JP6949735B2 - 建築用面構造 - Google Patents

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Description

本発明は、壁構造、天井構造、床構造等の建築用面構造に関し、特に、枠組壁工法にて使用する壁構造に関する。
例えば、ツーバイフォー工法と呼ばれる枠組壁工法で施工される建物は、フレーム状に組まれた木枠材に、構造用面材を取り付けた壁構造を有している。構造用面材としては、合板や石膏ボードが一般に使用されている。このうち、石膏ボードは、耐火性に優れており、居住空間に臨む側の構造用面材として広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。石膏ボードは、石膏からなる芯材を石膏ボード用原紙で被覆してなる板状体であり、通常、木枠材に釘またはビスで固定される。
しかしながら、石膏ボードを木枠材に釘またはビスで固定した構造では、地震の際に、石膏ボードの釘またはビスで固定した箇所に亀裂が発生しやすい。そのため、余震などが繰り返されると、亀裂が進行して石膏ボードの破壊に至り、石膏ボードの一部が木枠材から脱落して倒壊するおそれがある。
特許2845784号公報
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、木枠材などの桟に石膏ボードなどの構造用面材を取り付けた建築用面構造において、地震などの振動、変形によって構造用面材が破損して、桟から脱落することを防止することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定構造の壁構造により上記の課題を解決できることを見出し、以下の発明を完成させた。本発明は、以下の[1]〜[10]を提供する。
[1]桟に構造用面材を取り付けた建築用面構造であって、構造用面材と桟の間に配置される両面粘着テープを有し、前記両面粘着テープが、23℃における5回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmである建築用面構造。
[2]前記構造用面材が石膏用ボードである、上記[1]に記載の建築用面構造。
[3]前記構造用面材及び前記両面粘着テープを貫通し、かつ桟まで到達するように構造用面材の表面から挿入されたビス、釘、又はネジにより、前記構造用面材を前記桟に固定させる上記[1]又は[2]に記載の建築用面構造。
[4]前記両面粘着テープは、23℃における対SUS剪断強度が10〜200N/cmであるとともに、23℃における対SUS90°ピール粘着力が20〜110N/24mmである上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[5]前記23℃における対SUS90°ピール粘着力が30〜90N/24mmである上記[4]に記載の建築用面構造。
[6]前記両面粘着テープは、23℃における5回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜100N/cmである上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[7]前記両面粘着テープが粘着剤層を備え、その粘着剤層が、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤からなる群から選択される粘着剤によって構成される上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[8]前記両面粘着テープが粘着剤層からなる上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[9]前記桟が、木枠材である上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の建築用面構造。
[10]桟と構造用面材を、両面粘着テープを介して固定し、かつ
前記両面粘着テープを介して固定した桟と構造用面材を、ビス、釘、又はネジを用いてさらに固定する、建築用面構造の製造方法であって、
前記両面粘着テープが、23℃における5回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmである建築用面構造の製造方法。
本発明によれば、地震などの振動によって、石膏ボードなどの構造用面材が破損して木枠材などの桟から脱落することを防止する建築用面構造を提供できる。
本発明の一実施形態に係る壁構造を示す正面図である。 本発明の一実施形態に係る壁構造を示す断面図である。 本発明の別の一実施形態に係る壁構造を示す断面図である。 実施例1の接合強度を測定するための測定装置を示す平面図である。 実施例1の接合強度を測定するための測定装置を示す断面図である。 比較例1の接合強度を測定するための測定装置を示す断面図である。
以下、本発明について実施形態を用いてさらに詳細に説明する。
(建築用面構造)
本発明の建築用面構造は、桟に構造用面材を取り付けた建築用面構造であって、構造用面材と桟の間に配置される両面粘着テープを有する。
図1、2は、本発明の一実施形態に係る建築用面構造の一例としての壁構造を示す。図1、2に示す壁構造10は、ツーバイフォー工法の枠組壁工法により建築される木造建築物用の壁構造である。
木造建築物の基礎11上には、桟を構成する木枠材12が設けられている。木枠材12は、釘打ちなどによって互いに固定された縦枠材13と横枠材14とによって構成されている。縦枠材13と横枠材14は、枠組壁工法において用いられる角材であり、ツーバイフォー工法では2インチ×4インチの角材が使用される。
木枠材12は、縦枠材13と横枠材14とにより囲まれた空間に、矩形状の開口部15を有しており、木枠材12の開口部15を被覆するように、構造用面材を構成する石膏ボード16が取り付けられる。石膏ボード16は、図2に示すように、木枠材12の開口部15を覆うように設けられる。なお、図1では、1つの石膏ボード16によって2つの開口部15を被覆するように石膏ボード16が取り付けられるが、1つの石膏ボード16によって1つまたは3つ以上の開口部15を被覆するように石膏ボード16が取り付けられてもよい。
石膏ボード16は、板状部材からなるものである。石膏ボード16は、例えば、厚さが6〜25mm、幅が300〜1300mm、長さが1000〜4000mm、好ましくは厚さが9〜16mm、幅が600〜1250mm、長さが1800〜3600mmである。
