JP2023098491A - 液体入り組合せ容器、容器セットおよび液体入り容器の製造方法 - Google Patents

液体入り組合せ容器、容器セットおよび液体入り容器の製造方法 Download PDF

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Tomoko Kumazawa
紀子 中田
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Abstract

【課題】液体を収容した容器内の酸素量を14日内に十分に低減する液体入り組合せ容器を提供する。【解決手段】液体入り組合せ容器10Lは、液体Lを収容した第1容器30と、第1容器を収容した第2容器40と、第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤21と、を含む。第1容器は酸素透過性を有する。第2容器は酸素バリア性を有する。【選択図】図1

Description

本開示は、液体入り組合せ容器、容器セットおよび液体入り容器の製造方法に関する。
食品や医薬品等として用いられる液体は、酸素によって分解し得る。特許文献1では、液体を収容した容器内の雰囲気を窒素で置換している。しかしながら、窒素置換だけでは容器内の酸素濃度を十分に低減できない。
食品や医薬品等の液体については、抜き取りでの無菌試験や、液体の製造ラインに組み込まれた部品、例えばフィルタの無菌試験が、要求される。検査によって、液体を収容した容器内部の無菌性が確認された後、液体入り容器は出荷される。日本薬局方等に定められた一般的な無菌試験法では、14日間培養後における微生物の増殖によって無菌性が判断される。
JP2018-177650A
以上の背景から、14日内に容器内の酸素量を十分に低減できれば都合が良い。この場合、無菌性を確認している間に、容器内の酸素量が十分に低減されていることも確認できる。本開示は、液体を収容した容器内の酸素量を14日内に十分に低減することを目的とする。
本開示の一実施の形態による第1の液体入り組合せ容器は、
液体を収容し、酸素透過性を有する第1容器と、
前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、15%/day以上の減少率で、0.1%以下まで低下する。
本開示の一実施の形態による第1の液体入り組合せ容器において、
前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
前記第1容器は、X(mL)の液体を収容し、
温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過してもよい。
本開示の一実施の形態による第2の液体入り組合せ容器は、
V(mL)の容積を有し、X(mL)の液体を収容した第1容器と、
前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する。
本開示の一実施の形態による第1および第2の液体入り組合せ容器において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時に、前記第1容器内の酸素濃度は1.0%以下でもよく、0.5%以上1.0%以下でもよい。
本開示の一実施の形態による第1および第2の液体入り組合せ容器において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、35%/day以上の減少率で、0.1%以下まで低下してもよい。
本開示の一実施の形態による第1および第2の液体入り組合せ容器において、
前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
前記第1容器は、X(mL)の液体を収容し、
温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.35×(V-X)+0.00093×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過してもよい。
本開示の一実施の形態による第3の液体入り組合せ容器は、
V(mL)の容積を有し、X(mL)の液体を収容した第1容器と、
前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.35×(V-X)+0.00093×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する。
本開示の一実施の形態による第1および第3の液体入り組合せ容器において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時に、前記第1容器内の酸素濃度は5.0%以上でもよく、5.0%以上21%以下でもよい。
本開示の一実施の形態による第1~第3の液体入り組合せ容器において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から前記第1容器の酸素濃度が0.1以下に低下するまで、前記第1容器内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差は、5%/day以下でもよい。
本開示の一実施の形態による第4の液体入り組合せ容器は、
液体を収容し、酸素透過性を有する第1容器と、
前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から前記第1容器の酸素濃度が0.1%以下に低下するまで、前記第1容器内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差は、5%/day以下である。
本開示の一実施の形態による第1~第4の液体入り組合せ容器において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、0.1%以下まで低下してもよい。
本開示の一実施の形態による第5の液体入り組合せ容器は、
液体を収容し、酸素透過性を有する第1容器と、
前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、0.1%以下まで低下する。
本開示の一実施の形態による第1~第5の液体入り組合せ容器において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器に収容された前記液体の酸素溶解量(mg/L)は、0.04mg/L以下まで低下してもよい。
本開示の一実施の形態による第6の液体入り組合せ容器は、
液体を収容し、酸素透過性を有する第1容器と、
前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器に収容された前記液体の酸素溶解量(mg/L)は、0.04mg/L以下まで低下する。
本開示の一実施の形態による第1~第6の液体入り組合せ容器において、前記第1容器内の酸素濃度を低下させる際、前記第1容器の前記酸素透過性を有する部分と前記液体との間に気体が位置してもよい。
本開示の一実施の形態による第1~第6の液体入り組合せ容器において、
前記第1容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を塞ぐ栓と、を含み、
前記栓は酸素透過性を有し、
前記栓の内面の接触角は80°以上でもよい。
本開示の一実施の形態による第1~第6の液体入り組合せ容器において、
前記第1容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を塞ぐ栓と、を含み、
前記栓は酸素透過性を有し、
前記栓の内面は、撥液処理を施されてもよい。
本開示の一実施の形態による第1~第6の液体入り組合せ容器において、
前記第1容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を塞ぐ栓と、を含み、
前記栓は酸素透過性を有し、
前記容器本体に収容された液体と前記栓との間に、酸素透過性および撥液性を有するシートが設けられてもよい。
本開示の一実施の形態による第1~第6の液体入り組合せ容器において、前記シートは、前記栓と前記容器本体との間に保持されてもよい。
本開示の一実施の形態による第1~第6の液体入り組合せ容器において、
前記第1容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を塞ぐ栓と、を含み、
前記栓は酸素透過性を有し、
前記栓の内面に、気体を保持可能な凹部が設けられてもよい。
本開示の一実施の形態による第1~第6の液体入り組合せ容器において、前記第1容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を塞ぐ栓と、前記容器本体の内面から延び出した延出壁部と、を含んでもよい。
本開示の一実施の形態による第1~第6の液体入り組合せ容器において、
前記第1容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を塞ぐ栓と、前記容器本体の内面から延び出した延出壁部と、を含み、
前記延出壁部は、外周縁および内周縁を含む環状であって、前記外周縁の全長に亘って前記容器本体の前記内面に接続し、前記内周縁によって区画された穴が設けられてもよい。
本開示の一実施の形態による第1~第6の液体入り組合せ容器において、
前記第1容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を塞ぐ栓と、を含み、
前記栓は酸素透過性を有し、
前記栓の外面に凹凸が設けられてもよい、又は、前記栓の外面から突出した突出部を含んでもよい。
本開示の一実施の形態による第1~第6の液体入り組合せ容器において、
前記第1容器は、開口部を有する容器本体と、前記開口部を塞ぐ栓と、を含み、
前記栓は酸素透過性を有し、
前記栓の内面に凹凸が設けられてもよい、又は、前記栓の内面から突出した突出部を含んでもよい。
本開示による第1~第6の液体入り組合せ容器において、
前記第1容器は、シリンダと、前記シリンダ内に挿入されたピストンと、を含むシリンジを含み、
前記シリンジは、前記シリンダおよび前記ピストンによって区画される収容空間に前記液体を収容していてもよい。
本開示による第1~第6の液体入り組合せ容器において、
前記ピストンは、前記シリンダ内に配置され前記収容空間を区間するガスケットを含み、
前記ガスケットは、酸素透過性を有してもよい。
本開示による第1~第6の液体入り組合せ容器において、
前記シリンジは、前記シリンダに設けられた開口部を塞ぐ栓を含み、
前記栓は、酸素透過性を有してもよい。
本開示の一実施の形態による第1の容器セットは、
液体を収容可能であり、酸素透過性を有する第1容器と、
前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、15%/day以上の減少率で、0.1%以下まで低下する。
本開示の一実施の形態による第2の容器セットは、
前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する。
本開示の一実施の形態による第3の容器セットは、
液体を収容可能であり、酸素透過性を有する第1容器と、
前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から前記第1容器の酸素濃度が0.1%以下に低下するまで、前記第1容器内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差は、5%/day以下である。
本開示の一実施の形態による第4の容器セットは、
液体を収容し、酸素透過性を有する第1容器と、
前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、0.1%以下まで低下する。
本開示の一実施の形態による第5の容器セットは、
液体を収容し、酸素を透過可能な部分を含む第1容器と、
前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有した第2容器と、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器に収容された前記液体の酸素溶解量(mg/L)は、0.04mg/L以下まで低下する。
本開示の一実施の形態による第1の液体入り容器の製造方法は、
第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
前記第1容器は液体を収容し且つ酸素透過性を有し、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、15%/day以上の減少率で、0.1%以下まで低下する。
本開示の一実施の形態による第1の液体入り容器の製造方法において、
前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
前記第1容器は、X(mL)の液体を収容し、
温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過してもよい。
本開示の一実施の形態による第2の液体入り容器の製造方法は、
第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
前記第1容器は、X(mL)の液体を収容し、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する。
本開示の一実施の形態による第1および第2の液体入り容器の製造方法において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時に、前記第1容器内の酸素濃度は1.0%以下でもよく、0.5%以上1.0%以下でもよい。
本開示の一実施の形態による第1および第2の液体入り容器の製造方法において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、35%/day以上の減少率で、0.1%以下まで低下してもよい。
本開示の一実施の形態による第1の液体入り容器の製造方法において、
前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
前記第1容器は、X(mL)の液体を収容し、
温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過してもよい。
本開示の一実施の形態による第3の液体入り容器の製造方法は、
第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
前記第1容器は、X(mL)の液体を収容し、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する。
本開示の一実施の形態による第1および第3の液体入り容器の製造方法において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時に、前記第1容器内の酸素濃度は5.0%以上でもよく、5.0%以上20.95%以下でもよい。
本開示の一実施の形態による第1~第3の液体入り容器の製造方法において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から前記第1容器の酸素濃度が0.1%以下に低下するまで、前記第1容器内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差は、5%/day以下でもよい。
本開示の一実施の形態による第4の液体入り容器の製造方法は、
第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
前記第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
