JP2002065810A - 医療用ゴム栓 - Google Patents

医療用ゴム栓

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JP2002065810A
JP2002065810A JP2000258974A JP2000258974A JP2002065810A JP 2002065810 A JP2002065810 A JP 2002065810A JP 2000258974 A JP2000258974 A JP 2000258974A JP 2000258974 A JP2000258974 A JP 2000258974A JP 2002065810 A JP2002065810 A JP 2002065810A
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Masahito Makiura
雅仁 牧浦
Eiji Yao
英治 八尾
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Ohtsu Tire and Rubber Co Ltd
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Ohtsu Tire and Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 穿刺部の穿刺抵抗を軽減させつつ、天板の陥
没現象により、医療用容器内部の医薬品が空気中の水分
などと接触することを防止する。 【解決手段】 注射器の注射針を穿刺可能とする穿刺部
1aと医療用容器口上縁面に接するフランジ部1bとを
有する天板1と、前記天板1の下面に突出し、医療用容
器口内に嵌入される栓脚2とを備えた医療用ゴム栓10
であって、前記栓脚2が高硬度ゴム材質で形成され、前
記天板1が低硬度ゴム材質で形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品用容器の口
部に適用する医療用ゴム栓に関し、より詳しくは、医療
用容器、たとえば凍結乾燥製剤を保存するバイアルの開
口部を密封または止栓する医療用ゴム栓に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬品用容器の口部に適用する医療用ゴ
ム栓には高度の品質特性および物理的特性が要求され
る。たとえば、抗生物質などの製剤を保存するバイアル
の開口部を密封または止栓する医療用ゴム栓に要求され
る品質特性は、その用途上、第11改正日本薬局方の輸
液用ゴム栓試験に準拠すべきである。さらに、バイアル
の開口部を密封などする医療用ゴム栓には、耐ガス透過
性、非溶出性、高清浄性、耐薬品性、耐針刺性、自己密
封性、高摺動性など多くの項目が必須とされている。
【0003】医療用ゴム栓は、通常、注射針を刺通可能
とする穿刺部と医療用容器口上縁面に接するフランジ部
とを有する天板と、前記天板の下面に突出し、医療用容
器口内に嵌入される栓脚とを備えて構成される。
【0004】バイアルの開口部を密封または止栓する医
療用ゴム栓の場合は、その使用方法は下記に示すもので
ある。すなわち、バイアル内に所定量の薬剤を充填し、
バイアルの開口部に医療用ゴム栓を半打栓状に嵌入した
のち、凍結乾燥庫内の各棚に多数本整列して入れ、所定
の条件(温度、真空度、時間)で凍結真空乾燥したの
ち、所定温度で所定時間乾燥し、凍結乾燥庫棚の押圧板
にて医療用ゴム栓を押圧し、バイアルの口部に医療用ゴ
ム栓を完全に嵌入させて施栓する。
【0005】凍結真空乾燥用製剤は、水分および空気と
の接触を防止させる必要があり、密封保存中に外部から
の水分および空気などの侵入を遮断し、あるいはバイア
ル内部の気密性を維持するために、医療用ゴム栓の材料
としてイソブチレン・イソプレン共重合体(ブチルゴ
ム)などが一般に使用されている。そして、薬剤を患者
に投与する際、栓体の穿刺部に、薬液注入用の注射針を
穿刺して使用する。
【0006】しかし、薬液注入用の注射器の注射針を天
