JP7470308B2 - 液体入り容器、液体入り組合せ容器、容器、栓及び液体入り容器の製造方法 - Google Patents

液体入り容器、液体入り組合せ容器、容器、栓及び液体入り容器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体入り容器、液体入り組合せ容器、容器セット及び液体入り容器の製造方法に関する。
液体を収容する容器が知られている(例えば特許文献1)。液体の種類によっては、容器内で液体が酸素によって分解する。この不具合に対処するため、酸素バリア性を有する容器を使用することが考えられる。
特開2011-212366号公報
しかしながら、液体の製造時に酸素が液体に溶解し得る。酸素バリア性を有した容器では、液体中の溶存酸素に起因した液体の劣化に対処できない。すなわち、従来技術では、容器に収容された液体の酸素劣化を十分に抑制できていない。
例えばバイアル瓶のような、容器本体と、容器本体の開口部を閉鎖する栓と、を備える容器については、容器に収容された液体の酸素劣化を抑制する方法として、以下の方法が考えられる。栓が容器本体の開口部を閉鎖した状態で、容器内の酸素を、栓を透過させて容器外に排出することにより、容器内の酸素濃度を低下させる。これによって、容器に収容された液体の酸素劣化を抑制する。
一方で、バイアル瓶のような容器の栓の材料が、容器に収容された液体に接触する場合に、液体が栓の材料と反応して劣化し得る。液体が栓の材料と反応して劣化することを抑制するために、栓の液体と接し得る部分を、反応性の低いバリア層で構成することも考えられる。しかしながら、この場合、バリア層が酸素の栓の透過を妨げ得る。
本開示は、容器に収容された液体が栓の材料と反応することを抑制しつつ、容器内の酸素を、栓を透過させて容器外に排出することを目的とする。
本開示による液体入り容器は、
液体を収容した液体入り容器であって、
開口部を有した容器本体と、前記開口部を閉鎖し且つ酸素透過性を有する栓と、を備え、
前記栓は、栓本体部と、前記栓本体部の表面の少なくとも一部に設けられたバリア層と、を有し、
前記バリア層は、前記栓の少なくとも前記容器本体の内部に挿入される部分の面及び前記液体の収容空間を区画する面を構成し、パラキシリレン層、ダイヤモンドライクカーボン層及びフッ素系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
本開示による液体入り容器において、
前記栓本体部はシリコーンを含んでもよい。
本開示による液体入り容器において、
前記栓の全体の酸素透過係数αall(cm・20μm/(m・day・atm))、前記栓本体部の厚みw1(μm)、前記バリア層の厚みw2(μm)及び前記開口部の開口面積A(m)が、以下の式(1)を満たしてもよい。
Figure 0007470308000001
本開示による液体入り容器において、
前記栓本体部の酸素透過係数α1(cm・20μm/(m・day・atm))、前記バリア層の酸素透過係数α2(cm・20μm/(m・day・atm))及び前記バリア層の厚みw2(μm)が、以下の式(2)を満たしてもよい。
Figure 0007470308000002
本開示による液体入り容器において、
前記バリア層は、前記パラキシリレン層又は前記ダイヤモンドライクカーボン層のいずれか一方からなり、
前記バリア層の厚みは、1000nm以下であってもよい。
本開示による液体入り容器において、
前記バリア層は、前記パラキシリレン層又は前記ダイヤモンドライクカーボン層のいずれか一方からなり、
前記バリア層の厚みは、200nm以上であってもよい。
本開示による液体入り容器において、
前記バリア層は、前記フッ素系樹脂層からなり、
前記バリア層の厚みは、50μm以下であってもよい。
本開示による液体入り容器において、
前記バリア層は、前記フッ素系樹脂層からなり、
前記バリア層の厚みは、10μm以上であってもよい。
本開示による液体入り容器において、
前記栓本体部は、前記栓の、前記液体入り容器の外面をなす面を構成してもよい。
本開示による液体入り容器において、
前記栓本体部は、前記栓の、前記容器本体の前記開口部の端部に接触する面を構成してもよい。
本開示による液体入り容器において、
前記容器本体は酸素バリア性を有してもよい。
本開示による液体入り容器において、
前記栓は、前記容器本体の前記開口部の端部に接触することによって、前記液体を密封するように、前記開口部を閉鎖してもよい。
本開示による液体入り容器において、
前記栓本体部の厚みは、0.5mm以上3mm以下であってもよい。
本開示による液体入り容器において、
前記容器本体と、前記栓と、を有する容器の全体の酸素透過量は、0.9(cm/(day・atm))以上である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の液体入り容器。
本開示による液体入り容器において、
前記栓の酸素透過量は、2(cm/(day・atm))以上である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の液体入り容器。
本開示による液体入り容器において、
前記栓の厚みは、0.5mm以上3mm以下である、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の液体入り容器。
本開示による液体入り組合せ容器は、
上記記載の液体入り容器と、
前記液体入り容器を収容し、酸素バリア性を有するバリア性容器と、を備える。
本開示による液体入り組合せ容器は、
前記バリア性容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられていてもよい。
本開示による容器は、
液体を収容する容器であって、
開口部を有した容器本体と、前記開口部を閉鎖し且つ酸素透過性を有する栓と、を備え、
前記栓は、シリコーンを含む栓本体部と、前記栓本体部の表面の少なくとも一部に設けられたバリア層と、を有し、
前記バリア層は、前記栓の少なくとも前記容器本体の内部に挿入される部分の面及び前記液体の収容空間を区画する面を構成し、パラキシリレン層、ダイヤモンドライクカーボン層及びフッ素系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
本開示による栓は、
液体を収容する容器の、容器本体の開口部を閉鎖し且つ酸素透過性を有する栓であって、
シリコーンを含む栓本体部と、前記栓本体部の表面の少なくとも一部に設けられたバリア層と、を備え、
前記バリア層は、前記栓の少なくとも前記容器本体の内部に挿入される部分の面及び前記液体の収容空間を区画する面を構成し、パラキシリレン層、ダイヤモンドライクカーボン層及びフッ素系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
本開示による液体入り容器の製造方法は、
容器を収容したバリア性容器を閉鎖する工程と、
前記容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
前記容器は、液体を収容し、且つ開口部を有する容器本体と、前記開口部を閉鎖し且つ酸素透過性を有する栓と、を有し、
前記栓は、シリコーンを含む栓本体部と、前記栓本体部の表面の少なくとも一部に設けられたバリア層と、を有し、
前記バリア層は、前記栓の少なくとも前記容器本体の内部に挿入される部分の面及び前記液体の収容空間を区画する面を構成し、パラキシリレン層、ダイヤモンドライクカーボン層及びフッ素系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
前記酸素量を調整する工程において、前記容器内の酸素が前記栓を透過して前記容器内の酸素濃度が低下する。
本発明によれば、容器に収容された液体が栓の材料と反応することを抑制しつつ、容器内の酸素を、栓を透過させて容器外に排出できる。
図1は、本開示による一実施の形態を説明するための図であって、液体入り組合せ容器の一例を示す斜視図である。 図2Aは、図1の液体入り組合せ容器に含まれ得る液体入り容器を示す縦断面図である。 図2Bは、図2Aに示された容器の栓における酸素透過量を測定する方法を示す縦断面図である。 図2Cは、図2Aに示された容器の栓における酸素透過量を測定する他の方法を示す縦断面図である。 図3は、図2Aの液体入り容器に含まれ得る栓を示す縦断面図である。 図4は、栓の他の例を示す縦断面図である。 図5Aは、栓の更に他の例を示す縦断面図である。 図5Bは、栓の更に他の例を示す縦断面図である。 図6Aは、バリア性容器の他の例を示す斜視図である。 図6Bは、バリア性容器の更に他の例を示す平面図である。 図6Cは、バリア性容器の更に他の例を示す平面図である。 図6Dは、バリア性容器の更に他の例を示す斜視図である。 図7は、バリア性容器の更に他の例を示す斜視図である。 図8は、図1の液体入り組合せ容器及び図2Aの液体入り容器の製造方法の一例を示す図である。 図9は、図1の液体入り組合せ容器及び図2Aの液体入り容器の製造方法の一例を示す図である。 図10は、図1の液体入り組合せ容器及び図2Aの液体入り容器の製造方法の一例を示す図である。 図11は、脱酸素剤を含む脱酸素部材の一例を示す断面図である。 図12は、脱酸素剤を含む脱酸素フィルムの一例を示す断面図である。 図13は、図2Aの液体入り容器の使用方法を示す斜視図である。 図14は、栓の一変形例を示す縦断面図である。 図15は、蒸着装置の一例を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1乃至図13は、本開示の一実施の形態を説明するための図である。図1は、本実施の形態の液体入り組合せ容器10Lを示す斜視図である。図1に示すように、液体入り組合せ容器10Lは、流体Lを収容した液体入り容器30L及びバリア性容器40を有している。液体入り容器30Lは、容器30と、容器30に収容された液体Lと、を有している。容器30と、容器30を収容可能なバリア性容器40と、を併せて容器セット20と称する。バリア性容器40は、酸素バリア性を有している。バリア性容器40は、液体入り容器30Lを収容可能である。液体入り組合せ容器10Lは、液体入り容器30L及びバリア性容器40を有し、バリア性容器40は液体入り容器30Lを収容している。この液体入り組合せ容器10Lによれば、バリア性容器40内の酸素濃度を調整することにより、容器30内の酸素濃度だけでなく液体Lの酸素溶解量も調整できる。
図示された具体例を参照して液体入り組合せ容器10Lの各構成要素について更に詳述する。まず、液体入り容器30Lについて説明する。
図2Aは、図1の液体入り組合せ容器に含まれ得る液体入り容器30Lを示す縦断面図である。図2Aに示すように、液体入り容器30Lは、容器30と、容器30内に収容された液体Lと、を有している。本実施の形態における容器30は、酸素透過性を有する。その一方で、容器30は、液体Lを密封できる。すなわち、容器30は、酸素を透過可能としながら、液体Lを透過不可能とする。酸素透過性を有した容器30は、気密な容器である。
気密な容器とは、JISZ2330:2012で規定された液没法により、気体の漏れが検出されない容器を意味する。より具体的には、気体を収容した容器を水に浸漬した際に、気泡の漏れを生じさせなくできる容器は、気密な容器と判断される。また、気体を収容した容器を水に浸漬した際に、容器から気泡の漏れが確認されない状態において、気密な容器は気密な状態にあると判断される。液没試験において、試験対象となる容器は、水面から10cm以上30cm以下の深さに浸漬する。気泡の有無は、10分間に亘る目視観察により判断する。
容器30は栓34を備える。図2Aにおいては、容器30の栓34の栓本体部35とバリア層81との境界については図示を省略して、栓34の外形を示している。容器30は、栓34において酸素透過性を有する。
容器30に収容される液体Lは、特に限定されない。液体は、溶媒と溶媒中に溶けた溶質とを含む溶液であってもよい。溶媒は、特に限定されない。溶媒は水やアルコールでもよい。液体Lは、厳密な意味での液体に限られず、固体粒子が分散した懸濁液でもよい。食品としての液体Lは、茶、コーヒー、紅茶、スープ、汁、出汁、又は、これらの一以上を濃縮した濃縮液でもよい。薬品としての液体Lは、内服薬、外用薬、又は、注射剤でもよい。食品や薬品以外として、液体Lは血液や体液でもよい。
容器30の内部は無菌状態であってもよい。液体Lは無菌状態に維持されるべき液体でもよい。無菌状態に維持されるべき液体Lは、食品や薬品のように高感受性の液体を含む。高感受性の液体Lは、製造後に実施される後滅菌処理によって劣化しやすい。高感受性の液体に対し、後滅菌は適用できない。後滅菌として、高圧蒸気法、乾熱法、放射線法、酸化エチレンガス法、過酸化水素ガスプラズマ法等の滅菌が、例示される。本明細書における高感受性の液体Lは、液体Lを後滅菌することによって当該液体に含まれる全有効成分の重量割合における5%以上が分解してしまい、且つ、液体Lを後滅菌することによって当該液体に含まれる有効成分の一種以上が重量割合において1%以上分解してしまう、液体を意味する。後滅菌を適用できない高感受性の液体Lは、無菌環境に配置された製造ラインを用いて、製造され得る。すなわち、無菌操作法により製造され得る。高感受性の液体Lとして、抗癌剤や抗ウイルス剤、ワクチン、抗精神剤等が例示される。
液体Lの製造ラインが配置された空間の全体を不活性ガスで置換することによって、無菌操作法によって製造される液体Lの酸素量を調整できる。ただし、液体Lの製造ラインが配置された空間の全体を不活性ガス雰囲気とすることは、莫大な設備投資をともなう。したがって、高感受性の液体が収容された容器内の酸素量は、容器内の雰囲気を不活性ガスで置換することや、液体Lを不活性ガスでバブリングすること等に委ねられてきた。
これに対して、以下に説明する本件発明者らの工夫によれば、液体入り容器30Lをバリア性容器40内に収容することによって、バリア性容器40内の酸素濃度を十分に低減でき、例えば0.3%未満、0.1%以下、0.05%以下、0.03%未満、更には0%に低減できる。それどころか、短期間の間に、容器30内の酸素濃度(%)を十分に低減でき、更に液体L内の酸素溶解量(mg/L)を十分に低減できる。一例として、液体Lの酸素溶解量を0.15mg/L未満、0.04mg/L以下、0.03mg/L以下、0.02mg/L以下、更には0.015mg/L未満、更には0mg/Lにまで低減できる。このような本件発明者らの工夫に起因した作用効果は、技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものと言える。
なお、「滅菌済」や「無菌」等と表記された製品(液体L)及び当該製品を収容する容器の内部や、「無菌」であることが製品化の条件となって医薬品等の製品(液体L)及び当該製品を収容する容器の内部は、ここで用いる「無菌状態」に該当する。JIS T0806:2014で規定された無菌性保証水準(Sterility assurance level:SAL)が10-6満たす製品(液体L)及び当該製品を収容する容器の内部も、本明細書で用いる「無菌」に該当する。室温(例えば20℃)以上の温度で4週間保存して菌が増殖しない製品及び当該製品を収容する容器の内部も、本明細書で用いる「無菌」に該当する。冷蔵状態(例えば8℃以下)で8週間以上保存して菌が増殖しない製品及び当該製品を収容する容器の内部も、本明細書で用いる「無菌」に該当する。28℃以上32℃以下の温度で2週間保存して菌が増殖しない薬品及び当該薬品を収容する容器の内部も、本明細書で用いる「無菌」に該当する。
次に、液体Lを収容する容器30について説明する。上述したように、容器30は、液体Lを密封できる。すなわち、容器30は、液体Lを漏れなく保持できる。
図2Aに示すように、容器30は、開口部33を有した容器本体32と、開口部33を閉鎖する栓34と、を有している。
栓34について説明する。栓34は酸素透過性を有する。このため、容器30内の酸素が栓34を透過して容器30外に排出されることによって、容器30内の酸素濃度を調整できる。
栓34が酸素透過性を有するとは、栓34が容器本体32の開口部33を閉鎖した状態、且つ温度23℃および湿度40%RHの雰囲気において、酸素が、所定の酸素透過量以上で、栓34を透過して、容器30内と容器30外との間を移動可能であることを意味する。所定の酸素透過量は、0.1(cm/(day・atm))以上である。所定の酸素透過量は、1(cm/(day・atm))以上でもよく、1.2(cm/(day・atm))以上でもよく、3(cm/(day・atm))以上でもよい。酸素透過性を有した栓34によれば、栓34の酸素透過により、容器30内の酸素量を調整できる。特に、酸素透過性を有した栓34、すなわち酸素透過量が0.1(cm/(day・atm))以上である栓34によれば、容器30内の酸素を、栓34を透過させて容器30外に排出できる。特に、栓34を有する容器30と、バリア性容器40と、を備える液体入り組合せ容器10Lを製造し、液体入り組合せ容器10Lの作用によって容器30からバリア性容器40に酸素を移動させることで容器30内の酸素量を調整する場合に、容器30内の酸素量を効率良く調整できる。
栓34の酸素透過量は、2(cm/(day・atm))以上でもよい。栓34の酸素透過量は、2.2(cm/(day・atm))以上でもよく、2.4(cm/(day・atm))以上でもよく、2.9(cm/(day・atm))以上でもよい。栓34の酸素透過量が上述した数値範囲にあることによって、栓34の酸素透過により、容器30内の酸素量を効率良く調整できる。
所定の酸素透過量は、100(cm/(day・atm))以下でもよく、50(cm/(day・atm))以下でもよく、10(cm/(day・atm))以下でもよい。酸素透過量に上限を設けることにより、水蒸気等の漏出を抑制でき、酸素透過速度が速いことに起因したバリア性容器40の開放後における容器30内の液体への影響を抑制できる。酸素透過量の上述した任意の下限を酸素透過量の上述した任意の上限と組合せることによって、酸素透過量の範囲を定めてもよい。
容器30の栓34等の容器の一部分を透過する酸素透過量(cm/(day・atm))は、図2Bに示すように、当該一部分を含む試験容器70を用いて測定され得る。試験容器70は区画壁部71を含んでいる。試験容器70は、区画壁部71によって区画された内部空間を有する。区画壁部71は、容器の一部分と、酸素バリア性を有した主壁部72と、を含んでいる。容器の一部分の透過量は、試験容器70の酸素透過量(cm/(day・atm))として特定される。
試験容器70内の酸素濃度は、例えば、0.05%以下に保持される。試験容器70は、第1流路76および第2流路77に接続している。第2流路77は、酸素量を測定する酸素測定器79に接続している。酸素測定器79は、第2流路77内を流れる酸素の量(mL)を測定できる。酸素測定器79は、米国、モコン(MOCON)社製のオクストラン(OXTRAN、2/61)に用いられている酸素量測定器を使用できる。第1流路76は、試験容器70内に気体を供給する。第1流路76は、酸素を含まない気体を供給してもよい。第1流路76は、不活性ガスを供給してもよい。第1流路76は、窒素を供給してもよい。第2流路77は、試験容器70内のガスを排出する。第1流路76および第2流路77によって、試験容器70内は、酸素が実質存在しない状況に維持される。試験容器70内の酸素濃度は、0.05%以下に維持されてもよいし、0.03%未満に維持されてもよいし、0%に維持されてもよい。
試験容器70は、温度23℃および湿度40%RHの試験雰囲気に配置される。試験容器70が配置される雰囲気の酸素濃度は、試験容器70内の酸素濃度よりも高い。試験雰囲気は、空気雰囲気でもよい。空気雰囲気の酸素濃度は20.95%となる。試験容器70を試験雰囲気に配置すると、容器の一部分30Xを透過して、試験雰囲気から試験容器70内に酸素が移動する。試験容器70内の気体は、第2流路77から排出される。第2流路77内を流れる酸素の量を酸素測定器79で測定することにより、温度23℃および湿度40%RHに雰囲気において、一部分30Xを透過する一日の酸素透過量(cm/(day・atm))を測定できる。
図示された例において、試験容器70は、試験チャンバ78内に配置されている。試験チャンバ78内の雰囲気は、温度23℃および湿度40%RHに維持されている。試験チャンバ78内には、供給路78Aから空気が供給される。試験チャンバ78内の気体は、排出路78Bから排出される。供給路78Aおよび排出路78Bにより、空気が循環し、試験チャンバ78内の酸素濃度が20.95%に維持される。
図2Bに示された例において、供給路78Aおよび排出路78Bの一方に空気を循環させるためのポンプが設けられてもよい。図2Bに示された例において、供給路78Aおよび排出路78Bは、大気圧下の空気雰囲気に開放されていてもよい。さらに、試験容器70は、試験チャンバ78内に配置されていなくてもよい。試験チャンバ78を省いて、試験容器70を大気圧下の空気雰囲気中に配置してもよい。
