JP2012188632A - 絶縁材料及び積層構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着するために用いられ、2つの接着対象部材が絶縁材料の硬化物により接着された積層構造体の反りを抑制でき、かつ硬化物の放熱性を高くすることができる絶縁材料を提供する。
【解決手段】本発明に係る絶縁材料は、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着するために用いられる。本発明に係る絶縁材料は、分子量が1000以下であり、かつビフェニル骨格とエポキシ基とを有する硬化性化合物と、ジシアンジアミド及びイミダゾール化合物の内の少なくとも1種である硬化剤と、無機フィラーとを含む。上記硬化性化合物の全骨格100重量%中、上記ビフェニル骨格の占める割合は35重量%以上である。絶縁材料100体積%中、上記無機フィラーの含有量は30体積%以上、85体積%以下である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る絶縁材料は、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着するために用いられる。本発明に係る絶縁材料は、分子量が1000以下であり、かつビフェニル骨格とエポキシ基とを有する硬化性化合物と、ジシアンジアミド及びイミダゾール化合物の内の少なくとも1種である硬化剤と、無機フィラーとを含む。上記硬化性化合物の全骨格100重量%中、上記ビフェニル骨格の占める割合は35重量%以上である。絶縁材料100体積%中、上記無機フィラーの含有量は30体積%以上、85体積%以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着するために用いられる絶縁材料に関し、より詳細には、エポキシ基を有する硬化性化合物と硬化剤と無機フィラーとを含む絶縁材料、並びに該絶縁材料を用いた積層構造体に関する。
電子機器及び通信機器では、絶縁層を有するプリント配線板が用いられている。該絶縁層は、ペースト状又はシート状の絶縁接着材料を用いて形成されている。
上記絶縁接着材料の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤、エラストマー及び無機充填剤を含む接着剤組成物を、ガラスクロスに含浸させた絶縁接着シートが開示されている。
ガラスクロスを含まない絶縁接着材料も知られている。例えば、下記の特許文献2の実施例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノールノボラック、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びアルミナを含む絶縁接着剤が開示されている。
近年、電気機器の小型化及び高性能化が進行している。このため、上記電子機器及び通信機器に用いられるプリント配線板では、多層化及び薄膜化が進行しており、かつ電子部品の実装密度が高くなっている。これに伴って、電子部品から大きな熱量が発生しやすくなっており、発生した熱を放散させる必要が高まっている。熱を放散させるために、例えば、プリント配線板として、熱伝導率が10W/m・K以上の高熱伝導体をベース材料とし、該ベース材料を導体層である銅箔に絶縁層により接着した高熱伝導基板が用いられている。上記絶縁層は、高い熱伝導率を有することが好ましい。また、上記プリント配線板の薄膜化及び低コスト化の要望を受け、用いる高熱伝導ベース材の厚みを薄くしたいという要望も高まっている。しかしながら、高熱伝導ベース材の厚みを薄くすると、一般的に導体層として用いられる銅箔と高熱伝導体の熱線膨張率の差や、絶縁層の硬化時の収縮応力により、得られる高熱伝導基板が大きく反りやすいという問題がある。
一方で、高い熱伝導率を上記絶縁層に付与するためには、例えば、該絶縁層を形成するための絶縁接着材料に、熱伝導性が高い無機フィラーを配合する方法が一般的に採用されている。しかしながら、熱伝導性が高い無機フィラーを用いただけでは、高熱伝導基板の反りを十分に抑えられないことがある。
また、特許文献1に記載の絶縁接着シートでは、ハンドリング性を高めるために、ガラスクロスが用いられている。ガラスクロスを含む絶縁接着シートでは、薄膜化が困難であり、かつレーザー加工又はドリル穴開け加工等の各種加工が困難である。また、ガラスクロスを含む絶縁接着シートの硬化物の熱伝導率は比較的低いため、充分な放熱性が得られないことがある。さらに、ガラスクロスに接着剤組成物を含浸させるために、特殊な含浸設備を用意しなければならない。
特許文献2に記載の絶縁接着剤でも、硬化物の熱伝導率が低く、充分な放熱性が得られないことがあり、更に高熱伝導基板の反りが抑えられないことがある。
本発明の目的は、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着するために用いられ、2つの接着対象部材が絶縁材料の硬化物により接着された積層構造体の反りを抑制でき、かつ硬化物の放熱性を高くすることができる絶縁材料、並びに該絶縁材料を用いた積層構造体を提供することである。
本発明の限定的な目的は、シート状の絶縁シートであって、未硬化状態での該絶縁シートのハンドリング性にも優れている絶縁材料、並びに該絶縁材料を用いた積層構造体を提供することである。
本発明の広い局面によれば、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着するために用いられる絶縁材料であって、分子量が1000以下であり、かつビフェニル骨格とエポキシ基とを有する硬化性化合物と、ジシアンジアミド及びイミダゾール化合物の内の少なくとも1種である硬化剤と、無機フィラーとを含み、上記硬化性化合物の全骨格100重量%中、上記ビフェニル骨格の占める割合が35重量%以上であり、絶縁材料100体積%中、上記無機フィラーの含有量が30体積%以上、85体積%以下である、絶縁材料が提供される。
本発明に係る絶縁材料は、重量平均分子量が1万以上であるポリマーをさらに含むことが好ましい。上記ポリマーは、エポキシ基及びオキセタニル基の双方を有さないことが好ましい。上記ポリマーは芳香族骨格を有することが好ましい。上記ポリマーはポリスチレンであることが特に好ましい。
本発明に係る絶縁材料を硬化させた硬化物は、上記ポリマー又は該ポリマーの硬化物を含む分散相と上記硬化性化合物の硬化物を含む連続相とが相分離した構造を有することが好ましい。
本発明に係る絶縁材料は、シランカップリング剤をさらに含むことが好ましい。該シランカップリング剤は、炭素数4〜10のアルキル基を有することが好ましい。
本発明に係る絶縁材料のある特定の局面では、該絶縁材料は、シート状の絶縁シートであり、該絶縁シート100体積%中、上記無機フィラーの含有量は30体積%以上、85体積%以下である。
本発明に係る積層構造体は、第1の接着対象部材と、該第1の接着対象部材の少なくとも一方の表面に積層された絶縁層と、該絶縁層の上記第1の接着対象部材が積層された表面とは反対側の表面に積層された第2の接着対象部材とを備えており、上記第1の接着対象部材の熱線膨張率と上記第2の接着対象部材の熱線膨張率とが5ppm/℃以上異なり、上記絶縁層が、本発明に従って構成された絶縁材料を硬化させることにより形成されている。上記第1,第2の接着対象部材はそれぞれ、金属又はセラミックであることが好ましい。
本発明に係る絶縁材料は、分子量が1000以下でありかつビフェニル骨格とエポキシ基とを有する硬化性化合物と、ジシアンジアミド及びイミダゾール化合物の内の少なくとも1種である硬化剤と、無機フィラーとを含み、更に上記硬化性化合物の全骨格100重量%中の上記ビフェニル骨格の占める割合が35重量%以上であり、かつ絶縁材料100体積%中の上記無機フィラーの含有量が30体積%以上、85体積%以下であるので、本発明に係る絶縁材料の硬化物により、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着した積層構造体の反りを抑制でき、かつ硬化物の放熱性を高くすることができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る絶縁材料は、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着するために用いられる。本発明に係る絶縁材料は、分子量が1000以下であり、かつビフェニル骨格とエポキシ基とを有する硬化性化合物(A)と、ジシアンジアミド及びイミダゾール化合物の内の少なくとも1種である硬化剤(C)と、無機フィラー(D)とを含む。硬化性化合物(A)の全骨格100重量%中、上記ビフェニル骨格の占める割合は35重量%以上である。絶縁材料100体積%中、無機フィラー(D)の含有量は30体積%以上、85体積%以下である。
上記組成の採用により、本発明に係る絶縁材料を硬化させることにより形成された硬化物の熱線膨張率及び硬化時の収縮応力を低くすることができる。さらに、上記組成の採用により、硬化物の熱伝導性をかなり高めることもできる。この結果、硬化物の放熱性が十分に高くなり、かつ本発明に係る絶縁材料の硬化物により、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着した積層構造体の反りが抑えられる。