板の穿刺部に穿刺して使用する際、医療用ゴム栓を打破
する時の穿刺抵抗が大きい場合がある。注射器の注射針
が天板の穿刺部を穿刺した際の穿刺抵抗が大きいと、穿
刺時の摩擦により、天板の穿刺部に陥没が発生する傾向
があり、その結果、医療用容器口上縁面に接しているフ
ランジ部が隆起し、フランジ部と医療用容器口上縁面と
の密着性が阻害され、間隙が生じるおそれがある。かか
る場合にあっては、フランジ部と医療用容器口上縁面と
の間隙から空気もしくは空気中に存在する水分がバイア
ル内に侵入し、凍結真空乾燥用製剤を害することにな
る。
【0007】特に、薬液注入用の注射器の注射針は安全
性の問題などから、プラスチックにより構成される場合
があり、プラスチック材料で形成された注射器の注射針
の直径は3〜4mmと太い傾向にある。そのため、この
ような注射針で天板の穿刺部を穿刺した場合、ゴム栓を
打破する時の穿刺抵抗は特に大きく、そのため天板部分
に陥没が発生する蓋然性も大きくなる。
【0008】そのため、医療用ゴム栓に使用されるゴム
組成物であるブチルゴムなどの重合度を上昇されるなど
してゴム組成物のゴム硬度を上昇させることで、上述の
天板の陥没現象を防止することも提案された。
【0009】しかし、ゴム組成物のゴム硬度を上昇させ
ると、注射器の注射針が穿刺部を通過する際の抵抗も増
加することから、医療用ゴム栓の使用性が悪化すること
になる。さらに、一般的にはゴム組成物のゴム硬度を上
昇させた場合にあっては、注射薬使用時薬液吸引のため
にバイアルのゴム栓の穿刺部に注射針を刺す時にゴム片
が落下し、いわゆる針刺フラグメントを発生する可能性
が上昇し、針刺フラグメントが医療用容器中の凍結真空
乾燥用製剤に混入した場合は非常に問題である。
【0010】これらを解決する手段として、注射針にジ
メチルシロキサンによるシリコン塗布を行うことにより
穿刺抵抗を小さくし、穿刺時の摩擦による穿刺部の陥没
を防止させる技術も提案された。
【0011】しかし、注射針にシリコン塗布を行ってい
ると、注射針の先端が、内容液に接した時にシリコンが
微粒子となってバイアル内の内容液に溶け出すため、シ
リコン塗布が問題となる。
【0012】一方、注射器の注射針を穿刺可能とする穿
刺部に、あらかじめ凹部を設け、該凹部からゴム栓底面
に向けて貫通している穿刺孔を設けた医療用ゴム栓が提
案されている。穿刺孔は、直径1mm位の金属針を用い
て、ゴム栓を貫通させたものである。その程度の穿刺で
あるので、該穿刺孔の孔径はゴム特有の自己シール性に
より、表面から肉眼で容易に確認されない程に小さい。
注射器の注射針が穿刺部を通過する際は、予め設けられ
た穿刺孔を通過することで抵抗も減少し、穿刺時の摩擦
による天板の陥没を防止できることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、穿刺孔は、注
射針を刺さない状態では、ゴムの自己シール性によりあ
る程度閉塞した状態にあるものの、穿刺孔を通過して若
干量の空気もしくは水分が侵入するため、気密性が高度
に要求される医薬品が医療用容器内に保存されている場
合にあっては、医療用容器内の気密性を高度に担保する
観点からは不十分である。さらに、穿刺孔は極小径に設
けられたので、注射器の注射針を穿刺部に穿刺させる
際、穿刺孔に注射針を貫通させるのに高度の熟練を要し
ていた。
【0014】本発明は上述の問題を解決するものであ
り、穿刺部の抵抗を増加させることを防止しつつ、天板
の陥没現象により、医療用容器内部の医薬品が空気中の
水分などと接触することを防止することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る医療用ゴム
栓は、請求項1に記載のように、注射器の注射針を穿刺
可能とする穿刺部と医療用容器口上縁面に接するフラン
ジ部とを有する天板と、前記天板の下面に突出し、医療
用容器口内に嵌入される栓脚とを備えた医療用ゴム栓で
あって、前記栓脚が高硬度ゴム材質で形成され、前記天
板が低硬度ゴム材質で形成されている医療用ゴム栓であ
る。
【0016】注射器の注射針を穿刺可能とする穿刺部が
