ましいものとする。このように、柔構造(柔軟性)を付与する上記構造単位a及びbにおけるR21及びR22で表されるアルキル基の鎖長は特に限定されるものではない。しかし、鎖長が炭素数16以下であるとアクリル樹脂のTgが高くなりすぎず、アクリル樹脂を樹脂組成物中に添加して得られる可とう性改善効果が充分に得られる傾向がある。一方、R21とR22の鎖長が炭素数2以上であるとアクリル樹脂自身の柔軟性がより向上し、アクリル樹脂の添加によって得られる効果を充分に得られる傾向がある。このような観点において、R21及びR22の鎖長は、炭素数2〜16の範囲が好ましく、素数3〜14の範囲がより好ましく、炭素数4〜12の範囲がさらに好ましい。
またR21とR22で表されるアルキル基は互いに炭素数が異なる。R21とR22における炭素数の差は特に制限されないが、可とう性と柔軟性のバランスの観点から炭素数の差が4〜10であることが好ましく、6〜8であることがより好ましい。
さらに可とう性と柔軟性のバランスの観点から、R21の炭素数が2〜6であり、R22の炭素数が8〜16であることが好ましく、R21の炭素数が3〜5であり、R22の炭素数が10〜14であることがより好ましい。
上記一般式(II)において、構造単位a及び構造単位bのモル%の範囲は特に限定されるものではない。また構造単位a及び構造単位bの両者間の割合も任意であってよい。構造単位a及び構造単位bのいずれかが単独で含まれるよりも、構造単位aと構造単位bとの組合せを含んで構成されるアクリル樹脂を使用することが好ましい。構造単位a及び構造単位bの組合せによって、側鎖数が増加しアクリル樹脂の柔軟性が上昇するとともに、Tgも高くなる可能性がある。しかし、アクリル樹脂における構造単位a及び構造単位bのモル%の割合a及びbを適切に調整することによって、Tgを好適な範囲内に制御することができる。
具体的には例えば、樹脂シートの可とう性及びフィラ分散性の観点から、構造単位aの含有率は50モル%〜85モル%が好ましく、60モル%〜80モル%がより好ましい。また構造単位bの含有率は、2モル%〜20モル%が好ましく、5モル%〜15モル%がより好ましい。さらに構造単位bに対する構造単位aの含有比は4〜10が好ましく、6〜8がより好ましい。
上記一般式(II)において、cの割合で存在する構造単位(以下、「構造単位c」とも称す)に由来して、アクリル樹脂中にカルボキシ基が存在することによって、熱伝導率の向上及びフィラと樹脂との濡れ性の改善といった効果が得られる。また、dの割合で存在する構造単位(以下、「構造単位d」とも称す)に由来して、アクリル樹脂中にN−メチルピペリジノ基が存在することによって、相溶性の向上及び接着性の向上といった効果が得られる。これらの効果は、アクリル樹脂中にカルボキシ基及びN−メチルピペリジノ基が共存する場合に、より顕著となる。より具体的には、N−メチルピペリジノ基はカルボキシ基からの水素イオンを受容でき、次いで例えば硬化剤として含まれるフェノールとの相互作用が可能となる。このようにフェノールとの相互作用によって、アクリル樹脂と組成物の系との相溶性が向上することになる。また、カルボキシ基とN−メチルピペリジノ基との間で分子内相互作用が生じることによって、低弾性化による応力緩和への寄与が大きくなる。これは例えばアクリル樹脂の分子全体が直線構造ではなく、湾曲構造をとることになるからと考えることができる。このような観点から、上記一般式(II)で示されるアクリル樹脂の一実施形態において、構造単位c及び構造単位dの割合はそれぞれ、cは10モル%〜28モル%の範囲が好ましく、より好ましくは14モル%〜28モル%の範囲、さらに好ましくは20モル%〜28モル%の範囲であり、dは0.5モル%〜5モル%の範囲が好ましく、より好ましくは0.7モル%〜3.5モル%の範囲、さらに好ましくは0.7モル%〜1.4モル%の範囲である。
また構造単位dに対する構造単位cの含有比は、0.01〜0.5が好ましく、0.03〜0.3がより好ましく、0.035〜0.25がさらに好ましい。
23〜R26はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であるが、R23とR24の少なくとも一方が水素原子で他方がメチル基であることが好ましく、R23が水素原子でR24がメチル基であることがより好ましい。またR25とR26の少なくとも一方が水素原子で他方がメチル基であることが好ましく、R25が水素原子でR26がメチル基であることがより好ましい。
一般式(II)で示される構造を有するアクリル樹脂は、構造単位a〜d以外の構造単位をさらに含んでいてもよい。構造単位a〜d以外の構造単位としては特に制限はない。例えば、ヒドロキシアルキル基を含む(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位や、3級アミノ基を含む(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を挙げることができる。
