JP7465554B2 - ガスバリア層転写フィルム、物品の製造方法 - Google Patents

ガスバリア層転写フィルム、物品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7465554B2
JP7465554B2 JP2021050471A JP2021050471A JP7465554B2 JP 7465554 B2 JP7465554 B2 JP 7465554B2 JP 2021050471 A JP2021050471 A JP 2021050471A JP 2021050471 A JP2021050471 A JP 2021050471A JP 7465554 B2 JP7465554 B2 JP 7465554B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas barrier
barrier layer
transfer film
layer
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021050471A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022148698A (ja
Inventor
祐仁 古屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oike and Co Ltd
Original Assignee
Oike and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oike and Co Ltd filed Critical Oike and Co Ltd
Priority to JP2021050471A priority Critical patent/JP7465554B2/ja
Publication of JP2022148698A publication Critical patent/JP2022148698A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7465554B2 publication Critical patent/JP7465554B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、ガスバリア層転写フィルム、物品の製造方法に関する。より具体的には、本発明は、種々の基材(たとえば積層時の高温処理に耐えられない基材)に対してもガスバリア性を付与することのでき、かつ、転写したガスバリア層を保護することのできるガスバリア層転写フィルム、物品の製造方法に関する。
従来、食品包装等の分野では、内容物を外気の影響から保護するためにガスバリア性を付与した包装材料が用いられている。樹脂基材に、真空蒸着法を用いてガスバリア層を積層することは、ガスバリア層形成方法の一つとして広く使用されている。これらの包装材料は、比較的安価に生産でき、連続生産が可能である。
しかし、真空蒸着法によれば、基材が高真空状態とされる。また、ガスバリア層の形成時に基材が高熱にさらされる。そのため、高真空や高熱に対して反応性や脆弱性を示す基材(たとえばセロファン(PT)のような高真空状態で脆弱化する基材や、ポリエチレン(PE)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、のような比較的耐熱性が低い基材)は、ガスバリア層を積層できないという問題があった。
そこで、任意のフィルム、表示素子、その他各種のデバイスに対してガスバリア性を付与することを目的としたガスバリア層転写フィルムが提案されている(特許文献1)。
特開2018-188586号公報
しかしながら、特許文献1に記載のガスバリア層転写フィルムは、ガスバリア層を転写する対象が限定される。また、転写されたガスバリア層は、保護されていない。他方、昨今の包装業界の事情を鑑みると、蒸着は困難ではあるがバリア性が求められる環境対応基材のニーズは多くあると考えられ、また包装業界は環境問題を契機に環境対応基材へのガスバリア性付与のニーズは増加傾向にあり、その中でも紙やバイオ基材へのガスバリア層積層に関する市場要望は高まる一方であるが、特許文献1に記載のガスバリア層転写フィルムではその実現は困難であると言える。
本発明は、このような従来の発明に鑑みてなされたものであり、種々の基材(たとえば積層時の高温処理に耐えられず、高熱に対して反応性や脆弱性を示す基材)に対してもガスバリア性を付与することのでき、かつ、転写したガスバリア層を保護することのできるガスバリア層転写フィルム、物品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、基材上に、非プロトン性極性溶媒を含むポリウレタンディスパージョンを乾燥させて形成したウェットコート層を積層することにより、基材から剥離させやすく、転写の際にガスバリア層のクラック発生を抑制する為の保護機能を有することを見いだし、本発明を完成させた。すなわち、上記課題を解決する本発明のガスバリア層転写フィルム、物品の製造方法には、以下の構成が主に含まれる。
(1)樹脂基材と、前記樹脂基材に積層されたウェットコート層と、前記ウェットコート層に積層されたガスバリア層と、を備え、前記ウェットコート層は、ポリウレタン樹脂であり、非プロトン性極性溶媒を含むポリウレタンディスパージョンを乾燥することにより得られる、ガスバリア層転写フィルム。
