JP7461690B1 - 粘着シート - Google Patents

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Abstract

粘着シート10は、粘着剤層3と、粘着剤層3の少なくとも一方の面に形成された印刷部5とを備えている。印刷部5は、インク硬化物により形成されており、印刷範囲として粘着剤層3に1つ以上設定された印刷領域上に設けられており、印刷領域での粘着剤層3のSUS鋼板に対するループタック値は、1.0N/25mm未満であり、印刷領域での粘着剤層3のSUS鋼板に対する23℃、貼り合わせ時の荷重2kg、相対湿度50%、剥離角度180度における24時間経過時の粘着力は、0.05N/25mm以上である。

Description

本明細書に開示された技術は、粘着剤層の少なくとも一方の面に印刷部が設けられた粘着シートに関する。
粘着剤層を備えた粘着シートは、電子機器の部材固定や画面保護シート、壁紙等の建装材、印刷物や印刷物のラミネートシート、各種テープなどとして、様々な分野で用いられている。粘着シートの用途によって、被着体に強固に張り付いて容易に剥がれないことが望まれる場合もあれば、貼り付け時に貼り直しがしやすいことが望まれる場合もある。
特表2003-531253(特許文献1)の明細書等には、粘着剤層の粘着面に所定のパターンを有する非接着性ポリマーを形成することによって、貼り直しがしやすいグラフィック用粘着シートを作製できることが記載されている。
特表2003-531253
ところで、粘着シートの被着体に対する粘着力は、強い方が良い場合もあれば、弱い方が良い場合もある。貼り付け時には貼り直しがしやすく、貼り付け後は剥がれにくい粘着シートの需要は大きいが、それ以外の特性が必要とされる場合もある。
ここで、特許文献1に記載の粘着シートでは、貼り直しのしやすさだけでなく、粘着剤層と被着体との間に残った空気を抜くために非粘着性ポリマーを形成している。このため、非粘着性ポリマーはシート粘着面の全体にわたって均等に設けられている。その結果、特許文献1に記載の粘着シートでは、複数の異なる性質が望まれる場合に柔軟に対応することが難しい。
本発明の目的は、粘着力や貼り剥がしのしやすさ等の性質を容易に制御可能な構成を有する粘着シートを提供することにある。
本明細書に開示された粘着シートの一例は、粘着剤層と、前記粘着剤層の少なくとも一方の面に形成された印刷部とを備えている。前記印刷部は、インク硬化物により形成されており、印刷範囲として前記粘着剤層に1つ以上設定された印刷領域上に設けられており、前記印刷領域での前記粘着剤層のSUS鋼板に対するループタック値は、1.0N/25mm未満であり、前記印刷領域での前記粘着剤層のSUS鋼板に対する23℃、貼り合わせ時の荷重2kg、相対湿度50%、剥離角度180度における24時間経過時の粘着力は、0.05N/25mm以上である。
本明細書に開示された粘着シートによれば、粘着剤層の厚みや印刷部の厚み等を適宜変えることにより、粘着力や貼り剥がしのしやすさ等の性質を容易に制御しうる。
図1は、本開示の実施形態に係る粘着シートの一例を示す断面図である。 図2は、図1に示す粘着シートを印刷部側から見た場合の平面図である。 図3は、図2に示す領域Aにおける印刷部を拡大して示す写真図である。 図4は、本開示の第1の変形例に係る粘着シートを示す断面図である。 図5は、本開示の第2の変形例に係る粘着シートの印刷方法を模式的に示す平面図である。 図6は、印刷部の厚みが2μm(インク量K10%)である実施例1~3の粘着シートの顕微鏡写真と、印刷部におけるドット数及びドットサイズの計測結果を示す図である。
本願発明者らは、製造コストを大きく増加させることなく上述の課題を解決できる手段を種々検討する過程において、インクジェット方式で粘着剤層上に形成された印刷部から粘着成分が浸み出す場合があることと、印刷部に荷重を加えると粘着成分の浸み出し量が大きくなる傾向にあることに気付いた。その後、さらに検討を重ね、印刷部の厚みを変える等により、印刷部を設けない場合に比べてタック及び粘着力の減少度合いを容易に調整することができることを見出し、本願発明に想到するに至った。
[粘着シートの構成]
図1は、本明細書に開示された実施形態の一例である、粘着シート10を示す断面図であり、図2は、本実施形態の粘着シート10を印刷部5側から見た場合の平面図である。図3は、図2に示す領域Aにおける印刷部を拡大して示す写真図である。
図1に示すように、本実施形態の粘着シート10は、粘着剤層3と、粘着剤層3の少なくとも一方の面に形成され、粘着剤層3の構成成分である粘着成分が浸み出す印刷部5とを備えている。本実施形態の粘着シート10では、粘着剤層3の面のうち、印刷部5が設けられた面と反対側の面にシート状の基材1が設けられている。粘着剤層3の印刷部5が形成された面上には、印刷部5を間に挟んで剥離ライナー7が設けられていてもよい。印刷部5が設けられた粘着剤層3の粘着面が剥離ライナー7により保護されることにより、ロール状だけでなく平版の状態での保存が可能となる。剥離ライナー7は、公知のものを使用することができ、粘着剤層3に接する側にシリコーン系剥離剤やフッ素系剥離剤を含む剥離剤層が設けられていてもよい。