前記アクリル樹脂における構造単位a〜d以外の構造単位の含有率は、10モル%以下であるが、5モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましい。
前記エラストマの重量平均分子量は特に制限されない。中でも熱伝導率と可とう性の観点から、10,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜50,000であることがより好ましく、10,000〜30,000であることがさらに好ましい。さらにエラストマの重量平均分子量が前記範囲であると、無機フィラの分散性がより向上し、樹脂組成物の粘度がより低下する傾向にある。
なお、エラストマの重量平均分子量は、GPCを用いた通常の方法により測定される。
本発明による熱伝導性樹脂組成物において、前記エラストマの含有量は、上記エポキシ樹脂含有成分(エポキシ樹脂及び必要に応じて含まれる硬化剤)の総質量を100質量部としたときに、0.1質量部〜99質量部の範囲とすることができ、好ましくは1質量部〜20質量部の範囲、さらに好ましくは1質量部〜10質量部の範囲である。
上記アクリル樹脂の添加量が0.1質量部以上であると、熱伝導率の低下を抑制し、被着体との接着力が向上する傾向がある。一方、アクリル樹脂の99質量部以下であると、被着体との接着力の低下を抑制し、熱伝導率が向上する傾向がある。したがって、アクリル樹脂の添加量を上記範囲に調整することによって、各種特性をバランス良く発現させることが容易となる。
(硬化剤)
前記樹脂組成物は、硬化剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。硬化剤としては特に制限はなく、硬化性樹脂に応じて適宜選択できる。特に前記硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としてはエポキシ樹脂用硬化剤として通常用いられる硬化剤から適宜選択して用いることができる。具体的には、ジシアンジアミド及び芳香族ジアミンなどのアミン系硬化剤、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂及びカテコールレゾルシノールノボラック樹脂などのフェノール系硬化剤を挙げることができる。中でも熱伝導率向上の観点から、フェノール系硬化剤であることが好ましく、カテコール、レゾルシノール及びp−ハイドロキノンといった2官能フェノールを含むフェノール系硬化剤であることが好ましい。
前記樹脂組成物における硬化剤の含有率は特に制限されない。例えばエポキシ樹脂に対して、当量基準で0.1〜2.0とすることができ、柔軟性向上の観点から0.5〜1.5であることが好ましく、高熱伝導の観点から0.8〜1.1であることが好ましい。
硬化剤の含有率が前記範囲であることで、接着性及び熱伝導率をより向上することができる。
(硬化触媒)
前記樹脂組成物は、硬化触媒の少なくとも1種を含むことが好ましい。硬化触媒としては特に制限はなく、硬化性樹脂の種類に応じて、通常用いられる硬化触媒から適宜選択して用いることができる。前記硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化触媒として具体的には例えば、トリフェニルホスフィン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、三フッ化ホウ素アミン錯体、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどを挙げることができる。中でも高熱伝導化の観点から、トリフェニルホスフィンを使用することが好ましい。
前記樹脂組成物における硬化触媒の含有率は特に制限されない。例えばエポキシ樹脂に対して、0.1質量%〜2.0質量%とすることができ、0.5質量%〜1.5質量%であることが好ましい。
硬化触媒の含有率が前記範囲であることで、接着性及び熱伝導率をより向上することができる。
(カップリング剤)
前記樹脂組成物は、必須成分であるエポキシ樹脂、エラストマ及び無機フィラに加えて、カップリング剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。カップリング剤は、例えば無機フィラの表面処理を目的に含有することができる。