前記第1容器は液体を収容し且つ酸素透過性を有し、
前記第2容器は酸素バリア性を有し、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から前記第1容器の酸素濃度が0.1%以下に低下するまで、前記第1容器内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差は、5%/day以下である。
本開示の一実施の形態による第1~第4の液体入り容器の製造方法において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、0.1%以下まで低下してもよい。
本開示の一実施の形態による第5の液体入り容器の製造方法は、
第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
前記第1容器は液体を収容し且つ酸素透過性を有し、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、0.1%以下まで低下する。
本開示の一実施の形態による第1~第5の液体入り容器の製造方法において、前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器に収容された前記液体の酸素溶解量(mg/L)は、0.04mg/L以下まで低下してもよい。
本開示の一実施の形態による第6の液体入り容器の製造方法は、
第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
前記第1容器は液体を収容し且つ酸素透過性を有し、
前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器に収容された前記液体の酸素溶解量(mg/L)は、0.04mg/L以下まで低下する。
本開示の一実施の形態による第7の液体入り容器の製造方法は、
第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
前記第1容器は液体を収容し且つ酸素透過性を有し、
前記酸素量を調整する工程において、前記第2容器内の酸素および前記第1容器を透過して前記第2容器内に移動した酸素を脱酸素剤によって吸収する。
本開示の一実施の形態による第1~第7の液体入り容器の製造方法の前記第1容器内の酸素量を調整する工程において、酸素を透過可能な部分と前記液体との間に気体が位置してもよい。
本発明によれば、液体を収容した容器内の酸素量を14日内に十分に低減できる。
図1は、本開示による一実施の形態を説明するための図であって、液体入り組合せ容器の一例を示す斜視図である。 図2は、図1の液体入り組合せ容器に含まれ得る液体入り第1容器を示す縦断面図である。 図3は、図2に示された第1容器の一部分における酸素透過量を測定する方法を示す縦断面図である。 図4は、第2容器の他の例を示す斜視図である。 図5は、第2容器の更に他の例を示す斜視図である。 図6は、第2容器の更に他の例を示す斜視図である。 図7は、第2容器の更に他の例を示す斜視図である。 図8は、第2容器の一変形例を示す斜視図である。 図9は、脱酸素剤を含む脱酸素部材の一例を示す断面図である。 図10は、脱酸素剤を含む脱酸素フィルムの一例を示す断面図である。 図11は、図1の液体入り組合せ容器及び図2の液体入り第1容器の製造方法の一例を説明する図である。 図12は、図1の液体入り組合せ容器及び図2の液体入り第1容器の製造方法の一例を説明する図である。 図13は、図2の液体入り第1容器の使用方法を示す斜視図である。 図14は、栓の一変形例を示す縦断面図である。 図15は、栓の他の変形例を示す縦断面図である。 図16は、栓の更に他の変形例を示す縦断面図である。 図17は、撥液シートを含む第1容器を示す縦断面図である。 図18は、撥液シートを設けた栓を示す縦断面図である。 図19は、延出壁部を有する第1容器の一例を示す斜視図である。 図20は、図19に示された第1容器の使用方法を示す図である。 図21は、図19に示された第1容器の使用方法を示す図である。 図22は、延出壁部を有する第1容器の他の例を示す斜視図である。 図23は、第1容器の他の変形例を示す縦断面図である。 図24は、図23に示された第1容器に対する一変形例を示す縦断面図である。 図25は、図23に示された第1容器に対する他の変形例を示す縦断面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1~図25は、本開示の一実施の形態を説明する図である。容器セット20は、第1容器30および第2容器40を含む。液体入り第1容器30Lは、第1容器30と、第1容器30に収容された液体Lと、を含む。第1容器30は酸素透過性を有する。第1容器30は、少なくとも部分的に、酸素透過性を有した部分を含む。第2容器40は、酸素バリア性を有している。第2容器40は、液体入り第1容器30Lを収納可能である。液体入り組合せ容器10Lは、液体入り第1容器30Lおよび第2容器40を含み、液体入り第1容器30Lは第2容器40に収容されている。この液体入り組合せ容器10Lによれば、第2容器40内の酸素を吸収する脱酸素剤21によって、第2容器40内の酸素量を調整して、第1容器30内の酸素濃度を短い期間で十分に低減できる。
図示された具体例を参照して各構成要素について更に詳述する。まず、液体入り第1容器30Lについて説明する。
液体入り第1容器30Lは、第1容器30と、第1容器30内に収容された液体Lと、を含む。第1容器30は、酸素透過性を有している。第1容器30は、液体Lを密封できる。第1容器30は、酸素を透過可能とし、液体Lを透過不可能とする。酸素透過性を有した第1容器30は、気密な容器である。
気密な容器とは、JISZ2330:2012で規定された液没法により、気体の漏れが検出されない容器を意味する。より具体的には、気体を収容した容器を水に浸漬した際に、気泡の漏れを生じさせなくできる容器は、気密な容器と判断される。また、気体を収容した容器を水に浸漬した際に、容器から気泡の漏れが確認されない状態において、気密な容器は気密な状態にあると判断される。液没試験において、試験対象となる容器は、水面から10cm以上30cm以下の深さに浸漬する。気泡の有無は、10分間に亘る目視観察により判断する。
第1容器30に収容される液体Lは、特に限定されない。液体Lは、溶媒と溶媒中に溶けた溶質とを含む溶液であってもよい。溶媒は特に限定されない。溶媒は水やアルコールでもよい。液体Lは、厳密な意味での液体に限られない。液体Lは、固体粒子が分散した懸濁液でもよい。食品としての液体Lは、茶、コーヒー、紅茶、スープ、汁、出汁、又は、これらの一以上を濃縮した濃縮液でもよい。薬品としての液体Lは、内服薬、外用薬、又は、注射剤でもよい。食品や薬品以外として、液体Lは血液や体液でもよい。
第1容器30の内部は無菌状態でもよい。液体Lは無菌状態に維持されるべき液体でもよい。無菌状態に維持されるべき液体Lは、食品や薬品のように高感受性の液体を含む。高感受性の液体Lは、製造後に実施される後滅菌(最終滅菌とも言う)によって劣化しやすい。高感受性の液体に対し、後滅菌は適用できない。後滅菌として、高圧蒸気法、乾熱法、放射線法、酸化エチレンガス法、過酸化水素ガスプラズマ法等の滅菌が、例示される。本明細書における高感受性の液体Lは、液体Lを後滅菌することによって当該液体に含まれる全有効成分の重量割合における5%以上が分解してしまい、且つ、液体Lを後滅菌することによって当該液体に含まれる有効成分の一種以上が重量割合において1%以上分解してしまう、液体を意味する。後滅菌を適用できない高感受性の液体Lは、無菌環境に配置された製造ラインを用いて、製造され得る。すなわち、高感受性の液体Lは、無菌操作法により製造され得る。高感受性の液体Lとして、抗癌剤や抗ウイルス剤、ワクチン、抗精神剤等が例示される。
以下に説明する本実施の形態での工夫によれば、液体入り第1容器30Lを第2容器40内に収容し、第2容器40内の酸素を吸収する脱酸素剤21を用いることによって、第2容器40内の酸素濃度を十分に低減できる。更に、短期間の間に、第1容器30内の酸素濃度(%)を十分に低減できる。同様に、短期間の間に、液体L内の酸素溶解量(mg/L)を十分に低減できる。より具体的には、第1容器30の内部の無菌性評価に必要とされる14日間の間に、第1容器30の酸素濃度を0.1%以下まで低減できる。14日間の間に、第1容器30に収容された液体Lの酸素溶解量を0.04mg/L以下まで低減できる。酸素濃度を0.1%以下まで低減することや、液体Lの酸素溶解量を0.04mg/L以下まで低減することによれば、高感受性の液体Lの酸素に起因した劣化を効果的に抑制できる。この工夫に起因した作用効果は、技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものと言える。
「滅菌済」や「無菌」等と表記された製品(液体L)及び当該製品を収容する容器の内部は、本明細書で用いる「無菌」に該当する。「無菌」であることが製品化の条件となって医薬品等の製品(液体L)および当該製品を収容する容器の内部も、本明細書で用いる「無菌」に該当する。JIS T0806:2014で規定された無菌性補償水準(Sterility assurance level:SAL)が10-6満たす製品(液体L)および当該製品を収容する容器の内部も、本明細書で用いる「無菌」に該当する。室温(例えば20℃)以上の温度で4週間保存して菌が増殖しない製品および当該製品を収容する容器の内部も、本明細書で用いる「無菌」に該当する。冷蔵状態(例えば8℃以下)で8週間以上保存して菌が増殖しない製品および当該製品を収容する容器の内部も、本明細書で用いる「無菌」に該当する。28℃以上32℃以下の温度で2週間保存して菌が増殖しない薬品および当該薬品を収容する容器の内部も、本明細書で用いる「無菌」に該当する。
第1容器30は酸素透過性を有する。容器が酸素透過性を有するとは、温度23°および湿度40%RHの雰囲気において、酸素が、所定の酸素透過量以上で容器を透過して、容器内と容器外との間を移動可能であることを意味する。所定の酸素透過量は、1×10-1(mL/(day×atm))以上である。所定の酸素透過量は、1(mL/(day×atm))以上でもよく、1.2(mL/(day×atm))以上でもよく、3(mL/(day×atm))以上でもよい。酸素透過性を有した第1容器30によれば、第1容器30の酸素透過により、第1容器30内の酸素量を調整できる。
第1容器30を透過する酸素透過量に上限を設定してもよい。上限を設定することによって、第1容器30からの水蒸気等の漏出を抑制できる。上限を設定することによって、第2容器40の開放後における気体透過速度が速いことに起因した第1容器30内の液体Lへの影響を抑制できる。第1容器30を透過する酸素透過量は、100(mL/(day×atm))以下でもよく、50(mL/(day×atm))以下でもよく、10(mL/(day×atm))以下でもよい。
酸素透過量の上述した任意の下限を酸素透過量の上述した任意の上限と組合せて、酸素透過量の範囲を定めてもよい。
第1容器30の酸素透過性を有する部分を構成する材料の酸素透過係数は、1×10-12(cm(STP)・cm/(cm・sec・Pa))以上でもよく、5×10-12(cm(STP)・cm/(cm・sec・Pa))以上でもよく、1×10-11(cm(STP)・cm/(cm・sec・Pa))以上でもよい。酸素透過係数に下限を設けることにより、第1容器30の酸素透過が促進され、第1容器30内の酸素濃度調整を迅速に行える。酸素透過性を有する部分が複数の層を含む場合、少なくとも一つの層を構成する材料が上記の酸素透過係数を有してもよく、すべての層を構成する材料が上記の酸素透過係数を有してもよい。
測定対象が樹脂フィルムや樹脂シートである場合、酸素透過係数はJIS K7126-1に準拠して測定された値である。測定対象がゴムである場合、酸素透過係数は、JIS K6275-1に準拠して測定された値である。酸素透過係数は、温度23℃および湿度40%RHの環境下で、米国、モコン(MOCON)社製の透過度測定装置であるオクストラン(OXTRAN、2/61)を用いて測定された値とする。
全ての気体が第1容器30を透過可能でもよい。酸素を含む一部の気体のみが第1容器30を透過可能でもよい。酸素のみが第1容器30を透過可能でもよい。
第1容器30の全体を酸素が透過可能となっていることによって、第1容器30が酸素透過性を有してもよい。第1容器30の一部分のみを酸素が透過可能となっていることによって、第1容器30が酸素透過性を有してもよい。
第1容器30の酸素透過性を有する部分の面積は、1mm以上でもよく、10mm以上でもよく、30mm以上でもよい。同様に、第1容器30の酸素透過性を有する部分の厚みは、3mm以下でもよく、1mm以下でもよく、0.数mm以下でよい。これらにより、第1容器30の酸素透過が促進され、第1容器30内の酸素量調整を迅速に行える。
図2に示すように、第1容器30は、容器本体32および栓34を含んでもよい。容器本体32は開口部33を有する。栓34は開口部33に保持される。栓34は開口部33からの液体Lの漏出を抑制する。この例において、栓34は酸素透過性を有してもよい。第1容器30の酸素透過性を有する部分が液体Lに接触していない場合、当該部分を介した酸素透過を促進できる。容器本体32および栓34を含む容器では、通常、栓34は、容器本体32内に収容した液体Lから離れる。すなわち、通常の第1容器30の保管状態において、第1容器30の栓34を介した酸素透過を促進できる。この点において、栓34に酸素透過性を付与することにより、第1容器30内の酸素量を迅速に調整できる。
酸素透過性を有する栓34は、上述した酸素透過係数(cm(STP)・cm/(cm・sec・Pa))を有した材料で形成されてもよい。栓34を構成する材料の酸素透過係数は、容器本体32を構成する材料の酸素透過係数より大きくてもよい。栓34の一部分が、酸素透過性を有してもよい。栓34の一部分が、その全厚みに亘って、酸素透過性を有してもよい。栓34が、周縁から離れた中心部分においてその全厚みに亘って酸素透過性を有し、中心部分を取り囲む周縁部分において酸素バリア性を有してもよい。
図示された例において、開口部33の面積、すなわち容器本体32の開口面積は、1mm以上でもよく、10mm以上でもよく、30mm以上でもよい。栓34の厚みは、3mm以下でもよく、1mm以下でもよい。これらにより、第1容器30の酸素透過が促進され、第1容器30内の酸素濃度調整を迅速に行える。シリンジの針を栓34に穿刺できる。更に、ストローを穿刺可能とする観点から、栓の厚み、例えばフィルム状の栓の厚みは、0.数mm以下でもよい。
開口部33の面積は5000mm以下でもよい。栓34の厚みは0.01mm以上でもよい。これらにより、水蒸気等の漏出を抑制でき、酸素透過速度が速いことに起因した第2容器40の開放後における第1容器30内の液体への影響を抑制できる。開口部の面積の上限を上述した開口部の面積の任意の下限と組合せることによって、開口部の面積の範囲を定めてもよい。栓34の厚みの下限を上述した栓34の厚みの任意の下限と組合せることによって、栓34の厚みの範囲を定めてもよい。
酸素透過性を有した栓34は、特に限定されず、種々の構成を有してもよい。図2に示された例において、栓34は、容器本体32の開口部33に挿入されて、開口部33を塞いでいる。図2に示された栓34は、板状の板状部34aと、板状部34aから延び出した筒状部34bと、を含む。筒状部34bは、例えば円筒状である。筒状部34bは、開口部33に挿入される。板状部34aは、筒状部34bから径方向外方に延び出したフランジ部を含んでいる。板状部34aのフランジ部が容器本体32の頭部32d上に載置される。他の例として、栓34は、外螺旋や内螺旋を有してもよい。螺旋の噛み合いによって栓34が容器本体32に取り付けられてもよい。
