JP7291118B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
[2] 前記無機充填材が、10W/(m・K)以上の熱伝導率を有する板状無機粒子を含む[1]に記載の積層体。
[3] 前記無機充填材が、板状無機粒子、無機粒子A、及び無機粒子Bを含み、前記板状無機粒子、前記無機粒子A、及び前記無機粒子Bのいずれか1以上が、10W/(m・K)以上の熱伝導率を有する[1]に記載の積層体。
[4] 前記無機粒子Aが、アスペクト比が2以下である[3]に記載の積層体。
[5] 前記無機充填材における前記板状無機粒子の含有量が1~100体積%である[2]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 前記板状無機粒子が窒化ホウ素である[2]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 前記板状無機粒子が凝集粒子である[2]~[6]のいずれかに記載の積層体。
[8] 前記無機粒子Bの20%圧縮時における圧縮強度が前記板状無機粒子よりも大きい[3]~[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] 前記無機粒子Bが窒化ホウ素である[3]~[8]のいずれかに記載の積層体。
[10] 前記樹脂組成物層が少なくとも2層からなり、前記金属ベース板側から第1の樹脂組成物層及び第2の樹脂組成物層をこの順に有し、前記第1の樹脂組成物層が前記板状無機粒子を含み、前記第2の樹脂組成物層が前記無機粒子A及び前記無機粒子Bを含む[3]~[9]のいずれかに記載の積層体。
[11] 前記第1の樹脂組成物層がさらに無機粒子Aを含む[10]に記載の積層体。
[12] 金属ベース板と、エポキシ樹脂及び無機充填材を含む樹脂組成物層と、金属板とをこの順に有する積層体であって、前記樹脂組成物層の断面において、長軸方向の長さが10μm以上の空隙の頻度が5%以下である積層体。
(A)樹脂組成物層の断面において、積層体の厚さ方向に対する長軸方向の角度が10°以上である空隙の頻度が95%以上となっている。
(B)樹脂組成物層の断面において、長軸方向の長さが10μm以上の空隙の頻度が5%以下となっている。
なお、(A)及び(B)は、樹脂組成物層の断面を画像解析して求める。
なお、閾値75以下の領域の割合を求めることで、空隙率の面積割合を求めることができる。画像処理のフィルタ選択については空隙部分とその他の部分のコントラストを明確に区別できれば良く、例えば移動平均フィルタ等既知のノイズ除去フィルタを用いることもできる。
なお、具体的な画像解析方法については実施例に記載のとおりである。
空隙は充填材とエポキシ樹脂との界面に沿って発生しやすいと考えられるが、このようなプレス処理により、樹脂組成物中に存在する無機充填材のうち、長軸の向きが厚み方向に平行な無機充填材から、厚み方向に垂直な無機充填材まで存在することから、空隙が発生した際の空隙の傾きが種々混在するようになり、熱伝導性とともに絶縁性が高くなると推察される。
また、長軸方向の長さが10μm以上の空隙の頻度が5%以下であるということは、空隙の成長が無機充填材により抑えられていることを示していると推察され、その結果熱伝導性とともに絶縁性が高くなると推察される。
(樹脂組成物層)
樹脂組成物層には、エポキシ樹脂及び無機充填材が含まれる。無機充填材は熱伝導性を有することが好ましい。
上記のように、板状無機粒子、無機粒子A、及び無機粒子Bのいずれか1種以上が10W/(m・K)以上の熱伝導率を有することが好ましく、すべてが10W/(m・K)以上の熱伝導率を有することが好ましい。これにより、樹脂組成物層の熱伝導性を高めることができる。熱伝導率は、15W/(m・K)以上であることがより好ましく、20W/m・K(m・K)以上であることがさらに好ましい。熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率が300W/(m・K)程度の無機充填材は広く知られており、また熱伝導率200W/(m・K)程度の無機充填材については容易に入手できる。