カップリング剤としては特に制限されず、通常用いられるカップリング剤から適宜選択することができる。具体的には例えば、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM−13」として入手可能)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM−803」として入手可能)、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBE−9103」として入手可能)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM−573」として入手可能)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM−903」として入手可能)、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM−403」として入手可能)などのシランカップリング剤が挙げられる。中でも、高熱伝導化の観点から、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
前記樹脂組成物におけるカップリング剤の含有率は特に制限されない。例えば無機フィラに対して、0.05質量%〜1.0質量%とすることができ、0.1質量%〜0.5質量%であることが好ましい。
カップリング剤の含有率が前記範囲であることで、熱伝導率をより向上することができる。
(溶剤)
前記熱伝導性樹脂組成物は、溶剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。溶剤としては樹脂組成物の硬化反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、通常用いられる有機溶剤から適宜選択して用いることができる。具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、シクロヘキサノール等のアルコール系溶剤などを挙げることができる。
前記熱伝導性樹脂組成物における溶剤の含有量は特に制限されず、熱伝導性樹脂組成物の塗布性等に応じて適宜選択することができる。
<樹脂シート>
本発明の樹脂シートは、前記樹脂組成物をシート状に成形してなる。前記樹脂シートは例えば、前記樹脂組成物を離型フィルム上に塗布し、必要に応じて含まれる溶剤を除去することで製造することができる。
前記樹脂シートは、前記樹脂組成物から構成されることで熱伝導性、可とう性及び接着性に優れる。
前記樹脂シートは、前記樹脂組成物からシート状に形成されてなるが、半硬化状態(Bステージ状態)になるまで、さらに加熱処理されたBステージシートであることが好ましい。
前記Bステージシートとは樹脂シートの粘度として、常温(25度)においては10Pa・s〜10Pa・sであるのに対して、100℃で10Pa・s〜10Pa・sに粘度が低下するものである。また、後述する硬化後の樹脂シート硬化物は加温によっても溶融することはない。尚、上記粘度は、動的粘弾性測定(周波数1ヘルツ、荷重40g、昇温速度3℃/分)によって測定される。
樹脂シートは例えば、以下のようにして製造することができる。
PETフィルム等の離型フィルム上に、メチルエチルケトンやシクロヘキサンノン等の溶剤を添加したワニス状の樹脂組成物を、塗布後、乾燥することで樹脂層を得ることができる。
塗布は、公知の方法により実施することができる。塗布方法として、具体的には、コンマコート、ダイコート、リップコート、グラビアコート等の方法が挙げられる。所定の厚みに樹脂層を形成するための塗布方法としては、ギャップ間に被塗工物を通過させるコンマコート法、ノズルから流量を調整した樹脂ワニスを塗布するダイコート法等を適用することができる。例えば、乾燥前の樹脂層の厚みが50μm〜500μmである場合、コンマコート法を用いることが好ましい。
塗工後の樹脂層は硬化反応がほとんど進行していないため、可とう性を有するものの、シートとしての柔軟性に乏しく、支持体である前記PETフィルムを除去した状態ではシート自立性に乏しく、取り扱いが困難である。そこで後述する加熱処理により樹脂組成物をBステージ化することが好ましい。
得られた樹脂層を加熱処理する条件は、樹脂組成物をBステージ状態にまで半硬化することができれば特に制限されず、樹脂組成物の構成に応じて適宜選択することができる。前記加熱処理には、熱真空プレス及び熱ロールラミネート等から選択される加熱処理方法が好ましい。これにより、塗工の際に生じた樹脂層中の空隙(ボイド)を減少させることができ、平坦なBステージシートを効率よく製造することができる。
具体的には例えば、加熱温度80℃〜130℃で、1秒間〜30秒間、減圧下(例えば、1MPa)で加熱プレス処理することで樹脂組成物をBステージ状態に半硬化することができる。
前記樹脂シートの厚みは、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50μm以上200μm以下とすることができ、熱伝導率及びシート可とう性の観点から、60μm以上150μm以下であることが好ましい。また前記樹脂シートは2層以上の樹脂層を積層しながら熱プレスすることにより作製することもできる。
