JP2022052765A - 保護膜用放熱樹脂組成物、保護膜、及び電子部品 - Google Patents

保護膜用放熱樹脂組成物、保護膜、及び電子部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2022052765A
JP2022052765A JP2021154806A JP2021154806A JP2022052765A JP 2022052765 A JP2022052765 A JP 2022052765A JP 2021154806 A JP2021154806 A JP 2021154806A JP 2021154806 A JP2021154806 A JP 2021154806A JP 2022052765 A JP2022052765 A JP 2022052765A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
protective film
dissipating
resin composition
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021154806A
Other languages
English (en)
Inventor
千春 奥原
Chiharu Okuhara
貴史 西村
Takashi Nishimura
文涛 王
Wentao Wang
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Publication of JP2022052765A publication Critical patent/JP2022052765A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】ボイドの発生を抑制し、絶縁性及び放熱性に優れる保護膜を形成でき、さらにスクリーン印刷性にも優れる保護膜用放熱樹脂組成物、該組成物よりなる保護膜、及び該保護膜を備える電子部品を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂、絶縁性放熱フィラー、硬化剤、及び溶剤を含む保護膜用放熱樹脂組成物であって、前記溶剤の沸点が120~340℃であり、前記保護膜用放熱樹脂組成物のうち、熱硬化性樹脂、硬化剤を含む溶剤に可溶な成分のみで構成された試料の示差走査熱量計によって測定される発熱ピーク温度が140℃以上である、保護膜用放熱樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は保護膜用放熱樹脂組成物、該組成物の硬化物からなる保護膜、及び該保護膜を備える電子部品に関する。
チップ抵抗器などの電子部品は、電流の流れを制御するために各種抵抗体を備えている。
例えば、チップ抵抗器は、セラミックスよりなる絶縁基板と、その表面に形成した抵抗体と、抵抗体に接続された電極とを少なくとも備えている。該抵抗体は、レーザー光線を照射するなどの方法によりトリミング溝が形成され、所望の抵抗値に調整されている。また、通常は、上記したチップ抵抗器などに備えられている抵抗体を被覆し保護するために、抵抗体上に保護膜が形成されている。
近年、チップ抵抗器などの電子部品の制御電流の増加に伴い、電子部品の高電力化が求められてきており、加えて、電子部品の小型化、高精度化の要求もあり、抵抗器の発熱をいかに放熱するかが課題となっている。このような観点から、特許文献1では、保護膜にアルミナなどの熱伝導性の高い放熱フィラーを含有させ、放熱性を向上させる技術が開示されている。放熱性を向上させることで、使用可能電力を高くすることが可能となる。
また、特許文献2に記載のように、車載用のチップ抵抗器などには、保護膜に耐圧性を要求される用途があり、そのような観点から、絶縁性の高い保護膜も必要とされている。
国際公開第2019/116814号 特許第5357697号公報
上記したように、放熱性及び絶縁性を兼ね備える保護膜が必要とされている。そこで本発明の課題は、絶縁性及び放熱性に優れる保護膜を形成できる保護膜用放熱樹脂組成物を提供することである。
放熱性及び絶縁性を兼ね備える保護膜を形成させる観点から、樹脂組成物に、アルミナ、窒化アルミニウムなどの絶縁性放熱フィラーを含有させて、保護膜を形成することが考えられる。保護膜は、通常、熱硬化性樹脂、各種フィラー、溶剤を含有させたペースト状の樹脂組成物をスクリーン印刷し、加熱して硬化させることにより形成されるが、本発明者らの検討によれば、フィラーを含有させて保護膜を形成させた場合は、ボイドが発生して、絶縁性及び放熱性を阻害してしまう場合があることが分った。特に平均粒子径の大きいフィラーを含む場合や、フィラーの含有量が多い組成物を用いて、保護膜を形成させた場合は、ボイドが発生する問題がより顕著になることが分った。
そこで、本発明者らは、ボイドの発生を抑制し、絶縁性及び放熱性に優れる保護膜を形成でき、さらにスクリーン印刷性にも優れる保護膜用放熱樹脂組成物を提供するため、鋭意研究を重ねた。
そして、熱硬化性樹脂、絶縁性放熱フィラー、硬化剤、及び溶剤を含む保護膜用放熱樹脂組成物であり、前記溶剤の沸点が特定範囲であり、かつ前記組成物のうち、熱硬化性樹脂、硬化剤を含む溶剤に可溶な成分のみで構成された試料の示差走査熱量計による発熱ピーク温度が一定以上である、組成物により上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、下記[1]~[12]に関する。
[1]熱硬化性樹脂、絶縁性放熱フィラー、硬化剤、及び溶剤を含む保護膜用放熱樹脂組成物であって、前記溶剤の沸点が120~340℃であり、前記保護膜用放熱樹脂組成物のうち、熱硬化性樹脂、硬化剤を含む溶剤に可溶な成分のみで構成された試料の示差走査熱量計によって測定される発熱ピーク温度が140℃以上である、保護膜用放熱樹脂組成物。
[2]前記絶縁性放熱フィラーの熱伝導率が10W/m・K以上であり、体積抵抗率が1.0×1010Ω・cm以上である上記[1]に記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
[3]前記絶縁性放熱フィラーの熱伝導率が300W/m・K以下である、上記[1]又は[2]に記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
[4]前記絶縁性放熱フィラーの平均粒子径が1.0μm以上15μm以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
[5]溶剤を除く保護膜用放熱樹脂組成物に対する前記絶縁性放熱フィラーの含有量が60質量%以上である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
[6]前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
[7]前記熱硬化性樹脂がビスマレイミド樹脂である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
[8]回転式粘度計で25℃、50rpmで測定した粘度Xが、30~100Pa・sであり粘度Xに対する、回転粘度計で25℃、5rpmで測定した粘度Yの粘度比(粘度Y/粘度X)が1.5以上である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
[9]上記[1]~[8]のいずれかに記載の組成物の硬化物からなる保護膜。
[10]上記[1]~[8]のいずれかに記載の組成物の硬化物からなる抵抗器用保護膜。
[11]上記[9]に記載の保護膜を備える、電子部品。
[12]上記[9]に記載の保護膜を備える、チップ抵抗器。
本発明によれば、ボイドの発生を抑制し、絶縁性及び放熱性に優れる保護膜を形成でき、さらにスクリーン印刷性にも優れる保護膜用放熱樹脂組成物、該組成物よりなる保護膜、及び該保護膜を備える電子部品を提供することができる。
本発明のチップ抵抗器の一実施態様を示す図である。 本発明のチップ抵抗器を製造する過程を説明する図である。 本発明のチップ抵抗器を製造する過程を説明する図である。 製造例1の変性多価フェノール類の13CNMRスペクトルである。 製造例1のエポキシ樹脂の13CNMRスペクトルである。
[保護膜用放熱樹脂組成物]
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、絶縁性放熱フィラー、硬化剤、及び溶剤を含む放熱樹脂組成物であり、前記溶剤の沸点が120~340℃であり、前記保護膜用放熱樹脂組成物のうち、熱硬化性樹脂、硬化剤を含む溶剤に可溶な成分のみで構成された試料の示差走査熱量計によって測定される発熱ピーク温度が140℃以上である。