このような構成によれば、ガスバリア層転写フィルムは、種々の基材(たとえば積層時の高温処理に耐えられず、高熱に対して反応性や脆弱性を示す基材)に対してもガスバリア性を付与することができる。また、ガスバリア層転写フィルムは、転写したガスバリア層を保護することができる。特に、ガスバリア層転写フィルムは、ウェットコート層だけで、離型機能とガスバリア層保護機能とを両立することができる。そのため、ガスバリア層転写フィルムは、製造コストを削減することができ、比較的安価に製品を提供することができる。また、ガスバリア層転写フィルムは、接着層や被転写層を自由に選択することができる。そのため、ガスバリア層転写フィルムは、様々な形態のガスバリア材を提供することができる。さらに、ガスバリア層転写フィルムは、生分解性フィルムや素材などの非プラスチック基材に対してガスバリア性を付与することもできる。
(2)前記ガスバリア層は、ケイ素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)記載のガスバリア層転写フィルム。
このような構成によれば、ガスバリア層転写フィルムは、ガスバリア層において、緻密な無機連続膜を形成することができ、ガスバリア性が優れる。
(3)前記ガスバリア層は、アルミニウムまたは酸化珪素または酸化アルミニウムである、(1)または(2)記載のガスバリア層転写フィルム。
このような構成によれば、ガスバリア層転写フィルムは、製造時にガスバリア性能を制御しやすい。
(4)前記ガスバリア層は、真空蒸着法により形成された層である、(1)~(3)のいずれかに記載のガスバリア層転写フィルム。
このような構成によれば、ガスバリア層転写フィルムは、ガスバリア層において、無機粒子同士の高い凝集力が得られ、より緻密な無機連続膜が形成されやすい。
(5)前記樹脂基材は、濡れ性が46dyne/cm2以下である、(1)~(4)のいずれかに記載のガスバリア層転写フィルム。
このような構成によれば、ガスバリア層転写フィルムは、転写時にウェットコート層を剥離しやすい。
(6)(1)~(5)のいずれかに記載のガスバリア層転写フィルムの前記ガスバリア層に、接着層を設ける工程と、前記接着層が被転写基材に接触するよう、前記ガスバリア層転写フィルムを前記被転写基材に押し付ける工程と、前記樹脂基材を剥離除去する工程と、を有する、ガスバリア性を有する物品の製造方法。
このような構成によれば、直接ガスバリア層を積層できない被転写基材に、ガスバリア層を付与された物品を得られる。
(7)(6)記載の被転写基材は、樹脂フィルムまたは包装材である、(6)記載の物品の製造方法。
このような構成によれば、直接ガスバリア層を積層できない樹脂フィルムまたは包装材に、ガスバリア層を付与することができる。
本発明によれば、種々の基材(たとえば積層時の高温処理に耐えられず、高熱に対して反応性や脆弱性を示す基材)に対してもガスバリア性を付与することのでき、かつ、転写したガスバリア層を保護することのできるガスバリア層転写フィルム、樹脂フィルム、包装材を提供することができる。
<ガスバリア層転写フィルム>
本発明の一実施形態のガスバリア層転写フィルム(以下、転写フィルムともいう)は、樹脂基材と、樹脂基材に積層されたウェットコート層と、ウェットコート層に積層されたガスバリア層とを備える。ウェットコート層は、ポリウレタン樹脂である。ポリウレタン樹脂は、非プロトン性極性溶媒を含むポリウレタンディスパージョンを乾燥することにより得られる。以下それぞれの構成について説明する。
(樹脂基材)
樹脂基材は特に限定されない。一例を挙げると、樹脂基材は、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリルニトリル、ポリイミド等の高分子フィルムである。
本実施形態の樹脂基材は、濡れ性が46dyne/cm2以下であることが好ましい。濡れ性が上記範囲内である樹脂基材が用いられることにより、転写フィルムは、転写時にウェットコート層を剥離しやすい。また、濡れ性が上記範囲にある樹脂基材は、たとえば、TAK製F68(12μm PET)、フタムラ化学製FOA(20μm OPP)等である。本実施形態において、濡れ性は、関東科学製ぬれ張力試験用混合液を用いて、JIS K 6768(プラスチック-フィルム及びシート-ぬれ張力試験方法)に基づいて測定することができる。
一般に、基材の濡れ性が高い場合、ウェットコート層のはじき等が発生しにくく、比較的欠陥の少ない緻密な層が得られやすい。しかしながら、基材の濡れ性が高い場合、基材とウェットコート層との密着力も上がるため、基材とウェットコート層との層間剥離が困難となり得る。一方、基材の濡れ性が低い場合、ウェットコート層のはじき等が発生して、ウェットコート層の形成が困難となり得る。これに対し、本実施形態の転写フィルムは、樹脂基材の濡れ性が46dyne/cm2以下である場合であっても、後述するウェットコート層が、非プロトン性極性溶媒を含むポリウレタンディスパージョンを乾燥することにより得られるため、「剥離力」と「緻密なウェットコート層」とが両立され得る。
樹脂基材の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、樹脂基材の厚みは、12μm以上であることが好ましい。また、樹脂基材の厚みは、200μm以下であることが好ましい。樹脂基材の厚みが上記範囲内であることにより、樹脂基材は、加工時のフィルム搬送が容易であり、フィルムの折れ等が生じにくい。また、樹脂基材は、連続加工性が優れる。さらに、得られるガスバリア層転写フィルムは、適度な剛性や強度を示し得る。
(ウェットコート層)
ウェットコート層は、樹脂基材からガスバリア層を剥離し、かつ、ガスバリア層の機能を損ねないように保護する目的で設けられる。ウェットコート層は、樹脂基材に積層される。ウェットコート層は、樹脂基材の片面に設けられてもよく、両面に設けられてもよい。