本発明に係る絶縁材料は、液状の絶縁組成物であってもよく、シート状の絶縁シートであってもよい。取り扱い性を高めるために、本発明に係る絶縁材料は、シート状の絶縁シートであることが好ましい。本発明に係る絶縁材料は上記組成を有するので、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性を高めることができる。
本発明に係る絶縁材料は、重量平均分子量が10000以上であるポリマー(B)をさらに含むことが好ましい。ポリマー(B)の使用により、ハンドリング性がより一層良好な絶縁シートを得ることができる。
本発明に係る絶縁材料は、シランカップリング剤(E)をさらに含むことが好ましい。シランカップリング剤(E)の使用により、硬化物の耐電圧性及び耐湿性をより一層高めることができる。
以下、先ず、本発明に係る絶縁材料に含まれている各成分の詳細を説明する。
(硬化性化合物(A))
本発明に係る絶縁材料に含まれている硬化性化合物(A)は、分子量が1000以下であり、かつビフェニル骨格及びエポキシ基を有し、更に硬化性化合物(A)の全骨格100重量%中の上記ビフェニル骨格の占める割合が35重量%以上であれば特に限定されない。硬化性化合物(A)は、エポキシ基を有するのでエポキシ化合物である。硬化性化合物(A)は、硬化剤(C)の作用により硬化する。硬化性化合物(A)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る絶縁材料に含まれている硬化性化合物(A)は、分子量が1000以下であり、かつビフェニル骨格及びエポキシ基を有し、更に硬化性化合物(A)の全骨格100重量%中の上記ビフェニル骨格の占める割合が35重量%以上であれば特に限定されない。硬化性化合物(A)は、エポキシ基を有するのでエポキシ化合物である。硬化性化合物(A)は、硬化剤(C)の作用により硬化する。硬化性化合物(A)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化性化合物(A)100重量%中、上記ビフェニル骨格の占める割合は35重量%以上である。上記ビフェニル骨格の占める割合が35重量%以上であることは、硬化物の放熱性の向上及び熱線膨張率の低下に大きく寄与する。硬化物の放熱性をより一層高め、硬化物の熱線膨張率をより一層低くする観点からは、硬化性化合物(A)100重量%中、上記ビフェニル骨格の占める割合は、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上である。硬化性化合物(A)100重量%中、上記ビフェニル骨格の占める割合は、好ましくは99重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。
硬化性化合物(A)はビフェニル骨格を有するので、硬化物の熱線膨張率及び硬化時の収縮応力を低く抑えることができる。また、硬化物の耐熱性及び絶縁破壊特性を高めることができる。硬化性化合物(A)100重量%中、上記ビフェニル骨格の占める割合が多いほど、硬化物の耐熱性及び絶縁破壊特性が高くなる傾向がある。
硬化性化合物(A)の具体例としては、例えば、三菱化学製の商品名エピコートYX4000(ビフェニル骨格の割合:41重量%)、並びに三菱化学製の商品名エピコートYX4000H(ビフェニル骨格の割合:39重量%)等が挙げられる。
硬化性化合物(A)の分子量は、1000以下である。硬化性化合物(A)の分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは600以下、更に好ましくは550以下である。硬化性化合物(A)の分子量が上記下限以上であると、硬化性化合物(A)の揮発性が低くなり、絶縁材料の取扱い性がより一層高くなる。硬化性化合物(A)の分子量が上記上限以下であると、硬化物の接着性がより一層高くなり、更に絶縁材料が固くかつ脆くなり難い。
なお、本明細書において、硬化性化合物(A)における分子量とは、重合体ではない場合、及び構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味し、重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
絶縁材料及び絶縁シートに含まれている全樹脂成分(以下、全樹脂成分Xと略記することがある)の合計100重量%中、硬化性化合物(A)の含有量は50重量%以上、99重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中の硬化性化合物(A)の含有量は、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは95重量%以下、更に好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以下である。硬化性化合物(A)の含有量が上記下限以上であると、硬化物の放熱性、接着性及び耐熱性がより一層高くなる。硬化性化合物(A)の含有量が上記上限以下であると、絶縁材料の塗工性及び絶縁シートのハンドリング性がより一層高くなる。なお、全樹脂成分Xとは、硬化性化合物(A)、硬化剤(C)及び必要に応じて添加される他の樹脂成分の総和をいう。全樹脂成分Xには、無機フィラー(D)は含まれない。全樹脂成分Xには、ポリマー(B)及びカップリング剤(E)が含まれる。
(ポリマー(B))
本発明に係る絶縁材料は、重量平均分子量が10000以上であるポリマー(B)を含むことが好ましい。但し、上記絶縁材料は、ポリマー(B)を必ずしも含んでいなくてもよい。ポリマー(B)の使用により、ハンドリング性が良好な絶縁シートを得ることができる。ポリマー(B)は、重量平均分子量が10000以上であれば特に限定されない。ポリマー(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る絶縁材料は、重量平均分子量が10000以上であるポリマー(B)を含むことが好ましい。但し、上記絶縁材料は、ポリマー(B)を必ずしも含んでいなくてもよい。ポリマー(B)の使用により、ハンドリング性が良好な絶縁シートを得ることができる。ポリマー(B)は、重量平均分子量が10000以上であれば特に限定されない。ポリマー(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、ポリマー(B)は、芳香族骨格を有することが好ましい。ポリマー(B)が芳香族骨格を有する場合には、ポリマー(B)は、芳香族骨格をポリマー全体のいずれかの部分に有していればよく、主鎖骨格内に有していてもよく、側鎖中に有していてもよい。ポリマー(B)は、芳香族骨格を主鎖骨格内に有することが好ましい。この場合には、絶縁材料の硬化物の耐熱性がさらに一層高くなる。
上記芳香族骨格は特に限定されない。上記芳香族骨格の具体例としては、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びビスフェノールA型骨格等が挙げられる。なかでも、ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。この場合には、絶縁材料の硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
硬化物の反りを抑制し、かつ硬化物の熱伝導率をより一層良好にする観点からは、ポリマー(B)は、エポキシ基及びオキセタニル基の双方を有さないことが好ましい。
絶縁材料を硬化させた硬化物は、ポリマー(B)又は該ポリマー(B)の硬化物を含む分散相と硬化性化合物(A)の硬化物を含む連続相とが相分離した構造を有することが好ましい。この場合には、硬化物の反りがより一層抑えられ、熱伝導率がより一層良好になる。ポリマー(B)が硬化性化合物である場合には、絶縁材料の硬化物における分散相は、ポリマー(B)の硬化物を含むことになる。ポリマー(B)が硬化性化合物ではない場合には、絶縁材料の硬化物における分散相は、ポリマー(B)を含むことになる。上記分散相は、ポリマー(B)又は該ポリマー(B)の硬化物を主成分として含むことが好ましい。上記分散相は、絶縁材料の硬化物に含まれているポリマー(B)100重量%中の80重量%以上のポリマー(B)又は絶縁材料の硬化物に含まれているポリマー(B)の硬化物100重量%中の80重量%以上のポリマー(B)の硬化物を含むことが好ましい。上記連続相は、硬化性化合物(A)の硬化物を主成分として含むことが好ましい。上記連続相は、絶縁材料の硬化物に含まれている硬化性化合物(A)の硬化物100重量%中の80重量%以上の硬化性化合物(A)の硬化物を含むことが好ましい。