図2Bは、容器30の酸素透過性を有した一部分30Xを例として、酸素透過量の測定方法を示している。図2Bに示された例において、区画壁部71は、容器30の酸素透過性を有した前記一部分30Xと、酸素バリア性を有した主壁部72と、によって構成されている。例えば、区画壁部71は、容器30から切り出された前記一部分30Xと、前記一部分30Xの周縁部に接続した主壁部72と、によって構成されてもよい。この主壁部72は、前記一部分30Xを露出させる貫通穴72Aを有する。貫通穴72Aの周囲部分と、前記一部分30Xに隣接する部分30Yが気密に接合されてもよい。図示された例において、前記一部分30Xに隣接する部分30Yが、バリア性接合材73を介して、主壁部72の貫通穴72Aの周囲部分と気密に接合されている。図2Bに示された例において、図2Aに示された容器30の栓34の近傍部分が切断されている。これによって、酸素透過性を有する部分30Xとして栓34の酸素透過量を測定できる。容器本体32の開口部33を形成する部分32c,32dおよび固定具36が、酸素透過性を有する部分30Xに隣接する部分30Yとして、バリア性接合材73を介して主壁部72に気密に接続している。
図2Bに示された例において、容器本体32は、首部32cで切断されている。栓34は、容器本体32の頭部32dによって形成された開口部33内に圧縮保持されている。固定具36によって、容器本体32および栓34の間が気密となっている。アルミ等の酸素バリア性を有した固定具36は、栓34を部分的に覆っている。酸素バリア性を有した容器本体32および固定具36が、バリア性接合材73を介して主壁部72に接続している。栓34は、開口部33内での圧縮および固定具36による締め付け等、実際の使用において容器30を閉鎖している際の状態と同様の状態に維持されている。したがって、実際の使用時と同様の条件にて、栓34における酸素透過量を測定できる。
容器30の一部分として、容器30の栓34を透過する酸素透過量(cm/(day・atm))を測定する場合、図2Cに示すような、栓34を含む試験容器70を用いて測定することもできる。図2Cに示す試験容器70、及び図2Cに示す試験容器70を用いた酸素透過量の測定方法について、上述した図2Bに示す試験容器70、及び図2Bに示す試験容器70を用いた酸素透過量の測定方法との差異点を中心に説明する。図2Cでは、図2Bに示す試験容器70と同様に構成され得る部分について、図2Bに示す試験容器70に対して用いた符号と同一の符号を用いて、重複する説明を省略する場合がある。また、図2Bに示す試験容器70において得られる作用効果が図2Cに示す試験容器70においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
図2Cにおいて、容器30の一部分30Xは、栓34である。容器本体32の開口部33を形成する部分32c,32dおよび固定具36は、試験チャンバ78内に配置されてはいない。図2Cにおいては、栓34が、バリア性接合材73を介して、主壁部72の貫通穴72Aの周囲部分と気密に接合されている。これによって、酸素透過性を有する部分30Xとして栓34の酸素透過量を測定できる。
容器30の栓34等の容器の一部分を透過する酸素透過量(cm/(day・atm))を測定する方法としては、測定対象が栓34である場合には、図2Cに示す試験容器70を用いた測定方法を採用できる。測定対象が栓34以外である場合や、測定対象が栓34の場合であっても図2Cに示す試験容器70を用いた測定方法を採用することが好ましくない事情がある場合には、図2Bに示す試験容器70を用いた測定方法を採用できる。
以上において、容器の一部分を透過する酸素透過量(cm/(day・atm))の測定方法について説明した。容器全体を透過する酸素透過量(cm/(day・atm))については、容器を二以上の部分に分割し、各部分について測定された酸素透過量を足し合わせることにより、特定できる。例えば、図2に示された容器30の酸素透過量は、容器本体32の酸素透過量を測定し、容器本体32の酸素透過量と、図2Bに示された方法で測定される一部分30Xの酸素透過量と、を足し合わせることによって、特定できる。容器本体32の酸素透過量(cm/(day・atm))は、容器本体32を主壁部72と組合せて作製された試験容器70を用いることによって、測定できる。
容器本体32と、栓34と、を有する容器30の全体の酸素透過量は、例えば0.9(cm/(day・atm))以上である。容器30の酸素透過量が上述した数値範囲にあることによって、容器30の酸素透過により、容器30内の酸素量を効率良く調整できる。
全ての気体が栓34を透過可能でもよい。酸素を含む一部の気体のみが、例えば酸素のみが、栓34を透過可能でもよい。
栓34を構成する材料、例えば栓本体部35を構成する材料の酸素透過係数は、5.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))以上でもよく、2.4×10(cm・20μm/(m・day・atm))以上でもよく、5.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))以上でもよい。栓34が複数の層を有する場合、少なくとも一つの層を構成する材料がこのような酸素透過係数を有してもよく、すべての層を構成する材料が上記の酸素透過係数を有してもよい。酸素透過係数に下限を設けることにより、栓34の酸素透過が促進され、容器30内の酸素濃度調整を迅速に行える。栓34が複数の層を有する場合、少なくとも一つの層を構成する材料がこのような透過係数を有してもよく、すべての層を構成する材料が上記の透過係数を有してもよい。
なお、本明細書中において、酸素透過係数の測定対象が樹脂フィルムや樹脂シートである場合、酸素透過係数はJIS K7126-1に準拠して測定された値である。測定対象がゴムである場合、酸素透過係数は、JIS K6275-1に準拠して測定された値である。酸素透過係数は、温度23℃および湿度40%RHの環境下で、米国、モコン(MOCON)社製の透過度測定機であるオクストラン(OXTRAN、2/61)を用いて測定された値とする。
容器30内から容器30外への酸素の移動を促進する観点から、酸素透過性を有する栓34は、液体Lに接触していないことが好ましい。容器本体32および栓34を含む容器では、通常、栓34は、容器本体32内に収容した液体Lから離れる。すなわち、通常の容器30の保管状態において、容器30の栓34を介した酸素透過を促進できる。
栓34を構成する材料、例えば栓本体部35を構成する材料の酸素透過係数は、容器本体32を構成する材料の酸素透過係数より大きくてもよい。また、栓34の一部分が、酸素透過性を有してもよい。栓34の一部分が、その全厚みに亘って、酸素透過性を有する材料によって構成されてもよい。例えば、栓34が、周縁から離間した中心部分においてその全厚みに亘って酸素透過性を有し、中心部分を取り囲む周縁部分において酸素バリア性を有してもよい。
例えば、酸素溶解量が8mg/Lである液体を収容した容器30をバリア性容器40内で4週間保存することによって、容器30内の酸素濃度(%)を5%以上低下させ得るように、容器30の酸素透過性を有する部分の構成が決定されてもよい。
図示された例において、開口部33が形成する開口の面積(開口部33の開口面積とも称する)は、好ましくは1mm以上であり、より好ましくは10mm以上であり、更に好ましくは30mm以上である。栓34の厚みは、例えば4mm以下である。栓34の厚みは、3.5mm以下であってもよい。栓34の厚みは、3.3mm以下であってもよい。栓34の厚みは、好ましくは3mm以下であり、より好ましくは1mm以下である。これらにより、容器30の酸素透過が促進され、容器30内の酸素濃度調整を迅速に行える。また、シリンジの針を栓34に穿刺できる。更に、ストローを穿刺可能とする観点から、栓の厚み、例えばフィルム状の栓の厚みを、0.数mm以下としてもよい。
開口部33の開口面積は5000mm以下でもよい。栓34の厚みは0.01mm以上でもよい。これらにより、水蒸気等の漏出を抑制でき、酸素透過速度が速いことに起因したバリア性容器40の開放後における容器30内の液体への影響を抑制できる。また、栓34の厚みが0.01mm以上であることにより、栓34の強度を確保できる。開口部33の開口面積の上限を上述した開口部33の開口面積の任意の下限と組合せることによって、開口部33の開口面積の範囲を定めてもよい。栓34の厚みの下限を上述した栓34の厚みの任意の上限と組合せることによって、栓34の厚みの範囲を定めてもよい。
図3は、栓34及び容器本体32の開口部33の周辺の部分の断面の一例を示す図である。図3に示された栓34は、板状の板状部34aと、板状部34aから延び出した筒状部34bと、を有している。板状部34aは、第1面34eと、第1面34eの反対側に位置する第2面34fと、第1面34eと第2面34fとを接続する側面34gとを有している。板状部34aの第1面34eは、容器本体32と向かい合う。筒状部34bは、板状部34aの第1面34eから延び出している。筒状部34bは、例えば円筒状である。筒状部34bは、開口部33に挿入される。板状部34aは、筒状部34bから径方向外方に延び出したフランジ部を有している。板状部34aのフランジ部は、容器本体32の頭部32dによって形成された開口部33の、端部に接触する。
なお、酸素透過性を有する栓34の形状は、図3に示す形状に限定されない。例えば、栓34は、外螺旋や内螺旋を有してもよい。この場合、栓34は、螺旋の噛み合いによって容器本体32に取り付けられてもよい。
図3に示すように、栓34は、容器本体32の開口部33に挿入されて、開口部33を閉鎖している。栓34は、栓本体部35と、栓本体部35の表面の少なくとも一部に設けられたバリア層81と、を有する。
栓本体部35について説明する。栓本体部35は、シリコーンを含んでもよい。一例として、栓本体部35は、シリコーンのみによって形成される。栓本体部35の一部分が、シリコーンによって形成されてもよい。栓本体部35に含まれるシリコーンは、容器30の使用が予定された環境下において固体である。栓本体部35に含まれるシリコーンは、シリコーンオイル等の室温環境で液体となるシリコーンを含まなくてよい。シリコーンは、シロキサン結合を主鎖とする物質である。栓本体部35は、シリコーンエラストマーによって形成されてもよい。栓本体部35は、シリコーンゴムによって形成されてもよい。シリコーンゴムは、シリコーンからなるゴム状のものをいう。シリコーンゴムは、シリコーンを主成分とする合成樹脂であって、ゴム状の物質である。シリコーンゴムは、シロキサン結合を主鎖とするゴム状の物質である。シリコーンゴムは、シロキサン結合を含む熱硬化性の化合物としてもよい。シリコーンゴムとして、メチルシリコーンゴム、ビニル-メチルシリコーンゴム、フェニル-メチルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が例示される。
栓本体部35がシリコーンを含むことによって、栓本体部35の酸素透過量を大きくできる。シリコーンの酸素透過係数およびシリコーンゴムの酸素透過係数は5.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))以上、更には5.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))以上である。シリコーンの酸素透過係数およびシリコーンゴムの酸素透過係数は5.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))以下である。シリコーンゴムの酸素透過係数は、例えば約1.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))である。シリコーン及びシリコーンゴムは、天然ゴムと比較して、10倍程度の水素透過係数を有し、20倍程度の酸素透過係数を有し、30倍程度の窒素透過係数を有する。シリコーン及びシリコーンゴムは、ブチルゴムと比較して、70倍以上の水素透過係数を有し、40倍以上の酸素透過係数を有し、650倍以上の窒素透過係数を有する。
栓本体部35は少なくとも一部分をシリコーンによって構成されてもよい。すなわち、栓本体部35の全体または一部分が、シリコーン又はシリコーンゴムによって構成されてもよい。例えば、栓本体部35の一部分が、その全厚みに亘って、シリコーン又はシリコーンゴムによって構成されてもよい。一部分は、栓本体部35の中心部分であってもよいし、中心部分を取り囲む周縁部分の一部または全部でもよい。
バリア層81について説明する。バリア層81は、栓本体部35の表面の少なくとも一部に設けられる。図3に示す例において、バリア層81は、栓本体部35の表面の全体を覆っている。
バリア層81は、栓34の少なくとも容器本体32の内部に挿入される部分の面及び液体Lの収容空間を区画する面を構成する。上述したように、図3に示す栓34の筒状部34bは、開口部33に挿入されている。そして、バリア層81は、筒状部34bの面を構成している。これによって、バリア層81は、栓34の、容器本体32の内部に挿入される部分の面を構成している。また、筒状部34bの面の一部と、板状部34aの第1面34eの、筒状部34bの径方向内方に位置する部分とが、容器本体32の内面とともに、液体Lの収容空間を区画している。そして、バリア層81は、筒状部34bの面と、板状部34aの第1面34eの、筒状部34bの径方向内方に位置する部分とを構成している。これによって、バリア層81が液体Lの収容空間を区画する面を構成している。バリア層81の一部であって、栓34の、容器本体32の内部に挿入される部分の面及び液体Lの収容空間を区画する面を構成する一部を、第1部分81aと称する。
図3に示す例において、バリア層81は、栓34の、容器本体32の開口部33の端部に接触する面を構成している。上述したように、図3に示す板状部34aのフランジ部は、容器本体32の開口部33の端部に接触する。換言すれば、板状部34aの第1面34eの、筒状部34bの径方向外方に位置する部分は、容器本体32の開口部33の端部に接触する。そして、バリア層81は、板状部34aの第1面34eの、筒状部34bの径方向外方に位置する部分を構成している。これによって、バリア層81は、栓34の、容器本体32の開口部33の端部に接触する面を構成している。バリア層81の、容器本体32の開口部33の端部に接触する部分を、第2部分81bと称する。
図3に示す例において、バリア層81は、栓34の、液体入り容器30Lの外面をなす面を構成している。図3に示す例においては、板状部34aの第2面34f及び側面34gが、液体入り容器30Lの外面をなしている。そして、バリア層81は、板状部34aの第2面34f及び側面34gを構成している。バリア層81の、液体入り容器30Lの外面をなす部分を、第3部分81cと称する。
図4は、栓34及び容器本体32の開口部33の周辺の部分の断面の、図3に示す例とは異なる他の一例を示す図である。図5Aは、栓34及び容器本体32の開口部33の周辺の部分の断面の、図3及び図4に示す例とは異なる他の一例を示す図である。図5Bは、栓34及び容器本体32の開口部33の周辺の部分の断面の、図3、図4及び図5Aに示す例とは異なる他の一例を示す図である。図4、図5A及び図5Bに示すように、バリア層81は第3部分81cを有しなくてもよい。また、図5A及び図5Bに示すように、バリア層81は第2部分81bの一部又は全体を有しなくてもよい。
バリア層81が、栓34の少なくとも容器本体32の内部に挿入される部分の面及び液体Lの収容空間を区画する面を構成することによって、以下の効果が得られる。栓本体部35の、容器30内に収容された液体Lが接触し得る部分が、バリア層81によって覆われる。このため、液体Lが栓本体部35の材料に接触することが抑制できる。これによって、液体Lが栓本体部35の材料と反応して劣化することを抑制できる。特に栓本体部35がシリコーンゴムを含む場合、ゴム加硫剤由来の活性の高い物質、安定剤や酸化防止剤等の添加剤が、栓本体部35から溶出し得る。これらの溶出物は、容器30に収容された液体Lを劣化させ得る。この場合に、バリア層81によって、栓本体部35から溶出した溶出物が液体Lを劣化させることを抑制できる。また、液体Lに含まれる成分によっては、栓本体部35の材料と接触することによって凝集し得る。この場合に、バリア層81によって、液体Lに含まれる成分が栓本体部35の材料との接触によって凝集することを抑制できる。バリア層81を備え、且つ酸素透過性を有する栓34によれば、容器30に収容された液体Lが栓34の材料と反応することを抑制しつつ、容器30内の酸素を、栓34を透過させて容器30外に排出できる。
また、上述したバリア層81によって、以下の効果も得られる。上述したように、液体Lを薬品とする場合がある。特に、液体Lをバイオ医薬品(抗体医薬品)とする場合がある。この場合に、液体Lとしたバイオ医薬品が、栓本体部35の材料と反応して劣化する可能性がある。特に栓本体部35がシリコーンゴムを含む場合、シリコーンゴムにバイオ医薬品中の成分が吸着されて、バイオ医薬品中の成分が減少する可能性がある。また、バイオ医薬品がシリコーンゴムと接触することにより、シリコーンゴムの影響によってバイオ医薬品中の成分が凝集する可能性がある。例えば、バイオ医薬品が単量体を主成分とする場合に、シリコーンゴムの影響によって単量体が凝集する可能性がある。これによって、バイオ医薬品の効果が低下する可能性がある。これに対して、上述したバリア層81によって、液体Lが栓本体部35の材料と接触することが抑制される。これによって、液体Lとしたバイオ医薬品が、栓本体部35の材料と反応して劣化することを抑制できる。バイオ医薬品は、例えばインフリキシマブ又はベバシズマブである。
上述したように、図4、図5A及び図5Bに示す例において、バリア層81は第3部分81cを有しない。図4、図5A及び図5Bに示す例においては、栓本体部35が、栓34の、液体入り容器30Lの外面をなす面を構成する。図4、図5A及び図5Bに示す例においては、板状部34aの第2面34f及び側面34gが、液体入り容器30Lの外面をなしている。そして、栓本体部35が、板状部34aの第2面34f及び側面34gを構成する。
栓本体部35が、栓34の、液体入り容器30Lの外面をなす面を構成することによって、以下の効果が得られる。バリア層81が、栓34の、液体入り容器30Lの外面をなす面を構成する場合、容器30内の酸素は、バリア層81を2回透過しなければ、容器30外に排出されない。これに対して、栓本体部35が、栓34の、液体入り容器30Lの外面をなす面を構成する場合、容器30内の酸素は、バリア層81を1回透過することで、容器30外に排出され得る。これによって、容器30内の酸素が、より容易に容器30外に排出され得る。
図5Aに示す例において、バリア層81は第2部分81bの全体を有しない。図5Aに示す例においては、栓本体部35が、栓34の容器本体32の開口部33の端部に接触する面の全体を構成する。図5Aに示す例においては、板状部34aの第1面34eの、筒状部34bの径方向外方に位置する部分が、容器本体32の開口部33の端部に接触する。そして、栓本体部35が、板状部34aの第1面34eの、筒状部34bの径方向外方に位置する部分の全体を構成する。
図5Bに示す例において、バリア層81は第2部分81bの一部を有しない。図5Bに示す例においては、栓本体部35が、栓34の容器本体32の開口部33の端部に接触する面の、径方向外方の一部を構成する。図5Bに示す例においては、板状部34aの第1面34eの、筒状部34bの径方向外方に位置する部分が、容器本体32の開口部33の端部に接触する。そして、栓本体部35が、板状部34aの第1面34eの、筒状部34bの径方向外方に位置する部分の一部を構成する。
図5A及び図5Bに示す栓34は、栓本体部35において容器本体32の開口部33の端部に接触することによって、液体Lを密封するように、開口部33を閉鎖する。図5A及び図5Bに示す栓34は、栓本体部35において容器本体32の開口部33の端部に接触することによって、容器30を気密な状態とする。図5A及び図5Bに示す栓34の栓本体部35は、開口部33の端部に沿った環状の領域において、開口部33の端部に接触する。換言すれば、図5A及び図5Bに示す栓34の栓本体部35は、互いに交わらない2本の閉曲線に囲まれた領域において、開口部33の端部に接触する。
栓本体部35が、栓34の、容器本体32の開口部33の端部に接触する面を構成することによって、以下の効果が得られる。栓34が容器本体32の開口部33の端部に接触する際に、栓34が開口部33の端部と密着することによって、容器30に液体Lが密封されて、液体Lの容器30からの液漏れが防止される。本実施の形態において、栓34は、後述するように固定具36によって開口部33の端部に押し付けられることで、開口部33の端部に密着する。ここで、栓34の、開口部33の端部に接触する面が栓本体部35によって構成されていることによって、当該面がバリア層81によって構成されている場合と比較して、栓34が、より隙間なく開口部33の端部に密着する。これによって、容器30に液体Lをより強固に密封して、液体Lの容器30からの液漏れをより効果的に防止できる。特に、栓本体部35が開口部33の端部に沿った環状の領域において、開口部33の端部に接触することによって、栓34をより隙間なく開口部33の端部に密着させ、液体Lの容器30からの液漏れをより効果的に防止できる。
バリア層81は、パラキシリレン層、ダイヤモンドライクカーボン層及びフッ素系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。パラキシリレン、ダイヤモンドライクカーボン及びフッ素系樹脂は、生体適合性の高い材料である。換言すれば、人体などの生体に対して悪影響や強い刺激を与えることのない材料である。このため、容器30に、液体Lとして食品や薬品などの生体に取り入れられる液体を収容する場合であっても、バリア層81が液体Lに対して悪影響を及ぼすことを効果的に抑制できる。
