JP2019065190A - 加圧接着型粘着テープ、建築用面構造、及び接着方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘着テープを被着体に一旦貼り付けた後でも、容易に貼り直しを行うことが可能な加圧接着型粘着テープを提供する。【解決手段】加圧接着型粘着テープ10は、粘着剤層11と、粘着剤層11の少なくとも一方の面11Aに設けられたマスキング部材12とを備え、マスキング部材12が、粘着剤層11の表面を部分的に被覆するように一方の面11Aに設けられる、。【選択図】図1

Description

本発明は、加圧接着型粘着テープ、加圧接着型粘着テープにより各種の構造用面材を支持体に固定した建築用面構造、及び加圧接着型粘着テープを使用した接着方法に関する。
従来、建築物の施工において、合板、化粧材、石膏ボード、セメント板などの各種構造用面材は、接着剤により、木枠材などの支持体に貼付されることが一般的である。また、近年、施工の容易性を考慮して、構造用面材は、接着剤の代わりに粘着テープにより支持体に貼付することも多くなってきている。さらには、接着性の確保の観点から、接着剤と粘着テープを併用することも試みられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−77687号公報
建築物の施工現場において、石膏ボードなどの構造用面材は、支持体に貼付した後、位置調整のために剥がされ、貼り直しを行うことがある。しかし、粘着テープを使用する場合、構造用面材は、貼付後に剥がすことが難しいことがあり、位置調整を行うことが困難なことが多い。
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、粘着テープを被着体に一旦貼り付けた後でも、容易に貼り直しを行うことが可能な加圧接着型粘着テープ、及びその加圧接着型粘着テープを利用した建築用面構造及び接着方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、加圧接着型粘着テープにおいて、粘着剤層の少なくとも一方の面に特定の構造を有するマスキング部材を配置することで上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[15]を提供する。
[1]粘着剤層と、前記粘着剤層の少なくとも一方の表面に設けられたマスキング部材とを備え、前記マスキング部材が、前記粘着剤層の表面を部分的に被覆するように設けられる、加圧接着型粘着テープ。
[2]前記マスキング部材が、一方向又は複数方向に配列された繊維を有する上記[1]に記載の加圧接着型粘着テープ。
[3]前記マスキング部材が、引き抜き可能な少なくとも1本の繊維を有する上記[1]又は[2]に記載の加圧接着型粘着テープ。
[4]前記マスキング部材が、引き抜く際のせん断接着力が50N/本以下である繊維を有する上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
[5]前記マスキング部材は、太さが15〜1000dtexで、引張弾性率が15〜300GPaである繊維からなる上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
[6]前記マスキング部材が、前記粘着剤層の表面全体の5〜50%を被覆している上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
[7]前記粘着剤層の厚さが100〜5000μmである上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
[8]粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率が50万Pa以下である上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
[9]両面粘着テープである上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
[10]構造用面材と、支持体と、前記構造用面材と前記支持体の間に配置され、前記構造用面材を前記支持体に固定させる、上記[9]に記載の両面粘着テープとを備える建築用面構造
[11]前記構造用面材が、石膏ボードである上記[10]に記載の建築用面構造。
[12]前記両面粘着テープは、前記マスキング部材が設けられた面が構造用面材に接着される上記[10]又は[11]に記載の建築用面構造。
[13]上記[1]〜[9]のいずれか1項に記載の粘着テープを、被着体に接着する接着方法であって、前記粘着テープの前記マスキング部材が設けられた面側を前記被着体に接着する接着方法。
[14]前記マスキング部材が、引き抜き可能な繊維を含み、
前記粘着テープを被着体に貼付した後、前記引き抜き可能な繊維を引き抜く、上記[13]に記載の接着方法。
本発明では、特定のマスキング部材を有する加圧型粘着テープを用いることで、被着体に粘着テープを貼り付けた後でも、容易に貼り直しを行うことが可能になる。
本発明の加圧接着型粘着テープの一実施形態を示す模式的な断面図である。 本発明の加圧接着型粘着テープの別の実施形態を示す模式的な断面図である。 本発明の加圧接着型粘着テープの別の実施形態を示す模式的な断面図である。 本発明の加圧接着型粘着テープを使用した接着方法を示す模式的な断面図である。 本発明の加圧接着型粘着テープを使用した接着方法を示す模式的な断面図である。 本発明の建築用面構造の一実施形態を示す模式的な正面図である。 本発明の建築用面構造の一実施形態を示す模式的な断面図である。 本発明の建築用面構造の別の実施形態を示す模式的な断面図である。
以下、本発明について実施形態を用いてさらに詳細に説明する。
<加圧接着型粘着テープ>
本発明の加圧接着型粘着テープ(以下、単に「粘着テープ」ということがある)10は、図1〜3に示すように、粘着剤層11と、粘着剤層11の表面11Aの上に設けられたマスキング部材12とを備える。マスキング部材12は、粘着剤層11の表面11Aを部分的に被覆するように設けられたものである。
マスキング部材12は、後述するように、例えば、繊維材料からなり、複数の繊維12Aを有する。マスキング部材12は、粘着剤層11よりも接着力が低い微粘着性であってもよいし、接着力を有しない非粘着性であってもよい。
粘着テープ10は、図1に示すように、好ましくは、基材レス両面粘着テープとなるものである。基材レス両面粘着テープは、粘着剤層11を支持する基材がなく、粘着剤層11の両表面11A、11Bが被着体に接着される接着面となり、表面11Aにマスキング部材12が設けられる。
ただし、粘着テープ10は、図2に示すように、基材13を備え、その基材13の両面に粘着剤層11、11が設けられた両面粘着テープであってもよい。この粘着テープ10では、各粘着剤層11、11の表面11A、11Bが被着体に接着される接着面となり、表面11Aにマスキング部材12が設けられる。
両面粘着テープに使用する基材13としては、不織布、和紙等の紙、天然繊維、合成繊維等からなる織布、ポリエステル、ポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、アセテート等からなる樹脂フィルム、フラットヤーンクロスなどが挙げられる。
さらに、粘着テープ10は、図3に示すように、基材13の一方の面のみに粘着剤層11が設けられた片面粘着テープであってもよい。片面粘着テープにおいても、粘着剤層11の表面11Aにはマスキング部材12が設けられる。
片面粘着テープの基材13としては、上記した両面粘着テープに使用する各種基材を使用すればよいが、上記した中では樹脂フィルムを使用することが好ましい。
なお、図1、2に示す両面粘着テープは、接着面の一方の面(表面11A)のみにマスキング部材12が設けられたが、表面11Bにもマスキング部材12が設けられてもよい。