栓34は、シリコーンを含んでもよい。栓34は、シリコーンのみによって形成されてもよい。栓34の一部分が、シリコーンによって形成されてもよい。栓34に含まれるシリコーンは、第1容器30の使用が予定された環境下において固体である。栓34に含まれるシリコーンは、シリコーンオイル等の室温環境で液体となるシリコーンを含まなくてよい。シリコーンは、シロキサン結合を主鎖とする物質である。栓34は、シリコーンエラストマーによって形成されてもよい。栓34は、シリコーンゴムによって形成されてもよい。
シリコーンゴムは、シリコーンからなるゴム状のものをいう。シリコーンゴムは、シリコーンを主成分とする合成樹脂であって、ゴム状の物質である。シリコーンゴムは、シロキサン結合を主鎖とするゴム状の物質である。シリコーンゴムは、シロキサン結合を含む熱硬化性の化合物でもよい。シリコーンゴムとして、メチルシリコーンゴム、ビニル-メチルシリコーンゴム、フェニル-メチルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が例示される。
シリコーンの酸素透過係数およびシリコーンゴムの酸素透過係数は、1×10-12(cm(STP)・cm/(cm・sec・Pa))以上でもよく、1×10-11(cm(STP)・cm/(cm・sec・Pa))以上でもよい。シリコーンの酸素透過係数およびシリコーンゴムの酸素透過係数は1×10-9(cm(STP)・cm/(cm・sec・Pa))以下でもよい。シリコーン及びシリコーンゴムは、天然ゴムと比較して、10倍程度の水素透過係数を有し、20倍程度の酸素透過係数を有し、30倍程度の窒素透過係数を有する。シリコーン及びシリコーンゴムは、ブチルゴムと比較して、70倍以上の水素透過係数を有し、40倍以上の酸素透過係数を有し、650倍以上の窒素透過係数を有する。
栓34は少なくとも一部分をシリコーンによって構成されてもよい。すなわち、栓34の全体または一部分が、シリコーン又はシリコーンゴムによって構成されてもよい。例えば、栓34の一部分が、その全厚みに亘って、シリコーン又はシリコーンゴムによって構成されてもよい。当該一部分は、栓34の中心部分であってもよいし、中心部分を取り囲む周縁部分の一部または全部でもよい。
図2に示すように、容器本体32は、底部32a、胴部32b、首部32cおよび頭部32dを、この順で含んでもよい。底部32aおよび胴部32bによって、主として、液体Lの収容空間が形成されてもよい。頭部32dは、容器本体32の先端部を形成している。頭部32dは、他の部分と比較して厚肉となっている。首部32cは、胴部32bおよび頭部32dの間に位置している。首部32cは、胴部32bおよび頭部32dに対して縮幅、とりわけ縮径している。
容器本体32は、収容した液体Lを外部から観察可能とするよう、透明であってもよい。透明とは、可視光透過率が、50%以上であることを意味し、好ましくは80%以上である。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で1nm毎に入射角0°で測定したときの、各波長における全光線透過率の平均値として特定される。
図2に示すように、第1容器30は、さらに固定具36を含んでもよい。固定具36は、栓34が容器本体32から外れることを抑制する。固定具36は、容器本体32の頭部32dに取り付けられる。固定具36は、図1及び図2に示すように、栓34の板状部34aの周縁を覆っている。固定具36は、板状部34aのフランジ部を頭部32dに押し付ける。固定具36は、栓34を一部分において露出させながら、栓34が容器本体32から外れることを抑制する。固定具36によって、栓34と容器本体32との間は液密かつ気密となる。固定具36は、第1容器30を気密な状態とする。固定具36は、頭部32dに固定可能なシート状の金属でもよい。固定具36は、頭部32dに螺子留めされるキャップでもよい。
図示された例において、容器本体32を構成する材料の酸素透過係数は、栓34を構成する材料の酸素透過係数よりも小さくてもよい。容器本体32は、酸素バリア性を有してもよい。すなわち、第1容器30は、一部分のみにおいて、酸素透過性を有してもよい。酸素バリア性を有する部分を構成する材料の酸素透過係数は、1×10-13(cm(STP)・cm/(cm・sec・Pa))以下でもよく、1×10-17(cm(STP)・cm/(cm・sec・Pa))以下でもよい。
酸素バリア性を有する容器本体32として、金属により作製された缶、蒸着や転写によって形成された金属層を有する容器本体、ガラス瓶が例示される。樹脂シートや樹脂板を用いて作製された容器本体32にも酸素バリア性を付与できる。この例において、樹脂シートや樹脂板は、例えばエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリビニルアルコール(PVA)等の酸素バリア性を有した層を含んでもよい。金属蒸着膜を含む積層体を、容器本体32が含んでもよい。積層体やガラスを用いた容器本体32には、酸素バリア性とともに透明性を付与できる。第1容器30や容器本体32が透明である場合、内部に収容した液体Lを第1容器30の外部から確認できる。
容器の一部分が酸素透過性を有するとは、温度23°および湿度40%RHの雰囲気において、酸素が、所定の酸素透過量以上で、容器の当該一部分を透過して、容器内と容器外との間を移動可能であることを意味する。所定の酸素透過量は、1×10-1(mL/(day×atm))以上である。所定の酸素透過量は、1(mL/(day×atm))以上でもよく、1.2(mL/(day×atm))以上でもよく、3(mL/(day×atm))以上でもよい。第1容器30の一部分が酸素透過性を有することによっても、第1容器30内の酸素量を調整できる。
所定の酸素透過量は、100(mL/(day×atm))以下でもよく、50(mL/(day×atm))以下でもよく、10(mL/(day×atm))以下でもよい。酸素透過量に上限を設けることにより、水蒸気等の漏出を抑制でき、酸素透過速度が速いことに起因した第2容器40の開放後における第1容器30内の液体への影響を抑制できる。酸素透過量の上述した任意の下限を酸素透過量の上述した任意の上限と組合せることによって、酸素透過量係数の範囲を定めてもよい。
容器の一部分を透過する酸素透過量(mL/(day×atm))は、図3に示すように、当該一部分を含む試験容器70を用いて測定され得る。試験容器70は区画壁部71を含んでいる。試験容器70は、区画壁部71によって区画された内部空間を有する。区画壁部71は、容器の一部分と、酸素バリア性を有した主壁部72と、を含んでいる。容器の一部分の透過量は、試験容器70の酸素透過量(mL/(day×atm))として特定される。
試験容器70内の酸素濃度は、例えば、0.05%以下に保持される。試験容器70は、第1流路76および第2流路77に接続している。第2流路77は、酸素量を測定する酸素測定装置79に接続している。酸素測定装置79は、第2流路77内を流れる酸素の量(mL)を測定できる。酸素測定装置79は、米国、モコン(MOCON)社製のオクストラン(OXTRAN、2/61)に用いられている酸素量測定装置を使用できる。第1流路76は、試験容器70内に気体を供給する。第1流路76は、酸素を含まない気体を供給してもよい。第1流路76は、不活性ガスを供給してもよい。第1流路76は、窒素を供給してもよい。第2流路77は、試験容器70内のガスを排出する。第1流路76および第2流路77によって、試験容器70内は、酸素が実質存在しない状況に維持される。試験容器70内の酸素濃度は、0.05%以下に維持されてもよいし、0.03%未満に維持されてもよいし、0%に維持されてもよい。
試験容器70は、温度23°および湿度40%RHの試験雰囲気に配置される。試験容器70が配置される雰囲気の酸素濃度は、試験容器70内の酸素濃度よりも高い。試験雰囲気は、空気雰囲気でもよい。空気雰囲気の酸素濃度は20.95%となる。試験容器70を試験雰囲気に配置すると、容器の一部分30Xを透過して、試験雰囲気から試験容器70内に酸素が移動する。試験容器70内の気体は、第2流路77から排出される。第2流路77内を流れる酸素の量を酸素測定装置79で測定することにより、温度23°および湿度40%RHに雰囲気において、一部分30Xを透過する一日の酸素透過量(mL/(day×atm))を測定できる。
図示された例において、試験容器70は、試験チャンバ78内に配置されている。試験チャンバ78内の雰囲気は、温度23°および湿度40%RHに維持されている。試験チャンバ78内には、供給路78Aから空気が供給される。試験チャンバ78内の気体は、排出路78Bから排出される。供給路78Aおよび排出路78Bにより、空気が循環し、試験チャンバ78内の酸素濃度が20.95%に維持される。
図3に示された例において、供給路78Aおよび排出路78Bの一方に空気を循環させるためのポンプが設けられてもよい。図3に示された例において、供給路78Aおよび排出路78Bは、大気圧下の空気雰囲気に開放されていてもよい。さらに、試験容器70は、試験チャンバ78内に配置されていなくてもよい。試験チャンバ78を省いて、試験容器70を大気圧下の空気雰囲気中に配置してもよい。
図3は、第1容器30の酸素透過性を有した一部分30Xを例として、酸素透過量の測定方法を示している。図3に示された例において、区画壁部71は、第1容器30の酸素透過性を有した前記一部分30Xと、酸素バリア性を有した主壁部72と、によって構成されている。例えば、区画壁部71は、第1容器30から切り出された前記一部分30Xと、前記一部分30Xの周縁部に接続した主壁部72と、によって構成されてもよい。この主壁部72は、前記一部分30Xを露出させる貫通穴72Aを有する。貫通穴72Aの周囲部分と、前記一部分30Xに隣接する部分30Yが気密に接合されてもよい。図示された例において、前記一部分30Xに隣接する部分30Yが、バリア性接合材73を介して、主壁部72の貫通穴周囲部分と気密に接合されている。図3に示された例において、図2に示された容器セット20の栓34の近傍部分が切断されている。この例では、栓34が酸素透過性を有する部分30Xとなっている。容器本体32の開口部33を形成する部分32c,32dおよび固定具36が、酸素透過性を有する部分30Xに隣接する部分30Yとして、バリア性接合材73を介して主壁部72に気密に接続している。
図3に示された例において、容器本体32は、首部32cで切断されている。栓34は、容器本体32の頭部32dによって形成された開口部33内に圧縮保持されている。固定具36によって、容器本体32および栓34の間が気密となっている。アルミ等の酸素バリア性を有した固定具36は、栓34を部分的に覆っている。酸素バリア性を有した容器本体32および固定具36が、バリア性接合材73を介して主壁部72に接続している。栓34は、開口部33内での圧縮および固定具36による締め付け等、実際の使用において第1容器30を閉鎖している際の状態と同様の状態に維持されている。したがって、実際の使用時と同様の条件にて、栓34における酸素透過量を測定できる。
以上において、容器の一部分を透過する酸素透過量(mL/(day×atm))の測定方法について説明した。容器全体を透過する酸素透過量(mL/(day×atm))については、容器を二以上の部分に分割し、各部分について測定された酸素透過量を足し合わせることにより、特定できる。例えば、図2に示された第1容器30の酸素透過量は、容器本体32の酸素透過量を測定し、容器本体32の酸素透過量と、図3に示された方法で測定される一部分30Xの酸素透過量と、を足し合わせることによって、特定できる。容器本体32の酸素透過量(mL/(day×atm))は、容器本体32を主壁部72と組み合わせて作製された試験容器70を用いることによって、測定できる。
第1容器30の容積は、例えば、1mL以上1100mL以下としてもよく、3mL以上700mL以下としてもよく、5mL以上200mL以下としてもよい。
図示された例において、容器本体32は、無色または有色のガラス瓶である。容器本体32は、例えばホウケイ酸ガラスによって形成される。この第1容器30はバイアル瓶でもよい。バイアル瓶とは、容器本体と、容器本体の開口部に挿入される栓と、栓を固定する固定具としてのシールと、を含む容器であって、ハンドグリッパー等を用いて、シールが容器本体の頭部に栓とともに加締められる。バイアル瓶である第1容器30の容積は、1mL以上でもよく、3mL以上でもよい。バイアル瓶である第1容器30の容積は、500mL以下でもよく、200mL以下でもよい。
第1容器30がバイアル瓶である場合、栓34を構成する材料の酸素透過係数は、容器本体32を構成するガラスの酸素透過係数より大きくてもよい。第1容器30の酸素透過性を有した部分を液体Lから離すことによって、第1容器30内から第1容器30外への酸素の移動を促進できる。バイアル瓶である第1容器30は、容器本体32の底部32aを載置面に接触させることで、載置面上に安定して配置され得る。このとき、栓34は、液体Lから離れる。栓34は、液体Lに接触しない。したがって、通常の第1容器30の保管状態において、第1容器30の栓34を介した酸素透過を促進できる。
図示された第1容器30は、大気圧下で、内圧を陰圧に維持できる。第1容器30は、大気圧下で、気体を陰圧に維持しながら当該気体を収容し得る。第1容器30は、大気圧下で、気体を陽圧に維持しながら当該気体を収容可能でもよい。これらの例において、第1容器30は、十分に形状を維持可能な剛性を有してもよい。ただし、第1容器30は、内圧を陰圧や陽圧に維持する際に、大気圧下でいくらか変形してもよい。内圧を陰圧や陽圧に維持し得る第1容器30として、上述の図示された具体例や、金属により作製された缶が例示される。
大気圧下で気体を陰圧に維持して収容可能とは、内圧を0.80atm以上の陰圧としながら、破損することなく気体を収容できることを意味する。大気圧下で気体を陰圧に維持して収容可能な容器は、内圧が0.80atmである場合に、気密な状態でもよい。大気圧下で気体を陰圧に維持して収容可能な容器では、内圧が0.80atmである場合の容積を、内圧が1.0atmである場合の容積の95%以上に維持できてもよい。大気圧下で気体を陽圧に維持して収容可能とは、内圧を1.2atm以下の陽圧としながら、破損することなく気体を収容できることを意味する。大気圧下で気体を陽圧に維持して収容可能な容器は、内圧が1.20atmである場合に、気密な状態でもよい。大気圧下で気体を陽圧に維持して収容可能な容器では、内圧が1.2atmである場合の容積を、内圧が1.0atmである場合の容積の105%以下に維持できてもよい。
第2容器40は、第1容器30を収容可能な容積を有する。第2容器40は、例えばヒートシールや超音波接合等の溶着や、粘着材や接着材等の接合材を用いた接合によって、閉鎖され得る。第2容器40は、気密な容器であってもよい。第2容器40の容積は、例えば、5mL以上1200mL以下でもよい。第1容器30がバイアル瓶のような小型の容器、例えば容積が1mL以上20mL以下の容器である場合、第2容器の容積は、1.5mL以上500mL以下でもよい。
第2容器40は、酸素バリア性を有している。容器が酸素バリア性を有するとは、当該容器の酸素透過度(mL/(m×day×atm))が1以下であることを意味する。酸素バリア性を有する容器の酸素透過度(mL/(m×day×atm))は、0.5以下でもよく、0.1以下でもよい。酸素透過度は、はJIS K7126-1に準拠して測定される。酸素透過度は、温度23℃および湿度40%RHの環境下で、米国、モコン(MOCON)社製の透過度測定機であるオクストラン(OXTRAN、2/61)を用いて測定される。JIS K7126-1が適用されない容器については、上述した酸素透過量を測定し、得られた酸素透過量を表面積で割ることによって、酸素透過度を特定してもよい。
酸素バリア性を有する第2容器40を構成する材料の酸素透過係数は、1×10-13(cm(STP)・cm/(cm・sec・Pa))以下でもよく、1×10-17(cm(STP)・cm/(cm・sec・Pa))以下でもよい。
