JP2016074546A - 造粒粉、放熱用樹脂組成物、放熱シート、半導体装置、および放熱部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】造粒粉10は、二次凝集粒子30を含む。二次凝集粒子30は一次粒子20を凝集させることにより形成されている。一次粒子20は鱗片状の窒化ホウ素である。それぞれの二次凝集粒子30は、複数の一次粒子20が積層配向した、少なくともひとつのドメインを有する。二次凝集粒子30は球状である。
【選択図】図1
Description
放熱シートの特性を向上させるためには、特許文献1や特許文献2のように六方晶窒化ホウ素を用いる技術がある。
一次粒子を凝集させることにより形成された二次凝集粒子を含み、
前記一次粒子は鱗片状の窒化ホウ素であり、
それぞれの前記二次凝集粒子は、複数の前記一次粒子が積層配向した、少なくともひとつのドメインを有し、
前記二次凝集粒子は、球状である造粒粉
が提供される。
上記造粒粉と、
熱硬化性樹脂とを含む放熱用樹脂組成物が提供される。
上記放熱用樹脂組成物からなる放熱シート
が提供される。
上記放熱用樹脂組成物の硬化体を含む半導体装置
が提供される。
上記放熱用樹脂組成物の硬化体を含む放熱部材
が提供される。
上記放熱部材を含む半導体装置
が提供される。
本実施形態に係る造粒粉10は、二次凝集粒子30を含む。二次凝集粒子30は一次粒子20を凝集させることにより形成されている。一次粒子20は鱗片状の窒化ホウ素である。それぞれの二次凝集粒子30は、複数の一次粒子20が積層配向した、少なくともひとつのドメインを有する。二次凝集粒子30は球状である。以下に詳しく説明する。
本図の二次凝集粒子30は一次粒子20が積層配向した複数のドメインを含んでいる。造粒粉10の主面に垂直な方向は、各ドメイン内で揃っており、隣り合うドメイン間で異なっている。
また、造粒粉10は、一次粒子20が積層配向したドメインを有さずに凝集した凝集粒子をさらに含んでも良い。
なお、この平均長径は走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いた観察により測定することができる。たとえば、以下の手順で測定する。まず、二次凝集粒子30または二次凝集粒子30を含む放熱シートをミクロトームなどで切断し、断面を作製する。次いで、走査型電子顕微鏡により、数千倍に拡大した断面像を数枚撮影する。次いで、任意の二次凝集粒子30を選択し、写真から確認できる各一次粒子20の最長の断面長さを長径として測定する。このとき、100個以上の一次粒子20について長径を測定し、それらの平均値を平均長径とする。
これらの中でもバインダーとしてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。このようなバインダーを含むことで、効率良く二次凝集粒子が形成できる。
物体内部で物体の一部が物体の他部に対して、滑り面を境に移動する際、物体の一部と他部の間には、滑り面で摩擦が発生する。この際の摩擦抵抗を、垂直抵抗力(横軸)とせん断抵抗力(縦軸)の関係で表現した時、描かれる直線と横軸との角度のことを、摩擦角と呼ぶ。つまり、摩擦角は、一つの物質(上述の「物体の一部」)と、もう一つの物質(上述の「物体の他部」)との間の、摩擦力の大きさを表す一つの指標である。ここで、摩擦角が大きいと、物質間の摩擦力が大きいため、造粒粉を樹脂組成物に多量に添加した場合に樹脂組成物の粘度が高くなり、成形性が損なわれる。二次凝集粒子30の摩擦角は、たとえば粉体層せん断力測定想定(株式会社ナノシーズ製、NS−S500)を用いて測定できる。
本実施形態に係る放熱用樹脂組成物は、上記の造粒粉10と、熱硬化性樹脂(A)とを含む。放熱シート140は当該放熱用樹脂組成物からなり、たとえば図3のように一次粒子20、および熱硬化性樹脂410を含む。放熱シート140における熱硬化性樹脂410はたとえば熱硬化性樹脂(A)をBステージ化したものである。また、本実施形態に係る放熱部材は当該放熱用樹脂組成物の硬化体を含む。以下で詳細に説明する。
熱硬化性樹脂(A)としては、たとえば、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂(A)として、これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂(A)としては、エポキシ樹脂(A1)が好ましい。エポキシ樹脂(A1)を使用することで、ガラス転移温度を高くするとともに、放熱用樹脂組成物、放熱シート140、および放熱部材の熱伝導性を向上させることができる。
本実施形態に係る放熱用樹脂組成物は、充填剤(B)を含む。充填剤(B)は、上述した造粒粉10を含み、造粒粉10は、二次凝集粒子30を含む。
放熱用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A1)を用いる場合、さらに硬化剤(C)を含むことが好ましい。