また、粘着テープ10の最表面(例えば、マスキング部材12の表面又は粘着剤層11の表面11B)には、剥離シートが貼付されてもよい。粘着テープ10は、剥離シートを剥離した後に被着体に貼着されるものである。剥離シートとしては、樹脂フィルムの一方の面にシリコーン剥離剤等の剥離剤により剥離処理したものなどが使用され、剥離シートは剥離処理面が粘着剤層又はマスキング部材に接触するように貼付される。粘着テープ10は、剥離シートにより接着面が保護される。
なお、図1〜3に示す粘着テープ10は、マスキング部材12全体が粘着剤層11の表面11Aの上側に位置する態様が示されるが、マスキング部材12は、粘着テープ10の表面において、少なくとも一部が露出している限り、一部が粘着剤層11の中に入り込んだ構造を有していてもよい。このような構造によれば、粘着テープ10は、粘着剤層11とマスキング部材12の両方を被着体20の表面に容易に接触させることが可能になる。
本発明では、少なくとも、粘着テープ10のマスキング部材12が設けられた面側を被着体に接着すればよいが、その接着方法は、例えば以下に示す方法で行われるとよい。
まず、粘着テープ10を被着体に対して仮接着させるとよい。具体的には、粘着テープ10のマスキング部材12が設けられた面を被着体に貼り合わせ、粘着剤層11の表面11Aが部分的に被着体に接触するように粘着テープ10に比較的弱い圧力を付すとよい。このとき、粘着テープ10は、マスキング部材12を有することで、一旦被着体に接着させられても、容易に剥離され、位置調整を自由に行うことが可能である。
その後、貼り合わせ位置が決められると、本接着を行うとよい。本接着は、長期間にわたって粘着テープ10を被着体20に接着させるために、強固に被着体に接着させることである。具体的には、粘着テープ10に、押圧などにより比較的強い圧力を加え、図4に示すように、マスキング部材12が粘着剤層11内部に入り込んだ構造とすればよい。これにより、粘着剤層11は、被着体20に対する接触面積が大きく、かつ被着体20に押さえ付けられるように接着し、粘着テープ10が被着体20に強固に接着されることになる。
なお、図4では、基材レス粘着テープの例が示されるが、他の粘着テープでも同様である。また、図4は、説明の簡略化のために、粘着剤層11のマスキング部材12が設けられない側の表面11Bには被着体が貼り合わされていないが、一般的には別の被着体が貼り合わされている。
次に、本発明の粘着テープを構成するマスキング部材及び粘着剤層についてより詳細に説明する。
[マスキング部材]
本発明のマスキング部材は、上記したように微粘着性、非粘着性を有する材料で構成される。マスキング部材は、粘着剤層の表面を部分的に被覆するものであるが、好ましくは粘着剤層の表面全体の5〜50%を被覆する。5%以上被覆することで、一旦被着体に貼付した粘着テープを、位置調整などのために貼り直ししやすくなる。また、50%以下とすることで、粘着剤層の過半の部分が露出することになるので、粘着テープの接着性が良好になる。また、接着性、貼り直し性などをバランスよく良好にする観点から、マスキング部材は、粘着剤層の表面全体の20〜50%を被覆することがより好ましい。
本発明において、マスキング部材は、繊維を有する繊維材料から構成されることが好ましい。マスキング部材に使用される繊維材料は、一方向又は複数方向に配列された繊維を有することがより好ましい。一方向又は複数方向に配列された繊維は、長繊維、ヤーン、ストランド、フィラメントなどと呼ばれるもので、十分な長さを有する糸状部材である。各方向に配列される繊維(糸状部材)は、通常、所定の方向に沿って延在していればよい。繊維は、延在する方向において、例えば、粘着テープの長さの半分程度以上の長さを有していればよく、粘着テープと同じ長さを有していてもよい。
繊維の形状は、特に限定されず、矩形、方形などの四角形状、その他の多角形状、円形、楕円形、不定形などであってもよい。
マスキング部材において繊維は、少なくとも1本が引き抜き可能であることが好ましい。引き抜き可能であるとは、粘着テープを被着体に貼付した状態で、粘着テープの外周部に配置された繊維の端部を人手により引っ張ると、繊維が引き抜かれることを意味する。
このような構成によれば、粘着テープ10を被着体20に貼付した後、マスキング部材12の繊維12Aの少なくとも一本を引き抜き、その後、粘着テープ10が押圧などされて、被着体20に向かう圧力が加えられると、図5に示すように、繊維が引き抜かれないときに比べて、被着体20に対する粘着剤層11の接着面積が大きくなる。また、繊維を引き抜くことで、繊維による反発も抑えられる。そのため、本発明では、繊維を引き抜くことで、本接着における粘着テープ10の被着体20に対する接着力が向上する。
すなわち、本発明では、例えば、位置調整が終わった後に、繊維12Aの少なくとも1本を引き抜き、その後、粘着テープ10を押圧などすることで本接着させると、本接着における被着体20に対する粘着テープ10の接着力が向上する。そのため、マスキング部材12を設けたことによる、本接着における接着力の低下や粘着テープ10の剥がれなどを防止することが可能となる。
なお、繊維を引き抜くとき、粘着剤層には凝集破壊が生じないことが好ましい。また、マスキング部材12において、繊維(糸状部材)は、より好ましくは2本以上、さらに好ましくは5本以上、よりさらに好ましくは10本以上引き抜き可能である。また、引き抜き可能な繊維の上限は、特に限定されず、マスキング部材12の全ての繊維が引き抜き可能であってもよい。
そして、粘着テープ10を被着体20に貼付した後、マスキング部材12の繊維12Aを引き抜くとき、引き抜く繊維の本数は、1本以上であればよいが、より好ましくは2本以上、さらに好ましくは5本以上、よりさらに好ましくは10本以上である。また、引き抜く繊維の本数の上限は、特に限定されず、マスキング部材12の全ての繊維を引き抜いてもよい。
粘着テープにおいて、マスキング部材の繊維の少なくとも1本(すなわち、上記した引き抜き可能な繊維)は、繊維を引き抜くときのせん断接着力が50N/本以下であることが好ましい。せん断接着力を50N/本以下とすると、繊維を人手により容易に引き抜くことが可能になる。また、繊維を引き抜くときに粘着剤層に凝集破壊が生じることが防止される。
上記せん断接着力は、少ない抵抗で繊維を引き抜けるように、20N/本以下がより好ましい。また、粘着テープ使用前などに、繊維が粘着剤層から抜け落ちたりすることを防止するために、せん断接着力は、0.5N/本以上が好ましく、1.0N/本以上がより好ましい。
なお、引き抜き時のせん断接着力は、例えば、後述する繊維の太さ、繊維の引張弾性率により調整可能である。具体的には、繊維の太さが大きくなると、繊維と粘着剤層との接着面積が大きくなり、せん断接着力も大きくなる傾向にある。また、例えば、引張弾性率を低くしすぎたり、高くしすぎたりすると、せん断接着力は上記範囲内に調整しにくくなる。さらには、粘着剤層の貯蔵弾性率を適宜変更することでも調整可能である。例えば、貯蔵弾性率を一定値以下とすると、せん断接着力も上記上限値以下に調整しやすくなる。
なお、繊維の太さ、引張弾性率、及び粘着剤層の貯蔵弾性率の好適な範囲は、後述するとおりであり、これらを好適な範囲内に調整することで、引き抜き時のせん断接着力を上記した範囲内に調整しやすくなる。また、粘着テープ製造時、粘着剤層にマスキング部材を押し付けるときの圧力、温度条件などによっても適宜調整可能である。
また、引き抜き可能な繊維は、粘着テープの外周部からはみ出すように設けられてもよい。はみ出すように設けられると、そのはみ出し部分を引っ張ることで、容易に繊維を引き抜くことが可能になる。また、はみ出し部分が設けられるような場合には、同じ方向に配列された2本以上の繊維のはみ出し部分が互いに接続されてもよい。このように複数のはみ出し部分が接続されると、1回の引き抜き作業で複数本の繊維を引き抜くことが可能になる。
また、マスキング部材の繊維は、太さが15〜1000dtexであるとともに、引張弾性率が15〜300GPaであることが好ましい。繊維の太さ及び引張弾性率をこれら範囲内とすることで、粘着剤層の接着性を大きく損なうことなく、引き抜き時のせん断接着力を適切な大きさにして、繊維を引き抜くときの作業性(引き抜き作業性)を良好にすることが可能である。さらには、粘着テープを一旦被着体に貼付した後でも、被着体から剥離させて貼り直すことが容易となり、被着体の位置調整を行いやすくなる。なお、上記繊維の太さ及び引張弾性率は、任意の30本の繊維の平均値である。