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物は、加熱し硬化させることに硬化物となり、該硬化物は後述するように、電子部品、チップ抵抗器などの保護膜として使用することができる。本発明の保護膜用放熱樹脂組成物により形成される保護膜は、ボイドの数が少なく、そのため放熱性及び絶縁性が良好となる。
本発明において、ボイドが少ない保護膜が得られる理由は定かではないが、以下のように推定される。すなわち、本発明においては、保護膜用放熱樹脂組成物のうち、熱硬化性樹脂、硬化剤を含む溶剤に可溶な成分のみで構成された試料の示差走査熱量計によって測定される発熱ピーク温度を140℃以上としており、比較的高温で熱硬化性樹脂が硬化するように調整している。これに加えて、使用する溶剤の沸点は120~340℃の一定範囲に調整している。このように各温度を調整することにより、本発明の保護膜用放熱樹脂組成物を加熱して硬化させる際に、組成物中に存在する溶剤の量を極力少なくすることができ、そのため溶剤が残存した状態で硬化させることに起因したボイドの生成が抑制されるものと推定される。
(発熱ピーク温度)
本発明においては、保護膜用放熱樹脂組成物のうち、熱硬化性樹脂、硬化剤を含む溶剤に可溶な成分で構成された試料の示差走査熱量計(DSC)によって測定される発熱ピーク温度は140℃以上である。発熱ピーク温度が140℃未満であると、保護膜用放熱樹脂組成物から形成される保護膜にボイドが形成されやすくなる。ボイド形成を抑制する観点から、発熱ピーク温度は好ましくは150℃以上であり、より好ましくは160℃以上であり、さらに好ましくは170℃以上であり、そして、好ましくは220℃以下である。示差走査熱量計により測定される発熱ピークは、熱硬化性樹脂の硬化に伴う発熱ピークである。
発熱ピーク温度は、使用する硬化剤の種類、熱硬化性樹脂の種類などにより調整することができる。
示差走査熱量計による測定は、40℃から300℃まで10℃/分の昇温速度で行うこととする。また、測定により得られたDSC曲線のピークの温度が発熱ピーク温度である。
なお、DSC曲線のピークが2つ以上観測される多峰性の曲線の場合、最も熱量の高いピークの熱量(mW)の30%以上の熱量を有するピークのうち最も低温側のピーク温度を本発明における発熱ピーク温度とする。
発熱ピークを測定するための試料は、熱硬化性樹脂及び硬化剤を含む、溶剤に可溶な成分で構成されている。該試料は、目的とする保護膜用放熱樹脂組成物を一旦作製した後、室温(23℃)にて、保護膜用放熱樹脂組成物に溶剤を希釈倍率10倍(質量比)添加して溶解させ、遠心分離機を用いて溶剤に不溶な成分を分離し、樹脂組成物を含有している溶解液から溶媒を真空乾燥により除去して作製することができる。あるいは、該試料は、目的とする保護膜用放熱樹脂組成物を構成する成分において、溶剤に不溶な成分及び溶剤以外のすべての成分を混合して作製してもよい。
なお、発熱ピークを測定するための試料作製に用いる溶剤は、本発明の保護膜用放熱樹脂組成物に含有されている溶剤と同じ種類の溶剤である。
(溶剤)
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物には溶剤が含まれ、該溶剤の沸点は120~340℃である。溶剤の沸点が120℃未満であると、保護膜用放熱樹脂組成物をスクリーン印刷する際に、溶剤が揮発しやすく作業性が低下するなどスクリーン印刷性が悪くなる。一方、溶剤の沸点が340℃を超えると、乾燥工程で溶剤が十分に揮発せず熱硬化性樹脂が硬化する際に、溶剤が存在しやすくなり、ボイドが発生しやすくなる。なお、沸点は1気圧における沸点を意味する。
スクリーン印刷性及びボイドの低減の観点から、溶剤の沸点は、好ましくは150~310℃であり、より好ましくは180~290℃である。
溶剤の種類は、沸点が120~340℃であれば特に制限されない。
溶剤としては、例えば、エチレングリコール系エーテル類、プロピレングリコール系エーテル類、アルコール類などが挙げれる。
好適に使用される溶剤の例としては、ブチルカルビトール(沸点:230℃)、ブチルカルビトールアセテート(沸点:247℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:275℃)、トリエチレングリコール(沸点:287℃)などのエチレングリコール系エーテル類、トリプロピレングリコールブチルエーテル(沸点274℃)、トリプロピレングリコールメチルエーテル( 沸点:242℃)などのプロピレングリコール系エーテル類、ターピネオール(沸点:220℃)などのアルコール類が挙げられる。
沸点が120~340℃の溶剤は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
溶剤の含有量により、保護膜用放熱樹脂組成物の回転式粘度計における、25℃、50rpmでの粘度が、30~100Pa・sとなるよう調整することもできる。溶剤の含有量は、保護膜用放熱樹脂組成物全量基準で、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であり、そして好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは12質量%以下である。溶剤の含有量がこれら下限値以上であると、スクリーン印刷性が良好になる傾向があり、溶剤の含有量がこれら上限値以下であると、ボイドの発生が抑制される傾向がある。
なお、本発明の保護膜用放熱樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、沸点が120~340℃の溶剤とは異なる沸点を有する溶剤を含んでもよい。保護膜用放熱樹脂組成物に含まれる溶剤全量を基準として、沸点が120~340℃の溶剤の含有量は60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが好ましい。
(熱硬化性樹脂)
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有する。熱硬化性樹脂は特に限定されないが、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、不飽和イミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、熱硬化性樹脂は、耐熱性、電気絶縁性の観点からエポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂が好ましい。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂は、特に制限されないが、保護膜の耐熱性を向上される観点から、芳香族骨格又は脂環式骨格を有するエポキシ樹脂が好ましい。
芳香族骨格を有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシ樹脂、キサンテン骨格を有するエポキシ樹脂、アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂、ピレン骨格を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
脂環式骨格を有するエポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
また、上記例示した各エポキシ樹脂の水素添加物又は変性物もエポキシ樹脂として使用することができる。
中でも、エポキシ樹脂としては、保護膜の耐熱性向上の観点から、ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹脂)であることが好ましい。
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂が挙げられる。
上記ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂としては、1-グリシジルナフタレン、2-グリシジルナフタレン、1,2-ジグリシジルナフタレン、1,5-ジグリシジルナフタレン、1,6-ジグリシジルナフタレン、1,7-ジグリシジルナフタレン、2,7-ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6-テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