<樹脂付金属箔>
本発明の樹脂付金属箔は、金属箔と、前記金属箔上に配置された前記熱伝導性樹脂組成物の半硬化物である半硬化樹脂層とを有する。前記熱伝導性樹脂組成物に由来する半硬化樹脂層を有することで、熱伝導率、電気絶縁性、可とう性に優れる。
前記半硬化樹脂層は前記樹脂組成物をBステージ状態になるように加熱処理して得られるものである。
前記金属箔としては、金箔、銅箔、アルミニウム箔など特に制限されないが、一般的には銅箔が用いられる。
前記金属箔の厚みとしては、1μm〜35μmであれば特に制限されないが、20μm以下の金属箔を用いることで可とう性がより向上する。
また、金属箔として、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−スズ合金、ニッケル−鉄合金、鉛、鉛−スズ合金等を中間層とし、この両面に0.5μm〜15μmの銅層と10μm〜300μmの銅層を設けた3層構造の複合箔、又はアルミニウムと銅箔とを複合した2層構造複合箔を用いることもできる。
樹脂付金属箔は、前記熱伝導性樹脂組成物を金属箔上に塗布・乾燥することにより樹脂層を形成することで製造することができ、樹脂層の形成方法は既述の通りである。
樹脂付金属箔の製造条件は特に制限されないが、乾燥後の樹脂層において、樹脂ワニスに使用した有機溶媒が80質量%以上揮発していることが好ましい。乾燥温度は80℃〜180℃程度であり、乾燥時間はワニスのゲル化時間との兼ね合いで決めることができ、特に制限はない。樹脂ワニスの塗布量は、乾燥後の樹脂層の厚みが50μm〜200μmとなるように塗布することが好ましく、60μm〜150μmとなることがより好ましい。
前記乾燥後の樹脂層は、加熱処理されることでBステージ状態になる。前記熱伝導性樹脂組成物を加熱処理する条件はBステージシートにおける加熱処理条件と同様である。
<樹脂シート硬化物>
本発明の樹脂シート硬化物は、前記熱伝導性樹脂組成物を加熱処理して硬化してなる。熱伝導性樹脂組成物を硬化する硬化方法は、熱伝導性樹脂組成物の構成や樹脂シート硬化物の目的等に応じて適宜選択することができるが、加熱加圧処理であることが好ましい。加熱加圧処理の条件は例えば、加熱温度が80℃〜250℃で、圧力が0.5MPa〜8.0MPaであることが好ましく、加熱温度が130℃〜230℃で、圧力が1.5MPa〜5.0MPaであることがより好ましい。
加熱加圧処理する処理時間は、加熱温度等に応じて適宜選択できる。例えば2〜8時間とすることができ、4〜6時間であることが好ましい。
また加熱加圧処理は1回で行ってもよく、加熱温度等を変化させて2回以上行ってもよい。
<放熱用部材>
本発明の放熱用部材は、金属ワークと、前記金属ワークと接するように前記金属ワーク上に配置された前記Bステージシート又は樹脂シート硬化物とを少なくとも備えて構成される。
ここで「金属ワーク」とは、基板、フィン等を含む、放熱部材として機能することができる金属材料からなる成形品を意味する。本発明の一実施形態において、金属ワークはAlとCu等の各種金属から構成される基板であることが好ましい。
本発明の放熱用部材の一実施形態として、前記熱伝導性樹脂組成物をシート状に成形して得られる樹脂シートを用いた放熱用部材を図1に例示する。樹脂シートはBステージシートであっても、樹脂シート硬化物であってもよい。
図1において、樹脂シート10は、例えばAlから構成される第一の金属ワーク20と、例えばCuから構成される第二の金属ワーク30との間に位置し、その片面は金属ワーク20表面に接着し、他面は金属ワーク30表面に接着している。前記樹脂シート10は可とう性に優れるとともに、第一及び第二の金属ワーク20及び30の各接触面との優れた接着性を実現することができる。
金属ワークの接着に適用される樹脂シートは、接着性の観点から、一般的に5MPa以上のせん断強度を有することが望ましい。後述する実施例から明らかなように、本発明によれば、上記せん断強度を満足する樹脂シートを提供することができる。また、樹脂シート10は優れた熱伝導性を有するため、例えば、Cuから構成される第二の金属ワーク30から発生した熱を、樹脂シート10を介してAlから構成される第一の金属ワーク20側へ効率良く伝導し、外部へ放熱することが可能となる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(カテコールレゾルシノールノボラック(CRN)の合成)
攪拌機、冷却器、温度計を備えた3Lのセパラブルフラスコにレゾルシノール594g、カテコール66g、37%ホルマリン316.2g、シュウ酸15g、水100gを入れ、オイルバスで加温しながら100℃に昇温させ、この還流温度で4時間反応を続けた。その後、水を留去しながらフラスコ内の温度を170℃に昇温させ、170℃を保持しながら8時間反応を続けた。