接着性、引き抜き作業性などをバランスよく優れたものにする観点から、上記太さは、800dtex以下がより好ましく、600dtex以下がさらに好ましい。また、引張弾性率は200GPa以下がより好ましく、150GPa以下がさらに好ましい。
さらに、貼り付け後の位置調整をより容易にする観点からは、上記太さは、30dtex以上がより好ましく、150dtex以上がさらに好ましく、300dtex以上がさらに好ましい。また、引張弾性率は、30GPa以上が好ましく、60GPa以上がより好ましい。
上記したように繊維材料の具体例としては、長繊維、ヤーン、ストランド、フィラメントなどの繊維(糸状部材)を、一方向又複数方向に配列させたものが挙げられる。
また、複数方向に配列された繊維は、通常互いに交差するが、引き抜き性を良好にする観点から、繊維同士は互いに固定や束縛などされなくてもよい。ただし、引き抜き性を阻害しない範囲で、また、引き抜き性を必要としない場合などでは、織り込まれたり、接着されたりして互いに固定などされてもよい。すなわち、繊維材料としては、織布、組布などであってもよい。
織布としては、長繊維、ヤーン、ストランド、フィラメントなどの糸状部材を、経糸及び緯糸として織り込んだものが挙げられる。組布としては、二方向以上に配列され、かつ互いに交差するように積層して糸状部材を網目状に配置し、交差する糸状部材同士を接着剤などで固定したものが挙げられる。なお、交差する糸状部材は、少なくとも一方を引き抜き可能とする場合には、接着剤によって微接着するとよい。また、接着される部分と接着されない部分や、微接着部分と強接着部分とを混在させることで、一部の繊維のみを引き抜き可能としてもよい。
また、組布の具体例としては、フラットヤーンクロスが好ましい。フラットヤーンクロスは、複数本のフラットヤーンが2軸方向、例えば、縦方向及び横方向に配列し、互いに交差して格子目状に形成されていてもよいし、複数本のフラットヤーンが3軸方向又はそれ以上の方向(例えば、4軸方向)に配列して、互いに交差して格子目状に形成されていてもよい。複数本のフラットヤーンが2軸方向に配列され、互いに交差している場合、互いの軸が直角に交差していてもよいし、直角以外の角度で交差していてもよい。また、例えば、複数本のフラットヤーンが3軸方向に交差している場合は、フラットヤーンの縦方向、横方向及び斜め方向の3方向に配列され、互いに交差している場合や、横方向及びこの横方向に対して両斜め方向の3方向に交差している場合が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、織布や組布としては、上記した比率で粘着剤層を部分的に被覆できるように、比較的目が粗いものを使用すればよい。例えば織布であればいわゆるガーゼと呼ばれるものを使用することが好ましい。また、フラットヤーンクロスでは、2軸方向に配列しているものが好ましい。
繊維材料の素材としては、特に限定されず、例えばポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、PBT繊維、レーヨンなどの合成繊維、綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維が挙げられる。
本発明のマスキング部材は、例えば、粘着剤層の少なくとも一方の表面の上に、繊維を一方向又は複数の方向に配列して、その繊維を適宜押し付けるなどすることで得ることができる。また、マスキング部材が織布又は組布である場合には、粘着剤層の少なくとも一方の表面上に織布又は組布を配置し、織布又は組布を粘着剤層に適宜押し付けるなどすることで得ることもできる。
[粘着剤層]
本発明の粘着剤層は、例えば、25℃における貯蔵弾性率が15万Pa以上が80万Pa以下となるものであるが、50万Pa以下であることが好ましい。貯蔵弾性率を50万Pa以下とすることで、マスキング部材の繊維が容易に粘着剤層中に入り込み、被着体に接着する際、マスキング部材と粘着剤層の両方を被着体に接触させやすくなる。また、粘着剤層の粘着性が優れたものとなり、初期貼り付け性が良好となるとともに、粘着テープを本接着した後の接着性が十分に維持され、接着保持性が良好となる。さらに、粘着剤層が必要以上に硬くなることが防止され、引き抜き作業性が悪化することが防止される。
また、25℃における貯蔵弾性率は、15万Pa以上が好ましく、30万Pa以上がより好ましい。
貯蔵弾性率をこれら下限値以上とすることで、弾性率が適度に高くなる。そのため、例えば、後述するように、建築用途において粘着テープによって構造用面材を支持体に固定させる場合には、支持体や構造用面材に振動などによる外力が加わっても、構造用面材が支持体から脱落する不具合などが生じにくくなる。
また、貯蔵弾性率を上記下限値以上、及び上限値以下とすることで、粘着テープの曲面や、粗面への貼り付け性も良好となる。さらに、繊維を引き抜いた後、粘着剤層の復元力により、粘着剤が被着体表面に接触しやすくなり、引き抜き後の接着力を、引き抜き前の接着力に比べて大きくしやすくなる。
なお、本発明の粘着剤層は、後述するアクリル系粘着剤を使用することで、貯蔵弾性率を上記した範囲内に調整しやすくなる。
本発明の粘着剤層は、その厚さが100〜5000μmであることが好ましい。厚さを100μm以上とすることで、上記したマスキング部材の繊維が粘着剤層の内部に入り込みやすくなる。そのため、本接着などにおいて粘着剤層が被着体に十分に接触し、高い接着力で粘着テープを被着体に接着することが可能になる。
また、厚さを5000μm以下とすることで、マスキング部材が粘着剤層内部に必要以上に入り込んで、繊維の引き抜き作業性が低下したり、マスキング部材の被着体に対する接触面積が少なくなったりすることを防止する。また、粘着剤層の接着保持性も良好にしやすくなる。
初期貼り付け性、接着保持性などの各種の接着性能を優れたものにする観点から、粘着剤層の厚さは300μm以上がより好ましく、600μm以上がさらに好ましい。
また、引き抜き作業性、接着保持性を優れたものにする観点から、粘着剤層の厚さは、3000μm以下がより好ましく、1500μm以下がさらに好ましい。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらは単独で使用してよいし、組み合わせて使用してもよい。これらの中では、貯蔵弾性率を上記範囲内に調整しやすくなる観点から、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。
(アクリル系粘着剤)
以下、粘着剤層に使用されるアクリル系粘着剤の一実施形態についてより詳細に説明する。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)を含む重合性モノマーを重合したアクリル系重合体を含有する粘着剤である。
なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、アクリル酸アルキルエステル、及びメタクリル酸アルキルエステルの両方を含む概念を指すものであり、他の類似の用語も同様である。また、用語「重合性モノマー」は、繰り返し単位を有しない化合物のみならず、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)と共重合する化合物であれば、後述するオレフィン重合体(C)などのモノマー自身が繰り返し単位を有するものも含みうる概念を指す。
[(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)]