ウェットコート層は、ポリウレタン樹脂からなり、これにいわゆる「ハジキ」を解消できる物質を含ませれば良く、一般的に低表面張力を有する溶媒が使用可能であるが特に非プロトン性極性溶媒を含ませることが好ましい。非プロトン性極性溶媒を含むポリウレタンディスパージョンを乾燥することにより当該ウェットコート層が得られる。ここで、樹脂基材の濡れ性に関連して上記したとおり、「剥離力」と「緻密なウェットコート層」との両立には、所定の濡れ性(好適には46dyne/cm2以下)を示す樹脂基材上にウェットコート層を設ける際にハジキが起こらないように、塗材であるポリウレタンディスパージョンには非プロトン性極性溶媒が含まれている必要がある。これにより、得られる転写フィルムは、「剥離力」と「緻密なウェットコート層」とが両立され得る。なお、もし仮に、ウェットコート層が、非プロトン性極性溶媒を含むポリウレタンディスパージョンを乾燥する以外の方法(たとえば、ポリウレタンディスパーションにプロトン性極性溶媒を添加し乾燥することによりウェットコート層を設ける方法)によって設けられる場合には、樹脂基材との濡れ性の違いからへこみやハジキが起こり、得られる転写フィルムは、部分的に、あるいは全面にムラが生じ適切な転写ができない。
非プロトン性極性溶媒を含むポリウレタンディスパージョンは特に限定されない。一例を挙げると、非プロトン性極性溶媒を含むポリウレタンディスパージョンは、DSM(株)製NeoRez R-960等である。
非プロトン性極性溶媒は特に限定されない。一例を挙げると、非プロトン性極性溶媒は、N-メチルピロリドン、N-ブチルピロリドン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等である。
ポリウレタンディスパーションに含まれる非プロトン性極性溶媒の極性は特に限定されない。一例を挙げると、極性は、2.5D以上であることが好ましい。極性が上記範囲内であることにより、ウェットコート層は、樹脂基材との濡れ性が優れ、ハジキ等の塗膜不良を生じにくく、優れた剥離性が得られる。
ポリウレタンディスパーションに含まれる非プロトン性極性溶媒の含有量は特に限定されない。非プロトン性極性溶媒の含有量は、ポリウレタンディスパーションの凝集等、塗材の性質に影響がない範囲であることが好ましい。一例を挙げると、非プロトン性極性溶媒の含有量は、ポリウレタンディスパーション中、5質量%以上であることが好ましい。また、非プロトン性極性溶媒の含有量は、ポリウレタンディスパーション中、20質量%以下であることが好ましい。ポリウレタンディスパーションに含まれる非プロトン性極性溶媒の含有量が上記範囲内であることにより、適切な剥離性および塗材の性質が得られる。
ウェットコート層を樹脂基材に積層する方法は特に限定されない。一例を挙げると、ウェットコート層は、バーコーター等により樹脂基材に塗工して積層することができる。
ポリウレタンディスパージョンを乾燥する方法は特に限定されない。一例を挙げると、ポリウレタンディスパージョンは、熱風乾燥機内で熱風に晒されることにより乾燥することができる。また、乾燥条件は、たとえば、120℃の設定で15秒である。
ウェットコート層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、ウェットコート層の厚みは、0.6μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。また、ウェットコート層の厚みは、2.0μm以下であることが好ましく、1.8μm以下であることがより好ましい。ウェットコート層の厚みが上記範囲内であることにより、ウェットコート層は、樹脂基材からの剥離力が充分であり、かつ、剥離時の膜の凝集破壊が起こりにくく、機能性が損なわれにくい。
(ガスバリア層)
ガスバリア層は、ウェットコート層に積層される。
ガスバリア層は特に限定されない。一例を挙げると、ガスバリア層は、ケイ素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。なお、これらは、酸化物、窒化物、または2種以上を含む金属間化合物であってもよい。これにより、転写フィルムは、緻密な無機連続膜を形成することができ、ガスバリア性が優れる。また、ガスバリア層は、アルミニウムまたはケイ素酸化物またはアルミニウム酸化物を含むことがより好ましい。アルミニウムおよびケイ素酸化物およびアルミニウム酸化物は、製造時に制御しやすい。また、アルミニウムおよびケイ素酸化物およびアルミニウム酸化物は、食品向け包装材をはじめとした種々のバリアフィルムとして使用することができ、様々な分野へ応用され得る。
ガスバリア層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、ガスバリア層の厚みは、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。また、ガスバリア層の厚みは、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましい。ガスバリア層の厚みが上記範囲内であることにより、転写フィルムは、バリア性が発揮され、クラックを生じにくい。
ガスバリア層を形成する方法は特に限定されない。一例を挙げると、ガスバリア層は、真空蒸着法により形成されることが好ましい。真空蒸着法の条件は、たとえば、3×10-2Paで、製膜速度は15Å/秒である。ガスバリア層は、真空蒸着法により形成されることにより、無機粒子同士の高い凝集力が得られ、より緻密な無機連続膜が形成されやすい。このような無機連続膜が得られることにより、より優れたバリア性を持ったガスバリア層転写フィルムを得られる。
以上の本実施形態の転写フィルムは、種々の被転写基材に転写することができ、ガスバリア性を付与することができる。より具体的には、転写フィルムは、樹脂フィルム、包装材などの被転写基材に対しても転写することができる。これにより、ガスバリア性の付与された樹脂フィルム、包装材などの物品を作製することができる。