上記フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂としては、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-グリシジルオキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-グリシジルオキシ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-グリシジルオキシ-3-ブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-グリシジルオキシ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-グリシジルオキシ-3-メトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-グリシジルオキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-グリシジルオキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレン、及び9,9-ビス(4-グリシジルオキシ-3,5-ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂としては、4,4’-ジグリシジルビフェニル、及び4,4’-ジグリシジル-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシ樹脂としては、1,1’-バイ(2,7-グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’-バイ(2,7-グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’-バイ(3,7-グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’-バイ(3,7-グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’-バイ(3,5-グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’-バイ(3,5-グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’-バイ(2,7-グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’-バイ(3,7-グリシジルオキシナフチル)メタン、及び1,2’-バイ(3,5-グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
上記キサンテン骨格を有するエポキシ樹脂としては、1,3,4,5,6,8-ヘキサメチル-2,7-ビス-オキシラニルメトキシ-9-フェニル-9H-キサンテン等が挙げられる。
上記アントラセン骨格を有するエポキシ樹脂としては、1分子中に、1つ以上のアントラセン骨格と、1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基とを有するものが挙げられる。
上記ピレン骨格を有するエポキシ樹脂としては、1分子中に、1つ以上のピレン骨格と、1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基とを有するものが挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂しては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシ樹脂が挙げられる。
上記アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂としては、1,3-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)アダマンタン、及び2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)アダマンタン等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、上記した中でも、ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂が好ましく、下記式(1)で示されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記式(1)で示されるエポキシ樹脂を用いることで、保護膜の硬度及び靭性を高め、これにより、例えばマスター基板を切り出す際に保護膜が破損することを防止しやすくなる。
Figure 2022052765000001

(式中、R及びRはそれぞれ水素原子又はメチル基を、R~Rはそれぞれ水素原子、メチル基、塩素原子、又は臭素原子を表す。Xはエチレンオキシエチル基、ジ(エチレンオキシ)エチル基、トリ(エチレンオキシ)エチル基、プロピレンオキシプロピル基、ジ(プロピレンオキシ)プロピル基、トリ(プロピレンオキシ)プロピル基、炭素原子数2~15のアルキレン基、又はシクロアルカン骨格を有する炭素原子数6~17の脂肪族炭化水素基である。またnは繰り返し数の平均値で0.5~5.0である。)
上記式(1)で示されるエポキシ樹脂の中でも、形成される保護膜の靭性を向上させる観点から、R~R、Xについては以下の態様が好ましい。
式(1)において、R及びRはそれぞれメチル基であることが好ましい。R~Rはそれぞれ、水素原子又はメチル基であること好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式(1)において、Xはジ(エチレンオキシ)エチル基、炭素原子数2~15のアルキレン基、又はシクロアルカン骨格を有する炭素原子数6~17の脂肪族炭化水素基が好ましい。中でも靭性をより向上させる観点から、炭素原子数2~15のアルキレン基又はシクロアルカン骨格を有する炭素原子数6~17の脂肪族炭化水素基がより好ましい。また、耐熱性を向上させる観点から、シクロアルカン骨格を有する炭素原子数6~17の脂肪族炭化水素基が好ましい。
上記炭素原子数2~15のアルキレン基は、炭素原子数2~10のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数4~8のアルキレン基であることがより好ましい。
上記炭素原子数2~15のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、2-エチルヘキシレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基、n-ウンデシレン基、n-ドデシレン基、n-トリデシレン基、n-テトラデシレン基、n-ペンタデシレン基などが挙げられる。これらの中でも、n-ブチレン基、イソブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基が好ましく、特にn-オクチレン基が好ましい。
上記シクロアルカン骨格を有する炭素原子数6~17の脂肪族炭化水素基は、シクロアルカン骨格を有する炭素原子数6~10の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
シクロアルカン骨格を有する炭素原子数6~17の脂肪族炭化水素基は、特に限定されないが、以下のx-1~x-6で表される基が挙げられる。
Figure 2022052765000002
上記x-1~x-6で表される基において、*は結合手を表し、具体的にはXに隣接する酸素原子に結合する結合手を表す。上記x-1~x-6で表される基の中でも、x-1又はx-2で表される基が好ましく、中でも下記x-1-1又はx-2-1で表される基がより好ましい。
Figure 2022052765000003
上記x-1-1又はx-2-1で表される基において、*は結合手を表し、具体的にはXに隣接する酸素原子に結合する結合手を表す。これらの中でもx-2-1で表される基が好ましい。
式(1)におけるnは0.5~5.0であり、得られる保護膜の靭性を向上させる観点から、好ましくは1.1~4.0であり、より好ましくは1.2~3.0である。
式(1)で示されるエポキシ樹脂の中でも、保護膜の靭性を高める観点から、以下の式(1-1)~式(1-5)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022052765000004