バリア層81がパラキシリレン層を含む場合、パラキシリレン層には、ポリパラキシリレンが含まれる。パラキシリレン層に含まれるポリパラキシリレンは、例えば芳香族環及びメチレン基に官能基が置換していないポリ(パラキシリレン)である。ポリパラキシリレンは、芳香族環もしくはメチレン基に官能基が導入された材料であってもよい。例えば、ポリパラキシリレンは、芳香族環に塩素が置換されたポリ(クロロパラキシリレン)、芳香族環にメチル基が置換されたポリメチルパラキシリレン、メチレン基にフッ素が置換されたポリフルオロパラキシリレンなどでもよい。ポリパラキシリレンは、上記のポリパラキシリレン単独で構成されるホモポリマーに限られない。ポリパラキシリレンは、パラキシリレンモノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。ポリパラキシリレンは、特に好ましくは、芳香族環及びメチレン基に官能基が置換していないポリ(パラキシリレン)、またはポリ(クロロパラキシリレン)である。なお、パラキシリレン層は、上記ポリパラキシリレンもしくは共重合体の単層で形成されていてもよく、上記ポリパラキシリレンおよび/もしくは共重合体の多層で形成されていてもよい。本明細書において、ポリパラキシリレンは、芳香族環及びメチレン基に官能基が置換していないポリ(パラキシリレン)に限られない。本明細書のポリパラキシリレンには、上述したポリ(クロロパラキシリレン)及びポリメチルパラキシリレンなどの、芳香族環に官能基が導入された材料が含まれる。また、本明細書のポリパラキシリレンには、上述したポリフルオロパラキシリレンなどの、メチレン基に官能基が導入された材料が含まれる。
芳香族環及びメチレン基に官能基が置換していないポリ(パラキシリレン)は、例えばパラキシリレンNである。芳香族環に塩素が置換されたポリ(クロロパラキシリレン)は、例えばパラキシリレンCである。ポリフルオロパラキシリレンは、例えばパラキシリレンHTである。
一例として、バリア層81に含まれるパラキシリレン層は、以下の方法によって形成される積層膜である。まず、以下の化学式(1)で示されるパラキシリレンダイマーを熱分解させて、パラキシリレンモノマーを得る。次に、得られたパラキシリレンモノマーを重合させて、積層膜を形成する。パラキシリレン層が、上記の積層膜である場合、パラキシリレン層は、ピンホールの発生がなく、層厚の安定した層となる。
(X:HもしくはClもしくはCH、Y:HもしくはF)
パラキシリレン層を栓本体部35上に作製する方法について説明する。一例として、パラキシリレン層は、栓本体部35上において上述した化学式(1)のパラキシリレンモノマーを重合させることによって、形成される。パラキシリレン層は、真空蒸着によって栓本体部35上に作製してもよい。パラキシリレン層は、化学蒸着、スパッタリング法、イオンプレーティング法などによって栓本体部35上に作製してもよい。特に、パラキシリレンモノマーを用いて、栓本体部35上に化学蒸着することにより、ポリパラキシリレンの重合と被膜形成とが同時に行われる。化学蒸着によりパラキシリレン層を作製することによって、層厚の均一なパラキシリレン層を形成できる。
バリア層81がダイヤモンドライクカーボン層を含む場合、ダイヤモンドライクカーボン層には、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)が含まれる。ダイヤモンドライクカーボン層は、例えば化学蒸着又は物理蒸着などの蒸着法によって栓本体部35上に作製してもよい。
バリア層81がフッ素系樹脂層を含む場合、フッ素系樹脂層は、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)を含んでもよい。フッ素系樹脂層は、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)を含んでもよい。フッ素系樹脂層は、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE))を含んでもよい。フッ素系樹脂層は、アモルファスフッ素樹脂を含んでもよい。フッ素系樹脂層を栓本体部35上に作製する方法は、特に限られない。フッ素系樹脂層を栓本体部35上に作製する方法は、バリア層81が酸素の透過を大きく妨げないようにバリア層81を薄くする観点からは、フッ素系樹脂のフィルムを栓本体部35上に貼るラミネート法以外の方法であることが好ましい。フッ素系樹脂層は、コーティングにより栓本体部35上に作製してもよい。より具体的には、フッ素系樹脂は、スピンコート法又はディップコート法などを用いたコーティングにより栓本体部35上に作製してもよい。なお、フッ素系樹脂とは、フッ素原子を含むプラスチックである。
栓34の材料、特にバリア層81の材料の分析には、赤外分光法(IR)が用いられる。この場合、赤外分光法(IR)に、更に質量分析法(MS)を組み合わせて、材料の分析を行うこともできる。
栓本体部35及びバリア層81の厚みについて説明する。まず、栓本体部35の厚みについて説明する。一例として、栓本体部35は、シリコーンゴムからなる一般的なバイアル瓶用の栓である。すなわち、一般的なバイアル瓶用の栓を栓本体部35として用い、栓本体部35上にバリア層81を作製して本実施の形態の栓34としてもよい。ここで、一般的なバイアル瓶用の栓の厚みは、1.5mm以上4mm以下であることが多い。一般的なバイアル瓶用の栓の厚みは、例えば2mm以上3.3mm以下である。厚みが1.5mm以上4mm以下であるバイアル瓶用の栓を栓本体部35とする場合、栓本体部35の厚みも1.5mm以上4mm以下となる。一例として、図3に示す栓本体部35として一般的なバイアル瓶用の栓を用いる場合、栓本体部35の厚みw1は、1.5mm以上4mm以下である。栓本体部35の厚みw1は、栓34を開口部33に挿入する方向に沿った厚みを意味する。栓本体部35の厚みが一定でない場合、厚みw1は、栓本体部35の開口部33に重なる部分の最小の厚みを意味する。図3、図4、図5A及び図5Bにおいて、栓34は、板状部34aを有している。そして、栓本体部35の開口部33に重なる部分は、板状部34aを構成する部分において、その厚みが最小となっている。この場合、厚みw1は、栓本体部35の、板状部34aを構成し且つ筒状部34bの径方向内方に位置する部分の厚みに相当する。
栓本体部35の厚みw1は、栓34の酸素透過量が大きくなるように調整されてもよい。一例として、栓本体部35の厚みw1は、栓34が上述した酸素透過性を有するように、調整される。
ここで、本件発明者らは、一般的なバイアル瓶用の栓、特に、シリコーンゴムからなり且つ厚みが1.5mm以上4mm以下である一般的なバイアル瓶用の栓は、酸素透過量が十分に大きいことを見出した。特に、シリコーンゴムからなり且つ厚みが1.5mm以上4mm以下である一般的なバイアル瓶用の栓は、上述した酸素透過性を有することを見出した。一方で、一般的なバイアル瓶用の栓を栓本体部35として用い、栓本体部35上にバリア層81を作製して栓34とする場合、栓34の酸素透過量はバリア層81が設けられた分だけ一般的なバイアル瓶用の栓の酸素透過量よりも小さくなると考えられる。したがって、栓本体部35の厚みw1を調整する場合には、バリア層81を設けることによって栓34の酸素透過量が一般的なバイアル瓶用の栓と比べて小さくなり過ぎないように、栓本体部35の厚みw1を小さくすることが好ましい。一例として、本実施の形態の栓34の栓本体部35の厚みw1は、一般的なバイアル瓶用の栓の厚みと比べて小さくなるように調整される。特に、栓本体部35の厚みw1は、栓34の酸素透過量が、一般的なバイアル瓶用の栓の酸素透過量以上となるように、一般的なバイアル瓶用の栓の厚みと比べて小さくなるように調整されることが好ましい。
ただし、本実施の形態の栓34は、栓本体部35の厚みw1が調整されたものに限られない。本実施の形態の栓34として、酸素透過量が十分に大きな栓34を特に限られず用い得る。上述したように、一般的なバイアル瓶用の栓を、厚みを調整することなく、栓本体部35として用いてもよい。
次に、バリア層81の厚みについて説明する。バリア層81の厚みとは、容器30内の酸素が容器30外に排出されるまでに透過するバリア層81の合計の厚みである。図3に示すバリア層81は、第3部分81cを有する。図3に示す栓34を備える容器30において、容器30内の酸素は、第1部分81aと第3部分81cとを透過して容器30外に排出される。図3に示す栓34において、バリア層81の厚みとは、第1部分81aと第3部分81cとの合計の厚みである。図4、図5A及び図5Bに示すバリア層81は、第3部分81cを有しない。図4、図5A及び図5Bに示す栓34を備える容器30において、容器30内の酸素は、第1部分81aを透過して容器30外に排出される。図4、図5A及び図5Bに示す栓34において、バリア層81の厚みとは、第1部分81aの厚みである。
上述したように、栓34の酸素透過量が一般的なバイアル瓶用の栓と比べて小さくなり過ぎないように栓本体部35の厚みw1を調整する場合について考える。この場合に、栓34によって液体Lを十分に密封する観点からは、栓本体部35の厚みw1は、一般的なバイアル瓶用の栓の厚みから1mmよりも大きく減らさないことが好ましい。また、栓本体部35の厚みw1が一般的なバイアル瓶用の栓の厚みから1mmよりも大きく減らされないことによって、以下の効果が得られる。一般的なバイアル瓶用の栓に対して厚みを減らす加工を施して栓本体部35を作成し、作成された栓本体部35の表面にバリア層81を設けて栓34を作成する場合に、栓本体部35に加工される栓の加工前の寸法と、作成された栓34の寸法との差が小さくなる。このため、栓本体部35に加工される栓とセットで流通しているバイアル瓶の開口部を、作成された栓34によっても安定的に閉鎖できる。
バリア層81の酸素透過度は、栓本体部35の材料の厚み1mmあたりの酸素透過度以上であることが好ましい。これによって、栓本体部35の厚みw1を一般的なバイアル瓶用の栓の厚みから少なくとも1mm減らせば、栓34の全体の酸素透過量が一般的なバイアル瓶用の栓の酸素透過量以上となる。このため、栓本体部35の厚みw1を1mmよりも大きく減らすことなく、栓34の全体の酸素透過量を一般的なバイアル瓶用の栓の酸素透過量以上にできる。
栓本体部35の材料の厚み1mmあたりの酸素透過度は、栓本体部35の酸素透過係数α1(cm・20μm/(m・day・atm))を用いて、α1・20/1000(cm/(m・day・atm))と表せる。バリア層81の酸素透過度は、バリア層81の酸素透過係数α2(cm・20μm/(m・day・atm))及びバリア層81の厚みw2(μm)を用いて、α2・20/w2(cm/(m・day・atm))と表せる。このため、以下の式(3)が満たされれば、バリア層81の酸素透過度は、栓本体部35の材料の厚み1mmあたりの酸素透過度以上となる。
Figure 0007470308000004
式(3)を整理することによって、以下の式(2)が得られる。すなわち、以下の式(2)が満たされるようにバリア層81の厚みw2を調整することによって、バリア層81の酸素透過度を、栓本体部35の材料の厚み1mmあたりの酸素透過度以上にできる。
Figure 0007470308000005
上述したように、栓本体部35の厚みw1は、一般的なバイアル瓶用の栓の厚みから1mmよりも大きく減らさないことが好ましい。一方で、栓本体部35の酸素透過量を大きくする観点からは、栓本体部35の厚みw1は小さいことが好ましい。以上より、栓本体部35の厚みw1は、一般的なバイアル瓶用の栓の厚みよりも1mmだけ小さいことが特に好ましい。この観点からは、一般的なバイアル瓶用の栓の厚みが1.5mm以上4mm以下であることを考慮すると、栓本体部35の厚みw1は0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。
一例として、バリア層81は、パラキシリレン層又はダイヤモンドライクカーボン層のいずれか一方からなる。この場合、バリア層81の厚みは、例えば100nm以上である。バリア層81の厚みは、200nm以上であってもよい。また、バリア層81の厚みは、例えば1200nm以下である。バリア層81の厚みは、1000nm以下であってもよい。バリア層81の厚みは、1000nmより小さくてもよい。バリア層81の厚みは、500nm以下であってもよい。バリア層の厚みは、2000nm以下であってもよい。
上述のようにバリア層81の厚みの下限が設定され、特にバリア層81の厚みが200nm以上であることによって、バリア層81によって、より安定的に、栓本体部35からの溶出物が液体Lに溶出することを抑制できる。また、ピンホールなどを生じさせることなく、安定的にパラキシリレン層又はダイヤモンドライクカーボン層を作製できる。このため、栓本体部35の、容器30内に収容された液体Lが接触し得る部分の全体を、安定的にバリア層81によって覆い得る。これによって、液体Lが栓本体部35の材料に接触することを安定的に抑制できる。
上述のようにバリア層81の厚みの上限が設定されていることによって、バリア層81の酸素透過量を十分に大きくできる。このため、栓34の全体の酸素透過量を十分に大きくできる。
特に、上述したように、栓34の酸素透過量が一般的なバイアル瓶用の栓と比べて小さくなり過ぎないように栓本体部35の厚みw1を調整する場合に、上述のようにバリア層81の厚みの上限が設定され、特にバリア層81の厚みが1000nm以下であることによって、以下の効果が得られる。上述したように、栓本体部35の厚みw1は、一般的なバイアル瓶用の栓の厚みから1mmよりも大きく減らさないことが好ましい。ここで、バリア層81の厚みを1000nm以下とすることによって、栓本体部35の厚みw1を一般的なバイアル瓶用の栓の厚みから1mmよりも大きく減らさずとも、栓34の全体の酸素透過量を十分に大きくできる。以上によって、栓34の液体Lを密封する効果を十分に得つつ、栓34の全体の酸素透過量を十分に大きくできる。
栓本体部35がシリコーンゴムからなる場合、栓本体部35の酸素透過係数α1は、例えば約1.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))である。また、バリア層81がパラキシリレンHTからなるパラキシリレン層である場合、バリア層81の酸素透過係数α2は、例えば約1.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))である。そして、パラキシリレンHTからなる厚みが1200nmのパラキシリレン層の酸素透過度は、シリコーンゴムからなる厚みw1が1mmの栓本体部35の酸素透過度以上となる。このため、栓本体部35がシリコーンゴムからなり、バリア層81がパラキシリレンHTからなるパラキシリレン層である場合に、バリア層81の厚みが1200nm以下であることによって、上述した式(2)が満たされる。このため、バリア層81がパラキシリレンHTからなるパラキシリレン層である場合に、バリア層81の厚みが1200nm以下であることによって、以下の効果が得られる。栓本体部35の厚みw1を一般的なバイアル瓶用の栓の厚みから少なくとも1mm減らせば、栓34の全体の酸素透過量が一般的なバイアル瓶用の栓の酸素透過量以上となる。これによって、栓本体部35の厚みw1を1mmよりも大きく減らすことなく、栓34の全体の酸素透過量を一般的なバイアル瓶用の栓の酸素透過量以上にできる。
また、バリア層81がパラキシリレンNからなるパラキシリレン層である場合、バリア層81の酸素透過係数α2は、例えば7.5×10(cm・20μm/(m・day・atm))である。そして、パラキシリレンNからなる厚みが500nmのパラキシリレン層の酸素透過度は、シリコーンゴムからなる厚みw1が1mmの栓本体部35の酸素透過度以上となる。このため、栓本体部35がシリコーンゴムからなり、バリア層81がパラキシリレンNからなるパラキシリレン層である場合に、バリア層81の厚みが500nm以下であることによって、上述した式(2)が満たされる。このため、バリア層81がパラキシリレンNからなるパラキシリレン層である場合に、バリア層81の厚みが500nm以下であることによって、以下の効果が得られる。栓本体部35の厚みw1を一般的なバイアル瓶用の栓の厚みから少なくとも1mm減らせば、栓34の全体の酸素透過量が一般的なバイアル瓶用の栓の酸素透過量以上となる。これによって、栓本体部35の厚みw1を1mm以上減らすことなく、栓34の全体の酸素透過量を一般的なバイアル瓶用の栓の酸素透過量以上にできる。
また、上述のようにパラキシリレン層又はダイヤモンドライクカーボン層のいずれか一方からなるバリア層81の厚みの上限が設定され、特にバリア層81の厚みが1000nm以下であることによって、以下の効果が得られる。液体入り組合せ容器10Lが外部の物体と接触した際に栓34が破損して栓34に穴が空くことを安定的に抑制し、液漏れを抑制する観点からは、栓本体部35の厚みw1は、0.5mm以上であることが好ましい。ここで、バリア層81の厚みを1000nm以下とすることによって、厚みw1が0.5mmの栓本体部35とバリア層81とを有する栓34の全体の酸素透過量を、十分に大きくできる。これによって、栓34の液体Lを密封する効果を十分に得つつ、栓34の全体の酸素透過量を十分に大きくできる。
また、図3及び図4に示すように、バリア層81が第2部分81bを有する場合がある。この場合、栓34が開口部33を閉鎖するときに、バリア層81が、栓34の、容器本体32の開口部33の端部に接触する面を構成する。この場合に、パラキシリレン層又はダイヤモンドライクカーボン層のいずれか一方からなるバリア層81の厚みに、上述のように上限を設定することによって、栓34が、より隙間なく開口部33の端部に密着する。これによって、容器30に液体Lをより強固に密封して、液体Lの容器30からの液漏れをより効果的に防止できる。
他の一例として、バリア層81は、フッ素系樹脂層からなる。この場合、バリア層81の厚みは、例えば0.1μm以上である。バリア層81の厚みは、10μm以上であってもよい。また、バリア層81の厚みは、例えば50μm以下である。バリア層81の厚みは、50μmより小さくてもよい。バリア層81の厚みは、21μm以下であってもよい。バリア層81の厚みは、20μm以下であってもよい。
上述のようにバリア層81の厚みの下限が設定されていることによって、バリア層81によって、より安定的に、栓本体部35からの溶出物が液体Lに溶出することを抑制できる。また、ピンホールなどを生じさせることなく、安定的にフッ素系樹脂層を作製できる。このため、栓本体部35の、容器30内に収容された液体Lが接触し得る部分の全体を、安定的にバリア層81によって覆い得る。これによって、液体Lが栓本体部35の材料に接触することを安定的に抑制できる。
上述のようにバリア層81の厚みの上限が設定されていることによって、バリア層81の酸素透過量を十分に大きくできる。このため、栓34の全体の酸素透過量を十分に大きくできる。
特に、上述したように、栓34の酸素透過量が一般的なバイアル瓶用の栓と比べて小さくなり過ぎないように栓本体部35の厚みw1を調整する場合に、上述のようにバリア層81の厚みの上限が設定され、特にバリア層81の厚みが50μm以下であることによって、以下の効果が得られる。上述したように、栓本体部35の厚みw1は、一般的なバイアル瓶用の栓の厚みから1mmよりも大きく減らさないことが好ましい。ここで、バリア層81の厚みを50μm以下とすることによって、栓本体部35の厚みw1は、一般的なバイアル瓶用の栓の厚みから1mmよりも大きく減らさずとも、栓34の全体の酸素透過量を十分に大きくできる。以上によって、栓34の液体Lを密封する効果を十分に得つつ、栓34の全体の酸素透過量を十分に大きくできる。
一般的に、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマーからなる厚みが21μmのフッ素系樹脂層の酸素透過度は、シリコーンゴムからなる厚みw1が1mmの栓本体部35の酸素透過度以上となる。このため、栓本体部35がシリコーンゴムからなり、バリア層81がエチレンテトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂層である場合に、バリア層81の厚みが21μm以下であることによって、上述した式(2)が満たされる。このため、バリア層81がエチレンテトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂層である場合に、バリア層81の厚みが21μm以下であることによって、以下の効果が得られる。栓本体部35の厚みw1を一般的なバイアル瓶用の栓の厚みから少なくとも1mm減らせば、栓34の全体の酸素透過量が一般的なバイアル瓶用の栓の酸素透過量以上となる。これによって、栓本体部35の厚みw1を1mmよりも大きく減らすことなく、栓34の全体の酸素透過量を一般的なバイアル瓶用の栓の酸素透過量以上にできる。
また、上述のようにフッ素系樹脂層からなるバリア層81の厚みの上限が設定され、特にバリア層81の厚みが50μm以下であることによって、以下の効果が得られる。栓34によって液漏れを抑制する観点からは、栓本体部35の厚みw1は、0.5mm以上であることが好ましい。ここで、バリア層81の厚みを50μm以下とすることによって、厚みw1が0.5mmの栓本体部35とバリア層81とを有する栓34の全体の酸素透過量を、十分に大きくできる。これによって、栓34の液漏れを抑制する効果を十分に得つつ、栓34の全体の酸素透過量を十分に大きくできる。