樹脂フィルムは、たとえば、PT(セロファン)、PE(ポリエチレン)、PLA(ポリ乳酸)、PBS(ポリブチレンサクシネート)などである。これらの樹脂フィルムは、高真空雰囲気や高熱雰囲気においてガスバリア層を直接設けることが不可能である。しかしながら、本実施形態の転写フィルムは、これらの樹脂フィルムに対しても、ガスバリア性を付与することができる。
包装材は、たとえば、平袋、ガゼット袋、ピロー袋、スタンディングパウチ、チャック付きパウチである。これらの包装袋は、樹脂フィルムが積層される。本実施形態の包装材は、直接ガスバリア層を転写してもよいし、ガスバリア層が転写された樹脂フィルムを積層してもよい。
上記物品の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、上記物品は、本実施形態の転写フィルムのガスバリア層に、接着層を設ける工程と、接着層が被転写基材に接触するよう、ガスバリア層転写フィルムを被転写基材に押し付ける工程と、樹脂基材を剥離除去する工程とにより、製造することができる。
接着層は特に限定されない。一例を挙げると、接着層は、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エステル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられる。これらの接着剤は、ガスバリア層の表面に対して、任意の塗工方法で塗工され、乾燥される。
接着層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、接着層の厚みは、1.0~5.0μmである。
転写は、接着層を、被転写基材に付着させ、ロール転写機等を用いて行うことができる。
本実施形態の転写フィルムは、ウェットコート層が形成されていることにより、転写したガスバリア層を保護することができる。特に、転写フィルムは、ウェットコート層だけで、離型機能とガスバリア層保護機能とを両立することができる。そのため、転写フィルムは、製造コストを削減することができ、比較的安価にガスバリア性を有する物品を提供することができる。また、転写フィルムは、接着層や被転写基材を自由に選択することができる。そのため、ガスバリア層転写フィルムは、様々な形態のガスバリア性を有する物品を提供することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。特に被転写基材は、これらの実施例1~10および比較例1~5では、転写後のガスバリア性の低下を示す目的で、樹脂基材と同じ基材を用いているが、これに限定されない。
使用した原料を以下に示す。
(ウェットコート層用塗材の調製)
ウェットコート層に使用するポリウレタンディスパーションとして、DSM(株)製「NeoRez R-960」(N-メチルピロリドン16.9%(質量比)含有)を用いた。純水、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルセロソルブを、85/13/2(質量比)の比率で混合し、希釈溶液Aを得た。次にポリウレタンディスパーションに希釈溶液Aを、固形分が20%になるように混合して、塗工液Bを得た。
(実施例1)
樹脂基材(TAK(株)製「F-68」、厚み12μm、両面未処理PETフィルム、濡れ性46dyne)に、バーコーター法により塗工液Bを塗布し、120℃の熱風乾燥炉で20秒乾燥して厚み1.2μmのウェットコート層を形成した。次いで、ウェットコート層上に真空蒸着法により、3.0×10-2Paの真空条件下で50nmのアルミニウムを積層し、ガスバリア層を形成し、転写フィルムを作製した。
(実施例2)
ポリウレタンディスパーションを宇部興産(株)製「UW-5502」(N-メチルピロリドン11.0%(質量比)含有)に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
(実施例3)
ポリウレタンディスパーションを三井化学(株)製「タケラック W-405」(N-メチルピロリドン13.0%(質量比)含有)に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
(実施例4)
ガスバリア層を20nmのSiOxに変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
(実施例5)
ポリウレタンディスパーションを宇部興産(株)製「UW-5502」(N-メチルピロリドン11.0%(質量比)含有)にし、ガスバリア層を20nmのSiOxに変更した以外は、実施例1と同様にして目的とするガスバリア層転写フィルムを得た。
(実施例6)
ポリウレタンディスパーションを三井化学(株)製「タケラック W-405」(N-メチルピロリドン13.0%(質量比)含有)に変更し、ガスバリア層を20nmのSiOxに変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
(実施例7)
樹脂基材をフタムラ化学(株)製「FOA」(20μm片面コロナ処理OPP)のコロナ面(濡れ性40dyne)に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
(実施例8)
樹脂基材をフタムラ化学(株)製「FOA」(20μm片面コロナ処理OPP)のコロナ面(濡れ性40dyne)に変更し、ガスバリア層を20nmのSiOxに変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
(実施例9)
樹脂基材をフタムラ化学(株)製「FOA」(20μm片面コロナ処理OPP)の未処理面(濡れ性32dyne)に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
(実施例10)
樹脂基材をフタムラ化学(株)製「FOA」(20μm片面コロナ処理OPP)の未処理面(濡れ性32dyne)に変更し、ガスバリア層を20nmのSiOxに変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