ただし、本実施形態の粘着シート10は、荷重がかからない状態ではタックが非常に小さいので、剥離ライナー7を設けない場合でもロール状にして保管可能である。剥離ライナー7を設けない場合には、資源の節約やロールの小径化といった利点がある。
本実施形態の粘着シート10の印刷領域12においては、印刷部5が設けられていることにより、粘着剤層3のステンレス(SUS)鋼板に対するループタック値を、1.0N/25mm未満にすることができる。一方で、粘着剤層3のSUS鋼板に対する23℃、貼り合わせ時の荷重2kg、相対湿度50%、剥離角度180度における24時間経過時の粘着力は、0.05N/25mm以上であってもよい。
このため、印刷領域12において、粘着シート10の貼り直しがしやすくなっているとともに、貼り位置が決まった後は、シートに荷重を加えることにより、粘着シート10を固定することが可能となっており、貼り付け作業が容易となっている。また、貼り付け前の状態では粘着面に微細な凹凸があるので、貼り付ける際に気泡が入りにくく、圧着後に被着体との間に残った空気の排出も容易になっている。
本実施形態の粘着シート10によれば、印刷部5の厚みを変えること等により、同じ粘着剤を用いた場合であっても、タック値や粘着力を所望の値に調整することが可能となる。例えば、比較的価格の高い微粘着タイプの粘着剤を使用せず、安価な強粘着タイプの粘着剤を使用して微粘着性のシートを作製することも可能となる。
本実施形態の粘着シート10では、粘着剤層3を被着体と接触させた後、荷重を加えることにより、粘着剤層3の構成成分(粘着成分)の浸み出しを促進させることができるとともに、被着体から剥がした状態で放置することにより、一度浸み出した粘着成分をその弾性力によって速やかに押圧前の状態に復元することができる。このため、粘着シート10は何度でも繰り返し使用することが可能となっている。粘着シート10は、例えば付箋のような仮固定シートとして使用することもできる。
粘着シート10において、押圧手段を用いて300g/cmの荷重を10秒間加えた直後の印刷領域12では粘着剤層3のSUS鋼板に対する第1のタック値が生じ、荷重の印加後に押圧手段から剥離して2分経過した際にはPETフィルムに対するタックが消失するか、第1のタック値よりも小さい第2のタック値が残るかのいずれかであってもよい。あるいは、押圧手段を用いて2000g/cmの荷重を10秒間加えた直後の印刷領域12では粘着剤層3のSUS鋼板に対する第3のタック値が生じ、荷重の印加後、押圧手段から剥離して3分経過した際にはPETフィルムに対してタックが消失するか、第3のタック値よりも小さい第4のタック値が残るかのいずれかであってもよい。
本実施形態の粘着シート10において、粘着剤層3の23℃、周波数1Hzでの貯蔵弾性率G’は1.0×10Pa以上5.0×10Pa以下であってもよく、9.0×10Pa以上2.0×10Pa以下であってもよい。貯蔵弾性率は粘着剤層3の硬さを表すところ、本願発明者らの検討より、貯蔵弾性率が低くなるにつれて粘着剤層3が流動しやすく、印刷部5から粘着成分が浸み出しやすくなることが分かっている。貯蔵弾性率が5.0×10Pa以下であれば、タックを小さく保つとともに、被着体に貼り付けた後に容易に剥がれない程度の粘着力を発揮させることができる。また、粘着剤層3の貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であれば、印刷部5を適度な厚さにして粘着成分を浸み出させることができ、貯蔵弾性率が9.0×10Pa以上であれば、荷重を加えてタックを生じさせた後にタックの小さい状態に復元しやすくできるので、繰り返し使用しやすくなる。粘着剤層3の貯蔵弾性率が1.5×10Pa以上であれば、後述する粘着剤層3の保持力を向上させることができる。
粘着剤層3の貯蔵弾性率が大きい場合、粘着剤層3の貯蔵弾性率が小さい場合に比べて印刷部5の厚みを同じにしてもループタック値を小さくしやすい。
粘着剤層3のガラス転移温度(Tg)は、-50℃以上であってもよい。この場合、常温で粘着シート10を使用する際に粘着剤層3に適度な流動性が生じるので、印刷部5から粘着剤層3の構成成分の浸み出しを生じさせやすくなる。
本実施形態の粘着シート10の印刷領域12においては、40℃における保持力持続期間が1000秒以上であってもよく、後述の保持力測定試験において40℃で50000秒経過時のズレ量(mm/5万秒)が1mm以下であれば好ましい。粘着シート10が優れた保持力を有していれば、例えばラベルやグラフィックシート等として使用された場合に被着体からの剥離や脱落が生じにくくなる。粘着シート10の保持力は、被着体と貼り合わせた後、手やローラー等により適度な圧力を加えることにより十分に発揮される。これは、加圧により印刷部5から浸み出す粘着成分の量が増えるためである。印刷部5から粘着成分が浸み出した場合、粘着シート10のズレ量は、粘着剤層3の凝集力が強い方が小さくなる。
印刷部5は、インク硬化物により形成されており、印刷範囲として粘着剤層3に1つ以上設定された印刷領域12上に設けられている。図2に示す例では、粘着剤層3の粘着面全体が印刷領域12となっており、印刷部5も粘着面全体に形成されている。