なお、板状無機粒子、無機粒子A、及び無機粒子Bは、少なくとも組成、形状、及び圧縮強度のいずれか1以上が相違している。例えば、板状無機粒子及び無機粒子Bが窒化ホウ素の場合は、その形状として20%圧縮時における圧縮強度が相違していればよく、又は、一次粒子の平均長径が相違していればよい。
なお、板状無機粒子の圧縮強度は比較的小さいため、プレス処理によって崩壊して空隙が発生しやすくなるが、既述のとおり、ある程度高めの圧力でプレス処理することで空隙率を低く保ち、熱伝導性及び絶縁性を良好にすることができる。
まず、微小圧縮試験機を用いて、ダイヤモンド製の角柱を圧縮部材として、該圧縮部材の平滑端面を無機充填材に向かって降下させ、無機充填材を圧縮する。測定結果として圧縮荷重値と圧縮変位の関係が得られるが、圧縮荷重値を無機充填材の粒子径を用いて算出した平均断面積を用いて単位面積当たりの圧縮荷重値を算出し、これを圧縮強度とする。また、圧縮変位と無機充填材の粒子径とから、圧縮率を算出し、圧縮強度と圧縮率との関係を得る。測定する無機充填材は顕微鏡を用いて観察し、粒子径±10%の粒子径を有する無機充填材を選出して測定する。また、それぞれの圧縮率における圧縮強度は、20回の測定結果を平均した平均圧縮強度として算出する。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー・インストルメンツ社製「微小圧縮試験機 HM2000」等が用いられる。また、圧縮率は(圧縮率=圧縮変位÷平均粒子径×100)で算出できる。
また、無機充填材における無機粒子Aの含有量は1~50体積%であることが好ましく、3~45体積%であることがより好ましい。さらに、無機充填材における無機粒子Bの含有量は1~90体積%であることが好ましく、3~85体積%であることがより好ましい。
また、樹脂組成物層における無機充填材の含有量は、20~90体積%であることが好ましく、30~80体積%であることがより好ましい。
エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。
上記エポキシ化合物は、ビスフェノールA型エポキシ化合物であることが好ましい。
また、樹脂組成物層は、既述の無機充填材、エポキシ化合物、熱硬化剤等を含む樹脂組成物を半硬化若しくは硬化させて形成される。この樹脂組成物は、その粘度を調整する観点から、溶剤を含有することができる。溶剤としては、特に限定されることはなく、例えば、トルエンやメチルエチルケトン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属ベース板及び金属板はそれぞれ熱伝導体としての機能を発揮するため、その熱伝導率は、好ましくは10W/(m・K)以上であることが好ましい。これらに用いる材料としては、アルミニウム、銅、金、銀、及びグラファイトシート等が挙げられる。熱伝導性をより一層効果的に高める観点からは、アルミニウム、銅、又は金であることが好ましく、アルミニウム又は銅であることがより好ましい。
この場合、樹脂組成物層の厚みは、30~550μmであることが好ましく、50~500μmであることがより好ましい。
好ましくは、樹脂組成物層24Aに板状無機粒子を含有する構成が挙げられ、より好ましくは、樹脂組成物層24Aに板状無機粒子を含有させ、樹脂組成物層24Bに無機粒子A及び無機粒子Bを含有させた構成が挙げられる。
そして、板状無機粒子及び無機粒子Bを窒化ホウ素凝集粒子とし、無機粒子Aをアルミナ粒子とし、板状無機粒子の20%圧縮強度が無機粒子Bの20%圧縮強度より低くすると、熱伝導率及び絶縁性をより良好としながら、金属板22と樹脂組成物層24Bとの密着性を向上させることができる。
このときの板状無機粒子と無機粒子Aとの体積比は、板状無機粒子/無機粒子Aで算出した時に、1~30であることが好ましく、2~25であることがより好ましい。
なお、樹脂組成物層が2層の構成となっている場合のそれぞれの層の厚みの合計は、30~550μmであることが好ましく、50~500μmであることがより好ましい。
また、樹脂組成物層が2層の構成の場合、当該積層体は、例えば、金属ベース板上に第1の樹脂組成物層となる樹脂組成物を塗布して、必要に応じて半硬化させた後、さらにその上に、第2の樹脂組成物層となる樹脂組成物を塗布して、必要に応じて半硬化させる。その後、金属板を貼り合わせ、上記プレス処理を行って製造することができる。また、第1の樹脂組成物層となる樹脂組成物からなるシートと第2の樹脂組成物層となる樹脂組成物からなるシートとの積層シートの両面を金属ベース板と金属板とでそれぞれ挟み、上記プレス処理を行って製造することもできる。