ポリマー(B)として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂等を用いることができる。ポリマー(B)は硬化性樹脂であることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、特に限定されない。上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン又はポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、上記熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂として、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、ベンゾオキサジン、及びポリベンゾオキサゾールとベンゾオキサジンとの反応物などのスーパーエンプラと呼ばれている耐熱性樹脂群等を使用できる。上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の内のいずれか一方が用いられてもよく、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが併用されてもよい。
ポリマー(B)は、エポキシ樹脂、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体又はフェノキシ樹脂であることが好ましく、エポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂であることがより好ましく、フェノキシ樹脂であることが更に好ましい。この好ましいポリマーの使用により、硬化物が酸化劣化し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。特に、エポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性がより一層高くなり、フェノキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性が更に一層高くなる。
上記スチレン系重合体として、具体的には、スチレン系モノマーの単独重合体、又はスチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体等を用いることができる。中でも、スチレン−メタクリル酸グリシジルの構造を有するスチレン系重合体が好ましい。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及び3,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。
硬化物の反りをより一層抑え、かつ硬化物の放熱性をより一層高くする観点からは、ポリマー(B)は、スチレン骨格を有することが好ましく、スチレンを用いた重合体であることが好ましく、ポリスチレンであることが特に好ましい。ポリマー(B)がポリスチレンであると、硬化物の反りがかなり抑えられ、かつ硬化物の放熱性がかなり高くなる。上記ポリスチレンは、重合成分としてスチレン系モノマーを50重量%以上用いたスチレンの重合体である。該重合成分は、スチレン系モノマーを好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上含む。
上記アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル及びメタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂は、具体的には、例えばエピハロヒドリンと2価フェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有することが好ましい。中でも、上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格及びビフェニル骨格からなる群から選択された少なくとも1種の骨格を有することがより好ましく、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の内の少なくとも1種の骨格を有することが更に好ましい。これらの好ましい骨格を有するフェノキシ樹脂の使用により、絶縁材料の硬化物の耐熱性がさらに一層高くなる。
上記フェノキシ樹脂は、主鎖中に多環式芳香族骨格を有することが好ましい。また、上記フェノキシ樹脂は、下記式(11)〜(16)で表される骨格の内の少なくとも1つの骨格を主鎖中に有することがより好ましい。
上記式(11)中、R1は互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、X1は単結合、炭素数1〜7の2価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO2−、又は−CO−である。
上記式(12)中、R1aは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R2は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R3は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、mは0〜5の整数である。
上記式(13)中、R1bは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R4は互いに同一であっても異なっていてもよく水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、lは0〜4の整数である。
上記式(15)中、R5及びR6は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子であり、X2は−SO2−、−CH2−、−C(CH3)2−、又は−O−であり、kは0又は1である。
ポリマー(B)として、例えば、下記式(17)又は下記式(18)で表されるフェノキシ樹脂が好適に用いられる。
上記式(17)中、A1は上記式(11)〜(13)の内のいずれかで表される構造を有し、かつその構成は上記式(11)で表される構造が0〜60モル%、上記式(12)で表される構造が5〜95モル%、及び上記式(13)で表される構造が5〜95モル%であり、A2は水素原子、又は上記式(14)で表される基であり、n1は平均値で25〜500の数である。上記式(17)中、上記式(11)で表される構造は含まれていなくてもよい。
上記式(18)中、A3は上記式(15)又は上記式(16)で表される構造を有し、n2は少なくとも21以上の値である。
ポリマー(B)のガラス転移温度Tgは、好ましくは60℃以上、より好ましくは90℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。ポリマー(B)のTgが上記下限以上であると、樹脂が熱劣化し難い。ポリマー(B)のTgが上記上限以下であると、ポリマー(B)と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性がより一層良好になり、かつ絶縁材料の硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
ポリマー(B)がフェノキシ樹脂である場合には、フェノキシ樹脂のガラス転移温度Tgは、好ましくは95℃以上、より好ましくは110℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。フェノキシ樹脂のTgが上記下限以上であると、樹脂の熱劣化をより一層抑制できる。フェノキシ樹脂のTgが上記上限以下であると、フェノキシ樹脂と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性、並びに絶縁材料の硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
ポリマー(B)の重量平均分子量は、10000以上である。ポリマー(B)の重量平均分子量は、好ましくは30000以上、より好ましくは40000以上、好ましくは1000000以下、より好ましくは250000以下である。ポリマー(B)の重量平均分子量が上記下限以上であると、絶縁材料が熱劣化し難い。ポリマー(B)の重量平均分子量が上記上限以下であると、ポリマー(B)と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性がより一層良好になり、並びに絶縁材料の硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
ポリマー(B)は、原材料として添加されていてもよく、また本発明の絶縁材料又は絶縁シートの作製時における攪拌、塗工及び乾燥などの各工程中における反応を利用して生成されたポリマーであってもよい。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、ポリマー(B)の含有量は5重量%以上、50重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中のポリマー(B)の含有量は、より好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以下である。ポリマー(B)の含有量が上記下限以上であると、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性がより一層良好になる。ポリマー(B)の含有量が上記上限以下であると、無機フィラー(D)の分散が容易になる。