栓本体部35及びバリア層81の好ましい厚みについて、上述した観点とは別の観点から説明する。栓本体部35とバリア層81とを備える栓34の全体の酸素透過係数について考える。栓34の全体の酸素透過係数とは、栓本体部35の厚みw1を有する部分及び当該部分に重なるバリア層81を栓34の厚み方向に酸素が透過する際の、見かけ上の栓34の全体の酸素透過係数を意味する。
栓34の全体の酸素透過係数αall(cm・20μm/(m・day・atm))と、栓本体部35の厚みw1(μm)と、バリア層81の厚みw2(μm)と、栓本体部35の酸素透過係数α1(cm・20μm/(m・day・atm))と、バリア層81の酸素透過係数α2(cm・20μm/(m・day・atm))との関係は、以下の式(4)により表せる。
Figure 0007470308000006
式(4)を整理することによって、以下の式(5)が得られる。
Figure 0007470308000007
栓34の酸素透過度は、栓34の全体の酸素透過係数αallを用いて、αall・20/(w1+w2)(cm/(m・day・atm))と表せる。また、上述したように、栓34の酸素透過量は、0.1(cm/(day・atm))以上であることが好ましい。開口部33の開口面積をA(m)とした場合、栓34の酸素透過度を0.1/A(cm/(m・day・atm))とすることによって、栓34の酸素透過量を0.1(cm/(day・atm))以上にできる。
以上より、栓34の全体の酸素透過係数αall(cm・20μm/(m・day・atm))、栓本体部35の厚みw1(μm)、バリア層81の厚みw2(μm)及び開口部33の開口面積A(m)が、以下の式(1)を満たすことが好ましい。以下の式(1)が満たされることによって、栓34の酸素透過量を0.1(cm/(day・atm))以上にできる。
Figure 0007470308000008
上述した式(5)を考慮すると、以下の式(6)が満たされれば、上述した式(1)が満たされる。
Figure 0007470308000009
栓34の酸素透過量は、1(cm/(day・atm))以上であることがより好ましい。以下の式(7)が満たされることによって、栓34の酸素透過量を1(cm/(day・atm))以上にできる。
Figure 0007470308000010
バリア層81がパラキシリレン層からなる場合に、バリア層81の厚みw2は、以下の理由から1000nm以下であることが好ましい。上述したように栓本体部35として一般的なバイアル瓶用の栓を用いる場合、一般的なバイアル瓶用の栓の厚みが4mm以下であるため、栓本体部35の厚みw1は4mm以下となる。また、栓本体部35がシリコーンゴムからなる場合、栓本体部35の酸素透過係数α1は、例えば約1.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))である。また、パラキシリレン層からなるバリア層81の酸素透過係数α2は、通常は7.5×10(cm・20μm/(m・day・atm))以上である。また、容器本体32が一般的なバイアル瓶の本体である場合、容器本体32の開口部33の開口面積Aは、通常は約0.0003m以上である。ここで、バリア層81の厚みw2が1000nm以下であることによって、少なくとも栓本体部35の厚みw1が4mm以下であり、栓本体部35の酸素透過係数α1が1.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))以上であり、バリア層81の酸素透過係数α2が7.5×10(cm・20μm/(m・day・atm))以上であり、開口部33の開口面積Aが約0.0003m以上である場合に、上述した式(7)が満たされる。このため、栓本体部35がシリコーンゴムからなり、バリア層81がパラキシリレン層からなり、容器本体32が一般的なバイアル瓶の本体である場合に、栓34の酸素透過量を1(cm/(day・atm))以上にできる。
バリア層81がフッ素系樹脂層からなる場合に、バリア層81の厚みw2は、以下の理由から100μm以下であることが好ましい。バリア層81の厚みw2が100μm以下であることによって、少なくとも栓本体部35の厚みw1が4mm以下であり、栓本体部35の酸素透過係数α1が1.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))以上であり、バリア層81の酸素透過係数α2が1.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))以上であり、開口部33の開口面積Aが0.0003m以上である場合に、上述した式(7)が満たされる。このため、栓本体部35がシリコーンゴムからなり、バリア層81がフッ素系樹脂層からなり、容器本体32が一般的なバイアル瓶の本体である場合に、栓34の酸素透過量を1(cm/(day・atm))以上にできる。
また、図3及び図4に示すように、バリア層81が第2部分81bを有する場合がある。この場合、栓34が開口部33を閉鎖するときに、バリア層81が、栓34の、容器本体32の開口部33の端部に接触する面を構成する。この場合に、フッ素系樹脂層からなるバリア層81の厚みに、上述のように上限を設定することによって、栓34が、より隙間なく開口部33の端部に密着する。これによって、容器30に液体Lをより強固に密封して、液体Lの容器30からの液漏れをより効果的に防止できる。
栓34の厚みは、例えば0.5mm以上3mm以下である。換言すれば、栓本体部35の厚みw1と、バリア層81の厚みw2との合計は、例えば0.5mm以上3mm以下である。及び栓34の厚みは、栓34を開口部33に挿入する方向に沿った厚みを意味する。栓34の厚みが一定でない場合、栓34の厚みは、栓34の開口部33に重なる部分の最小の厚みを意味する。図3、図4、図5A及び図5Bにおいて、栓34は、板状部34aを有している。そして、栓34の開口部33に重なる部分は、板状部34aを構成する部分において、その厚みが最小となっている。この場合、栓34の厚みは、栓34の、板状部34aを構成し且つ筒状部34bの径方向内方に位置する部分の厚みに相当する。
栓本体部35の厚みw1、バリア層81の厚みw2及び栓34の厚みは、栓34を圧縮していない状態での厚みである。栓本体部35の厚みw1及びバリア層81の厚みw2は、栓34の断面の観察画像から測定した値とする。栓本体部35の厚みw1を測定する場合、栓34の断面の観察画像は、光学顕微鏡を用いて取得できる。バリア層81の厚みw2を測定する場合、栓34の断面の観察画像は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて取得できる。栓34の厚みは、栓本体部35の厚みw1とバリア層81の厚みw2とを合計することによって求められる。
図2Aに示すように、図示された容器本体32は、底部32a、胴部32b、首部32c及び頭部32dを、この順で有している。頭部32dは、容器本体32の開口部33を形成している。頭部32dは、他の部分と比較して厚肉となっている。首部32cは、胴部32b及び頭部32dの間に位置している。首部32cは、胴部32b及び頭部32dに対して縮幅、とりわけ縮径している。容器本体32の内面は、栓34の面の一部とともに、液体Lの収容空間を区画している。容器本体32は、収容した液体Lを外部から観察可能とするよう、透明であってもよい。ここで、透明とは、可視光透過率が50%以上であることを意味し、好ましくは80%以上である。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で1nm毎に入射角0°で測定したときの、各波長における全光線透過率の平均値として特定される。
図示された容器30は、さらに固定具36を有している。固定具36は、栓34が容器本体32から外れることを規制する。固定具36は、容器本体32の頭部32dに取り付けられている。固定具36は、図1及び図2Aに示すように、栓34の板状部34aの周縁を覆っている。固定具36は、板状部34aのフランジ部を頭部32dに向けて押し付けている。このために、図3乃至図5Bに示すように、板状部34aの第1面34eの、筒状部34bの径方向外方に位置する部分は、頭部32dによって形成された開口部33の端部と接している。これにより、固定具36は栓34を一部分において露出させながら、栓34が容器本体32から外れることを規制する。加えて、栓34と容器本体32との間を液密かつ気密にできる。固定具36は、容器30を気密な状態とする。固定具36の材料は、例えばアルミニウムなどの金属である。固定具36は、頭部32dに固定されたシート状の金属であってもよい。固定具36は、頭部32dに螺子留めされるキャップでもよい。
図示された例において、容器本体32は、栓34をなす材料よりも酸素透過係数の小さい材料によって構成されている。容器本体32は、酸素バリア性を有していてもよい。この場合、容器30は、栓34のみにおいて、酸素透過性を有する。酸素バリア性を有する部分を構成する材料の酸素透過係数は、5.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))以下でもよく、5.0×10-1(cm・20μm/(m・day・atm))以下でもよい。
酸素バリア性を有する容器本体32として、金属により作製された缶、蒸着や転写によって形成された金属層を有する容器本体、ガラス瓶を例示できる。樹脂シートや樹脂板を用いて作製された容器本体32にも酸素バリア性を付与できる。この例において、樹脂シートや樹脂板は、例えばエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリビニルアルコール(PVA)等の酸素バリア性を有した層を含んでもよい。また、金属蒸着膜を含む積層体を、容器本体32が有してもよい。積層体を用いた容器本体32、及びガラスや樹脂を用いた容器本体32には、酸素バリア性とともに透明性を付与できる。容器30や容器本体32が透明である場合、内部に収容した液体Lを容器30の外部から確認できる点において好ましい。
容器30の容積は、例えば、1cm以上1100cm以下としてもよく、3cm以上700cm以下としてもよく、5cm以上200cm以下としてもよい。
図示された例において、容器本体32は、無色または有色のガラス瓶である。容器本体32は、例えばホウケイ酸ガラスによって形成される。この容器30はバイアル瓶でもよい。バイアル瓶とは、容器本体と、容器本体の開口部に挿入される栓と、栓を固定する固定具36としてのシールと、を含む容器である。バイアル瓶である容器30においては、ハンドクリッパー等を用いて、シールが容器本体32の頭部32dに栓34とともに加締められる。シールは、例えばアルミシールである。この場合、固定具36はアルミニウム製となる。バイアル瓶である容器30の容積は、1cm以上でもよく、3cm以上でもよい。バイアル瓶である容器30の容積は、500cm以下でもよく、200cm以下でもよい。
容器30がバイアル瓶である場合、栓34を構成する材料の酸素透過係数は、容器本体32を構成するガラスの酸素透過係数より大きくてもよい。容器30内から容器30外への酸素の移動を促進する観点から、容器30の酸素透過性を有する部分は、液体Lに接触していないことが好ましい。バイアル瓶である容器30は、容器本体32の底部32aを載置面に接触させることで、載置面上に安定して配置され得る。このとき、栓34は、液体Lから離れる。栓34は、液体Lに接触しない。したがって、通常の容器30の保管状態において、容器30の栓34を介した酸素透過を促進できる。
液体入り容器30Lにおいて、栓34は、容器本体32の開口部33の端部に接触することによって、液体Lを密封するように、開口部33を閉鎖する。図1及び図2Aに示す例において、栓34は、固定具36によって開口部33の端部に押し付けられることで、開口部33の端部に接触して、液体Lを容器30に密封するように、開口部33を閉鎖する。栓34が液体Lを密封するように開口部33を閉鎖することによって、容器30からの液体Lの液漏れが抑制される。
栓34が液体Lを密封するとは、図1及び図2Aに示すような、栓34が容器本体32の開口部33の端部に接触することによって開口部33が閉鎖されている液体入り容器30Lに対して液漏れ試験を行った際に、液体Lの液漏れが確認されないことを意味する。
液漏れ試験は、第十八改正日本薬局方に規定されているトレーサー液体試験法によって行われる。特に、第十八改正日本薬局方に規定されているトレーサー液体試験法のうち、トレーサー液を流入させる試験法によって行われる。トレーサー液体試験法においては、まず、液体Lとして4cmの純水を収容し、栓34が開口部33を閉鎖した液体入り容器30Lを準備する。また、染色液を収容したビーカーを準備する。次に、液体入り容器30Lをビーカーに収容して、ビーカー内の染色液の液面下に沈める。次に、ビーカーを、減圧可能な環境に配置する。例えば、ビーカーを、内部を減圧する機能を有するデシケータの内部に配置する。次に、10分間、ビーカーの周囲の大気を大気圧から30kPaだけ減圧する。このとき、酸素透過性を有する栓34を介して、容器30内の気体が容器30外に排出される。また、栓34と開口部33との間に隙間がある場合には、当該隙間を介して、容器30内の気体が容器30外に排出される。これによって、液体入り容器30L内は減圧される。次に、ビーカーの周囲の大気を大気圧に戻して、30分間放置する。このとき、栓34と開口部33との間に隙間があれば、当該隙間を介して、大気圧となっている容器30外から減圧された容器30内に染色液が浸入する。栓34と開口部33との間に隙間がなければ、染色液は容器30外から容器30内に浸入しない。ビーカーを大気圧において30分放置した後に、容器30内の液体Lが染色液の色に染まっていれば、栓34が液体Lを密封していないと判断する。容器30内の液体Lが染色液の色に染まっていなければ、栓34が液体Lを密封していると判断する。
液漏れ試験は、特に、図1及び図2Aに示す固定具36であってアルミニウム製の固定具36によって栓34が開口部33の端部に押し付けられた状態の、液体入り容器30Lに対して行われる。液漏れ試験は、特に、ハンドクリッパーによって容器本体32の頭部32dに固定されたアルミシールによって栓34が開口部33の端部に押し付けられた状態の、液体入り容器30Lに対して行われる。
図示された容器30は、大気圧下で、内圧を陰圧に維持できる。すなわち、容器30は、大気圧下で、気体を陰圧に維持しながら当該気体を収容し得る。また、容器30は、大気圧下で、気体を陽圧に維持しながら当該気体を収容可能であってもよい。これらの例において、容器30は、十分に形状を維持可能な剛性を有していてもよい。ただし、容器30は、内圧を陰圧や陽圧に維持する際に、大気圧下でいくらか変形してもよい。内圧を陰圧や陽圧に維持し得る容器30として、上述の図示された具体例や、金属により作製された缶が例示される。
大気圧下で気体を陰圧に維持して収容可能とは、内圧を0.80atm以上の陰圧としながら、破損することなく気体を収容できることを意味する。大気圧下で気体を陰圧に維持して収容可能な容器30は、内圧が0.80atmである場合でも、気密な容器であってもよい。大気圧下で気体を陰圧に維持して収容可能な容器では、内圧が0.80atmである場合の容積を、内圧が1.0atmである場合の容積の95%以上に維持できる。
次に、バリア性容器40について説明する。バリア性容器40は、容器30を収容可能な容積を有している。バリア性容器40は、例えばヒートシールや超音波接合等の溶着や、粘着材や接着材等の接合材を用いた接合によって閉鎖され得る。バリア性容器40は気密な容器であってもよい。バリア性容器40の容積は、例えば、5cm以上1200cm以下としてもよい。容器30がバイアル瓶のような小型の容器、例えば容積が1cm以上20cm以下の容器である場合、バリア性容器の容積は、1.5cm以上500cm以下でもよい。
バリア性容器40は、酸素バリア性を有している。容器が酸素バリア性を有するとは、当該容器の酸素透過度(cm/(m・day・atm))が1以下であることを意味する。酸素バリア性を有する容器の酸素透過度(cm/(m・day・atm))は、0.5以下でもよく、0.1以下でもよい。酸素透過度は、JIS K7126-1に準拠して測定される。酸素透過度は、温度23℃および湿度40%RHの環境下で、米国、モコン(MOCON)社製の透過度測定機であるオクストラン(OXTRAN、2/61)を用いて測定される。JIS K7126-1が適用されない容器については、上述した酸素透過量を測定し、得られた酸素透過量を表面積で割ることによって、酸素透過度を特定してもよい。
酸素バリア性を有するバリア性容器40を構成する材料の酸素透過係数は、5.0×10(cm・20μm/(m・day・atm))以下でもよく、5.0×10-1(cm・20μm/(m・day・atm))以下でもよい。
酸素バリア性を有するバリア性容器40として、金属により作製された缶、蒸着や転写によって形成された金属層を有する容器、ガラス瓶を例示できる。また、酸素バリア性を有した層を含む積層体を、バリア性容器40が含んでもよい。積層体は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリビニルアルコール(PVA)等の酸素バリア性を有した樹脂層や、金属蒸着膜を含んでもよい。バリア性容器40は、透明な部分を含んでもよい。バリア性容器40の一部が透明であってもよい。バリア性容器40の全部が透明であってもよい。積層体を用いたバリア性容器40、及びガラスや樹脂を用いたバリア性容器40には、酸素バリア性とともに透明性を付与できる。バリア性容器40に透明性を付与することによって、内部に収容した液体入り容器30Lをバリア性容器40の外部から確認できる点において好ましい。
図示された例において、バリア性容器40は酸素バリア性を有した樹脂フィルムにより作製されている。バリア性容器40は、いわゆるパウチとして形成されている。バリア性容器40は、いわゆるガゼット袋として形成されている。具体的には、バリア性容器40は、第1主フィルム41a、第2主フィルム41b、第1ガゼットフィルム41c及び第2ガゼットフィルム41dを有している。第1主フィルム41a及び第2主フィルム41bは、互いに対向して配置される。第1ガゼットフィルム41cは、折り目を付けられて、第1主フィルム41a及び第2主フィルム41bの間に配置されている。第1ガゼットフィルム41cは、第1主フィルム41aの一方の側縁及び第2主フィルム41bの一方の側縁を連結している。第2ガゼットフィルム41dは、折り目を付けられて、第1主フィルム41a及び第2主フィルム41bの間に配置されている。第2ガゼットフィルム41dは、第1主フィルム41aの他方の側縁及び第2主フィルム41bの他方の側縁を連結している。第1及び第2主フィルム41a,41b及び第1及び第2ガゼットフィルム41c,41dは、上縁および下縁においても互いに接合されている。フィルム41a~41dは、例えばヒートシールや超音波接合等の溶着や、粘着材や接着材等の接合材を用いた接合によって、気密に接合されている。
ただし、別々のフィルムを接合することに代えて、一枚のフィルムを折り曲げることによって、フィルム41a~41dの隣接配置された二以上を形成してもよい。図1に示すように、ガゼット袋は、バリア性容器40に矩形形状の底面を形成可能である。底面上に容器30を配置することによって、容器30をバリア性容器40内に安定して保存できる。ただし、バリア性容器40は、図6Aに示すように、ガゼット袋に代えて、第1主フィルム41a及び第2主フィルム41bとともに底面フィルム41eを有するパウチであってもよい。このパウチは、スタンディングパウチとも呼ばれる。このパウチによっても底面を形成することができ、容器30をバリア性容器40内に安定して保存できる。
さらに、図6B乃至図6Dに示すように、平面状に展開可能なバリア性容器40を用いてもよい。図6B乃至図6Dに示されたバリア性容器40は、いずれも、樹脂製のフィルムをシール部で接合することによって、作製され得る。図6Bに示されたバリア性容器40は、第1主フィルム41a及び第2主フィルム41bをその周状に設けられたシール部43において接合することによって、作製され得る。
図6Cに示されたバリア性容器40は、折り返し部41xにおいて折り返されたフィルム41を有する。折り返されたフィルム41の対面する部分を、シール部43において、接合することによって、バリア性容器40が作製され得る。図6Cに示されたバリア性容器40では、折り返し部41x及び三方シール部43によって囲まれた部分に、収容空間が形成される。
図6Dに示されたバリア性容器40は、ピロー型とも呼ばれる。一枚のフィルム41の両端をシール部43として互いに接合することによりフィルム41を筒状にし、さらに筒状の両端部もシール部43として接合することにより、バリア性容器40が得られる。
上述した種々の例において、バリア性容器40を形成するフィルムは透明であってもよい。
また、他の例としては、図7に示すように、バリア性容器40は、容器本体42及び蓋44を有してもよい。容器本体42は、収容部42a及びフランジ部42bを有している。収容部42aは、直方体状の収容空間を形成する。容器30は、この収容空間に収容される。収容部42aは、一つの面が開口した直方体状の外形状を有している。フランジ部42bは、収容部42aの開口の周縁に設けられている。蓋44は平板状である。蓋44の周縁部が、容器本体42のフランジ部42bと気密に接合し得る。容器本体42及び蓋44は、酸素バリア性を有した樹脂板によって形成されていてもよい。蓋44及び容器本体42は、透明であってもよい。酸素バリア性を有した樹脂板の厚みは、0.05mm以上2mm以下としてもよく、0.1mm以上1.5mm以下としてもよい。
