JP7451877B2 - 細胞培養システム - Google Patents

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Description

本発明は、細胞培養技術に関し、特に細胞を培養するために用いられる培養バッグへの培地の送液を制御する技術に関する。
近年、医薬品の生産や、遺伝子治療、再生医療、免疫療法等の分野において、細胞や組織などを人工的な環境下で効率良く大量に培養することが求められている。
このような状況において、細胞を大量培養するために、軟包材からなる培養バッグを用いて、閉鎖系で自動的に細胞を培養する様々な手法が研究されており、それらを実現するための細胞培養システムの開発が進められている。
ここで、細胞培養システムにおいては、適当量の培地を適切なタイミングで培養バッグへ送液するための送液制御を行うことが望ましい。
培地の送液制御としては、例えば、培養バッグに培地を供給するための培地バッグをチューブで連結して、チューブにポンプを配設しこれを動作させることによって、培地バッグから培養バッグへの培地の送液制御が行われている。
具体的には、特許文献1に記載の細胞培養システムでは、培地バッグと複数の培養バッグをチューブで連結して、チューブにポンプを取り付けて、ポンプにより培地バッグから培養バッグへの培地の送液を制御することが行われている。
特許第5892216号公報 国際公開2016/190312号パンフレット 国際公開2016/190314号パンフレット
特許文献1に記載の細胞培養システムでは、ポンプを1つのみ用いることで、ポンプが複数直列に接続された場合の同期を不要とし、チューブへのポンプの取り付け作業を低減することが目的とされている。
一方、ポンプを複数直列に接続する場合において、それらのポンプの動作をきめ細かく制御することによって、同期させることは可能である。
特に、培養バッグに複数のポートを形成し、それらのポートに接続したチューブの各々にポンプを配設して、これらのポンプを同時に制御すれば、培養バッグへの培地の流入と排出をきめ細かく制御することが可能となる。
そこで、本発明者らは、複数のポートを備えた培養バッグをチューブを介して培地バッグに環状に連結すると共に、各ポートにそれぞれ接続されたチューブにポンプを配設して、これらのポンプの動作を制御することにより、培養バッグへの培地の送液を制御可能な細胞培養システムを開発した。
このような細胞培養システムによれば、培地バッグから培養バッグへの培地の流入と排出をきめ細かく制御することができるため、例えば培養の開始から終了までに必要な培地を培地バッグに充填しておき、この培地を培養バッグへ送液することによって、細胞培養を自動的に行うことが可能である。
また、細胞培養システムにおいては、培養バッグの状態を把握して、その状態に最適な送液制御を行うことが望ましい。
例えば、従来、重量センサを用いて、培養バッグとこれを保持する保持プレートなどを合わせた重量を測定し、この重量にもとづき培地の重量を算出して、培養バッグへの培地の送液を制御することが行われていた。
これに対し、培養バッグの状態として、培養バッグに充填された培地の液厚(培養バッグの上面フィルムと下面フィルムの間隙の幅)を確認して、その状態に応じた送液制御を行えば、細胞培養においてより多くの様々な制御を行うことが可能となる。
例えば、多数の凹部が培養部に形成された培養バッグを用いて、凹部でスフェア(スフェロイド,凝集塊)やオルガノイドを培養する場合、培地の液厚をスフェアなどが移動できない大きさにした後に、培地を送液することで、スフェアが凹部間を移動することを防止することが可能となる。
そこで、本発明者らは、測長センサを用いて培養バッグに充填された培地の液厚を検出し、その検出情報にもとづきポンプの動作を制御することによって、培地の送液を制御すると共に、培地の液厚を制御することを可能とした。
なお、重量センサを用いた測定は、ロードセル式が一般的であり、培養バッグや保持プレート全ての重量をロードセルの微小ポイントに荷重させる必要があるため、固定が困難であり、また衝撃にも弱いという問題があった。また、重量センサは、低温などの温度特性に弱く、複数箇所に均等に取り付ける必要があるなど、取付が困難であるという問題もあった。さらに、チューブなどの配管がある場合には、チューブを介して他の筐体などと接触してしまうため、チューブのテンションが重量センサにかかり、測定値に誤りが生じるという問題もあった。
ここで、培養バッグへの培地の送液の制御に関連する技術として、特許文献2に記載の培養装置を挙げることができる。この培養装置では、距離センサをスペーサに配置して、保持板とスペーサとの距離が一定以上に大きくなった状態を把握可能にしている。しかしながら、この培養装置では、培養バッグにおける培地の液厚を検出しておらず、培地の液厚の制御は行われていない。
また、特許文献3に記載の培養装置では、重量検出部を用いて、培養バッグとその保持部の重量の検出が行われている。しかしながら、この培養装置でも、培養バッグにおける培地の液厚を検出しておらず、培地の液厚の制御は行われていない。
また、細胞培養システムにおいては、均一なサイズの細胞やスフェアを得るために、培養バッグにおける培地を均一な状態に保つことが望ましい。
そこで、本発明者らは、上記の細胞培養システムを回転可能にすることにより、培養バッグを回転させて培地を撹拌し、培養バッグにおける培地を均一な状態に保つことを可能とした。
このような細胞培養システムによれば、接着細胞を培養バッグの培養部に接着させて培養する場合には、培養バッグ内の下面側に接着細胞を接着させた後、培養バッグを上下反転させて培養バッグ内の元の上面側(新たな下面側)に接着細胞を接着させ、培養バッグを適宜上下反転させて培養することにより、培養面積を2倍にすることが可能となる。
また、培地の液厚をスフェアが移動できない大きさに制御した後に、培養バッグを上下反転させることにより、培養バッグの培養部に形成された凹部にスフェアを保持したままで、培地のみを排出することなどが可能となる。
さらに、このような細胞培養システムにより細胞を大量に培養可能にするためには、複数の培養バッグを用いることによって、培養面積を増加させることが望ましい。
そこで、本発明者らは、複数の培養バッグを並列に連結すると共に、これらを共通の培地バッグに連結して、それぞれの培養バッグに接続された各チューブにポンプを配設し、これらのポンプの動作を制御することにより、各培養バッグへの培地の送液を個別に制御することを可能とした。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、培地バッグから培養バッグへの培地の流入と排出をきめ細かく制御することのできる細胞培養システムの提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の細胞培養システムは、複数のポートを有する軟包材からなる培養バッグと、前記培養バッグに移送する培地を収容する培地容器と、培地の送液を制御する制御部を備えた細胞培養システムであって、前記複数のポートのそれぞれに管状部材が接続されて前記培養バッグと前記培地容器が管状部材を介して環状に連結され、前記複数のポートにおける第一のポートに接続された管状部材に第一の送液手段が配設され、前記複数のポートにおける第二のポートに接続された管状部材に第二の送液手段が配設され、前記制御部が、少なくとも前記第一の送液手段又は前記第二の送液手段の動作を制御して、前記培養バッグと前記培地容器における培地を循環させる構成としてある。
本発明によれば、培地バッグから培養バッグへの培地の流入と排出をきめ細かく制御することのできる細胞培養システムの提供が可能となる。
