JP7473605B2 - 内燃機関の油路構造 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、シリンダヘッドカバーの内面にオイル滴下部及び誘導リブを備えた構造が開示されている。オイル滴下部は、バルブステムエンド又は動弁機構のカムと上下に対向している。誘導リブは、オイル滴下部から下方に向け且つオイル戻し室側に向けて延びている。
(1)本発明の態様に係る内燃機関の油路構造は、内燃機関(7)のクランクケース(10)に取り付けられるシリンダブロック(21)と、前記シリンダブロック(21)に取り付けられ、動弁機構(41)が収容されるシリンダヘッド(22)と、前記シリンダヘッド(22)に取り付けられ、前記動弁機構(41)を覆うヘッドカバー(23)と、を備え、前記ヘッドカバー(23)は、前記ヘッドカバー(23)において前記動弁機構(41)に臨む内面(23a)に、オイルを供給するためのオイル供給部(101)と、前記オイル供給部(101)から少なくとも2方向へ分岐して延びる複数のリブ(111,112)と、を備え、前記オイル供給部(101)は、前記クランクケース(10)から供給される前記オイルの通路(105,106)に通じる給油口(102)と、前記給油口(102)の周囲に形成され、前記複数のリブ(111,112)の少なくとも一つに指向する凹部(103)と、を有し、前記動弁機構(41)は、吸気バルブステム(42a)を有し、前記内燃機関(7)の燃焼室(30)に混合気を供給する吸気バルブ(42)と、排気バルブステム(43a)を有し、前記燃焼室(30)で燃焼した前記混合気を排出する排気バルブ(43)と、前記吸気バルブ(42)と前記排気バルブ(43)とを動作させるカムシャフト(44)と、前記カムシャフト(44)に接する吸気ローラー部(45a)を有し、前記吸気バルブ(42)を開閉する吸気ロッカーアーム(45)と、前記カムシャフト(44)に接する排気ローラー部(46a)を有し、前記排気バルブ(43)を開閉する排気ロッカーアーム(46)と、を含み、前記複数のリブ(111,112)は、前記給油口(102)から供給される前記オイルを前記排気バルブステム(43a)と前記排気ローラー部(46a)とに向けて導くように延びる第1リブ(111)と、前記給油口(102)から供給される前記オイルを前記カムシャフト(44)の軸受部(50)に向けて導くように延びる第2リブ(112)と、を含む。
オイル供給部から少なくとも2方向へ分岐して延びる複数のリブを備えることで、オイル供給部からのオイルを分岐して供給することができる。加えて、給油口の周囲に形成され、複数のリブの少なくとも一つに指向する凹部を有することで、給油口からのオイルを目的の方向に優先的に供給することができる。したがって、最適な給油配分とすることができる。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与する。
加えて、ヘッドカバーに複数のリブを備えることで、ヘッドカバーの剛性が向上する。そのため、内燃機関の振動を抑えることができる。
第1リブにより、給油口からのオイルを排気バルブステム及び排気ローラー部に供給することができる。第1リブは、冷却を目的として排気バルブステムに給油することができる。加えて、第2リブにより、給油口からのオイルをカムシャフトの軸受部に供給することができる。第2リブは、潤滑を目的としてカムシャフトの軸受部に給油することができる。このように第1リブ及び第2リブにより、給油口からのオイルを分岐して給油することができるため、給油量を抑えつつ内燃機関を高回転化することができる。
給油口により、オイルを吸気バルブステムに供給することができる。これにより、排気バルブよりも吸気バルブへの給油量を多くした構造となるので、ノッキングが発生しやすい吸気側を効果的に冷却することができる。したがって、ノッキングを抑えることができる。
凹部により、給油口からのオイルを第1リブが延びる方向に向かって優先的に供給することができる。第1リブは排気バルブステムの冷却を目的とするため、内燃機関を高回転化することができる。
第1隆起部により、第1リブに沿って流れるオイルを排気バルブステムに供給することができる。加えて、第2隆起部により、第1リブに沿って流れるオイルを排気ローラー部に供給することができる。
第2隆起部の高さが第1隆起部の高さよりも高い場合と比較して、第1リブに沿って流れるオイルを第1隆起部及び第2隆起部に導きやすい。したがって、排気バルブステム及び排気ローラー部への給油量を好適にすることができる。
第1リブ、第2リブ及び第3リブで囲まれる領域により、カムシャフトが回転した際に飛散したオイルを集約することができる。集約したオイルは、第3リブに向かって流れることで、再利用することができる。そのため、必要以上に給油量を増大させることなく、内燃機関を高回転化することができる。