あるから、注射薬使用時に薬液吸入のために医療用容器
のゴム栓に注射器の注射針を刺すことができ、天板にフ
ランジ部を有するから医療用ゴム栓が医療用容器口の上
縁面にて係止できると同時に、フランジ部と医療用容器
口上縁面との間の密着性にて空気および空気中の水分の
侵入を防止しバイアル内部の密閉度を担保できるのであ
る。また、天板の下面に突出し、医療用容器口内に嵌入
される栓脚を有するから、医療用ゴム栓を医療用容器に
強固に固定できるのである。
【0017】本発明に係る医療用ゴム栓は、前記天板が
低硬度ゴム材質で形成されているから、天板を形成する
ゴム材質の剛性は低く柔軟性が高い性質を有する。した
がって、注射器の注射針を穿刺した場合において針刺し
抵抗は低くなる。その一方で前記栓脚が高硬度ゴム材質
で形成されているから、強固に医療用ゴム栓を医療用容
器に固定でき天板の陥没現象を起こす可能性が低くな
る。
【0018】また、本発明に係る医療用ゴム栓は、請求
項2に記載のように、請求項1記載の発明において、高
硬度ゴム材質の硬度が前記低硬度ゴム材質の硬度より
も、JIS規格K6301におけるスプリング硬さで、
5〜10(JIS−A)高い医療用ゴム栓である。
【0019】高硬度ゴム材質の硬度と前記低硬度ゴム材
質の硬度との差が、JIS規格K6301におけるスプ
リング硬さで5(JIS−A)未満の場合は、穿刺部を
通過する注射器の注射針の抵抗が従来とほぼ同じ程度で
あり、そのため穿刺部を通過する注射針の摩擦力で天板
に陥没現象が発生する可能性がある。一方、高硬度ゴム
材質の硬度と前記低硬度ゴム材質の硬度との差が、JI
S規格K6301におけるスプリング硬さで10(JI
S−A)より大きい場合は、穿刺部を通過する注射器の
注射針の摩擦抵抗は軽減できるものの、脚部の高硬度に
よりバイアル瓶に打栓する際の作業性が悪化する。
【0020】また、本発明に係る医療用ゴム栓は、請求
項3に記載のように、請求項1または2記載の発明にお
いて、前記穿刺部の厚みが、前記フランジ部の厚みより
も厚い医療用ゴム栓である。
【0021】穿刺部の厚みを増加させることで、穿刺部
を通過する注射針の方向に穿刺部は移動し難くなり、注
射器の注射針を穿刺した場合においても天板は陥没現象
を起こす可能性は低くなる。なお、前記穿刺部の厚みは
前記フランジ部の厚みよりも1mm以上3mm以下厚い
ことが好適である。1mmよりも低い場合にあっては、
陥没現象の抑制効果としては不十分であり、3mmより
も高い場合にあっては、穿刺部の厚みが増加し過ぎであ
り、穿刺部を通過する注射器の注射針の摩擦抵抗が大き
いからである。
【0022】また、穿刺部の厚みは2mm以上5mm以
下であることが好適である。2mmよりも低い場合にあ
っては、穿刺部の厚みが薄すぎて物理的外力に対する耐
久性に乏しいからであり、5mmよりも高い場合にあっ
ては、穿刺部の厚みが増加し過ぎだからである。
【0023】また、本発明に係る医療用ゴム栓は、請求
項4に記載のように、請求項1または3記載の発明にお
いて、前記高硬度ゴム材質の硬度が、JIS規格K63
01におけるスプリング硬さで40〜60(JIS−
A)であり、前記低硬度ゴム材質の硬度が、JIS規格
K6301におけるスプリング硬さで30〜50(JI
S−A)である医療用ゴム栓である。
【0024】前記栓脚を形成する高硬度ゴム材質の硬度
は、40(JIS−A)以上60(JIS−A)以下の
ものが好適である。前記栓脚を形成する高硬度ゴム材質
の硬度が、40(JIS−A)よりも低い場合にあって
は、医療用ゴム栓を医療用容器に強固に固定できなくな
り、一方、60(JIS−A)よりも高い場合にあって
は前記栓脚の剛性が高くなりすぎ、その結果前記栓脚の
医療用容器口に対する密着性が減少し、やはり医療用ゴ
ム栓を医療用容器に固定する観点から問題があるからで
ある。また、前記天板を形成する低硬度ゴム材質の硬度
は、30(JIS−A)以上50(JIS−A)以下の
ものが好適である。
【0025】前記天板を形成する低硬度ゴム材質の硬度
が、30(JIS−A)よりも低い場合にあっては、天