このバリア性容器40は、大気圧下で、内圧を陰圧に維持できる。すなわち、バリア性容器40は、大気圧下で、気体を陰圧に維持しながら当該気体を収容可能である。大気圧下で気体を陰圧に維持して収容可能とは、内圧を0.80atm以上の陰圧としながら、破損することなく気体を収容できることを意味する。大気圧下で気体を陰圧に維持して収容可能なバリア性容器40は、内圧が0.80atmである場合に、気密な状態でもよい。大気圧下で気体を陰圧に維持して収容可能な容器は、内圧が0.80atmである場合の容積を、内圧が1.0atmである場合の容積の95%以上に維持できてもよい。このバリア性容器40は、大気圧下で、気体を陽圧に維持しながら当該気体を収容可能でもよい。大気圧下で気体を陽圧に維持して収容可能とは、内圧を1.2atm以上の陽圧としながら、破損することなく気体を収容できることを意味する。大気圧下で気体を陽圧に維持して収容可能なバリア性容器40は、内圧が1.20atmである場合に、気密な状態でもよい。大気圧下で気体を陽圧に維持して収容可能な容器では、内圧が1.2atmである場合の容積を、内圧が1.0atmである場合の容積の105%以下に維持できてもよい。バリア性容器40は、十分に形状を維持可能な剛性を有している。ただし、バリア性容器40は、内圧を陰圧や陽圧に維持する際に、大気下でいくらか変形してもよい。
容器30内からバリア性容器40内への酸素の移動を促進する観点から、酸素透過性を有する栓34は、少なくとも部分的に、酸素バリア性を有したバリア性容器40から離れていることが好ましい。図示された例において、バリア性容器40内に収容された容器30の栓34と、バリア性容器40との間に隙間Gが形成されている。隙間Gを確保する観点から、バリア性容器40の収容空間は、容器30の外形状より大きいことが好ましい。また、バリア性容器40が樹脂フィルム等の柔軟性を有した材料で形成されている場合には、バリア性容器40の形状を調整することで、栓34とバリア性容器40との間の隙間Gを形成できる。
以上に説明した液体入り容器30L及びバリア性容器40によって容器セット20が構成される。液体入り容器30L及びバリア性容器40を有する容器セット20を用いて、液体入り組合せ容器10Lが得られる。容器30及び容器セット20を用いて組合せ容器10が得られる。
次に、液体入り組合せ容器10Lの製造方法について説明する。液体入り組合せ容器10Lを製造することによって、酸素濃度を調整された液体入り容器30Lが得られる。液体入り組合せ容器10Lの製造方法は、容器30を収容したバリア性容器40を閉鎖する工程と、容器30内の酸素量を調整する工程と、を備える。
まず、液体入り容器30L及び閉鎖前のバリア性容器40を用意する。液体入り容器30Lは、容器30に液体Lを充填することにより製造される。例えば食品や薬品等の液体Lは、陽圧に維持された無菌環境下に設置された製造ラインを用いて、製造される。無菌環境下は、菌等の異物の侵入を抑制する観点から、陽圧に維持される。結果として、得られた液体入り容器30Lの内圧は、製造環境と同様に、陽圧となる。
図8に示すように、閉鎖前のバリア性容器40に、液体入り容器30Lを収容するための開口40aが残っている。図1に示されたバリア性容器40では、例えば、フィルム41a~41dの上縁部が互いに接合されることなく開口40aを形成する。図7に示されたバリア性容器40では、蓋44を取り付けられていない容器本体42が用意される。そして、図8に示すように、開口40aを介してバリア性容器40内に液体入り容器30Lを収容する。
その後、バリア性容器40内に不活性ガス、例えば窒素を充填する。図9に示された例において、供給パイプ55から不活性ガスが供給される。供給パイプ55は、開口40aを通過してバリア性容器40内に進入している。供給パイプ55の吐出口56は、バリア性容器40の内部に位置している。供給パイプ55から不活性ガスを供給することによって、バリア性容器40の内部が不活性ガスで置換される。すなわち、液体入り容器30Lは、不活性ガス雰囲気中に置かれる。なお、不活性ガスは、反応性の低い安定した気体である。窒素以外の不活性ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス類が例示される。
なお、バリア性容器40内への不活性ガスの充填と、バリア性容器40内への液体入り容器30Lの配置は、いずれを先に行ってもよいし、並行して実施してもよい。
次に、図10に示すように、液体入り容器30Lを収容し且つ不活性ガスを充填された状態で、バリア性容器40を閉鎖する。換言すれば、容器30を収容したバリア性容器40を閉鎖する。図1に示されたバリア性容器40では、フィルム41a~41dの上縁部を互いに接合して開口40aを塞ぐことによって、バリア性容器40を閉鎖する。図7に示されたバリア性容器40では、容器本体42のフランジ部42bに蓋44の周縁部を接合することによって、バリア性容器40を閉鎖する。接合は、粘着材や接着材等の接合材を用いて実施されてもよいし、ヒートシールや超音波接合等による溶着でもよい。バリア性容器40は、閉鎖されることによって気密な状態となる。
なお、供給パイプ55から不活性ガスを供給することに代え、不活性ガス雰囲気下で液体入り容器30Lを収容したバリア性容器40を閉鎖してもよい。この方法によっても、液体入り容器30Lが不活性ガスとともにバリア性容器40内に密封される。
また、バリア性容器40を閉鎖するまでの工程は、無菌環境下で実施されていてもよい。すなわち、無菌状態で製造された液体入り容器30Lと、滅菌処理された又は無菌状態で製造されたバリア性容器40とが、例えば無菌チャンバ等の無菌環境下に持ち込まれる。このチャンバが空気雰囲気と区画されて不活性ガス雰囲気となっていれば、供給パイプ55による不活性ガスの供給を省略できる。そして、無菌環境下で、液体入り容器30Lを収容したバリア性容器40が閉鎖される。したがって、液体入り容器30Lを収容したバリア性容器40内も無菌状態となる。すなわち、液体入り容器30Lは、無菌状態にて、バリア性容器40内に保存され得る。
その後、容器30内の酸素量を調整する。容器30内の酸素量を調整する工程においては、容器30内の酸素が栓34を透過して容器30内の酸素濃度が低下する。容器30内の酸素量を調整する方法の一例について説明する。容器30内の酸素量を調整する工程においては、液体入り容器30Lをバリア性容器40内で保存する。上述したように、バリア性容器40は酸素バリア性を有している。したがって、酸素がバリア性容器40を透過することは効果的に抑制される。一方、容器30は、栓34において酸素透過性を有している。また、バリア性容器40内に不活性ガスが充填され、バリア性容器40内の酸素濃度は非常に小さい。この液体入り組合せ容器10Lでは、容器30内の酸素が栓34を透過し、バリア性容器40内へ移動する。酸素の容器30からバリア性容器40への移動にともなって、バリア性容器40内の酸素濃度が上昇し、容器30内の酸素濃度が低下する。容器30を介した酸素の透過が平衡する最終的な平衡状態において、容器30内の酸素濃度は、バリア性容器40内の酸素濃度と一致し得る。
加えて、容器30内の酸素濃度が低下すると、容器30内での酸素分圧が低下する。容器30内での酸素分圧が低下すると、容器30内における液体Lへの酸素の飽和溶解度(mg/L)も低下する。そして、液体Lの酸素溶解量(mg/L)が減少する。
以上のように、液体入り容器30Lをバリア性容器40内で収容することにより、容器30内の酸素量を調整できる。特に、液体入り容器30Lをバリア性容器40内で収容することにより、容器30内における液体とともに収容された気体の酸素濃度(%)を減少させられる。加えて、容器30内の液体Lに溶解した酸素溶解量(mg/L)も減少させることができる。例えば、液体入り容器30Lの使用前にバリア性容器40内で保管することにより、容器30内の液体Lに溶解した酸素溶解量(mg/L)を低減できる。一方、高感受性の液体L、例えば食品や薬品は、酸素によって分解され得る。例えば、薬品としての水溶液の溶質が酸素によって分解され得る。薬品としての液体や薬品としての水溶液の溶質が酸素によって分解され得る。薬品や食品としての懸濁液の液体中に分散した粒子が酸素によって分解され得る。一方、バリア性容器40内に配置された容器30に液体Lを収容することによって、液体Lの酸素による分解を抑制できる。すなわち、液体Lの封入後に容器30内の酸素濃度を調整し得る本実施の形態は、高感受性の液体L、例えば食品や薬品に対して好適である。
なお、バリア性容器40の閉鎖時にバリア性容器40内に不活性ガスを充填することに代え又はバリア性容器40内に不活性ガスを充填することに加えて、バリア性容器40内の酸素を吸収する脱酸素剤21が設けられてもよい。脱酸素剤21が酸素を吸収することによって、バリア性容器40内の酸素濃度が低下し、容器30内の酸素がバリア性容器40へ移動する。脱酸素剤21を用いることによって、バリア性容器40内の酸素濃度および容器30の酸素濃度をより効果的に低減できる。本件発明者らが確認したところ、十分な量の脱酸素剤21を用いることによって、バリア性容器40内の酸素濃度および容器30内の酸素濃度を低減でき、例えば0.3%未満、0.1%以下、0.05%以下、0.03%未満、更には0%に低減できる。さらに、容器30内の酸素濃度が低下することによって、容器30に収容された液体Lの酸素溶解量も低下する。本件発明者らが確認したところ、十分な量の脱酸素剤21を用いることによって、液体Lの酸素溶解量を、著しく低減でき、例えば0.15mg/L未満、0.04mg/L未満、0.03mg/L以下、0.02mg/L以下、0.015mg/L未満、更に好ましくは0mg/Lに低減できる。
脱酸素剤21の量は、容器30およびバリア性容器40内に存在する酸素の総量を吸収し得る量に、設定される。
容器30内の酸素濃度(%)及びバリア性容器40内の酸素濃度(%)を測定するための測定装置は、特に限定されないが、ヘッドスペース法の酸素量測定装置でもよく、蛍光接触式の酸素量測定装置でもよく、蛍光非接触式の酸素量測定装置でもよい。容器30内に収容された液体の酸素溶解量(mg/L)を測定するための測定装置は、特に限定されないが、蛍光接触式の酸素量測定装置でもよく、蛍光非接触式の酸素量測定装置でもよい。酸素濃度や酸素溶解量を測定するための測定装置は、測定限界、測定すべき酸素濃度帯域での測定の安定性、測定環境、測定条件等を考慮して、適宜選択され得る。低い酸素濃度や低い酸素溶解量を測定する場合、蛍光接触式の酸素量測定装置を用いてもよく、蛍光非接触式の酸素量測定装置を用いてもよい。
ヘッドスペース法の酸素量測定装置として、lighthouse社製のヘッドスペースアナライザーFMS760が例示される。この測定装置を用いた測定では、酸素によって吸収され得る周波数の光を、測定対象となる酸素を含む容器に容器外部から照射し、当該容器のヘッドスペースHSを通過して当該容器から出射した光を受光する。透過前後での光強度の変化を計測し、この光強度の変化に基づいて、当該容器内の酸素濃度(%)を特定できる。したがって、容器30が測定装置からの光を透過可能であれば、容器30を開放することなく、容器30内の酸素濃度を特定できる。バリア性容器40が測定装置からの光を透過可能であれば、バリア性容器40内に収容された容器30についても、バリア性容器40を開放することなくバリア性容器40の外部から光を照射して、容器30内の酸素濃度を測定できる。バリア性容器40内の酸素濃度(%)も、lighthouse社製のヘッドスペースアナライザーFMS760を用いて測定できる。測定されたヘッドスペースHSの酸素濃度(%)および温度から液体Lへの酸素の飽和溶解度を特定できる。特定された飽和溶解度に基づき、液体Lの酸素溶解量(mg/L)を特定できる。
蛍光接触式の酸素量測定装置として、ドイツのPreSens社の酸素量測定装置Microx4が例示される。酸素量測定装置Microx4は、ニードル式の装置である。酸素量測定装置Microx4は、ニードルを容器に穿刺することによって、容器内の酸素濃度や酸素溶解量を測定可能であり、測定の安定性に優れる。同一の条件で作製された複数の組合せ容器や容器を準備し、異なるタイミングで各容器内の酸素量をニードル式の酸素量測定器で測定していくことにより、酸素量の経時変化を評価できる。
予め酸素センサを容器内に収容しておくことにより、蛍光非接触式の酸素量測定器を用いて、容器30及びバリア性容器40内の酸素濃度や酸素溶解量を測定できる。蛍光非接触式の酸素量測定器として、ドイツのPreSens社の酸素量測定器Fibox3が例示される。酸素センサは、特定波長域の光を受光すると自家発光する。酸素センサの自家発光量は、センサ周囲における酸素量の増加にともなって増加する。蛍光非接触式の酸素量測定器は、酸素センサが自家発光する特定波長の光を射出可能であり、酸素センサの自家発光量を計測して、酸素濃度(%)および酸素溶解量(mg/L)を測定できる。容器30がバリア性容器40内に収容されている場合、バリア性容器40を開放することなくバリア性容器40の外部から光を照射して液体Lの酸素溶解量を測定できる。
脱酸素剤21は、酸素を吸収できる組成物であれば特に限定されない。脱酸素剤21として、鉄系の脱酸素剤や、非鉄系の脱酸素剤を用いることができる。例えば、鉄粉等の金属粉、鉄化合物等の還元性無機物質、多価フェノール類、多価アルコール類、アスコルビン酸又はその塩等の還元性有機物質又は金属錯体等を酸素吸収反応の主剤とする脱酸素剤組成物を、脱酸素剤として用いてもよい。図1及び図7に示された例において、組合せ容器10は、液体入り容器30Lとともにバリア性容器40内に収容された脱酸素部材22を有している。図11に示すように、脱酸素部材22は、酸素透過性を有した包装体22aと、包装体22aに収容された脱酸素剤21と、を含んでいる。脱酸素剤21を含んだ脱酸素部材22として、三菱ガス化学株式会社から入手可能な、鉄系水分依存型のFXタイプ、鉄系自力反応型のSタイプ、SPEタイプ、ZPタイプ、ZI-PTタイプ、ZJ-PKタイプ、Eタイプ、有機系自力反応型のGLSタイプ、GL-Mタイプ、GEタイプ等を用いてもよい。脱酸素剤21を含んだ脱酸素部材22として、三菱ガス化学株式会社から入手可能な医薬品向けのZHタイプ、Z-PK、Z-PR、Z-PKR、ZMタイプ等を用いてもよい。
脱酸素剤21は、脱酸素フィルム23に含まれてもよい。一例として、図12は、図1及び図6A~図6Dに示されたバリア性容器40のフィルム41a~41eや図7に示されたバリア性容器40の容器本体42や蓋44を構成する積層体46を示している。図12に示された積層体46は、第1層46a、第2層46b、第3層46cを含んでいる。一例として、第1層46aは、ポリエチレンテレフタレートやナイロン等からなる最外層でもよい。第2層46bは、アルミ箔、無機蒸着膜、金属蒸着膜等からなる酸素バリア層でもよい。第3層46cは、ヒートシール層をなす最内層であってもよい。図示された第3層46cは、熱可塑性樹脂からなる母材と、母材中に分散した脱酸素剤21と、を有している。すなわち、図12に示された例において、バリア性容器40が、脱酸素剤21を含んだ脱酸素フィルム23を積層体46の一部分として有している。脱酸素剤21は、ヒートシール層や最内層に限られず、粘着層や積層体の中間層に含まれてもよい。その他の例として、容器30が、脱酸素剤21を含んだ脱酸素フィルム23を含んでもよい。脱酸素剤21は、図1及び図7に示す例のように容器30やバリア性容器40と別途に設けられてもよいし、図12に示すように容器30やバリア性容器40の一部分として設けられてもよい。
さらに、バリア性容器40内の水分を吸収する脱水剤24が設けられてもよい。脱水剤24は、水蒸気や水等の水分を吸収する性質を有する物質又は当該物質を含む組成物である。脱水剤24として、塩化カルシウム、ソーダ石灰、シリカゲル等が例示され得る。このような脱水剤24を容器30とともにバリア性容器40内に収容して、バリア性容器40を閉鎖してもよい。図1に示された例において、脱水剤24が、包装体に収容された脱水部材として、バリア性容器40内に配置されている。或いは、上述の脱酸素剤と同様に、脱水材を含むフィルム状の脱水フィルムが、容器30やバリア性容器40の一部分として含まれてもよい。この例において、バリア性容器40を構成する酸素バリア層と、脱水剤24を含む脱水フィルムとが積層されて一体化していてもよい。グリセリンやアルコール等の非水系溶媒が容器30に収容されている場合、バリア性容器内に収容した脱水剤24によって、容器30内の水蒸気や水等の水分を除去できる。本件発明者らが確認したところ、バリア性容器40内に脱水剤を収容することによって、容器30内の水分を100μg以下、50μg以下、10μg以下にできた。
脱水剤24を用いた場合における、容器30内の水分は、カールフィッシャー法を用いて測定され得る。具体的には、京都電子工業株式会社製のカールフィッシャー水分計MKC-610を用いた電量滴定法にて、容器30内の水分量を特定できる。
さらに、バリア性容器40内の酸素状態を検知する酸素検知材25が設けられてもよい。酸素検知材25は、検知した酸素状態を表示してもよい。酸素検知材25は、酸素濃度を検知してもよい。酸素検知材25は、検知した酸素濃度値を表示してもよい。酸素検知材25は、検知した酸素濃度値を色によって表示してもよい。
酸素検知材25は、酸化還元により可逆的に色が変わる可変性有機色素を含んでもよい。例えば、酸素還元剤は、チアジン染料あるいはアジン染料、オキサジン染料などの有機色素と還元剤とを含み、固形状でもよい。また、酸素還元剤は、酸素インジケーターインキ組成物を含んでもよい。酸素インジケーターインキ組成物は、樹脂溶液と、チアジン染料等と、還元性糖類と、アルカリ性物質と、を含んでもよい。チアジン染料等、還元性糖類、およびアルカリ性物質は、樹脂溶液中に溶解もしくは分散してもよい。酸素検知材25に含まれる物質は、酸化および還元により可逆的に変化してもよい。可逆的な物質を含む酸素検知材25を用いることによって、脱酸素が完了する前に容器内に収容された酸素検知材25が容器内の脱酸素にともなって表示色を変化させることにより、当該容器内における酸素量を透明な容器外から観察して、容器内の酸素に関連した状態を把握できる。また、容器内に収容された酸素検知材25は、脱酸素が完了した後の酸素濃度上昇を、例えば流通過程等に容器にピンホール等が形成されて酸素が容器に流入した状態を、表示色を変化させて報知できる。
より具体的には、市販の錠剤型酸素検知材として、例えば、「エージレスアイ」の商品名にて三菱瓦斯化学(株)から入手可能な酸素検知材25を用いてもよい。酸素検知機能を有するインキ組成物を塗布した酸素検知材として、例えば、「ペーパーアイ」の商品名で三菱瓦斯化学(株)から入手可能な酸素検知材25を用いてもよい。「エージレスアイ」や「ペーパーアイ」は、透明な容器内の酸素濃度が0.1容量%未満の無酸素状態であることを簡便に色変化で示すことができる機能製品である。酸素検知材25として、脱酸素剤とともに、例えば「エージレス」の商品名で三菱瓦斯化学(株)から入手可能な脱酸素剤とともに、食品の鮮度保持および医療医薬品の品質保持等に使用され得るものを使用してもよい。
図1に示すように、酸素検知材25は、透明なバリア性容器40の外部から観察可能な表示部26を有してもよい。図1に示された例において、酸素検知材25は、脱酸素剤21や脱酸素部材22と同様に、バリア性容器40内に収容されている。酸素検知材25は、バリア性容器40の内面や容器30の外面に、溶着や接合材を介して接合されてもよい。酸素検知材25は、その表示部26が脱酸素部材22や脱水剤24によって観察不可能とならないように配置されてもよい。また、容器30にラベルが貼られている場合には、脱酸素部材22、脱水剤24および酸素検知材25は、ラベルを覆わないように配置されることが好ましい。
さらに、酸素検知材25は、容器30内の酸素状態を検知してもよい。この酸素検知材25は、容器30内に収容されてもよい。酸素検知材25は、検知した容器30内の酸素状態を表示してもよい。酸素検知材25は、容器30内の酸素濃度を検知してもよい。酸素検知材25は、検知した容器30内の酸素濃度値を表示してもよい。酸素検知材25は、検知した容器30内の酸素濃度値を色によって表示してもよい。
なお、容器30の液体Lが占めていない空間、いわゆるヘッドスペースHS内の酸素濃度は、容器本体32へ栓34を取り付ける前に、ヘッドスペースHSを不活性ガスで置換することや、液体Lを不活性ガスでバブリングすること等によっても1.5%以下程度まで低下させることができる。一例として、ヘッドスペースHS内の酸素濃度は、0.5%以上1%以下の数値まで低下する。また、不活性ガスで置換された雰囲気にて液体を製造し、酸素バリア性を有した容器に当該液体を収容することによれば、容器に収容された液体への酸素溶解量を低減できると考えられる。ただし、液体を製造するラインの全体を不活性ガスで置換された雰囲気に設置することは、大がかりな製造設備の改修や莫大な設備投資を必要とする。また、高価な薬品等の分野では、温度、酸素、水分、光等に対する安定性を確保するため、当該薬品を凍結乾燥させて粉末状にして保存することも行われている。ただし、液体の薬品を保存のために粉末状とすること並びに使用に際して粉末状の薬品を液体に戻すことは、手間、時間、コストの面におけるデメリットが大きい。