酸素バリア性を有する第2容器40として、金属により作製された缶、蒸着や転写によって形成された金属層を有する容器、ガラス瓶が例示される。酸素バリア性を有した層を含む積層体を、第2容器40が含んでもよい。積層体は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリビニルアルコール(PVA)等の酸素バリア性を有した樹脂層や、金属蒸着膜を含んでもよい。第2容器40は、透明な部分を含んでもよい。第2容器40の一部が透明であってもよい。第2容器40の全部が透明であってもよい。積層体を用いた第2容器40、及びガラスや樹脂を用いた第2容器40には、酸素バリア性とともに透明性を付与できる。第2容器40に透明性を付与することによって、内部に収容した液体入り第1容器30Lを第2容器40の外部から確認できる。
図1に示された例において、第2容器40は酸素バリア性を有した樹脂フィルムにより構成されている。第2容器40は、いわゆるパウチである。図1に示された第2容器40は、いわゆるガゼット袋である。この第2容器40は、第1主フィルム41a、第2主フィルム41b、第1ガゼットフィルム41cおよび第2ガゼットフィルム41dを含んでいる。第1主フィルム41aおよび第2主フィルム41bは、互いに対面している。第1ガゼットフィルム41cは、折り目を付けられて、第1主フィルム41aおよび第2主フィルム41bの間に位置している。第1ガゼットフィルム41cは、第1主フィルム41aの一方の側縁及び第2主フィルム41bの一方の側縁を連結している。第2ガゼットフィルム41dは、折り目を付けられて、第1主フィルム41aおよび第2主フィルム41bの間に位置している。第2ガゼットフィルム41dは、第1主フィルム41aの他方の側縁及び第2主フィルム41bの他方の側縁を連結している。第1および第2主フィルム41a,41b並びに第1および第2ガゼットフィルム41c,41dは、上縁および下縁においても互いに接合されている。フィルム41a~41dは、例えばヒートシールや超音波接合等の溶着や、粘着材や接着材等の接合材を用いた接合によって、気密に接合されている。
図1に示された第2容器40において、別々のフィルムを接合することに代えて、一枚の折り曲げられたフィルムが、フィルム41a~41dの隣接配置された二以上を構成してもよい。図1に示すように、ガゼット袋は、第2容器40に矩形形状の底面を形成可能である。底面上に第1容器30を配置することによって、第1容器30を第2容器40内に安定して保存できる。ただし、第2容器40は、図4に示すように、ガゼット袋に代えて、第1主フィルム41aおよび第2主フィルム41bとともに底面フィルム41eを含んでもよい。このパウチは、スタンディングパウチとも呼ばれる。このパウチによっても底面を形成でき、第1容器30を第2容器40内に安定して保存できる。
図5~図7に示すように、平面状に展開可能な第2容器40を用いてもよい。図5~図7に示された第2容器40は、いずれも、樹脂製のフィルムをシール部43で接合することによって、作製され得る。図5に示された第2容器40は、第1主フィルム41a及び第2主フィルム41bをその周状に設けられたシール部43において接合することによって、作製され得る。
図6に示された第2容器40は、折り返し部41xにおいて折り返されたフィルム41を有する。折り返されたフィルム41の対面する部分を、シール部43において、接合することによって、第2容器40が作製され得る。図6に示された第2容器40では、折り返し部41xおよび三方シール部43によって囲まれた部分に、収容空間が形成される。
図7に示された第2容器40は、ピロー型とも呼ばれる。一枚のフィルム41の両端をシール部43として互いに接合することによりフィルム41を筒状にし、さらに筒状の両端部もシール部43として接合することにより、第2容器40が得られる。
上述した種々の例において、第2容器40を形成するフィルムは透明でもよい。
図8は、第2容器40の更に他の例を示している。図8に示すように、第2容器40は、容器本体42および蓋44を含んでもよい。容器本体42は、収容部42aおよびフランジ部42bを含んでいる。収容部42aは、直方体状の収容空間を形成してもよい。第1容器30は、この収容空間に収容される。収容部42aは、一つの面が開口した直方体状の外形状を有してもよい。フランジ部42bは、収容部42aの開口の周縁に設けられている。蓋44は平板状である。蓋44の周縁部が、容器本体42のフランジ部42bと気密に接合し得る。容器本体42および蓋44は、酸素バリア性を有した樹脂板によって形成されてもよい。蓋44及び容器本体42は透明でもよい。酸素バリア性を有した樹脂板の厚みは、0.05mm以上2mm以下でもよく、0.1mm以上1.5mm以下でもよい。
図8に示された第2容器40は、大気圧下で、内圧を陰圧に維持できる。第2容器40は、大気圧下で、気体を陰圧に維持しながら当該気体を収容し得る。第2容器40は、大気圧下で、気体を陽圧に維持しながら当該気体を収容可能でもよい。これらの例において、第2容器40は、十分に形状を維持可能な剛性を有してもよい。ただし、第2容器40は、内圧を陰圧や陽圧に維持する際に、大気圧下でいくらか変形してもよい。内圧を陰圧や陽圧に維持し得る第2容器40として、金属により作製された缶が例示される。
第1容器30の酸素透過性を有する部分が、少なくとも部分的に、酸素バリア性を有する第2容器40から離れていることによって、第1容器30内から第2容器40内への酸素の移動を促進できる。図1に示された例において、第2容器40内に収容された第1容器30の栓34と、第2容器40との間に隙間Gが形成されている。第2容器40の収容空間を第1容器30の外形状より大きくすることによって、隙間Gを確保できる。第2容器40が樹脂フィルム等の柔軟性を有した材料で形成されている場合、第2容器40の形状を調整することによって、栓34と第2容器40との間の隙間Gを形成できる。
容器セット20および組合せ容器10は、以上に説明した第1容器30及び第2容器40を含む。液体入り組合せ容器10Lは、液体入り第1容器30Lおよび第2容器40を含む。
図1および図8に示すように、容器セット20および組合せ容器10は、第2容器40内の酸素を吸収する脱酸素剤21を含んでもよい。脱酸素剤21は、酸素を吸収することができる組成物であれば特に限定されない。脱酸素剤21として、鉄系の脱酸素剤や、非鉄系の脱酸素剤を用いることができる。例えば、鉄粉等の金属粉、鉄化合物等の還元性無機物質、多価フェノール類、多価アルコール類、アスコルビン酸又はその塩等の還元性有機物質又は金属錯体等を酸素吸収反応の主剤とする脱酸素剤組成物が、脱酸素剤21として、例示される。
図1及び図8に示すように、容器セット20および組合せ容器10は、液体入り第1容器30Lとともに第2容器40内に収容された脱酸素部材22を含んでもよい。図9に示すように、脱酸素部材22は、酸素透過性を有した包装体22aと、包装体22aに収容された脱酸素剤21と、を含んでいる。脱酸素剤21を含んだ脱酸素部材22として、三菱ガス化学株式会社から入手可能な、鉄系水分依存型のFXタイプ、鉄系自力反応型のSタイプ、SPEタイプ、ZPタイプ、ZI-PTタイプ、ZJ-PKタイプ、Eタイプ、有機系自力反応型のGLSタイプ、GL-Mタイプ、GEタイプ等を用いてもよい。脱酸素剤21を含んだ脱酸素部材22として、三菱ガス化学株式会社から入手可能な医薬品向けのZHタイプ、Z-PKヤ、Z-PR、Z-PKR、ZMタイプ等を用いてもよい。
脱酸素剤21は、脱酸素フィルム23に含まれてもよい。図10は、脱酸素フィルム23を含む積層体46の一例を示している。脱酸素フィルム23を含む積層体46は、図1および図4~図7に示された第2容器40のフィルム41a~41eを構成してもよい。脱酸素フィルム23を含む積層体46は、図8に示された第2容器40の容器本体42や蓋44を構成してもよい。図10に示された積層体46は、第1層46a、第2層46b、第3層46cを含んでいる。第1層46aは、ポリエチレンテレフタレートやナイロン等からなる最外層でもよい。第2層46bは、アルミ箔、無機蒸着膜、金属蒸着膜等からなる酸素バリア層でもよい。第3層46cは、ヒートシール層をなす最内層でもよい。図示された第3層46cは、熱可塑性樹脂からなる母材と、母材中に分散した脱酸素剤21と、を含んでいる。図10に示された例のように、第2容器40が、脱酸素剤21を含んだ脱酸素フィルム23を積層体46の一部分として含んでもよい。脱酸素剤21は、ヒートシール層や最内層46cに限られず、粘着層や積層体の中間層に含まれてもよい。その他の例として、第1容器30が、脱酸素剤21を含んだ脱酸素フィルム23を含んでもよい。脱酸素剤21は、図1や図8に示す例のように第1容器30や第2容器40と別途に設けられてもよいし、図10に示すように第1容器30や第2容器40の一部分として設けられてもよい。
図1及び図8に示すように、容器セット20および組合せ容器10は、第2容器40内の水分を吸収する脱水剤24を設けられてもよい。脱水剤24は、水蒸気や水等の水分を吸収する性質を有する物質又は当該物質を含む組成物である。脱水剤24として、塩化カルシウム、ソーダ石灰、シリカゲル等が例示され得る。脱水剤24を第1容器30とともに第2容器40内に収容して、第2容器40を閉鎖してもよい。図1に示された例において、脱水剤24が、包装体に収容された脱水部材として、第2容器40内に配置されている。上述の脱酸素剤と同様に、脱水材を含むフィルム状の脱水フィルムが、第1容器30や第2容器40の一部分として含まれてもよい。この例において、第2容器40を構成する酸素バリア層と、脱水剤24を含む脱水フィルムとが積層されて一体化していてもよい。グリセリンやアルコール等の非水系溶媒が第1容器30に収容されている場合、第2容器内に収容した脱水剤24によって、第1容器30内の水蒸気や水等の水分を除去できる。本件発明者らが確認したところ、第2容器40内に脱水剤を収容することによって、第1容器30内の水分を100μg以下、50μg以下、10μg以下にできた。
脱水剤24を用いた場合における、第1容器30内の水分は、カールフィッシャー法を用いて測定され得る。具体的には、京都電子工業株式会社製のカールフィッシャー水分計MKC-610を用いた電量滴定法にて、第1容器30内の水分量を特定できる。
容器セット20および組合せ容器10は、第2容器40内の酸素状態を検知する酸素検知材25を含んでもよい。酸素検知材25は、検知した酸素状態を表示してもよい。酸素検知材25は、酸素濃度を検知してもよい。酸素検知材25は、検知した酸素濃度値を表示してもよい。酸素検知材25は、検知した酸素濃度値を色によって表示してもよい。
酸素検知材25は、酸化還元により可逆的に色が変わる可変性有機色素を含んでもよい。例えば、酸素還元剤は、チアジン染料あるいはアジン染料、オキサジン染料などの有機色素と還元剤とを含み、固形状でもよい。酸素還元剤は、酸素インジケーターインキ組成物を含んでもよい。酸素インジケーターインキ組成物は、樹脂溶液と、チアジン染料等と、還元性糖類と、アルカリ性物質と、を含んでもよい。チアジン染料等、還元性糖類、およびアルカリ性物質は、樹脂溶液中に溶解もしくは分散してもよい。酸素検知材25に含まれる物質は、酸化および還元により可逆的に変化してもよい。可逆的な物質を含む酸素検知材25を用いることによって、脱酸素が完了する前に容器内に収容された酸素検知材25が容器内の脱酸素にともなって表示色を変化させることにより、当該容器内における酸素量を透明な容器外から観察して、容器内の酸素に関連した状態を把握できる。また、容器内に収容された酸素検知材25は、脱酸素が完了した後の酸素濃度上昇を、例えば流通過程等に容器にピンホール等が形成されて酸素が容器に流入した状態を、表示色を変化させて報知できる。
より具体的には、市販の錠剤型酸素検知材25として、「エージレスアイ」の商品名にて三菱瓦斯化学(株)から入手可能な酸素検知材を用いてもよい。酸素検知機能を有するインキ組成物を塗布した酸素検知体として、例えば、「ペーパーアイ」の商品名で三菱瓦斯化学(株)から入手可能な酸素検知材25を用いてもよい。「エージレスアイ」や「ペーパーアイ」は、透明な容器内の酸素濃度が0.1容量%未満の無酸素状態であることを簡便に色変化で示すことができる機能製品である。酸素検知材25として、脱酸素剤とともに、例えば「エージレス」の商品名で三菱瓦斯化学(株)から入手可能な脱酸素剤とともに、食品の鮮度保持および医療医薬品の品質保持等に使用され得るものを使用してもよい。
図1に示すように、表示部26が透明な第2容器40の外部から表示部26を観察可能となるように、酸素検知材25は設けられてもよい。図1に示された例において、酸素検知材25は、脱酸素剤21や脱酸素部材22と同様に、第2容器40内に収容されている。酸素検知材25は、第2容器40の内面や第1容器30の外面に、溶着や接合材を介して接合されてもよい。酸素検知材25は、その表示部26が脱酸素部材22や脱水剤24によって観察不可能とならないように配置されてもよい。また、第1容器30にラベルが貼られている場合には、脱酸素部材22、脱水剤24および酸素検知材25は、ラベルを覆わないように配置されることが好ましい。
さらに、酸素検知材25は、第1容器30内の酸素状態を検知してもよい。すなわち、容器セット20および組合せ容器10は、第1容器30内の酸素状態を検知する酸素検知材25を含んでもよい。この酸素検知材25は、第1容器30内に収容されてもよい。酸素検知材25は、検知した第1容器30内の酸素状態を表示してもよい。酸素検知材25は、第1容器30内の酸素濃度を検知してもよい。酸素検知材25は、検知した第1容器30内の酸素濃度値を表示してもよい。酸素検知材25は、検知した第1容器30内の酸素濃度値を色によって表示してもよい。
液体入り組合せ容器10Lの製造方法について説明する。液体入り組合せ容器10Lを製造することによって、酸素濃度を調整された液体入り第1容器30Lが得られる。
まず、液体入り第1容器30Lおよび閉鎖前の第2容器40を用意する。液体入り第1容器30Lは、第1容器30に液体Lを充填することにより製造される。例えば食品や薬品等の液体Lは、陽圧に維持された無菌環境下に設置された製造ラインを用いて、製造される。無菌環境下は、菌等の異物の侵入を抑制する観点から、陽圧に維持される。結果として、得られた液体入り第1容器30Lの内圧は、製造環境と同様に、陽圧となる。
次に、図11に示すように、得られた液体入り第1容器30Lを第2容器40に収容する。図11に示すように、閉鎖前の第2容器40には、液体入り第1容器30Lを収容するための開口40aが残っている。図1に示された第2容器40では、例えば、フィルム41a~41dの上縁部が互いに接合されることなく開口40aを形成する。図8に示された第2容器40では、蓋44を取り付けられていない容器本体42が用意される。そして、図11に示すように、開口40aを介して液体入り第1容器30Lを第2容器40に収容する。
第2容器40内の酸素を吸収する脱酸素剤21が設けられる。例えば第1容器30及び第2容器40の少なくとも一方が脱酸素フィルム23(図10参照)を含む場合、特段の作業は生じない。図1および図8に示された脱酸素部材22を用いる場合、第2容器40内に脱酸素部材22が収容される。第2容器40内への脱酸素剤21の配置と、第2容器40内への液体入り第1容器30Lの配置は、いずれを先に行ってもよいし、並行して実施してもよい。
脱酸素剤21の量は、第1容器30および第2容器40内に存在する酸素の総量を吸収し得る量に、設定される。
その後、図11に示すように、液体入り第1容器30Lを収容した第2容器40を閉鎖する。図1に示された第2容器40では、フィルム41a~41dの上縁部を互いに接合して開口40aを塞ぐことによって、第2容器40を閉鎖する。図8に示された第2容器40では、容器本体42の容器本体42に蓋44の周縁部を接合することによって、第2容器40を閉鎖する。接合は、粘着材や接着材等の接合材を用いて実施されてもよいし、ヒートシールや超音波接合等による溶着でもよい。第2容器40は気密な状態となる。