第3隆起部により、第3リブに沿って流れるオイルをカムシャフトの軸受部に供給することができる。集約したオイルは、第3リブに向かって流れることで、カムシャフトの軸受部への給油に再利用することができる。そのため、必要以上に給油量を増大させることなく、内燃機関を高回転化することができる。
第4隆起部により、第3リブに沿って流れるオイルを吸気ローラー部に供給することができる。集約したオイルは、第3リブに向かって流れることで、吸気ローラー部への給油に再利用することができる。そのため、必要以上に給油量を増大させることなく、内燃機関を高回転化することができる。
ヘッドカバーが第4リブを更に備えることで、ヘッドカバーの剛性が更に向上する。そのため、内燃機関の振動をより効果的に抑えることができる。
図1に示すように、自動二輪車1は、前輪2および後輪3と、前輪2を支持するフロントフォーク4と、後輪3を支持するスイングアーム5と、フロントフォーク4およびスイングアーム5を支持する車体フレーム6と、車体フレーム6に支持されるエンジン7(内燃機関、原動機)と、を備える。
動弁機構41は、燃焼室30に混合気を供給する吸気バルブ42と、燃焼室30で燃焼した混合気を排出する排気バルブ43と、吸気バルブ42と排気バルブ43とを動作させるカムシャフト44と、吸気バルブ42を開閉する吸気ロッカーアーム45と、排気バルブ43を開閉する排気ロッカーアーム46と、を含む。
排気バルブ43は、排気バルブステム43aを有する。排気バルブステム43aは、排気バルブガイド35に挿通されている。
図中において、符号47は各バルブステム42a,43aの上側に組み付けられたばねシート、符号48はバルブばね、符号49はリテーナをそれぞれ示す。
図5に示すように、ヘッドカバー23は、動弁機構41に臨む内面23aを有する。ヘッドカバー23は、動弁機構41に臨む内面23aに、エンジンオイル(以下単にオイルという。)を供給するためのオイル供給部101と、オイル供給部101から2方向へ分岐して延びる第1リブ111及び第2リブ112(複数のリブ)と、を備える。
第1隆起部121は、第1リブ111においてオイル供給部101とは反対側の位置に設けられている。第1隆起部121は、第1リブ111の前部において排気バルブステム43aに向かって隆起している。第1隆起部121は、下方に向かって凸のV字状に形成されている。第1隆起部121は、排気バルブステム43aの上部と上下方向に対向している。
次に、給油口からのオイルの流れの一例を説明する。図7に示すように、給油口102は、クランクケース10から供給されるオイルの通路(スタッドボルト孔105、油路106等)に通じている。図中符号106は、クランクケース10から供給されるオイルの通路を構成する油路の一部を示す。図中矢印W1は、第1リブ111がオイル供給部101から延びる方向に相当する。
以上説明したように、上記実施形態の内燃機関の油路構造100は、内燃機関のクランクケース10に取り付けられるシリンダブロック21と、シリンダブロック21に取り付けられ、動弁機構41が収容されるシリンダヘッド22と、シリンダヘッド22に取り付けられ、動弁機構41を覆うヘッドカバー23と、を備え、ヘッドカバー23は、ヘッドカバー23において動弁機構41に臨む内面23aに、オイルを供給するためのオイル供給部101と、オイル供給部101から2方向へ分岐して延びる複数のリブ111,112と、を備え、オイル供給部101は、クランクケース10から供給されるオイルの通路105,106に通じる給油口102と、給油口102の周囲に形成され、複数のリブ111,112の一つに指向する凹部103と、を有する。
この構成によれば、オイル供給部101から2方向へ分岐して延びる複数のリブ111,112を備えることで、オイル供給部101からのオイルを分岐して供給することができる。加えて、給油口102の周囲に形成され、複数のリブ111,112の一つに指向する凹部103を有することで、給油口102からのオイルを目的の方向に優先的に供給することができる。したがって、最適な給油配分とすることができる。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与する。
加えて、ヘッドカバー23に複数のリブ111,112を備えることで、ヘッドカバー23の剛性が向上する。そのため、内燃機関の振動を抑えることができる。