板の柔軟性が優先されすぎて物理的外力に対する耐久性
が減少するからであり、一方、50(JIS−A)より
も高い場合にあっては、穿刺部を通過する注射器の注射
針の摩擦抵抗の軽減が不十分だからである。
【0026】また、本発明に係る医療用ゴム栓は、請求
項5に記載のように、請求項1〜4のいずれか1項記載
の発明において、前記高硬度ゴム材質が、ブチルゴムを
主成分とするゴム材質で形成されるとともに、前記低硬
度ゴム材質が、ブチルゴムを主成分とするゴム材質で形
成される医療用ゴム栓である。
【0027】このように、高硬度ゴム材質および低硬度
ゴム材質を選択し、かつそれらの硬度を設定すること
で、穿刺部の抵抗を増加防止と、天板部の陥没現象防止
を的確に達成できるのである。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る医療用ゴム栓
10の一具体例の概略断面図である。医療用ゴム栓10
は、天板1と栓脚2とを備えて構成される。天板1は、
注射器の注射針を穿刺可能とする穿刺部1aと医療用容
器4の容器口の上縁面4aに接するフランジ部1bとを
有する。栓脚2は、天板1の下面に突出し、医療用容器
口内に嵌入される。また、栓脚2は略円筒状形状を有
し、切り欠き7が設けられている。穿刺部1aの穿刺方
向の厚みd2は、フランジ部1bの穿刺方向の厚みd1
と同一の厚みに設定されている。なお、穿刺部1aの穿
刺方向の厚みd2は、フランジ部1bの穿刺方向の厚み
d1と全く同一の厚みである必要性はなく、厚みd1と
厚みd2との間に多少の差があっても良い。
【0029】図2は、医薬品を充填した容器4の開口部
4bを医療用ゴム栓10で封止した状態を示している。
本実施形態では、容器4として、凍結乾燥製剤を保存す
るバイアルを使用している。容器4内に収容する液体医
薬品が注射用薬液の場合には、天板1の穿刺部1aに注
射器の注射針を刺し、医療用ゴム栓10を開けずに注射
器に注射用薬液を吸入するようにしている。このよう
に、医療用ゴム栓10を開けないのは、容器4内の注射
用薬液に異物が混入するのでそれを避けるためである。
【0030】図3は、医療用ゴム栓10を用いて、容器
4内に充填した医薬品原料薬剤を除菌状態で濃縮乾燥ま
たは凍結真空乾燥(以下、濃縮または凍結真空乾燥とい
う)に付している状態を示す概略断面図である。
【0031】栓脚2の先端側から栓脚2の中途位置まで
を容器4の開口部4b内に嵌挿し、医療用ゴム栓10を
半打栓状態に保持している。このとき、切り欠き7の最
深部7aは開口部4b上縁より上に位置するように設計
してあるので、該切り欠き7が容器内外を連通する通気
路を形成し、原料薬液からの蒸気は容器4内から外部へ
排気される。
【0032】医薬品が完全に乾燥した後、当該濃縮・乾
燥機槽または凍結真空乾燥機付槽内において直ちに医療
用ゴム栓10を打栓器などにより白抜き矢印方向に押圧
すると、医療用ゴム栓10全体が開口部4b内に嵌挿さ
れる。
【0033】したがって、医療用ゴム栓10は、滅菌環
境下の濃縮・乾燥機槽または凍結真空乾燥機付槽内にお
いて、乾燥後直ちに簡単な操作すなわちワンアクション
で完全な密封封止および固定ができる。医療用ゴム栓1
0の押圧は、凍結乾燥庫棚のステンレス鋼製の押圧板に
よって行なわれる。この時の施栓の条件は、バイアル1
個当たり押圧力1〜5kg、押圧時間1〜10分、押圧
回数1〜2回程度が一般的である。この後キャップ5を
装着する。
【0034】図2に示されるように、医療用ゴム栓10
が開口部4b内にはめ込まれると、フランジ1bの下面
が、医療用容器4の容器口の上縁面4aに密着して開口
部4bを完全に封止する。キャップ5は開口部4bの外
周に係合固着して開口部4bと医療用ゴム栓10を内包
して両者を一体に固定する。医療用ゴム栓10の施栓が
完了したバイアルは、凍結乾燥庫内から取り出され、次
工程に搬送してゴム栓にキャップ5を巻締めて、止栓し
製剤を得る。
【0035】本発明に係る医療用ゴム栓10の天板1に
は、医療用ゴム栓の洗浄、滅菌および乾燥時にゴム栓と
ゴム栓との密着防止効果を持たせるための突起物を設け