第2容器40を閉鎖するまでの工程は、無菌環境下で実施されてもよい。すなわち、無菌状態で製造された液体入り第1容器30Lと、滅菌処理された又は無菌状態で製造された第2容器40及び脱酸素剤21とが、例えば無菌チャンバ等の無菌環境下に持ち込まれる。無菌環境下で、液体入り第1容器30Lを収容した第2容器40が閉鎖される。液体入り第1容器30Lを収容した第2容器40内も無菌状態となる。すなわち、液体入り第1容器30Lは、無菌状態にて、第2容器40内に保存され得る。
その後、液体入り第1容器30Lを第2容器40内で保存する。第2容器40は酸素バリア性を有する。第2容器40が配置された環境の酸素が、第2容器40内に移動することは抑制される。脱酸素剤21が、第2容器40内の酸素を吸収する。したがって、第1容器30外となる第2容器40内の酸素濃度(%)は、脱酸素剤21の酸素吸収によって低減し、第1容器30内の酸素濃度(%)よりも低くなる。第1容器30は、酸素透過性を有する。したがって、第1容器30内の酸素が、第1容器30を透過し、第2容器40内へ移動する。酸素の第1容器30から第2容器40への移動にともなって、第1容器30内の酸素濃度が低下する。第1容器30を介した酸素の透過が平衡する最終的な平衡状態において、第1容器30内の酸素濃度は、第2容器40内の酸素濃度と一致し得る。十分な量の脱酸素剤21を用いることによって、第2容器40内の酸素濃度および第1容器30内の酸素濃度を、低く維持でき、例えば0.3%未満、0.1%以下、0.05%以下、0.03%未満、更には0%に維持できる。
加えて、第1容器30内の酸素濃度が低下すると、第1容器30内での酸素分圧が低下する。第1容器30内での酸素分圧が低下すると、第1容器30内における液体Lへの酸素の飽和溶解度(mg/L)も低下する。この結果、液体Lの酸素溶解量(mg/L)を低減できる。十分な量の脱酸素剤21を用いることによって、液体Lの酸素溶解量を、著しく低減でき、例えば0.15mg/L未満、0.04mg/L以下、0.03mg/L以下、0.02mg/L以下、0.015mg/L未満、更に好ましくは0mg/Lに維持できる。
液体Lは、酸素によって分解され得る。水溶液としての液体Lの溶媒や溶質が、酸素によって分解され得る。懸濁液としての液体Lに含まれる粒子等の固形物が酸素によって分解され得る。酸素による分解は、食品や薬品等の液体Lにおいてより顕著な問題となる。高感受性の液体Lは、酸素によって分解され易い。
脱酸素剤21を含む容器セット20および組合せ容器10の構成によれば、上述のように、第1容器30内の酸素濃度を十分に低減できる。第1容器30に収容された液体Lの酸素溶解量を十分に低減できる。第1容器30内の酸素量、すなわちヘッドスペースHS内の酸素および液体L内の溶存した酸素の総量を、実質0にできる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。例えば、第1容器30内の酸素濃度が0.3%未満、より好ましくは0.1%以下まで低下すると、高感受性の液体であっても酸素劣化を効果的に抑制できる。同様に、第1容器30内に収容された液体の酸素溶解量が0.15mg/L未満、より好ましくは0.04mg/L以下まで低下すると、高感受性の液体であっても酸素劣化を効果的に抑制できる。
これに対し、従来技術では、液体Lを収容した容器内の酸素量を十分に低減できなかった。このため、高価な薬品等の分野では、温度、酸素、水分、光等に対する安定性を確保するため、当該薬品を凍結乾燥させて粉末状にして保存することもある。粉末化することによって酸素劣化を抑制できる。ただし、液体の薬品を保存のために粉末状とすること並びに使用に際して粉末状の薬品を液体に戻すことは、手間、時間、コストの面における大きなデメリットである。
液体入り組合せ容器10Lにおいて、液体入り第1容器30Lは、既存の設備等を用いて、従来通りに製造され得る。設備改修や設備投資を回避しながら、第1容器30内の酸素量を顕著に低減できる。薬品等の液体への適用において、製造設備や製造工程の変更に関する公的機関への承認申請の手間を省ける。また、液体Lを凍結乾燥することや粉末を液体に戻すといった手間を省くことができる。さらに、第1容器30に特別な制約を受けることもない。したがって、溶出量の少ないことで食品や薬品等の容器として広く普及した材料、例えばガラスや、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂を、第1容器の材料として用いることができる。
第1容器30内の酸素濃度を十分に低減することに加え、第1容器30内の酸素濃度を迅速に低減することによっても、酸素による液体Lの分解を抑制できる。そこで、第1容器30の液体Lが占めていない空間の酸素、いわゆるヘッドスペースHSの酸素を、第1容器30を閉鎖する前に、不活性ガスで置換してもよい。液体L内で不活性ガスをバブリングすることによって、液体中から溶解した酸素を除去してもよい。不活性ガス置換やバブリングによれば、平衡状態における第1容器30内の酸素濃度を1.0%程度、例えば0.5%以上1.0%以下程度に低減できる。これにより、第1容器30から第2容器40への酸素の移動を引き起こし、第1容器30内の酸素量を迅速に低減できる。不活性ガスは、反応性の低い安定した気体である。不活性ガスとして、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス類が例示される。
不活性ガスでの置換は、例えば、第1容器30内に不活性ガスを吹き込むことや、不活性ガスに雰囲気を置換されたチャンバ内で第1容器30を閉鎖することにより、実現され得る。また、不活性ガスで置換された雰囲気にて液体を製造し、当該雰囲気において液体を第1容器30内に閉鎖してもよい。
また、液体Lには無菌性が要求される。特に高感受性の液体Lは、無菌状態であることが確認された後に出荷されることもある。日本薬局方等にも定められているように、一般的な無菌試験法では、14日間培養後における微生物の増殖に基づき評価される。すなわち、液体Lや、液体Lの製造に用いられた装置が、14日間の培養試験を経て、無菌性を確認された後に、液体Lが出荷される。したがって、出荷が留め置かれる14日の間に、第1容器30内の酸素濃度を十分に低減できることが好ましい。この場合、無菌性が確認された液体Lの出荷時に、出荷時および出荷後における液体Lの酸素分解の可能性についても評価可能となる。
この点、脱酸素剤21を含む容器セット20および組合せ容器10の構成によれば、14日間に第1容器30内の酸素量を十分に低減できる。具体的には、第1容器30を収容した第2容器40の閉鎖時から、第1容器30内の酸素濃度を0.1%以下となるまで、15%/day以上の減少率で低減できる。第1容器30内の酸素濃度が0.1%以下となるまでの減少率は、20%/day以上でもよく、25%/day以上でもよく、30%/day以上でもよく、35%/day以上でもよく、40%/day以上でもよい。また、これらの減少率で酸素濃度が低減されるのは、酸素濃度が、0.1%以下まででもよく、0.05%以下まででもよく、0.03%未満まででもよく、更には0%まででもよい。
酸素濃度(%)に対して用いられる「減少率」とは、対象日前日から対象日までの24時間での酸素濃度の減少量(%)の対象日前日の酸素濃度(%)に対する割合(%)を意味する。すなわち、「減少率=(対象日前日の酸素濃度-対象日の酸素濃度)/対象日前日の酸素濃度)×100(%)」となる。「減少率」の単位は(%/day)である。減少率(%/day)は、脱酸素剤21の量、第1容器30の容積、第2容器40の容積、液体Lの量、第1容器30の酸素透過性能等によって調節され得る。
第1容器30内の酸素濃度が1.0%から0.1%以下となるまでの第1容器30内の酸素濃度減少率を15%/day以上とすることによって、表1に示すように、液体入り第1容器30Lを収容した第2容器40を閉鎖してから14日間で、第1容器30内の酸素濃度を14日間で0.1%以下まで低減できる。第1容器30内の酸素濃度が0.1%以下まで低下すると、第1容器30内に収容された高感受性の液体Lの酸素劣化は、著しく減速され、ほぼ進行しなくなる。
Figure 2023098491000002
第1容器30内の酸素濃度が0.1%以下となるまでの第1容器30内の酸素濃度減少率は35%/day以上でもよい。酸素濃度減少率は35%/day以上である場合、不活性ガスで置換することなく閉鎖した第1容器30内の酸素濃度や、液体を不活性ガスでバブリングすることなく閉鎖した第1容器30内の酸素濃度を、液体入り第1容器30Lを収容した第2容器40を閉鎖してから14日間で0.1%以下まで低減できる。例えば、酸素濃度減少率が35%/day以上であれば、第2容器40内に第1容器30を収容してから14日以内に、初期酸素濃度が5.0%である第1容器30内の酸素濃度を0.1%以下まで低減できる。また、酸素濃度減少率が35%/day以上であれば、第2容器40内に第1容器30を収容してから14日以内に、空気を収容した第1容器30内の酸素濃度を、初期酸素濃度である20.95%から0.1%以下まで低減できる。
Figure 2023098491000003
温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、「0.15×(V-X)+0.00040×X」(mL/(day×atm))以上の透過量で、第1容器30を透過してもよい。温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、「0.35×(V-X)+0.00093×X」(mL/(day×atm))以上の透過量で、第1容器30を透過してもよい。温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、「(V-X)×k/100+0.00027×X×k」(mL/(day×atm))以上の透過量で、第1容器30を透過してもよい。式中の「V」は、第1容器30を閉鎖した状態での第1容器30の容積(mL)である。「X」は、第1容器30に収容された液体Lの体積(mL)である。したがって、「(V-X)」は、第1容器30の容積から液体Lの体積を差し引いた第1容器30の部分容積(mL)となる。言い換えると、「(V-X)」は、ヘッドスペースHSの容積(mL)となる。式中の「k」は、目標とする減少率(%)の値である。
第1容器30のヘッドスペースHSに空気が収容されていることを想定する。ヘッドスペースHSにおける酸素の体積割合は21%となる。酸素分圧は0.21atmとなる。ヘッドスペースHSの酸素量は、「0.21×(V-X)」(mL)となる。液体Lへの酸素溶解量は、飽和溶解度を0.0081(mg/mL)とすると、「0.0081×X」(mg)=「0.0056×X」(mL)となる。したがって、第1容器30内には、「0.21×(V-X)+0.0056×X」(mL)に相当する量の酸素が存在する。第1容器30の酸素透過量が「0.15×(V-X)+0.00040×X」(mL/(day×atm))以上であると、減少率15%以上を実現できる。第1容器30の酸素透過量が「0.35×(V-X)+0.00093×X」(mL/(day×atm))以上であると、減少率35%以上を実現できる。第1容器30の酸素透過量が「(V-X)×k/100+0.00027×X×k」(mL/(day×atm))以上であると、減少率k(%)以上を実現できる。
第1容器30内の酸素濃度(%)及び第2容器40内の酸素濃度(%)を測定するための測定装置は、特に限定されないが、ヘッドスペース法の酸素量測定装置でもよく、蛍光接触式の酸素量測定装置でもよく、蛍光非接触式の酸素量測定装置でもよい。第1容器30内に収容された液体の酸素溶解量(mg/L)を測定するための測定装置は、特に限定されないが、蛍光接触式の酸素量測定装置でもよく、蛍光非接触式の酸素量測定装置でもよい。酸素濃度や酸素溶解量を測定するための測定装置は、測定限界、測定すべき酸素濃度帯域での測定の安定性、測定環境、測定条件等を考慮して、適宜選択され得る。低い酸素濃度や低い酸素溶解量を測定する場合、蛍光接触式の酸素量測定装置を用いてもよく、蛍光非接触式の酸素量測定装置を用いてもよい。
ヘッドスペース法の酸素量測定装置として、lighthouse社製のヘッドスペースアナライザーFMS760が例示される。この測定装置を用いた測定では、酸素によって吸収され得る周波数の光を、測定対象となる酸素を含む容器に容器外部から照射し、当該容器のヘッドスペースHSを通過して当該容器から出射した光を受光する。透過前後での光強度の変化を計測し、この光強度の変化に基づいて、当該容器内の酸素濃度(%)を特定できる。したがって、第1容器30が測定装置からの光を透過可能であれば、第1容器30を開放することなく、第1容器30内の酸素濃度を特定できる。第2容器40が測定装置からの光を透過可能であれば、第2容器40内に収容された第1容器30についても、第2容器40を開放することなく第2容器40の外部から光を照射して、第1容器30内の酸素濃度を測定できる。第2容器40内の酸素濃度(%)も、lighthouse社製のヘッドスペースアナライザーFMS760を用いて測定できる。測定されたヘッドスペースHSの酸素濃度(%)および温度から液体Lへの酸素の飽和溶解度を特定できる。特定された飽和溶解度に基づき、液体Lの酸素溶解量(mg/L)を特定できる。
蛍光接触式の酸素量測定装置として、ドイツのPreSens社の酸素量測定装置Microx4が例示される。酸素量測定装置Microx4は、ニードル式の装置である。酸素量測定装置Microx4は、ニードルを容器に穿刺することによって、容器内の酸素濃度や酸素溶解量を測定可能であり、測定の安定性に優れる。同一の条件で作製された複数の組合せ容器や容器を準備し、異なるタイミングで各容器内の酸素量をニードル式の酸素量測定装置で測定していくことにより、酸素量の経時変化を評価できる。
予め酸素センサを容器内に収容しておくことにより、蛍光非接触式の酸素量測定装置を用いて、第1容器30および第2容器40内の酸素濃度や酸素溶解量を測定できる。蛍光非接触式の酸素量測定装置として、ドイツのPreSens社の酸素量測定装置Fibox3が例示される。酸素センサは、特定波長域の光を受光すると自家発光する。酸素センサの自家発光量は、センサ周囲における酸素量の増加にともなって増加する。蛍光非接触式の酸素量測定装置は、酸素センサが自家発光する特定波長の光を射出可能であり、酸素センサの自家発光量を計測して、酸素濃度(%)および酸素溶解量(mg/L)を測定できる。第1容器30が第2容器40内に収容されている場合、第2容器40を開放することなく第2容器40の外部から光を照射して液体Lの酸素溶解量を測定できる。
ところで、適切な量の脱酸素剤21を設けることによって、第2容器40内の酸素濃度は、十分に小さくなり、実質的に0%に維持できる。この場合、第1容器30を透過して第1容器30から第2容器40へ移動する酸素透過量(mL/(day×atm))は、第1容器30内の酸素の分圧に概ね比例する。この結果、減少率は概ね一定の値に維持されながら、第1容器30内の酸素濃度は低下していく。
逆に、減少率の値が大きく変化する場合、第1容器30が気密な状態でないことが予想される。一例として、固定具36が容器本体32に正しく固定されておらず容器本体32と栓34との間に意図しない隙間が生じていることが想定される。他の例として、栓34や容器本体32にリークの原因となる欠陥が生じていることが想定される。第1容器30が気密な状態でない場合、第1容器30を透過して第1容器30から第2容器40へ移動する酸素透過量(mL/(day×atm))は、概ね一定となる。この場合、減少率は、第1容器30内の酸素濃度の低下にともなって増加する。したがって、減少率の変動を監視することにより、第1容器30が気密な状態であるかを確認できる。第1容器30が気密な状態にないと、第2容器40から取り出した第1容器30内に酸素や異物が侵入し得る。また、第1容器30の内部の無菌性を維持し得ない。減少率を監視することによって、異常を有した液体入り第1容器30Lを検出できる。