図3に示すように、印刷部5は、インク硬化物からなる多数のドット15により構成されている。ドット15の直径は特に限定されないが、例えば0.1μm以上100μm以下であってもよく、0.1μm以上50μm以下であってもよく、1μm以上30μm以下であってもよい。ドット15の直径は使用する印刷機に依存する。ドット径が50μm以下であれば、粘着シート10のタック及び粘着力を精密に制御しやすくなる。ドット15の直径は均一であってもよいが、適度なばらつきがあってもよい。印刷部5は、0.5mm四方当たり平均5個以上のドット15を含んでいてもよい。ドット径が大きい方が、ドット15の密度(数密度)が小さくてもループタック値を小さくさせやすい。
ドット15の高さはドット径が大きくなるにつれて大きくなるが、例えば0.05μm以上50μm以下であってもよい。粘着面の表面張力が低く、インクとの表面張力の差が大きい場合はドット15が広がりにくく、ドット径に対するドット15の高さが高くなりやすい。一般的に、シリコーン系粘着剤を用いて形成された粘着剤層3は、アクリル系粘着剤を用いて形成された粘着剤層3に比べて極性が低いので、粘着面の表面張力が低くなる傾向にある。このため、シリコーン系粘着剤を用いて作製された粘着剤層3上に設けられたドット15では、ドット高さ/ドット径の値が0.1以上0.6以下程度となることが多い。これに対し、アクリル系粘着剤を用いて作製された粘着剤層3上に設けられたドット15では、ドット高さ/ドット径の値が0.01以上0.3以下程度となることが多い。
ドット15の密度がある程度低い場合、ドット15間に隙間が存在するので、粘着剤層3の構成成分の浸み出しが可能になる。この粘着成分の浸み出しにより、本実施形態の粘着シート10は、加圧した場合にある程度のタックを生じるとともに、被着体に貼り付けた状態では貼り付けられた状態が維持される。
ドット15の密度が高くなるにつれドット15間の隙間が減少し、ドット15同士の重複箇所も増えるため、ドット15の密度の計測は困難になり、粘着剤層3から浸み出す粘着成分(粘着成分)の量は減少する。このため、使用する粘着剤の種類によって異なるが、印刷部5の平均厚みは概ね0.1μm以上20μm以下程度であればよく、1μm以上6μm以下であれば好ましい。印刷部5の平均厚みが0.1μm未満であると、ドット15間の隙間が大きくなり、この隙間から多量の粘着成分が浸み出しやすくなるため、粘着シート10のタックの強さや粘着力がドット15を設けない場合とほぼ変わらないこととなる。印刷部5の厚みが20μmを超えると、粘着剤層3の成分の浸み出し量が小さくなって被着体に貼り付けることが困難になる場合がある。印刷部5の平均厚みを6μm以下とすることで、粘着剤層3の主剤として使用できる粘着剤の種類をより広げることができる。
なお、印刷部5の平均厚みが6μm以下と薄い場合には、印刷部5の形成に黒インク又はカラーインクを用いた場合であっても粘着シート10の全光線透過率は50%以上となり、半透明となっている。しかし、印刷部5の厚みを6μmより大きく且つ20μm以下とすることにより、ループタック値を1.0N/25mm未満にしつつ、印刷部5により所望の画像を形成することが可能となる。
印刷領域12において、ドット15は、規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。後述のインクジェットプリンタにより印刷部5が形成される場合には、ドット15が不規則に配置される。また、印刷部5を構成するドット15の大きさは同じであってもよいが、不均一であってもよい。
印刷部5の形成に使用されるインクは限定されず、光硬化型インク、電子線硬化型インク、及び溶剤系インクから選ばれた1種以上のインクを使用することができるが、中でも紫外線(UV)又は可視光等で硬化する光硬化型インクや電子線硬化型インクであれば、印刷部5の形成時にインクを粘着剤層3に拡散しにくくでき、印刷部5に要求される厚みを確保しやすくなるので好ましい。また、UV硬化型インク及び電子線硬化型インクは印刷後瞬時に硬化させることができるので、これらのインクを使用することにより、溶剤系インクを使用する場合に比べて粘着シート10の製造時間を短縮することができる。
印刷部5の形成に使用されるインクの色は特に限定されず、黒(K)のみであってもよいし、例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)、ホワイト(W)、グレー、ライトシアン、ライトマゼンダ、レッド、透明から選ばれた少なくとも1種類又は複数色の組み合わせであってもよい。複数色のインクを用いる場合、印刷部5の厚みが1色のインクを用いる場合と同じになるようにすればよい。
印刷部5は、公知のインクジェットプリンタ等を用いた、インクを噴射させる印刷形式により形成することができる。これに対し、印刷部5をオフセット印刷、グラビア印刷又はシルクスクリーン印刷等のベタ印刷により形成すると、粘着剤層3が隙間なく覆われてしまい、粘着成分が浸み出せなくなる。印刷領域12において、オフセット印刷やグラビア印刷によりドット15と同程度の直径が0.1μm以上50μm以下の網点を形成しても、粘着剤層3中の成分の浸み出しを実現することは可能である。ただし、オフセット印刷やグラビア印刷等には高価な版が必要であるのに対し、インクジェットプリンタを使用すれば版を作製する必要が無いため、ドット15の密度や形成位置を短時間で自由に変更することができる。
粘着シート10において、印刷部5の表面粗さ(Ra)は、0.3μm以上10μm以下であってもよい。印刷部5は多数のドット15により構成されているため、印刷部5を設けない場合、オフセット印刷やシルクスクリーン印刷により印刷部を設ける場合に比べて表面粗さは大きくなっている。