(硬化剤(C))
本発明に係る絶縁材料に含まれている硬化剤(C)は、ジシアンジアミド及びイミダゾール化合物の内の少なくとも1種である硬化剤である。硬化剤(C)は、ジシアンジアミドであってもよく、イミダゾール化合物であってもよい。ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物の使用により、硬化物の熱線膨張率が低くなる。また、ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物の使用により、ハンドリング性と貯蔵安定性と接着性と耐熱性と耐電圧性と耐湿性とをバランス良く高めることができ、更に接着性をより一層高めることができる。硬化剤(C)は絶縁材料を硬化させる。硬化剤(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る絶縁材料に含まれている硬化剤(C)は、ジシアンジアミド及びイミダゾール化合物の内の少なくとも1種である硬化剤である。硬化剤(C)は、ジシアンジアミドであってもよく、イミダゾール化合物であってもよい。ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物の使用により、硬化物の熱線膨張率が低くなる。また、ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物の使用により、ハンドリング性と貯蔵安定性と接着性と耐熱性と耐電圧性と耐湿性とをバランス良く高めることができ、更に接着性をより一層高めることができる。硬化剤(C)は絶縁材料を硬化させる。硬化剤(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の熱線膨張率をより一層低くする観点からは、硬化剤(C)は、ジシアンジアミドを含むことがより好ましく、ジシアンジアミドとイミダゾール化合物との双方を含むこともより好ましい。ジシアンジアミドの使用により、絶縁シートの硬化物の接着性がより一層高くなる。硬化物の耐熱性をより一層高め、更に硬化時間を短縮する観点からは、硬化剤(C)は、イミダゾール化合物を含むことが好ましい。
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、硬化剤(C)の含有量は0.5重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。全樹脂成分Xの合計100重量%中、硬化剤(C)の含有量は、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは10重量%以下である。硬化剤(C)の含有量が上記下限以上であると、絶縁材料を充分に硬化させることが容易である。硬化剤(C)の含有量が上記上限以下であると、硬化に関与しない余剰な硬化剤(C)が発生し難くなる。このため、硬化物の耐熱性及び接着性がより一層高くなる。
(無機フィラー(D))
本発明に係る絶縁材料に含まれている無機フィラー(D)は特に限定されない。無機フィラー(D)として、従来公知の無機フィラーを用いることができる。無機フィラー(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る絶縁材料に含まれている無機フィラー(D)は特に限定されない。無機フィラー(D)として、従来公知の無機フィラーを用いることができる。無機フィラー(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
無機フィラー(D)の熱伝導率は10W/m・K以上であることが好ましい。この無機フィラーの使用により、硬化物の熱伝導性をより一層高めることができる。この結果、硬化物の放熱性が高くなる。無機フィラー(D)の熱伝導率は、好ましくは15W/m・K以上、より好ましくは20W/m・K以上、特に好ましくは30W/m・K以上である。無機フィラー(D)の熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率300W/m・K程度の無機フィラーは広く知られており、また熱伝導率200W/m・K程度の無機フィラーは容易に入手できる。
無機フィラー(D)は、アルミナ、合成マグネサイト、結晶性シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。無機フィラー(D)は、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種であることがより好ましい。これらの好ましいフィラーの使用により、硬化物の放熱性をより一層高めることができる。
無機フィラー(D)は、球状アルミナ、破砕アルミナ及び球状窒化アルミニウムからなる群から選択された少なくとも1種であることがより好ましく、球状アルミナ又は球状窒化アルミニウムであることがさらに好ましい。これらの好ましいフィラーの使用により、硬化物の放熱性がより一層高くなる。
無機フィラー(D)は球状フィラーであってもよく、破砕されたフィラー(破砕フィラー)であってもよい。無機フィラー(D)は、球状であることが特に好ましい。球状フィラーの場合には、高密度で充填可能であるため、硬化物の放熱性がより一層高くなる。
上記破砕フィラーとしては、破砕アルミナ等が挙げられる。破砕フィラーは、例えば、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー又はボールミル等を用いて、塊状の無機物質を破砕することにより得られる。破砕フィラーの使用により、絶縁材料中のフィラーが、橋掛け又は効率的に近接された構造となりやすい。従って、硬化物の熱伝導率がより一層高くなる。また、破砕フィラーは、一般的に、通常のフィラーに比べて安価である。このため、破砕フィラーの使用により、絶縁材料のコストを低減できる。
上記破砕フィラーの平均粒子径は、12μm以下であることが好ましい。平均粒子径が12μm以下であると、絶縁材料中に、破砕フィラーを高密度に分散させることが容易であり、硬化物の絶縁破壊特性がより一層高くなる。破砕フィラーの平均粒子径は、より好ましくは10μm以下、好ましくは1μm以上である。破砕フィラーの平均粒子径が上記下限以上であると、破砕フィラーを高密度に充填させることが容易である。
上記破砕フィラーのアスペクト比は、特に限定されない。破砕フィラーのアスペクト比は、1.5以上、20以下であることが好ましい。アスペクト比が1.5未満のフィラーは、比較的高価である。従って、絶縁材料のコストが高くなる。上記アスペクト比が20以下であると、破砕フィラーの充填が容易である。
上記破砕フィラーのアスペクト比は、例えば、デジタル画像解析方式粒度分布測定装置(商品名:FPA、日本ルフト社製)を用いて、フィラーの破砕面を測定することにより求めることができる。
無機フィラー(D)が球状フィラーである場合には、球状フィラーの平均粒子径は、0.1μm以上、40μm以下であることが好ましい。平均粒子径が0.1μm以上であると、無機フィラー(D)を高密度で容易に充填できる。平均粒子径が40μm以下であると、硬化物の絶縁破壊特性がより一層高くなる。
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
硬化物の放熱性を高くし、かつ硬化物の熱線膨張率を低くするために、絶縁材料100体積%中及び絶縁シート100体積%中、無機フィラー(D)の含有量は30体積%以上、85体積%以下である。無機フィラー(D)の含有量が30体積%以上、85体積%以下であると、絶縁材料の塗工性も良好になり、かつ絶縁シートのハンドリング性も良好になる。絶縁材料100体積%中及び絶縁シート100体積%中、無機フィラー(D)の含有量はより好ましくは50体積%以上、更に好ましくは60体積%以上である。
(シランカップリング剤(E))
本発明に係る絶縁材料は、シランカップリング剤(E)をさらに含むことが好ましい。但し、上記絶縁材料は、シランカップリング剤(E)を必ずしも含んでいなくてもよい。このシランカップリング剤(E)の使用により、無機フィラー(D)の凝集を抑制でき、かつ硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
本発明に係る絶縁材料は、シランカップリング剤(E)をさらに含むことが好ましい。但し、上記絶縁材料は、シランカップリング剤(E)を必ずしも含んでいなくてもよい。このシランカップリング剤(E)の使用により、無機フィラー(D)の凝集を抑制でき、かつ硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