(1)樹脂組成物A:
凝集窒化ホウ素粒子(UHP-G1H、昭和電工社製)38.3体積%、アルミナ粒子(AS50、昭和電工社製)24.9体積%、エポキシ化合物(YD127、新日鉄住金社製)33.2体積%、硬化剤(2P4MZ、四国化成社製)2.0体積%、分散剤(KBM403、信越シリコーン社製)1.6体積%となるよう混合し、樹脂組成物Aを得た。なお、上記凝集窒化ホウ素粒子の20%圧縮強度は4.2N/mm2であった。上記アルミナ粒子のアスペクト比は2であった。
(2)樹脂組成物B:
凝集窒化ホウ素粒子(HP-40、水島合金属社製、20%圧縮強度1.7N/mm2)67.5体積%、エポキシ化合物(YD127、新日鉄住金社製社製)29.3体積%、硬化剤(2P4MZ、四国化成社製社製)2.0体積%、分散剤(KBM403、信越シリコーン社製)1.2体積%となるように混合し、樹脂組成物Bを得た。
(3)樹脂組成物C:
凝集窒化ホウ素粒子(HP-40、水島合金属社製)64.7体積%、アルミナ(AS50、昭和電工社製)5.0体積%、エポキシ化合物(YD127、新日鉄住金社製社製)27.2体積%、分散材(KBM403、信越シリコーン社製)1.4体積%、硬化剤(2P4MZ、四国化成社製社製)1.7体積%となるよう混合し、樹脂組成物Cを得た。
樹脂組成物Aを離型PETシート(厚み40μm)上に、厚み80μmになるように塗布した。また、樹脂組成物Bを離型PETシート(厚み40μm)上に、厚み300μmになるように塗布した。これらを50℃のオーブン内で10分間乾燥させて仮硬化させた。次に、仮硬化した上記シートを離型PETシートが外側となるように積層してから離型PETシートを剥がして、その両面を銅箔(厚み40μm)とアルミニウム板(厚み1.0mm)とでそれぞれ挟み、温度110℃で30分加熱し仮硬化させ、硬化前シートを得た。なお、銅箔側には樹脂組成物Aを含む層(第2の樹脂組成物層)が形成され、アルミニウム板側には樹脂組成物Bを含む層(第1の樹脂組成物層)が形成されている。
樹脂組成物Bの代わりに樹脂組成物Cを使用した以外は実施例1と同様にして積層体(熱伝導シート)を得た。なお、当該積層体は、銅箔側に樹脂組成物Aを含む層(第2の樹脂組成物層)が形成され、アルミニウム板側には樹脂組成物Cを含む層(第1の樹脂組成物層)が形成されている。
樹脂組成物Bの代わりに樹脂組成物Cを使用し、圧力を13Mpaの条件でプレスしたこと以外は実施例1と同様にして積層体(熱伝導シート)を得た。なお、当該積層体は、銅箔側に樹脂組成物Aを含む層(第2の樹脂組成物層)が形成され、アルミニウム板側には樹脂組成物Cを含む層(第1の樹脂組成物層)が形成されている。
樹脂組成物Bの代わりに樹脂組成物Cを使用し、圧力を15Mpaの条件でプレスしたこと以外は実施例1と同様にして積層体(熱伝導シート)を得た。なお、当該積層体は、銅箔側に樹脂組成物Aを含む層(第2の樹脂組成物層)が形成され、アルミニウム板側には樹脂組成物Cを含む層(第1の樹脂組成物層)が形成されている。
樹脂組成物Bの代わりに樹脂組成物Cを使用し、圧力を20Mpaの条件でプレスしたこと以外は実施例1と同様にして積層体(熱伝導シート)を得た。なお、当該積層体は、銅箔側に樹脂組成物Aを含む層(第2の樹脂組成物層)が形成され、アルミニウム板側には樹脂組成物Cを含む層(第1の樹脂組成物層)が形成されている。
樹脂組成物Bの代わりに樹脂組成物Cを使用し、圧力を25Mpaの条件でプレスしたこと以外は実施例1と同様にして積層体(熱伝導シート)を得た。なお、当該積層体は、銅箔側に樹脂組成物Aを含む層(第2の樹脂組成物層)が形成され、アルミニウム板側には樹脂組成物Cを含む層(第1の樹脂組成物層)が形成されている。
真空プレスの際の圧力を8MPaから4MPaに変更した以外は実施例1と同様にして積層体(熱伝導シート)を得た。
真空プレスの際の圧力を8MPaから5MPaに変更した以外は実施例2と同様にして積層体(熱伝導シート)を得た。
真空プレスの際の圧力を8MPaから6MPaに変更した以外は実施例2と同様にして積層体(熱伝導シート)を得た。