本件発明者羅が確認したところ、第1容器30を収容した第2容器40の閉鎖時から第1容器30の酸素濃度が0.1%以下となるまでにおける、第1容器30内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差を確認することによって、液体入り第1容器30Lの気密性を評価できた。この減少率(%/day)の最大値と最小値との差が5%/day以下となっている液体入り第1容器30Lは正常であった。したがって、この減少率(%/day)の最大値と最小値との差が5%/day以下となっている液体入り第1容器30Lを正常品として出荷できる。
第1容器30の容積から液体Lの体積を差し引いた第1容器30の部分容積(ヘッドスペースHSの容積)は、50mL以下でもよく、30mLでもよく、10mL以下でもよく、5mL以下でもよい。第1容器30の部分容積をこのように調節することによって、第1容器30を収容した第2容器40を閉鎖してから、第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。
第1容器30に収容された液体Lの体積は、20mL以下でもよく、10mL以下でもよい。液体Lの体積をこのように調節することによって、第1容器30を収容した第2容器40を閉鎖してから、第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。
第1容器30の容積から液体Lの体積を差し引いた第1容器30の部分容積(ヘッドスペースHSの容積)(mL)の、第2容器40の容積から第1容器30が占める体積を差し引いた第2容器40の部分容積(mL)に対する割合(%)に、上限および下限を設定してもよい。この割合は、50%以下でもよく、20%以下でもよい。このような上限を設定することによって、第1容器30の酸素濃度を十分かつ迅速に低減できる。また、第2容器40内に第1容器30の収容スペースを確保でき、第2容器40内に第1容器30を容易に収容できる。さらに、第1容器30を収容した第2容器40を閉鎖してから、第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。この割合は、5%以上でもよく、10%以上でもよい。このように下限を設定することによって、第2容器40が第1容器30に対して大きくなり過ぎず、組合せ容器10の取り扱い性を改善できる。
以上のようにして、酸素濃度および酸素溶解量が調整された液体入り第1容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを得ることができる。
第2容器40内における第1容器30の酸素量の調整は、第1容器30を介した酸素の透過が平衡する迄、実施されてもよい。第2容器40内における第1容器30の酸素量の調整は、第1容器30内の酸素濃度(%)が所定の値に低下するまで実施されてもよい。第2容器40内における第1容器30の酸素量の調整は、第1容器30内の液体Lの酸素溶解量(mg/L)が所定の値に低下するまで実施されてもよい。第2容器40内における第1容器30の酸素量の調整は、組合せ容器10の液体Lを使用する時まで実施されてもよい。また、第2容器40内で第1容器30の酸素量を調整している間、液体入り組合せ容器10Lを流通させてもよい。
第1容器30を介した酸素透過が平衡状態にあるかは、第1容器30内の酸素濃度に基づいて判断する。この判断には、或る時点における第1容器30内の酸素濃度値(%)と当該或る時点よりも24時間前における第1容器30内の酸素濃度値(%)との差が、当該或る時点における第1容器30内の酸素濃度値(%)の±5%以下である場合、平衡状態に至っていると判断する。
次に、液体入り組合せ容器10Lの使用方法について説明する。
組合せ容器10に収容された液体Lを使用するにあたり、まず、第2容器40を開放する。次に、開放された第2容器40から液体入り第1容器30Lを取り出す。その後、液体入り第1容器30Lから液体Lを取り出して使用できる。図示された第1容器30については、固定具36を容器本体32から取り外し、更に栓34を容器本体32から取り外すことによって、第1容器30を開放できる。これにより、第1容器30内の液体Lを使用できる。
図13に示すように、液体Lはシリンジ60に注入される薬品でもよい。液体Lは薬品のうちの注射剤でもよい。注射剤として、抗癌剤や抗ウイルス剤、ワクチン、抗精神剤等が例示される。シリンジ60は、シリンダ62及びピストン66を含んでいる。シリンダ62は、シリンダ本体63及びシリンダ本体63から突出した針64を有している。筒状の針64は、シリンダ本体63の液体Lを収容するための空間へのアクセスを可能にする。ピストン66は、ピストン本体67及びピストン本体67に保持されたガスケット68を有する。ガスケット68は、ゴム等によって構成され得る。ガスケット68は、シリンダ本体63内に挿入されて、液体Lの収容空間をシリンダ本体63内に区画する。このシリンジ60に注入された液体Lは、患者等へ投与される迄に、シリンジ60から別のシリンジや容器等に移し替えられてもよい。この例において、別のシリンジや容器等から患者へ投与されてもよい。
ところで、液体入り第1容器30L内の圧力は調整されてもよい。一例として、液体入り第1容器30L内の圧力は低く維持されてもよい。液体入り第1容器30L内の圧力は陰圧に維持されてもよい。この例によれば、液体入り第1容器30Lの保存時における液体の意図しない漏出や、第1容器30の開放時における液体Lの飛散等を効果的に抑制できる。漏出や飛散の問題は、毒性を有した液体、例えば高薬理活性の薬品おいてより深刻となる。
例えばガス、熱、ガンマ線等を用いて製造後に実施される後滅菌処理によって劣化してしまう高感受性の液体、例えば食品や薬品、より具体的には抗癌剤や抗ウイルス剤、ワクチン、抗精神剤等は、無菌環境下で製造されて容器に封入される。すなわち、最終滅菌法を適用できない液体は、無菌操作法により製造される。無菌操作法による無菌環境は、菌の侵入を抑制するため、通常陽圧に維持される。したがって、液体Lが収容された容器内の圧力は無菌環境に対応した所定の陽圧となる。
本実施の形態によれば、このような不具合にも対処できる。上述したように、液体入り第1容器30Lは第2容器40内で保存される。この保存中、第1容器30内の酸素が第1容器30を透過して第2容器40内に移動する。酸素透過により、第1容器30内の圧力を低下させることができる。すなわち、液体Lを収容した第1容器30の圧力を、第1容器30を閉鎖して液体Lを封入した後に、調整できる。
第1容器30の内圧調整の観点から、大気圧下で気体を陰圧に維持して収容可能な第2容器40を用いてもよい。例えば、図8に示された第2容器40を用い、陰圧に維持された雰囲気下で、第1容器30を収容した第2容器40を閉鎖してもよい。閉鎖された第2容器40内の圧力は、大気圧未満となる。この場合、第1容器30から第2容器40への酸素透過が促進される。とりわけ、第2容器40の容積を大きく確保することや、第2容器40の初期圧力を大きく低下させておくことによって、第1容器30内の圧力を大幅に調整できる。これにより、当初陽圧であった第1容器30内の圧力を、第1容器30を第2容器40内で保存することによって、陰圧に調整できる。これにより、液体Lの製造方法や第1容器30へ液体Lを封入する環境等に依存することなく、圧力調整された液体入り第1容器30Lを製造できる。
また、第2容器40を陰圧にして閉鎖することは、第1容器30の酸素透過を促進させることになる。したがって、液体入り第1容器30Lを収容した第2容器40を閉鎖してから第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。
陰圧とは、大気圧である1atm未満の圧力を意味する。陽圧とは、大気圧である1atmを超える圧力を意味する。容器内が陰圧であるか否かは、容器に圧力計が設けられている場合には当該圧力計を用いて判断できる。容器に圧力計が設けられていない場合には、シリンジを用いても判断できる。具体的には、対象となる容器にシリンジの針を刺した際に、シリンジのピストンに大気圧のみが印加されている状態でシリンジ内に収容されていた液体や気体が容器内に流入するか否かによって、判断できる。シリンジ内に収容されていた液体や気体が容器内に流入する場合、容器内は陰圧であったと判断される。同様に、容器内が陽圧であるか否かは、圧力計を用いて判断できるが、シリンジを用いても判断できる。具体的には、対象となる容器にシリンジの針を刺した際に、シリンジのピストンに大気圧のみが印加されている状態で容器内に収容されていた液体や気体がシリンジ内に流入するか否かによって、判断できる。容器内に収容されていた液体や気体がシリンジ内に流入する場合、容器内は陽圧であったと判断される。
以上に説明してきた一実施の形態において、容器セット20は、液体Lを収容可能であり酸素透過性を有する第1容器30と、第1容器30を収容可能であり酸素バリア性を有する第2容器40と、を含む。組合せ容器10は、第1容器30を第2容器40に収容することによって得られる。液体入り組合せ容器10Lは、液体Lを収容し且つ酸素透過性を有する第1容器30と、第1容器30を収容し且つ酸素バリア性を有する第2容器40と、を含む。液体入り第1容器30Lの製造方法は、第1容器30を収容した第2容器40を閉鎖する工程と、第2容器40内に収容された第1容器30内の酸素量を調整する工程と、を含む。そして、第2容器40内の酸素を吸収する脱酸素剤21が設けられる。酸素量を調整する工程において、第1容器30内の酸素が第1容器30を透過することによって、第1容器30内の酸素濃度が低下し、液体L内に溶解した酸素溶解量を低減できる。本実施の形態によれば、第2容器40内の酸素濃度および第1容器30内の酸素濃度を、十分低減でき、例えば0.1%以下、0.05%以下、0.03%未満、更には0%に維持できる。また、第1容器30内の液体Lの酸素溶解量を、十分低減でき、例えば0.04mg/L以下、0.03mg/L以下、好ましくは0.02mg/L以下、より好ましくは0.015mg/L未満、更に好ましくは0mg/Lに維持できる。これにより、第1容器30の液体Lの酸素による分解を抑制できる。脱酸素剤21を第1容器30の外部に配置し得ることから、第1容器30の内部の無菌状態を脱酸素剤21が害してしまうこともない。
加えて、本実施の形態によれば、第1容器30を収容した第2容器40の閉鎖時から、第1容器30内の酸素濃度(%)は、15%/day以上の減少率で、0.1%以下まで低下できる。すなわち、本実施の形態によれば、第1容器30内の酸素量を迅速にて低減でき、液体Lの酸素による分解を抑制できる。窒素置換等によって、第2容器40内の酸素濃度が予め調整されている場合、例えば0.5%以上1.0%以下に調整されている場合、第1容器30を収容した第2容器40の閉鎖時から14日以内に、第1容器30内の酸素濃度(%)を0.1%以下まで低減し且つ第1容器30内の液体Lの酸素溶解量を0.04mg/L以下まで低減できる。14日以内に酸素濃度を実質0まで低減できることによって、無菌性の確認試験の実施中に、すなわち出荷前に、第1容器30内の酸素量が十分に低減されることを確認できる。
本実施の形態の一具体例において、第1容器30を収容した第2容器40の閉鎖時から、第1容器30内の酸素濃度(%)が0.1%以下となるまで、酸素濃度の減少率は35%/day以上でもよい。この例によれば、第2容器40内が不活性ガス置換されていなくても、例えば第2容器40内の酸素濃度が5%以上であっても、さらには第2容器40内が空気であっても、第2容器40の閉鎖時から14日以内に、第1容器30内の酸素濃度(%)を0.1%以下まで低減し且つ第1容器30内の液体Lの酸素溶解量を0.04mg/L以下まで低減できる。
図1に示すように、第2容器40内に収容された第1容器30の酸素透過性を有する栓34と、第2容器40との間に隙間Gが形成されてもよい。この例によれば、酸素バリア性を有した第2容器40が酸素透過性を有した栓34を覆うことを抑制できる。これにより、第1容器30の酸素透過が第2容器40によって妨げられることを抑制できる。したがって、隙間Gを設けることによって、第1容器30内の酸素量低減を促進できる。
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等できる。
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
上述の具体例において、酸素透過性を有した栓34の具体的な構成を示した、上述の例に限られない。例えば図14に示すように、栓34の表面に、栓34の内容物の溶出を規制するバリア層81を設けてもよい。図14に示された例において、栓34は、栓本体部35と、バリア層81と、を含んでいる。栓本体部35は、シリコーンを含んでもよい。例えば栓34がシリコーンゴムを含む場合、ゴム加硫剤由来の活性の高い物質、安定剤や酸化防止剤等の添加剤が、栓34から溶出し得る。これらの溶出物は、第1容器30に収容された液体Lを劣化させ得る。そこで、栓34の内面にバリア層81を設けてもよい。図14の符号81で示すように、バリア層81は、栓34のうちの容器本体32の内部に挿入される部分に設けられてもよい。図14の符号81Aで示すように、栓34のうちの容器本体32に接触し得る位置にバリア層81,81Aを設けてもよい。図14の符号81Bで示すように、栓34の全表面にバリア層81,81A,81Bを設けてもよい。
バリア層81は、パラキシリレン層を含んでもよい。パラキシリレン層は、パラキシリレンNを含んでもよいし、パラキシリレンCを含んでもよいし、パラキシリレンHTを含んでもよい。パラキシリレン層は、真空蒸着によって栓本体部35上に作製してもよい。パラキシリレン層の厚みは、0.1μm以上2μm以下でもよいし、0.1μm以上1μm以下でもよいし、0.1μm以上0.5μmμm以下でもよい。パラキシリレン層の厚みに上限を設けることによって、栓34に十分な酸素透過性を付与できる。パラキシリレン層の厚みに下限を設けることによって、栓34に十分な溶出抑制機能を付与できる。
バリア層81は、フッ素系樹脂層を含んでもよい。フッ素系樹脂層は、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)を含んでもよい。フッ素系樹脂層は、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)を含んでもよい。フッ素系樹脂層は、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE))を含んでもよい。フッ素系樹脂層は、コーティングにより栓本体部35上に作製してもよい。フッ素系樹脂層の厚みは、0.1μm以上60μm以下でもよいし、0.1μm以上40μm以下でもよいし、0.1μm以上25μmμm以下でもよい。フッ素系樹脂層の厚みに上限を設けることによって、栓34に十分な酸素透過性を付与できる。フッ素系樹脂層の厚みに下限を設けることによって、栓34に十分な溶出抑制機能を付与できる。
上述の具体例において、酸素透過性を有する栓34の具体的な構成を示した。酸素透過性を有する栓34での酸素透過を促進する観点において、好ましくは、酸素量を調整する工程において栓34は液体Lに接触していない。好ましくは、酸素量調整工程において、栓34は液体Lから離れている。好ましくは、酸素量調整工程において、栓34は気体に接触している。そこで、栓34は、撥液処理を施されてもよい。栓34は、撥液構造を有してもよい。撥液処理を施された又は撥液構造を有する栓34の内面の接触角は、JIS R3257に準拠したぬれ性試験方法の静滴法において、80°以上でもよく、90°以上でもよく、95°以上でもよく、180°未満でもよい。
撥液処理として、イオンビームの照射やプラズマ処理等による表面改質処理が例示される。撥液構造として、図15に示すように、栓34の容器本体32の内部を向く面が凹凸面82を含んでもよい。図15に示された例において、栓34の内面を構成する凹凸面82は、微細な凹凸構造を含んでいる。この例において、凹凸面82の凹部82Xが気体を保持し得る。この例によれば、凹凸面82に気泡が付着した状態に維持できる。