石膏ボード16は、地震などの振動や変形によって割れなどが生じて破損しやすいが、両面粘着テープを使用することで、そのような振動による割れを適切に防止することが可能になる。なお、石膏ボードは、一般的には、石膏を主体として種々の添加剤を配合した板状の石膏芯と、その両面を被覆する石膏ボード用原紙とを備えるものである。
図2に示すように、石膏ボード16と木枠材12の間には、両面粘着テープ20が配置され、石膏ボード16は、両面粘着テープ20によって木枠材12に貼り合わされる。両面粘着テープ20は、木枠材12の正面形状に対応した形状に配置されている。具体的には、両面粘着テープ20は、木枠材12の開口部15を取り囲む矩形環形状に型抜きされたものでもよいし、縦枠材13、横枠材14の形状に合わせて細長状のものとしてもよく、そのような両面粘着テープ20を複数枚使用すればよい。
図3は、壁構造の別の実施形態を示す。図3に示すように、本実施形態において、石膏ボード16は、木枠材12の正面側、裏面側の両方に設けられ、かつ正面側、裏面側の石膏ボード16はいずれも両面粘着テープ20を介して木枠材12に固定されている。
ただし、石膏ボード16は、木枠材12に複数のビスによっても固定されてもよい。複数のビスは、一般的に、縦枠材13、横枠材14の長手方向に沿って直線状かつ等間隔に並べられている。ビスは、例えば、5〜25cm程度の間隔で配置すればよい。ビスは、石膏ボード16及び両面粘着テープ20を貫通し、木枠材12に到達するように石膏ボード16の表面から挿入される。ただし、石膏ボード16は、ビスの代わりに、石膏ボード16の表面から打ち付けられた釘によって固定されてもよい。また、ネジによって固定されてもよい。ネジは、石膏ボード16及び木枠材12に予め設けられたネジ穴、ナットなどに挿入される。さらに、ビス、釘などを挿入した壁構造10においては、石膏ボード16の表面側に、和紙などの紙を上貼りしてもよい。
壁構造10は、地震や風等による水平力に抵抗する耐力壁を構成する。本発明では、石膏ボード16が両面粘着テープ20によって固定されることで、石膏ボード16が振動によってずれることを防止する。そのため、石膏ボード16の割れなどの破損を有効に防止することが可能になる。さらに、両面粘着テープ20を使用することで、接着剤のように塗りむら等が生じないので、安定して石膏ボード16を木枠材12に固定することが可能になる。
さらに、石膏ボード16は、ビス、釘、ネジ止めされる場合には、そのビス、釘、ネジ止めされた部分を両面粘着テープ20によって保護することも可能である。
壁構造の組み立ては、例えば、基礎11上の木枠材12に、両面粘着テープ20を介して石膏ボード16を貼り合わせることで、石膏ボード16を固定して行うとよい。また、その後、必要に応じて、ビス、釘又はネジを用いて、両面粘着テープにより固定した木枠材12と石膏ボード16とをさらに固定してもよい。なお、石膏ボード16を木枠材12に貼り合わせるときには、両面粘着テープ20を予め木枠材12、又は石膏ボード16に貼着しておけばよい。
なお、以上の説明では、構造用面材としては、石膏ボードが使用される例を説明したが、合板、中密度繊維板(MDF)、木質セメント板、木毛セメント板などの石膏ボード以外のものを使用してもよい。ただし、構造用面材としては、石膏ボードが好ましい。同様に、桟としては、上記した木材からなる木枠材以外も使用可能であり、鉄骨などの金属からなるものでもよい。なお、桟が木材(木枠材)である場合には、通常、ビス又は釘が使用されるが、桟が鉄骨、軽鉄などの金属からなる場合には、ネジが使用されてもよい。
なお、図3に示す壁構造10においては、正面、裏面側の両方の構造用面材が両面粘着テープを用いて桟に取り付けられるが、正面及び裏面側の一方の構造用面材のみが両面粘着テープを用いて取り付けられ、他方の構造用面材は、両面粘着テープで固定されず、ビスなどの両面粘着テープ以外の部材により固定されてもよい。
さらに、以上の説明では、建築用面構造が、壁構造である例を示したが、壁構造に限定されずに、天井構造を構成する面構造であってもよい。具体的には、例えば、縦枠材と横枠材とによって構成され、枠状に組み立てられた桟に石膏ボードなどの構造用面材を、上記で説明したとおりに取り付ければよい。また、建築用面構造は、床構造を構成する面構造であってもよい。
(両面粘着テープ)
以下、本発明で使用される両面粘着テープについてより詳細に説明する。両面粘着テープは、支持体の両面に粘着剤層が設けられた粘着テープであってもよいし、いわゆる基材レス両面粘着テープと呼ばれ、粘着剤層単体からなるものであってもよいが、粘着剤層単体からなるものが好ましい。
なお、両面粘着テープの両面それぞれには、一般的に、剥離シートが貼付されており、その剥離シートを剥離した後に被着体(すなわち、構造用面材及び桟)に貼着されるものである。剥離シートとしては、樹脂フィルムの一方の面にシリコーン剥離剤等の剥離剤により剥離処理したものなどが使用され、剥離シートは剥離処理面が粘着剤層に接触するように貼付される。
両面粘着テープの支持体としては、不織布、和紙等の紙、天然繊維、合成繊維等からなる織布、ポリエステル、ポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、アセテート等からなる樹脂フィルム、フラットヤーンクロスなどが挙げられる。フラットヤーンクロスは、ポリオレフィン樹脂などの合成樹脂製のフラットヤーンを、2軸、3軸、又は4軸などの格子目状に配置させ交点を接着させたものである。
また、両面粘着テープの粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらは単独で使用してよいし、組み合わせて使用してもよい。これらの中では、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。アクリル系粘着剤を使用すると、両面粘着テープが粘着剤層単体からなるような場合でも、剪断強度、ピール粘着力、及び、繰り返し対SUS剪断強度を後述する所望の範囲に調整しやすくなる。
本発明の両面粘着テープは、23℃における5回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmとなる。また、23℃における10回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmであることが好ましい。