この構成によれば、第1リブ111により、給油口102からのオイルを排気バルブステム43a及び排気ローラー部46aに供給することができる。第1リブ111は、冷却を目的として排気バルブステム43aに給油することができる。加えて、第2リブ112により、給油口102からのオイルをカムシャフト44の軸受部50に供給することができる。第2リブ112は、潤滑を目的としてカムシャフト44の軸受部50に給油することができる。このように第1リブ111及び第2リブ112により、給油口102からのオイルを分岐して給油することができるため、給油量を抑えつつ内燃機関を高回転化することができる。
この構成によれば、給油口102により、オイルを吸気バルブステム42aに供給することができる。これにより、排気バルブ43よりも吸気バルブ42への給油量を多くした構造となるので、ノッキングが発生しやすい吸気側を効果的に冷却することができる。したがって、ノッキングを抑えることができる。
この構成によれば、凹部103により、給油口102からのオイルを第1リブ111が延びる方向W1に向かって優先的に供給することができる。第1リブ111は排気バルブステム43aの冷却を目的とするため、内燃機関を高回転化することができる。
この構成によれば、第1隆起部121により、第1リブ111に沿って流れるオイルを排気バルブステム43aに供給することができる。加えて、第2隆起部122により、第1リブ111に沿って流れるオイルを排気ローラー部46aに供給することができる。
この構成によれば、第2隆起部122の高さH2が第1隆起部121の高さH1よりも高い場合と比較して、第1リブ111に沿って流れるオイルを第1隆起部121及び第2隆起部122に導きやすい。したがって、排気バルブステム43a及び排気ローラー部46aへの給油量を好適にすることができる。
この構成によれば、第1リブ111、第2リブ112及び第3リブ113で囲まれる領域130により、カムシャフト44が回転した際に飛散したオイルを集約することができる。集約したオイルは、第3リブ113に向かって流れることで、再利用することができる。そのため、必要以上に給油量を増大させることなく、内燃機関を高回転化することができる。
この構成によれば、第3隆起部123により、第3リブ113に沿って流れるオイルをカムシャフト44の軸受部50に供給することができる。集約したオイルは、第3リブ113に向かって流れることで、カムシャフト44の軸受部50への給油に再利用することができる。そのため、必要以上に給油量を増大させることなく、内燃機関を高回転化することができる。
この構成によれば、第4隆起部124により、第3リブ113に沿って流れるオイルを吸気ローラー部45aに供給することができる。集約したオイルは、第3リブ113に向かって流れることで、吸気ローラー部45aへの給油に再利用することができる。そのため、必要以上に給油量を増大させることなく、内燃機関を高回転化することができる。
この構成によれば、ヘッドカバー23が第4リブ114を更に備えることで、ヘッドカバー23の剛性が更に向上する。そのため、内燃機関の振動をより効果的に抑えることができる。
上記実施形態では、複数のリブが、給油口から供給されるオイルを排気バルブステムと排気ローラー部とに向けて導くように延びる第1リブと、給油口から供給されるオイルをカムシャフトの軸受部に向けて導くように延びる第2リブと、を含む例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、複数のリブは、オイル供給部から3方向以上の方向へ分岐して延びていてもよい。例えば、複数のリブは、オイル供給部から少なくとも2方向へ分岐して延びていてもよい。例えば、複数のリブの構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
また、本発明は、原動機に電気モータを含む車両に適用してもよい。また、鞍乗り型車両以外の車両(乗用車、バス、トラック等)に適用してもよい。
さらに、本実施形態の内燃機関は車両に適用されるものであるが、本発明は車両への適用に限らず、航空機や船舶等の種々輸送機器、ならびに建設機械や産業機械等、様々な乗物や移動体に適用してもよい。さらに、本発明は、乗物以外でも内燃機関を備える機器であれば、例えば手押しの芝刈り機や清掃機等に広く適用可能である。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
10 クランクケース
21 シリンダブロック
22 シリンダヘッド
23 ヘッドカバー
30 燃焼室
41 動弁機構
42 吸気バルブ
42a 吸気バルブステム
43 排気バルブ
43a 排気バルブステム
44 カムシャフト
45 吸気ロッカーアーム
45a 吸気ローラー部
46 排気ロッカーアーム
46a 排気ローラー部
50 左カム軸受(軸受部)
100 内燃機関の油路構造