実施例及び比較例の各積層体を285℃で5分保持した後、10×10mmにカットし、得られたサンプルの断面を研磨紙にて表面平滑化し、クロスセクションポリッシャ(日本電子株式会社制「IB-19520CCP」)にて観察面を作製した。このとき、10×10mmの面に対して垂直な面を断面とし、観察面を作製した。その後、断面をPtイオンスパッタ―(E-1045、日立ハイテクノロジーズ製)にてスパッタして得られた観察面を、走査電子顕微鏡(SEM)を用いてシート全体が入るように500倍及びPixelSize198.4に調整し、断面画像を得た。実施例1、2、3、4、5、6、比較例1、2、3のそれぞれの断面写真を図3~12に示す。なお、いずれの断面写真においても、上側が銅箔側であり、下側がアルミニウム板側であり、アルミニウム板側にある第1の樹脂組成物層中には空隙が確認された。
また、上記空隙100個に対して長軸方向の長さも長径として算出し、長径が10μm以上の空隙の頻度(割合)を求めた。結果を下記表1、表2に示す。
(熱伝導率の測定)
実施例及び比較例の各積層体を1cm角にカットした後に、両面にカーボンブラックをスプレーした測定サンプルを用いて、レーザーフラッシュ法により熱伝導率の測定の測定を行った。結果を下記表1、表2に示す。
実施例及び比較例の各積層体を100×100mmの大きさに切りだしてサンプルを得た。得られたサンプルをエッチングし、銅箔側にパターン電極を作製の後、50℃オーブンにて60分間保持して、テストサンプルを得た。285℃で5分間保持した後、耐電圧試験器(EXTECH Electronics社製「MODEL7473」)を用いて、テストサンプル間に0.5kV/minの速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。テストサンプルが破壊した電圧を絶縁破壊電圧(BDV)とした。結果を下記表1、表2に示す。
16 金属ベース板
14 樹脂組成物層
Claims (9)
- 金属ベース板と、エポキシ樹脂及び無機充填材を含む樹脂組成物層と、金属板とをこの順に有する積層体であって、
前記樹脂組成物層の断面において、積層体の厚さ方向に対する長軸方向の角度が10°以上である空隙の頻度が95%以上であり、
前記樹脂組成物層の断面において、長軸方向の長さが10μm以上の空隙の頻度が5%以下であり、
前記無機充填材が、板状無機粒子、無機粒子A、及び無機粒子Bを含み、前記板状無機粒子、前記無機粒子A、及び前記無機粒子Bのいずれか1以上が、10W/(m・K)以上の熱伝導率を有し、
前記無機粒子Aがアルミナ又は球状の窒化アルミニウムであり、
前記無機充填材における無機粒子Aの含有量が1~50体積%である積層体。 - 前記無機粒子Aが、アスペクト比が2以下である請求項1に記載の積層体。
- 前記板状無機粒子が窒化ホウ素である請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記板状無機粒子が凝集粒子である請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記無機粒子Bの20%圧縮時における圧縮強度が前記板状無機粒子よりも大きい請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記無機粒子Bが窒化ホウ素である請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記樹脂組成物層が少なくとも2層からなり、前記金属ベース板側から第1の樹脂組成物層及び第2の樹脂組成物層をこの順に有し、
前記第1の樹脂組成物層が前記板状無機粒子を含み、
前記第2の樹脂組成物層が前記無機粒子A及び前記無機粒子Bを含む請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。 - 前記第1の樹脂組成物層がさらに無機粒子Aを含む請求項7に記載の積層体。
- 前記板状無機粒子のアスペクト比が3以上であり、かつ、無機粒子Bのアスペクト比が3以上である請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
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