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)は、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数が、好ましくは2〜14、より好ましくは4〜10である脂肪族アルコールに由来するアルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数がこの範囲内であると、粘着剤層のガラス転移温度(Tg)を適切な温度範囲にして、貯蔵弾性率を上記した範囲に調整しやすくなる。
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位は、粘着剤において主成分を構成するものであって、その含有量は、粘着剤全量基準で一般的に30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45重量%以上である。このように、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量を多くすると、粘着剤に所望の粘着力を付与することが可能になる。
なお、粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位の含有量は、後述する粘着剤組成物における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量と実質的に同じであるので、置き換えて表すことができる。以下で説明する(B),(C)成分など、(A)成分以外の成分も同様である。
[極性基含有ビニルモノマー(B)]
重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)に加えて、極性基含有ビニルモノマー(B)を含有することが好ましい。極性基含有ビニルモノマー(B)は、極性基とビニル基を有するものである。粘着剤層に極性基含有モノマー(B)を用いることで、粘着剤層のTg、凝集力、接着力などを調整しやすくなる。
極性基含有ビニルモノマー(B)としては、例えば、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸が更に好ましい。これらの極性基含有ビニルモノマー(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性基含有ビニルモノマー(B)を使用する場合、粘着剤において極性基含有ビニルモノマー(B)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは2〜12質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。極性基含有ビニルモノマー(B)の含有量をこのような範囲内とすることで粘着剤層のTg、凝集力、接着力などを適切な範囲に調整しやすくなる。
[オレフィン重合体(C)]
重合性モノマーは、さらに末端に重合性結合を有するオレフィン重合体(C)を含むことが好ましい。このようなオレフィン重合体(C)を使用することで、例えば、上記した貯蔵弾性率を所望の範囲に調整しやすくなる。なお、重合性結合は、重合性モノマーと重合することが可能な不飽和の炭素−炭素結合を意味し、例えば不飽和二重結合が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
オレフィン重合体(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられ、例えば、片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィン、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられる。なお、ポリオレフィンとは、エチレン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、イソプレンなどの二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物の重合体、又はその水素添加物である。
片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンとしては、例えば、片末端にエポキシ基を有するポリエチレンと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより調製された、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリエチレン等が挙げられる。また、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が挙げられ、その市販品として株式会社クラレ製の「L−1253」等が挙げられる。
また、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体としては、例えば、両末端にエポキシ基を有するポリプロピレンと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより調製された、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリプロピレン等が挙げられる。また、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が挙げられ、その市販品としては、日本曹達株式会社製の「TEAI−1000」、「EA−3000」、「TE−2000」、大阪有機化学工業株式会社製の「BAC−45」等が挙げられる。オレフィン重合体(C)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィン重合体(C)としては、上記した中では、両末端又は片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが好ましく、中でも両末端又は片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が好ましい。
なお、オレフィン重合体(C)として、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンなどを使用すると、アクリル系重合体を網目状に重合することが可能となる。そのため、粘着剤の凝集力を高めやすくなり、貯蔵弾性率を上記所望の範囲に調整しやすくなる。
さらに、凝集力、剪断強度、貯蔵弾性率などを良好にする観点から、オレフィン重合体(C)としては、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体と、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体とを併用することが好ましい。
オレフィン重合体(C)は、その数平均分子量が好ましくは500〜20000、より好ましくは1000〜10000である。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出すればよい。
また、粘着剤においてオレフィン重合体(C)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましく、4〜12質量部がさらに好ましい。
[多官能モノマー(D)]
また、重合性モノマーは、さらに多官能モノマーを含有することが好ましい。そして、重合性モノマーは、上記モノマー(A)〜(D)の全てを含有することが好ましい。多官能モノマーとしては、ビニル基を2つ以上有するモノマーが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーを使用すると、アクリル系重合体に網目構造を形成することが可能になり、貯蔵弾性率を所望の範囲内に調整しやすくなる。
具体的な多官能モノマーとしては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトシキ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトシキ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジアクリレート等が挙げられる。