硬化剤(C)としては、硬化触媒(C−1)およびフェノール系硬化剤(C−2)から選択される1種以上を用いることができる。
硬化触媒(C−1)としては、たとえばナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類;2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジエチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、1,2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン等の有機リン化合物;フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物;酢酸、安息香酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸;等、またはこの混合物が挙げられる。硬化触媒(C−1)として、これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用したりすることもできる。
放熱用樹脂組成物中に含まれる硬化触媒(C−1)の含有量は、特に限定されないが、放熱用樹脂組成物を100質量%として、0.001質量%以上1質量%以下が好ましい。
これらの中でも、ガラス転移温度の向上及び線膨張係数の低減の観点から、フェノール系硬化剤(C−2)がノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂が好ましい。
フェノール系硬化剤の含有量は、特に限定されないが、放熱用樹脂組成物を100質量%として、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、当該含有量は、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、8.5質量%以下がさらに好ましい。
さらに、放熱用樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤(D)は、熱硬化性樹脂(A)と充填剤(B)との界面の濡れ性を向上させることができる。
カップリング剤(D)の添加量は特に限定されないが、充填剤(B)を100質量%として0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。一方、当該添加量は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
また、フェノキシ樹脂(E)を含むことにより、放熱シート140および放熱部材の弾性率を低下させることが可能となり、放熱シート140および放熱部材の応力緩和力を向上させることができる。
また、フェノキシ樹脂(E)を含むと、粘度上昇により、流動性が低減し、ボイド等が発生することを抑制できる。また、放熱シート140を金属部材と密着させて用いる場合や、放熱部材に金属部材を含む場合などに、金属と放熱性樹脂組成物の硬化体との密着性を向上できる。これらの相乗効果により、半導体装置の絶縁信頼性をより一層高めることができる。
放熱用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ほかに酸化防止剤、レベリング剤等を含むことができる。
まず、上述の各成分を溶媒へ添加して、ワニス状の放熱用樹脂組成物を得る。本実施形態においては、たとえば溶媒中に熱硬化性樹脂(A)等を添加して樹脂ワニスを作製したのち、当該樹脂ワニスへ充填剤(B)を入れて三本ロール等を用いて混練することにより放熱用樹脂組成物を得ることができる。これにより、充填剤(B)をより均一に、熱硬化性樹脂(A)中へ分散させることができる。
上記溶媒としては特に限定されないが、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン等が挙げられる。
半導体装置100は、上記の放熱用樹脂組成物の硬化体144を含む。図4は、半導体装置100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
次に、各リード160をリードフレームの枠体(図示略)から切断する。こうして、図3に示すような構造の半導体装置100が得られる。
本実施形態によれば、二次凝集粒子30を含む造粒粉10を用いて、耐湿性に優れる放熱シートおよび放熱部材を得ることができる。また、耐久性に優れる半導体装置を得ることができる。
<二次凝集粒子の形成>
以下のように二次凝集粒子を含む造粒粉を作製した。