硬化物の耐水性及び耐湿性をより一層高める観点からは、シランカップリング剤(E)は、炭素数4〜10のアルキル基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。上記炭素数4〜10のアルキル基は、直鎖であってもよく、分岐構造を有していてもよい。該炭素数4〜10のアルキル基としては、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、イソへキシル基及び2−エチルヘキシル基等が挙げられる。シランカップリング剤(E)における上記炭素数4〜10のアルキル基は、アルキル基の直鎖部分の炭素数が4〜10であることが好ましい。例えば、2−エチルヘキシル基の炭素数は8であり、直鎖部分の炭素数は6である。シランカップリング剤(E)は、炭素数4〜10の直鎖アルキル基を有することが好ましい。
硬化物の耐水性及び耐湿性をより一層高める観点からは、シランカップリング剤(E)は、好ましくは炭素数5以上のアルキル基を有し、より好ましくは炭素数6以上のアルキル基を有し、好ましくは炭素数10以下のアルキル基を有し、より好ましくは炭素数8以下のアルキル基を有する。硬化物の耐水性及び耐湿性をより一層高める観点からは、シランカップリング剤(E)は、炭素数6〜10の直鎖アルキル基を有することが好ましい。
シランカップリング剤(E)の具体例としては、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、イソペンチルトリメトキシシラン、ネオペンチルトリメトキシシラン、t−ペンチルトリメトキシシラン、イソへキシルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘプチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、イソペンチルトリエトキシシラン、ネオペンチルトリエトキシシラン、t−ペンチルトリエトキシシラン、イソへキシルトリエトキシシラン及び2−エチルヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。これら以外の炭素数4〜10のアルキル基を有するシランカップリング剤を用いてもよい。シランカップリング剤(E)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、シランカップリング剤(E)の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。シランカップリング剤(E)の含有量が上記下限以上であると、硬化物の絶縁性、熱伝導性及び絶縁破壊特性がより一層高くなる。シランカップリング剤(E)が炭素数4〜10のアルキル基を有する場合に、シランカップリング剤(E)の含有量が上記下限以上であると、耐水性及び耐湿性がより一層高くなる。シランカップリング剤(E)の含有量が上記上限以下であると、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
(他の成分)
本発明に係る絶縁材料は、ゴム粒子を含んでいてもよい。該ゴム粒子の使用により、絶縁材料の応力緩和性及び柔軟性を高めることができる。
本発明に係る絶縁材料は、ゴム粒子を含んでいてもよい。該ゴム粒子の使用により、絶縁材料の応力緩和性及び柔軟性を高めることができる。
本発明に係る絶縁材料は、分散剤を含んでいてもよい。該分散剤の使用により、硬化物の熱伝導率及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
上記分散剤は、水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することが好ましい。上記分散剤が水素結合性を有する水素原子を含む官能基を有することで、硬化物の熱伝導率及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基としては、例えば、カルボキシル基(pKa=4)、リン酸基(pKa=7)、及びフェノール基(pKa=10)等が挙げられる。
上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基のpKaは、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。上記官能基のpKaが上記下限以上であると、上記分散剤の酸性度が高くなりすぎない。従って、絶縁材料の貯蔵安定性がより一層高くなる。上記官能基のpKaが上記上限以下であると、上記分散剤としての機能が充分に果たされ、硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性がより一層高くなる。
上記水素結合性を有する水素原子を含む官能基は、カルボキシル基又はリン酸基であることが好ましい。この場合には、硬化物の熱伝導性及び絶縁破壊特性がさらに一層高くなる。
上記分散剤としては、具体的には、例えば、ポリエステル系カルボン酸、ポリエーテル系カルボン酸、ポリアクリル系カルボン酸、脂肪族系カルボン酸、ポリシロキサン系カルボン酸、ポリエステル系リン酸、ポリエーテル系リン酸、ポリアクリル系リン酸、脂肪族系リン酸、ポリシロキサン系リン酸、ポリエステル系フェノール、ポリエーテル系フェノール、ポリアクリル系フェノール、脂肪族系フェノール、及びポリシロキサン系フェノール等が挙げられる。上記分散剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記全樹脂成分Xの合計100重量%中、上記分散剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。上記分散剤の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、無機フィラー(D)の凝集を抑制でき、かつ硬化物の放熱性及び絶縁破壊特性をより一層高めることができる。上記分散剤は、上記全樹脂成分Xに含まれる。
ハンドリング性をより一層高めるために、上記絶縁シートは、ガラスクロス、ガラス不織布、アラミド不織布等の基材物質を含んでいてもよい。ただし、上記基材物質を含まなくても、上記組成を有するシート状の絶縁材料(絶縁シート)は室温(23℃)において自立性を有し、かつ優れたハンドリング性を有する。よって、絶縁シートは基材物質を含まないことが好ましく、特にガラスクロスを含まないことが好ましい。絶縁シートが上記基材物質を含まない場合には、絶縁シートの厚みを薄くすることができ、かつ硬化物の熱伝導性をより一層高めることができる。さらに、絶縁シートが上記基材物質を含まない場合には、必要に応じて絶縁シートにレーザー加工又はドリル穴開け加工等の各種加工を容易に行うこともできる。なお、自立性とは、PETフィルム又は銅箔といった支持体が存在しなくても、シートの形状を保持し、シートとして取り扱うことができることをいう。
本発明に係る絶縁材料は、必要に応じて、粘着性付与剤、可塑剤、チキソ性付与剤、難燃剤、光増感剤及び着色剤などを含んでいてもよい。
(絶縁材料)
本発明に係る絶縁材料は、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着するために用いられる絶縁材料である。上記熱膨張率の測定温度領域は、−40〜130℃であることが好ましい。本発明に係る絶縁材料の熱線膨張率は低いので、熱線膨張率が30ppm/℃以下である接着対象部材を接着するために好適に用いられる。また、本発明に係る絶縁材料は、熱線膨張率が20ppm/℃以下である第1の接着対象部材と、該第1の接着対象部材よりも熱線膨張率が5ppm/℃以上高い第2の接着対象部材とを接着するための絶縁材料であることがより好ましい。本発明に係る絶縁材料は、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられる絶縁材料であることが好ましい。
本発明に係る絶縁材料は、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着するために用いられる絶縁材料である。上記熱膨張率の測定温度領域は、−40〜130℃であることが好ましい。本発明に係る絶縁材料の熱線膨張率は低いので、熱線膨張率が30ppm/℃以下である接着対象部材を接着するために好適に用いられる。また、本発明に係る絶縁材料は、熱線膨張率が20ppm/℃以下である第1の接着対象部材と、該第1の接着対象部材よりも熱線膨張率が5ppm/℃以上高い第2の接着対象部材とを接着するための絶縁材料であることがより好ましい。本発明に係る絶縁材料は、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を導電層に接着するために用いられる絶縁材料であることが好ましい。
上記絶縁シートの製造方法は特に限定されない。絶縁シートは、例えば、上述した材料を混合した混合物を溶剤キャスト法又は押し出し成膜法等の方法でシート状に成形することにより得ることができる。シート状に成形する際に、脱泡することが好ましい。
絶縁シートの厚みは特に限定されない。絶縁シートの厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは70μm以上、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは120μm以下である。厚みが上記下限以上であると、絶縁シートの硬化物の絶縁性が高くなる。厚みが上記上限以下であると、金属体を導電層に接着したときに放熱性が高くなる。