その後減圧下、20分間濃縮を行い系内の水等を除去して、カテコールレゾルシノールノボラックを取り出した。得られたカテコールレゾルシノールノボラック(CRN)樹脂の数平均分子量は530、重量平均分子量は930であった。またCRN樹脂の水酸基当量は65であった。上記により得たカテコールレゾルシノールノボラック(CRN)樹脂を以下の実施例で用いた。
(エラストマの合成)
以下実施例で使用されているエラストマは、特開2010−106220号公報を参照して合成した。エラストマの構成に応じて、適当な溶媒を用い、モノマー成分を所望の比率となるように重合開始剤等とともに混合、攪拌し、加熱して共重合して得た。
(実施例1)
1.エラストマ含有樹脂シートの作製
100cmのポリ瓶中に、カップリング剤として3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン0.0960質量部(信越化学株式会社製、商品名「KBM403」)と、エラストマとして下記構造式を有するアクリル樹脂REB122−4合成品、重量平均分子量24000)0.5027質量部と、硬化剤として上記で合成したカテコールレゾルシノールノボラック(CRN)樹脂(重量平均分子量930、カテコール:レゾルシノール=5:95)のシクロヘキサノン溶解品4.7758質量部(固形分50質量%)をこの順序で加えた。
次いで、上記ポリ瓶中にアルミナボール120.00質量部(粒子径3mm)を投入した後、無機フィラとして重量平均粒子径(D50)18μmの酸化アルミニウム(AA−18)66.72質量部(住友化学株式会社製、無機フィラ中の含有率74.0体積%)、重量平均粒子径(D50)3μmの酸化アルミニウム(AA−3)12.62質量部(住友化学株式会社製、無機フィラ中の含有率14.0体積%)、重量平均粒子径(D50)0.4μmの酸化アルミニウム(AA−04)10.82質量部(住友化学株式会社製、無機フィラ中の含有率12.0体積%)を加えた。
さらに、メチルエチルケトン15.84質量部とシクロヘキサノン2.89質量部を加えて混合した。攪拌して均一になったことを確認した後に、1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセンとエピクロルヒドリンとから合成された1−{(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン7.1638質量部(エポキシ樹脂)、及びトリフェニルホスフィン0.0503質量部(和光純薬製、硬化触媒)を加えてさらに混合し、40時間〜60時間にわたってボールミル粉砕を行い、熱伝導性樹脂組成物として樹脂シート塗工液を得た。
得られた樹脂シート塗工液を、アプリケーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業株式会社製、75E−0010CTR−4、以下PETフィルムと略)の離型面上に厚みが約300μmになるように塗布し、常態で15分放置した後に100℃のボックス型オーブンで30分乾燥させて、PETフィルム上に樹脂組成物層を形成した。次いで、空気に触れていた樹脂組成物層の上面をPETフィルムで覆い、熱プレス(上熱板150℃、下熱板80℃、圧力1.5MPa、処理時間3分)により平坦化処理を行い、200μmの厚みを有するエラストマ含有樹脂シートとしてBステージシートを得た。
得られたBステージシートの可とう性を、以下のようにして評価したところ、良好であり、A判定であった。
(可とう性の評価)
可とう性は、硬化前のBステージシートを主に指触にて判定した。判定基準は以下のとおりである。
−判定基準−
A:取り扱いが良好で、成形時に支障が生じないと見なされる。
B:硬くて脆く、成形時に慎重な取り扱いを要すると見なされる。
なお、図2は、シートの可とう性判断におけるシートの状態を説明する模式的断面図である。図中、参照符号10は樹脂シート、40は支えを示す。図2(a)は、エラストマ未添加でシートの可とう性が乏しい状態を示し、図2(b)は特定構造を有するエラストマの添加によってシートの可とう性が改善された状態を示している。
2.樹脂シートの硬化物の作製
上述の方法によって得たエラストマ含有樹脂シート(Bステージシート)の両面からPETフィルムを剥がし、両面を105μm厚の銅箔(古河電工株式会社製、GTS箔)で挟み、真空熱プレス(上熱板150℃、下熱板80℃、真空度≦1kPa、圧力4MPa、処理時間7分)を行い、その後、ボックス型オーブンに入れて140℃で2時間、165℃で2時間、190℃で2時間のステップキュアにより硬化を行った。得られた銅箔挟み硬化物から、銅のみを過硫酸ナトリウム溶液を用いてエッチング除去し、アクリル樹脂(REB122−4)入りの熱伝導性樹脂シートの硬化物を得た。
得られた硬化物の熱伝導率を、以下のようにしてキセノンフラッシュ法により測定した結果、熱伝導率は8.0W/mKであった。