また、両面粘着テープは、23℃における5回の繰り返し対SUS剪断強度が160N/cm以下がより好ましく、100N/cm以下がさらに好ましい。また、23℃における5回の繰り返し対SUS剪断強度は、25N/cm以上がより好ましい。さらに、23℃における10回の繰り返し対SUS剪断強度は、160N/cm以下がより好ましく、100N/cm以下がさらに好ましい。また、23℃における10回の繰り返し対SUS剪断強度は、25N/cm以上がより好ましい。
なお、5回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmであるとは、振動を5回繰り返す間、剪断強度が上記範囲内にあることを意味する。具体的には、後述する実施例に示す所定の振動を5回繰り返し、各回の振動における剪断強度のピーク値(最大値)を検出し、そのピーク値の全てが上記剪断強度の範囲内であることを意味する。
同様に、10回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmであるとは、振動を10回繰り返す間、剪断強度が上記範囲内にあることを意味する。具体的には、後述する実施例に示す所定の振動を10回繰り返し、各回の振動における剪断強度のピーク値(最大値)を検出し、そのピーク値の全てが上記剪断強度の範囲内であることを意味する。また、他の類似する規定も同様である。
両面粘着テープは、5回の繰り返し振動後においても剪断強度が上記範囲内になることで、地震が繰り返し起こっても、石膏ボードなどの構造用面材の破損及び脱落を防止できる。また、10回の繰り返し振動後においても剪断強度が上記範囲内になることで、構造用面材の破損及び脱落をより有効に防止できる。
また、両面粘着テープは、23℃における対SUS剪断強度が10〜200N/cmであるとともに、23℃における対SUS90°ピール粘着力が20〜110N/24mmであることが好ましい。このような両面粘着テープを使用することで、適度な接着力で構造用面材を桟に貼り合せることが可能になるとともに、接合強度が高くなり、構造用面材の破損を適切に防止することが可能になる。また、ピール粘着力を上記範囲内とすることで、繰り返し変形が起こった後でも、構造用面材を両面粘着テープにより保持することが可能になる。したがって、地震が繰り返し起こっても、石膏ボードなどの構造用面材の破損、及び脱落を防止しやすくなる。
上記23℃における対SUS剪断強度は、より好ましくは25〜160N/cm、さらに好ましくは、40〜155N/cm、よりさらに好ましくは60〜150N/cmである。また、ピール粘着力は、より好ましくは30〜105N/24mm、さらに好ましくは35〜100N/24mmである。
[両面粘着テープの厚さ]
両面粘着テープの厚さは、200〜1800μmが好ましく、250〜1500μmがより好ましく、400〜900μmがさらに好ましい。両面粘着テープの厚さをこれら下限値以上とすると、地震時の繰り返し振動に対する緩和が容易になり、剥離しにくくなる。また、上限値以下とすると、両面粘着テープの保持性が良好になりやすくなる。さらに、繰り返し対SUS剪断強度を高くしやすくなる。
なお、両面粘着テープの厚さとは、両面粘着テープが粘着剤層単体からなる場合には、粘着剤層単体の厚さを意味し、支持体の両面に粘着剤層が設けられた粘着テープである場合には、一方の粘着剤層表面から他方の粘着剤層表面までの厚さを意味する。
(アクリル系粘着剤)
以下、粘着剤層に使用されるアクリル系粘着剤の一実施形態についてより詳細に説明する。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)を含む重合性モノマーを重合したアクリル系重合体を含有する粘着剤である。
なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、アクリル酸アルキルエステル、及びメタクリル酸アルキルエステルの両方を含む概念を指すものであり、他の類似の用語も同様である。また、用語「重合性モノマー」は、繰り返し単位を有しない化合物のみならず、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)と共重合する化合物であれば、後述するオレフィン重合体(C)などのモノマー自身が繰り返し単位を有するものも含みうる概念を指す。
[(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)]
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)は、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数が、好ましくは2〜14、より好ましくは4〜10である脂肪族アルコールに由来するアルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数がこの範囲内であると、粘着剤層のガラス転移温度(Tg)を適切な温度範囲にして、ピール粘着力、繰り返し対SUS剪断強度を上記した範囲に調整しやすくなる。
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位は、粘着剤において主成分を構成するものであって、その含有量は、粘着剤全量基準で一般的に30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45重量%以上である。このように、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量を多くすると、粘着剤に所望の粘着力を付与することが可能になる。
なお、粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位の含有量は、後述する粘着剤組成物における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量と実質的に同じであるので、置き換えて表すことができる。以下で説明する(B),(C)成分など、(A)成分以外の成分も同様である。
[極性基含有ビニルモノマー(B)]