まず、一次粒子として六方晶窒化ホウ素1(電気化学工業株式会社製、SGP)90.9質量%と、バインダーとしてレゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、PR−940C)9.1質量%とを、ミキサーを用いて5分間混合した。そうして得られた混合物A1を、機械的粒子複合化装置(ホソカワミクロン株式会社製、ノビルタ)のケーシング(処理容器)にセットした。なお、上記機械的粒子複合化装置(粉体処理装置)は、被処理粉体を受け入れるケーシングと、ケーシングに対して相対回転され、その外周にケーシングの内面との間で被処理粉体に圧縮剪断力を加える羽根部を設けた回転翼とを備えるものである。機械的粒子複合化装置のジャケットをチラー水にて15℃に保ちながら、攪拌翼を回転数1000rpmで10分間、駆動させた。そうして、ケーシングに、混合物A1の凝集物を得た。
得られた造粒粉を用いて放熱シートを作製した。まず、予め熱硬化性樹脂(A)と硬化触媒(C−1)とフェノール系硬化剤(C−2)と希釈溶剤とを混合した溶液に造粒粉1を含む充填剤(B)を加え、ディスパーザーを用いて10分間混合し、混合物B1を得た。
熱硬化性樹脂(A):ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、YX4000K) 15.2質量%
充填剤(B):造粒粉1 47.2質量%、および六方晶窒化ホウ素1(電気化学工業株式会社製、SGP) 29.6質量%
硬化触媒(C−1):2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、2PHZ−PW) 0.1質量%
フェノール系硬化剤(C−2):トリスフェノールメタン型ノボラック樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7500) 7.9質量%
得られた二次凝集粒子1および造粒粉1について、以下の各評価を行った。
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−7401F)を用いて、二次凝集粒子1の形状を観察した。二次凝集粒子1は球状であり、一次粒子が積層して凝集するドメインを有していた。中には、1つのドメインのみから成る二次凝集粒子や、2つ以上のドメインにより構成された二次凝集粒子も含まれていた。
二次凝集粒子1の球形度を粒子画像分析装置(マルバーン社製、モフォロギ G3)を用いて測定した。なお、電子顕微鏡による観察では、造粒粉1中には未凝集の一次粒子等は見られず、積層配向していない凝集粒子も見られなかったため、造粒粉1について未凝集の一次粒子を分離するなどの工程を経ずに測定を行い、その結果を二次凝集粒子1の球形度とした。当該装置では、粒子の投影像の周囲長をL、粒子の投影像の面積をSとしたとき、4πS/L2で表される値を球形度として求めている。10000個について測定し、平均値を平均球形度として求めた。二次凝集粒子1の球形度は0.79であった。
造粒粉1の比表面積を測定した。測定は、ガス/蒸気吸着量測定装置(日本ベル株式会社製、BELSORP−max)にて窒素吸着によるBET法によって行った。
二次凝集粒子1の比表面積は6.6m2/gであった。
造粒粉1の吸油量を測定した。測定は、吸油率は吸油量測定装置(あさひ総研社製、S−500)を用いて行った。造粒粉1の吸油量は100gあたり30mLであった。
造粒粉1の摩擦角を測定した。測定は粉体層せん断力測定想定(株式会社ナノシーズ製、NS−S500)を用いて行った。具体的には、摩擦角は以下のように測定した。まず、試料セルに造粒粉1を入れた。この試料セルは、側面に間隙を有して上下に2分割されており、直径15mmの円筒形をしている。次に造粒粉1を入れた試料セルの上に上杵を静かに乗せ、上杵を降下させて造粒粉1に垂直下向きの力を印加した。この際に上杵にかかる力を荷重センサで測定し、力の大きさが目標値まで到達したところで上杵の降下を停止した。荷重センサの値をモニタリングし、十分に力が緩和して変動が小さくなった後、下部のセルを10μm/秒で水平方向に動かし、試料セルの間隙にせん断をかけた。この際に、下部のセルに印加されるせん断方向の力の大きさと、下部のセルに上杵により印加される水力方向の力の大きさを荷重センサでモニタリングし、せん断方向の力が最大となった時点の当該力の大きさと、その時点の垂直方向の力の大きさを記録した。上杵から試料に印加していた力を一旦開放し、下部のセルを測定開始前の位置に戻した。再度上杵を下降させて被覆粒子に目標値の大きさの力をかけ、前記と同様の方法で造粒粉1にせん断をかけた際の各力の大きさを記録した。この作業を、目標値を順に50N、100N、150Nとして、計3回の測定結果を記録した。記録した力の大きさを試料セルの断面積で除して応力を算出した。垂直方向の応力を横軸、せん断方向の応力を縦軸としてグラフにプロットし、最小二乗法で得られた近似線と横軸とのなす角を摩擦角として求めた。
造粒粉1の摩擦角は14.5°であった。