本発明の第一実施形態の細胞培養システムの構成を示す説明図である。 本発明の各実施形態の細胞培養システムで用いる培養バッグの概略を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。 本発明の各実施形態の細胞培養システムで用いる培養バッグにおける各種の凹部を備えた培養部の一部を示す模式図である。 本発明の第二実施形態の細胞培養システムの構成を示す説明図である。 本発明の第二実施形態の細胞培養システムで用いる培養バッグ収容部の概略を示す正面図であり、培養バッグに培地が封入された状態を示している。 本発明の第二実施形態の細胞培養システムで用いる培養バッグ収容部の概略を示す左側面図であり、培養バッグに培地が封入された状態を示している。 本発明の第二実施形態の細胞培養システムで用いる培養バッグ収容部の概略を示す平面図である。 本発明の第二実施形態の細胞培養システムで用いる培養バッグ収容部の概略を示す正面図であり、培養バッグに培地が封入されていない状態を示している。 本発明の第二実施形態の細胞培養システムで用いる培養バッグ収容部の概略を示す左側面図であり、培養バッグに培地が封入されていない状態を示している。 本発明の第三実施形態の細胞培養システムの構成を示す説明図である。 本発明の第四実施形態の細胞培養システムの構成を示す説明図である。 本発明の第五実施形態の細胞培養システムの構成を示す説明図である。 本発明の第六実施形態の細胞培養システムの構成を示す説明図である。 本発明の第七実施形態の細胞培養システムの構成を示す説明図である。 本発明の第八実施形態の細胞培養システムの構成を示す説明図である。
以下、本発明の細胞培養システムの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態の具体的な内容に限定されるものではない。
[第一実施形態]
まず、本発明に係る細胞培養システムの第一実施形態について、図1~図3を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、複数のポートを有する軟包材からなる培養バッグと、培養バッグに移送する培地を収容する培地容器と、培地の送液を制御する制御部を備えた細胞培養システムであって、複数のポートのそれぞれに管状部材が接続されて培養バッグと培地容器が管状部材を介して環状に連結され、複数のポートにおける第一のポートに接続された管状部材に第一の送液手段が配設され、複数のポートにおける第二のポートに接続された管状部材に第二の送液手段が配設され、制御部が、少なくとも第一の送液手段又は第二の送液手段の動作を制御して、培養バッグと培地容器における培地を循環させることを特徴とする。
具体的には、図1に示すように、例えば2つのポート13を有する培養バッグ10と培地バッグ40をチューブなどの管状部材14で環状に連結し、2つのポート13にそれぞれ接続された各管状部材14にポンプなどの送液手段30を配設して、制御部60によりこれらの送液手段30の動作を制御する構成とすることができる。
本実施形態では、培養バッグ収容部20に培養バッグ10を収容し、この培養バッグ収容部20、培地バッグ40、管状部材14、及び送液手段30等を合わせて、培養バッグ10を1つ用いた、単体の培養ユニット50が形成されている。
培養バッグ10は、軟包材からなる培養バッグであり、図2に示すように、底部側フィルム11(下面フィルム)と天板側フィルム12(上面フィルム)の周辺部をヒートシールなどにより貼り合わせることにより形成することができる。また、培養バッグ10には、複数の(図2においては2つの)ポート13が設けられている。これらのポート13には管状部材が接続され、管状部材に配設された送液手段により、ポート13を介して、培養バッグ10への培地の注入、及び培養バッグ10からの培地の排出などの培地の送液が行われるようになっている。
そして、培養バッグ10に注入される培地の量に応じて、底部側フィルム11と天板側フィルム12の間隔の幅(液厚)が変化するようになっている。
培養バッグ10に2つのポートを設ける場合、培養バッグ10内の培地交換を十分に行えるように、第一のポートと第二のポートを、培養バッグ10の両端部において培養部の中心に対して点対称に配置することが好ましい。
培養部は、培養バッグ10内における培地に接する底面部分であり、培養部の中心は、培養部の水平面の中心を意味する。また、培養部の水平面は、培養部の上端面に平行な面である。
培養バッグ10内における底部側フィルム11の表面は、細胞やスフェアを培養するための培養部として用いられる。この底部側フィルム11の培養部には、図3に示すように、細胞やスフェアなどの培養対象物を収容するための複数の凹部が形成されている。このような凹部を形成することにより、スフェアを好適に形成させて培養することが可能である。また、培養部11における複数の凹部の配置は、例えば千鳥状や格子状等とすることができる。
図2において、培養バッグ10の底部側フィルム11は平面状であり、培地の流入に伴って、天板側フィルム12が上方に膨らむようになっている。培養バッグ10をこのようにすることで、全ての凹部の底面を載置面に接触させることができ、培養バッグ10内における培地の液厚を概ね均一化することができる。このため、培養対象物の増殖性の差異や細胞播種時の細胞数のバラツキを低減することが可能である。
なお、本実施形態の細胞培養システムで用いる培養バッグ10は、図2(b)に示す形状のものに限定されず、同一形状の底部側フィルム11と天板側フィルム12をヒートシールなどにより貼り合わせることによって形成することもできる。
また、図2(a)において、培養バッグ10は、培養部のポート付近の形状がポートに対して傾斜して形成され、これによって培地がポートに流れやすくなっている。ただし、培養部の形状は、このような形状に限定されず、培養部を例えば長方形などの矩形状としてもよい。
底部側フィルム11の培養部に形成される凹部の形状は、図3(a)に示すような円錐や四角錐などの錐状や、図3(b)に示すような半球状やアール状とすることができる。
また、底部側フィルム11の培養部に形成される凹部の形状を、図3(c)に示すように、側壁の少なくとも一部が略垂直状に形成されたものとすることも好ましい。これらの凹部において、側壁の略垂直部分の垂直方向の長さは、培養対象物の最大径の半分より長くなっている。また、凹部における側壁が略垂直である領域の形状は、例えば、円柱状、四角柱状等とすることができる。
培養バッグ10における凹部をこのような形状にすることで、ポート13から培養バッグ10内に培地を送液する場合に、その流速を1ml/分以上にしても、凹部から培養対象物が飛び出して、他の凹部へ移動することを防止することが可能である。
培養対象物がスフェアである場合、凹部の深さとしては、50~500μmとすることが好ましい。凹部の深さを500μmより大きくすると、培養バッグ10に培地を送液しても、凹部内の培地を十分に置換することが困難になる場合があるためであり、500μmより深い凹部を備えたバッグは、加工難易度が高くなるためである。また、スフェアの大きさは、小さいもので、50μm~100μm程度であり、大きいものでは、200μm~300μm程度であるためである。
凹部内の底部の形状は、特に限定されないが、培養対象物がスフェアの場合には、シングルセル(単一細胞)を凝集し易くしてスフェアの形成を好適に行えるようにするため、錐体状、半球状、又はアール状とすることが好ましい。
培養対象物がシングルセルである場合、凹部の深さとしては、5~50μmとすることが好ましい。シングルセルの大きさは、6μm~15μm程度であり、10μm程度のものが多いためである。
凹部の開口部の形状は、特に限定されず、円形、又は正方形などの矩形状とすることができる。また、凹部の開口部の幅は、培養対象物のサイズに合わせて、適宜設定することができる。