多官能モノマー由来の構成単位の含有量は、粘着剤層の貯蔵弾性率を所望の範囲に調整する観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、0.01〜12質量部、より好ましくは0.05〜7質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部である。
[その他のモノマー]
重合性モノマーは、上記した(A)〜(D)以外のその他のモノマーを含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、スチレン系モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、及びp−メチルスチレン等が挙げられる。
その他のモノマーを使用する場合、粘着剤において、その他のモノマー由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、0.5〜15質量部、より好ましくは1〜7質量部、更に好ましくは1〜5質量部である。
[粘着付与樹脂]
アクリル系粘着剤は、粘着力を向上させる観点から、粘着付与樹脂を含有してもよい。粘着付与樹脂としては、水添テルペン樹脂、水添ロジン、不均化ロジン樹脂、石油樹脂等の重合阻害性の低い粘着付与樹脂が好ましい。これらの中でも、粘着付与樹脂が二重結合を多く有していると重合反応を阻害することから、水添系のものが好ましく、中でも水添石油樹脂が好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点は、粘着剤の凝集力及び粘着力を向上させる観点から、95℃以上程度であればよいが、120℃以上のものを含むことが好ましく、例えば、95℃以上120℃未満のものと、120℃以上150℃以下のものとを併用してもよい。なお、軟化点は、JISK2207に規定される環球法により測定すればよい。
アクリル系粘着剤における粘着付与樹脂の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは7〜35質量部、さらに好ましくは10〜25質量部である。
[微粒子]
アクリル系粘着剤は、微粒子を含有してもよい。微粒子を含有させることで、粗面である木枠材などの支持体及び構造用面材に対する接着力、並びに、粘着剤の凝集力を向上させることができる。
微粒子としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、及びフライアッシュバルーン等の無機質中空粒子、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、及びフェノール樹脂等からなる有機質中空粒子、ガラスビーズ、シリカビーズ、及び合成雲母等の無機質微粒子、ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレン等の有機質微粒子が挙げられる。
アクリル系粘着剤における微粒子の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.7〜5質量部である。
[その他の成分]
本発明において用いるアクリル系粘着剤は、前述した成分以外にも、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、光重合開始剤、難燃剤等の粘着剤に従来使用されている各種の添加剤を含有してもよい。
[ゲル分率]
上記アクリル系粘着剤のゲル分率は、30〜80質量%が好ましい。ゲル分率を下限値以上とすることで、粘着剤の凝集力を高めやすくなる。また、上限値以下とすることで、粘着剤の粘着力を高めやすくなる。また、ゲル分率をこれら範囲内とすることで、貯蔵弾性率を上記した範囲内に調整しやすくなる。これら観点からゲル分率は、40〜70質量%が好ましく、45〜65質量%がより好ましい。
ゲル分率は、例えば、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C),多官能モノマーの配合の有無、及び配合量を適宜調整することで上記した範囲内に調整することが可能である。なお、ゲル分率は下記式(1)より算出することができる。
ゲル分率(質量%)=(B/A)×100 式(1)
A:粘着剤層(試験片)の重量
B:40℃のテトラヒドロフランに粘着剤層(試験片)を48時間浸漬し、その後の粘着剤層の不溶解分の乾燥重量
(粘着剤層の製造方法)
粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤を使用する場合には、上記した重合性モノマーを含む粘着剤組成物に光を照射して、重合性モノマーを重合させることで得ることが可能である。また、粘着剤組成物は、必要に応じて上記した粘着付与樹脂、微粒子、及びその他の成分の少なくとも1種を含んでいてもよい。
より具体的に説明すると、まず、重合性モノマー、さらに必要に応じて配合される粘着付与樹脂、微粒子、その他の成分を、ガラス容器等の反応容器に投入して混合して、粘着剤組成物を得る。
次いで、粘着剤組成物中の溶存酸素を除去するために、一般に窒素ガス等の不活性ガスを供給して酸素をパージする。そして、粘着剤組成物を剥離シート上に塗布するか、又は、樹脂フィルム、織布、不織布等の支持体などに塗布した後、光を照射し重合性モノマーを重合することにより粘着剤層を得ることができる。
前記粘着剤組成物の塗布もしくは含浸から光を照射する工程までは、不活性ガス雰囲気下、又はフィルム等により酸素が遮断された状態で行うことが好ましい。
なお、本製造方法では、各成分を混合して得た粘着剤組成物は、粘度を高くするために、剥離シート又は支持体などに塗布する前に予備重合をしてもよい。
粘着剤組成物に光を照射する際に用いることができるランプとしては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウエーブ励起水銀灯、及びメタルハライドランプ等が挙げられる。これらの中でも、ケミカルランプが好ましい。粘着剤組成物に対して光を照射する際の光照射強度は、光重合開始剤の有無等によっても異なるが、0.1〜100mW/cm2程度が好ましい。
(ゴム系粘着剤)
ゴム系粘着剤は、ゴム成分と、粘着付与樹脂を含有するものであり、ゴム成分としては、スチレン−イソプレンブロック共重合体を使用することが好ましい。スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が好ましくは25〜70質量%、より好ましくは30〜65質量%、さらに好ましくは45〜60重量%である。ここでジブロックとは、スチレンとイソプレンとからなるジブロックのことをいう。スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が25%以上となることで十分な粘着力が発現し、また、70質量%以下とすることで剪断強度を高めやすくなる。なお、スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック以外にも、スチレン、イソプレン、スチレンブロックからなるトリブロックなどブロックを3つ以上有するものも含有する。
スチレン−イソプレンブロック共重合体におけるスチレン量は、特に限定されないが、14〜24質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜18質量%である。スチレン量が14質量%以上であると、凝集性の高い粘着剤となり、剪断強度を高めやすくなる。また、24質量%以下とすると、凝集力が適度な大きさとなり粘着力を発現しやすくなる。
スチレン−イソプレンブロック共重合体の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量で100,000〜400,000が好ましく、150,000〜250,000がより好ましい。なお、ここでいう質量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定されるものをいう。