上記式(1-1)~(1-5)で表される化合物において、nは繰り返し数の平均値で0.5~5.0である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは250以上であり、より好ましくは300以上であり、さらに好ましくは350以上であり、そして好ましくは1000以下であり、より好ましくは600以下である。エポキシ当量これら下限値以上でかつ上限値以下であると、硬化物の耐熱性と靭性が向上しやすくなる。
<ビスマレイミド樹脂>
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物には、ビスマレイミド樹脂が含まれていてもよい。ビスマレイミド樹脂としては、例えば、N,N’-(4,4’-ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3'-ジメチル-5,5'-ジエチル-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、m-フェニレンビスマレイミド(N,N’-1,3-フェニレンビスマレイミド)、1,6-ビスマレイミドヘキサン、1,2-ビスマレイミドエタン(N,N'-エチレンジマェイミド)、N,N'-(1,2-フェニレン)ビスマレイミド、N,N'-1,4-フェニレンジマレイミド、N,N'-(スルホニルジ-p-フェニレン)ジマレイミド、N,N'-[3,3'-(1,3-フェニレンジオキシ)ジフェニル]ビスマレイミド等である。
本発明におけるビスマレイミド樹脂は固形のものを含むが、より好ましくは液状である。固形のビスマレイミド樹脂は一般有機溶剤に対する溶解度が低い。よって、固形のビスマレイミド樹脂を使用する際には、多量の有機溶剤による希釈が必要となる。しかし、この場合には硬化時に溶剤が揮発してボイドとなり、熱伝導率の低下やクラック発生につながる。一方、液状のビスマレイミド樹脂を含む樹脂組成物は粘度が低い。よって、樹脂組成物を使用する際の作業性が向上する。
また、ダイマー酸変性ビスマレイミド樹脂を用いることも可能である。ダイマー酸変性ビスマレイミド樹脂は、たとえば、液状のビスマレイミド樹脂であるBMI-1500、BMI-1700、または固形のビスマレイミド樹脂であるBMI-3000(いずれもDesigner molecules社製)である。ダイマー酸変性ビスマレイミド樹脂を用いることにより、樹脂組成物の弾性率を低く抑えることができる。これは、ダイマー酸変性ビスマレイミドは、両末端にのみ反応性のマレイミド基を有し、分子鎖中に架橋性の反応基を持たないためと考えられる。このような樹脂組成物の硬化物は、クラックが発生し難い。
本発明における熱硬化性樹脂の含有量は、特に制限されない。保護膜の硬度や、絶縁放熱フィラーを一定量配合して放熱性及び絶縁性を高める観点などから、熱硬化性樹脂の含有量は、保護膜用放熱樹脂組成物全量基準に対して、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、そして好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
(絶縁性放熱フィラー)
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物は、絶縁性放熱フィラーを含有する。絶縁性放熱フィラーを含有することにより、保護膜用放熱樹脂組成物から形成される保護膜の絶縁性及び放熱性を向上させることができる。
絶縁性放熱フィラーは、絶縁性及び放熱性を兼ね備えるフィラーであり、例えば、20℃での体積抵抗率が1.0×1010Ω・cm以上の絶縁性、及び熱伝導率が10W/m・K以上の放熱性を有する。
本発明における絶縁性放熱フィラーの体積抵抗率は、絶縁性向上の観点から、好ましくは1.0×1010Ω・cm以上であり、より好ましくは1.0×1011Ω・cm以上であり、さらに好ましくは1.0×1012Ω・cm以上である。
なお、体積抵抗率は、JIS C2141に準拠して、測定することができる。
本発明における絶縁性放熱フィラーの熱伝導率は、放熱性向上の観点から、好ましくは10W/m・K以上であり、より好ましくは20W/m・K以上であり、さらに好ましくは40W/m・K以上である。また、絶縁性放熱フィラーの熱伝導率は、好ましくは300W/m・K以下である。絶縁性放熱フィラーの熱伝導率を300W/m・K以下とすることにより、熱硬化性樹脂を加熱及び硬化する際の温度の伝達速度が過度に高くなることを防止できる。その結果、熱硬化性樹脂の硬化温度が低下するのを抑制でき、そのため硬化時の溶剤の量が少なくなり、ボイドが形成され難くなる。
熱伝導率は、例えば、クロスセクションポリッシャーにて切削加工したフィラー断面に対して、株式会社ベテル製サーマルマイクロスコープを用いて、周期加熱サーモリフレクタンス法により測定することができる。
絶縁性放熱フィラーの平均粒子径は、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下であり、さらに好ましくは15μm以下であり、そして好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは1μm以上である。形成される保護膜のボイド低減の観点から、絶縁性放熱フィラーの平均粒子径は1.0μm以上15μm以下であることが特に好ましい。なお、本発明においてはレーザー回折・散乱法により測定されたd50を平均粒子径とする。
絶縁性放熱フィラーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、保護膜の絶縁性及び放熱性を効果的に高める観点から、平均粒子径の異なる2種以上を併用することが好ましく、平均粒子径の異なる2種を併用することがより好ましい。
より詳細には、絶縁性放熱フィラーは、平均粒子径が0.1μm以上1.5μm以下の小粒径絶縁性放熱フィラーと、平均粒子径が1.5μm超15μm以下の大粒径絶縁性放熱フィラーとを含有することが好ましい。
小粒径絶縁性放熱フィラーと大粒径絶縁性放熱フィラーを併用する場合、組成物中の大粒径絶縁性放熱フィラーの量を小粒径絶縁性放熱フィラーの量の同量以上とすることが好ましい。小粒径絶縁性放熱フィラーの量に対する大粒径絶縁性放熱フィラーの量(大粒径絶縁性放熱フィラーの量/小粒径絶縁性放熱フィラーの量)は、好ましくは1以上であり、より好ましくは1.5以上であり、さらに好ましくは2以上であり、そして好ましくは10以下である。
なお、保護膜用放熱樹脂組成物は、絶縁性放熱フィラーの粒度分布において、ピークが2つ以上現れることで平均粒子径が異なる2種類以上の絶縁性放熱フィラーを含むと判断できる。
絶縁性放熱フィラーは特に限定されないが、保護膜の放熱性及び絶縁性を高める観点からは、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ケイ素及びダイヤモンドなどが好ましく、アルミナ、窒化アルミニウムなどがより好ましい。
絶縁性放熱フィラーの含有量は、溶剤を除く保護膜用放熱樹脂組成物に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、そして、好ましくは96質量%以下、より好ましくは93質量%以下である。絶縁性放熱フィラーの含有量が上記下限以上であると、保護膜の絶縁性及び放熱性が向上する。絶縁性放熱フィラーの含有量が上記上限以下であると、保護膜用放熱樹脂組成物の塗布性が高まり、保護膜の性状が良好になる。
(硬化剤)
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物は、上記した熱硬化性樹脂を効果的に硬化させる観点から、硬化剤を含有する。硬化剤は、熱硬化性樹脂を硬化させることが可能であれば特に制限されないが、例えば、アミン化合物(アミン硬化剤)、イミダゾール化合物(イミダゾール硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、酸無水物(酸無水物硬化剤)、ポリアミド、ポリメルカプタン等が挙げられる。これらの中でも、上記した発熱ピーク温度を高くする観点から、アミン化合物、フェノール化合物、及び酸無水物から選ばれる少なくともいずれかを用いることが好ましい。
上記アミン化合物としては、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、アジピン酸ジヒドラジド及びジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