例えば、培養対象物をスフェアとする場合、凹部の開口部の円又は内接円の直径の下限を、60μm以上,70μm以上,80μm以上,90μm以上,100μm以上,110μm以上,120μm以上,150μm以上等としてもよい。また、凹部の開口部の円又は内接円の直径の上限を、1mm以下,900μm以下,800μm以下,700μm以下,500μm以下等としてもよい。
また、培養対象物をシングルセルとする場合、凹部の開口部の円又は内接円の直径の下限を、5μm以上,6μm以上,8μm以上等としてもよい。また、凹部の開口部の円又は内接円の直径の上限を、50μm以下,40μm以下,30μm以下等としてもよい。
なお、本明細書において「細胞」には、シングルセルやスフェアのほか、これらから形成されるオルガノイドや組織も含まれる。
本実施形態の細胞培養システムで用いる培養バッグ10の材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂などを好適に用いることができる。例えば、ポリエチレン、エチレンとα-オレフィンの共重合体、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリル酸やメタクリル酸共重合体と金属イオンを用いたアイオノマー等を挙げることができる。また、ポリオレフィン、スチレン系エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂等を用いることもできる。さらに、シリコーンゴム、軟質塩化ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、スチレン系エラストマー、例えば、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン)、SIS(スチレン・イソプレン・スチレン)、SEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン)、SEPS(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン)、ポリオレフィン樹脂、フッ素系樹脂等を用いてもよい。
また、底部側フィルム11の培養部には、スフェアやシングルセルが接着しないように、低接着性表面処理塗工を行うことが好ましい。具体的には、細胞接着抑制剤(細胞低接着処理剤)を塗布しておくことが好ましい。
細胞接着抑制剤としては、リン脂質ポリマー、ポリビニルアルコール誘導体、リン脂質・高分子複合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、アガロース、キトサン、ポリエチレングリコール、アルブミン等を用いることができる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
また、培養バッグ10におけるポート13の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン系エラストマー、FEPなどの熱可塑性樹脂等を用いることができる。
また、管状部材14の材料としては、例えば、シリコーン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、スチレン系エラストマー、例えば、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン)、SIS(スチレン・イソプレン・スチレン)、SEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン)、SEPS(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン)、ポリオレフィン樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。
培養バッグ収容部20は、培養バッグ10が載置される架台と、培養バッグ10を架台に対して押圧することにより培養バッグ10内の液厚を均一にする押圧部材と、押圧部材に対面して配置された天板部と、天板部に対して押圧部材を垂直方向に移動可能に支持する支持機構とを備えている。
なお、このような培養バッグ収容部については、後述する第二実施形態において詳細に説明する。
そして、本実施形態の細胞培養システムを、培養バッグ10が載置される架台、培養バッグ10を架台に対して押圧することにより培養バッグ10内の液厚を均一にする押圧部材、押圧部材に対面して配置された天板部、及び天板部に対して押圧部材を垂直方向に移動可能に支持する支持機構を備えた培養バッグ収容部20と、培地バッグ40を収容する培地容器収容部(図示していない)と、各送液手段30、及び培養バッグ10と培地バッグ40を連結する管状部材14を収容する収容部(図示していない)とを有する培養ユニット50を備えた構成とすることも好ましい。
本実施形態の細胞培養システムをこのようにすれば、培養バッグ10における培地の送液を好適に制御することが可能である。
送液手段30は、培養バッグ10と培地バッグ40を連結する管状部材14に配設される。この送液手段30としては、チューブポンプのような低速で高精度な送液を行うことが可能なポンプを用いることが好ましい。
このようなポンプによれば、簡易な構成で、培地バッグ40から培養バッグ10への培地の充填、及び培養バッグ10から培地バッグ40への培地の排出を好適に制御することができる。
なお、送液手段30として、チューブポンプとピンチバルブやニードル式流量調整弁などの電磁弁を併用して用いたり、ダイヤフラムポンプと電磁弁を併用して用いたり、水頭差(自重)や加圧等による送液手段を併用して用いることもできる。
培地バッグ40は、培養バッグ10へ培地を循環させて供給する培地供給バックとして用いられる。
なお、本実施形態において、培地容器は軟包材からなる培地バッグ40に限定されず、培地容器としてリジッドな容器を用いることもできる。
制御部60(制御ユニット)は、予め設定された情報にもとづき送液手段30の動作を制御可能なものであれば特に限定されないが、入出力部61(入出力ユニット)と、PLC(programmable logic controller,プログラマブルロジックコントローラ)62と、継電部63(リレー)と、操作部64(タッチパネルなど)と、電源部65(安定化電源など)と、配線遮断部66(ブレーカー)とを備えた構成とすることができる。また、このような構成をマイコンやコンピュータにより実現してもよい。
入出力部61は、2つの送液手段30のそれぞれに配線コードで接続されている。PLC62には、所望の制御内容が予めプログラミングして記憶されている。そして、PLC62からの指示情報もとづいて、これらの送液手段30の動作の制御が行われる。
例えば、制御部60におけるPLC62により、培地の液厚がゼロである第一の状態に対応する第一の情報を記憶させ、第一の情報に所定の変化量を加算して第二の情報を算出し、第二の情報にもとづき送液手段30の動作を制御して、培地の液厚を第二の情報に対応する第二の状態に制御することができる。なお、第一の情報及び第二の情報は、電圧、電流、トランジスタ出力、又は培地の液厚等とすることができる。
このような本実施形態の細胞培養システムによれば、培地バッグ40から培養バッグ10への培地の流入と排出をきめ細かく制御することができるため、例えば培養の開始から終了までに必要な培地を培地バッグに充填しておき、この培地を培養バッグ10へ送液することによって、細胞培養を自動的に行うことが可能である。
[第二実施形態]