ゴム系粘着剤に使用される粘着付与樹脂は、各種の粘着付与樹脂が使用可能であるが、好ましくは石油系樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂を使用する。粘着付与樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用することが好ましい。このような粘着付与樹脂の組み合わせにより粘着力を優れたものにしやすくなる。
石油系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、スチレン−イソプレンブロック共重合体との相溶性の観点から脂肪族系石油樹脂が好ましい。また、石油系樹脂は、軟化点が90〜120℃程度のものを使用することが好ましい。
また、テルペン樹脂としては、軟化点が80〜120℃程度のものが使用可能であるが、粘着力確保の観点から100℃未満のものが好ましい。また、クマロン樹脂としては、凝集力確保のために、軟化点が好ましくは110〜130℃、より好ましくは115〜125℃のものを使用する。
粘着付与樹脂はゴム成分100質量部に対して60〜250質量部が好ましく、100〜200質量部がより好ましく、110〜180質量部がさらに好ましい。粘着付与樹脂の配合量を上記範囲内とすることで、凝集力を良好にして適度な粘着力を付与できるようになる。
また、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用する場合、石油系樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、50〜200質量部が好ましく、60〜150質量部が好ましく、60〜110質量部がより好ましい。一方で、テルペン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10〜70質量部が好ましく、20〜60質量部がより好ましく、30〜50質量部がさらに好ましい。さらに、クマロン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10〜60質量部が好ましく、15〜50質量部がより好ましく、20〜40質量部がさらに好ましい。
ゴム系粘着剤は、アクリル系粘着剤と同様に上記した微粒子を含有してもよく、また、ゴム系粘着剤は、必要に応じて、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
(ウレタン系粘着剤)
上記したウレタン粘着剤は特に限定されず、例えば、少なくともポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂等が挙げられる。上記ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのウレタン粘着剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ウレタン粘着剤としては、ポリウレタンポリオールと多官能イソシアネート系硬化剤とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用してもよい。ポリウレタンポリオールは、上記したポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応したもの、又はポリオールとポリイソシアネート化合物とジアミンなどの鎖延長剤とを反応させたものが挙げられる。多官能イソシアネート系硬化剤としては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であればよく、上記したイソシアネート化合物を使用可能である。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン樹脂に加えて、上記した微粒子を含有してもよく、また、ウレタン系粘着剤は、必要に応じて、粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
(シリコーン系粘着剤)
また、シリコーン系粘着剤としては、例えば、付加反応型、過酸化物硬化型又は縮合反応型のシリコーン系粘着剤等が挙げられる。なかでも、低温短時間で硬化可能という観点から、付加反応型シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。なお、付加反応型シリコーン系粘着剤は粘着剤層の形成時に硬化するものである。シリコーン系粘着剤として、付加反応型シリコーン系粘着剤を用いる場合、上記シリコーン系粘着剤は白金触媒等の触媒を含んでいてもよい。
また、シリコーン系粘着剤は、微粒子を含有してもよく、また、架橋剤、粘着力を制御するための各種添加剤を加えたりしてもよい。
なお、基材を有する両面粘着テープは、粘着剤層を2つ有するが、マスキング部材が表面に設けられる一方の粘着剤層が上述した構成を有していれば、他方の粘着剤層はいかなる構成であってもよい。ただし、両方の粘着剤層が上述の構成であってもよい。
<用途>
本発明の粘着テープは、あらゆる用途に使用可能であるが、建築用途で使用することが好ましい。建築用途で使用する場合、本発明の粘着テープは、両面粘着テープ、特に基材レス粘着テープとして使用することが好ましい。
本発明の粘着テープは、粘着剤層が上記した貯蔵弾性率及び厚さを有することで、両面粘着テープ、特に基材レス粘着テープとして使用すると、被着体同士を強固に接着することが可能になるので、建築材同士を接着する建築用途に使用することが好適である。
また、建築用途で使用する場合、本発明の粘着テープは、建築用面構造において使用することが好ましく、より具体的には、各種の構造用面材を、その面材を支持する支持体に固定させる用途に使用することが好ましい。
以下、粘着テープを建築用面構造に使用する態様についてより詳細に説明する。
<建築用面構造>
本発明の建築用面構造は、支持体と、構造用面材と、構造用面材及び支持体の間に配置される両面粘着テープとを備え、粘着テープにより構造用面材が支持体に固定されるものである。両面粘着テープは、上記で説明した通りであり、基材レス両面粘着テープが好ましい。
図6、7は、建築用面構造の一例としての木造建築物の壁構造30を示す。図6に示すように、木造建築物の基礎31上には、木枠材32が設けられている。木枠材32は、釘打ちなどによって互いに固定された縦枠材33と横枠材34とによって構成されている。縦枠材33と横枠材34は、枠組壁工法において用いられる角材である。
木枠材32は、縦枠材33と横枠材34とにより囲まれた空間に、矩形状の開口部35を有しており、木枠材32の開口部35を被覆するように、構造用面材を構成する石膏ボード36が取り付けられる。石膏ボード36は、図6に示すように、木枠材32の開口部35を覆うように設けられる。なお、図6では、1つの石膏ボード36によって2つの開口部15を被覆するように石膏ボード36が取り付けられるが、1つの石膏ボード36によって1つまたは3つ以上の開口部35を被覆するように石膏ボード36が取り付けられてもよい。
なお、石膏ボードは、一般的には、石膏を主体として種々の添加剤を配合した板状の石膏芯と、その両面を被覆する石膏ボード用原紙とを備えるものである。
図7に示すように、石膏ボード36と木枠材32の間には、粘着テープ10が配置され、石膏ボード36は、粘着テープ10によって、支持体である木枠材32に貼り合わされる。なお、粘着テープ10は、上記したように両面粘着テープ、好ましくは基材レス粘着テープである。
なお、粘着テープ10は、木枠材32の正面形状に対応した形状に配置されている。具体的には、粘着テープ10は、木枠材32の開口部35を取り囲む矩形環形状に型抜きされたものでもよいし、縦枠材33、横枠材34の形状に合わせて細長状のものとしてもよく、そのような粘着テープ10を複数枚使用すればよい。また、石膏ボード36は、粘着テープ10に加えて、石膏ボード36の表面側から木枠材32に向けて挿入されたビス、釘などによっても固定されてもよい。