(比較例1)
ポリウレタンディスパーションを三井化学(株)製「タケラック WS-4022」(非プロトン性極性溶媒含有なし)に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
(比較例2)
ポリウレタンディスパーションを三井化学(株)製「タケラック W-6010」(非プロトン性極性溶媒含有なし)に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
(比較例3)
ポリウレタンディスパーションを三井化学(株)製「タケラック WS-4000」(非プロトン性極性溶媒含有なし)に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
(比較例4)
樹脂基材をフタムラ化学(株)製「FOA」(20μm片面コロナ処理OPP)の未処理面(特徴:濡れ性32dyne)に変更し、ポリウレタンディスパーションを三井化学(株)製「タケラック WS-4022」(非プロトン性極性溶媒含有なし)に変更した以外は、実施例1と同様にして転写フィルムを作製した。
実施例1~10および比較例1~4において得られた転写フィルムについて、以下の評価方法によりガスバリア性、密着強度、濡れ性、劣化率を測定した。結果を表1に示す。
(転写方法)
それぞれの転写フィルムのガスバリア層表面に対し、ポリウレタン系樹脂(TM-320、東洋モートン(株)製)とポリイソシアネート系硬化剤(CAT-13B、東洋モートン(株)製)とを4/3の比率(重量比)で混合してなるポリウレタン系接着剤を、ワイヤーバーで塗工し、100℃の温風乾燥炉で1分乾燥させて3.0μmの接着層を設けた。次いで、以下の転写条件で、ロール転写機を用いて、転写フィルムの接着層を被転写基材に押し付け、その後、冷却後に樹脂基材を剥離した。これにより、ガスバリア層が転写されたサンプルを作製した。なお、実施例1~10および比較例1~4の被転写基材は、樹脂基材と同様のものを用いた。
(転写条件)
185℃、1.2m/分、10kg/cm2
(ガスバリア性)
転写なされる前の転写フィルムと、上記の転写方法により得られたサンプルのガスバリア性(水蒸気透過度、WVTR)を、それぞれカップ法(JIS Z 0208)により測定した。
(密着強度)
樹脂基材を剥離する前のサンプルの片端を、剥離角度が180°になるように固定し、オートグラフ((株)島津製作所製、AGS-100A)を使用して他端を引っ張り、サンプルが剥離した際の荷重(gf/15mm)を測定し、その境界面における剥離力(密着強度)を測定した。測定方法は、T型剥離(引張速度100mm/min)とした。
(濡れ性)
樹脂基材の表面を関東科学製ぬれ張力試験用混合液を用いて、JIS K 6768(プラスチック-フィルム及びシート-ぬれ張力試験方法)に基づいた条件にて測定した。
(劣化率)
上記方法で得られた転写フィルムのガスバリア性(a)と被転写フィルムのガスバリア性(b)とを、計算式(劣化率(%)=b/a×100)を使って求め、転写によるガスバリア性の劣化率を示した。尚、ガスバリア性は、ガスバリア層だけではなく基材自体のガスバリア性の影響を受けやすい。そこで、樹脂基材と非転写樹脂とを同じフィルムとし、ガスバリア性を比較することで、転写の影響によるガスバリア性の上昇(劣化)率を示した。この方法により、樹脂基材のガスバリア性の影響因子を除いたガスバリア性の劣化を示すことが可能となる。すなわち、この方法により、たとえば、転写時の熱や圧力によるガスバリア層の割れ、剥離時のガスバリア層の割れのといった、転写に影響によるガスバリア性の劣化を示すことが可能となり、ウェットコート層の転写性能を確認することが可能となる。
Figure 0007465554000001
表1に示されるように、本発明の実施例1~10の転写フィルムは、低い密着強度となり、被転写基材に転写させやすいことがわかった。また、転写後に得られたサンプルは、ウェットコート層が設けられていることにより、優れたガスバリア性を示し、かつ、ガスバリア層が保護された。さらに、本発明の実施例1~10の転写フィルムを用いたサンプルは、転写前後のガスバリア性の劣化率の値が小さく、ガスバリア層の転写に最適なウェットコート層であることが分かった。
(実施例11)
被転写基材をフタムラ化学(株)製「PL」(23μmプレーンセロファン(PT))に変更した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア層が転写されたサンプルを作製した。
(実施例12)
被転写基材を東洋紡(株)製「L4102」(25μmLLDPEフィルム(PE))に変更した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア層が転写されたサンプルを作製した。
(実施例13)
被転写基材を日生化学(株)製「バイオパール-B」(40μmPBSフィルム(PBS))に変更した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア層が転写されたサンプルを作製した。
実施例11~13において得られた転写フィルムについて、上記と同様の方法により、密着強度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0007465554000002
表2に示されるように、本発明の実施例11~13の転写フィルムは、低い密着強度となり、被転写基材に転写させやすいことがわかった。また、転写後に得られたサンプルは、ウェットコート層が設けられていることにより、優れたガスバリア性を示し、かつ、ガスバリア層が保護された。さらに、本発明は、直接蒸着することが難しいとされている種々の樹脂フィルムに対して、優れたガスバリア性を付与できる、好適な方法であることが分かった。