次に、本発明に係る細胞培養システムの第二実施形態について、図4~図9を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、培養バッグにおける培地量の変化に応じて生じる変化を測定する検出部を備え、検出部から入力した検出情報にもとづいて、少なくとも第一の送液手段又は第二の送液手段の動作を制御することを特徴とする点で、第一実施形態の細胞培養システムと相違する。また、以下に説明する点を除き、その他の構成については、第一実施形態と同様のものとすることができる。
培養バッグにおける培地量の変化に応じて生じる変化としては、部材の位置の変位とすることが好ましく、検出部として測長センサを用いることが好ましい。
具体的には、図4に示すように、本実施形態の細胞培養システムは、培養バッグ収容部20aに測長センサ25を備え、この測長センサ25からの検出情報にもとづき送液手段30の動作を制御可能な構成となっている。
測長センサ25としては、電磁誘導タイプ、レーザタイプ、超音波タイプ、及び磁気タイプ等の各種センサを用いることができる。また、アナログ(リニア)式とスイッチ式があるが、常時測定するタイプであるアナログ式のセンサを用いることが好ましい。
また、電磁誘導タイプの測長センサなどを用いる場合、測定する位置に金属部材を取り付けることが好ましい。これにより、センサの感度を向上させることができるためである。なお、レーザタイプや超音波タイプの測長センサなどを用いる場合は、測定する位置に金属部材を取り付けることなく、測定することができる。
具体的には、測長センサ25として、アナログ近接センサ(電磁誘導タイプ,測定距離1~6mm,センサテック株式会社製,MDA-C5)を用いる場合、出力電圧(又は出力電流)と測定距離は概ね比例し、当該測定距離の範囲において、出力電圧0.01Vごとに、0.01mmの液厚(培養バッグ内における培地の液厚)の変化を検出することができる。
例えば、培養部の水平面の面積が50cmの培養バッグを用いる場合、0.01mmの液厚の培地の液量は、0.05mlである。この場合、送液速度を2ml/分とすると、1.5秒で培地を送液でき、液厚を0.01mm増減させることができる。また、送液速度を0.5ml/分とすると、6秒で培地を送液でき、液厚を0.01mm増減させることができる。
また、測長センサ25として、アナログ距離センサ(電磁誘導タイプ,測定距離0~12mm,富士電機機器制御株式会社製,PE2-LA10D)を用いることで、例えば8mm程度のより大きい液厚まで制御可能にすることもできる。
測長センサ25を用いて、液厚を直接的に測定する場合は、例えば、培養バッグを載置する架台に測長センサ25を配置すると共に、押圧部材に金属部材を配置して、測長センサ25により金属部材までの距離を測定することができる。
この場合、液厚は、測長センサの出力電圧に所定の係数を乗算し、フィルムの厚みなどを減算する補正を行うことで得ることができる。
また、後述するように、押圧部材を支持する天板部に測長センサ25を配置すると共に、押圧部材に金属部材を配置して、測長センサ25により金属部材までの距離を測定することもできる。
この場合、液厚は、測長センサ25の出力電圧に所定の係数を乗算して測長センサ25から金属部材までの距離を算出し、培養バッグが載置された架台の上面から測長センサ25の下面までの距離から、上記の算出された距離と金属部材の厚みと押圧部材の高さとフィルムの厚みを減算することで得ることができる。
また、培養バッグにおける培地量の変化に応じて生じる変化を、培養バッグ10が載置された培養バッグ収容部20aの重量の変化とし、検出部として重量センサを用いることもできる。そして、制御部60により重量の変化にもとづき培地の液厚を算出させて、この液厚にもとづき送液手段の動作を制御することもできる。
すなわち、測定時点の重量から培養バッグ10の液厚がゼロの時点の重量を減算して体積に換算し、これを培養部の水平面の面積で除算することによって液厚を算出し、この液厚にもとづき送液手段の動作を制御することも可能である。
本実施形態における培養バッグ収容部20aは、図5~図9に示すように、架台21の四隅に天板支持部22が立設されており、天板支持部22に天板部23が固定されている。また、天板部23の周辺部にガイドピン273が備えられており、押圧部材27の取付部272に設けられたガイド穴に貫通し、押圧部材27は、ガイドピン273に沿って垂直方向に移動可能に備えられている。
さらに、天板部23には、天板開口部231が設けられており、この天板開口部231を通じて培養バッグ収容部20aの内部が視認できるようになっている。
また、天板部23の四隅には、押圧部材27を下方へ付勢する付勢手段として永久磁石26が備えられており、取付部272において永久磁石26に対応する位置に付勢手段として永久磁石2721が備えられている。これらの永久磁石は、互いに同極側を対向させて配置され、永久磁石26と永久磁石2721の間に働く斥力により、押圧部材27の押圧部271が培養バッグ10の天板側フィルム12に対して垂直に押圧した状態で、垂直方向に移動可能になっている。
なお、付勢手段73は、永久磁石に限定されない。また、付勢手段73を省略して、押圧部材27の自重により、押圧部材27を天板側フィルム12に対して上下に移動させてもよい。
また、押圧部271の底面が、培養バッグ10における培養部の内側に配置されるように、押圧部材27は寸法決めされている。すなわち、押圧部271の水平面の形状が、培養バッグ10における培養部の水平面の形状と同一であり、押圧部271が培養部の領域内のみを押圧するようになっている。
このように、押圧部材27により培養バッグ10を押圧することによって、天板側フィルム12の起伏の発生が抑制される。その結果、培地の注入又は排出を行う間、天板側フィルム12が架台21の載置面と平行に保たれ、培養バッグ10における培地の液厚が均一となる。
押圧部材27は、例えば、ポリカーボネートのような合成樹脂で形成してもよいし、ガラスで形成してもよい。また、押圧部材27は、培養の進行状況や培養対象物の状態などを確認できるように、その一部又は全部が透明性を有していることが好ましい。
培養バッグ10内に培地が充填されているときは、図5及び図6に示すように、培養バッグ10により押圧部材27が押し上げられた状態となる。
一方、培養バッグ10のポート13に連結された管状部材14を介して、管状部材14に配置された送液手段30により培養バッグ10から培地が排出されると、それに従って、培養バッグ10における培地の液厚は減少し、これに伴って押圧部材27は下降する。
そして、培養バッグ10から培地が完全に排出されると、図8及び図9に示すように、培養バッグ10は、押圧部材27により上面フィルムと下面フィルムが接触した状態(天板側フィルム12により底部側フィルム11に形成された複数の凹部が閉塞された状態)にまで押圧される。このとき、培養バッグ10における培地の液厚はゼロとなる。
センサ支持部24は、天板部23の周辺部に固定されており、その先端部に測長センサ25が取り付けられている。また、測長センサ25に対面するように、押圧部材27の取付部272に金属部材2722が取り付けられている。なお、センサ支持部24及び測長センサ25の配置はこれに限定されず、金属部材2722までの距離を測定できる範囲で、天板部23に対して任意の位置に取り付けることができる。
そして、測長センサ25により、金属部材2722までの距離を測定して、培養バッグ10における培地の液厚を算出することで、当該液厚を検出することが可能になっている。
例えば、液厚は、測長センサ25の出力電圧に所定の係数を乗算して測長センサ25から金属部材2722までの距離を算出し、架台21の上面から測長センサ25の下面までの距離から、上記の算出された距離と金属部材2722の厚みと押圧部材の高さと上面フィルム及び下面フィルムの厚みを減算することによって得ることが可能である。