粘着シート10の粘着力は、印刷部5を設けない場合の粘着剤層3の粘着力よりも小さくなるので、粘着剤層3の形成に用いられる粘着剤として、中粘着タイプ又は強粘着タイプの粘着剤を用いれば、幅広い粘着力を示す粘着シート10を作製することが可能となる。例えば、強粘着タイプの粘着剤を用いた場合、印刷部5を厚めに設定することにより、印刷領域12において微粘着性を示す粘着シート10を作製でき、印刷部5の厚みを下げることで中粘着性を示す粘着シート10を作製することも可能となる。
粘着剤層3の形成に使用される粘着剤は特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、アクリルーウレタン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤及びゴム系粘着剤から選ばれた1種又は2種以上の混合物であってもよい。使用される粘着剤としては、水系粘着剤、溶剤系粘着剤、無溶剤タイプの粘着剤等を使用できる。
粘着剤層3の厚みは特に限定されないが、印刷部5の平均厚みの10.0倍以下程度であってもよい。粘着剤層3の厚みは例えば0.5μm以上100μm以下であってもよく、2μm以上50μm以下であってもよい。粘着剤層3の厚みがこの範囲であれば、印刷領域12においてもループタック値及び粘着力を所望の範囲に設定しやすくなる。
印刷部5の平均厚みが同じ場合、粘着剤層3の厚みが厚くなるにつれてループタック値及び粘着力は大きくなる。これは、粘着剤層3が厚い方が、印刷部5の形成後の貼り合わせ時に加わる圧力によって、印刷部5からの粘着成分の浸み出しやすくなるためであると考えられる。
粘着剤層3には、製造時に適宜硬化剤が使用される他、必要に応じて粘着付与剤、帯電防止剤や着色剤、フィラー等の添加物が含まれていてもよい。粘着剤層3を形成するための粘着剤及び添加剤の少なくとも一方は、生物由来の成分を含んでいてもよい。例えば、粘着剤層3に10質量%以上50質量%以下程度のテルペン系又はロジン系粘着付与剤を含んでいてもよい。粘着剤層3のバイオマス度は、例えば10%以上50%以下程度であってもよい。
基材1としては、樹脂シート、合成紙、紙、不織布、織布等の公知の材料やこれらの積層体を使用することができる。樹脂シートの構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリイミド(PI)等を用いることができる。
基材1の厚みは特に限定されないが、例えば2μm以上300μm以下程度であってもよく、5μm以上250μm以下であってもよい。基材1の少なくとも一方の面には、必要に応じて易接着層や帯電防止層が設けられていてもよい。
基材1としては、環境負荷を低減するため、バイオマス材料やリサイクル材料を一部又は全体に使用してもよい。また、基材1を含め、製造するためのCO換算排出量ができるだけ少ない材料を用いて粘着シート10を製造することが好ましい。
[粘着シートの変形例]
図4は、本開示の第1の変形例に係る粘着シート20を示す断面図である。同図に示すように、本変形例に係る粘着シート20は、粘着剤層3と、粘着剤層3の少なくとも一方の面に形成され、粘着剤層3の構成成分が浸み出す印刷部5とを備えている。本変形例に係る粘着シート20は、基材1が設けられていない点で、図1に示す粘着シート10と異なっている。粘着剤層3の印刷部5が設けられた面には剥離ライナー7が貼り合わされており、粘着剤層3の他方の面には第2の剥離ライナー17が貼り合わされている。剥離ライナー7を剥離するのに要する剥離力と第2の剥離ライナー17を剥離するのに要する剥離力とは互いに同程度にしてもよいが、両者に差を付けて軽剥離側の剥離ライナーを容易に剥離できるようにしてもよい。粘着シート20のその他の構成は、粘着シート10と基本的に同じである。
本変形例に係る粘着シート20を作製する際には、図4に示すように、シートを作製した後に被着体に貼り付けてもよいし、印刷部5を設ける前に粘着剤層3のみ作製し、被着体に粘着剤層3を貼り付けた後に印刷部5を形成してもよい。
本変形例に係る粘着シート20において、粘着剤層3の印刷部5が設けられた側の面(第一面)の粘着力は、同一の被着体に対する反対側の面(第二面)の粘着力よりも小さくなっている。また、粘着剤層3の第一面のループタック値は、第二面のループタック値よりも小さくなっている。このため、粘着剤層3の一方の面と他方の面とで異なる粘着力を持つ両面粘着シートを実現することができる。本変形例に係る粘着シート20で使用される粘着剤は特に限定されない。
印刷部5が設けられた面では反対側の面に比べて、粘着成分と実質的に接する被着体の面積が小さくなるので、その分粘着剤による被着体汚染も生じにくくなっている。粘着シート20は、粘着シート10と同様に種々の分野で使用できる。
例えば、被着体への汚染が少ない再剥離タイプの粘着剤を用いた粘着シート20をグラフィックシート等の固定用粘着シートとして使用することができる。一般的な両面粘着シートにおいては、粘着力の強い粘着剤を選択すると、被着体との密着が強くなって、グラフィックシートを剥がす際に粘着剤層が被着体側に残りやすくなる傾向がある。このため、固定用の粘着シートとして、芯材の片面(被着体側)に再剥離タイプの粘着剤層が設けられ、他方に強粘着タイプの粘着剤層が設けられることが多い。これに対し、本変形例に係る粘着シート20によれば、比較的低コストで一方の面と他方の面とで粘着力及びタック値を変化させることができる。