二次凝集粒子1のメディアン径および粒径の算術標準偏差を測定した。なお、上述した球形度の測定と同様、造粒粉1を測定した結果を二次凝集粒子1のメディアン径、粒径とした。メディアン径および粒径の算術標準偏差は、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製、LA−950V2)を用いて測定した。二次凝集粒子1のメディアン径D50(0)は37μmであり、粒径の算術標準偏差は12μmであった。
また、二次凝集粒子1について圧縮を行った後に、同様にメディアン径を測定した。圧縮処理は粉体層せん断力測定装置(株式会社ナノシーズ製、NS−S500)を用いて行い、7gの造粒粉1に対し、10MPaの圧力を120秒間加えた。二次凝集粒子1の圧縮後のメディアン径D50(1)は36μmであった。D50(1)/D50(0)で表される圧縮前後のメディアン径の比は0.9と算出された。
造粒粉1のかさ密度を測定した。具体的には、パウダテスタ(ホソカワミクロン株式会社製、PT−X)を用い、25mLのサンプルセルを使用して造粒粉1に対して、タッピングストローク18mm、タッピング回数180回の条件でかさ密度(固めかさ密度)を測定した。造粒粉1のかさ密度は0.63g/cm3であった。
造粒粉1の真比重を測定した。測定は、自動湿式真密度測定器(株式会社セイシン企業製、MAT−7000)を用いて液相置換法で行った。媒液としてn−ブタノール用いた。造粒粉1の真比重は2.22g/cm3であった。
造粒粉1のハンドリング性を評価した。
まず、造粒粉200gを、400Lの容量のミキサーに投入し、1000rpmで5分間ミキサーを駆動させた。ミキサーを停止させた後、ミキサーの内壁への造粒粉の吸着状態を確認した。内壁の全面に造粒粉の付着が見られる場合を×、内壁の一部の領域に造粒粉の付着が見られる場合を△、内壁に造粒粉の付着が見られない場合を○として評価した。造粒粉1においては、付着が見られず、○と評価した。
得られた放熱シート硬化体1について、以下の各評価を行った。
放熱シート硬化体1の断面を観察した。放熱シート硬化体1の断面観察は以下のようにして行った。
まず、クロスセクションポリッシャ(SM−09010、日本電子製)を用いて、放熱シート硬化体1を切断し、断面を露出した。そして、露出した放熱シート硬化体1の断面を、走査型電子顕微鏡(JSM−7401F、日本電子製)を用いて観察した。
図5(a)は、放熱シート硬化体1の断面を、走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す図である。放熱シート硬化体1では、一次粒子が均一に密に詰まった状態でシート内に含まれていることが分かった。また、一次粒子が積層配向したドメインが維持されており、ボイドは少なかった。
上記の様に走査型電子顕微鏡で取得した断面観察像を基に、ボイド占有率を測定した。具体的には、断面観察像中に見られるボイド面積をSB、ボイド部も含めたシート全体の面積をSSとし、SB/SS×100(%)の値を求めた。5枚の断面観察像について求めたSB/SS×100(%)の値の平均値をボイド占有率とした。放熱シート硬化体1では、ボイド占有率は3%であった。
放熱シート硬化体1の密度を水中置換法により測定し、比熱を示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により測定し、さらに、レーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定した。そして、厚み方向における熱伝導率を以下の式(1)から算出した。
λ=ρ×c×α×1000 (1)
ここで、λは熱伝導率[W/(m・K)]、ρは密度[kg/m3]、cは比熱[kJ/(kg・K)]、αは熱拡散率[m2/s]である。なお、25℃および175℃における熱伝導率をそれぞれ測定した。
放熱シート硬化体1の熱伝導率は25℃においても175℃においても6W/(m・K)以上であったため、いずれも○と評価された。
耐電圧は、耐電圧試験器によって測定した。周波数は60Hzとした。求めた耐電圧が1000V以上の場合を○、1000V未満の場合を×として評価した。
さらに、高湿度下での耐電圧性能を評価した。高湿度下での耐電圧性能は、85℃、85%RHの環境において、60Hz、1000Vの電圧を印加し続け、500時間経過する間に絶縁破壊されなかった場合を○、絶縁破壊された場合を×として評価した。
放熱シート硬化体1の耐電圧および高湿度下での耐電圧性能はいずれも○と評価された。
粉体処理装置の攪拌翼を20分間、駆動させた以外は実施例1と同様にして、二次凝集粒子2からなる造粒粉2を得た。造粒粉1の代わりに造粒粉2を用いた以外は実施例1と同様にして放熱シート硬化体2を得た。得られた造粒粉2、二次凝集粒子2、および放熱シート硬化体2について、実施例1と同様に評価した。