送液手段30の動作は、測長センサ25からの検出情報にもとづいて、制御部60により制御される。このとき、制御部60は、測長センサ25から入力した(送信されてきた)出力電圧(又は出力電流)にもとづき培養バッグ10における培地の液厚を算出して、液厚にもとづき送液手段30の動作の開始と停止、及び回転速度等を制御して、液厚を所望の大きさに制御することが可能になっている。
制御部60(制御ユニット)は、測長センサ25からの検出情報にもとづき送液手段30の動作を制御可能なものであれば特に限定されず、第一実施形態と同様のものを用いることができる。
培養バッグ10における培地を排出して、制御部60により液厚がゼロの状態に対応する出力電圧を記憶させた後、測長センサ25からの検出情報にもとづき培養バッグ10における培地が所望の液厚になるように、ポンプなどの送液手段30の駆動を制御させ、培養バッグ10に培地を供給することができる。
また、本実施形態において、培養バッグ10を載置する架台21に測長センサ25を配置すると共に、押圧部材27に金属部材2722を配置して、培養バッグ収容部20aを構成することもできる。また、重量センサを用いて、培養バッグ10における培地を含む重量を検出して制御部60に出力し、制御部60が、培地の重量にもとづき培地の液厚を算出して、送液手段30の動作を制御する構成とすることもできる。
ここで、細胞培養システムにおける培地の送液制御として、全量交換、半量交換、及び循環送液の3通りを挙げることができる。
全量交換では、培養バッグ10内にある培地を全て排出して、培養バッグ10内を一旦空にした後、再度培養バッグ10内に培地を充填して、培養バッグ10内における培地の液厚を元の液厚に戻すことが行われる。
半量交換では、培養バッグ10内にある培地の半分の量を排出した後、再度培養バッグ10内に培地を充填して、培養バッグ10内における培地の液厚を元の液厚に戻すことが行われる。
循環送液では、培養バッグ10内における培地の液厚を一定の範囲に保持しながら連続的に送液することが行われる。
全量交換と半量交換は、一旦培地の排出を行った後に、培地が一定の液厚になるまで培地を供給することにより行えるため、比較的容易に制御することが可能である。
これに対して、循環送液を安定的に動作させることは難しく、送液手段30に対して特殊な制御を行うことが必要である。
例えば、第一の送液手段と第二の送液手段を同時に動作させ、送液速度が全く同じであれば、理論上は液厚を保持しながら循環送液を行うことが可能である。
しかしながら、一般的にポンプの送液速度にはバラツキが有るため、同時に動作させるだけでは誤差分だけ液厚が変化してしまう。
このため、注入側のポンプよりも排出側のポンプが速ければ、培養バッグ10における培地は空になり、注入側のポンプよりも排出側のポンプが遅ければ、培養バッグ10における培地が増えて続けてバッグを破損してしまう虞がある。
そこで、本実施形態の細胞培養システムでは、第一の送液手段と第二の送液手段による培地の送液速度を異なる速度に制御する。そして、第一の送液手段と第二の送液手段による培地の送液速度のうち、速度の遅い方の送液手段による送液速度を一定にし、かつ、検出部からの入力情報にもとづいて、培養バッグ10における培地の液厚が一定範囲になるように、速度の早い方の送液手段の動作の停止と開始を制御することで、循環送液を安定的に動作させることを可能としている。
具体的には、循環送液の開始にあたり、まず、培養バッグ10内の培地が空の状態において、排出側のポンプを停止させた状態で、注入側のポンプを速度Vで動作させ、培養バッグ10内の培地の液厚が、例えば最大液厚3dになるように向けて、培地の充填を開始する。
次に、培養バッグ10内の培地の液厚が2dになったときに、排出側のポンプを速度V’で動作させる。注入側のポンプは、速度Vで動作させたままとする。このとき、V<V’として、排出側のポンプの速度を、注入側のポンプの速度よりも早くする。
次に、培養バッグ10内の培地の液厚がdになったときに、排出側のポンプを停止させる。注入側のポンプは、速度Vで動作させたままとする。これにより、培養バッグ10内の培地の液厚が再び最大液厚3dになるように向けて増加する。
そして、これらの動作を繰り返すことによって、培養バッグ10内における培地の液厚を一定の範囲にすることが可能となる。
また、これと反対に、注入側のポンプの速度を排出側のポンプの速度よりも早くして、その動作の停止と開始を制御することも可能である。
具体的には、まず、培養バッグ10内に培地が液厚3dになるように充填し、注入側のポンプを停止させた状態で、排出側のポンプを速度Vで動作させ、培養バッグ10内の培地の液厚がdになるように向けて、培地の排出を開始する。
次に、培養バッグ10内の培地の液厚がdになったときに、注入側のポンプを速度V’で動作させる。排出側のポンプは、速度Vで動作させたままとする。このとき、V<V’として、注入側のポンプの速度を、排出側のポンプの速度よりも早くする。
次に、培養バッグ10内の培地の液厚が2dになったときに、注入側のポンプを停止させる。排出側のポンプは、速度Vで動作させたままとする。これにより、培養バッグ10内の培地の液厚が再びdになるように向けて減少する。
そして、これらの動作を繰り返すことによって、培養バッグ10内における培地の液厚を一定の範囲にすることが可能となる。
なお、注入側のポンプを速度V’で動作させ、排出側のポンプを速度Vで動作させて、V<V’として、注入側のポンプの速度を排出側のポンプの速度よりも早くすると共に、それぞれを検出部からの入力情報にもとづいて、培養バッグ10における培地の液厚が一定値になったときに停止させるようにすることも可能である。
ただし、このような構成にすると、頻繁にポンプの動作開始(ポンプモータON)と停止(ポンプモータOFF)を繰り返すようになるため、一応制御はできるものの、ポンプを動かすためのモータにダメージを与えてしまうことから、上記のように制御することがより好ましい。
このような本実施形態の細胞培養システムによれば、培養バッグにおける培地の液厚を把握できるため、培養バッグ内の培地の残量を把握することが可能となる。
また、培養バッグの上面フィルムと下面フィルムが接触するタイミングを把握できる。これにより、培養バッグ内に培地が無い状態になることを防止することができる。また、ポンプの故障や設置が不適切であることによる送液エラーを検出することも可能となる。
さらに、送液手段の動作を制御することで、細胞培養システムにおける培地の循環送液を好適に行うことも可能である。
また、培養バッグの上面フィルムと複数の凹部を有する下面フィルムの間隙の幅を、スフェアが移動できない大きさ(約50μmの隙間)に制御して、凹部間でのスフェアの移動を防止することも可能となる。
[第三実施形態]
次に、本発明に係る細胞培養システムの第三実施形態について、図10を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、図10に示すように、培養ユニット50を格納する筐体70と、筐体70の側壁から立設する棒状部材71と、棒状部材71の中心軸に沿って筐体70を回転させる駆動部72と、筐体70を回転可能に支持する支持機構73とを備えたことを特徴とする。また、以下に説明する点を除き、その他の構成については、第一実施形態又は第二実施形態と同様のものとすることができる。
本実施形態において、送液手段30としては、チューブポンプを用いることが好ましく、また、培養バッグ10に備えられた複数のポート13に接続された各管状部材14に、当該送液手段30をそれぞれ配設することが好ましい。
送液手段30をこのように配設することによって、例えば培養バッグ10を押圧部材で押圧する場合でも、押圧部材の圧力により培地が培地バッグ40へ逆流することを防止できる。