図示しないが、芯材の両面に粘着剤層が設けられ、少なくとも一方の粘着剤層上に印刷部が設けられた粘着シートを作製することも可能である。
図5は、本開示の第2の変形例に係る粘着シート30の印刷方法を模式的に示す平面図である。同図に示すように、本変形例に係る粘着シート30では、シート内の粘着剤層3上に複数の印刷領域が設けられている点が図1に示す粘着シート10と異なっている。図5に示す例では、基材1の一方の面に設けられた粘着剤層3上に第1の印刷領域12Aと第2の印刷領域12Bとが形成されている。第1の印刷領域12A上にはインク硬化物により形成された第1の印刷部5Aが設けられ、第2の印刷領域12B上には第2の印刷部5Bが設けられている。第1の印刷部5Aの平均厚みと第2の平均厚みとは互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、図5に示すように、粘着剤層3の一部が印刷部により覆われておらず、露出していてもよい。
図5に示す例では、粘着シート内に2つの印刷領域が形成されているが、3つ以上の印刷領域が形成されていてもよい。印刷領域の合計面積は、粘着剤層3の少なくとも一方の面の1%以上100%以下であってもよい。印刷領域が1%未満であると、粘着シート全体としての粘着力やループタック値が、印刷領域を有さない場合とほぼ同様の値となるので、印刷領域を形成する効果が薄くなる。
第1の印刷領域12A及び第2の印刷領域12Bの平面形状は、図5に示すように流れ方向(塗工進行方向)が幅方向よりも長い帯状であってもよく、その他任意の形状であってもよい。また、各印刷領域の大きさは特に限定されない。
第1の印刷領域12A上の第1の印刷部5Aの厚み、及び第2の印刷領域12B上の第2の印刷部5Bの厚みは、共に一定でなくてもよく、部分的に厚みが異なっていてもよい。例えば、第1の印刷部5Aや第2の印刷部5Bの厚みが幅方向の外側から内側に向かってグラデーション状に小さくなっていてもよい。これにより、第1の印刷領域12A及び第2の印刷領域12Bにおいて、端部から内側に向かうにつれて粘着力が強くなるよう設計することができる。
粘着剤層3の一方の面上に複数の印刷部を形成する際には、例えば公知のラインインクジェットプリンタを使用することができる。塗工機を用いて基材1の一方の面に粘着剤層3を形成して乾燥させた後、粘着剤層3の露出面に、幅方向に延びるラインインクジェットプリンタのヘッド23から例えばUV硬化インクが吐出され、続いてUV照射されることにより、第1の印刷部5A及び第2の印刷部5Bが形成される。なお、印刷時間が長くてもよい場合には、シリアルヘッド方式のインクジェットプリンタを用いて印刷部を形成してもよい。印刷部の形成後、40℃、3日間程度の条件で粘着シート30のエージングを行ってもよいし、印刷部の形成前にあらかじめエージングを行っていてもよい。また、印刷部を形成する前の粘着シートをスリッターによって所望のサイズに裁断後、印刷部を形成してもよい。
粘着剤層3の一方の面上に互いに平行に延びる帯状の第1の印刷領域12A及び第2の印刷領域12Bを形成する場合、スリッターを用いて粘着シート30を流れ方向に切断して第1の印刷領域12A、第2の印刷領域12B、印刷領域が設けられない領域の3つに分離することにより、1回の塗工で3種類の粘着シートを作製することが可能となる。その後、作製した粘着シートを幅方向に裁断することによって、所望のサイズの平版の粘着シートを作製することができる。
あるいは、強粘着性の粘着剤層3を形成した場合、所定の長さになるように作製された粘着シート30を幅方向に裁断することにより、幅方向の両端部分の粘着力が中央部分の粘着力よりも弱い粘着シートを作製することができる。この粘着シートでは、一旦被着体に貼り付けた後に当該粘着シートを剥がす必要が生じた場合に、粘着力の弱い端部から剥がすことで、容易に被着体から剥離させることが可能となる。インクジェットプリンタを用いることにより、版を作製することなく印刷部の厚さや形成位置を任意に調整することが可能となる。
なお、図1に示す本実施形態の粘着シート10やその変形例に係る粘着シート20、30などにおいては、印刷部を形成しない状態の粘着シートを保管しておき、顧客から注文が入った場合に、顧客の要望に沿ったタックや粘着力を示すような印刷部をオンデマンドで形成することができるので、それぞれタックや粘着力が異なる粘着シートを保管する場合に比べて製品在庫の量を大幅に低減することができる。
以上で説明した本実施形態の粘着シート10及び変形例に係る粘着シート20、30は、本発明の一例であって、基材1や粘着剤層3、印刷部5等の構成材料や厚み、形状、形成位置等は本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[粘着シートの作製]
市販の5種類の粘着剤にそれぞれ適量の硬化剤を加えて混合することにより、アクリル系の粘着剤組成物A及びE、アクリルーウレタン系の粘着剤組成物B、共にシリコーン系の粘着剤組成物C及びDを作製した。ここで、粘着剤組成物Aには、乾燥後の粘着剤層重量の15質量%に相当するロジン系粘着付与剤が含まれているので、形成される粘着剤層のバイオマス度は15%となっている。粘着剤組成物Eにより形成される粘着剤層のバイオマス度は約10%と推定される。
