JP5892216B1 - 細胞培養システムにおける送液方法、及び細胞培養システム - Google Patents
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Abstract
Description
このような細胞培養において、培地を培養容器に供給するための培地容器と、細胞培養に用いるための培養容器とをチューブにより接続して細胞培養システムを構成し、この細胞培養システムを用いて閉鎖系で細胞培養を行うことにより、コンタミネーションのリスクを回避して、細胞を増殖させることが行われている。
また、細胞培養では、複数の培養容器を使用して、細胞の培養状況に合わせて培養容器間で細胞懸濁液の移送が行われる場合がある。
このような容器間での内容物の移送は、チューブに取り付けられたポンプを用いて行われることが一般的である。
例えば、図7の例では、培地容器110と、最初に細胞培養が行われる第一の培養容器120と、次に細胞培養が行われる第二の培養容器130とが移送チューブ140を用いて接続されており、培地容器110と第二の培養容器130間に第一のポンプ141が配置され、第二の培養容器130と第一の培養容器120間に第二のポンプ142が配置されている。そして、第一の培養容器120に細胞が注入された後に、培地容器110から培地がポンプ141とポンプ142を経由して第一の培養容器120へ移送される。第一の培養容器120での細胞培養の後、次に第一の培養容器120から細胞懸濁液がポンプ142を経由して第二の培養容器130へ移送され、次いで培地容器110から培地がポンプ141を経由して第二の培養容器130へ移送される。
しかしながら、チューブの内径にはバラツキがあることなどの理由によって、このように直列に接続されたポンプを完全に同調させることは難しく、培地の移送効率が悪いという問題があった。
しかしながら、ポンプはバルブ部材などに比べて高価であり、またチューブへのポンプの取り付けは煩雑な作業である。したがって、細胞培養システムにおけるポンプの数は、できるだけ少なくすることが望ましい。
まず、本発明の第一実施形態に係る細胞培養システムにおける送液方法、及び細胞培養システムについて、図1及び図2を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、図1に示すように、培地を培養容器に供給するための培地容器10と、細胞培養に用いるための第一の培養容器20及び第二の培養容器30と、これらの容器を接続するための移送チューブ40とを備えている。
第一の培養容器20は、細胞を注入して、最初に細胞培養が行われる培養容器であり、例えば細胞を活性化させるための細胞培養に用いる活性化培養容器などとして好適に用いることができる。第一の培養容器20を活性化培養容器として用いてリンパ球などの浮遊系細胞を活性化させる場合、第一の培養容器20内の底面には、抗CD3抗体などの細胞を活性化させる物質が固相化される。
第二の培養容器30は、第一の培養容器での細胞培養の後に、第一の培養容器における細胞懸濁液を移し変えて細胞培養を行うための容器であり、例えば細胞を増殖させるための細胞培養に用いる増幅培養容器などとして好適に用いることができる。
このように、第一の培養容器20を活性化培養容器として用いると共に、第二の培養容器30を増幅培養容器として用いることで、リンパ球などの浮遊系細胞を好適に増殖させることが可能となる。
培地容器10は、送液用(送入及び送出を含む)のポート11を備え、このポート11において移送チューブ40に接続されている。なお、本実施形態の細胞培養システムにおいて、培地容器10の接続個数は特に限定されず、1つ又は2つ以上の培地容器10を移送チューブ40に接続して、本実施形態の細胞培養システムを構成することができる。
ポート21は、図1に示すように、第一の培養容器20の周縁部における移送チューブ40側であって、かつ第二の培養容器30に対して最も反対側に設けることが好ましい。このようにすれば、第一の培養容器20から内容物を送出するにあたり、すなわち、第一の培養容器20から細胞懸濁液を第二の培養容器30に移送するにあたり、細胞培養システムをこのポート21が下になるように傾けることで、細胞懸濁液が第一の培養容器20に残留することを抑制することが可能となる。
すなわち、本実施形態に係る細胞培養システムにおいて、ポンプは1つのみ備えられており、第二の培養容器30は、第二の培養容器30と移送チューブ40とを接続する培養容器接続チューブ42により、移送チューブ40におけるポンプ41の両側で、移送チューブ40に接続された構成となっている。
容器間で送液を行わない時は、各容器からの流路は、クリップなどの閉塞部材によって閉塞されている。すなわち、図1の例では、各容器とポンプ41間の流路はクリップ止めされている。そして、容器間で送液を行うにあたって、送液を行う2つの容器についての閉塞部材のみを取り外して流路を開放し、ポンプ41による送液を行う。なお、閉塞部材の位置及び個数は図1に限定されず、ポンプ41の際に配置させるなど適宜設定することができる。
各ポートは、移送チューブ40側に配置することが好ましく、収容部を、チューブの取り付け部分に向かって次第に狭くなるようにすることも好ましい。
また、移送チューブ40におけるチューブ間の接続は、ルアーコネクターやその他の連結手段により行うことができる。さらに、移送チューブ40において、例えばピンチバルブや二方活栓、三方活栓等の流路開閉手段を設けても良い。