未硬化状態での絶縁材料のガラス転移温度Tgは、25℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が25℃以下であると、絶縁材料が室温において固く、かつ脆くなり難い。このため、未硬化状態での絶縁シートのハンドリング性が高くなる。
絶縁材料の硬化物の熱伝導率は、好ましくは2W/m・K以上、より好ましくは3W/m・K以上、更に好ましくは5W/m・K以上である。熱伝導率が高いほど、絶縁材料の硬化物の放熱性が十分に高くなる。
絶縁材料の硬化物の絶縁破壊電圧は、好ましくは40kV/mm以上、より好ましくは60kV/mm以上、更に好ましくは80kV/mm以上、特に好ましくは100kV/mm以上である。絶縁破壊電圧が高いほど、絶縁材料が例えば電力素子用のような大電流用途に用いられた場合に、絶縁性を十分に確保できる。
絶縁材料の硬化物の−40〜130℃での熱線膨張率は、好ましくは30ppm/℃以下、より好ましくは20ppm/℃以下である。熱線膨張率が上記上限以下であると、耐冷熱サイクル特性がより一層良好になり、硬化物から被着体が剥離し難くなる。積層構造体において、第1,第2の接着対象部材の−40〜130℃での熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる場合に、絶縁材料の硬化物の上記熱線膨張率が上記上限以下であれば、絶縁層から第1,第2の接着対象部材の双方がより一層剥離し難くなる。
(積層構造体)
本発明に係る絶縁材料は、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材が、絶縁層を介して積層されている積層構造体の絶縁層を構成するために好適に用いられる。
本発明に係る絶縁材料は、熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材が、絶縁層を介して積層されている積層構造体の絶縁層を構成するために好適に用いられる。
図1に、本発明の一実施形態に係る絶縁材料を用いた積層構造体の一例を示す。
図1に示す積層構造体1は、第1の接着対象部材2と、第1の接着対象部材2の第1の表面2aに積層された絶縁層3と、絶縁層3の第1の接着対象部材2が積層された表面とは反対側の表面に積層された第2の接着対象部材4とを備える。第1の接着対象部材2の第1の表面2aとは反対の第2の表面2bには、絶縁層及び第2の接着対象部材は積層されていない。絶縁層3は、本発明に係る絶縁材料を硬化させることにより形成されている。
積層構造体1では、第1,第2の接着対象部材2,4の熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる。第1,第2の接着対象部材2,4はそれぞれ、金属又はセラミックであることが好ましい。第1の接着対象部材2の熱線膨張率は20ppm/℃以下であり、第1の接着対象部材2よりも第2の接着対象部材4の熱線膨張率は5ppm/℃以上高いことが好ましい。
第1の接着対象部材の少なくとも一方の面に、絶縁層と第2の接着対象部材とがこの順に積層されていればよく、第1の接着対象部材の他方の面にも、絶縁層と第2の接着対象部材とがこの順に積層されていてもよい。
積層構造体1では、絶縁層3が高い熱伝導率を有するので、第1の接着対象部材2又は第2の接着対象部材4側からの熱が絶縁層3を介して第2の接着対象部材4又は第1の接着対象部材2に伝わりやすい。積層構造体1では、熱を効率的に放散させることができる。
例えば、両面に銅回路が設けられた積層板又は多層配線板、銅箔、銅板、半導体素子又は半導体パッケージ等の各導電層に、絶縁材料を介して金属体を接着した後、絶縁材料を硬化させることにより、積層構造体1を得ることができる。
上記第1の接着対象部材及び上記第2の接着対象部材の内の一方は、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体であることが好ましく、他方は、導電層であることが好ましい。
上記熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体は特に限定されない。上記熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体としては、例えば、アルミニウム、銅、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及びグラファイトシート等が挙げられる。中でも、上記熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体は、銅又はアルミニウムであることが好ましい。銅又はアルミニウムは、放熱性に優れている。
本発明に係る絶縁材料は、基板上に半導体素子が実装されている半導体装置の導電層に、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を接着するために好適に用いられる。
本発明に係る絶縁材料は、半導体素子以外の電子部品素子が基板上に搭載されている電子部品装置の導電層に、熱伝導率が10W/m・K以上である熱伝導体を接着するためにも好適に用いられる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の材料を用意した。
[硬化性化合物(A)]
(1)ビフェニル骨格含有エポキシ樹脂1(三菱化学製、商品名:エピコートYX4000、Mw=368、全骨格100重量%中のビフェニル骨格の占める割合:41重量%)
(2)ビフェニル骨格含有エポキシ樹脂2(三菱化学製、商品名:エピコートYX4000H、Mw=386、全骨格100重量%中のビフェニル骨格の占める割合:39重量%)
(1)ビフェニル骨格含有エポキシ樹脂1(三菱化学製、商品名:エピコートYX4000、Mw=368、全骨格100重量%中のビフェニル骨格の占める割合:41重量%)
(2)ビフェニル骨格含有エポキシ樹脂2(三菱化学製、商品名:エピコートYX4000H、Mw=386、全骨格100重量%中のビフェニル骨格の占める割合:39重量%)
[硬化性化合物(A)以外の他の硬化性化合物]
(1)ビフェニル骨格含有ノボラックエポキシ樹脂(Mw=478、全骨格100重量%中のビフェニル骨格の占める割合:32重量%)
(2)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名:エピコート828US、Mw=370)
(3)ビスフェノールA型固体状エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名:1003、Mw=1300)
(1)ビフェニル骨格含有ノボラックエポキシ樹脂(Mw=478、全骨格100重量%中のビフェニル骨格の占める割合:32重量%)
(2)ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名:エピコート828US、Mw=370)
(3)ビスフェノールA型固体状エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名:1003、Mw=1300)
[ポリマー(B)]
(1)ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(三菱化学社製、商品名:E1256、Mw=51000、Tg=98℃)
(2)高耐熱フェノキシ樹脂(東都化成社製、商品名:FX−293、Mw=43700、Tg=163℃)
(3)エポキシ基含有スチレン樹脂(日油社製、商品名:マープルーフG−1010S、Mw=100000、Tg=93℃)
(4)ポリスチレン(東洋スチレン製、商品名:HRM26、Mw=30万)
(1)ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(三菱化学社製、商品名:E1256、Mw=51000、Tg=98℃)
(2)高耐熱フェノキシ樹脂(東都化成社製、商品名:FX−293、Mw=43700、Tg=163℃)
(3)エポキシ基含有スチレン樹脂(日油社製、商品名:マープルーフG−1010S、Mw=100000、Tg=93℃)
(4)ポリスチレン(東洋スチレン製、商品名:HRM26、Mw=30万)
[ポリマー(B)以外の他のポリマー]
(1)エポキシ基含有アクリル樹脂(日油社製、商品名:マープルーフG−0130S、Mw=9000、Tg=69℃)
(1)エポキシ基含有アクリル樹脂(日油社製、商品名:マープルーフG−0130S、Mw=9000、Tg=69℃)
[硬化剤(C)]
(1)ジシアンジアミド
(2)イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール(イミダゾール系硬化促進剤、四国化成社製、商品名:2MZA−PW)
(1)ジシアンジアミド
(2)イソシアヌル変性固体分散型イミダゾール(イミダゾール系硬化促進剤、四国化成社製、商品名:2MZA−PW)
[硬化剤(C)以外の他の硬化剤]
(1)脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:MH−700)