重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)に加えて、極性基含有ビニルモノマー(B)を含有することが好ましい。極性基含有ビニルモノマー(B)は、極性基とビニル基を有するものである。粘着剤層に極性基含有モノマー(B)を用いることで、粘着剤層のTg、凝集力、ピール粘着力、繰り返し対SUS剪断強度などを調整しやすくなる。
極性基含有ビニルモノマー(B)としては、例えば、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸が更に好ましい。これらの極性基含有ビニルモノマー(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性基含有ビニルモノマー(B)を使用する場合、粘着剤において極性基含有ビニルモノマー(B)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは2〜12質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。極性基含有ビニルモノマー(B)の含有量をこのような範囲内とすることで粘着剤層のTg、凝集力、粘着力、繰り返し対SUS剪断強度などを適切な範囲に調整しやすくなる。
[オレフィン重合体(C)]
重合性モノマーは、さらに末端に重合性結合を有するオレフィン重合体(C)を含むことが好ましい。このようなオレフィン重合体(C)を使用することで、粘着剤の剪断強度を高くし、両面粘着テープが粘着剤層単体からなるような場合でも、両面粘着テープの剪断強度、ピール粘着力、及び、繰り返し対SUS剪断強度を上記した所望の範囲に調整しやすくなる。なお、重合性結合は、重合性モノマーと重合することが可能な不飽和の炭素−炭素結合を意味し、例えば不飽和二重結合が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
オレフィン重合体(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられ、例えば、片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィン、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられる。なお、ポリオレフィンとは、エチレン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、イソプレンなどの二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物の重合体、又はその水素添加物である。
片末端のみに(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンとしては、例えば、片末端にエポキシ基を有するポリエチレンと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより調製された、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリエチレン等が挙げられる。また、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が挙げられ、その市販品として株式会社クラレ製の「L−1253」等が挙げられる。
また、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体としては、例えば、両末端にエポキシ基を有するポリプロピレンと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより調製された、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリプロピレン等が挙げられる。また、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が挙げられ、その市販品としては、日本曹達株式会社製の「TEAI−1000」、「EA−3000」、「TE−2000」、大阪有機化学工業株式会社製の「BAC−45」等が挙げられる。
オレフィン重合体(C)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オレフィン重合体(C)としては、上記した中では、両末端又は片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが好ましく、中でも両末端又は片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が好ましい。
なお、オレフィン重合体(C)として、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンなどを使用すると、アクリル系重合体を網目状に重合することが可能となる。そのため、粘着剤の凝集力を高めやすくなり、ピール粘着力、繰り返し対SUS剪断強度などを上記所望の範囲に調整しやすくなる。
さらに、凝集力、剪断強度、ピール粘着力などを良好にする観点から、オレフィン重合体(C)としては、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体と、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するオレフィン重合体とを併用することが好ましい。
オレフィン重合体(C)は、その数平均分子量が好ましくは500〜20000、より好ましくは1000〜10000である。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出すればよい。
また、粘着剤においてオレフィン重合体(C)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましく、4〜12質量部がさらに好ましい。
[その他のモノマー]
重合性モノマーは、上記した(A)〜(C)以外のその他のモノマーを含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、スチレン系モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、及びp−メチルスチレン等が挙げられる。