次に、ポンプ41を作動させ、このポンプ41によって、図2に示すように、培地容器10から第一の培養容器20へ培地を移送する(同図矢印(1))。そして、第一の培養容器20において、所定の期間、細胞培養が行われる。
第一の培養容器20における細胞培養の後、ポンプ41によって、第一の培養容器20から第二の培養容器30へ細胞懸濁液を移送し(同図矢印(2))、次いで培地容器10から第二の培養容器30へ培地を移送する(同図矢印(3))。
また、培地容器10から第二の培養容器30への培地の移送は、ポンプ41の第一の培養容器20側において移送チューブ40に接続された培養容器接続チューブ42を経由して行う。
次に、本発明の第二実施形態に係る細胞培養システムにおける送液方法、及び細胞培養システムについて、図3を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、図3に示すように、第二の培養容器30aが、第一実施形態とは形状の異なる培養容器接続チューブ43を用いて、移送チューブ40に接続されている点で、第一実施形態と異なっている。その他の点は第一実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態に係る細胞培養システムにおいても、ポンプは1つのみ備えられており、第二の培養容器30aは、第二の培養容器30aと移送チューブ40とを接続する培養容器接続チューブ43により、移送チューブ40におけるポンプ41の両側で、移送チューブ40に接続された構成となっている。
また、培地容器10から第二の培養容器30aへの培地の移送は、ポンプ41の第一の培養容器20側における移送チューブ40に接続された培養容器接続チューブ43の流路を経由して行う。
次に、本発明の第三実施形態に係る細胞培養システムにおける送液方法、及び細胞培養システムについて、図4及び図5を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、図4に示すように、回収容器50を備えている点で、第一実施形態と異なっている。その他の点は第一実施形態と同様である。
回収容器50は、第二の培養容器30における細胞培養が終了した後、第二の培養容器30から細胞懸濁液を回収するための容器である。
回収容器50は、送液用のポート51を備え、このポート51において移送チューブ40に接続されている。
すなわち、ポンプ41を作動させ、このポンプ41によって、図5に示すように、培地容器10から第一の培養容器20へ培地を移送する(同図矢印(1))。そして、第一の培養容器20において、所定の期間、細胞培養が行われる。
第一の培養容器20における細胞培養の後、ポンプ41によって、第一の培養容器20から第二の培養容器30へ細胞懸濁液を移送し(同図矢印(2))、次いで培地容器10から第二の培養容器30へ培地を移送する(同図矢印(3))。
このとき、第二の培養容器30から回収容器50への細胞懸濁液の移送は、ポンプ41の第一の培養容器20側における移送チューブ40に接続された培養容器接続チューブ42を経由して行われる。
次に、本発明の第四実施形態に係る細胞培養システムにおける送液方法、及び細胞培養システムについて、図6を参照して説明する。
本実施形態の細胞培養システムは、図6に示すように、2つの培地容器10a,10bと、2つの回収容器50a,50bとを備えている点で、第三実施形態と異なっている。その他の点は第三実施形態と同様である。
また、本実施形態の細胞培養システムでは、2つの回収容器50a,50bが移送チューブ40aに接続されている。図6の例では、回収容器50a,50bは一体化して形成されているが、別個に構成しても良い。また、本実施形態の細胞培養システムにおいて、3つ以上の回収容器を備えても良い。
また、図6において、第一の培養容器20aと第二の培養容器30bは一体化して形成されているが、別個に構成しても良い。
例えば、前述した実施形態において、培地容器と培養容器と回収容器を移送チューブに接続した構成について説明したが、例えば接着系細胞の培養にあたって、細胞を容器壁から剥離するための酵素を供給する酵素溶液供給容器や、この酵素の活性を阻害するための阻害剤を供給する阻害剤溶液供給容器などその他の容器をさらに接続して、酵素や阻害剤を培地と同様に培養容器へ移送可能にすることができる。また、第三実施形態や第四実施形態の細胞培養システムにおいて、第二実施形態における二股に分岐した形状の培養容器接続チューブを用いるなど、適宜変更することが可能である。
10,10a,10b 培地容器
11 ポート
20,20a 第一の培養容器
21 ポート
30,30a,30b 第二の培養容器
31,32,33 ポート
40,40a 移送チューブ
41 ポンプ
42,43 培養容器接続チューブ
44 閉塞部材
50,50a,50b 回収容器
51 ポート
Claims (14)
- 培地を培養容器に供給するための培地容器と、細胞培養に用いるための第一の培養容器と、細胞培養に用いるための第二の培養容器と、これらの容器を接続するための移送チューブを備えた細胞培養システムにおける送液方法であって、
前記細胞培養システムにおける各容器を、培地容器、第二の培養容器、第一の培養容器の順で前記移送チューブに接続し、
前記移送チューブにポンプを1つのみ取り付け、
前記第二の培養容器は、前記第二の培養容器と前記移送チューブとを接続する培養容器接続チューブにより、前記移送チューブにおける前記ポンプの両側で、前記移送チューブに接続し、
前記第一の培養容器に細胞を注入し、