Claims (6)

  1. 樹脂基材と、前記樹脂基材に積層されたウェットコート層と、前記ウェットコート層に積層されたガスバリア層と、を備え、
    前記ウェットコート層は、
    ポリウレタン樹脂であり、
    非プロトン性極性溶媒を含むポリウレタンディスパージョンを乾燥することにより得られ
    前記非プロトン性極性溶媒は、N-メチルピロリドンである、ガスバリア層転写フィルム。
  2. 前記ガスバリア層は、ケイ素、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、酸化珪素、または、酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1記載のガスバリア層転写フィルム。
  3. 前記ガスバリア層は、真空蒸着法により形成された層である、請求項1または2記載のガスバリア層転写フィルム。
  4. 前記樹脂基材は、濡れ性が46dyne/cm2以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のガスバリア層転写フィルム。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のガスバリア層転写フィルムの前記ガスバリア層に、接着層を設ける工程と、
    前記接着層が被転写基材に接触するよう、前記ガスバリア層転写フィルムを前記被転写基材に押し付ける工程と、
    前記樹脂基材を剥離除去する工程と、を有する、ガスバリア性を有する物品の製造方法。
  6. 前記被転写基材は、樹脂フィルムまたは包装材である、請求項5記載の物品の製造方法。
JP2021050471A 2021-03-24 2021-03-24 ガスバリア層転写フィルム、物品の製造方法 Active JP7465554B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021050471A JP7465554B2 (ja) 2021-03-24 2021-03-24 ガスバリア層転写フィルム、物品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021050471A JP7465554B2 (ja) 2021-03-24 2021-03-24 ガスバリア層転写フィルム、物品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022148698A JP2022148698A (ja) 2022-10-06
JP7465554B2 true JP7465554B2 (ja) 2024-04-11