上記フェノール化合物としては、フェノールノボラック化合物、o-クレゾールノボラック化合物、p-クレゾールノボラック化合物、t-ブチルフェノールノボラック化合物、アリルフェノールノボラック化合物、ジシクロペンタジエンクレゾール化合物、ポリパラビニルフェノール化合物、ビスフェノールA型ノボラック化合物、キシリレン変性ノボラック化合物、デカリン変性ノボラック化合物、ポリ(ジ-o-ヒドロキシフェニル)メタン化合物、ポリ(ジ-m-ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ-p-ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水シトラコン酸などのジカルボン酸無水物およびその誘導体が挙げられる。ジカルボン酸無水物の誘導体としては、水素化物およびアルキル基付加物などが挙げられる。
発熱ピーク温度を140℃以上に調整しやすくする観点から、硬化剤の中でも、固体硬化剤を使用することが好ましい。ここで、固体硬化剤とは、25℃において固体状の硬化剤を意味する。
固体硬化剤を例示すると、ジシアンジアミド(三菱ケミカル株式会社製「DICY7」)、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学株式会社製「ADH」)、フェノールノボラック化合物(明和化成株式会社製「MEHC-7851SS」)、イミダゾール化合物(四国化成工業株式会社製「キュアゾール2P4MHZ-PW」)などが挙げられる。
熱硬化性樹脂100質量部に対して、硬化剤の含有量は、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。硬化剤の含有量がこれら下限以上であると、保護膜用放熱樹脂組成物を良好に硬化させることができる。硬化剤の含有量がこれら上限以下であると、保護膜中の硬化に寄与しなかった硬化剤の残存量が少なくなる。
(硬化促進剤)
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤の使用によって、硬化速度を速くし、組成物を効率的に硬化させることができる。硬化促進剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物、及び有機金属化合物等が挙げられる。中でも、本発明の効果がより一層優れることから、イミダゾール化合物が好ましい。
上記イミダゾール化合物としては、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2-フェニル-4-メチル-5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、等が挙げられる。
また、公知のイミダゾール系潜在性硬化剤を用いることができる。具体例としては、PN23、PN40、PN-H(商品名、いずれも味の素ファインテクノ社製)が挙げられる。また、マイクロカプセル化イミダゾールとも呼ばれる、アミン化合物のエポキシアダクトの水酸基に付加反応させた硬化促進剤が挙げられ、例えばノバキュアHX-3088、ノバキュアHX-3941、HX-3742、HX-3722(商品名、いずれも旭化成イーマテリアルズ社製)等が挙げられる。さらに、包摂イミダゾールを用いることもできる。具体例としては、TIC-188(商品名、日本曹達社製)が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4-ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
保護膜用放熱樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂100質量部に対して、硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、さらに好ましくは1質量部以上であり、そして好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下であり、さらに好ましくは3質量部以下である。硬化促進剤の含有量が上記下限以上であると、硬化促進剤を良好に硬化させることができる。硬化促進剤の含有量が上記上限以下であると、保護膜における硬化に寄与しなかった硬化促進剤の残存量が少なくなる。
(粘度、粘度比)
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物は、回転式粘度計で25℃、50rpmで測定した粘度Xが30~100Pa・sであることが好ましい。粘度Xがこのような範囲であると、保護膜用放熱樹脂組成物の転写性、版離性などのスクリーン印刷適性が良好になる。このような観点から、放熱樹脂組成物の粘度Xは、好ましくは35~80Pa・sであり、より好ましくは40~60Pa・sである。
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物は、回転式粘度計で25℃、50rpmで測定した粘度Xが、30~100Pa・sであり、粘度Xに対する、回転粘度計で25℃、5rpmで測定した粘度Yの粘度比(粘度Y/粘度X)が1.5以上であることが好ましい。前記粘度比が1.5以上であると、保護膜用放熱樹脂組成物をスクリーン印刷することにより形成される保護膜の形状保持性が良好になる。粘度比(粘度Y/粘度X)は、好ましくは1.7以上であり、より好ましくは2.0以上である。
また、粘度比(粘度Y/粘度X)は、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.5以下であり、さらに好ましくは3.0以下である。粘度比(粘度Y/粘度X)がこれら上限値以下であると、スクリーン印刷に用いるスクリーン版に由来する模様が保護膜に形成されることを抑制し、その結果、保護膜の表面に凹凸が形成され難くなる。
粘度比は、保護膜用放熱樹脂組成物にチキソトロピック剤を含有させることなどによって調整することができる。チキソトロピック剤としては、有機チキソトロピック剤でもよいし、無機チキソトロピック剤でもよいが、保護膜の放熱性を良好にする観点から、有機チキソトロピック剤が好ましい。
チキソトロピック剤の含有量は、保護膜用放熱樹脂全量基準で好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは0.2~3質量部である。
(他の成分)
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物は、必要に応じて、各種添加剤を含んでもよい。
各種添加剤としては、例えば、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸及びその金属塩類、パラフィン等の離型剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、臭素化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼン等の難燃剤、酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力化成分、カップリング剤、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、イオン捕捉剤、レベリング剤等が挙げられる。
本発明の保護膜用放熱樹脂組成物は、加熱することにより硬化させて、保護膜用放熱樹脂組成物の硬化物からなる保護膜とすることができる。保護膜は、抵抗器用保護膜として使用することが好ましく、例えば、チップ抵抗器などの電子部品に設けられている抵抗体を被覆するために好適に用いることができる。すなわち、上記保護膜を使用して、保護膜を備える電子部品や保護膜を備えるチップ抵抗器などとすることができる。
[チップ抵抗器]
本発明の保護膜を備えるチップ抵抗器について、以下説明する。チップ抵抗器は、一般に、絶縁基板と、絶縁基板上に形成された抵抗体と、電極と、保護膜とを少なくとも備えている。以下チップ抵抗器について、図面を用いて具体的に説明するが、本発明の内容は、図面の内容に限定されるものではない。
一般に、チップ抵抗器を製造する際には、1枚のマスター基板上に、抵抗体、電極、及び保護膜などを備える構造体を複数形成させ、該マスター基板を切り分けることで、複数個のチップ抵抗器を製造している。以下の説明では簡単のため切り分けられた後の1個のチップ抵抗器について説明する。