前記ポンプにより、前記培地容器から前記第一の培養容器へ培地を移送し、前記第一の培養容器における細胞培養の後、前記第一の培養容器から前記第二の培養容器へ細胞懸濁液を移送して、前記培地容器から前記第二の培養容器へ培地を移送する
ことを特徴とする細胞培養システムにおける送液方法。 - 前記第一の培養容器から前記第二の培養容器への細胞懸濁液の移送を、前記ポンプの前記培地容器側における前記移送チューブに接続された前記培養容器接続チューブを経由して行い、
前記培地容器から前記第二の培養容器への培地の移送を、前記ポンプの前記第一の培養容器側における前記移送チューブに接続された前記培養容器接続チューブを経由して行う
ことを特徴とする請求項1記載の細胞培養システムにおける送液方法。 - 前記第二の培養容器が送液用のポートを2つ備え、前記第二の培養容器と前記移送チューブとの接続を前記培養容器接続チューブを2本用いて行い、前記培養容器接続チューブの一方の端部を前記2つのポートにそれぞれ接続し、前記培養容器接続チューブの他の端部を前記ポンプの両側で、前記移送チューブに接続する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の細胞培養システムにおける送液方法。 - 前記第二の培養容器が送液用のポートを1つ備え、前記培養容器接続チューブが二股に分岐した形状であり、前記第二の培養容器と前記移送チューブとの接続を、前記培養容器接続チューブの一方の端部を前記1つのポートに接続し、前記培養容器接続チューブの他の端部を前記ポンプの両側で、前記移送チューブに接続することにより行う
ことを特徴とする請求項1又は2記載の細胞培養システムにおける送液方法。 - 前記細胞培養システムが、前記培地容器を1つ又は2つ以上備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の細胞培養システムにおける送液方法。
- 前記細胞培養システムが、細胞懸濁液を回収するための回収容器を1つ又は2つ以上備え、
前記第二の培養容器から前記回収容器への細胞懸濁液の移送を、前記ポンプにより、前記ポンプの前記第一の培養容器側における前記移送チューブに接続された前記培養容器接続チューブを経由して行う
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の細胞培養システムにおける送液方法。 - 前記各容器からの流路が閉塞部材によって閉塞され、前記各容器間で送液を行うにあたり、送液を行う2つの容器についての前記閉塞部材のみを取り外して流路を開放し、前記ポンプによる送液を行う
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の細胞培養システムにおける送液方法。 - 前記第一の培養容器が、細胞を活性化させるための細胞培養に用いる活性化培養容器であり、前記第二の培養容器が、細胞を増殖させるための細胞培養に用いる増幅培養容器である
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の細胞培養システムにおける送液方法。 - 培地を培養容器に供給するための培地容器と、細胞培養に用いるための第一の培養容器と、細胞培養に用いるための第二の培養容器と、これらの容器を接続するための移送チューブを備えた細胞培養システムであって、
前記細胞培養システムにおける各容器が、培地容器、第二の培養容器、第一の培養容器の順で前記移送チューブに接続され、
前記移送チューブにポンプを1つのみ備え、
前記第二の培養容器は、前記第二の培養容器と前記移送チューブとを接続する培養容器接続チューブにより、前記移送チューブにおける前記ポンプの両側で、前記移送チューブに接続された
ことを特徴とする細胞培養システム。 - 前記第二の培養容器が送液用のポートを2つ備え、前記第二の培養容器と前記移送チューブとの接続が前記培養容器接続チューブを2本用いて行われ、前記培養容器接続チューブの一方の端部が前記2つのポートにそれぞれ接続され、前記培養容器接続チューブの他の端部が前記ポンプの両側で、前記移送チューブに接続された
ことを特徴とする請求項9記載の細胞培養システム。 - 前記第二の培養容器が送液用のポートを1つ備え、前記培養容器接続チューブが二股に分岐した形状であり、前記培養容器接続チューブの一方の端部が前記1つのポートに接続され、前記培養容器接続チューブの他の端部が前記ポンプの両側で、前記移送チューブに接続された
ことを特徴とする請求項9記載の細胞培養システム。 - 前記ポンプがチューブローラポンプであることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の細胞培養システム。
- 前記第一の培養容器の送液用のポートが、前記第一の培養容器の周縁部における前記移送チューブ側であって、かつ前記第二の培養容器に対して最も反対側に設けられた
ことを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の細胞培養システム。 - 前記第二の培養容器の送液用のポートの1つが、前記第二の培養容器の周縁部における前記移送チューブ側であって、かつ前記培地容器に対して最も反対側に設けられた
ことを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の細胞培養システム。
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