ることも可能である。突起物の形状や設ける位置につい
ては、特に限定されておらず、たとえば、T字状突起
物、蒲鉾状突起物など種々の突起物を設けることが可能
である。
【0036】突起物の断面形状は平板と接触する際、線
接触する形状であることが好ましい。線接触する形状で
ある場合、頂部が稜線を形成する。より具体的には、平
面図にて長方形状で、断面が略三角形状の突起物を設け
ることができる。係る場合、ゴム栓の天面部をステンレ
ス製押圧板で押圧する工程において、押圧板と突起物と
は線接触することになる。また、突起物の断面形状は平
板と接触する際に線接触する形状として、たとえば五角
形状を採用することができる。さらに、突起物は平面図
にて長方形に限らず正方形、楕円形なども採用すること
ができる。また、平面図にて円形状で、断面が円錐形状
の突起物を設けることができる。
【0037】突起物は天面部に複数、たとえば3〜15
個、好ましくは3〜8個配置され、押圧板でゴム栓を嵌
入する場合、所定の荷重を保持できるようにすることが
望ましい。突起が3個より少ないとゴム栓の天板とキャ
ップとの密着はある程度防止し得るが、天板と押圧板と
の密着性に劣る傾向があり、一方、15個を超えるとゴ
ム栓とキャップとの密着性が不十分となる場合があるか
らである。
【0038】なお、製剤をバイアル内で凍結真空乾燥
後、凍結乾燥庫内でバイアル開口部4bに半打栓のまま
保持された医療用ゴム栓10を、凍結乾燥庫棚の押圧板
によりバイアル口内に完全に嵌入して施栓する際、天板
1が押圧板に密着しないようにするために、突起物を円
弧状に設けることが好適である。
【0039】本発明の容器4の材質は、ガラスやプラス
チックなど、この種分野において公知のものを用いるこ
とができる。
【0040】本発明に係る医療用ゴム栓10における栓
脚2は高硬度ゴム材質で形成され、一方、天板1は低硬
度ゴム材質で形成されている。高硬度ゴム材と低硬度ゴ
ム材質は、上述したゴム材料においてそれぞれ異なる材
料を使用することができる。また、天板1と栓脚2に使
用されるゴム材質を同一種類のものを使用することも可
能であるが、係る場合は、栓脚2に使用されるゴム材質
が高硬度ゴム材質で、天板1に使用されるゴム材質が低
硬度ゴム材質で形成されるように調整する必要がある。
高硬度ゴム材質の硬度が前記低硬度ゴム材質の硬度より
も、JIS規格K6301におけるスプリング硬さで、
5〜10(JIS−A)高いことが好適である。
【0041】ゴム材質の硬度は、JIS規格におけるK
6301で測定を行ない、具体的にはスプリング式硬さ
試験A形で測定を行なった。
【0042】注射器の注射針を穿刺部に対して斜め方向
から穿刺した場合、注射針の先端が栓脚の壁面に接触す
る可能性がある。注射針の先端が栓脚の壁面に接触し、
そのとき注射針の先端に圧力がかかると、注射針の先端
が栓脚の壁面を削り取り、コアリングが発生することも
ありうる。コアリングが医療用容器に入り、医療用容器
内の医薬品と混入するとたいへん問題である。特に、栓
脚がブチルゴムで形成されている場合には、注射針の先
端が栓脚の壁面を削り取りコアリングが発生する可能性
が高くなる。
【0043】そこで、注射針の先端が栓脚の壁面に接触
したとしても、注射針の先端が栓脚の壁面を削り取りコ
アリングが発生することを防止するため、以下に示す医
療用ゴム栓を構成することも可能である。
【0044】すなわち、注射器の注射針を穿刺可能とす
る穿刺部と医療用容器口上縁面に接するフランジ部とを
有する天板と、前記天板の下面に突出し、医療用容器口
内に嵌入される栓脚とを備えた医療用ゴム栓であって、
前記栓脚がポリイソプレンを主体とする高硬度ゴム材質
で形成され、前記天板が低硬度ゴム材質で形成されてい
る医療用ゴム栓である。
【0045】前記栓脚を形成する材質として、ポリイソ
プレンを主体とする高硬度ゴム材質を用いた。ポリイソ
プレンは引裂きに対する抵抗力が強いため、注射針の先
端が栓脚の壁面に接触したとしてもコアリングが発生す
ることを防止できるからである。
【0046】ポリイソプレンを主体とする高硬度ゴム材