これに対して本実施の形態によれば、既存の設備等を用いて、従来通りに液体入りの容器を製造できる。したがって、設備改修や設備投資を回避できる。とりわけ薬品等の液体への適用においては、製造設備や製造工程の変更に関する公的機関への承認申請を省くことができる点においても有用である。また、液体Lを凍結乾燥することや粉末を液体に戻すといった手間を省ける。さらに、容器30に特別な制約を受けることもない。したがって、溶出量の少ないことで食品や薬品等の容器の材料として広く普及したガラスや樹脂などの材料を採用できる。本実施の形態において、容器本体32はバリア性を有する。この場合、容器本体32の材料は、例えばガラスである。容器本体32の材料は、シクロオレフィンポリマーなどのバリア性を有する樹脂であってもよい。
加えて、上述した具体例において、容器30は、容器本体32及び栓34を有している。この容器30はバイアル瓶であってもよい。ただし、従来、液体を収容したバイアル瓶、特に無菌状態で液体を収容したバイアル瓶は、酸素透過性の低い、更には酸素バリア性を有したブチルゴムやフッ素ゴムを用いて作製される。これに対して、上述した具体例では、栓34は酸素透過性を有している。すなわち、酸素が栓34を透過可能である。例えば、栓34を構成する材料の酸素透過係数(cm・20μm/(m・day・atm))が大きく設定されている。栓34はシリコーン又はシリコーンゴムによって構成されてもよい。さらに、栓34を構成するシリコーン又はシリコーンゴムの酸素透過係数は、容器本体32を構成する材料の酸素透過係数よりも大きくてもよい。このような具体例によれば、酸素は、栓34を透過して、容器30外へと移動する。したがって、酸素透過性を有する栓34を用いることにより、従来使用されてきたバイアル瓶等の既存の容器に対して、簡易に、酸素透過性を付与できる。
この具体例において、平衡状態に至るまでの時間は、栓34の酸素透過可能量に依存する。したがって、容器本体32の開口部33の開口面積や栓34の厚みを上述したように調整することによって、バリア性容器40内に容器30を収容してから容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。
また、容器30の容積から液体Lの体積を差し引いた容器30の部分容積(ヘッドスペースHSの容積)は、50cm以下でもよく、30cmでもよく、10cmでもよく、5cm以下でもよい。このような液体入り組合せ容器10Lによれば、容器30を収容したバリア性容器40を閉鎖してから、容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。
同様に、容器30に収容された液体Lの体積を、20cm以下としてもよく、10cm以下としてもよい。このような液体入り組合せ容器10Lによれば、容器30を収容したバリア性容器40を閉鎖してから、容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。
さらに、容器30の容積から液体Lの体積を差し引いた容器30の部分容積(ヘッドスペースHSの容積)(cm)の、バリア性容器40の容積から容器30が占める体積を差し引いたバリア性容器40の部分容積(cm)に対する割合(%)に、上限および下限を設定してもよい。この割合を、50%以下としてもよく、20%以下としてもよい。このような上限を設定することによって、容器30の酸素濃度を低減できる。また、バリア性容器40内に容器30の収容スペースを確保でき、バリア性容器40内に容器30を容易に収容できる。さらに、容器30を収容したバリア性容器40を閉鎖してから、容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。また、この割合を、5%以上としてもよく、10%以上としてもよい。このように下限を設定することによって、バリア性容器40が容器30に対して大きくなり過ぎず、組合せ容器10の取り扱い性低下を抑制できる。
なお、容器30を介した酸素透過が平衡状態にあるかは、容器30内の酸素濃度に基づいて判断する。この判断には、或る時点における容器30内の酸素濃度値(%)と当該或る時点よりも24時間前における容器30内の酸素濃度値(%)との差が、当該或る時点における容器30内の酸素濃度値(%)の±5%以下である場合、平衡状態に至っていると判断する。
以上のようにして、酸素濃度調整及び酸素溶解量が調整された液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを得ることができる。容器30を介した酸素の透過が平衡した平衡状態において、一例として、容器30内の酸素濃度及びバリア性容器40内の酸素濃度を1%未満としてもよい。従来技術における不活性ガスによる置換やバブリングだけでは、容器30中のヘッドスペースHSでの酸素濃度(%)の低減は、容器30に液体Lが収容されていることによって困難となることも多かった。結果として、液体Lに大量に溶解している溶存酸素の低減は困難であった。これに対し、上述の一実施の形態の一具体例によれば、バリア性容器40内には、液体入り容器30L及び気体が収容され、液体Lをそのまま収容する必要がないので、バリア性容器40内の酸素濃度を十分に低減できる。したがって、バリア性容器40の容積を調整しておくことによって、平衡状態での容器30内の酸素濃度を1%未満にできる。このような作用効果は、液体Lが高感受性の薬品や食品である場合に好適である。
とりわけ、バリア性容器40内の酸素を吸収する脱酸素剤21を用いた場合には、容器30の酸素濃度を0.3%未満、0.1%以下、0.05%以下、0.03%未満、更には0%まで低下でき、且つ、バリア性容器40の酸素濃度を0.3%未満、0.1%以下、0.05%以下、0.03%未満、更には0%まで低下できる。また、バリア性容器40内の酸素を吸収する脱酸素剤21を用いた場合には、容器30内の液体Lの酸素溶解量を0.15mg/L未満、0.04mg/L未満、0.03mg/L以下、更には0.015mg/L未満、更には0mg/Lまで低下できる。加えて、脱酸素剤21を容器30の外部に配置することによって、容器30の内部の殺菌状態を脱酸素剤21が害してしまうこともない。
酸素濃度や酸素溶解量が低減されるまでに長期期間を要すると、液体Lの酸素による劣化が進行する。バリア性容器40を閉鎖してから容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの期間または時間は、4週間以内であることが好ましい。4週間以内に平衡状態に達して、例えばバリア性容器40内の酸素濃度が1%未満となれば、薬品としての液体Lの劣化を効果的に抑制できる。高感受性の液体Lについては、平衡状態までの期間は20日以内であることが好ましく、1週間以内であることがより好ましく、3日以内であることが更により好ましい。その一方で、液体Lの酸素溶解量を或る程度低下させる平衡状態に至るまでには、一定期間を要する。バリア性容器40を閉鎖してから容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの期間または時間を、1時間以上としてもよい。
なお、バリア性容器40内における容器30の酸素量調整は、容器30を介した酸素の透過が平衡する迄、実施されてもよい。バリア性容器40内における容器30の酸素量調整は、バリア性容器40内の酸素濃度が所定の値に上昇するまで実施されてもよい。バリア性容器40内における容器30の酸素量調整は、容器30内の酸素濃度が所定の値に低下するまで実施されてもよい。バリア性容器40内における容器30の酸素量調整は、容器30内の液体Lの酸素溶解量が所定の値に低下するまで実施されてもよい。バリア性容器40内における容器30の酸素量調整は、組合せ容器10の液体Lを使用する時まで実施されてもよい。また、バリア性容器40内に容器30を収容して酸素量調整している間、液体入り組合せ容器10Lを流通させてもよい。
次に、液体入り組合せ容器10Lの使用方法について説明する。
組合せ容器10に収容された液体Lを使用するにあたり、まず、バリア性容器40を開放する。次に、開放されたバリア性容器40から液体入り容器30Lを取り出す。その後、液体入り容器30Lから液体Lを取り出して使用できる。図示された容器30については、固定具36を容器本体32から取り外し、更に栓34を容器本体32から取り外すことによって、容器30を開放できる。これにより、容器30内の液体Lを使用できる。
また、図13に示すように液体Lが、シリンジ60に注入される薬品であってもよい。液体Lは、バイアル瓶である容器30に収容された液体であってもよい。液体Lは薬品のうちの注射剤であってもよい。注射剤として、抗癌剤や抗ウイルス剤、ワクチン、抗精神剤等が例示される。シリンジ60は、シリンダ62及びピストン66を有している。シリンダ62は、シリンダ本体63及びシリンダ本体63から突出した針64を有している。筒状の針64は、シリンダ本体63の液体Lを収容するための空間へのアクセスを可能にする。ピストン66は、ピストン本体67及びピストン本体67に保持されたガスケット68を有する。ガスケット68は、ゴム等によって構成され得る。ガスケット68は、シリンダ本体63内に挿入されて、液体Lの収容空間をシリンダ本体63内に区画する。このシリンジ60に注入された液体Lは、患者等へ投与される迄に、シリンジ60から別のシリンジや容器等に移し替えられてもよい。この例において、別のシリンジや容器等から患者へ投与されてもよい。
ところで、液体入り容器30L内の圧力は調整されていることが好ましい。一例として、液体入り容器30L内の圧力が低く維持されていること、とりわけ陰圧に維持されていることが好ましい。この例によれば、液体入り容器30Lの保存時における液体の意図しない漏出や、容器30の開放時における液体Lの飛散等を効果的に抑制できる。漏出や飛散の問題は、毒性を有した液体、例えば高薬理活性の薬品おいてより深刻となる。また、図13に示された例において、液体入り容器30L内が陽圧であると、シリンジ60内に液体Lが自動的に入ってくる。この場合、シリンジ60内に液体Lを所望量だけ高精度に注入することが難しくなる。
その一方で、例えばガス、熱、ガンマ線等を用いて製造後に実施される後滅菌処理によって劣化してしまう高感受性の液体、例えば食品や薬品、より具体的には抗癌剤や抗ウイルス剤、ワクチン、抗精神剤等は、無菌環境下で製造され且つ容器に封入される。すなわち、最終滅菌法を適用できない液体は、無菌操作法により製造される。この無菌環境は、菌の侵入を抑制するため、通常所定の陽圧に維持されている。したがって、容器内の圧力は無菌環境に対応した所定の陽圧となり、容器の閉鎖後に容器の内圧を調整することは困難である。
本実施の形態によれば、このような不具合に対処できる。上述したように、液体入り容器30Lはバリア性容器40内で保存される。この保存中、脱酸素剤21によるバリア性容器40内の酸素濃度の低下や、不活性ガス置換によるバリア性容器40内の酸素濃度の低下に起因して、容器30内の酸素が容器30を透過してバリア性容器40内に移動する。これにより、容器30内の圧力を低下させることができる。すなわち、液体Lを収容した容器30の圧力を、容器30を閉鎖して液体Lを封入した後に、調整できる。
容器30の内圧調整の観点から、大気圧下で気体を陰圧に維持して収容可能なバリア性容器40を用いてもよい。例えば、図7に示されたバリア性容器40を用い、陰圧に維持された不活性ガス雰囲気下で、容器30を収容したバリア性容器40を閉鎖してもよい。閉鎖されたバリア性容器40内の圧力は、大気圧未満となる。この場合、容器30からバリア性容器40への酸素透過が促進される。とりわけ、バリア性容器40の容積を大きく確保することや、バリア性容器40の初期圧力を大きく低下させておくことによって、容器30内の圧力を大幅に調整できる。これにより、当初陽圧であった容器30内の圧力を、容器30をバリア性容器40内で保存することによって、陰圧に調整できる。これにより、液体Lの製造方法や液体の容器30への液体Lの封入方法等に依存することなく、圧力調整された液体入り容器30Lを製造できる。
また、バリア性容器40を陰圧にして閉鎖することは、容器30の酸素透過を促進させることになる。したがって、液体入り容器30Lを収容したバリア性容器40を閉鎖してから容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。
なお、陰圧とは、大気圧である1atm未満の圧力を意味する。陽圧とは、大気圧である1atmを超える圧力を意味する。なお、容器内が陰圧であるか否かは、容器に圧力計が設けられている場合には当該圧力計を用いて判断できる。容器に圧力計が設けられていない場合には、シリンジを用いても判断できる。具体的には、対象となる容器にシリンジの針を刺した際に、シリンジのピストンに大気圧のみが印加されている状態でシリンジ内に収容されていた液体や気体が容器内に流入するか否かによって、判断できる。シリンジ内に収容されていた液体や気体が容器内に流入する場合、容器内は陰圧であったと判断される。同様に、容器内が陽圧であるか否かは、圧力計を用いて判断できるが、シリンジを用いても判断できる。具体的には、対象となる容器にシリンジの針を刺した際に、シリンジのピストンに大気圧のみが印加されている状態で容器内に収容されていた液体や気体がシリンジ内に流入するか否かによって、判断できる。容器内に収容されていた液体や気体がシリンジ内に流入する場合、容器内は陽圧であったと判断される。
以上に説明してきた一実施の形態において、容器セット20は、液体Lを収容し且つ少なくとも一部分において酸素透過性を有する容器30と、容器30を収容可能であり酸素バリア性を有したバリア性容器40と、を有する。組合せ容器10は、容器30をバリア性容器40に収容することによって得られる。すなわち、液体入り組合せ容器10Lは、液体Lを収容し且つ少なくとも一部分において酸素透過性を有する容器30と、容器30を収容し且つ酸素バリア性を有したバリア性容器40と、を有する。
この組合せ容器10において、バリア性容器40が酸素量の低減や酸素バリア性を担っている。一方、液体入り容器30Lは、内部および収容される液体Lの無菌性を担ってもよい。このように、液体Lに要求される収容環境を、容器30及びバリア性容器40の組合せによって効率的に実現している。組合せ容器10および容器セット20によれば、液体Lに要求される保存環境を高い自由度で安価かつ簡易に実現できる。
上述した一実施の形態の一具体例において、容器30は、開口部33を有した容器本体32と、開口部33を閉鎖する栓34と、を有する。栓34は酸素透過性を有する。このような具体例によれば、酸素は、栓34を透過して、容器30外へと移動する。したがって、所謂ヘッドスペースHS等の容器30内において液体Lから露出した領域に酸素透過性を付与できる。これにより、容器30を介した酸素の透過が円滑に進み、バリア性容器40内に容器30を収容してから容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。
上述した一実施の形態の一具体例において、容器30の栓34は、栓本体部35とバリア層81とを備える。このような具体例によれば、容器30に収容された液体Lが栓34の材料と反応することをバリア層81によって抑制しつつ、容器30内の酸素を、栓34を透過させて容器30外に排出できる。
上述した一実施の形態の一具体例において、容器本体32は酸素バリア性を有してもよい。容器30を透過した酸素は、容器30内のヘッドスペースHS等の液体Lから離間した領域に進入する。したがって、容器30を透過した酸素の液体Lへの溶解を抑制できる。
上述した一実施の形態の一具体例において、容器本体32の開口部33の開口面積は10mm以上500mm以下であってもよい。栓34の厚みは0.1mm以上5mm以下であってもよい。このような液体入り組合せ容器10Lによれば、バリア性容器40内に容器30を収容してから容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等できる。
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
図14は、変形例の栓34の一例を示す図である。図14においては、容器30の栓34の栓本体部35とバリア層81との境界については図示を省略して、栓34の外形を示している。図14に示すように、栓34の表面の少なくとも一部に凹凸面84が設けられていてもよい。特に、凹凸面84は、栓34の、液体入り容器30Lの外面をなす面の少なくとも一部に凹凸面84が設けられていてもよい。図14に示す例においては、栓34の板状部34aの第2面34fに凹凸面84が設けられている。栓34の表面の少なくとも一部に凹凸面84が設けられていることによって、栓34の表面積は、栓34の表面に凹凸面84が設けられていない場合の栓34の表面積よりも大きくなる。栓34の表面積が大きいことによって、酸素が栓34を透過することを促進できる。
凹凸面84は、例えば栓34の表面にイオンビームの照射やプラズマ処理等による表面改質処理を実施することによって形成できる。栓34の、液体入り容器30Lの外面をなす面の少なくとも一部に凹凸面84を設ける場合に、栓34の凹凸面84が設けられる面は、栓本体部35によって構成されていてもよく、バリア層81によって構成されていてもよい。
栓34の表面積を大きくすることにより酸素の透過を促進する観点から、栓34の外面から突出する突出部85を設けてもよい。例えば、図14に二点鎖線で示すように、栓34が、容器本体32に接触しない突出部85を含んでもよい。
以下、実施例を用いて上述した一実施の形態をより詳細に説明するが、上述した一実施の形態はこの実施例に限定されない。
<実施例1>
実施例1として、以下の方法によって、液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。
(液体入り容器の製造)
まず、容量約8.2cmのバイアル瓶を容器30として用意した。容器30は、図1に示す構成を有していた。容器30をなすバイアル瓶は、ガラス製の容器本体32を有していた。容器30は、気体を陰圧に維持して収容可能であった。純水を液体Lとして、容器30に収容した。純水の量は、4cmとした。液体Lを収容した容器本体32の開口部33を栓34で閉鎖した。
栓34は、シリコーンゴムによって構成された栓本体部35と、バリア層81とを有していた。栓本体部35として、シリコーンゴム栓を用いた。栓本体部35をなすシリコーンゴムの酸素透過度は7.5×10(cm/(m・day・atm))であった。栓本体部35の開口部33に重なる部分の最小の厚みw1は、2.7mmであった。栓34は、図4に示す構成を有していた。すなわち、バリア層81は、第1部分81a及び第2部分81bを有し、第3部分81cを有しなかった。バリア層81の厚みは、200nmとした。上述のように、実施例1の栓34は図4に示す構成を有していた。このため、実施例1の栓34において、バリア層81の厚みとは、第1部分81aの厚みである。バリア層81として、パラキシリレンNからなるパラキシリレン層を用いた。パラキシリレンNからなるパラキシリレン層は、図15に示すような蒸着装置によって作製される蒸着膜であった。図15に示す蒸着装置は、気化室、熱分解室、蒸着室及びバキュームポンプを、順に繋げた構成を有する。蒸着室とバキュームポンプとは、冷却筒を介して繋げられている。
より具体的には、パラキシリレンNからなるパラキシリレン層は、上記の蒸着装置を用いて、以下の工程A~Dを含む方法によって作製された。
工程A)栓本体部35の表面を、リアクティブイオンエッチング方式又はダイレクトプラズマ方式で、アルゴン/酸素混合ガスの存在下で、1~100Paの気圧下で、プラズマ出力10~500Wで、処理時間5~500秒間プラズマ処理する工程。
工程B)パラキシリレン層の材料であるパラキシリレン系化合物を気化室内に導入し、100~160℃で気化する工程。
工程C)気化した前記パラキシリレン系化合物を、熱分解室内で、600~690℃でラジカル化する工程。
工程D)5~15μbarに減圧された蒸着室内に、ラジカル化した前記パラキシリレン系化合物を10~400μbarで導入し、前記蒸着室内に別途導入された前記のプラズマ処理済みの栓本体部35の表面に、前記パラキシリレン系化合物を蒸着させると共に重合させて、パラキシリレン層である蒸着膜を形成する工程。
工程B)においては、パラキシリレン系化合物を気化室内に導入した上で、バキュームポンプを作動させて気化室を所定の低圧条件に調整することで、気化室を加熱した。これによって、パラキシリレン系化合物を気化した。
ハンドクリッパーを用いてアルミシールを容器本体32の頭部32dに固定し、液体入り容器30Lを作製した。アルミシールは、図2Aに示された固定具36として機能した。すなわちアルミシールは、栓34が容器本体32から外れることを規制した。アルミシールを用いた密封後の状態において、容器本体32と栓34との間は気密となった。容器30内には、注射用水が充填されていないヘッドスペースHSが約4.2cmの容積で残った。容器30の閉鎖は空気中で行った。したがって、容器30のヘッドスペースHSには、空気が含まれていた。容器30のヘッドスペースHSにおける酸素濃度は、21.0%であった。容器30に収容された注射用水の酸素溶解量は、8.84mg/Lであった。