粘着テープ10は、上記したように、マスキング部材12を備えるものである。粘着テープ10は、図7に示すように、マスキング部材12が設けられ面が構造用面材である石膏ボード36に接着されることが好ましい。
一般的に、両面粘着テープである粘着テープ10は、まず、粘着テープ10の一方の面が支持体である木枠材32に貼り付けられ、その後、木枠材32に貼り付けられた粘着テープ10の他方の面に、構造用面材である石膏ボード36が貼り合わされる。そのため、石膏ボード36を貼り合せるとき、石膏ボード36の位置ずれが多く発生し、石膏ボード36を貼り直すことが多い。したがって、図7に示すように、構造用面材である石膏ボード36側に、マスキング部材12が設けられることで、石膏ボード36の木枠材32(すなわち、粘着テープ10)に対する貼り直しを容易に行うことができる。
また、上記したようにマスキング部材12は、引き抜き可能な繊維を有していてもよい。引き抜き可能な繊維を有する場合、正しい位置に石膏ボード36を貼り合わせた後、引き抜き可能な繊維12Aを引き抜き、その後、例えば石膏ボード36を押圧することで粘着テープ10に圧力を加えて本接着するとよい。それにより、粘着剤層11の石膏ボード36に対する接着面積が大きくなり、粘着テープ10によって石膏ボード36を木枠材32に強固に接着させることも可能になる。
ただし、マスキング部材12は、構造用面材(石膏ボード36)側に配置される構成に限定されず、支持体(すなわち、木枠材32)側に配置されてもよい。
図8は、壁構造の別の実施形態を示す。図8に示すように、本実施形態に係る支持体は、壁面41であるとともに、構造用面材が化粧材42である。壁面41は、特に限定されないが、モルタル、コンクリートなどで構成されればよい。本実施形態において、壁面41は、曲面を有し、そのため、化粧材42はその曲面に追従できるように可撓性を有する。可撓性を有する化粧材42は、特に限定されないが、例えば基材として樹脂、中密度繊維等を使用して基材の表面に紙を貼付したもの、ポリマー含浸紙等が挙げられる。なお、図8では、壁面41全体が、曲面であるが、一部が曲面で、一部が平面でもよい。また、図8に示すように、壁面41は、化粧材が貼付される表面側が凸状に膨らんだ形状の曲面を有することが好ましいが、表面側が凹んだ凹状の曲面を有してもよい。
図8に示すように、壁面41と化粧材42の間には、両面粘着テープである粘着テープ10が配置されており、壁面41に化粧材42が粘着テープ10により固定される。ここで、粘着テープ10は、図8では構造用面材である化粧材42の全面に貼付される態様が示されるが、化粧材42の一部に貼付されてもよい。
また、粘着テープ10に設けられるマスキング部材12は、図8に示すように、構造用面材である化粧材42側に設けられるが、支持体である壁面41側に設けられてもよい。
本実施形態でも、マスキング部材12が設けられることで、化粧材42の貼り直しを容易に行うことができる。また、マスキング部材12が引き抜き可能な繊維を有していれば、その繊維を引き抜くことで、上述したように、化粧材42を壁面41に強固に固定することが可能になる。
なお、図8では、説明の簡略化のために、マスキング部材12全体が粘着剤層11の上側に位置する構成が示されるが、粘着テープ10によって化粧材42が壁面41に本接着されるとき、マスキング部材12は、通常、粘着剤層11に入り込んだ構造となる。
また、本実施形態では、壁面41が曲面を有するが、本発明の粘着テープ10は、粘着テープ10が曲面に対して十分に追従する。さらに、粘着テープ10の化粧材42に対する反発力も抑えられるため、化粧材42の剥がれなどが防止される。
このように本発明では、支持体として曲面を有するものを使用し、その曲面に粘着テープが貼付されてもよいが、曲面の曲率半径は、例えば、5〜300cm、好ましくは100cm以下である。本発明では、上記粘着テープ10を使用することで、曲率半径が小さい支持体に対しても高い接着性により接着することが可能である。なお、曲面は、上記範囲内の異なる曲率半径の面が複数組み合わされたものでもよい。
なお、以上説明した壁構造は、建築用面構造の一例を示すものであり、他のいかなる態様の建築用面構造に本発明の粘着テープを適用してもよい。例えば、構造用面材としては、石膏ボード、化粧材に限定されず、中密度繊維板(MDF)、木質セメント板、木毛セメント板などを使用してもよい。また、化粧材としては、上記したように可撓性を有するものに限定されず、合板などに紙を接着した化粧板を使用してもよい。
また、支持体としては、木枠材、壁面以外も使用可能であり、鉄骨などの金属からなるものでもよい。また、壁面は曲面を有するものに限らず、平面状の壁面でもよい。
さらに、以上の説明では、建築用面構造が、壁構造である例を示したが、壁構造に限定されず、天井を構成する面構造であってもよい。具体的には、例えば、縦枠材と横枠材とによって構成され、枠状に組み立てられた支持体に石膏ボードなどの構造用面材を、上記で説明したとおりに取り付ければよい。また、建築用面構造は、床を構成する面構造であってもよい。
以下に実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本発明において、粘着剤層及びマスキング部材の物性の測定方法は、以下の通りである。
[25℃における貯蔵弾性率]
貯蔵弾性率は、例えばをDVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用いて、せん断モード:10Hz、歪み量:0.1%、温度範囲:−100℃〜100℃、昇温速度:10℃/minの条件下で、25℃における粘着剤層の動的粘弾性スペクトルを測定して算出することができる。
[引張弾性率]
各繊維(糸状部材)をJIS R 7606:2000(炭素繊維−単繊維の引張特性)に準拠して島津製作所製 MST-I Type HR試験機を使用して測定し、JISR 7606:2000の8.2.1(A法)に記載の式を用いて算出した。
[せん断接着力]
繊維を引き抜く際のせん断接着力は、繊維により測定した。
本実施例、比較例における粘着テープの評価方法は、以下の通りである。
[評価方法]
(初期貼り付け性評価)
コンクリートからなり、曲率半径Rが0.5mの曲面からなる壁面に、各実施例、比較例で得られた粘着テープ(サイズ25.4mm×100mm)を23℃、50%RH条件下、2kgローラーにより押し付けて貼付した。その粘着テープの上にさらに可撓性を有する化粧材(商品名OR−146 アイカ工業社製、サイズ100mm×100mm)を2kgローラーにより押し付けて貼り合わせ、仮接着を行った。なお、各実施例において、粘着テープは、マスキング部材が設けられた面が化粧材側となるように貼付した。化粧材を貼り合わせてから5分経過した後、粘着テープの貼り付け性を、初期貼り付け性として以下の評価基準で評価した。
A:表面積の65%以上が貼りついている状態であり、初期貼り付け性が優れていた。
B:表面積の50〜65%が貼りついている状態であり、初期貼り付け性が良好であった。
C: 表面積の20〜50%が貼りついている状態であり、実用上使用できるレベルであった。
D:表面積の80%以上が貼りついてない状態であり、実用上使用できないレベルであった。
(位置調整作業性評価)
初期貼り付け性評価で行った条件で粘着テープに化粧材を貼り合せ、23℃、50%RHで5分経過後、化粧材の両端を持ってボードに対して垂直方向に粘着テープから剥離させた。次いで、化粧材を粘着テープに、再度貼り合わせたときの作業性について以下の評価基準で評価した。
A:貼り合わせた化粧材を剥離するときの抵抗が小さく、位置調整作業性が優れていた。
B:貼り合わせた化粧材を剥離するときの抵抗が中程度であり、位置調整作業性が良好であった。
C:貼り合わせた化粧材を剥離するときの抵抗が大きく位置調整作業性が良好でないものの、実用上使用できるレベルであった。
D:一旦貼り合わせた化粧材を剥離できず、または、剥離できた場合に化粧材を再度貼り合わせすることなかった。
(引き抜き作業性評価)