また、例えば培養バッグ10に接続された管状部材14内に気泡が生じた場合でも、送液手段30を動作させることにより、これらの気泡を培地バッグ40へ移送して排出することが可能となる。
さらに、培養バッグ10を回転させたりすることによってその姿勢を変えても、水頭差の影響受けず、培養バッグ10内に急激な圧力変動が発生じることを防止でき、細胞に悪影響を及ぼすことを排除することが可能である。
また、本実施形態において、筐体70は、培養ユニット50における培養バッグ収容部20、送液手段30、管状部材14、及び培地バッグ40を固定して保持するものであり、筐体70におけるこれらの配置は特に限定されず、その固定方法も限定されない。
棒状部材71は、筐体70を回転させるための回転軸であり、筐体70と別個に形成して筐体70に固定してもよく、筐体70と一体的に形成してもよい。棒状部材71を筒状に形成して、制御部60の入出力部61に接続された配線コードをその内部を通じて送液手段30や測長センサ25に接続することができる。
駆動部72は、棒状部材71をその中心軸に沿って回転させることにより、筐体70を回転させる。駆動部72は、制御部60の入出力部61に配線コードを介して接続され、制御部60により制御することができる。また、駆動部72を制御するための、他の制御部を用いてもよい。
支持機構73は、棒状部材71を支持し、これにより筐体70を回転可能に支持する。
このような本実施形態の細胞培養システムによれば、培養バッグ10を回転させて培養部を垂直にしたり、あるいは上下反転させたりした状態でも、培養バッグ10への培地の送液を行うことが可能となる。
また、例えば接着細胞を培養バッグ10の培養部に接着させて培養する場合に、培養バッグ10内の下面側に接着細胞を接着させた後、培養バッグ10を上下反転させて培養バッグ10内の元の上面側(新たな下面側)に接着細胞を接着させ、培養バッグ10を適宜上下反転させて培養することにより、培養面積を2倍にすることができる。
さらに、培地の液厚をスフェアが移動できない大きさに制御した後に、培養バッグ10を上下反転させることにより、培養バッグ10の培養部に形成された凹部にスフェアを保持したままで、死細胞や培地を排出したり、培地全量交換や半量交換を好適に行うことができる。
[第四実施形態]
次に、本発明に係る細胞培養システムの第四実施形態について、図11を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、図11に示すように、複数の培養ユニット50(50-1,50-2,50-3)を(積層して)格納する第二の筐体70aと、第二の筐体70aの側壁から立設する第二の棒状部材71aと、第二の棒状部材71aの中心軸に沿って第二の筐体70aを回転させる第二の駆動部72aと、第二の筐体70aを回転可能に支持する第二の支持機構73aとを備えたことを特徴とする。また、以下に説明する点を除き、その他の構成については、第三実施形態と同様のものとすることができる。
筐体70aは、複数の培養ユニット50における培養バッグ収容部20、送液手段30、管状部材14、及び培地バッグ40をそれぞれ固定して保持する。
棒状部材71aは、筐体70aを回転させるための回転軸であり、筐体70aと別個に形成して筐体70aに固定してもよく、筐体70aと一体的に形成してもよい。棒状部材71aを筒状に形成して、制御部60の入出力部61に接続された配線コードをその内部を通じて送液手段30や測長センサ25に接続することができる。
駆動部72aは、棒状部材71aをその中心軸に沿って回転させることにより、筐体70aを回転させる。駆動部72aは、制御部60の入出力部61に配線コードを介して接続され、制御部60により制御することができる。また、駆動部72aを制御するための他の制御部を用いてもよい。
支持機構73aは、棒状部材71aを支持し、これにより筐体70aを回転可能に支持する。
このような本実施形態の細胞培養システムによれば、第三実施形態の効果に加えて、複数の培養バッグ10を用いることにより培養面積を増加させることができ、かつそれぞれの培養バッグ10への培地の流入と排出をきめ細かく制御することができるため、細胞を大量に培養することが可能となる。
[第五実施形態]
次に、本発明に係る細胞培養システムの第五実施形態について、図12を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、一つの培地容器(培地バッグ40)に対して、複数の培養バッグが並列して管状部材で連結され、管状部材における各分岐部分と複数の培養バッグのポートを接続する管状部材にそれぞれ一つの送液手段が配設されたことを特徴とする。また、以下に説明する点を除き、その他の構成については、第一実施形態の細胞培養システムと同様のものとすることができる。
図12において、培養バッグ10には、それぞれ2つのポート13が設けられている。これらのポート13にはそれぞれ管状部材14が接続され、各管状部材14は他の培養バッグ10及び培地バッグ40に接続されている。また、管状部材14は部分的に分岐して、培養バッグ10及び培地バッグ40に接続されている。
培養バッグ10の各ポートの両側における管状部材14には、それぞれ送液手段30が配設されている。このとき、管状部材14におけるある分岐部分と培養バッグ10のポート13を接続する管状部材14において、それぞれ一つの送液手段30が配設されている。これらの送液手段30としては、チューブポンプを用いることが好ましい。
また、制御部60における入出力部61は、各送液手段30にそれぞれ配線コードで接続されている。そして、PLC62からの指示情報もとづいて、これらの送液手段30の動作の制御が行われる。これらの送液手段30は、個別に制御することが可能である。
また、本実施形態の細胞培養システムを、培養バッグ10が載置される架台、培養バッグ10を架台に対して押圧することにより培養バッグ10内の液厚を均一にする押圧部材、押圧部材に対面して配置された天板部、及び天板部に対して押圧部材を垂直方向に移動可能に支持する支持機構をそれぞれ備えた複数の培養バッグ収容部20と、培地バッグ40を収容する培地容器収容部(図示していない)と、各送液手段30、及び複数の培養バッグ10と培地バッグ40を連結する管状部材14を収容する収容部(図示していない)とを有する第二の培養ユニット(複数の培養バッグが共通の培地容器に連結された、多連の培養ユニット)50bを備えたものとすることも好ましい。
本実施形態の細胞培養システムをこのようにすれば、各培養バッグ10における培地の送液を好適に制御することが可能となる。
ここで、複数の培養バッグ10を共通の培地バッグ40に連結する場合において、例えば2つのポートを備えた培養バッグ10に接続された管状部材14の一方にのみポンプを配設したり、該管状部材14の両方に電磁弁を配設したりすると、培地は分岐された管状部材14のうちの流れやすいものに多く流れるため、各培養バッグ10に培地を均一に送液できないという問題があった。
これに対し、本実施形態の細胞培養システムによれば、培養バッグ10の各ポートの両側における管状部材14にそれぞれ送液手段30としてポンプを配設し、これらの送液手段30の動作を制御することができるため、複数の培養バッグ10に培地を均一に送液することが可能である。
また、本実施形態の細胞培養システムによれば、複数の培養バッグ10に共通する培地バッグ40を用いる場合においても、各送液手段30の動作を個別に制御することができるため、複数の培養バッグ10への培地の送液を、それぞれ別個にきめ細かく制御することが可能である。
さらに、このようにして、複数の培養バッグ10を用いて培養を好適に行うことができるため、細胞を大量に培養することが可能となる。
[第六実施形態]