(熱伝導率の測定方法)
NETZSCH社製のNanoflash LFA447型Xeフラッシュ法熱拡散率測定装置を用いてシートの熱拡散率を測定した。得られた熱拡散率の数値に比熱Cp(J/g・K)と密度d(g/cm)を乗算することによって、熱伝導率(W/mK)を算出した。全ての測定は25±1℃で行った。
3.エラストマ含有樹脂シートの金属ワークへの接着
上述の方法によって得たエラストマ含有樹脂シート(Bステージシート)の両面からPETフィルムを剥がし、両面をそれぞれ銅板とアルミ板で挟み、真空熱プレス(熱板温度140℃、真空度≦1kPa、圧力0.2MPa、処理時間10分)を行い、その後ボックス型オーブンに入れて140℃で2時間、165℃で2時間、190℃で2時間のステップキュアにより硬化を行った。このようにして得たREB122−4入りBステージシートを貼り付けた金属ワークのせん断接着強度を、以下のようにして測定したところ、7.5[MPa]であった。
(接着強度の測定方法)
株式会社オリエンテック製のテンシロン万能試験機「RTC−1350A」を使用し、試験速度1mm/分の条件で、銅板とアルミ板とを剥離することで、シートワークのせん断接着強度を測定した。
(実施例2)
アクリル樹脂として、「REB122−4」の代わりに、下記構造式を有する「REB124−6」(重量平均分子量44000)を使用したことを除き、全て実施例1と同様にしてアクリル樹脂(REB124−6)入りBステージシートを作製した。得られたBステージシートの可とう性を実施例1と同様にして評価したところ、良好であり、A判定であった。
次に、実施例1と同様にして、REB124−6入りBステージシートの硬化物を作製した。得られた硬化物の熱伝導率をキセノンフラッシュ法により、実施例1と同様にして測定した結果、熱伝導率は7.0W/mKであった。
さらに、実施例1と同様にして、REB124−6入りBステージシートを貼り付けた金属ワークを作製した。得られた金属ワークのせん断接着強度を実施例1と同様にして測定したところ、7.4[MPa]であった。
(実施例3)
アクリル樹脂として、「REB122−4」の代わりに、下記構造式を有する「REB58−5」(重量平均分子量34000)を使用したことを除き、全て実施例1と同様にしてアクリル樹脂(REB58−5)入りBステージシートを作製した。得られたBステージシートの可とう性は良好であった。
次に、実施例1と同様にして、REB58−5入りBステージシートの硬化物を作製した。得られた硬化物の熱伝導率をキセノンフラッシュ法により、実施例1と同様にして測定した結果、熱伝導率は6.8W/mKであった。
さらに、実施例1と同様にして、REB58−5入りBステージシートを貼り付けた金属ワークを作製した。得られた金属ワークのせん断接着強度を、実施例1と同様にして測定したところ、7.6[MPa]であった。
(実施例4)
アクリル樹脂として、「REB122−4」の代わりに、下記構造式を有する「REB124−2」(重量平均分子量39000)を使用したことを除き、全て実施例1と同様にしてアクリル樹脂(REB124−2)入りBステージシートを作製した。得られたBステージシートの可とう性を実施例1と同様にして評価したところ、良好であり、A判定であった。
次に、実施例1と同様にして、REB124−2入りBステージシートの硬化物を作製した。得られた硬化物の熱伝導率をキセノンフラッシュ法により、実施例1と同様にして測定した結果、熱伝導率は5.5W/mKであった。
さらに、実施例1と同様にして、REB124−2入りBステージシートを貼り付けた金属ワークを作製した。得られた金属ワークのせん断接着強度を、実施例1と同様にして測定したところ、5.0[MPa]であった。
(実施例5)
アクリル樹脂として、「REB122−4」の代わりに、下記構造式を有する「REB146−2」(重量平均分子量43081)を使用したことを除き、全て実施例1と同様にしてアクリル樹脂(REB146−2)入りBステージシートを作製した。得られたBステージシートの可とう性を実施例1と同様にして評価したところ、良好であり、A判定であった。
次に、実施例1と同様にして、REB146−2入りBステージシートの硬化物を作製した。得られた硬化物の熱伝導率をキセノンフラッシュ法により、実施例1と同様にして測定した結果、熱伝導率は6.0W/mKであった。
さらに、実施例1と同様にして、REB146−2入りBステージシートを貼り付けた金属ワークを作製した。得られた金属ワークのせん断接着強度を、実施例1と同様にして測定したところ、5.1[MPa]であった。
(実施例6)
アクリル樹脂として、「REB122−4」の代わりに、下記構造式を有する「REB100−5」(重量平均分子量25000)を使用したことを除き、全て実施例1と同様にしてアクリル樹脂(REB100−5)入りBステージシートを作製した。得られたBステージシートの可とう性を実施例1と同様にして評価したところ、良好であり、A判定であった。