次に、厚さ50μmで、シリコーン系剥離剤を含む剥離剤層が形成されたPETフィルムを有する市販の剥離ライナーの剥離剤層上に公知のコンマ型コーターを用いて粘着剤組成物A、B、Eを塗工し、乾燥させることにより粘着剤層を形成した。粘着剤組成物A、Bを用いて形成した粘着剤層の厚みは10μm及び20μmとし、粘着剤組成物Eを用いて形成した粘着剤層の厚みは10μmとした。次いで、剥離ライナーの塗工面を基材の一方の面に貼り合わせて粘着剤層を基材上に転写させた後、40℃で3日間程度エージングすることで、粘着シートを形成した。基材としては、厚さ50μmの両面に易接着層が形成されたPETフィルム(東洋紡(株)製、商品名:コスモシャイン(登録商標)A4360)を使用した。ここで、印刷部を設けない各種粘着シートを比較例1~4とした。なお、粘着剤組成物C、Dについては、コンマ型コーターを用いて基材上に直接塗工することによって、粘着剤層の厚みが10μm、20μm、30μmである粘着シートを比較例5~10として作製した。
次に、準備した粘着シートにおいて、粘着剤層の露出した一方の面全体に、UVインクジェットプリンタ((株)ミマキエンジニアリング製「UJF-6042MkII」)を用いてUV硬化インクを吐出及び硬化させて印刷部を形成した。UV硬化インクとしては(株)ミマキエンジニアリング製「LH-100」の黒インクを用いた。インク量の設定は、K10%、K20%、K30%、K40%及びK50%とした。実施例1~21及び比較例1~14として作製した粘着シートの構成は、後に示す表2~表8に記載する。
[測定方法]
<粘着剤層の貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’、損失正接(tanδ)、ガラス転移温度Tgの測定>
粘着シートの粘着剤層の貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’、損失正接の測定は、以下の方法で行った。まず、調製した粘着剤組成物A~Eの各々を用いて厚み50μmの粘着剤層を有する基材レステープを作製した。次いで、この基材レステープを40℃、72時間の条件でエージングした。次いで、粘着剤層のみを総厚さが1mmになるまで積層した後、直径8mmの大きさに打ち抜いてタブレットを作製した。このタブレットをレオメーター(製品名:AR2000ex)のプレート間に挟み、周波数1Hz、ひずみ量0.05%、測定温度:-40~100℃の条件で貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’を測定した。また、損失弾性率G’’/貯蔵弾性率G’の値を損失正接として算出した。損失正接が最大となった温度を粘着剤層のガラス転移温度として読み取った。
<印刷部の厚み測定>
厚みが50μmのPETフィルム上に、UVインクジェットプリンタ((株)ミマキエンジニアリング製「UJF-6042MkII」)を用いて、インク量をK10%、K20%、K30%、K40%及びK50%にそれぞれ設定して印刷部を形成した。各シートサンプルの合計厚みを定圧厚さ測定器を用いてそれぞれ測定し、測定値からPETフィルムの厚み(50μm)を引くことにより、各印刷部の厚みを算出した。
なお、測定の結果、K10%で印刷部の厚み(インク厚)は約2μm、K20%で印刷部の厚みは約3~4μm、K30%で印刷部の厚みは約5μm、K40%で印刷部の厚みは約7μm、K50%で印刷部の厚みは約10μmであった。
<ドット個数の計数及びドットサイズの確認>
実施例1~3で作製した粘着シートサンプルの印刷部側の面を、顕微鏡を用いて200倍に拡大した写真を撮影した。この顕微鏡写真の0.5mm角の領域を任意に3カ所選択してドットの個数を計数し、その平均値をドット個数の計数値とした。また、この顕微鏡写真から、ドットの直径の範囲を計測した。
<対SUS粘着力の測定>
剥離ライナーを剥がして粘着面を露出させた粘着シートを、360度の耐水ペーパーを用いて研磨したSUS鋼板に、JIS Z 0237に準拠する方法により貼り付けて粘着力を測定した。具体的には、幅25mmに裁断した粘着シートの試験片を被着体であるSUS鋼板に貼り付けてから2kgのローラーで2往復して圧着し、23℃、相対湿度50%で20分又は24時間静置した。これらの試験片を剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件で万能材料試験機を用いてSUS鋼板から剥離するのに要する力を粘着力(N/25mm)として測定した。
<ループタック値の測定>
粘着シートから幅25mm、長さ150mmの試験片を切り出した後、剥離ライナーを剥がして、当該剥離ライナーを2つに分割する。分割された幅25mmの剥離ライナーを、粘着剤層の露出面の両端部から25mm分のみを覆うようにそれぞれ貼り合わせた(試験片の粘着剤層の100mm分は露出させる)。試験片を、その粘着面側が外側となるように、引張試験機の上側つかみ部にループ状にセットした。引張試験機の下側つかみ部にSUS鋼板をセットした後、上側つかみ部を、下側つかみ部からの高さが20mmになるまで300mm/minの速度で降下させ、試験片の粘着面とSUS鋼板とを接触させた。接触直後に300mm/minの速度で上側つかみ部を元の位置まで上昇させ、試験片をSUS鋼板から引き剥がすのに要した引張荷重の最大値を測定した。測定を3回繰り返し、測定値の平均をループタック値として記録した。測定は、23℃、相対湿度50%の条件下で行った。