Family

ID=83463652

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021050471A Active JP7465554B2 (ja) 2021-03-24 2021-03-24 ガスバリア層転写フィルム、物品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7465554B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001010661A (ja) 1999-05-21 2001-01-16 Soplaril Sa 共押出しバブルの圧潰によって得られる多層構造物
JP2002502777A (ja) 1998-02-09 2002-01-29 ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー 低温シールパッケージ及び同パッケージの作製方法
JP2005511356A5 (ja) 2002-10-22 2006-01-05
JP2010532284A (ja) 2007-06-29 2010-10-07 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 剥離ライナー上のハードコート層
JP2018188568A (ja) 2017-05-09 2018-11-29 凸版印刷株式会社 ガスバリア転写フィルム
JP2020164243A (ja) 2019-03-28 2020-10-08 大日本印刷株式会社 包装材及び包装容器
WO2021044838A1 (ja) 2019-09-03 2021-03-11 東レ株式会社 印刷物の製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE60105829T2 (de) 2001-12-07 2006-03-09 3M Innovative Properties Co., Saint Paul Mehrschichtige Folie, die eine Polyurethanschutzschicht enthält

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002502777A (ja) 1998-02-09 2002-01-29 ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー 低温シールパッケージ及び同パッケージの作製方法
JP2001010661A (ja) 1999-05-21 2001-01-16 Soplaril Sa 共押出しバブルの圧潰によって得られる多層構造物
JP2005511356A5 (ja) 2002-10-22 2006-01-05
JP2010532284A (ja) 2007-06-29 2010-10-07 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 剥離ライナー上のハードコート層
JP2018188568A (ja) 2017-05-09 2018-11-29 凸版印刷株式会社 ガスバリア転写フィルム
JP2020164243A (ja) 2019-03-28 2020-10-08 大日本印刷株式会社 包装材及び包装容器
WO2021044838A1 (ja) 2019-09-03 2021-03-11 東レ株式会社 印刷物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022148698A (ja) 2022-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8535774B2 (en) Release sheet
JP4398265B2 (ja) ガスバリア性フィルム及びガスバリア性積層体
KR101954467B1 (ko) 커버 필름
JP6631098B2 (ja) 積層フィルム
KR102522920B1 (ko) 적층 필름
KR20180035795A (ko) 점착 필름 및 점착 필름 롤
CN111201139B (zh) 层叠体
US20140329036A1 (en) Cover tape for carrier tape
JP2023021347A (ja) 紙キャリアテープ用カバーテープ、電子部品搬送用包装体および電子部品包装体
JP5361589B2 (ja) 離型シート
EP1503898B1 (en) Metallized high barrier lap-sealable liner for spiral wounds containers
JP7465554B2 (ja) ガスバリア層転写フィルム、物品の製造方法
JP2016132211A (ja) 離型フィルム
TWI630106B (zh) 離模片材
JP3265806B2 (ja) 透明積層体
JP2010221643A (ja) 蒸着用二軸延伸ポリエステルフィルムロールの製造方法およびその製造方法により得られる蒸着用二軸延伸ポリエステルフィルムロール
JP2003191364A (ja) ガスバリアフィルム積層体
JP6433758B2 (ja) ガスバリア性積層体
JP2000185375A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP4529348B2 (ja) バリアフィルムの積層方法
JP6109198B2 (ja) 離型フィルム、及びその製造方法
JP2012020402A (ja) 離型用フィルム、およびその製造方法
JP2004202823A (ja) 蒸着フィルム積層体。
JP4228687B2 (ja) ハイバリア透明積層体
US20060127688A1 (en) Transparent biaxially oriented polyolefin film having an improved oxygen barrier

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221019

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230808

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240319

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240325

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7465554

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150