次に、実施例1と同様にして、REB100−5入りBステージシートの硬化物を作製した。得られた硬化物の熱伝導率をキセノンフラッシュ法により、実施例1と同様にして測定した結果、熱伝導率は7.0W/mKであった。
さらに、実施例1と同様にして、REB100−5入りBステージシートを貼り付けた金属ワークを作製した。得られた金属ワークのせん断接着強度を、実施例1と同様にして測定したところ、5.0[MPa]であった。
(比較例1)
1.エラストマ非含有樹脂シートの作製
100cmのポリ瓶中に、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン0.0960質量部(信越化学株式会社製、商品名「KBM403」)と、実施例1と同様にして予め調製したカテコールレゾルシノールノボラック(CRN)樹脂のシクロヘキサノン溶解品5.0272質量部(固形分50質量%)をこの順序で加えた。
次いで、上記ポリ瓶中にアルミナボール120.00質量部(粒子径3mm)を投入した後、重量平均粒子径18μmの酸化アルミニウム(AA−18)66.72質量部(住友化学株式会社製、無機フィラ中の含有率74.0体積%)、重量平均粒子径3μmの酸化アルミニウム(AA−3)12.62質量部(住友化学株式会社製、無機フィラ中の含有率14.0体積%)、重量平均粒子径0.4μmの酸化アルミニウム(AA−04)10.82質量部(住友化学株式会社製、無機フィラ中の含有率12.0体積%)を加えた。さらに、メチルエチルケトン15.84質量部とシクロヘキサノン2.77質量部を加えて混合した。攪拌して均一になったことを確認した後に、1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキセンとエピクロルヒドリンから合成された1−{(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン7.5407質量部(エポキシ樹脂)とトリフェニルホスフィン0.0503質量部(和光純薬製)を加えてさらに混合し、40〜60時間にわたってボールミル粉砕を行い、樹脂シート塗工液を得た。
上記で得られた塗工液を、アプリケーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業株式会社製、75E−0010CTR−4、以下PETフィルムと略)の離型面上に厚みが約300μmになるように塗布し、常態で15分放置した後に100℃のボックス型オーブンで30分乾燥させ、次いで、空気に触れていた上面をPETフィルムで覆い、熱プレス(上熱板150℃、下熱板80℃、圧力1.5MPa、処理時間3分)により平坦化処理を行い、200μmの厚みを有するエラストマ非含有樹脂シートとしてBステージシートを得た。得られたBステージシートの可とう性を実施例1と同様にして評価したところ、シートは脆く、B判定であった。
2.エラストマ非含有樹脂シートの硬化物の作製
上述の方法によって得たエラストマ非含有樹脂シート(Bステージシート)の両面からPETフィルムを剥がし、両面を105μm厚の銅箔(古河電工株式会社製、GTS箔)で挟み、真空熱プレス(上熱板150℃、下熱板80℃、真空度≦1kPa、圧力4MPa、処理時間7分)を行い、その後ボックス型オーブンに入れて140℃で2時間、165℃で2時間、190℃で2時間のステップキュアにより硬化を行った。得られた銅箔挟み硬化物から、銅のみを過硫酸ナトリウム溶液を用いてエッチング除去し、エラストマ非含有Bステージシートの硬化物を得た。得られた硬化物の熱伝導率をキセノンフラッシュ法により、実施例1と同様にして測定した結果、熱伝導率は8.8W/mKであった。
3.エラストマ非含有樹脂シートの放熱部材への接着
上述の方法によって得たエラストマ非含有樹脂シート(Bステージシート)の両面からPETフィルムを剥がし、両面をそれぞれ銅板とアルミ板で挟み、真空熱プレス(熱板温度140℃、真空度≦1kPa、圧力0.2MPa、処理時間10分)を行い、その後ボックス型オーブンに入れて140℃で2時間、165℃で2時間、190℃で2時間のステップキュアにより硬化を行った。このようにして得たエラストマ非含有樹脂シートを貼り付けた金属ワークのせん断接着強度を、実施例1と同様にして測定したところ、3.5[MPa]であった。
(比較例2)
「REB122−4」(アクリル樹脂)の代わりに、シリコーン系樹脂(信越化学株式会社製、商品名「X−22−162C」)を使用したことを除き、全て実施例1と同様にしてX−22−162C入りのBステージシートを作製した。得られたBステージシートの可とう性を実施例1と同様にして評価したところ、シートは脆く、B判定であった。