次に、本発明に係る細胞培養システムの第六実施形態について、図13を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、第二実施形態と同様に、培養バッグにおける培地量の変化に応じて生じる変化を測定する検出部を備え、検出部から入力した検出情報にもとづいて、各送液手段の動作を制御することを特徴とする点で、第五実施形態の細胞培養システムと相違する。また、以下に説明する点を除き、その他の構成については、第五実施形態と同様のものとすることができる。
図13において、制御部60における入出力部61は、送液手段30にそれぞれ配線コードで接続されている。また、入出力部61は、各測長センサ25にも配線コードで接続されている。そして、制御部60は、各測長センサ25からの検出情報にもとづいて、各測長センサ25に対応する(同一の培養バッグ10について備えられた)各送液手段30の動作を、それぞれ個別に制御することができる。
例えば、制御部60は、測長センサ25から入力した出力電圧などにもとづき培養バッグ10における培地の液厚を算出して、液厚にもとづき送液手段30の動作の開始と停止、及び回転速度等を制御して、液厚を所望の大きさに制御することが可能である。
また、本実施形態の細胞培養システムを、培養バッグ10が載置される架台、培養バッグ10を架台に対して押圧することにより培養バッグ10内の液厚を均一にする押圧部材、押圧部材に対面して配置された天板部、及び天板部に対して押圧部材を垂直方向に移動可能に支持する支持機構をそれぞれ備え、かつ測長センサを備えた複数の培養バッグ収容部20aと、培地バッグ40を収容する培地容器収容部(図示していない)と、各送液手段30、及び複数の培養バッグ10と培地バッグ40を連結する管状部材14を収容する収容部(図示していない)とを有する第三の培養ユニット(複数の培養バッグが共通の培地容器に連結された、多連の培養ユニットで測長センサを有するもの)50cを備えたものとすることも好ましい。
本実施形態の細胞培養システムをこのようにすれば、第五実施形態の細胞培養システムによる効果に加えて、培養バッグ10における培地の送液をより一層きめ細かく制御でき、さらに培養バッグ10における培地の液厚を制御することも可能となる。
[第七実施形態]
次に、本発明に係る細胞培養システムの第七実施形態について、図14を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、図14に示すように、多連の培養ユニット(50b,50c)を格納する第三の筐体70bと、第三の筐体70bの側壁から立設する第三の棒状部材71bと、第三の棒状部材71bの中心軸に沿って第三の筐体70bを回転させる第三の駆動部72bと、第三の筐体70bを回転可能に支持する第三の支持機構73bとを備えたことを特徴とする。また、以下に説明する点を除き、その他の構成については、第五実施形態又は第六実施形態と同様のものとすることができる。
筐体70bは、多連の培養ユニット(50b,50c)における培養バッグ収容部20、送液手段30、管状部材14、及び培地バッグ40をそれぞれ固定して保持する。
棒状部材71bは、筐体70bを回転させるための回転軸であり、筐体70bと別個に形成して筐体70bに固定してもよく、筐体70bと一体的に形成してもよい。棒状部材71を筒状に形成して、制御部60の入出力部61に接続された配線コードをその内部を通じて送液手段30や測長センサ25に接続することができる。
駆動部72bは、棒状部材71bをその中心軸に沿って回転させることにより、筐体70bを回転させる。駆動部72bは、制御部60の入出力部61に配線コードを介して接続され、制御部60により制御することができる。また、駆動部72bを制御するための他の制御部を用いてもよい。
支持機構73bは、棒状部材71bを支持し、これにより筐体70bを回転可能に支持する。
このような本実施形態の細胞培養システムによれば、複数の培養バッグ10に共通する培地バッグ40を用いる場合において、それらの培養バッグ10を回転させて培養部を垂直にしたり、あるいは上下反転させたりした状態でも、各培養バッグ10への培地の送液を適切に行うことが可能となる。
[第八実施形態]
次に、本発明に係る細胞培養システムの第八実施形態について、図15を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、それぞれ複数のポートを有する軟包材からなる複数の培養バッグと、複数の培養バッグに移送する培地を収容する第一の培地容器と、複数の培養バッグから移送されてきた培地を収容する第二の培地容器と、培地の送液を制御する制御部を備えた細胞培養システムであって、複数のポートのそれぞれに管状部材が接続されて、複数の培養バッグが、第一の培地容器と第二の培地容器に管状部材で連結され、管状部材における各分岐部分と複数の培養バッグのポートとを接続する管状部材にそれぞれ一つの送液手段が配設され、制御部が、各送液手段の動作を制御して、複数の培養バッグと第一の培地容器と第二の培地容器における培地の移送を制御することを特徴とする。
すなわち、本実施形態の細胞培養システムにおいては、培地は循環することなく、第一の培地容器41から各培養バッグ10に送液され、各培養バッグ10から二の培地容器42へ送液される。
このような本実施形態の細胞培養システムによっても、第六実施形態の細胞培養システムと同様に、培養バッグ10における培地の液厚をきめ細かく適切に制御することが可能である。
また、本実施形態の細胞培養システムにおける培養バッグ収容部20aから測長センサ25を省略することもできる。このような細胞培養システムによっても、第五実施形態の細胞培養システムと同様に、培養バッグ10における培地の送液を好適に制御することが可能である。
さらに、本実施形態の細胞培養システムを第七実施形態の細胞培養システムと組み合わせて、複数の培養バッグ10を回転させて培養部を垂直にしたり、あるいは上下反転させたりした状態でも、各培養バッグ10への培地の送液を適切に行えるようにすることもできる。
なお、本実施形態の細胞培養システムで用いる培養バッグとして、天板側フィルム12において、培養バッグ10の内側に天板突起部を備えて、天板突起部の幅を底部側フィルム11に形成された凹部の開口部の幅よりも小さくし、かつ、天板突起部の高さを培養対象物の最小径より小さくして、天板突起部が培養部の上端面の一部に接触した場合に、上端面と天板側フィルム12の下面に間隙が形成される構成とすることも好ましい。
本実施形態の細胞培養システムで用いる培養バッグをこのような構成にすれば、天板突起部を上端面の一部に接触させて、培養対象物のサイズよりも小さい間隙を上端面と天板部に形成させた状態にすることができる。これにより、培地などの液状物を間隙から通液可能としつつ、スフェアなどの培養対象物の移動を防止することが可能となる。
培養対象物をスフェアとする場合、本実施形態の培養装置は、スフェアを形成する工程、スフェア状態を維持したまま培養して増殖させる工程、及びスフェア状態で分化誘導する工程等に用いることができる。
また、iPS細胞やES細胞、その他幹細胞から既に分化誘導工程を経て得られた分化細胞を使用してスフェアを形成させる方法や、分化誘導した細胞を一度凍結保存し、再度解凍後にスフェアを形成する方法等において用いることもできる。
以上説明したように、本発明の実施形態の細胞培養システムによれば、培地容器から培養バッグへの培地の流入と排出をきめ細かく制御することができる。
また、培養バッグにおける培地の液厚を把握することにより、培養バッグ内の培地の残量や培養バッグの上面フィルムと下面フィルムが接触するタイミングを把握することができ、培養バッグ内に培地が無い状態になることを防止したり、ポンプの故障や設置が不適切であることによる送液エラーを検出したりすることが可能となる。