(2)芳香族骨格酸無水物(サートマー・ジャパン社製、商品名:SMAレジンEF60)
(3)多脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:HNA−100)
(4)テルペン系骨格酸無水物(三菱化学社製、商品名:エピキュアYH−306)
(5)ビフェニル骨格フェノール樹脂(明和化成社製、商品名:MEH−7851−S)
(6)アリル基含有骨格フェノール樹脂(三菱化学社製、商品名:YLH−903)
(7)トリアジン骨格系フェノール樹脂(DIC社製、商品名:フェノライトKA−7052−L2)
(8)メラミン骨格系フェノール樹脂(群栄化学工業社製、商品名:PS−6492)
(1)脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:MH−700)
(2)芳香族骨格酸無水物(サートマー・ジャパン社製、商品名:SMAレジンEF60)
(3)多脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製、商品名:HNA−100)
(4)テルペン系骨格酸無水物(三菱化学社製、商品名:エピキュアYH−306)
(5)ビフェニル骨格フェノール樹脂(明和化成社製、商品名:MEH−7851−S)
(6)アリル基含有骨格フェノール樹脂(三菱化学社製、商品名:YLH−903)
(7)トリアジン骨格系フェノール樹脂(DIC社製、商品名:フェノライトKA−7052−L2)
(8)メラミン骨格系フェノール樹脂(群栄化学工業社製、商品名:PS−6492)
[無機フィラー(D)]
(1)5μm破砕アルミナ(破砕フィラー、日本軽金属社製、商品名:LT300C、平均粒子径5μm、最大粒子径15μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12)
(2)2μm破砕アルミナ(破砕フィラー、日本軽金属社製、商品名:LS−242C、平均粒子径2μm、最大粒子径20μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12)
(3)球状アルミナ(デンカ社製、商品名:DAM−10、平均粒子径10μm、最大粒子径30μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12)
(4)窒化アルミニウム(東洋アルミ社製、商品名:TOYALNITE―FLX、平均粒子径14μm、最大粒子径30μm、熱伝導率200W/m・K、新モース硬度11)
(5)結晶性シリカ(龍森社製、商品名:クリスタライトCMC−12、平均粒子径5μm、最大粒子径20μm、熱伝導率10W/m・K、新モース硬度9)
(6)炭化ケイ素(信濃電気製錬社製、商品名:シナノランダムGP#700、平均粒子径17μm、最大粒子径70μm、熱伝導率125W/m・K、新モース硬度13)
(1)5μm破砕アルミナ(破砕フィラー、日本軽金属社製、商品名:LT300C、平均粒子径5μm、最大粒子径15μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12)
(2)2μm破砕アルミナ(破砕フィラー、日本軽金属社製、商品名:LS−242C、平均粒子径2μm、最大粒子径20μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12)
(3)球状アルミナ(デンカ社製、商品名:DAM−10、平均粒子径10μm、最大粒子径30μm、熱伝導率36W/m・K、新モース硬度12)
(4)窒化アルミニウム(東洋アルミ社製、商品名:TOYALNITE―FLX、平均粒子径14μm、最大粒子径30μm、熱伝導率200W/m・K、新モース硬度11)
(5)結晶性シリカ(龍森社製、商品名:クリスタライトCMC−12、平均粒子径5μm、最大粒子径20μm、熱伝導率10W/m・K、新モース硬度9)
(6)炭化ケイ素(信濃電気製錬社製、商品名:シナノランダムGP#700、平均粒子径17μm、最大粒子径70μm、熱伝導率125W/m・K、新モース硬度13)
[シランカップリング剤(E)]
(1)ヘキシルシランカップリング剤(炭素数6のn−ヘキシル基を有する、東京化成工業社製、商品名:ヘキシルトリメトキシシラン)
(2)エポキシシランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:KBE403)
(1)ヘキシルシランカップリング剤(炭素数6のn−ヘキシル基を有する、東京化成工業社製、商品名:ヘキシルトリメトキシシラン)
(2)エポキシシランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:KBE403)
[溶剤]
(1)メチルエチルケトン
(1)メチルエチルケトン
(実施例1〜24及び比較例1〜7)
ホモディスパー型撹拌機を用いて、下記の表1〜2に示す割合(配合単位は重量部)で各原料を配合し、混練し、絶縁材料を調製した。
ホモディスパー型撹拌機を用いて、下記の表1〜2に示す割合(配合単位は重量部)で各原料を配合し、混練し、絶縁材料を調製した。
厚み50μmの離型PETシートに、上記絶縁材料を100μmの厚みになるように塗工し、90℃のオーブン内で30分乾燥して、PETシート上に絶縁シートを作製した。
(評価)
(1)ハンドリング性
PETシートと、該PETシート上に形成された絶縁シートとを有する積層シートを460mm×610mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを用いて、室温(23℃)でPETシートから熱硬化前の絶縁シートを剥離したときのハンドリング性を下記の基準で評価した。
(1)ハンドリング性
PETシートと、該PETシート上に形成された絶縁シートとを有する積層シートを460mm×610mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを用いて、室温(23℃)でPETシートから熱硬化前の絶縁シートを剥離したときのハンドリング性を下記の基準で評価した。
[ハンドリング性の判定基準]
〇:絶縁シートの変形がなく、容易に剥離可能
△:絶縁シートを剥離できるものの、シート伸び又は破断が発生する
×:絶縁シートを剥離できない
〇:絶縁シートの変形がなく、容易に剥離可能
△:絶縁シートを剥離できるものの、シート伸び又は破断が発生する
×:絶縁シートを剥離できない
(2)ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置「DSC220C」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、3℃/分の昇温速度で、未硬化状態での絶縁シートのガラス転移温度を測定した。
示差走査熱量測定装置「DSC220C」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、3℃/分の昇温速度で、未硬化状態での絶縁シートのガラス転移温度を測定した。
(3)熱伝導率
京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて、絶縁シートの熱伝導率を測定した。
京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて、絶縁シートの熱伝導率を測定した。
(4)相分離構造の有無
得られた絶縁シートを120℃で1時間、更に200℃で1時間硬化させ、硬化物を得た。得られた硬化物において、上記ポリマー(B)又は該ポリマー(B)の硬化物を含む分散相と硬化性化合物(A)の硬化物を含む連続相とが相分離した構造を有するか否かを、超薄切片を透過型電子顕微鏡で観察し、以下の基準で判定した。
得られた絶縁シートを120℃で1時間、更に200℃で1時間硬化させ、硬化物を得た。得られた硬化物において、上記ポリマー(B)又は該ポリマー(B)の硬化物を含む分散相と硬化性化合物(A)の硬化物を含む連続相とが相分離した構造を有するか否かを、超薄切片を透過型電子顕微鏡で観察し、以下の基準で判定した。
[相分離構造の有無の判定基準]
○:硬化物が上記分散相と上記連続相とが相分離した構造を有する
×:硬化物が上記分散相と上記連続相とが相分離した構造を有さない
○:硬化物が上記分散相と上記連続相とが相分離した構造を有する
×:硬化物が上記分散相と上記連続相とが相分離した構造を有さない
(5)反り性
500mm角の厚み0.7mmのアルミニウム板と厚み35μmの電解銅箔との間に絶縁シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間、絶縁シートをプレス硬化し、銅張り積層板を形成した。得られた銅張り積板を水平な台上に静置して、積層板の下面と台の上面との最大の隙間距離を測定した。反り性を下記の基準で判定した。
500mm角の厚み0.7mmのアルミニウム板と厚み35μmの電解銅箔との間に絶縁シートを挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間、絶縁シートをプレス硬化し、銅張り積層板を形成した。得られた銅張り積板を水平な台上に静置して、積層板の下面と台の上面との最大の隙間距離を測定した。反り性を下記の基準で判定した。