<復元試験>
剥離ライナーを剥がした粘着シートを電子天秤に載置し、印刷部が形成された粘着面にステンレス製の円柱(押圧手段)の底面を押し当てた。所定の荷重を10秒間加えてタックの有無を確認した後、時間をおいて粘着面にPETフィルムを貼り付けた。円柱による荷重はそれぞれ300g/cm、1000g/cm、2000g/cmとした。それぞれの場合で、円柱を剥離してから粘着面にPETフィルムが貼り付かなくなるまでの時間を測定した。
<保持力及び保持力持続時間の測定>
粘着シートから幅25mm、長さ100mmのサイズの試験片を切り出し、この試験片の一端における25mm×25mmの正方形部分をSUS鋼板に貼り付けた。SUS鋼板に貼り付けた当該正方形部分に対してスキージを用いて均一な力で強く圧着した。
次いで、粘着シートの正方形部分が上方に位置するようにSUS鋼板を垂直にし、この状態で下方に位置する粘着シートの他端側に1kgの重りを吊り下げた。この状態で、粘着シートが完全に剥がれるまでの時間を保持力持続時間として測定した。また、測定開始から5万秒経過時での粘着シートのズレ量(単位:mm)を、保持力を表す値として測定した。なお、測定は40℃で行った。
[測定結果]
表1に、粘着剤層を形成する硬化後の粘着剤組成物A~Eの貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接及びガラス転移温度を示す。
貯蔵弾性率と損失弾性率については、小さい方から粘着剤組成物E、粘着剤組成物A、粘着剤組成物B、粘着剤組成物C、粘着剤組成物Dの順となっていた。ガラス転移温度については、低い方から粘着剤組成物E、粘着剤組成物A、粘着剤組成物B、粘着剤組成物C、粘着剤組成物Dの順となっていた。
実施例1~20、比較例1~14及び参考例1に係る粘着シートの粘着力、ループタック値及び保持力の測定結果を表2~8に示す。
印刷部を設けない比較例1~10ではループタック値はいずれも1.0N/25mm以上であったのに対し、印刷部を設けた実施例1~21ではループタック値が1.0N/25mm未満となっており、印刷部を設けることでタック値が大幅に小さくなることが確認できた。印刷部が設けられた場合、実施例10~12、実施例13~15の結果から、粘着剤層の厚みが同じであれば印刷部の厚さが厚くなるにつれてタックが小さくなり、粘着力も小さくなる傾向にあることが分かった。実施例1~3、21と比較例14の比較から、貯蔵弾性率が低い場合でも印刷部の厚みを適切な範囲で厚くすること等によりタックを小さく、且つ粘着力を0.05N/25mm以上に調整できることが分かった。
実施例1と比較例11との比較、実施例2と比較例12との比較から、印刷部の厚みが同じで同じ粘着剤組成物を用いた場合、粘着剤層の厚みが薄い方がループタック値と粘着力を共に小さくできることが確認できた。また、粘着剤組成物の貯蔵弾性率が大きい程、保持力が強くなる傾向にあることが確認できた。
表9~12にタックの復元試験の結果を示す。
表9~11に示す復元試験の結果、300g/cmの荷重を10秒間加えてタックが生じた場合でも、実施例1、3~9、11~15、17、20で作製された粘着シートでは2分以内にタックの小さい又はタックが無い状態に戻ることが確認できた。2000g/cmの荷重を10秒間加えてタックが生じた場合でも、これらの粘着シートでは3分以内にタックの小さい又はタックが無い状態に戻ることが確認できた。荷重を大きくするにつれてタックが無くなるまでの時間が長くなる傾向にあった。
印刷部厚みが2μmである粘着シートの印刷部における、ドット数及びドットサイズ(ドット径)の計測結果と顕微鏡写真とを図6に示す。
図6に示すように、インク量がK10%(印刷部の厚みが約2μm)の場合には、印刷部は大小の多数のドットにより構成されていることが確認できた。ここで、百分率表記されたK値は、インク量を示す値であって、今回使用したUVインクジェットプリンタの専用ソフトウェアで使用される用語である。0.5mm角の領域に含まれる大小合わせたドットの平均個数はいずれの試験片でも5個以上であることが確認できた。ドット径は、大ドットで23μm~30μm程度、小ドットで14μm~18μm程度であった。なお、インク量が増えるに従ってドットの密度は増えると考えられるが、インク量がK30%を越えるとドット同士の重なりが増えてドット数の計数は困難になった。
本明細書に開示された粘着シートは、ラベルやグラフィック用シート、部材固定用シート、各種保護シート、物品の仮固定シート等として種々の分野で利用可能である。
1 基材
3 粘着剤層
5 印刷部
5A 第1の印刷部
5B 第2の印刷部
7 剥離ライナー
10、20、30 粘着シート
12 印刷領域
15 ドット
17 第2の剥離ライナー
20 粘着シート
23 ヘッド

Claims (15)

  1. 粘着剤層と、
    前記粘着剤層の少なくとも一方の面に形成された印刷部とを備え、
    前記印刷部は、インク硬化物により形成されており、印刷範囲として前記粘着剤層に1つ以上設定された印刷領域上に設けられており、