図1に、本発明のチップ抵抗器の一実施態様を示す。図1に示すチップ抵抗器10は、板状の絶縁基板11と、該絶縁基板11の上面に形成された一対の上面電極12と、該電極12の各々の上面の少なくとも一部に重なるように積層され、かつ両電極12を接続する抵抗体13と、該抵抗体13を被覆するアンダーコート層14と、アンダーコート層14の面上に積層された本発明の保護膜16とを備える。抵抗体13とアンダーコート層14には、レーザー照射などによりトリミングされて形成された切込部(図3における切込部15を参照)が形成されており、該切込部にも保護膜16の一部が導入され、抵抗体13とアンダーコート層14とを被覆している。該切込部の形状を変更することにより、抵抗体13の抵抗値を調整することができる。上記アンダーコート層14は、抵抗体13をレーザーの熱から保護すること、及び外部から湿気の侵入を防止することなどを目的に設けられる。
本発明の保護膜16は、上記した保護膜用放熱樹脂組成物を硬化することにより形成されており、放熱性に優れるため、抵抗体13により発生する熱を効果的に放熱できる。特に、チップ抵抗体に切込部15が存在する場合は、該切込部15により削られた抵抗体13部分に熱が溜まりやすく、一般に放熱が難しいが、本発明の保護膜16を用いると、効果的に放熱することができる。
なお、図1には保護膜として単層の保護膜16のみを示しているが、保護膜16の上面又は下面に別の保護膜を備え、保護膜が多層化されていてもよい。保護膜を多層化する場合は、絶縁性放熱フィラーの含有量を保護膜ごとに変更するなどして、放熱に適する設計にすればよいが、抵抗体に近い保護膜の絶縁性放熱フィラーの量を、その他の保護膜よりも多く調整することが好ましい。
図1には図示していないが、絶縁基板11の下面側にも、1対の下面電極が形成されてもよい。この場合、1対の下面電極及び1対の上面電極は、絶縁基板を介して対向する位置に配置される。また、絶縁基板11の上面電極12の長手方向と平行の端面11a及び端面11bには、基板を介して1対の端面電極(図示せず)が形成されていてもよく、該端面電極上には、めっき膜が形成されていてもよい。めっき膜は、湿式めっき法などにより形成される。
上記絶縁基板11は、例えば、アルミナなどの絶縁材料により形成される。上記上面電極、下面電極、端面電極などの電極は、例えば、銀、銀パラジウム、又は銅などから形成される。上記抵抗体13は、例えば、銀パラジウム、酸化ルテニウム、又は銅ニッケルなどから形成される。上記アンダーコート層14は、鉛ホウケイ酸ガラス系の材料により形成され、有機顔料を含んでもよい。
次に、チップ抵抗器10の製造方法の一具体例について、図2及び図3を参照しながら説明する。
先ず、アルミナ等の絶縁材料からなる板状の絶縁基材11の上面に導電ペーストを印刷した後、これを乾燥及び焼成して1対の電極12を形成する。次に上記1対の電極12の各々の上面の少なくとも一部に重なるように抵抗ペーストを印刷した後、これを乾燥及び焼成して上記1対の電極12同士を互いに接続する抵抗体13を形成する。次に抵抗体13上に、ガラスペーストを印刷した後、これを乾燥及び焼結して、上記抵抗体13を被覆するアンダーコード層14を形成する。印刷方法は特に限定されないが、スクリーン印刷が好適である。
このようにして表面にアンダーコード層14が形成された抵抗体13に対して、アンダーコード層14の上からレーザー光を照射して抵抗体13のトリミングを行う。これにより図3に示すように抵抗体13とアンダーコード層4とが同時に切り込まれた切込部15が形成される。次に、アンダーコート層14の表面上に上記した本発明の保護膜用放熱樹脂組成物を印刷した後、これを加熱し硬化させて保護膜16を形成させる。
該保護膜用放熱樹脂組成物により形成された保護膜16は、上記した通り、絶縁性及び放熱性が高い。そのため抵抗体の絶縁性及び放熱性を向上させることができる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
[熱硬化性樹脂]
以下のエポキシ樹脂及びビスマレイミド樹脂を用いた。エポキシ樹脂1(Ep-1a)は、後述する方法により製造した。
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂1(Ep-1a)・・後述する方法で製造した上記式(1-1)で表されるエポキシ樹脂 n=1.35、エポキシ当量462
・エポキシ樹脂2(Ep-7a)・・新日本理化株式会社製「リカレジンBEO-60E」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体)、エポキシ当量358
・エポキシ樹脂3・・ADEKA社製「EP-4000S」ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量260
(ビスマレイミド樹脂)
マレイミド樹脂1・・BMI-1500 (Designer Molecure Inc.社)
マレイミド樹脂2・・BMI-1700 (Designer Molecure Inc.社)
<製造例1:Ep-1aの製造>
(1)変性多価フェノール類(ph-1a)の製造
Figure 2022052765000005
温度計、撹拌機を取り付けたフラスコにビスフェノールA 228g(1.00モル)とトリエチレングリコールジビニルエーテル(ISP社製:商品名Rapi-CureDVE-3)172g(0.85モル)を仕込み、120℃まで1時間要して昇温した後、
さらに120℃で6時間反応させて透明半固形の変性多価フェノール類(ph-1a)400gを得た。
得られた変性多価フェノール類(ph-1a)は、図4のNMRスペクトル(13C)から、またマススペクトルでn=1、n=2の理論構造に相当するM+=658,M+=1088のピークが得られたことから前記一般式ph-1aで表される構造をもつ化合物であることが確認された。該化合物の水酸基当量は364g/eq.、粘度は40mPa・s(150℃,ICI粘度計)であり、水酸基当量より算出される前記構造式ph-1a中のnの平均値は、n≧1の成分で3.21、及びn≧0の成分で1.16であった。
(2)エポキシ樹脂(Ep-1a)の製造
Figure 2022052765000006
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに上記(1)で得られた変性多価フェノール類(ph-1a)400g(水酸基当量364g/eq.)、エピクロルヒドリン925g(10モル)、n-ブタノール185gを仕込み溶解させた。その後、窒素ガスパージを施しながら、65℃に昇温した後に、共沸する圧力までに減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液122g(1.5モル)を5時間かけて滴下した。次いでこの条件下で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水層を除去し、有機層を反応系内に戻しながら反応した。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。
得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン1000gとn-ブタノール100gを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液20gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水300gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し精密濾過を経た後に溶媒を減圧下で留去して透明液体のエポキシ樹脂457gを得た。
そのエポキシ樹脂は、図5のNMRスペクトル(13C)から、またマススペクトルでn=1、n=2の理論構造に相当するM+=770,M+=1200のピークが確認されたことから、得られたエポキシ樹脂は前記構造式Ep-1aで表される構造のエポキシ樹脂であることが確認された。得られたエポキシ樹脂は、前記構造式Ep-1aにおいてn=0の化合物と、n=1以上の化合物との混合物であり、GPCで確認したところ該混合物中n=0の化合物を20質量%の割合で含有するものであった。また、このエポキシ樹脂(Ep-1a)のエポキシ当量は462g/eq.、粘度は12000mPa・s(25℃,キャノンフェンスケ法)、エポキシ当量から算出される前記構造式Ep-1a中のnの平均値は、n≧1の成分で2.97、及びn≧0の成分で1.35であった。
[硬化剤]
・ジシンアミド DICY7 (三菱ケミカル株式会社製)、固体硬化剤
・アジピン酸ジヒドラジド ADH(大塚化学株式会社製)、固体硬化剤
・酸無水物 YH-307(三菱ケミカル株式会社製)、液体硬化剤