101 オイル供給部
102 給油口
103 凹部
105 スタッドボルト孔(オイルの通路)
106 油路(オイルの通路)
111 第1リブ
112 第2リブ
113 第3リブ
114 第4リブ
121 第1隆起部
122 第2隆起部
123 第3隆起部
124 第4隆起部
140 カバー取付部
H1 第1隆起部の高さ
H2 第2隆起部の高さ
W1 第1リブがオイル供給部から延びる方向
Claims (9)
- 内燃機関(7)のクランクケース(10)に取り付けられるシリンダブロック(21)と、
前記シリンダブロック(21)に取り付けられ、動弁機構(41)が収容されるシリンダヘッド(22)と、
前記シリンダヘッド(22)に取り付けられ、前記動弁機構(41)を覆うヘッドカバー(23)と、を備え、
前記ヘッドカバー(23)は、
前記ヘッドカバー(23)において前記動弁機構(41)に臨む内面(23a)に、オイルを供給するためのオイル供給部(101)と、
前記オイル供給部(101)から少なくとも2方向へ分岐して延びる複数のリブ(111,112)と、を備え、
前記オイル供給部(101)は、
前記クランクケース(10)から供給される前記オイルの通路(105,106)に通じる給油口(102)と、
前記給油口(102)の周囲に形成され、前記複数のリブ(111,112)の少なくとも一つに指向する凹部(103)と、を有し、
前記動弁機構(41)は、
吸気バルブステム(42a)を有し、前記内燃機関(7)の燃焼室(30)に混合気を供給する吸気バルブ(42)と、
排気バルブステム(43a)を有し、前記燃焼室(30)で燃焼した前記混合気を排出する排気バルブ(43)と、
前記吸気バルブ(42)と前記排気バルブ(43)とを動作させるカムシャフト(44)と、
前記カムシャフト(44)に接する吸気ローラー部(45a)を有し、前記吸気バルブ(42)を開閉する吸気ロッカーアーム(45)と、
前記カムシャフト(44)に接する排気ローラー部(46a)を有し、前記排気バルブ(43)を開閉する排気ロッカーアーム(46)と、を含み、
前記複数のリブ(111,112)は、
前記給油口(102)から供給される前記オイルを前記排気バルブステム(43a)と前記排気ローラー部(46a)とに向けて導くように延びる第1リブ(111)と、
前記給油口(102)から供給される前記オイルを前記カムシャフト(44)の軸受部(50)に向けて導くように延びる第2リブ(112)と、を含む、
内燃機関の油路構造。 - 前記給油口(102)は、前記吸気バルブステム(42a)に臨む、
請求項1に記載の内燃機関の油路構造。 - 前記凹部(103)は、前記第1リブ(111)が前記オイル供給部(101)から延びる方向(W1)に向かって先細りとなる形状である、
請求項1又は2に記載の内燃機関の油路構造。 - 前記第1リブ(111)は、
前記第1リブ(111)において前記オイル供給部(101)とは反対側の位置で、前記排気バルブステム(43a)に向かって隆起する第1隆起部(121)と、
前記第1リブ(111)と前記第2リブ(112)との分岐部と前記第1隆起部(121)との間の位置で、前記排気ローラー部(46a)に向かって隆起する第2隆起部(122)と、を有する、
請求項1又は2に記載の内燃機関の油路構造。 - 前記第1隆起部(121)の高さ(H1)は、前記第2隆起部(122)の高さ(H2)よりも高い、
請求項4に記載の内燃機関の油路構造。 - 前記ヘッドカバー(23)は、前記第1リブ(111)と交差し且つ前記第2リブ(112)に接続される第3リブ(113)を更に含む、
請求項4に記載の内燃機関の油路構造。 - 前記第2リブ(112)は、前記カムシャフト(44)の軸受部(50)に向かって隆起する第3隆起部(123)を有し、
前記第3リブ(113)は、前記第2隆起部(122)で前記第1リブ(111)と交差し且つ前記第3隆起部(123)で前記第2リブ(112)に接続される、
請求項6に記載の内燃機関の油路構造。 - 前記第3リブ(113)は、前記第2隆起部(122)と前記第3隆起部(123)との間の位置で、前記吸気ローラー部(45a)に向かって隆起する第4隆起部(124)を有する、
請求項7に記載の内燃機関の油路構造。 - 前記ヘッドカバー(23)は、
前記ヘッドカバー(23)において前記動弁機構(41)に臨む内面(23a)に、前記ヘッドカバー(23)を取り付けるためのカバー取付部(140)と、
前記カバー取付部(140)に接続され且つ前記第2リブ(112)及び前記第3リブ(113)と交差する第4リブ(114)と、を更に含む、
請求項6に記載の内燃機関の油路構造。
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