得られたBステージシートについて、実施例1と同様にして硬化物を作製したが、脆いために熱伝導率の測定はできなかった。
次に、実施例1と同様にして、X−22−162C入りBステージシートを貼り付けた金属ワークを作製したが、硬化物が脆いため金属に接着不可能となり、せん断強度の測定はできなかった。
(比較例3)
「REB122−4」(アクリル樹脂)の代わりに、ニトリル系樹脂(日本ゼオン株式会社製、商品名「Nipol DN601」)を使用したことを除き、全て実施例1と同様にしてNipol DN601入りのBステージシートを作製した。得られたBステージシートの可とう性を実施例1と同様にして評価したところ、シートは脆く、B判定であった。
得られたBステージシートについて、実施例1と同様にして硬化物を作製したが、脆いために熱伝導率の測定はできなかった。
次に、実施例1と同様にして、Nipol DN601入りBステージシートを貼り付けた金属ワークを作製したが、シートが脆いため金属に接着不可能となり、せん断強度の測定はできなかった。
実施例1〜5、及び比較例1〜3で作製した熱伝導性シートの熱伝導率と可とう性、またシートを用いた金属ワークのせん断接着強度の検討結果を表1に纏めて示す。
表1から分かるように、本発明の熱伝導性樹脂組成物で構成した樹脂シートは可とう性及び接着性に優れることが分かる。また樹脂シート硬化物は、熱伝導性及び接着性に優れることが分かる。
日本国特許出願2010−212022号の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。
10 樹脂シート
20 第1の金属ワーク
30 第2の金属ワーク
40 支え

Claims (11)

  1. エポキシ樹脂と、無機フィラと、分子内に少なくとも下記一般式(I)で示される構造単位を有するエラストマとを含有する熱伝導性樹脂組成物。

    (一般式(I)中、R、R及びRはそれぞれ独立して、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は水素原子であり、Rは直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、nは任意の整数を表す)
  2. 前記エラストマは、アクリル樹脂である請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  3. 前記アクリル樹脂は、分子内にさらにカルボキシ基及びヒドロキシ基の少なくとも一方を有する請求項2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  4. 前記アクリル樹脂は、分子内にさらにアミノ基を有する請求項2又は請求項3に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  5. 前記アクリル樹脂は、下記一般式(II)で示される構造を有する請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。

    (式(II)中、各構造単位に記載した符号a、b、c及びdは、全構造単位における各構造単位のモル%であり、a+b+c+d=90モル%以上である。
    21及びR22はそれぞれ独立して、互いに炭素数の異なる直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、R23〜R26はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基である。)
  6. 式(II)におけるR21及びR22はそれぞれ独立して、互いに炭素数の異なる炭素数4〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である請求項5に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  7. さらにフェノール系硬化剤を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物をシート状に成形してなる樹脂シート。
  9. 金属箔と、前記金属箔上に配置された請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物の半硬化物である半硬化樹脂層とを有する樹脂付金属箔。
  10. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物を熱処理物である樹脂シート硬化物。
  11. 金属ワークと、前記金属ワーク上に配置された請求項8に記載の樹脂シート又は請求項10に記載の樹脂シート硬化物とを有する放熱部材。
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