質において、ポリイソプレンは30〜100重量部であ
ることが望ましい。30重量部よりも少ない場合は、引
裂きに対する抵抗力が弱いからである。ポリイソプレン
を主体とする高硬度ゴム材質において、ブチルゴムを含
有させることが可能である。ブチルゴムは0〜70重量
部含有させることが可能である。
【0047】テルモ21G×1 1/2の注射針を用
い、穿刺部に対して斜め方向から注射針を穿刺して、注
射針の先端を栓脚の壁面に接触させる試験を行なった。
注射針を穿刺して注射針の先端を栓脚の壁面に接触させ
る試行は、医療用ゴム栓1個について5回行なった。そ
して、医療用ゴム栓5個についてそのような試験を繰り
返した。ブチルゴムが100重量部で形成された天板を
有する第一の医療用ゴム栓と、ポリイソプレンゴムが2
0重量部でブチルゴムが80重量部で形成された天板を
有する第二の医療用ゴム栓と、ポリイソプレンゴムが3
0重量部でブチルゴムが70重量部で形成された天板を
有する第三の医療用ゴム栓と、ポリイソプレンゴムが1
00重量部で形成された天板を有する第四の医療用ゴム
栓とについて、それぞれ試験を行なった。第一の医療用
ゴム栓と第二の医療用ゴム栓では、コアリングの発生が
見られた。第三の医療用ゴム栓と第四の医療用ゴム栓で
は、コアリングの発生が見られなかった。
【0048】テルモ21G×1 1/2の注射針を用
い、穿刺部に対して斜め方向から注射針を穿刺して、注
射針の先端を栓脚の壁面に接触させ、かかる場合、栓脚
の引裂きに対する抵抗(引裂抵抗指数)を測定した。第
一の医療用ゴム栓における引裂抵抗指数を基準値100
とすると、第二の医療用ゴム栓の引裂抵抗指数は10
5、第三の医療用ゴム栓の引裂抵抗指数は120、第四
の医療用ゴム栓の引裂抵抗指数は320であった。
【0049】図4は本発明に係る医療用ゴム栓10の別
実施形態の概略断面図である。図4(イ)では、天板1
において、穿刺部1aの穿刺方向の厚みd2は、フラン
ジ部1bの穿刺方向の厚みd1よりも厚くなっている。
穿刺部1aの穿刺方向の厚みd2は3mmであり、一
方、フランジ部1bの穿刺方向の厚みd1は2mmであ
る。したがって、穿刺部1aの穿刺方向の厚みd2は、
フランジ部1bの穿刺方向の厚みd1よりも1mm厚
い。かかる場合にあっては、穿刺部1aの厚みを増加さ
せることで、穿刺部1aを通過する注射針の方向に穿刺
部1aは移動し難くなり、注射器の注射針を穿刺した場
合においても天板1は陥没現象を起こす可能性は低くな
る傾向にある。
【0050】一方、図4(ロ)では、天板1において、
穿刺部1aの穿刺方向の厚みd2は、フランジ部1bの
穿刺方向の厚みd1よりも薄くなっている。穿刺部1a
の穿刺方向の厚みd2は2mmであり、一方、フランジ
部1bの穿刺方向の厚みd1は3mmである。したがっ
て、穿刺部1aの穿刺方向の厚みd2は、フランジ部1
bの穿刺方向の厚みd1よりも1mm薄い。かかる場合
にあっては、穿刺部1aの厚みを減少させることで、穿
刺部1aを通過する注射針の摩擦力を大幅に減少させる
ことが可能になる。
【0051】下記に示す表1は、本発明に係る医療用ゴ
ム栓10の穿刺抵抗および陥没抵抗を調べた実験結果で
ある。医療用ゴム栓は径の大きさ19mmのものを使用
した。穿刺抵抗は、注射器の注射針としてテルモ21G
×1 1/2の注射針を穿刺部1aに穿刺することによ
り調べた。また、陥没抵抗は、径の大きさ2mmのステ
ンレス棒を、穿刺部1aに押圧することで天板1が穿刺
方向にどの程度陥没するかによって調べた。
【0052】
【表1】
【0053】表1における比較例1は、天板1と栓脚2
とを形成するゴム材質は同一硬度を有する同一種類のゴ
ム材質である。比較例1における天板1と栓脚2との硬
度は47(JIS−A)であった。比較例2は、天板1
の硬度は47(JIS−A)であり、栓脚2の硬度は5
0(JIS−A)であった。比較例3は、天板1の硬度
は47(JIS−A)であり、栓脚2の硬度は60(J
IS−A)であった。
【0054】一方、実施例1は、天板1の硬度は47
(JIS−A)であり、栓脚2の硬度は54(JIS−
A)であった。また、実施例2は、天板1の硬度は42