次に、透明な酸素バリア性包材によって構成されたバリア性容器40を用意した。バリア性容器40は、図1に示された構成を有していた。バリア性容器40は、所謂パウチであった。バリア性容器40内に液体入り容器30L及び脱酸素剤21を含んだ脱酸素部材22を収容し、バリア性容器40をヒートシールで密閉した。これによって、液体入り組合せ容器10Lを製造した。閉鎖されたバリア性容器40は、約100cmの空気を収容していた。脱酸素部材22は、200cmの酸素を吸収可能な脱酸素剤21を含んでいた。
実施例1に用いられる材料や部材等はすべて滅菌処理済みとした。容器30への注射用水の収容、容器30の閉鎖、バリア性容器40への液体入り容器30L及び脱酸素剤21の収容、及び、バリア性容器40の閉鎖は、無菌状態のアイソレーター内で実施した。
(栓の酸素透過量測定試験)
図2Bに示された方法にて、実施例1の液体入り容器30Lの栓34の酸素透過量を測定したところ、2.1(cm/(day・atm))であった。実施例1の栓34は酸素透過性を有すると判断された。
(液漏れ試験)
実施例1の液体入り容器30Lに対して、上述した液漏れ試験を行った。すなわち、まず、上述のように液体Lとして4cmの純水を収容し、栓34が開口部33を閉鎖した液体入り容器30Lを準備した。また、染色液を収容したビーカーを準備した。次に、液体入り容器30Lをビーカーに収容して、ビーカー内の染色液の液面下に沈めた。次に、ビーカーを、内部を減圧する機能を有するデシケータの内部に配置した。次に、10分間、ビーカーの周囲の大気を大気圧から30kPaだけ減圧して、液体入り容器30L内を減圧した。次に、ビーカーの周囲の大気を大気圧に戻して、30分間放置した。この後に、容器30内の液体Lが染色液の色に染まっているか観察した。容器30内の液体Lが染色液の色に染まっていれば、栓34が液体Lを密封していないと判断した。容器30内の液体Lが染色液の色に染まっていなければ、栓34が液体Lを密封していると判断した。
<実施例2>
実施例2として、バリア層81の厚みを500nmとした点以外は実施例1と同様の方法によって、液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。実施例2の栓34の酸素透過量は1.9(cm/(day・atm))であった。実施例2の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<実施例3>
実施例3として、バリア層81の厚みを1000nmとした点以外は実施例1と同様の方法によって、液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。実施例3の栓34の酸素透過量は1.5(cm/(day・atm))であった。実施例3の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<実施例4>
実施例4として、バリア層81の厚みを3000nmとした点以外は実施例1と同様の方法によって、液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。実施例4の栓34の酸素透過量は0.9(cm/(day・atm))であった。実施例4の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<比較例1>
比較例1として、バリア層81の厚みを50000nmとした点以外は実施例1と同様の方法によって、液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。比較例1の栓34の酸素透過量は0.1(cm/(day・atm))より小さかった。比較例1の栓34は、酸素透過性を有しないと判断された。
<比較例2>
比較例2として、栓34がバリア層81を有しない点以外は実施例1と同様の方法によって、液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。
実施例1乃至実施例3、比較例1及び比較例2の液体入り容器30Lの試験結果を、バリア層81の厚みとともに表1に示す。「栓の酸素透過量測定試験」の欄において、「〇」は、栓34が酸素透過性を有すると判断され且つ酸素透過量が1(cm/(day・atm))以上であったことを意味する。「栓の酸素透過量測定試験」の欄において、「△」は、栓34が酸素透過性を有すると判断され且つ酸素透過量が0.1(cm/(day・atm))以上1(cm/(day・atm))未満であったことを意味する。「栓の酸素透過量測定試験」の欄において、「×」は、栓34が酸素透過性を有しないと判断されたことを意味する。液漏れ評価試験において、「〇」は、栓34が液体Lを密封していると判断されたことを意味する。液漏れ評価試験において、「×」は、栓34が液体Lを密封していないと判断されたことを意味する。
Figure 0007470308000011
表1に示すように、栓34の酸素透過量測定試験においてバリア層81の厚みが1000nm以下である実施例1乃至実施例3において、酸素透過性を有する栓34が得られた。
表1に示すように、液漏れ評価試験において、バリア層81の厚みが1000nm以下である実施例1乃至実施例3において、栓34が液体Lを密封していると判断された。一方で、バリア層81の厚みが1200nmである比較例1において、栓34が液体Lを密封していないと判断された。このため、栓34が図4に示す構成を有する場合に、バリア層81の厚みを1000nm以下とすることによって、液体Lの容器30からの液漏れをより効果的に防止できることがわかった。
<実施例5>
実施例5として、以下の点を除き、実施例1と同様の方法によって液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。バリア層81として、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)からなるフッ素系樹脂層を用いた。パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)からなるフッ素系樹脂層は、PFAフィルムをラミネート処理によって栓本体部35上に積層することによって作製された。バリア層81の厚みは、10μmとした。実施例5の栓34の酸素透過量は1.1(cm/(day・atm))であった。実施例5の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<実施例6>
実施例6として、バリア層81の厚みを20μmとした点以外は実施例5と同様の方法によって、液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。実施例6の栓34の酸素透過量は0.6(cm/(day・atm))であった。実施例6の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<実施例7>
実施例7として、バリア層81の厚みを50μmとした点以外は実施例5と同様の方法によって、液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。実施例7の栓34の酸素透過量は約0.3(cm/(day・atm))であった。実施例7の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<実施例8>
実施例8として、バリア層81の厚みを100μmとした点以外は実施例5と同様の方法によって、液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。実施例8の栓34の酸素透過量は0.15(cm/(day・atm))であった。実施例8の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<比較例3>
比較例3として、バリア層81の厚みを200μmとした点以外は実施例5と同様の方法によって、液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。比較例3の栓34の酸素透過量は0.1(cm/(day・atm))より小さかった。比較例3の栓34は、酸素透過性を有しないと判断された。
実施例5乃至実施例8及び比較例3の液体入り容器30Lの試験結果を、バリア層81の厚みとともに表2に示す。上述した比較例2の液体入り容器30Lの試験結果を、併せて表2に示す。表2における「〇」、「×」及び「△」の意味は、表1と同様である。
Figure 0007470308000012
表2に示すように、栓34の酸素透過量測定試験においてバリア層81の厚みが50μm以下である実施例4乃至実施例6において、酸素透過性を有する栓34が得られた。
表2に示すように、液漏れ評価試験において、バリア層81の厚みが50μm以下である実施例4乃至実施例6において、栓34が液体Lを密封していると判断された。一方で、バリア層81の厚みが100μmである比較例3において、栓34が液体Lを密封していないと判断された。このため、栓34が図4に示す構成を有する場合に、バリア層81の厚みを50μm以下とすることによって、液体Lの容器30からの液漏れをより効果的に防止できることがわかった。
<実施例9>
実施例9として、以下の点を除き、実施例1と同様の方法によって液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造した。バリア層81として、パラキシリレンHTからなるパラキシリレン層を用いた。パラキシリレンHTからなるパラキシリレン層は、実施例1においてパラキシリレンNからなるパラキシリレン層を作製した方法と同様の方法によって作製された。バリア層81の厚みは、1000nmとした。製造された液体入り容器30Lについて、実施例1と同様の方法によって、栓34の酸素透過性試験を行った。実施例9の栓34の酸素透過量は2.0(cm/(day・atm))であった。実施例9の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<比較例4>
比較例4として、バリア層81の厚みを50000nmとした点以外は実施例9と同様の方法によって、液体入り容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを製造し、製造された液体入り容器30Lの試験を行った。比較例4の栓34の酸素透過量は0.1(cm/(day・atm))より小さかった。比較例4の栓34は、酸素透過性を有しないと判断された。
実施例9及び比較例4の液体入り容器30Lの試験結果を、バリア層81の厚みとともに表3に示す。表3における「△」及び「×」の意味は、表1と同様である。
Figure 0007470308000013
表3に示すように、栓34の酸素透過量測定試験においてバリア層81の厚みが1000nmである実施例9において、酸素透過性を有する栓34が得られた。
<実施例10>
実施例10として、以下の点を除き、実施例1と同様の方法によって実施例1の液体入り容器30Lの栓34と同様の栓34を製造した。実施例10の栓34として、図3に示す構成を有する栓34を製造した。栓34のバリア層81は、第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cを有していた。栓本体部35は、表面の全体がバリア層81によって覆われていた。バリア層81の厚みは、400nmとした。上述のように、実施例10の栓34は図3に示す構成を有していた。このため、実施例10の栓34において、バリア層81の厚みとは、第1部分81aと第3部分81cとの合計の厚みである。バリア層81の厚みは、第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cにおいて、均等であった。第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みは、ともに200nmであった。
(栓の酸素透過量測定試験)
図2Bに示された方法にて、実施例10の栓34の酸素透過量を測定したところ、実施例10の栓34は酸素透過性を有すると判断された。
(活性度合い評価試験)
実施例10の栓34に対して、以下の通り、栓34に接触させた液体の活性度合いを評価する、活性度合い評価試験を行った。活性化度合い評価試験として、第十八改正日本薬局方に規定されている輸液用ゴム栓試験法のうち溶出物試験を行った。特に、溶出物試験のうち紫外吸収スペクトルに関する試験を行った。まず、栓34を収容可能な耐熱ガラス容器を準備した。次に、耐熱ガラス容器に、栓34及び純水を収容して、耐熱ガラス容器を閉鎖した。耐熱ガラス容器に収容される純水の量は、栓34の全体の表面積をγcmとした場合に2γcmとなるように調整した。栓34の全体の表面積は、約8.6cmであった。このため、純水の量は、17.2cmとした。次に、栓34及び純水を収容した耐熱ガラス容器を、121℃で1時間、高圧蒸気滅菌した。次に、耐熱ガラス容器を、室温下で室温と同等の温度になるまで放置した。次に、耐熱ガラス容器の内部から速やかに栓34を除いて、耐熱ガラス容器内に収容された液体を試験液とした。
また、以下の方法によって空試験液を作成した。栓34及び純水を収容した耐熱ガラス容器と同様の耐熱ガラス容器内に17.2cmの純水を収容して閉鎖した。次に、純水を収容した耐熱ガラス容器を、栓34及び純水を収容した耐熱ガラス容器と同様に、高圧蒸気滅菌した。そして、耐熱ガラス容器に収容された液体を空試験液とした。
そして、試験液について、空試験液を対照とし、第十八改正日本薬局方に規定されている紫外可視吸光度測定法による試験を行い、シリコーン由来成分の吸光度を測定した。シリコーン由来成分の吸光度の測定は、具体的には、以下の方法によって行った。栓34に関し得られた試験液について、波長220nm~350nmにおける吸光度を測定した。また、表面積が栓本体部35と同程度のガラス板に、栓本体部35にバリア層81を設けた方法と同様の方法によって、バリア層81と同様の層を設けた。次に、バリア層81と同様の層が設けられた、ガラス板に対して、栓34に対して行ったのと同様の試験、すなわち、第十八改正日本薬局方に規定されている輸液用ゴム栓試験法のうち溶出物試験を行い、試験液を得た。次に、ガラス板に関し得られた試験液について第十八改正日本薬局方に規定されている紫外可視吸光度測定法による試験を行い、波長220nm~350nmにおける吸光度を測定した。そして、栓34に関し得られた試験液の、波長220nm~350nmにおける吸光度の測定結果から、ガラス板に関し得られた試験液の、波長220nm~350nmにおける吸光度の測定結果を引いて得られた値を、栓本体部35に含まれるシリコーン由来成分の吸光度とみなした。
測定されるシリコーン由来成分の吸光度が比較的大きい場合には、高圧蒸気滅菌の際に栓本体部35からの溶出物が栓34に接触させた液体に溶出し、これによって液体の活性度合いが比較的大きくなっていると考えられる。この場合、栓本体部35からの溶出物が収容部31に収容された液体Lに溶出することを抑制するバリア層81の効果は低いと考えられる。測定されるシリコーン由来成分の吸光度が比較的小さい場合には、栓34に接触させた液体の活性度合いは比較的小さいと考えられる。この場合、栓本体部35からの溶出物が液体Lに溶出することを抑制するバリア層81の効果は高いと考えられる。
<実施例11>
実施例11として、バリア層81の厚みを1000nmとし、第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みをともに500nmとした以外は実施例10と同様の方法によって栓34を製造し、製造された栓34の試験を行った。実施例11の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<実施例12>
実施例12として、バリア層81の厚みを2000nmとし、第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みをともに1000nmとした以外は実施例10と同様の方法によって栓34を製造し、製造された栓34の試験を行った。実施例12の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<実施例13>
実施例13として、バリア層81の厚みを2400nmとし、第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みをともに1200nmとした以外は実施例10と同様の方法によって栓34を製造し、製造された栓34の試験を行った。実施例13の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<実施例14>
実施例14として、バリア層81の厚みを6000nmとし、第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みをともに3000nmとした以外は実施例10と同様の方法によって栓34を製造し、製造された栓34の試験を行った。実施例14の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
実施例10乃至実施例14の栓34の試験結果を、バリア層81の厚み及び第1部分81aの厚みとともに表4に示す。上述した比較例2の液体入り容器30Lの栓34について、実施例10と同様に活性度合い評価試験を行い、比較例2の試験結果を併せて表4に示す。表4の「栓の酸素透過量測定試験」の欄における「〇」、「×」及び「△」の意味は、表1の「栓の酸素透過量測定試験」の欄と同様である。活性度合い評価試験において、「〇」は、比較例2と比較して、シリコーン由来成分の吸光度が小さかったことを意味する。活性度合い評価試験において、「×」は、シリコーン由来成分の吸光度が、比較例2の吸光度以上であったことを意味する。
Figure 0007470308000014
表4に示すように、活性度合い評価試験において、バリア層81を有する実施例10乃至実施例14において、試験結果が「〇」となった。すなわち、比較例2と比較して、シリコーン由来成分の吸光度が小さかった。このため、栓34がバリア層81を有することによって、栓本体部35からの溶出物が液体Lに溶出することを抑制できることがわかった。
実施例10の栓34の第1部分81aの厚みは、上述した実施例1の栓34の第1部分81aの厚みと等しい。実施例11の栓34の第1部分81aの厚みは、上述した実施例2の栓34の第1部分81aの厚みと等しい。実施例12の栓34の第1部分81aの厚みは、上述した実施例3の栓34の第1部分81aの厚みと等しい。実施例14の栓34の第1部分81aの厚みは、上述した実施例4の栓34の第1部分81aの厚みと等しい。また、図3乃至図5Bに示すように栓34が容器本体32の開口部33を閉鎖した状態においては、バリア層81の第1部分81aが、栓本体部35からの溶出物が収容部31に収容された液体Lに溶出することを抑制する。従って、実施例10、実施例11、実施例12及び実施例14の栓34のいずれかと第1部分81aの厚みが等しい実施例1乃至実施例4の栓34においても、栓本体部35からの溶出物が液体Lに溶出することを抑制できると考えられる。
<実施例15>
実施例15として、以下の点を除き、実施例10と同様の方法によって栓34を製造し、製造された栓34の試験を行った。バリア層81として、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)からなるフッ素系樹脂層を用いた。パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)からなるフッ素系樹脂層は、PFAフィルムをラミネート処理によって栓本体部35上に積層することによって作製された。バリア層81の厚みは、20μmとした。第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みは、ともに10μmとした。実施例15の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<実施例16>
実施例16として、バリア層81の厚みを40μmとし、第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みをともに20μmとした以外は実施例15と同様の方法によって栓34を製造し、製造された栓34の試験を行った。実施例16の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<実施例17>
実施例17として、バリア層81の厚みを100μmとし、第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みをともに50μmとした以外は実施例15と同様の方法によって栓34を製造し、製造された栓34の試験を行った。実施例17の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<比較例5>
比較例5として、バリア層81の厚みを200μmとし、第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みをともに100μmとした以外は実施例15と同様の方法によって栓34を製造し、製造された栓34の試験を行った。比較例5の栓34は、酸素透過性を有しないと判断された。
実施例15乃至実施例17及び比較例5の栓34の試験結果を、バリア層81の厚み及び第1部分81aの厚みとともに表5に示す。上述した比較例2の試験結果を併せて表5に示す。表5の「〇」、「×」及び「△」の意味は、表4と同様である。
Figure 0007470308000015