また、放熱シート硬化体2の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果から、放熱シート硬化体2では、一次粒子が均一に密に詰まった状態でシート内に含まれていることが分かった。また、一次粒子が積層配向したドメインが維持されており、ボイドは少なかった。その他の評価結果は表2の通りであった。
一次粒子として六方晶窒化ホウ素2(電気化学工業株式会社製、GP)を用いた以外は実施例1と同様にして、二次凝集粒子3からなる造粒粉3を得た。造粒粉1の代わりに造粒粉3を用いた以外は実施例1と同様にして放熱シート硬化体3を得た。得られた造粒粉3、二次凝集粒子3、および放熱シート硬化体3について、実施例1と同様に評価した。
また、放熱シート硬化体3の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果から、放熱シート硬化体3では、一次粒子が均一に密に詰まった状態でシート内に含まれていることが分かった。また、一次粒子が積層配向したドメインが維持されており、ボイドは少なかった。その他の評価結果は表2の通りであった。
造粒粉1の代わりに六方晶窒化ホウ素凝集粒子(HP−40、水島合金鉄製)を造粒粉4として用い、各成文と配合量を以下の様に変更した以外は、実施例1と同様にして放熱シート硬化体4を得た。
造粒粉4、二次凝集粒子4および放熱シート硬化体4について、実施例1と同様に評価した。なお、造粒粉4に含まれる凝集粒子を二次凝集粒子4として評価した。
熱硬化性樹脂(A):ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、YX4000K) 16.8質量%
充填剤(B):造粒粉4 74.4質量%
硬化触媒(C−1):2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、2PHZ−PW) 0.1質量%
フェノール系硬化剤(C−2):トリスフェノールメタン型ノボラック樹脂(明和化成株式会社製、MEH−7500) 8.7質量%
造粒粉1の代わりに六方晶窒化ホウ素凝集粒子(FP70、電気化学工業製)を造粒粉5として用いた以外は、比較例1と同様にして放熱シート硬化体5を得た。
造粒粉5、二次凝集粒子5および放熱シート硬化体5について、実施例1と同様に各評価を行った。なお、造粒粉5に含まれる凝集粒子を二次凝集粒子5として評価した。
また、放熱シート硬化体5の断面を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、一次粒子の分散にムラがあり、また、ボイドが多く見られた。その他の評価結果は表2の通りであった。
よって、一次粒子が積層配向したドメインを有する二次凝集粒子を含む造粒粉を用いて、耐湿性に優れる放熱シートや放熱部材を実現できることが確認できた。
100 半導体装置
110 半導体チップ
111 上面
112 下面
120 導電層
130 ヒートシンク
131 第1面
132 第2面
140 放熱シート
141 上面
142 下面
144 硬化体
150 金属層
151 上面
152 下面
160 リード
161 電極
170 ワイヤ
180 封止樹脂
182 下面
20 一次粒子
30 二次凝集粒子
410 熱硬化性樹脂
Claims (10)
- 一次粒子を凝集させることにより形成された二次凝集粒子を含み、
前記一次粒子は鱗片状の窒化ホウ素であり、
それぞれの前記二次凝集粒子は、複数の前記一次粒子が積層配向した、少なくともひとつのドメインを有し、
前記二次凝集粒子は、球状である造粒粉。 - 請求項1に記載の造粒粉において、
1つまたは2つ以上の前記ドメインにより構成されている前記二次凝集粒子を含む造粒粉。 - 請求項1または2に記載の造粒粉において、
前記二次凝集粒子のメディアン径が10μm以上60μm以下である造粒粉。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の造粒粉において、
前記二次凝集粒子の粒径の算術標準偏差は5μm以上70μm以下である造粒粉。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の造粒粉において、
前記二次凝集粒子は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上のバインダーをさらに含む造粒粉。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の造粒粉と、
熱硬化性樹脂とを含む放熱用樹脂組成物。 - 請求項6に記載の放熱用樹脂組成物からなる放熱シート。
- 請求項6に記載の放熱用樹脂組成物の硬化体を含む半導体装置。
- 請求項6に記載の放熱用樹脂組成物の硬化体を含む放熱部材。
- 請求項9に記載の放熱部材を含む半導体装置。
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