(JIS−A)であり、栓脚2の硬度は52(JIS−
A)であった。
【0055】比較例1における穿刺抵抗を100%、そ
して同様に比較例1における陥没抵抗を100%とし
て、比較例2、比較例3、実施例1、実施例2における
穿刺抵抗および陥没抵抗を測定した。なお、穿刺抵抗は
低い方が相対的に良好であり、陥没抵抗は高い方が相対
的に良好である。
【0056】比較例1および比較例2では、穿刺抵抗は
低く抑えられる傾向にあるが、陥没抵抗に対して抵抗が
著しく低いことが理解できる。比較例3では、陥没抵抗
は高い数値を示し極めて良好であるが、穿刺抵抗が大き
く実際の使用にあたっては困難である。
【0057】一方、実施例1および実施例2では、穿刺
抵抗が低く抑えられ、しかも陥没抵抗も高く、穿刺抵抗
および陥没抵抗の双方においてバランスのとれた極めて
良好であることが判明した。
【0058】なお、今回開示された実施の形態はすべて
の点で例示であって制限的なものではないと考えられる
べきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特
許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の
意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意
図される。
【0059】
【発明の効果】注射器の注射針が穿刺される際、穿刺部
の穿刺抵抗の増加を防止しつつ、天板の陥没現象減少に
より、バイアル内部の医薬品が空気中の水分などと接触
することを防止することができ、操作性、安全性におい
て図りし得ない利益をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る医療用ゴム栓を説明する概略断
面図である。
【図2】 医療用容器の開口部を本発明に係る医療用ゴ
ム栓で封止した状態を示している概略断面図である。
【図3】 医療用ゴム栓を用いて、医療用容器内に充填
した医薬品原料薬剤を除菌状態で濃縮乾燥または凍結真
空乾燥に付している状態を示す概略断面図である。
【図4】 本発明に係る医療用ゴム栓を説明する概略断
面図で、そのうち(イ)は別実施形態を説明する図で、
(ロ)も別実施形態を説明する図である。
【符号の説明】
1 天板、1a 穿刺部、1b フランジ部、2 栓
脚、4 容器、4b 開口部、5 キャップ、7 切り
欠き、10 医療用ゴム栓。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 注射器の注射針を穿刺可能とする穿刺部
    と医療用容器口上縁面に接するフランジ部とを有する天
    板と、前記天板の下面に突出し、医療用容器口内に嵌入
    される栓脚とを備えた医療用ゴム栓であって、 前記栓脚が高硬度ゴム材質で形成され、前記天板が低硬
    度ゴム材質で形成されている医療用ゴム栓。
  2. 【請求項2】 高硬度ゴム材質の硬度が前記低硬度ゴム
    材質の硬度よりも、JIS規格K6301におけるスプ
    リング硬さで、5〜10(JIS−A)高い請求項1記
    載の医療用ゴム栓。
  3. 【請求項3】 前記穿刺部の厚みが、前記フランジ部の
    厚みよりも厚い請求項1または2記載の医療用ゴム栓。
  4. 【請求項4】 前記高硬度ゴム材質の硬度が、JIS規
    格K6301におけるスプリング硬さで40〜60(J
    IS−A)であり、前記低硬度ゴム材質の硬度が、JI
    S規格K6301におけるスプリング硬さで30〜50
    (JIS−A)である請求項1または3記載の医療用ゴ
    ム栓。
  5. 【請求項5】 前記高硬度ゴム材質が、ブチルゴムを主
    成分とするゴム材質で形成されるとともに、前記低硬度
    ゴム材質が、ブチルゴムを主成分とするゴム材質で形成
    される請求項1〜4のいずれか1項記載の医療用ゴム
    栓。
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