表5に示すように、活性度合い評価試験において、バリア層81を有する実施例15乃至実施例17及び比較例5において、試験結果が「〇」となった。すなわち、比較例2と比較して、シリコーン由来成分の吸光度が小さかった。このため、栓34がバリア層81を有することによって、栓本体部35からの溶出物が液体Lに溶出することを抑制できることがわかった。
実施例15の栓34の第1部分81aの厚みは、上述した実施例5の栓34の第1部分81aの厚みと等しい。実施例16の栓34の第1部分81aの厚みは、上述した実施例6の栓34の第1部分81aの厚みと等しい。実施例17の栓34の第1部分81aの厚みは、上述した実施例7の栓34の第1部分81aの厚みと等しい。比較例5の栓34の第1部分81aの厚みは、上述した実施例8の栓34の第1部分81aの厚みと等しい。また、図3乃至図5Bに示すように栓34が容器本体32の開口部33を閉鎖した状態においては、バリア層81の第1部分81aが、栓本体部35からの溶出物が収容部31に収容された液体Lに溶出することを抑制する。従って、実施例15乃至実施例17及び比較例5の栓34のいずれかと第1部分81aの厚みが等しい実施例4乃至実施例8の栓34においても、栓本体部35からの溶出物が液体Lに溶出することを抑制できると考えられる。
<実施例18>
実施例18として、以下の点を除き、実施例10と同様の方法によって栓34を製造した。バリア層81の厚みは、400nmとした。第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みは、ともに200nmとした。
(栓の酸素透過量測定試験)
図2Cに示された方法にて、実施例18の液体入り容器30Lの栓34の酸素透過量を測定したところ、2.91(cm/(day・atm))であった。実施例18の栓34は酸素透過性を有すると判断された。
<実施例19>
実施例19として、以下の点を除き、実施例18と同様の方法によって栓34を製造し、製造された栓34の試験を行った。バリア層81の厚みは、1000nmとした。第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みは、ともに500nmとした。図2Cに示された方法にて栓34の酸素透過量を測定した結果、実施例19の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<実施例20>
実施例20として、以下の点を除き、実施例18と同様の方法によって栓34を製造し、製造された栓34の試験を行った。バリア層81の厚みは、2000nmとした。第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みは、ともに1000nmとした。図2Cに示された方法にて栓34の酸素透過量を測定した結果、実施例20の栓34は、酸素透過性を有すると判断された。
<比較例6>
比較例6として、栓34がバリア層81を有しない点以外は実施例18と同様の方法によって栓34を製造し、製造された栓34の試験を行った。
実施例18乃至実施例20及び比較例6の液体入り容器30Lの試験結果を、バリア層81の厚みとともに表6に示す。
Figure 0007470308000016
表6に示す栓の酸素透過量測定試験の結果から、バリア層81を設けつつ、栓34の酸素透過量を2(cm/(day・atm))以上、特に2.2(cm/(day・atm))以上にできることがわかった。また、バリア層81の厚みが大きくなるほど栓34の酸素透過量が小さくなる傾向があることがわかった。
<実施例21>
実施例21として、以下の点を除き、実施例1と同様の方法によって栓34を製造した。実施例21の栓34として、図3に示す構成を有する栓34を製造した。栓34のバリア層81は、第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cを有していた。栓本体部35は、表面の全体がバリア層81によって覆われていた。バリア層81の厚みは、400nmとした。上述のように、実施例21の栓34は図3に示す構成を有していた。このため、実施例21の栓34において、バリア層81の厚みとは、第1部分81aと第3部分81cとの合計の厚みである。バリア層81の厚みは、第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cにおいて、均等であった。第1部分81a、第2部分81b及び第3部分81cの厚みは、ともに200nmであった。
(インフリキシマブの収容試験)
実施例21において製造された栓34を用いて、以下の点を除き、実施例1と同様の方法によって液体入り容器30Lを製造した。液体Lとして、市販のインフリキシマブ(ファイザー製)を、2mg/ml(質量パーセント濃度において0.2%)の濃度となるように水に溶解させたものを収容した。当該液体の量は、1cmとした。インフリキシマブを含む液体Lが収容された液体入り容器30Lを、上述の方法によって複数製造し、製造された液体入り容器30Lの各々を、以下の条件1、2の2条件のもとに置いた。
条件1として、液体入り容器30Lを、栓34の第2面34fを下方に向けた状態で平面上に立たせ、この状態で4週間放置した。液体入り容器30Lを放置したときの、液体入り容器30Lの周辺の温度は、40℃とした。なお、製造された複数の液体入り容器30Lのうち2つを、条件1のもとに置いた。
条件2として、液体入り容器30Lを、栓34の第2面34fを下方に向けた状態で平面上に立たせ、この状態で4週間放置した。液体入り容器30Lを放置したときの、液体入り容器30Lの周辺の温度は、40℃とした。その後、液体入り容器30Lに衝撃を加える衝撃試験を行った。衝撃試験においては、錠剤摩損度試験器(富山産業株式会社製のTFT-1200)を用いて、液体入り容器30Lを落下させて衝撃を加える試験を行った。衝撃試験においては、回転速度を50rpmとし、落下回数を500回とした。
条件1、2の2条件のもとに置かれた液体入り容器30Lの各々から、液体Lを取り出して、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析を行った。サイズ排除クロマトグラフィーによる分析を行う装置としては、アジレント・テクノロジー社製の製品名「Agilent InfinityLab 1260 バイオイナートLC」を用いた。なお、条件1のもとに置かれた2つの液体入り容器30Lについては、これらの各々から液体Lを取り出して、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析を行った。
(ベバシズマブの収容試験)
実施例21において製造された栓34を用いて、以下の点を除き、実施例1と同様の方法によって液体入り容器30Lを製造した。液体Lとして、市販のベバシズマブ(ファイザー製)を、2mg/ml(質量パーセント濃度において0.2%)の濃度となるように水に溶解させたものを収容した。当該液体の量は、1cmとした。ベバシズマブを含む液体Lが収容された液体入り容器30Lを、上述の方法によって複数製造し、製造された液体入り容器30Lの各々を、インフリキシマブの収容試験において上述した条件1、2の2条件のもとに置いた。なお、製造された複数の液体入り容器30Lのうち2つを、条件1のもとに置いた。
条件1、2の2条件のもとに置かれた液体入り容器30Lの各々から、液体Lを取り出して、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析を行った。サイズ排除クロマトグラフィーによる分析を行う装置としては、インフリキシマブの収容試験において上述した装置と同様の装置を用いた。なお、条件1のもとに置かれた2つの液体入り容器30Lについては、これらの各々から液体Lを取り出して、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析を行った。
<比較例7>
比較例7として、栓34がバリア層81を有しない点以外は実施例21と同様の方法によって栓34を製造した。比較例7において製造された栓34について、実施例21と同様の方法によって、インフリキシマブの収容試験及びベバシズマブの収容試験を行った。
実施例21及び比較例7の液体入り容器30Lの、インフリキシマブの収容試験の結果の一部を表7に示す。実施例21及び比較例7の液体入り容器30Lの試験結果のうち、インフリキシマブの収容試験において条件1のもとに置かれた2つの液体入り容器30Lの試験結果を、それぞれ表7の「試料N1」、「試料N2」の欄に示す。表7の「ピーク面積」の欄には、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析によって得られたクロマトグラム中の、インフリキシマブの主成分である単量体に対応すると考えられるピークの面積が記載されている。表7の「面積%」の欄には、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析によって得られたクロマトグラムにおける、検出されたピークの総面積に対する、インフリキシマブの主成分である単量体に対応すると考えられるピークの面積の割合が記載されている。表7の「ピーク面積平均」の欄には、「試料N1」と「試料N2」との、インフリキシマブの主成分である単量体に対応すると考えられるピークの面積の平均値が記載されている。
Figure 0007470308000017
表7に示すように、条件1のもとに置かれた液体入り容器30Lから取り出された液体Lの、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析の結果、実施例21において、比較例7よりも、インフリキシマブの主成分である単量体に対応すると考えられるピークのピーク面積が大きいことがわかった。この結果は、以下のように解釈できる。比較例7においては、栓に含まれる材料、特にシリコーンゴムに、インフリキシマブの主成分が吸着されたために、液体L中におけるインフリキシマブの主成分の濃度が低下して、ピーク面積が小さくなったと考えられる。これに対して実施例21においては、バリア層81によって、栓本体部35の材料へのインフリキシマブの主成分の吸着が抑制されたため、液体L中においてインフリキシマブの主成分の濃度が低下せず、ピーク面積が大きく確保されたと考えられる。
実施例21及び比較例7の液体入り容器30Lの、ベバシズマブの収容試験の結果の一部を表8に示す。実施例21及び比較例7の液体入り容器30Lの試験結果のうち、ベバシズマブの収容試験において条件1のもとに置かれた2つの液体入り容器30Lの試験結果を、それぞれ表8の「試料N1」、「試料N2」の欄に示す。表8の「ピーク面積」の欄には、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析によって得られたクロマトグラム中の、ベバシズマブの主成分である単量体に対応すると考えられるピークの面積が記載されている。
Figure 0007470308000018
ベバシズマブの収容試験において、条件1のもとに置かれた液体入り容器30Lから取り出された液体Lの、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析から、以下のことがわかった。表8に示すように、実施例21において、比較例7よりも、ベバシズマブの主成分である単量体に対応すると考えられるピークのピーク面積が大きいことがわかった。実施例21において、比較例7よりも、ベバシズマブの主成分である単量体に対応すると考えられるピークのピーク面積が大きいことがわかった。この結果は、以下のように解釈できる。比較例7においては、栓に含まれる材料、特にシリコーンゴムに、ベバシズマブの主成分が吸着されたために、液体L中におけるベバシズマブの主成分の濃度が低下して、ピーク面積が小さくなったと考えられる。これに対して実施例21においては、バリア層81によって、栓本体部35の材料へのベバシズマブの主成分の吸着が抑制されたため、液体L中においてベバシズマブの主成分の濃度が低下せず、ピーク面積が大きく確保されたと考えられる。また、ベバシズマブの収容試験において、条件2のもとに置かれた液体入り容器30Lから取り出された液体Lの、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析から、以下のことがわかった。実施例21において、比較例7よりも、ベバシズマブの主成分である単量体が凝集して凝集体が形成されることが、抑制される傾向にあることがわかった。この結果は、以下のように解釈できる。比較例7においては、栓に含まれる材料、特にシリコーンゴムに液体Lが接触したことにより、シリコーンゴムの影響によってベバシズマブの主成分が凝集して凝集体が形成されたと考えられる。また、ベバシズマブの主成分の凝集が進んだことによって、液体L中におけるベバシズマブの主成分の濃度が低下することによっても、ピーク強度が小さくなったと考えられる。これに対して実施例21においては、バリア層81によって、栓本体部35の材料への液体Lの接触が抑制されたため、ベバシズマブの主成分の凝集が進まず、ピーク強度が大きく確保されたと考えられる。
10L:液体入り組合せ容器、10:組合せ容器、20:容器セット、21:脱酸素剤、30L:液体入り容器、30:容器、32:容器本体、33:開口部、34:栓、35:栓本体部、36:固定具、40:バリア性容器、40a:開口、41a:第1主フィルム、41b:第2主フィルム、41c:第1ガゼットフィルム、41d:第2ガゼットフィルム、42:容器本体、42a:収容部、42b:フランジ部、44:蓋、55:供給パイプ、56:吐出口、60:シリンジ、62:シリンダ、63:シリンダ本体、64:針、66:ピストン、67:ピストン本体、68:ガスケット、81:バリア層、L:液体

Claims (20)

  1. 液体を収容した液体入り容器であって、
    開口部を有した容器本体と、前記開口部を閉鎖し且つ酸素透過性を有する栓と、を備え、
    前記栓は、栓本体部と、前記栓本体部の表面の少なくとも一部に設けられたバリア層と、を有し、
    前記バリア層は、前記栓の少なくとも前記容器本体の内部に挿入される部分の面及び前記液体の収容空間を区画する面を構成し、パラキシリレン層、ダイヤモンドライクカーボン層及びフッ素系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
    前記栓本体部はシリコーンを含み、
    前記栓の全体の酸素透過係数α all (cm ・20μm/(m ・day・atm))、前記栓本体部の厚みw1(μm)、前記バリア層の厚みw2(μm)及び前記開口部の開口面積A(m )が、以下の式(1)を満たす、液体入り容器。
    [数1]
    αall×20/(w1+w2)≧0.1/A … 式(1)
  2. 液体を収容した液体入り容器であって、
    開口部を有した容器本体と、前記開口部を閉鎖し且つ酸素透過性を有する栓と、を備え、
    前記栓は、栓本体部と、前記栓本体部の表面の少なくとも一部に設けられたバリア層と、を有し、
    前記バリア層は、前記栓の少なくとも前記容器本体の内部に挿入される部分の面及び前記液体の収容空間を区画する面を構成し、パラキシリレン層、ダイヤモンドライクカーボン層及びフッ素系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
    前記栓本体部はシリコーンを含み、
    前記栓本体部の酸素透過係数α1(cm・20μm/(m・day・atm))、前記バリア層の酸素透過係数α2(cm・20μm/(m・day・atm))及び前記バリア層の厚みw2(μm)が、以下の式(2)を満たす、液体入り容器。
    [数2]
    α1/1000≦α2/w2 … 式(2)
  3. 前記バリア層は、前記パラキシリレン層又は前記ダイヤモンドライクカーボン層のいずれか一方からなり、
    前記バリア層の厚みは、1000nm以下である、請求項1に記載の液体入り容器。
  4. 前記バリア層は、前記パラキシリレン層又は前記ダイヤモンドライクカーボン層のいずれか一方からなり、
    前記バリア層の厚みは、200nm以上である、請求項1に記載の液体入り容器。
  5. 前記バリア層は、前記フッ素系樹脂層からなり、
    前記バリア層の厚みは、50μm以下である、請求項1に記載の液体入り容器。
  6. 前記バリア層は、前記フッ素系樹脂層からなり、
    前記バリア層の厚みは、10μm以上である、請求項1に記載の液体入り容器。
  7. 前記栓本体部は、前記栓の、前記液体入り容器の外面をなす面を構成する、請求項1に記載の液体入り容器。
  8. 前記栓本体部は、前記栓の、前記容器本体の前記開口部の端部に接触する面を構成する、請求項1に記載の液体入り容器。
  9. 前記容器本体は酸素バリア性を有する、請求項1に記載の液体入り容器。
  10. 前記栓は、前記容器本体の前記開口部の端部に接触することによって、前記液体を密封するように、前記開口部を閉鎖する、請求項1に記載の液体入り容器。
  11. 前記栓本体部の厚みは、0.5mm以上3mm以下である、請求項1に記載の液体入り容器。
  12. 前記容器本体と、前記栓と、を有する容器の全体の酸素透過量は、0.9(cm/(day・atm))以上である、請求項1に記載の液体入り容器。
  13. 前記栓の酸素透過量は、2(cm/(day・atm))以上である、請求項1に記載の液体入り容器。
  14. 前記栓本体部の厚みと前記バリア層の厚みとの合計である、前記栓の厚みは、0.5mm以上3mm以下である、請求項1に記載の液体入り容器。
  15. 液体を収容した液体入り容器であって、
    開口部を有した容器本体と、前記開口部を閉鎖し且つ酸素透過性を有する栓と、を備え、
    前記栓は、栓本体部と、前記栓本体部の表面の少なくとも一部に設けられたバリア層と、を有し、
    前記バリア層は、前記栓の少なくとも前記容器本体の内部に挿入される部分の面及び前記液体の収容空間を区画する面を構成し、パラキシリレン層、ダイヤモンドライクカーボン層及びフッ素系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
    前記栓本体部はシリコーンを含み、
    前記栓本体部の酸素透過係数α1(cm・20μm/(m・day・atm))、前記バリア層の酸素透過係数α2(cm・20μm/(m・day・atm))、前記栓本体部の厚みw1(μm)、前記バリア層の厚みw2(μm)及び前記開口部の開口面積A(m)が、以下の式(6)を満たす、液体入り容器。
    [数3]
    20/(w1/α1+w2/α2)≧0.1/A … 式(6)
  16. 請求項1乃至1のいずれか一項に記載の液体入り容器と、
    前記液体入り容器を収容し、酸素バリア性を有するバリア性容器と、を備える、液体入り組合せ容器。
  17. 前記バリア性容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられている、請求項1に記載の液体入り組合せ容器。
  18. 液体を収容する容器であって、
    開口部を有した容器本体と、前記開口部を閉鎖し且つ酸素透過性を有する栓と、を備え、
    前記栓は、シリコーンを含む栓本体部と、前記栓本体部の表面の少なくとも一部に設けられたバリア層と、を有し、
    前記バリア層は、前記栓の少なくとも前記容器本体の内部に挿入される部分の面及び前記液体の収容空間を区画する面を構成し、パラキシリレン層、ダイヤモンドライクカーボン層及びフッ素系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
    前記栓の全体の酸素透過係数α all (cm ・20μm/(m ・day・atm))、前記栓本体部の厚みw1(μm)、前記バリア層の厚みw2(μm)及び前記開口部の開口面積A(m )が、以下の式(1)を満たす、容器。
    [数4]
    αall×20/(w1+w2)≧0.1/A … 式(1)
  19. 液体を収容する容器の、容器本体の開口部を閉鎖し且つ酸素透過性を有する栓であって、
    シリコーンを含む栓本体部と、前記栓本体部の表面の少なくとも一部に設けられたバリア層と、を備え、
    前記バリア層は、前記栓の少なくとも前記容器本体の内部に挿入される部分の面及び前記液体の収容空間を区画する面を構成し、パラキシリレン層、ダイヤモンドライクカーボン層及びフッ素系樹脂層からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
    前記栓の全体の酸素透過係数α all (cm ・20μm/(m ・day・atm))、前記栓本体部の厚みw1(μm)、前記バリア層の厚みw2(μm)及び前記開口部の開口面積A(m )が、以下の式(1)を満たす、栓。
    [数5]
    αall×20/(w1+w2)≧0.1/A … 式(1)
  20. 請求項1、2及び15のいずれか一項に記載の液体入り容器を収容したバリア性容器を閉鎖する工程と、
    前記液体入り容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
    前記酸素量を調整する工程において、前記液体入り容器内の酸素が前記栓を透過して前記液体入り容器内の酸素濃度が低下する、液体入り組合せ容器の製造方法。
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