    前記印刷領域での前記粘着剤層のSUS鋼板に対するループタック値は、1.0N/25mm未満であり、
    前記印刷領域での前記粘着剤層のSUS鋼板に対する23℃、貼り合わせ時の荷重2kg、相対湿度50%、剥離角度180度における24時間経過時の粘着力は、0.05N/25mm以上であり、
    前記粘着剤層の23℃、周波数1Hzでの貯蔵弾性率が9.0×104Pa以上2.0×106Pa以下であり、
    前記印刷部は、前記印刷領域上に不規則に配置されたドットを含んでおり、
    押圧手段を用いて300g/cm 2 の荷重を10秒間加えた直後の前記印刷領域では前記粘着剤層のSUS鋼板に対する第1のタック値が生じ、
    前記荷重の印加後、前記押圧手段から剥離して2分経過した際にはPETフィルムに対するタックが消失する、粘着シート。
  2. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    少なくとも一部の印刷領域では、端部から内側に向かうに従って粘着力が強くなる粘着シート
  3. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    押圧手段を用いて2000g/cm2の荷重を10秒間加えた直後の前記印刷領域では前記粘着剤層のSUS鋼板に対する第3のタック値が生じ、
    前記荷重の印加後、前記押圧手段から剥離して3分経過した際にはPETフィルムに対してタックが消失するか、前記第3のタック値よりも小さい第4のタック値が残るかのいずれかである粘着シート。
  4. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    前記印刷部では、荷重を加えることにより前記粘着剤層の構成成分が浸み出す粘着シート。
  5. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    前記印刷領域での40℃、5万秒経過時のズレ量が1mm以下である粘着シート。
  6. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    前記印刷部の平均厚みは0.1μm以上20μm以下である粘着シート。
  7. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    前記印刷領域の合計面積は、前記粘着剤層の少なくとも一方の面の1%以上100%以下を占めている粘着シート。
  8. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    前記印刷部は、厚さが部分的に異なっている粘着シート
  9. 請求項に記載の粘着シートにおいて、
    前記印刷部は、0.5mm四方当たり平均5個以上の前記ドットを含んでおり、
    前記ドットの直径は、0.1μm以上50μm以下である粘着シート。
  10. 請求項1~9のうちいずれか1項に記載の粘着シートにおいて、
    前記印刷部は、光硬化型インク又は電子線硬化型インクの硬化物により形成されている粘着シート。
  11. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    前記粘着剤層のガラス転移温度は-50℃以上である粘着シート。
  12. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    前記印刷部は前記粘着剤層の一方の面に形成されており、
    前記粘着剤層の面のうち、前記印刷部が設けられた面と反対側の面に設けられたシート状の基材をさらに備えている粘着シート。
  13. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    基材を備えておらず、前記粘着剤層の両面がそれぞれ被着体への粘着面となっている粘着シート。
  14. 請求項1に記載の粘着シートにおいて、
    前記印刷部は、インクジェット方式により塗布されたインクを硬化させることにより形成されたものである粘着シート。
  15. 23℃、周波数1Hzでの貯蔵弾性率が9.0×104Pa以上2.0×106Pa以下である粘着剤層を形成する工程と、
    前記粘着剤層の少なくとも一方の面に設定された印刷領域上に、インクジェットプリンタを用いてインク硬化物により形成された印刷部を設ける工程とを備えた粘着シートの製造方法であって、
    前記印刷領域での前記粘着剤層のSUS鋼板に対するループタック値は、1.0N/25mm未満であり、
    前記印刷領域での前記粘着剤層のSUS鋼板に対する23℃、貼り合わせ時の荷重2kg、相対湿度50%、剥離角度180度における24時間経過時の粘着力は、0.05N/25mm以上であり、
    前記印刷部を設ける工程では、前記印刷領域上に不規則に配置されたドットを含む前記印刷部を形成し、
    押圧手段を用いて300g/cm 2 の荷重を10秒間加えた直後の前記印刷領域では前記粘着剤層のSUS鋼板に対する第1のタック値が生じ、前記荷重の印加後、前記押圧手段から剥離して2分経過した際にはPETフィルムに対するタックが消失する、粘着シートの製造方法。
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