・フェノールノボラック化合物 MEHC-7851SS(明和化成株式会社製)、固体硬化剤
・イミダゾール化合物1、キュアゾール2P4MHZ-PW (四国化成株式会社)、固体硬化剤
・イミダゾール化合物2、キュアゾール2E4MZ (四国化成株式会社)、液体硬化剤
・フォスフィン化合物、TPP(トリフェニルホスフィン) (北興化学工業社製)、固体硬化剤
[溶剤]
・トリエタノールアミン、トリエタノールアミン(昭和化学株式会社) 沸点360℃
・ポリエチレングリコールモノメチルエーテル ハイモールPM(東邦化学工業株式会社)、沸点300℃
・トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル ダワノールTPnB(安藤パラメミー株式会社)、沸点274℃
・ブチルカルビトールアセタート BCA(三協化学株式会社製)、沸点247℃
・ジプロピレングリコールジメチルエーテル DMM(ダイセル株式会社) 沸点175℃
・プロピレングリコールメチルエーテルアセテート ダワノールPMA(安藤パラメミー株式会社製) 沸点146℃
・1.4 ジオキサン 1.4ジオキサン(東邦化学工業株式会社製) 沸点101℃
[絶縁性放熱フィラー]
・アルミナ1 CB-A20S(昭和電工株式会社) 熱伝導率:30W/m・K、体積抵抗率:>1014Ω・cm、平均粒径:21μm
・アルミナ2 CB-P10(昭和電工株式会社) 熱伝導率:30W/m・K、体積抵抗率:>1014Ω・cm、平均粒子径:8μm
・アルミナ3 AA-07(住友化学株式会社) 熱伝導率:30W/m・K、体積抵抗率:>1014Ω・cm、平均粒子径:0.8μm
・窒化アルミニウム1 TFZ-N05P(東洋アルミニウム株式会社) 熱伝導率:170W/m・K、体積抵抗率:>1014Ω・cm、平均粒子径:5μm
・窒化アルミニウム2 TFZ-N01P(東洋アルミニウム株式会社) 熱伝導率:170W/m・K、体積抵抗率:>1014Ω・cm、平均粒子径:1.2μm
・ダイヤモンド1 CMM5/16(トーメイダイヤ株式会社) 平均粒径5.6μm 熱伝導率:1000W/m・K、体積抵抗率:>1014Ω・cm、
・ダイヤモンド2 CMM0/2(トーメイダイヤ株式会社) 平均粒径0.9μm 熱伝導率:1000W/m・K、体積抵抗率:>1014Ω・cm、
[導電フィラー]
・銀 S211A-05(大研化学工業株式会社) 熱伝導率:420W/m・K、体積抵抗率:1.6×10-8Ω・cm、平均粒子径:1.2μm
[分散剤]
・分散剤、DISPERBYK-145(BYK製)
[チキソトロピック剤]
・有機チキソトロピック剤、変性ウレア BYK-410(BYK製)
[シランカップリング剤]
・3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン KBM-403(信越化学工業株式会社製)
[着色剤]
カーボンブラック ♯8300(東海カーボン社製)
(実施例1~21、比較例1~5)
表1又は2に示す各成分を表に示す質量部数で混合し、脱泡を行うことで、保護膜用放熱樹脂組成物を作製した。該保護膜用放熱樹脂組成物を用いて以下の各種評価を行い、結果を表1~2に示した。
[評価]
(1)粘度の測定
B型粘度計(東機産業社製「TVB-10型」)を用いて保護膜用放熱樹脂組成物の25℃における50rpmでの粘度(Pa・s)を測定し粘度Xを測定した。
また、上記B型粘度計を用いて保護膜用放熱樹脂組成物の25℃における5rpmでの粘度(Pa・s)を測定し粘度Yを測定した。
測定した粘度X及び粘度Yにより、粘度比(粘度Y/粘度X)を求めた
(2)スクリーン印刷性
スクリーン印刷機(型番:DP-320、ニューロング精密工業株式会社製)を用いて、各実施例及び比較例の保護膜用放熱樹脂組成物を、アルミナ基板上に100回スクリーン印刷を行った。以下の評価基準で評価した。なお、スクリーン印刷において、印刷物(保護膜用放熱樹脂組成物)に溶剤の揮発により乾きが発生すると、スクリーン印刷を適切に実施することができない。
(評価基準)
A:100回以上でスクリーン上の保護膜用放熱樹脂組成物に乾きが無い。
B:100回までにスクリーン上の保護膜用放熱樹脂組成物が乾く。
C:50回までにスクリーン上の保護膜用放熱樹脂組成物が乾く。
(3)発熱ピーク温度の測定
各実施例及び比較例の保護膜用放熱樹脂組成物から、各実施例及び比較例の保護膜用放熱樹脂組成物に溶剤を希釈倍率10倍(質量比)添加して溶解させ、遠心分離機を用いて溶剤に不溶な成分を分離した。樹脂組成物を含有している溶解液から溶媒を真空乾燥により除去し、測定用の試料を作製した。該試料を用いて、示差走査熱量計日立ハイテクノロジーズ社製、「DSC 7000X」で40℃から300℃まで10℃/minで昇温させ、DSC曲線を描き、描いたDSC曲線から発熱ピーク温度を読み取った。
以下の熱伝導率及び絶縁性の評価に使用した試料(シート)は次のように作製した。
各実施例及び比較例の保護膜用放熱樹脂組成物を膜厚500μmになるようにPETフィルム上にアプリケーターを使用して塗工し、120℃10分間、160℃30分間乾燥させ、200℃30分間硬化させてシートを作製した。
(4)熱伝導率の評価
上記シートを10mm×10mmにカットして評価サンプルとした。NETZSCH社製、品番「LFA447 ナノフラッシュ」を使用して、熱伝導率を測定した。
(5)絶縁性の評価
各実施例及び比較例の保護膜用放熱樹脂組成物を100mm×100mmのアルミナ基板上にスクリーン印刷し、雰囲気温度120℃で10分、160℃で30分間乾燥、200℃で30分間かけて加熱硬化しテストサンプルを得た。これを25℃50%RHで一晩放置した後に、耐電圧試験機(ETECH Electronics社製「MODEL7473」)を用いて、テストサンプル間に0.33kV/秒の速度で電圧が上昇するように、温度25℃にて交流電圧を印加した。テストサンプルに10mAの電流が流れた電圧を絶縁破壊電圧とした。絶縁破壊電圧をテストサンプルの厚みで除算することで規格化し、絶縁破壊強度を算出した。絶縁破壊強度を以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:0.2kV/μm以上
B:0.1kV/μm以上0.2kV/μm未満
C:0.1kV/μm未満
(5’)耐熱試験後の絶縁性の評価
上記(5)で得られたテストサンプルを、300℃10分加熱し、耐電圧試験機(ETECH Electronics社製「MODEL7473」)を用いて、テストサンプル間に0.33kV/秒の速度で電圧が上昇するように、温度25℃にて交流電圧を印加した。テストサンプルに10mAの電流が流れた電圧を絶縁破壊電圧とした。(5)で得られた絶縁破壊強度からの低下度合いを以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:5%未満の低下率
B:5%以上、10%未満の低下率
C:10%以上の低下率
(6)チップ抵抗器の作製
評価用チップ抵抗器の作製方法を説明する。先ず図1に示すように板状の絶縁基板11(日本カーバイド製、96%アルミナ基板、3216サイズ用)の上に1対の上面電極12を形成し、その表面に部分的に重なるように1kΩ/□の抵抗ペースト(デュポン社製、商品名:0031Z)をスクリーン印刷した後、乾燥及び焼成し抵抗体13を形成した。その際、レーザートリミングの代わりに、抵抗体13長辺方向の中心部、抵抗体13短辺の片側から、長さが上記1対上面電極11の間隔1/3、幅が抵抗体13の短辺長さの1/2である溝を、スクリーン版形状設計で形成した。
次に、上記の抵抗体13の表面上に、前記実施例から得られた保護膜用放熱樹脂組成物をスクリーン印刷機で抵抗体13の上に印刷し、雰囲気温度120℃で10分、160℃で30分間乾燥、200℃で30分間かけて加熱硬化することにより、抵抗体13の表面を完全に覆う形状の保護膜16を形成した。その際、比較するため、硬化後の保護膜は、厚みが30μm±2μmと揃えるように形成した。
予め板状の絶縁基板11の上に形成したY方向のスリット溝に従ってブレークし、端面に導電性接着剤(藤倉化成社製、商品名FA-874)を塗布し、150℃で30分間硬化させた。
更にX方向のスリット溝に従ってブレークし、評価用チップ抵抗器を完成した。
上記、評価用チップ抵抗器を導電性接着剤でR-1566基板に実装したのち150℃で30分間硬化させて評価用基板を完成した。
(7)ボイド