また、多官能モノマーとしては、ビニル基を2つ以上有するモノマーが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーを使用すると、アクリル系重合体に網目構造を形成することが可能になる。
具体的な多官能モノマーとしては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトシキ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトシキ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジアクリレート等が挙げられる。
その他のモノマーを使用する場合、粘着剤において、その他のモノマー由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、0.5〜15質量部、より好ましくは1〜7質量部、更に好ましくは1〜5質量部である。
[粘着付与樹脂]
アクリル系粘着剤は、粘着力を向上させる観点から、粘着付与樹脂を含有してもよい。粘着付与樹脂としては、水添テルペン樹脂、水添ロジン、不均化ロジン樹脂、石油樹脂等の重合阻害性の低い粘着付与樹脂が好ましい。これらの中でも、粘着付与樹脂が二重結合を多く有していると重合反応を阻害することから、水添系のものが好ましく、中でも水添石油樹脂が好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点は、粘着剤の凝集力及び粘着力を向上させる観点から、95℃以上程度であればよいが、120℃以上のものを含むことが好ましく、例えば、95℃以上120℃未満のものと、120℃以上150℃以下のものとを併用してもよい。なお、軟化点は、JISK2207に規定される環球法により測定すればよい。
アクリル系粘着剤における粘着付与樹脂の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは7〜35質量部、さらに好ましくは10〜25質量部である。
[微粒子]
アクリル系粘着剤は、微粒子を含有してもよい。微粒子を含有させることで、粗面である桟及び構造用面材に対する粘着力、並びに、粘着剤の凝集力を向上させることができる。
微粒子としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、及びフライアッシュバルーン等の無機質中空粒子、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、及びフェノール樹脂等からなる有機質中空粒子、ガラスビーズ、シリカビーズ、及び合成雲母等の無機質微粒子、ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレン等の有機質微粒子が挙げられる。
アクリル系粘着剤における微粒子の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.7〜5質量部である。
[その他の成分]
本発明において用いるアクリル系粘着剤は、前述した成分以外にも、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、光重合開始剤、難燃剤等の粘着剤に従来使用されている各種の添加剤を含有してもよい。
[ゲル分率]
上記アクリル系粘着剤のゲル分率は、30〜80質量%が好ましい。ゲル分率を下限値以上とすることで、粘着剤の凝集力を高めやすくなり、繰り返し対SUS剪断強度を上記範囲内に調整しやすくなる。また、上限値以下とすることで、粘着剤のピール粘着力を高めやすくなる。これら観点からゲル分率は、40〜70質量%が好ましく、45〜65質量%がより好ましい。
ゲル分率は、例えば、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C),多官能モノマーの配合の有無、及び配合量を適宜調整することで上記した範囲内に調整することが可能である。なお、ゲル分率は下記式(1)より算出することができる。なお、重合性モノマーは、ゲル分率を上記範囲内とするために、多官能モノマー及び(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C)の少なくともいずれか一方を含有することが好ましい。また、多官能モノマー及び(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するオレフィン重合体(C)などの官能基を2以上有する化合物は、総称して架橋剤ということもある。
ゲル分率(質量%)=(B/A)×100 式(1)
A:感圧性粘着剤層(試験片)の重量
B:40℃のテトラヒドロフランに感圧性粘着剤層(試験片)を48時間浸漬し、その後の感圧性粘着剤層の不溶解分の乾燥重量
(粘着剤層の製造方法)
粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤を使用する場合には、上記した重合性モノマーを含む粘着剤組成物に光を照射して、重合性モノマーを重合させることで得ることが可能である。また、粘着剤組成物は、必要に応じて上記した粘着付与樹脂、微粒子、及びその他の成分の少なくとも1種を含んでいてもよい。
より具体的に説明すると、まず、重合性モノマー、さらに必要に応じて配合される粘着付与樹脂、微粒子、その他の成分を、ガラス容器等の反応容器に投入して混合して、粘着剤組成物を得る。
次いで、粘着剤組成物中の溶存酸素を除去するために、一般に窒素ガス等の不活性ガスを供給して酸素をパージする。そして、粘着剤組成物を剥離シート上に塗布するか、又は、樹脂フィルム、織布、不織布等の支持体などに塗布した後、光を照射し重合性モノマーを重合することにより粘着剤層を得ることができる。
前記粘着剤組成物の塗布もしくは含浸から光を照射する工程までは、不活性ガス雰囲気下、又はフィルム等により酸素が遮断された状態で行うことが好ましい。
なお、本製造方法では、各成分を混合して得た粘着剤組成物は、粘度を高くするために、剥離シート又は支持体などに塗布する前に予備重合をしてもよい。
粘着剤組成物に光を照射する際に用いることができるランプとしては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウエーブ励起水銀灯、及びメタルハライドランプ等が挙げられる。これらの中でも、ケミカルランプが好ましい。粘着剤組成物に対して光を照射する際の光照射強度は、光重合開始剤の有無等によっても異なるが、0.1〜100mW/cm2程度が好ましい。