初期貼り付け性評価で行った条件で粘着テープに化粧材を貼り合わせ、23℃、50%RHで5分経過後、マスキング部材の15本の繊維を1本ずつ、人手により引き抜き、以下の評価基準で評価した。
A:繊維を小さな抵抗で引き抜くことが可能であり、引き抜き作業性が優れていた。
B:繊維を引き抜くことが可能であるが、引き抜き時の抵抗が中程度であり、引き抜き作業性が良好であった。
C:繊維を引き抜くことが可能であるが、引き抜き時の抵抗が大きく、引き抜き作業性が良好でなかった。
D:繊維を引き抜くことが不可能であった。
(接着保持性評価)
上記のように、マスキング部材の15本の繊維を人手により引き抜いた後、化粧材を壁面に向かって手で強く押さえ付ることで、本接着を行った。その後、23℃、50%RH条件で24時間経過させた後の接着性を接着保持性として以下の評価基準に従って評価した。
A:表面積の90〜100%が貼りついている状態であり、接着保持性が優れていた。
B:表面積の70〜90%が貼りついている状態であり、接着保持性が良好であった。
C:表面積の50〜70%が貼りついている状態であり、接着保持性は実用上使用できるレベルであった。
D:表面積の50%以上が貼りついていない状態であり、接着保持性は実用上使用できないレベルであった。
[実施例1]
表1に記載の配合Aに従って、粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物に窒素をパージして溶存酸素を除去した。次いで、剥離シートの剥離処理面上に厚さ100mmのスペーサーを設置し、粘着剤組成物を剥離シートの剥離処理面上に塗布した。次いで、塗布した粘着剤組成物の上に、剥離処理面が粘着剤組成物に接するように、別の剥離シートを被覆した。なお、剥離シートとしては、シリコーン離型処理されたPETフィルム(厚み50μm)を使用した。
この状態で被覆側の剥離シートにおける紫外線照射強度が5mW/cm2となるようにケミカルランプのランプ強度を調整し、15分間紫外線を照射し、両面に剥離シートが貼付された粘着剤層を得た。粘着剤層の厚さは100μmであり、ゲル分率は55%であった。
その後、一方の剥離シートを剥がして、粘着剤層の上に、表2に記載の太さと引張弾性率を有する、ポリエチレン繊維からなるヤーンを、15本/25.4mmで一方向に配列させ、その後、25℃、50%RH環境下、圧力5MPaで押さえつけて、粘着剤層の上にマスキング部材を形成した。
※表1における各成分は、以下のとおりである。
オレフィン重合体:商品名「L−1253」、株式会社クラレ製、(メタ)アクリロイル基を片末端に有する水素化ポリブタジエン
多官能モノマー:商品名「TEAI−1000」日本曹達株式会社製
粘着付与樹脂1:商品名「アルコンP140」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点140℃
微粒子:商品名「セルスターZ−27」、東海工業株式会社製、ガラスバルーン
重合開始剤:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
[実施例2、3]
スペーサーの厚さをそれぞれ1000μm、5000μmに変更して、粘着剤層の厚さを1000μm、5000μmに変更した点を除いて実施例1と同様に実施した。
[実施例4]
マスキング部材を形成する際に、粘着剤層の上に、表2に記載の太さと引張弾性率を有するポリエチレン繊維からなるヤーンを、15本/25.4mmで一方向に配列させた点を除いて、実施例2と同様に実施した。
[実施例5]
マスキング部材を形成する際に、粘着剤層の上に表2に記載の太さと引張弾性率を有するポリエチレン繊維からなるヤーンを、15本/25.4mmで一方向に配列させた点を除いて、実施例2と同様に実施した。
[実施例6]
表1に示す配合Bに従って、粘着剤組成物を調製した点以外は実施例2と同様に実施した。得られた粘着剤層のゲル分率は70%であった。
[実施例7]
マスキング部材を形成する際に、粘着剤層の上に表2に記載の太さと引張弾性率を有するポリエチレン繊維からなるヤーンを、15本/25.4mmで一方向に配列させた点を除いて実施例2と同様に実施した。
[実施例8]
マスキング部材を形成する際に、粘着剤層の上に表2に記載の太さと引張弾性率を有するポリエチレン繊維からなるヤーンを、15本/25.4mmで一方向に配列させた点を除いて実施例2と同様に実施した。
[比較例1]
粘着剤層の上にマスキング部材を形成しなかった点を除いて実施例2と同様に実施した。
各実施例、比較例の粘着剤層及びマスキング部材の物性、及び粘着テープの評価結果を表2に示す。なお、表2において、せん断接着力は、任意の1本の繊維を引き抜いたときのせん断接着力を示す。
以上のように、各実施例では、粘着剤層の一方の面の上にマスキング部材を設けることで、被着体である化粧材を、粘着テープに一旦貼り合わせた後でも、貼り直すことが可能となった。それに対して、比較例1では、マスキング部材を設けなかったため、被着体である化粧材を貼り合わると、貼り直すことができなかった。
10 加圧接着型粘着テープ
11 粘着剤層
12 マスキング部材
12A 繊維
13 基材
20 被着体
31 基礎
32 木枠材(支持体)
33 縦枠材
34 横枠材
35 開口部
36 石膏ボード(構造用面材)
41 壁面(支持体)
42 化粧材(構造用面材)

Claims (14)

  1. 粘着剤層と、前記粘着剤層の少なくとも一方の表面に設けられたマスキング部材とを備え、前記マスキング部材が、前記粘着剤層の表面を部分的に被覆するように設けられる、加圧接着型粘着テープ。
  2. 前記マスキング部材が、一方向又は複数方向に配列された繊維を有する請求項1に記載の加圧接着型粘着テープ。
  3. 前記マスキング部材が、引き抜き可能な少なくとも1本の繊維を有する請求項1又は2に記載の加圧接着型粘着テープ。
  4. 前記マスキング部材が、引き抜くときのせん断接着力が50N/本以下である繊維を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
  5. 前記マスキング部材は、太さが15〜1000dtexで、引張弾性率が15〜300GPaである繊維からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
  6. 前記マスキング部材が、前記粘着剤層の表面全体の5〜50%を被覆している請求項1〜5のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
  7. 前記粘着剤層の厚さが100〜5000μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
  8. 粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率が50万Pa以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
  9. 両面粘着テープである請求項1〜8のいずれか1項に記載の加圧接着型粘着テープ。
  10. 構造用面材と、支持体と、前記構造用面材と前記支持体の間に配置され、前記構造用面材を前記支持体に固定させる、請求項9に記載の両面粘着テープとを備える建築用面構造。
  11. 前記構造用面材が、石膏ボードである請求項10に記載の建築用面構造。
  12. 前記両面粘着テープは、前記マスキング部材が設けられた面が構造用面材に接着される請求項10又は11に記載の建築用面構造。
  13. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の粘着テープを被着体に接着する接着方法であって、前記粘着テープの前記マスキング部材が設けられた面側を前記被着体に接着する接着方法。
  14. 前記マスキング部材が、引き抜き可能な繊維を含み、
    前記粘着テープを被着体に貼付した後、前記引き抜き可能な繊維を引き抜く、請求項13に記載の接着方法。
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