上記工程で作製した硬化後の保護膜付アルミナ基板をX,Yスリット溝に沿ってブレークし、クロスセッションポリッシャー(JEOL製、IB-19520CCP)にて断面研磨し、SEM(日立ハイテクノロジーズ製、S-4300SE/N)で観察した。得られた画像を2値化し、白色部をフィラーと樹脂、黒色部をボイドとして画像解析を行い、保護膜全体のボイドの占有面積率(100×観察断面における黒色部の面積/断面の面積)を求めた。
(評価基準)
S:ボイド占有面積率が3%以下
A:ボイド占有面積率が3%超5%以下
B:ボイド占有面積率が5%超10%以下
C:ボイド占有面積率が10%超
(8)放熱性
上記工程で作製した評価用基板について、下記の計算式で算出した定格電力となる電圧を印加して5分後にサーモグラフィーでホットスポットの温度を測定した。
計算式:V(電圧)=√〔P(定格電力)×R(抵抗値)〕
(評価基準)
S:ホットスポットの温度が90℃未満の場合
A:ホットスポットの温度が90℃以上100℃未満の場合
B:ホットスポットの温度が100℃以上110℃未満の場合
C:ホットスポットの温度が110℃以上120℃未満の場合
D:ホットスポットの温度が120℃以上の場合
Figure 2022052765000007
Figure 2022052765000008
各実施例で作製した本発明の保護膜用放熱樹脂組成物の硬化物(保護膜)は、ボイドが少なく、絶縁性及び放熱性にも優れていた。
一方、比較例1~3で作製した保護膜は、ボイドが多く、絶縁性及び放熱性に劣っていた。比較例5で作製した保護膜は、絶縁性放熱フィラーの代わりに導電フィラーを用いているため、絶縁性に劣っていた。比較例4の保護膜はスクリーン印刷性が悪く、そのためチップ抵抗器を作製することができなかった。
10 チップ抵抗器
11 絶縁基板
11a 端面
11b 端面
12 上面電極
13 抵抗体
14 アンダーコート層
15 切込部
16 保護膜

Claims (12)

  1. 熱硬化性樹脂、絶縁性放熱フィラー、硬化剤、及び溶剤を含む保護膜用放熱樹脂組成物であって、前記溶剤の沸点が120~340℃であり、
    前記保護膜用放熱樹脂組成物のうち、熱硬化性樹脂、硬化剤を含む溶剤に可溶な成分のみで構成された試料の示差走査熱量計によって測定される発熱ピーク温度が140℃以上である、保護膜用放熱樹脂組成物。
  2. 前記絶縁性放熱フィラーの熱伝導率が10W/m・K以上であり、体積抵抗率が1.0×1010Ω・cm以上である請求項1に記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
  3. 前記絶縁性放熱フィラーの熱伝導率が300W/m・K以下である、請求項1又は2に記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
  4. 前記絶縁性放熱フィラーの平均粒子径が1.0μm以上15μm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
  5. 溶剤を除く保護膜用放熱樹脂組成物に対する前記絶縁性放熱フィラーの含有量が60質量%以上である、請求項1~4のいずれかに記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
  6. 前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である、請求項1~5のいずれかに記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
  7. 前記熱硬化性樹脂がビスマレイミド樹脂である、請求項1~5のいずれかに記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
  8. 回転式粘度計で25℃、50rpmで測定した粘度Xが30~100Pa・sであり、粘度Xに対する、回転粘度計で25℃、5rpmで測定した粘度Yの粘度比(粘度Y/粘度X)が1.5以上である、請求項1~7のいずれかに記載の保護膜用放熱樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の組成物の硬化物からなる保護膜。
  10. 請求項1~8のいずれかに記載の組成物の硬化物からなる抵抗器用保護膜。
  11. 請求項9に記載の保護膜を備える、電子部品。
  12. 請求項9に記載の保護膜を備える、チップ抵抗器。
JP2021154806A 2020-09-23 2021-09-22 保護膜用放熱樹脂組成物、保護膜、及び電子部品 Pending JP2022052765A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020159103 2020-09-23
JP2020159103 2020-09-23

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022052765A true JP2022052765A (ja) 2022-04-04

Family

ID=80948886

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021154806A Pending JP2022052765A (ja) 2020-09-23 2021-09-22 保護膜用放熱樹脂組成物、保護膜、及び電子部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022052765A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023002874A1 (ja) * 2021-07-20 2023-01-26 リンテック株式会社 樹脂シート

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023002874A1 (ja) * 2021-07-20 2023-01-26 リンテック株式会社 樹脂シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101343402B (zh) 印刷电路板用高导热、高玻璃化转变温度的树脂组合物及其预浸渍体及涂层物
JP4890063B2 (ja) 樹脂組成物、並びにこの樹脂組成物を用いて得たワニス、フィルム状接着剤及びフィルム状接着剤付き銅箔
JP5045803B2 (ja) 導電性組成物および太陽電池セル
KR101212389B1 (ko) 열경화성 수지 조성물 및 그것을 이용한 다층 인쇄 배선판
CN105418970B (zh) 无机填料和包含该无机填料的环氧树脂组合物
JP6212660B1 (ja) 熱硬化性材料及び硬化物
TWI698484B (zh) 無溶劑之樹脂組合物及其應用
JP2013098217A (ja) パワー半導体モジュール用部品の製造方法
JP2022052765A (ja) 保護膜用放熱樹脂組成物、保護膜、及び電子部品
US7271206B2 (en) Organic-inorganic hybrid compositions with sufficient flexibility, high dielectric constant and high thermal stability, and cured compositions thereof
JP5527901B2 (ja) 太陽電池集電電極形成用導電性組成物および太陽電池セル
WO2021125248A1 (ja) チップ抵抗器保護膜用放熱樹脂組成物、チップ抵抗器保護膜、及び電子部品
DE112020002972T5 (de) Wärmehärtbare harzzusammensetzung, harzplatte und metallgrundsubstrat
JP7028704B2 (ja) 熱硬化性材料
JP6560599B2 (ja) 熱硬化性シート、硬化物シート及び積層体
JP5092050B1 (ja) 積層体
JP2022052612A (ja) 保護膜用放熱樹脂組成物、保護膜、及び電子部品
TWI656172B (zh) 無溶劑之樹脂組合物及其應用
JP2018106906A (ja) 電極用ペーストおよび積層セラミック電子部品
JP2009224110A (ja) 絶縁シート及び積層構造体
JP7478872B1 (ja) 熱硬化性樹脂組成物、硬化物およびプリント配線板
JP7478871B1 (ja) 熱硬化性樹脂組成物、硬化物およびプリント配線板
CN103531267A (zh) 太阳能电池集流电极形成用导电性组合物及太阳能电池单元
JP2013194094A (ja) 樹脂組成物、樹脂フィルム、及び硬化物
JP2023122244A (ja) 樹脂組成物及び半導体装置