栓34の内面を凹凸面82とすることによって、栓34の表面積が増加する。栓34の表面積が増加することによって、酸素が栓34を透過することを促進できる。栓34の内面から突出する突出部83を設けて、栓34の表面積を増加させてもよい。例えば、図15に二点鎖線で示すように、栓34に設けられた突出部83は、容器本体32に接触しない。容器本体32から離れることによって突出部83の表面積を効率的に増加できる。
図16に示すように、栓34の外面を凹凸面84とすることによって、栓34の表面積が増加させてもよい。栓34の表面積が増加することによって、酸素が栓34を透過することを促進できる。図16に示すように、栓34の外面から突出する突出部85を設けて、栓34の表面積を増加させてもよい。
図17に示すように、容器本体32と栓34との間に、酸素透過性および撥液性を有したシート86が設けられてもよい。シート86として、気体を保持可能な孔を有したシート、例えば不織布が例示される。シート86として、孔を設けられたシート本体部と、シート本体部に積層された撥液性を有する被覆層と、を含むシート材が例示される。シート材の被覆層は、フッ素系の蒸着膜や塗膜でもよい。シートの酸素透過性は、第1容器30の酸素透過性と同様に、評価される。すなわち、温度23°および湿度40%RHの雰囲気において、酸素が、所定の酸素透過量以上で、シート86を透過し得ることを意味する。所定の酸素透過量は、1×10-1(mL/(day×atm))以上である。所定の酸素透過量は、1(mL/(day×atm))以上でもよく、1.2(mL/(day×atm))以上でもよく、3(mL/(day×atm))以上でもよい。シート86の撥液性は、JIS R3257に準拠したぬれ性試験方法の静滴法において、80°以上の接触角を有することを意味する。図17に示されたシート86は、図18に示すように栓34に取り付けられ、栓34の一部を構成してもよい。図17に示されたシート86は、容器本体32および栓34と別の部材として、容器本体32と栓34との間に挟まれることによって保持されてもよい。
図19~図22に示すように、第1容器30は、容器本体32の内面から延び出した延出壁部87を含んでもよい。延出壁部87によれば、液体Lが栓34の内面に付着することを抑制できる。
図19~図21に示された例において、延出壁部87は、容器本体32の内部空間を二つの空間に区分けしている。ただし、液体Lは、容器本体32内において、二つの空間の間を移動できる。図20に示すように、第1容器30内の酸素量を調整する工程において、栓34および容器本体32の底部32aが側方を向くように寝かした状態で第1容器30を保管してもよい。第1容器30は、胴部32bが載置面5上に位置するようにして、配置されている。図20に示された例において、液体Lは、容器本体32および延出壁部87で区画された空間に保持され、栓34に接していない。これにより、酸素が栓34を透過することを促進できる。図21に示すように、シリンジ60を用いて第1容器30から液体Lを取り出す際には、栓34が下方を向くようにして第1容器30が保持されてもよい。図21に示された状態において、液体Lは、容器本体32および延出壁部87の間の隙間を通過して、容器本体32内における容器本体32と栓34と延出壁部87とによって区画された空間に移動する。図21に示された状態において、液体Lは栓34に接触しており、シリンジ60を用いて液体Lを第1容器30から取り出すことができる。
図22は、延出壁部87の別の例を示している。図22に示された例において、延出壁部87は環状である。環状の延出壁部87は外周縁87aおよび内周縁87bを含んでいる。延出壁部87は、外周縁87aの全長に亘って容器本体32の円筒状胴部32bの内面に接続している。延出壁部87には、内周縁87bによって区画された穴87cが形成されている。延出壁部87は、容器本体32の内部空間を二つに区分けする。液体Lは穴87cを通過して二つの空間の間を移動可能である。図示された例において、延出壁部87は、外周縁87aから内周縁87bに向けて、開口部33から離れて底部32aに接近するように傾斜している。この例によれば、液体Lを、栓34から離れた底部32a側の空間に集めることができる。これにより、液体Lが栓34の内面に付着することをより安定して抑制できる。したがって、酸素が栓34を透過することを促進できる。
図23は、第1容器30の別の変形例を示している。図23に示された第1容器30は、シリンジ60である。図6を参照して既に説明した例と同様に、図23に示されたシリンジ60は、シリンダ62及びピストン66を含んでいる。シリンダ62は、ガラス又は樹脂製のシリンダ本体63および金属製の針64を含んでいる。シリンダ62は、第1容器30の容器本体32であって、液体Lの収容空間を形成する。ピストン66は、ガラス又は樹脂製のピストン本体67と、シリンダ62の開口部33内に配置されたガスケット68と、を含んでいる。ガスケット68は、第1容器30の栓34であって、開口部33を閉鎖する。シリンダ62及びガスケット68の間に、液体Lの収容空間が区画されている。図示されたシリンジ60は、さらにキャップ69を含んでいる。キャップ69は、取り外し可能に針64に取り付けられる。キャップ69は、針64からの液体Lの漏出を規制し、液体Lをシリンジ60に密封する。図23に示された例では、シリンジ60を第1容器30とすることで、第2容器40から取り出したシリンジ60をそのまま患者等に使用できる。
図23に示された例において、ガスケット68に酸素透過性を付与してもよい。酸素透過性を有するガスケット68として、シリコーンゴムによって作製された栓を用いてもよい。シリンダ62に酸素バリア性を付与してもよい。ガスケット68の酸素透過係数は、上述の栓34の酸素透過係数と同様に設定してもよい。シリンダ62の酸素透過係数は、上述の容器本体32の酸素透過係数と同様に設定してもよい。
図23に示された例において、ガスケット68を酸素が透過することによって、シリンダ本体63及びガスケット68によって区画された第1容器30の内部から酸素が排出される。これにより、シリンジ60内の酸素濃度が低下し、液体Lに溶解した酸素溶解量が減少する。この結果、液体Lの酸素による分解を効果的に抑制できる。
図24に示すように、第1容器30としてのシリンジ60が、シリンダ62に設けられた開口部33を塞ぐ栓34を含んでもよい。例えば、針64が開口部33を形成し、栓34が針64の先端を塞いでもよい。この栓34が酸素透過性を有してもよい。酸素透過性を有する栓34は、シリコーンゴムによって構成されてもよい。栓34は、シリンダ62よって形成された開口部33を塞ぐ。
さらに他の例として、図25に示すように、第1容器30を構成するシリンジ60が、針64を取り外された状態で、第2容器40に収容されていてもよい。図25に示された例において、シリンダ本体63は先端突出部63aを含んでいる。針64は、先端突出部63aに取り付け可能である。そして、シリンジ60は、先端突出部63aの開口を塞ぐ栓34を含んでもよい。この栓34が酸素透過性を有してもよい。酸素透過性を有する栓34は、シリコーンゴムによって構成されてもよい。栓34は、先端突出部63aによって形成された開口部33を塞ぐ。
図24および図25に示された例において、ガスケット68は、酸素透過性を有してもよいし、酸素透過性を有さなくてもよい。図24および図25に示された例において、ガスケット68は、酸素バリア性を有してもよいし、酸素バリア性を有さなくてもよい。
図24および図25に示された例においても、栓34を酸素が透過することによって、シリンダ本体63及びガスケット68によって区画された第1容器30の内部から酸素が排出される。これにより、シリンジ60内の酸素濃度が低下し、液体Lに溶解した酸素溶解量が減少する。この結果、液体Lの酸素による分解を効果的に抑制できる。
上述の具体例において、第1容器30は容器本体32及び栓34を含み、栓34が酸素透過性を有していた。しかしながら、容器本体32の少なくとも一部分が酸素透過性を有し、栓34が酸素バリア性を有してもよい。また上述した第2容器40の具体的構成は例示に過ぎず、種々の変更が可能である。
以下、実施例を用いて上述した一実施の形態示をより詳細に説明するが、上述した一実施の形態はこの実施例に限定されない。
<実施例1>
容量10mLのバイアル瓶を第1容器として用意した。第1容器は、図2に示す構成を有していた。第1容器をなすバイアル瓶は、ガラス製の容器本体を含んでいた。ガラス製の容器本体は酸素バリア性を有していた。1.5mLの注射用水(水溶液)を液体Lとして、第1容器に収容した。注射用水を収容した容器本体の開口部をゴム栓で閉鎖した。ゴム栓は、シリコーンゴムによって構成され、酸素透過性を有していた。ハンドグリッパーを用いてアルミシールを容器本体の頭部に固定し、液体入り第1容器を作製した。アルミシールは、図2に示された固定具として機能した。アルミシールは、ゴム栓が容器本体から外れることを規制した。アルミシールを用いた閉鎖後の状態において、容器本体及びゴム栓の間は気密となった。第1容器内には、注射用水が充填されていないヘッドスペースが8.5mLの容積で残った。第1容器の閉鎖は大気圧下の空気雰囲気で行った。したがって、第1容器のヘッドスペースには、空気が含まれていた。第1容器のヘッドスペースにおける酸素濃度は、21%であった。第1容器に収容された注射用水の酸素溶解量は、8.1mg/Lであった。図3を参照して上述した方法にて、第1容器の栓の酸素透過量を測定したところ、3.6(mL/(day×atm))であり、実施例1の第1容器は酸素透過性を有していた。ゴム栓の直径は略15mmであった。筒状部の内となる領域における、ゴム栓の板状部の厚みは約1mmであった。
次に、透明な酸素バリア性包材によって構成された第2容器を用意した。第2容器は、図1に示された構成を有していた。液体入り第1容器と、脱酸素剤を含んだ脱酸素部材と、を第2容器内に収容し、第2容器をヒートシールで閉鎖した。第2容器の閉鎖は大気圧下の空気雰囲気で行った。閉鎖された第2容器は、約100mLの空気(酸素は約20.95mL相当)を収容していた。脱酸素部材は、100mLの酸素を吸収可能な脱酸素剤(三菱瓦斯化学製、ZH-100)であった。
実施例1に用いられる材料や部材等はすべて滅菌処理済みとした。第1容器への注射用水の収容、第1容器の閉鎖、液体入り第1容器および脱酸素剤の第2容器への収容、及び、第2容器の閉鎖は、無菌状態のアイソレーター内で実施した。滅菌処理済みの材料の使用および無菌状態のアイソレーター内での作業は、後述の実施例2、比較例1及び比較例2も同様とした。
<実施例2>
容量10mLのバイアル瓶を第1容器として用意した。実施例1と同一の第1容器の容器本体を用意した。シリコーンゴムによって形成されたゴム栓を用意した。実施例2のゴム栓の材料は、実施例1のゴム栓の材料と同一にした。実施例2のゴム栓は、板状部の厚みが厚い点において、実施例1のゴム栓と異なっており、その他において、実施例1のゴム栓と同一であった。実施例2のゴム栓において、筒状部の内側となる領域におけるゴム栓の板状部の厚みは約2.2mmであった。実施例1と同様にアルミシールを容器本体の頭部に固定し、第1容器30を気密な状態とした。以上にて、液体入り第1容器を作製した。実施例1と同様にして、栓の酸素透過量を測定したところ、1.6(mL/(day×atm))であり、実施例2の第1容器は酸素透過性を有していた。実施例2において、第1容器に収容される液体は、実施例1の液体と同様とした。実施例2において、第1容器を閉鎖する前に、第1容器のヘッドスペースを窒素で置換し、第1容器に収容された液体を窒素でバブリングした。閉鎖直後における第1容器内の酸素濃度は1.0%であった。以上により、実施例2の液体入り第1容器を準備した。
実施1と同一材料および同一構成の第2容器を用意した。液体入り第1容器と、実施例1と同一の脱酸素部材と、を第2容器内に収容し、第2容器をヒートシールで閉鎖した。第2容器の閉鎖は大気圧下の空気雰囲気で行った。閉鎖された第2容器は、約100mLの空気(酸素は約20.95mL相当)を収容していた。
<比較例1>
比較例1の液体入り組合せ容器は、第1容器の栓の板状部の厚み以外において、実施例2と同一の液体入り組合せ容器とした。比較例1のゴム栓において、筒状部の内側となる領域におけるゴム栓の板状部の厚みは3mmであった。実施例1と同様にして、第1容器の栓の酸素透過量を測定したところ、1.1(mL/(day×atm))であった。
実施1と同一材料および同一構成の第2容器を用意した。液体入り第1容器と、実施例1と同一の脱酸素部材と、を第2容器内に収容し、第2容器をヒートシールで閉鎖した。第2容器の閉鎖は大気圧下の空気雰囲気で行った。閉鎖された第2容器は、約100mLの空気(酸素は約20.95mL相当)を収容していた。
<比較例2>
比較例2の液体入り組合せ容器は、第1容器の固定具としてのアルミシールを省いた点において実施例1の液体入り組合せ容器と相違したが、その他において実施例1の液体入り組合せ容器と同一であった。
実施1と同一材料および同一構成の第2容器を用意した。液体入り第1容器と、実施例1と同一の脱酸素部材と、を第2容器内に収容し、第2容器をヒートシールで閉鎖した。第2容器の閉鎖は大気圧下の空気雰囲気で行った。閉鎖された第2容器は、約100mLの空気(酸素は約20.95mL相当)を収容していた。
<評価>
実施例及び比較例について、第2容器を閉鎖した後から、第1容器内の酸素濃度(%)および第1容器に収容された液体の酸素溶解量(mg/L)を調査した。酸素濃度および酸素溶解量は、ドイツのPreSens社の酸素量測定装置Fibox3を用いて測定した。酸素量測定装置Fibox3の使用に備え、実施例および比較例において、第1容器内のヘッドスペースとなる位置と、第1容器内の液体に浸かる位置と、にそれぞれ酸素センサを取り付けた。第2容器の外部から第1容器に向けて光を照射することにより、酸素濃度および酸素溶解量を測定した。
第1容器内の酸素濃度(%)および第1容器に収容された液体の酸素溶解量(mg/L)の測定結果を、表3~表6に示す。表3は、実施例1に関する結果である。表4は、実施例2に関する結果である。表5は、比較例1に関する結果である。表6は、比較例2に関する結果である。表3~表6における「day」の欄には、第1容器を収容した第2容器を閉鎖してから経過した日数を記載した。
表3~表6における「酸素濃度」の「値」の欄に、第1容器内の酸素濃度(%)の値を記載した。表3~表6における「酸素濃度」の「減少率」の欄に、第1容器を収容した第2容器の閉鎖時から第1容器内の酸素濃度(%)の減少率の値を記入した。表3~表6における「酸素濃度」の「減少率変動」の欄に、第1容器を収容した第2容器の閉鎖時から第1容器の酸素濃度が0.1%以下に低下するまでにおける第1容器内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差を記入した。
表3における「酸素溶解量」の「値」の欄に、第1容器に収容された液体の酸素溶解量(mg/L)の値を記入した。表3~表6における「酸素溶解量」の「減少率」の欄に、第1容器を収容した第2容器の閉鎖時から第1容器内の液体の酸素溶解量(mg/L)が0.04mg/L以下に低下するまでの減少率の値を記入した。表3~表6における「酸素溶解量」の「減少率変動」の欄に、第1容器を収容した第2容器の閉鎖時から第1容器内の液体の酸素溶解量(mg/L)が0.04mg/L以下に低下するまでにおける第1容器内の液体の酸素溶解量の減少率(%/day)の最大値と最小値との差を記入した。