[反り性の判定基準]
○:積層板の下面と台の上面との最大の隙間距離が5mm未満
△:積層板の下面と台の上面との最大の隙間距離が5mm以上、10mm未満
×:積層板の下面と台の上面との最大の隙間距離が10mm以上
○:積層板の下面と台の上面との最大の隙間距離が5mm未満
△:積層板の下面と台の上面との最大の隙間距離が5mm以上、10mm未満
×:積層板の下面と台の上面との最大の隙間距離が10mm以上
(6)半田耐熱試験(耐熱性)
上記(5)反り性の評価で得られた銅張り積層板を用意した。この銅張り積層板を50mm×60mmの大きさに切り出し、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを288℃の半田浴に銅箔側を下に向けて浮かべ、銅箔の膨れ又は剥がれが発生するまでの時間を測定し、以下の基準で判定した。
上記(5)反り性の評価で得られた銅張り積層板を用意した。この銅張り積層板を50mm×60mmの大きさに切り出し、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを288℃の半田浴に銅箔側を下に向けて浮かべ、銅箔の膨れ又は剥がれが発生するまでの時間を測定し、以下の基準で判定した。
[半田耐熱試験の判定基準]
〇:3分経過しても膨れ及び剥離の発生無し
△:1分経過後、かつ3分経過する前に膨れ又は剥離が発生
×:1分経過する前に膨れ又は剥離が発生
〇:3分経過しても膨れ及び剥離の発生無し
△:1分経過後、かつ3分経過する前に膨れ又は剥離が発生
×:1分経過する前に膨れ又は剥離が発生
(7)絶縁破壊電圧(耐電圧性)
絶縁シートを100mm×100mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを120℃のオーブン内で1時間、更に200℃のオーブン内で1時間硬化させ、絶縁シートの硬化物を得た。耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、絶縁シートの硬化物間に1kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。絶縁シートの硬化物が破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とした。
絶縁シートを100mm×100mmの大きさに切り出して、テストサンプルを得た。得られたテストサンプルを120℃のオーブン内で1時間、更に200℃のオーブン内で1時間硬化させ、絶縁シートの硬化物を得た。耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、絶縁シートの硬化物間に1kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。絶縁シートの硬化物が破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とした。
(8)熱線膨張率
絶縁シートを3mm×25mmの大きさに切り出し、200℃のオーブン内で1時間硬化させ、テストサンプルを作製した。これをTMA装置(TMA/SS6000、セイコーインストロメント社製)にて10℃/分の昇温速度で320℃まで1回昇温したのち、−45℃から130℃まで10℃毎分で昇温した時の温度−TMA直線の傾きを測定し、その逆数を−45〜130℃での熱線膨張率として算出した。
絶縁シートを3mm×25mmの大きさに切り出し、200℃のオーブン内で1時間硬化させ、テストサンプルを作製した。これをTMA装置(TMA/SS6000、セイコーインストロメント社製)にて10℃/分の昇温速度で320℃まで1回昇温したのち、−45℃から130℃まで10℃毎分で昇温した時の温度−TMA直線の傾きを測定し、その逆数を−45〜130℃での熱線膨張率として算出した。
結果を下記の表1〜2に示す。下記の表1〜2において、*1は全樹脂成分X100重量%中の含有量(重量%)を示す。*2は、絶縁シート100体積%中の含有量(体積%)を示す。
1…積層構造体
2…第1の接着対象部材
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…絶縁層
4…第2の接着対象部材
2…第1の接着対象部材
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…絶縁層
4…第2の接着対象部材
Claims (11)
- 熱線膨張率が5ppm/℃以上異なる2つの接着対象部材を接着するために用いられる絶縁材料であって、
分子量が1000以下であり、かつビフェニル骨格とエポキシ基とを有する硬化性化合物と、ジシアンジアミド及びイミダゾール化合物の内の少なくとも1種である硬化剤と、
無機フィラーとを含み、
前記硬化性化合物の全骨格100重量%中、前記ビフェニル骨格の占める割合が35重量%以上であり、
絶縁材料100体積%中、前記無機フィラーの含有量が30体積%以上、85体積%以下である、絶縁材料。 - 重量平均分子量が1万以上であるポリマーをさらに含む、請求項1に記載の絶縁材料。
- 前記ポリマーが、エポキシ基及びオキセタニル基の双方を有さない、請求項2に記載の絶縁材料。
- 前記ポリマーが芳香族骨格を有する、請求項2又は3に記載の絶縁材料。
- 前記ポリマーがポリスチレンである、請求項2〜4のいずれか1項に記載の絶縁材料。
- 絶縁材料を硬化させた硬化物は、前記ポリマー又は該ポリマーの硬化物を含む分散相と前記硬化性化合物の硬化物を含む連続相とが相分離した構造を有する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の絶縁材料。
- シランカップリング剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の絶縁材料。
- 前記シランカップリング剤が、炭素数4〜10のアルキル基を有する、請求項7に記載の絶縁材料。
- シート状の絶縁シートであり、
前記絶縁シート100体積%中、前記無機フィラーの含有量が30体積%以上、85体積%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁材料。 - 第1の接着対象部材と、
前記第1の接着対象部材の少なくとも一方の表面に積層された絶縁層と、
前記絶縁層の前記第1の接着対象部材が積層された表面とは反対側の表面に積層された第2の接着対象部材とを備え、
前記第1の接着対象部材の熱線膨張率と前記第2の接着対象部材の熱線膨張率とが5ppm/℃以上異なり、
前記絶縁層が、請求項1〜9のいずれか1項に記載の絶縁材料を硬化させることにより形成されている、積層構造体。 - 前記第1,第2の接着対象部材がそれぞれ金属又はセラミックである、請求項10に記載の積層構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011055719A JP2012188632A (ja) | 2011-03-14 | 2011-03-14 | 絶縁材料及び積層構造体 |
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Publications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2012188632A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2013047726A1 (ja) * | 2011-09-30 | 2015-03-26 | 日本ゼオン株式会社 | 絶縁性接着フィルム、プリプレグ、積層体、硬化物、及び複合体 |
JP2016113556A (ja) * | 2014-12-16 | 2016-06-23 | リンテック株式会社 | ダイ接着用接着剤 |
WO2019078044A1 (ja) * | 2017-10-18 | 2019-04-25 | 株式会社スリーボンド | 熱伝導性樹脂組成物、硬化物および放熱方法 |
-
2011
- 2011-03-14 JP JP2011055719A patent/JP2012188632A/ja not_active Withdrawn
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WO2019078044A1 (ja) * | 2017-10-18 | 2019-04-25 | 株式会社スリーボンド | 熱伝導性樹脂組成物、硬化物および放熱方法 |
JPWO2019078044A1 (ja) * | 2017-10-18 | 2020-11-05 | 株式会社スリーボンド | 熱伝導性樹脂組成物、硬化物および放熱方法 |
JP7530016B2 (ja) | 2017-10-18 | 2024-08-07 | 株式会社スリーボンド | 熱伝導性樹脂組成物、硬化物および放熱方法 |
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