(ゴム系粘着剤)
次に、粘着剤に使用するゴム系粘着剤について説明する。ゴム系粘着剤は、ゴム成分と、粘着付与樹脂を含有するものであり、ゴム成分としては、スチレン−イソプレンブロック共重合体を使用することが好ましい。スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が好ましくは25〜70質量%、より好ましくは30〜65質量%、さらに好ましくは45〜60重量%である。ここでジブロックとは、スチレンとイソプレンとからなるジブロックのことをいう。スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が25%以上となることで十分な粘着力が発現し、また、70質量%以下とすることで剪断強度を高めやすくなる。なお、スチレン−イソプレンブロック共重合体は、ジブロック以外にも、スチレン、イソプレン、スチレンブロックからなるトリブロックなどブロックを3つ以上有するものも含有する。
スチレン−イソプレンブロック共重合体におけるスチレン量は、特に限定されないが、14〜24質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜18質量%である。スチレン量が14質量%以上であると、凝集性の高い粘着剤となり、剪断強度を高めやすくなる。また、24質量%以下とすると、凝集力が適度な大きさとなり粘着力を発現しやすくなる。
スチレン−イソプレンブロック共重合体の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量で100,000〜400,000が好ましく、150,000〜250,000がより好ましい。なお、ここでいう質量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定されるものをいう。
ゴム系粘着剤に使用される粘着付与樹脂は、各種の粘着付与樹脂が使用可能であるが、好ましくは石油系樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂を使用する。粘着付与樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用することが好ましい。このような粘着付与樹脂の組み合わせによりピール粘着力を良好にしやすくなる。
石油系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、スチレン−イソプレンブロック共重合体との相溶性の観点から脂肪族系石油樹脂が好ましい。また、石油系樹脂は、軟化点が90〜120℃程度のものを使用することが好ましい。
また、テルペン樹脂としては、軟化点が80〜120℃程度のものが使用可能であるが、粘着力確保の観点から100℃未満のものが好ましい。また、クマロン樹脂としては、凝集力確保のために、軟化点が好ましくは110〜130℃、より好ましくは115〜125℃のものを使用する。
粘着付与樹脂はゴム成分100質量部に対して60〜250質量部が好ましく、100〜200質量部がより好ましく、110〜180質量部がさらに好ましい。粘着付与樹脂の配合量を上記範囲内とすることで、凝集力を良好にして適度なピール粘着力を付与できるようになる。
また、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用する場合、石油系樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、50〜200質量部が好ましく、60〜150質量部が好ましく、60〜110質量部がより好ましい。一方で、テルペン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10〜70質量部が好ましく、20〜60質量部がより好ましく、30〜50質量部がさらに好ましい。さらに、クマロン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10〜60質量部が好ましく、15〜50質量部がより好ましく、20〜40質量部がさらに好ましい。
ゴム系粘着剤は、アクリル系粘着剤と同様に上記した微粒子を含有してもよく、また、ゴム系粘着剤は、必要に応じて、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
(ウレタン系粘着剤)
上記したウレタン粘着剤は特に限定されず、例えば、少なくともポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂等が挙げられる。上記ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのウレタン粘着剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ウレタン粘着剤としては、ポリウレタンポリオールと多官能イソシアネート系硬化剤とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用してもよい。ポリウレタンポリオールは、上記したポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応したもの、又はポリオールとポリイソシアネート化合物とジアミンなどの鎖延長剤とを反応させたものが挙げられる。多官能イソシアネート系硬化剤としては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であればよく、上記したイソシアネート化合物を使用可能である。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン樹脂に加えて、上記した微粒子を含有してもよく、また、ウレタン系粘着剤は、必要に応じて、粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
(シリコーン系粘着剤)
また、シリコーン系粘着剤としては、例えば、付加反応型、過酸化物硬化型又は縮合反応型のシリコーン系粘着剤等が挙げられる。なかでも、低温短時間で硬化可能という観点から、付加反応型シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。なお、付加反応型シリコーン系粘着剤は粘着剤層の形成時に硬化するものである。シリコーン系粘着剤として、付加反応型シリコーン系粘着剤を用いる場合、上記シリコーン系粘着剤は白金触媒等の触媒を含んでいてもよい。