酸素溶解量に用いられる減少率は、酸素濃度に用いられる減少率と同様に計算される。すなわち、酸素溶解量(mg/L)に対して用いられる「減少率」とは、対象日前日から対象日までの24時間での酸素溶解量の減少量(mg/L)の対象日前日の酸素溶解量(mg/L)に対する割合(%)を意味する。すなわち、「減少率=(対象日前日の酸素溶解量-対象日の酸素溶解量)/対象日前日の酸素溶解量)×100」となる。酸素溶解量に用いられる「減少率」の単位は(%/day)である。減少率(%/day)は、脱酸素剤の量、第1容器の容積、第2容器の容積、液体の量、第1容器の酸素透過性能等によって調節され得る。
Figure 2023098491000004
Figure 2023098491000005
Figure 2023098491000006
Figure 2023098491000007
10L:液体入り組合せ容器、10:組合せ容器、20:容器セット、21:脱酸素剤、22:脱酸素部材、22a:包装体、23:脱酸素フィルム、24:脱水剤、25:酸素検知材、26:表示部、30L:液体入り第1容器、30:第1容器、32:容器本体、33:開口部、34:栓、36:固定具、40:第2容器、40a:開口、41a:第1主フィルム、41b:第2主フィルム、41c:第1ガゼットフィルム、41d:第2ガゼットフィルム、42:容器本体、42a:収容部、42b:フランジ部、44:蓋、55:供給パイプ、56:吐出口、60:シリンジ、62:シリンダ、63:シリンダ本体、64:針、66:ピストン、67:ピストン本体、68:ガスケット、69:キャップ、70:試験容器、71:区画壁部、72:主壁部、72A:貫通穴、73:バリア性接合材、76:第1流路、77:第2流路、78:試験チャンバ、78A:供給路、78B:排出路、L:液体

Claims (35)

  1. 液体を収容し、酸素透過性を有する第1容器と、
    前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
    脱酸素剤と、を備え、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、15%/day以上の減少率で、0.1%以下まで低下する、液体入り組合せ容器。
  2. 前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
    前記第1容器は、X(mL)の前記液体を収容し、
    温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する、請求項1に記載の液体入り組合せ容器。
  3. V(mL)の容積を有し、X(mL)の液体を収容した第1容器と、
    前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
    温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する、液体入り組合せ容器。
  4. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時に、前記第1容器内の酸素濃度は1.0%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体入り組合せ容器。
  5. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、35%/day以上の減少率で、0.1%以下まで低下する、請求項1に記載の液体入り組合せ容器。
  6. 前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
    前記第1容器は、X(mL)の前記液体を収容し、
    温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.35×(V-X)+0.00093×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する、請求項1又は5に記載の液体入り組合せ容器。
  7. V(mL)の容積を有し、X(mL)の液体を収容した第1容器と、
    前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
    温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.35×(V-X)+0.00093×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する、液体入り組合せ容器。
  8. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時に、前記第1容器内の酸素濃度は5.0%以上である、請求項5~7のいずれか一項に記載の液体入り組合せ容器。
  9. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から前記第1容器の酸素濃度が0.1%以下に低下するまで、前記第1容器内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差は、5%/day以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の液体入り組合せ容器。
  10. 液体を収容し、酸素透過性を有する第1容器と、
    前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から前記第1容器の酸素濃度が0.1%以下に低下するまで、前記第1容器内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差は、5%/day以下である、液体入り組合せ容器。
  11. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、0.1%以下まで低下する、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体入り組合せ容器。
  12. 液体を収容し、酸素透過性を有する第1容器と、
    前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、0.1%以下まで低下する、液体入り組合せ容器。
  13. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器に収容された前記液体の酸素溶解量(mg/L)は、0.04mg/L以下まで低下する、請求項1~12のいずれか一項に記載の液体入り組合せ容器。
  14. 液体を収容し、酸素透過性を有する第1容器と、
    前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器に収容された前記液体の酸素溶解量(mg/L)は、0.04mg/L以下まで低下する、液体入り組合せ容器。
  15. 前記第1容器内の酸素濃度を低下させる際、前記第1容器の前記酸素透過性を有する部分と前記液体との間に気体が位置している、請求項1、2、5、6、10、12および14のいずれか一項に記載の液体入り組合せ容器。
  16. 液体を収容可能であり、酸素透過性を有する第1容器と、
    前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、15%/day以上の減少率で、0.1%以下まで低下する、容器セット。
  17. V(mL)の容積を有し、X(mL)の液体を収容可能な第1容器と、
    前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
    温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する、容器セット。
  18. 液体を収容可能であり、酸素透過性を有する第1容器と、
    前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から前記第1容器の酸素濃度が0.1%以下に低下するまで、前記第1容器内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差は、5%/day以下となる、容器セット。
  19. 液体を収容し、酸素透過性を有する第1容器と、
    前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有する第2容器と、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、0.1%以下まで低下する、容器セット。
  20. 液体を収容し、酸素を透過可能な部分を含む第1容器と、
    前記第1容器を収容し、酸素バリア性を有した第2容器と、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤と、を備え、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器に収容された前記液体の酸素溶解量(mg/L)は、0.04mg/L以下まで低下する、容器セット。
  21. 第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
    第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
    前記第1容器は液体を収容し且つ酸素透過性を有し、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、15%/day以上の減少率で、0.1%以下まで低下する、液体入り容器の製造方法。
  22. 前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
    前記第1容器は、X(mL)の前記液体を収容し、
    温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する、請求項21に記載の液体入り容器の製造方法。
  23. 第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
    第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
    前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
    前記第1容器は、X(mL)の液体を収容し、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
    温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.15×(V-X)+0.00040×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する、液体入り容器の製造方法。
  24. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時に、前記第1容器内の酸素濃度は1.0%以下である、請求項21~23のいずれか一項に記載の液体入り容器の製造方法。
  25. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、35%/day以上の減少率で、0.1%以下まで低下する、請求項21に記載の液体入り容器の製造方法。
  26. 前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
    前記第1容器は、X(mL)の前記液体を収容し、
    温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.35×(V-X)+0.00093×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する、請求項21又は25に記載の液体入り容器の製造方法。
  27. 第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
    第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
    前記第1容器は、V(mL)の容積を有し、
    前記第1容器は、X(mL)の液体を収容し、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
    温度25°および湿度60%RHの雰囲気において、酸素が、0.35×(V-X)+0.00093×X(mL/(day×atm))以上の透過量で、前記第1容器を透過する、液体入り容器の製造方法。
  28. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時に、前記第1容器内の酸素濃度は5.0%以上である、請求項25~27のいずれか一項に記載の液体入り容器の製造方法。
  29. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から前記第1容器の酸素濃度が0.1%以下に低下するまで、前記第1容器内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差は、5%/day以下である、請求項21~28のいずれか一項に記載の液体入り容器の製造方法。
  30. 第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
    前記第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
    前記第1容器は液体を収容し且つ酸素透過性を有し、
    前記第2容器は酸素バリア性を有し、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から前記第1容器の酸素濃度が0.1%以下に低下するまで、前記第1容器内の酸素濃度(%)の減少率(%/day)の最大値と最小値との差は、5%/day以下である、液体入り容器の製造方法。
  31. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、0.1%以下まで低下する、請求項21~30のいずれか一項に記載の液体入り容器の製造方法。
  32. 第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
    第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
    前記第1容器は液体を収容し且つ酸素透過性を有し、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器内の酸素濃度(%)は、0.1%以下まで低下する、液体入り容器の製造方法。
  33. 前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器に収容された前記液体の酸素溶解量(mg/L)は、0.04mg/L以下まで低下する、請求項21~32のいずれか一項に記載の液体入り容器の製造方法。
  34. 第1容器を収容した第2容器を閉鎖する工程と、
    第2容器内に収容された前記第1容器内の酸素量を調整する工程と、を備え、
    前記第1容器は液体を収容し且つ酸素透過性を有し、
    前記第2容器内の酸素を吸収する脱酸素剤が設けられ、
    前記第1容器を収容した前記第2容器の閉鎖時から14日以内に、前記第1容器に収容された前記液体の酸素溶解量(mg/L)は、0.04mg/L以下まで低下する、液体入り容器の製造方法。
  35. 前記第1容器内の酸素量を調整する工程において、酸素を透過可能な部分と前記液体との間に気体が位置している、請求項21~34のいずれか一項に記載の液体入り容器の製造方法。
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