さらに、培養バッグを回転させて培養部を垂直にしたり、あるいは上下反転させたりした状態でも、培養バッグへの培地の送液を行うことが可能であり、例えば接着細胞を培養バッグの培養部に接着させて培養する場合には、培養バッグを適宜上下反転させて培養することにより、培養面積を2倍にすることも可能である。
また、複数の培養バッグを用いることにより培養面積を増加させると共に、それぞれの培養バッグへの培地の流入と排出をきめ細かく制御することができるため、細胞を大量に培養することが可能である。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。例えば、培養バッグにポートを3つ以上備えて、それらに接続された管状部材にポンプを配設して、検出器からの情報にもとづきこれらのポンプを制御する構成としたり、培養バッグ収容部における押圧部材や測長センサの配置を変更したりするなど適宜変更することが可能である。
本発明は、均一なサイズのスフェアやオルガノイド等を効率的に大量に作成する場合などに、好適に利用することが可能である。
10 培養バッグ
11,11a,11b 底部側フィルム
111,111a,111b 凹部
12 天板側フィルム
13 ポート
14 管状部材
20,20a 培養バッグ収容部
21 架台
22 天板支持部
23 天板部
231 天板開口部
24 センサ支持部
25 測長センサ
26 永久磁石
27 押圧部材
271 押圧部
272 取付部
2721 永久磁石
2722 金属部材
273 ガイドピン
30 送液手段
40,41,42 培地バッグ
50,50a,50b,50c,50d 培養ユニット
60 制御部
61 入出力部
62 PLC
63 継電部
64 操作部
65 電源部
66 配線遮断部
70,70a,70b 筐体
71,71a,71b 棒状部材
72,72a,72b 駆動部
73,73a,73b 支持機構

Claims (15)

  1. 複数のポートを有する軟包材からなる培養バッグと、前記培養バッグに移送する培地を収容する培地容器と、培地の送液を制御する制御部を備えた細胞培養システムであって、
    前記複数のポートのそれぞれに管状部材が接続されて前記培養バッグと前記培地容器が管状部材を介して環状に連結され、
    前記複数のポートにおける第一のポートに接続された管状部材に第一の送液手段が配設され、前記複数のポートにおける第二のポートに接続された管状部材に前記第一の送液手段とは異なる第二の送液手段が配設され、
    前記制御部が、少なくとも前記第一の送液手段又は前記第二の送液手段の動作を制御して、前記培養バッグと前記培地容器における培地を循環させ
    前記培養バッグにおける培地量の変化に応じて生じる変化を測定する検出部を備え、
    前記検出部から入力した検出情報にもとづいて、培地の液厚が一定範囲となるように前記第一の送液手段及び前記第二の送液手段の動作を制御して前記培地の循環送液を行う
    ことを特徴とする細胞培養システム。
  2. 前記第一の送液手段及び前記第二の送液手段が、チューブポンプであることを特徴とする請求項1記載の細胞培養システム。
  3. 前記培地量の変化に応じて生じる変化が、部材の位置の変位であり、前記検出部が測長センサであることを特徴とする請求項1又は2記載の細胞培養システム。
  4. 前記培地量の変化に応じて生じる変化が、前記培養バッグが載置された収容部の重量の変化であり、前記検出部が重量センサであることを特徴とする請求項1又は2記載の細胞培養システム。
  5. 前記第一の送液手段と前記第二の送液手段による培地の送液速度を異なる速度に制御することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の細胞培養システム。
  6. 前記第一の送液手段と前記第二の送液手段による培地の送液速度のうち、速度の遅い方の送液手段による送液速度を一定にし、かつ、前記検出部からの入力情報にもとづいて、前記培養バッグにおける培地の液厚が一定範囲になるように、速度の早い方の送液手段の動作の停止と開始を制御することを特徴とする請求項記載の細胞培養システム。
  7. 前記制御部が前記培養バッグにおける培地の液厚を算出し、この液厚にもとづいて、少なくとも前記第一の送液手段又は前記第二の送液手段の動作を制御する
    ことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の細胞培養システム。
  8. 前記培養バッグが載置される架台、前記培養バッグを前記架台に対して押圧することにより前記培養バッグ内の液厚を均一にする押圧部材、前記押圧部材に対面して配置された天板部、及び前記天板部に対して前記押圧部材を垂直方向に移動可能に支持する支持機構を備えた培養バッグ収容部と、前記培地容器を収容する培地容器収容部と、各送液手段、及び前記培養バッグと前記培地容器を連結する管状部材を収容する収容部とを有する培養ユニットを備えた
    ことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の細胞培養システム。
  9. 測長センサが前記天板部に配置され、該測長センサが前記押圧部材に配置された金属部材までの距離を測定することを特徴とする請求項記載の細胞培養システム。
  10. 前記培養ユニットを格納する筐体と、前記筐体の側壁から立設する棒状部材と、前記棒状部材の中心軸に沿って前記筐体を回転させる駆動部と、前記筐体を回転可能に支持する支持機構とを備えた
    ことを特徴とする請求項8又は9記載の細胞培養システム。
  11. 複数の前記培養ユニットを格納する第二の筐体と、前記第二の筐体の側壁から立設する第二の棒状部材と、前記第二の棒状部材の中心軸に沿って前記第二の筐体を回転させる第二の駆動部と、前記第二の筐体を回転可能に支持する第二の支持機構とを備えた
    ことを特徴とする請求項8又は9記載の細胞培養システム。
  12. 一つの前記培地容器に対して、複数の前記培養バッグが並列して管状部材で連結され、管状部材における各分岐部分と複数の前記培養バッグのポートとを接続する管状部材にそれぞれ一つの送液手段が配設されたことを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の細胞培養システム。
  13. 前記培養バッグが載置される架台、前記培養バッグを前記架台に対して押圧することにより前記培養バッグ内の液厚を均一にする押圧部材、前記押圧部材に対面して配置された天板部、及び前記天板部に対して前記押圧部材を垂直方向に移動可能に支持する支持機構をそれぞれ備えた複数の培養バッグ収容部と、前記培地容器を収容する培地容器収容部と、各送液手段、及び複数の前記培養バッグと前記培地容器を連結する管状部材を収容する収容部とを有する第二の培養ユニットを備えた
    ことを特徴とする請求項12記載の細胞培養システム。
  14. 前記第二の培養ユニットを格納する第三の筐体と、前記第三の筐体の側壁から立設する第三の棒状部材と、前記第三の棒状部材の中心軸に沿って前記第三の筐体を回転させる第三の駆動部と、前記第三の筐体を回転可能に支持する第三の支持機構とを備えた
    ことを特徴とする請求項13記載の細胞培養システム。
  15. 前記第一のポートと前記第二のポートが、前記培養バッグの両端部において培養部の中心に対して点対称に配置された
    ことを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の細胞培養システム。
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