また、シリコーン系粘着剤は、微粒子を含有してもよく、また、架橋剤、粘着力を制御するための各種添加剤を加えたりしてもよい。
以下に実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
両面粘着テープの対SUS剪断強度、及び対SUS90°ピール粘着力は以下の方法で測定した。
[対SUS剪断強度]
幅15mm×長さ15mmに切断した両面接着テープの両面それぞれに、SUS板を貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置した。23℃、50%RHの環境下、SUS板が両面に貼付された両面接着テープに対して、引張速度300mm/minで剪断方向に引っ張ることで破断時の剪断強度を測定した。なお、同様の測定を3回行い、3点平均を対SUS剪断強度とした。
[対SUS90°ピール粘着力]
一方の面にPETフィルム(厚さ25μm)を貼り合わせた両面接粘着テープを幅24mm×長さ150mmに切断し、その後SUS板を貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置した。その後、23℃、50%RHの環境下、引張速度300mm/minで90°方向に引っ張ることで対SUS90°ピール粘着力として測定した。なお、同様の測定を3回行い、3点平均を対SUS90°ピール粘着力とした。
[繰り返し対SUS剪断強度]
両面粘着テープを使用して、幅15mm×長さ15mmに切断した両面粘着テープの両面それぞれに、SUS板を貼り合わせ2kgの圧着ローラーを2往復させて接合し、23℃で1時間放置した。
その後、一方のSUS板に対して他方のSUS板を、変位量2mm、速度300mm/minで引張及び元の位置に戻る振動(1振動、振動時間0.8秒)を行い、この振動動作における剪断強度のピーク値(最大値)を検出した。その後、5秒間変位を停止した。この振動動作と停止を5回繰り返し、各回の振動動作で検出した5個のピーク値のうち、最小値と最大値を読み取った。また、振動動作と停止をさらに10回まで繰り返し、6〜10回目それぞれで検出したピーク値のうち、最小値と最大値をさらに読み取った。
1〜5回の振動動作の最小値と最大値の両方が10〜200N/cmとなれば、5回の振動動作の全てが10〜200N/cmの範囲内になることになるので、5回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmであるとする。また、同様に、1〜10回の振動動作の最小値と最大値の両方が10〜200N/cmとなれば、10回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmであるとする。
そして、10回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmである場合を“A”と評価した。また、5回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmであるが、10回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmに維持できない場合を“B”と評価した。さらに、5回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmにできない場合を“C”と評価した。
[実施例1]
表1に記載の配合にしたがって、粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物に窒素をパージして溶存酸素を除去した。次いで、剥離シートの剥離処理面上に厚さ700mmのスペーサーを設置し、粘着剤組成物を剥離シートの剥離処理面上に塗布した。次いで、塗布した粘着剤組成物の上に、剥離処理面が粘着剤組成物に接するように、別の剥離シートを被覆した。なお、剥離シートとしては、シリコーン離型処理されたPETフィルム(厚み50μm)を使用した。
この状態で被覆側の剥離シートにおける紫外線照射強度が5mW/cm2となるようにケミカルランプのランプ強度を調整し、15分間紫外線を照射し、粘着剤層単体からなり、両面に剥離シートが貼付された両面粘着テープを得た。粘着剤層(すなわち、両面粘着テープ)の厚さは500μm、ゲル分率は55%であった。また、粘着剤層の対SUS剪断強度は105N/cm、対SUS90°ピール粘着力58N/24mmであった。
Figure 0006949735
※表1における各成分は、以下のとおりである。
オレフィン重合体:商品名「L−1253」、株式会社クラレ製、(メタ)アクリロイル基を片末端に有する水素化ポリブタジエン
粘着付与樹脂1:商品名「アルコンP140」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点140℃
粘着付与樹脂2:商品名「アルコンP100」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点100℃
微粒子:商品名「セルスターZ−27」、東海工業株式会社製、ガラスバルーン
架橋剤:商品名「TEAI−1000」、日本曹達株式会社製
重合開始剤:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
(接合強度の評価試験)
図4、5に示すように、第1の石膏ボート16Aの上に、30mm×30mmのSPFからなる角材12A,12B,12Cを平行に並べ、その3本の角材12A〜12Cの上に、さらに第2の石膏ボート16Bを載せた。石膏ボードとしては、厚さ12.5mmのものを使用した。ここで、両側の角材12A,12Cは、中央の角材12Bに対して、長手方向に沿ってずらして配置し、両側の角材12A,12Cの一方の端部が、石膏ボード16A,16Bの一方の端面から突出するように、また、中央の角材12Bの他方の端部が、石膏ボード16A,16Bの他方の端面から突出するように配置した。ここで、角材12A〜12Cの上下面には、石膏ボード16A,16Bに対する接触面全面に、剥離シートを剥がした両面粘着テープ20を予め貼着しておき、角材12A〜12Cの上下面それぞれを、両面粘着テープ20を介して、第1及び第2の石膏ボート16A,16Bに貼り合わせた。
また、両側の角材12A,12Cの一方の端部は、その間に配置された第1の取付冶具25Aにビス26によって固定するとともに、中央の角材12Bの他方の端部には、第2の取付冶具25Bを取り付けた。なお、本試験で使用した各部材の寸法は図4に示したとおりであり、図中の数値はそれぞれmmを意味する。
そして、第1の取付冶具25Aを固定した状態で、第2の取付冶具25Bを角材12Bの長手方向に沿って、引張試験機(テンシロン万能材料試験機、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、引張速度300mm/minで矢印方向に引っ張った。第2の石膏ボード16Bが破壊されたときの破断強度を測定し、その値を石膏ボードと桟との接合強度として評価した。実施例1では、接合強度は7.3KNであった。
[比較例1]
角材12A〜12Cに両面粘着テープ20を貼着せず、図6に示すように、第1及び第2の石膏ボード16A,16Bそれぞれを角材12A〜12Cに150mm間隔で打ちつけた釘18により固定して接合強度を評価したところ、接合強度は3.1KNであった。
以上のように、実施例では、構造用面材を両面粘着テープによって桟に貼り合わせることで接合強度が高くなったため、構造用面材が破損して桟から脱落することを防止することができる。それに対して、比較例では、両面粘着テープを使用しなかったため、接合強度を高くすることができず、構造用面材の破壊及び脱落を十分に防止することができない。
[実施例2]
実施例1と同様の両面粘着テープを使用して、繰り返し対SUS剪断強度を測定して評価したところ、評価結果がAとなった。
[実施例3〜7]
表2に記載の配合にしたがって粘着剤組成物を調整し、かつスペーサーの厚さを変更して、得られる粘着剤層の厚さが表2に示す全厚さとなるように変更した以外は、実施例1と同様に実施して両面粘着テープを作製した。各実施例において得られた両面粘着テープの対SUS剪断強度、対SUS90°ピール粘着力、及び繰り返し対SUS剪断強度を測定した。結果を表2に示す。
[比較例2]
市販の両面粘着テープ(積水化学工業株式会社製、品番「W57 IP05」、粘着剤層:アクリル系粘着剤、基材:不織布)の対SUS剪断強度、ピール粘着力、及び繰り返し対SUS剪断強度を測定した。結果を表2に示す。
[比較例3]
両面粘着テープを市販の両面粘着テープ(積水化学工業株式会社製、品番「W57 IP05」、粘着剤層:アクリル系粘着剤、基材:不織布)を2枚重ねたものとして、対SUS剪断強度、ピール粘着力、及び繰り返し対SUS剪断強度を測定した。結果を表2に示す。
[比較例4]
両面粘着テープを市販の両面粘着テープ(積水化学工業株式会社製、品番「W57 IP05」、粘着剤層:アクリル系粘着剤、基材:不織布)を5枚重ねたものとして、対SUS剪断強度、ピール粘着力、及び繰り返し対SUS剪断強度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006949735
以上の実施例2〜7、比較例2〜4の結果から明らかなように、本実施例2〜7では、特定の組成を有し、かつ対SUS剪断強度及び対SUS90°ピール粘着力が所定の範囲である基材レス両面粘着テープを使用したため、繰り返し対SUS剪断強度が良好で、振動を繰り返し与えても構造用面材を両面粘着テープにより保持できた。そのため、地震が繰り返し起こっても、石膏ボードなどの構造用面材の破損、脱落を防止できる。
それに対して、比較例2〜4のように市販の粘着テープを用いると、初期は構造用面材を十分に保持できるが、振動を繰り返し与えると構造用面材を両面粘着テープにより保持できなかった。
11 基礎
12 木枠材(桟)
13 縦枠材
14 横枠材
15 開口部
16 石膏ボード(構造用面材)
20 両面粘着テープ

Claims (9)

  1. 桟に構造用面材を取り付けた建築用面構造であって、前記構造用面材と前記桟の間に配置される両面粘着テープを有し、
    前記両面粘着テープが基材レス両面粘着テープであり、かつ前記両面粘着テープが、23℃における5回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmである建築用面構造。
  2. 前記構造用面材が石膏用ボードである、請求項1に記載の建築用面構造。
  3. 前記構造用面材及び前記両面粘着テープを貫通し、かつ前記桟まで到達するように前記構造用面材の表面から挿入されたビス、釘、又はネジにより、前記構造用面材を前記桟に固定させる請求項1又は2に記載の建築用面構造。
  4. 前記両面粘着テープは、23℃における対SUS剪断強度が10〜200N/cmであるとともに、23℃における対SUS90°ピール粘着力が20〜110N/24mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の建築用面構造。
  5. 前記23℃における対SUS90°ピール粘着力が30〜90N/24mmである請求項4に記載の建築用面構造。
  6. 前記両面粘着テープは、23℃における5回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜100N/cmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築用面構造。
  7. 前記両面粘着テープが粘着剤層を備え、その粘着剤層が、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤からなる群から選択される粘着剤によって構成される請求項1〜6のいずれか1項に記載の建築用面構造。
  8. 前記桟が、木枠材である請求項1〜7のいずれか1項に記載の建築用面構造。
  9. 桟と構造用面材を、両面粘着テープを介して固定し、かつ
    前記両面粘着テープを介して固定した桟と構造用面材を、ビス、釘、又はネジを用いてさらに固定する、建築用面構造の製造方法であって、
    前記両面粘着テープが基材レス両面粘着テープであり、かつ前記両面粘着テープが、23℃における5回の繰り返し対SUS剪断強度が10〜200N/cmである建築用面構造の製造方法。
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